JP4204537B2 - タイヤ用移載装置及びタイヤ試験機 - Google Patents
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搬出用の搬送装置に対しては、試験結果をタイヤの側面へマーキングするためのマーキング装置が併設されているのが一般的である。このマーキング装置は、停止させたタイヤ側面に対してその上方からマーキングヘッドを下降させて、加熱押印等の表示を行わせる構造である。
一方、搬入用の搬送装置に対しては、タイヤのビード部へ離ケイ剤を塗布させるためのビードルブリケータ(特許文献2等参照)が併設されることがあった。このビードルブリケータは、停止させたタイヤの中央開口内で離ケイ剤塗布ローラを上昇させ、この離ケイ剤塗布ローラをタイヤビード部へ押しつけた状態にしたままタイヤを回転させる構造である。
これらのロスタイムは、タイヤ試験機の稼働効率(タイムサイクル)、ひいてはタイヤ製造能率全体にまで悪影響を及ぼすおそれがあった。また上記スリップは、タイヤ側面に傷をつけたり、停止位置精度を悪化させるなどの不都合も伴うものであった。
そのうえ、上記のストッパは、タイヤが持つ搬送の慣性をタイヤとの衝突でくい止める構造になっているために、破損や故障などが起こりやすいという問題もあった。言うまでもなく、この問題はタイヤのタイヤサイズが大きくなればなるほど深刻なものとなる。
即ち、本発明に係るタイヤ用移載装置は、タイヤ中心軸が縦向きになるように横倒姿勢にされたタイヤに対し、その外周面の複数箇所を押圧部材で押圧してタイヤを把持する把持手段と、この把持手段を横送りさせるスライド手段とを有している。
このように、本発明では把持手段によってタイヤをその外周面で把持させる構造を採用し、そのうえでこの把持手段をスライド手段によって横送りさせる構成であるので、移動時のスリップを無くすことができ、迅速な移動が可能であり、また停止時の高精度位置決めが可能となる。
このようにすることで、タイヤを把持した状態として、タイヤ中心軸をいつも同位置へ位置付けることができる。即ち、タイヤを所定位置(移動前及び移動後を含む)において、その搬送方向で高精度位置決めできるだけでなく、幅方向でのセンタリングもできることになる。
このように押圧部材をローラとすれば、タイヤを把持させたままの状態でタイヤを回転させることができる。特に、タイヤ回転手段を具備させると、このローラを介してタイヤへ回転駆動を伝え、タイヤを回転させることができるので、ビードルブリケータやマーキング装置でタイヤの回転が必要とされる場合に、わざわざ特別な回転駆動機構等を設けなくて済むことになる。それだけ、タイヤ試験機としての構造簡潔化及びコンパクト化が図れる。
このようなダンパー部及び外径検出手段を設けると、タイヤサイズの自動計測が可能になると共に、タイヤサイズの変更に応じて常に適度な押圧力(把持圧)を付与できるようになる。また、複数の押圧部材相互間において、それぞれがタイヤ外周面を押圧する押圧力を均一化できるので、タイヤのセンタリングがそれだけ高精度に行える利点がある。
把持手段は、タイヤ外周面に未当接の待機位置にある押圧部材をタイヤ外周面へ近接させる動作ストロークの初段駆動部と、タイヤ外周面に近接した押圧部材をタイヤ外周面へ押圧させる動作ストロークの二次駆動部とを有したものとするのが好適である。
しかも、把持状態としたうえで二次駆動部による押圧動作だけを解除させた場合、押圧部材とタイヤ外周面との間にクリアランスを生じさせつつも、タイヤがその場から大きく位置ズレしないように、位置的な拘束ができるため、タイヤをその場回転させるのに好都合な状態が得られる。
把持手段を昇降可能とさせることで、その上昇時にこの把持手段が把持したタイヤを宙に浮かせることのできる昇降手段を設けることもできる。
このような昇降手段を設けることで、タイヤの移動中、下向きとなるタイヤ側面が他物と接触する(擦れる)ことがないので、発傷を防止できることになる。勿論、タイヤに対して移動中の接触抵抗が生じないため、その移動が円滑且つ軽快に行われるものとなる。
なお、場合によってはこれらスライド手段や把持手段は昇降させず、把持手段で把持される前のタイヤを支持する部分(例えばタイヤ用のコンベア等)の方を、支持レベルの下方域で昇降させるようにしてもよい。
スライド手段は、固定側の基礎フレームとこの基礎フレームにガイドレールを介してスライド自在に保持された状態で前記把持手段を搭載したスライドフレームと、基礎フレームに対してスライドフレームを移動させる走行駆動機構とを有したものとすることができる。
このような固定側ラックレールと移動側ラックレールとの間に挟んだピニオンギヤをギヤ移動装置で移動させる構造では、ピニオンギヤの移動量に対して移動側ラックレールの移動量や移動速度を倍化できることから、装置の小型化及び移動側ラックレールの移動時間短縮化が図れる利点がある。
スライド手段の基礎フレームには、タイヤを横倒姿勢のまま支持して搬送可能とする駆動コンベアを設けておけばよい。
一方、本発明に係るタイヤ試験機は、タイヤのユニフォミティを試験し測定するタイヤ試験位置と、このタイヤ試験位置へ搬入するタイヤを前もって保持しておく試験前位置との二位置を有し、試験前位置からタイヤ試験位置へと試験前タイヤを宙に浮かせた状態のまま送り渡し可能にすべく、上記した本発明のタイヤ用移載装置を設けたものとして構成される。
また本発明に係るタイヤ試験機は、タイヤのユニフォミティを試験し測定するタイヤ試験位置と、このタイヤ試験位置から搬出したタイヤを保持する試験後位置との二位置を有し、タイヤ試験位置から試験後位置へと試験済みタイヤを宙に浮かせた状態のまま送り渡し可能にすべく、上記した本発明のタイヤ用移載装置を設けたものとして構成することもできる。
なお、本発明に係るタイヤ用移載装置の最も好ましいものは、タイヤ中心軸が縦向きになるように横倒姿勢にされたタイヤに対しその外周面の複数箇所を押圧部材で押圧してタイヤを把持する把持手段と、この把持手段を横送りさせるスライド手段とを有するタイヤ用移載装置において、前記スライド手段は、固定側の基礎フレームと、この基礎フレームにガイドレールを介してスライド自在に保持された状態で前記把持手段を搭載したスライドフレームと、基礎フレームに対してスライドフレームを移動させる走行駆動機構とを有しており、前記走行駆動機構は、基礎フレームに設けられた固定側ラックレールと、この固定側ラックレールに対向し且つ平行する状態でスライドフレームに設けられた移動側ラックレールと、これら固定側ラックレール及び移動側ラックレールの間に挟まれた状態で両ラックに噛合するピニオンギヤと、このピニオンギヤを回転自在に保持しつつ固定側ラックレールに沿って転動させるギヤ移動装置とを有していることを特徴とする。
さらに好ましくは、前記把持手段を昇降可能とさせることでその上昇時にこの把持手段が把持したタイヤを宙に浮かせることのできる昇降手段が設けられているとよい。
前記スライドフレームのスライドにより、前記昇降手段及び前記把持手段が一緒にスライド動作してもよい。
本発明に係るタイヤ試験機の最も好ましいものとしては、タイヤのユニフォミティを試験し測定するタイヤ試験位置と、このタイヤ試験位置から搬出したタイヤを保持する試験後位置との二位置を有し、タイヤ試験位置から試験後位置へと試験済みタイヤを宙に浮かせた状態のまま送り渡し可能にすべく上記した最も好ましいタイヤ用移載装置が設けられていることを特徴とする。
図1及び図2は本発明に係るタイヤ試験機1の一実施形態を示している。これらの図から明らかなように、このタイヤ試験機1はその略中央部に設けられたタイヤ試験位置3を核として構成されたものである。
このタイヤ試験位置3の入側(図1右方)には搬入ステーション4が設けられており、この搬入ステーション4の上流側に、試験対象となるタイヤ(以下「試験前タイヤ」と言う)T1を上流工程から搬入するためのタイヤ搬入装置5が接続されている。また試験位置3の出側(図1左方)には搬出ステーション6が設けられており、この搬出ステーション6の下流側に、試験の終わったタイヤ(以下「試験済みタイヤ」と言う)T3を下流工程へ搬出するためのタイヤ搬出装置7が接続されている。
タイヤ試験位置3には、下リムを有した下プランジャ10と、上リムを有した上プランジャ11とが上下対向して設けられており、これらのうち少なくとも一方が上下動してそれらの中間に保持されたタイヤ(以下「被験タイヤ」と言う)T2を上下リム間で挟み、この状態で被験タイヤT2を回転させつつそのユニフォミティを試験し、測定するようになっている。
また、このタイヤ試験位置3にはセンターリフト14が設けられており、これによりタイヤ搬送レベルで被験タイヤT2を一旦保持して、その後、下プランジャ10との間で被験タイヤT2を昇降できるようになっている。
この試験前位置15には、試験前タイヤT1のビード部に離ケイ剤を塗布するためのビードルブリケータ16が設けられている。このビードルブリケータ16は、試験前位置15で試験前タイヤT1が停止された後、図2に示すように試験前タイヤT1の中央開口内へ向けて離ケイ剤塗布ローラ17を上昇させると共に、この離ケイ剤塗布ローラ17をタイヤビード部へ押しつける。そのうえで試験前タイヤT1が回転されるようになっている。
この試験後位置18には、試験済みタイヤT3の側面適所に試験結果をマーキングするためのマーキング装置19が設けられている。このマーキング装置19は、試験後位置18で試験済みタイヤT3が停止された後、図2に示すように試験済みタイヤT3のタイヤ側面へ向けてその上方からマーキングヘッド20を下降させ、所定の情報を表示(加熱押印や刻印、塗料塗布、シール付着等)させるようになっている。
また、タイヤ試験位置3から搬出ステーション6上に設けられた試験後位置18へ試験済みタイヤT3を送り渡すために、本発明に係るタイヤ用移載装置30が設けられている。
これら搬入ステーション4に対して設けられたタイヤ用移載装置30と、搬出ステーション6に対して設けられたタイヤ用移載装置30とは、互いにそれらの前後方向が逆向きに設けられている点を除いては、同じ構成を有したものである。
図3及び図4はタイヤ用移載装置30の全体図であり、また図5乃至図10はこのタイヤ用移載装置30の各部を抽出して判りやすく示したものである。
このタイヤ移載装置30は、タイヤTを把持する把持手段31と、この把持手段31を横送りさせるスライド手段32とを有している。またこのタイヤ移載装置30は、把持手段31を昇降させるための昇降手段33を有している。
まず、把持手段31について説明する。
図5乃至図7は把持手段31を示している。この把持手段31はタイヤTの外周面を押圧部材35で押圧して把持させる構造とされている。押圧部材35は、タイヤTの外周面を取り囲む少なくとも3カ所の等配位置(図例では4カ所)に設けられており、これら押圧部材35により、タイヤ外周面の複数箇所を同時に押圧できるようになっている。
上記したように押圧部材35は4つある。これら4つの押圧部材35は、当初、タイヤTの搬送経路を挟んだ左右両脇位置へ2個ずつが振り分けられた状態で待機するようになされ、タイヤTを把持するときに、タイヤTの径方向に沿いつつ左右の各脇位置(待機位置)から中央(把持位置)へ向けて進出するように動作する(図7参照)。またタイヤTの把持を終了するときに元の脇位置へ戻るように動作する。
図5及び図7から明らかなように、揺動機構40は、左方の脇位置で前後に並ぶ二つの押圧部材35を一組として採用されると共に、右方の脇位置で前後に並ぶ二つの押圧部材35を一組として採用されている。即ち、揺動機構40は左右二組ある。
各組の揺動機構50において、前後に並ぶ押圧部材35からは、互いに対向する方向へ支持アーム45が延設されており、これら揺動アーム45の各先端部には、回転胴46が連結されている。
この連動ギヤ対49が2枚の平ギヤ48で形成されていることから、各回転胴46の回転は同期し、且つ相対逆回転をする関係に保持される。従って、前後の支持アーム45も相対逆方向へ揺動し、前後の押圧部材35が同時に脇位置から中央へ向けて進出したり、元の脇位置へ戻ったりする。
押し引きシャフト53の各先端部にはラックレール55が連結されている。このラックレール55は、上記揺動機構40の支持ボックス47に設けられたピニオンギヤ56と噛合されている。このピニオンギヤ56は、支持ボックス47内を貫通する連結軸57によって連動ギヤ対49の一方の平ギヤ48と一体回転するようになっている。すなわち、このラックレール55とピニオンギヤ56との噛合により、揺動機構40とリンク機構41とを連動させるラック・アンド・ピニオン機構42が形成されている。
この原動部43は、初段駆動部62と二次駆動部64とを有している。初段駆動部62には例えばモータ61を駆動源とする電動ジャッキが採用されている。また二次駆動部64には例えば空気圧又は油圧などの流体圧シリンダが採用されている。
すなわち、この原動部43において、初段駆動部62及び二次駆動部64を同時に作動させて駆動フォーク60を押し出すことで、上記したリンク機構41、ラック・アンド・ピニオン機構42、そして左右の揺動機構40を作動させ、全ての押圧部材35でタイヤTの外周面を一斉に押圧させ、把持状態にさせることができる。
そして、この状態から再び二次駆動部64だけを押し動作させると、全ての押圧部材35により再度、タイヤ外周面を押圧させてタイヤTの把持状態に戻せるものとなる。この場合の把持動作は、押圧部材35をいちいち、脇位置(待機位置)まで往復させる時間が省かれるので、迅速に行える。
そこで、この軸圧縮動作が生じた時点をもって、タイヤTを適度な押圧力(把持圧)で把持できたものと判断できる。このような作用はまた、タイヤサイズの違いだけでなく、タイヤTの構造面、材質面からくる剛性の違いなどにも自動的に対応できる利点がある。
このダンパー部63に対し、軸圧縮動作時の反発抵抗値から判断してタイヤ外径を求める外径検出手段(図示略)を設けておけば、タイヤサイズの自動計測も可能になる。外径検出手段としては、例えば反発力を検出する圧力センサや圧縮移動量を検出するポテンショメータ等を採用可能である。その他、各種のセンサ類を採用可能であることは言うまでもない。
図8、図9及び図5に示すように、このスライド手段32は、固定側の基礎フレーム70と、この基礎フレーム70上に設けられたスライドフレーム71とを有している。また、基礎フレーム70に対してスライドフレーム71を移動させるための走行駆動機構72を有している。
上記した把持手段31は、基本的にこのスライドフレーム71に設けられたかたちとなっており、スライドフレーム71が基礎フレーム70上をスライドするときに一緒にスライド動作を行うようになっている。
本実施形態の基礎フレーム70では、左右一対の幅決め条材73に対し、それらの間に、搬送方向の約半分領域では幅一杯にわたる長ローラ74を用いた広幅コンベア75が形成され、他方の約半分領域では、幅方向中央に切欠状のセンター空間76を挟むかたちでその左右両側に短ローラ77を用いた幅狭コンベア78,79が形成されている。
左側の幅狭コンベア78に設けられた巻掛け駆動装置80と、右側の幅狭コンベア79に設けられた巻掛け駆動装置81とは、それぞれ各別に駆動制御ができるようになっている。
上記幅決め条材73には、その長手方向の複数箇所(図例では4カ所)から幅方向外方へ張り出すレール基礎台82が設けられており、図9に示すように、このレール基礎台82には支柱83を介して水平方向へ延びるレール支持板84が設けられている。そして、このシール支持板84の内面側に、水平方向へ延びるガイドレール85が設けられている。図例ではガイドレール85が上下2本、互いに平行して設けられたものとしてある。
この連結台87の上部に、上記した把持手段31の原動部43が搭載されている。また左右の幅決め条材86の上部に、把持手段31の軸受けブロック50が設けられている。
図5から明らかなように、スライドフレーム71における左右の幅決め条材86には、その外向きの側面に対して長手方向の複数箇所(図例では2カ所)に、スライドガイド88が設けられている。
これにより、基礎フレーム70に対してスライドフレーム71がスライド自在に保持されているものである。
走行駆動機構72は、基礎フレーム70に設けられた固定側ラックレール90と、スライドフレーム71に設けられた移動側ラックレール91と、これら両ラックレール90,91間に挟まれたピニオンギヤ92と、このピニオンギヤ92を固定ラックレール90に沿って転動させるギヤ移動装置93とを有している。
移動側ラックレール91は、スライドフレーム71の幅決め条材86に対し、その下面に上部レールホルダー96を介した状態で、且つラック面を下に向けて設けられている。そのためこの移動側ラックレール91は、上記した固定側ラックレール90に対向し且つ平行する位置関係にある。
なお、固定側ラックレール90を保持している下部レールホルダー95には、固定側ラックレール90と平行するように下ガイドレール97が設けられている。これに対し、移動側ラックレール91を保持している上部レールホルダー96には、移動側ラックレール91と平行するように上ガイドレール98が設けられている。そして、これら下ガイドレール97と上ガイドレール98との位置関係も、互いに対向し且つ平行したものとなっている。
またこの回転軸99には、上下のガイドレール98,97間に挟まれる位置付けでフリーホイル101が設けられている。従って、このフリーホイル101がメインとなって荷重的負担や直進ガイド性などの作用を担うものとなり、ピニオンギヤ92には推進力伝達以外に、無用な力が作用しないようになっている。
このような走行駆動機構72では、ピニオンギヤ92をギヤ移動装置93により固定側ラックレール90に沿わせるように移動させることで、この移動量にピニオンギヤ92の自転が加わるかたちとなり、結果、このピニオンギヤ92の移動量に比べて移動側ラックレール91の移動量や移動速度が倍化することになる。
次に昇降手段33について説明する。
スライドフレーム71における左右の幅決め条材86は中空の角パイプとして形成されており、それらの内部には、それぞれ昇降フレーム105が収納されている(図9参照)。幅決め条材86の中空部内高さに比べ、昇降フレーム105の高さは小さく形成され、もって各幅決め条材86内において昇降フレーム105は昇降自在となっている。そして、左右の昇降フレーム105の各先端部に対し、支持ボックス47が連結されている。
左右の昇降フレーム105には、その長手方向の複数箇所(図例では2カ所)に昇降リンク106が揺動自在に連結されている。これら昇降リンク106は、幅決め条材86の上面を貫通して上方へ突出されている。
左側の昇降フレーム105に連結された2本の昇降リンク106、及び右側の昇降フレーム105に連結された2本の昇降リンク106は、それぞれL型アーム107及び連結ロッド108によって平行リンク状に接続されており、それぞれ連動して上下動するようになっている。各L型アーム107は、幅決め条材86の上面や連結台87の起立面に設けられたリンクブラケット109により、揺動自在に保持されている。
この原動部113は、スライドフレーム71における連結台87の上部に、上記した把持手段31の原動部43と並んで搭載されている(図4参照)。この原動部110には例えば空気圧又は油圧などの流体圧シリンダが採用されている。
把持手段31がタイヤTを把持している状態でこの把持手段31が上昇すれば、当然に、タイヤTは宙に浮かされる状態になる。
次に、上記タイヤ用移載装置30を具備したタイヤ試験機1全体(図1参照)の作動を、タイヤ移載装置30の作動(以下、図3及び図4をメインとして説明するが必要に応じて図5乃至図10の細部図も適宜参照のこと)と共に、以下に説明する。
まず、スライド手段32の基礎フレーム70において、左右の巻掛け駆動装置80,81が同一方向へ駆動することによって、広幅コンベア75側から左右の幅狭コンベア78,79へ向けて試験前タイヤT1が搬入される。
左右の巻掛け駆動装置80,81は試験前タイヤT1が左右の幅狭コンベア78,79上へ達した時点で停止する。試験前タイヤT1は、その中央開口部(ホイルへ嵌める部分)が左右の幅狭コンベア78,79の間のセンター空間76上へ位置付けられるようになる。この位置が試験前位置15に相当する。
ここでまず把持手段31が作動する。把持手段31の作動は、原動部43の初段駆動部62及び二次駆動部64を同時に押し出し駆動させて駆動フォーク60を押し出させ、リンク機構41、ラック・アンド・ピニオン機構42、そして左右の揺動機構40へと動力を伝達させ、もって全ての押圧部材35をタイヤTへ向けて接近させ、そしてタイヤ外周面を一斉に押圧した把持状態にするものである。
この試験前位置15では、試験前タイヤT1のビード部に離ケイ剤を塗布するため、ビードルブリケータ16(図2参照)が、センター空間76を介して試験前タイヤT1の中央開口内へ離ケイ剤塗布ローラ17を上昇させ、この離ケイ剤塗布ローラ17をタイヤビード部へ押しつけるようになる。
ここでタイヤ用移載装置30は、把持手段31の原動部43(図6参照)において初段駆動部62の押し出し状態は維持させたまま、二次駆動部64だけを引き動作させる。
そこでスライド手段30は、基礎フレーム70において左右の巻掛け駆動装置80,81を相対逆方向へ駆動させる。これにより左右の幅狭コンベア78,79が相対逆方向へ搬送動作を生じ、試験前タイヤT1は回転する。
なお、クリアランス自体、小さなものであるので、試験前タイヤT1が回転中に大きく位置ズレしてしまうようなことはない。このようにしてビード部に離ケイ剤が塗布されると、ビードルブリケータ16が離ケイ剤塗布ローラ17をセンター空間76の下方へと収納させる。
次に昇降手段33が作動する。昇降手段33の作動は、原動部113を引き込み駆動させてL型アーム107及び連結ロッド108を平行リンク状に動作させ、全ての昇降リンク106を上昇させ、もって把持手段31の主要部(支持ボックス47をはじめとする押圧部材35など)を上昇させるものである。
この把持手段31の主要部の上昇に伴い、この把持手段31で把持状態とされているタイヤTは、左右の幅狭コンベア78,79の上で宙に浮かされることになる。
スライドフレーム71のスライドにより、昇降手段33及び把持手段31も一緒にスライド動作する。そのため、上記のようにして宙に浮いて把持状態とされたタイヤTが左右の幅狭コンベア78,79の上方位置から広幅コンベア75とは反対方向へ向けて水平移動することになる。
この時点で試験前タイヤT1は被験タイヤT2となり、搬入ステーション4上のタイヤ用移載装置30は一連の動作を終了したことになる。そこで、上記と略逆順で復帰動作をする。
タイヤ試験位置3では、センターリフト14の下降動作で被験タイヤT2が下プランジャ10へ載せられ、下降する上プランジャ11によって被験タイヤT2が挟持されると、回転され、ユニフォミティの試験測定が行われる。またこの試験測定が終了すると、センターリフト14の上昇動作で被験タイヤT2は元位置へ上昇復帰され、試験済みタイヤT3となる。
このタイヤ用移載装置30の動作は、搬入ステーション4上に設けられたタイヤ用移載装置30の動作と動作順及び動作方向が略逆になる。
すなわち、スライド手段32により把持手段31がタイヤ試験位置3へ試験済みタイヤT3を受け取りに向かい、昇降手段33の昇降動作を伴いながら把持手段31により試験済みタイヤT3が把持される。
この試験後位置18では、マーキング装置19がタイヤ側面へ向けてマーキングヘッド20を下降させ、タイヤ側面の所定位置へ所定内容の情報を表示(加熱押印や刻印、塗料塗布、シール付着等)させるが、このときマーキングベッド20をタイヤ側面の円周方向に沿って必要量旋回させ、そのうえでタイヤ側面へ向けて下降させるようにする。
図2は、このようなタイヤ試験機1としての全体的な動作を概説したものである。すなわち、搬入ステーション4上に設けられたタイヤ用移載装置30では、試験前タイヤT1を試験前位置15まで横送り(A)し、この試験前位置15でビードルブリケータ16によるビード部への離ケイ剤塗布を待ち(B)、その後、試験前タイヤT1を上昇(C)、スライド(D)させてタイヤ試験位置3にて下降(E)させ、タイヤ試験位置3へと送り渡す。
このように、搬入ステーション4上に設けられたタイヤ用移載装置30では、試験前位置15とタイヤ試験位置3との二位置間で試験前タイヤT1を立体箱形動作によって受け渡しし、また搬出ステーション6上のタイヤ用移載装置30では、タイヤ試験位置3と試験後位置18との二位置間で試験後タイヤT3を立体箱形動作によって受け渡しするというものである。
例えば、図11に示すように、把持手段31の押圧部材35としてローラ37を採用する場合にあって、このローラ37を回転駆動させるための駆動具120を設け、これによってタイヤ回転手段121を構成させるようにしてもよい。
このようにすると、押圧部材35によりタイヤTを把持させたままの状態で、このタイヤ回転手段121を作動させてタイヤTを回転させることができることになる。そのためスライド手段31の基礎フレーム70において、タイヤTを回転させるためのものとしては、左右の幅狭コンベア78,79に各別制御可能な巻掛け駆動装置80,81を設ける必要がなくなり、構造の簡潔化が図れる。
また、駆動具120にはステッピングモータを採用して回転角度の高精度制御をできるようにしたり、或いは流体圧モータを採用して大型タイヤの回転を可能にしたりすることもできる。
スライド手段32の走行駆動機構72では、スライドフレームにリニア駆動装置で直接に移動駆動力を伝える構造とすることもできる。この場合は、部品点数の少数化が図れる利点がある。
3 タイヤ試験位置
30 タイヤ用移載装置
15 試験前位置
16 ビードルブリケータ
18 試験後位置
19 マーキング装置
31 把持手段
32 スライド手段
33 昇降手段
35 押圧部材
37 ローラ
62 二次駆動部
63 ダンパー部
70 基礎フレーム
71 スライドフレーム
72 走行駆動機構
85 ガイドレール
90 固定側ラックレール
91 移動側ラックレール
92 ピニオンギヤ
93 ギヤ移動装置
121 タイヤ回転手段
Claims (6)
- タイヤ中心軸が縦向きになるように横倒姿勢にされたタイヤに対しその外周面の複数箇所を押圧部材(35)で押圧してタイヤを把持する把持手段(31)と、この把持手段(31)を横送りさせるスライド手段(32)とを有するタイヤ用移載装置において、
前記スライド手段(32)は、固定側の基礎フレーム(70)と、この基礎フレーム(70)にガイドレール(85)を介してスライド自在に保持された状態で前記把持手段(31)を搭載したスライドフレーム(71)と、基礎フレーム(70)に対してスライドフレーム(71)を移動させる走行駆動機構(72)とを有しており、
前記走行駆動機構(72)は、基礎フレーム(70)に設けられた固定側ラックレール(90)と、この固定側ラックレール(90)に対向し且つ平行する状態でスライドフレーム(71)に設けられた移動側ラックレール(91)と、これら固定側ラックレール(90)及び移動側ラックレール(91)の間に挟まれた状態で両ラックに噛合するピニオンギヤ(92)と、このピニオンギヤ(92)を回転自在に保持しつつ固定側ラックレール(90)に沿って転動させるギヤ移動装置(93)とを有していることを特徴とするタイヤ用移載装置。 - 前記把持手段(31)は、タイヤ外周面に未当接の待機位置にある押圧部材(35)をタイヤ外周面へ近接させる動作ストロークの初段駆動部(62)と、タイヤ外周面に近接した押圧部材(35)をタイヤ外周面へ押圧させる動作ストロークの二次駆動部(64)とが連結された原動部(43)を有していることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用移載装置。
- 前記把持手段(31)を昇降可能とさせることでその上昇時にこの把持手段(31)が把持したタイヤを宙に浮かせることのできる昇降手段(33)が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のタイヤ用移載装置。
- 前記スライドフレーム(71)のスライドにより、前記昇降手段(33)及び前記把持手段(31)が一緒にスライド動作することを特徴とする請求項3に記載のタイヤ用移載装置。
- タイヤのユニフォミティを試験し測定するタイヤ試験位置(3)と、このタイヤ試験位置(3)へ搬入するタイヤを前もって保持しておく試験前位置(15)との二位置を有し、試験前位置(15)からタイヤ試験位置(3)へと試験前タイヤを宙に浮かせた状態のまま送り渡し可能にすべく請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のタイヤ用移載装置(30)が設けられていることを特徴とするタイヤ試験機。
- タイヤのユニフォミティを試験し測定するタイヤ試験位置(3)と、このタイヤ試験位置(3)から搬出したタイヤを保持する試験後位置(18)との二位置を有し、タイヤ試験位置(3)から試験後位置(18)へと試験済みタイヤを宙に浮かせた状態のまま送り渡し可能にすべく請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のタイヤ用移載装置(30)が設けられていることを特徴とするタイヤ試験機。
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