JP4204136B2 - ゴム変性スチレン系樹脂組成物およびそのシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性に優れ、かつカレンダー成形性に優れたゴム変性スチレン系樹脂組成物、およびそのカレンダー成形してなるシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カレンダー成形法による透明シート用材料として、従来より塩化ビニル樹脂が使用されている。しかし最近、廃棄物の焼却時に発生するとされる酸性腐食性ガス、有害物質の発生等の問題から塩化ビニル樹脂代替材料が求められてきている。これらの問題を解決する代替材料としてスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン樹脂等が検討されているが、カレンダー成形法によるシート化技術はいまだ実用に至っていない。
すなわち、これらの樹脂はカレンダー成形する際、樹脂がロールに粘着してしまい、安定にシートを形成することができないという課題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、透明性に優れ、カレンダー成形法によるシート加工に適するゴム変性スチレン系樹脂組成物を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ゴム変性スチレン系樹脂を主体とするものであって、透明性に優れ、かつカレンダー成形法が適用できる樹脂組成物を得るべく鋭意研究を重ねた結果、特定のゴム変性スチレン系樹脂に特定の添加剤を配合することにより、前記課題を解決した樹脂組成物を見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、(1)(I)スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体をゴム状弾性体の存在下に重合して得られるゴム変性スチレン系樹脂であって、ゴム状弾性体1〜15重量部、並びにスチレン系単量体単位35〜75重量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位25〜65重量%からなるスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系重合体85〜99重量部[但し合計量を100重量部とする]とからなり、かつスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる連続相にゴム状弾性体を主成分とする軟質成分の分散粒子が分散してなる該ゴム変性スチレン系樹脂100重量部に対し、(II)(A)ステアリン酸亜鉛0.1〜2重量部、(B)ペンタエリスリトール0.1〜2重量部、(C)ステアリン酸0重量部を超え1重量部以下、(D)アジピン酸ジオクチル0重量部を超え1重量部以下、(E)部分酸化の割合が1〜5重量%であるポリエチレンワックス0重量部を超え1重量部以下、[但し(A)〜(E)の合計量は、4重量部以下とする]を配合してなることを特徴とするゴム変性スチレン系樹脂組成物、(2)(1)記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物をカレンダー成形してなることを特徴とするシートである。特に、(I)スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体をゴム状弾性体の存在下に重合して得られるゴム変性スチレン系樹脂であって、ゴム状弾性体1〜15重量部、並びにスチレン系単量体単位35〜75重量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位25〜65重量%からなるスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系重合体85〜99重量部[但し合計量を100重量部とする]とからなり、かつスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる連続相にゴム状弾性体を主成分とする軟質成分の分散粒子が分散してなるゴム変性スチレン系樹脂であることが好ましい。
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物を構成するゴム変性スチレン系樹脂は、スチレン系単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位、およびこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体単位からなるスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系重合体の連続相中にゴム状弾性体を主成分とする軟質成分の分散粒子が分散してなる分散相を形成しているゴム変性スチレン系樹脂である。
【0007】
使用されるゴム状弾性体としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体が挙げられる。
スチレン−ブタジエンブロック共重合体、およびスチレン−ブタジエンランダム共重合体のスチレン単量体単位とブタジエン単量体単位の重量比が20〜60:80〜40であることがゴム変性スチレン系樹脂の良好な透明性を得るために好ましい。
【0008】
本発明で使用されるゴム状弾性体の量は、ゴム変性スチレン系樹脂100重量部中1〜15重量部である。ゴム状弾性体が1重量部未満では優れた衝撃強度を得ることができず、15重量部を越えると透明性が低下して好ましくない。
また、ゴム状弾性体は、実質的にスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系重合体がゴム状弾性体にグラフトし、かつ該グラフトしたゴム状弾性体はスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系重合体を内包し、ゴム変性スチレン系樹脂中に分散粒子として存在するものである。これらを総称してゴム状弾性体を主成分とする軟質成分の分散粒子という。
【0009】
つぎに、本発明で使用されるゴム変性スチレン系樹脂の連続相を形成する重合体の単量体単位について説明する。本発明において、ゴム変性スチレン系樹脂中の連続相はスチレン系単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位、および必要に応じてこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体単位からなる。
【0010】
本発明で使用されるスチレン系単量体とは、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等を挙げることができるが、好ましくはスチレンである。これらスチレン系単量体は、単独でもよいが二種以上を併用してもよい。
【0011】
一方、本発明で使用される(メタ)アクリル酸エステル系単量体とは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート等のアクリル酸エステルが挙げられるが、好ましくはメチルメタクリレート、またはn−ブチルアクリレートである。これらの(メタ)アクリル酸エステル系単量体は単独で用いてもよいが二種以上を併用してもよい。
【0012】
さらに、必要に応じてこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
【0013】
本発明で使用されるゴム変性スチレン系樹脂の連続相を形成するスチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位との重量比は35〜75:65〜25重量%であり、好ましくは42〜59:58〜41である。
スチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位との重量比が35〜75:65〜25の範囲外では、ゴム変性スチレン系樹脂の透明性が低下する。
また、これらの単量体と共重合可能なビニル系単量体は、単量体混合物中0〜10重量%存在するものであるが、10重量%を越えるとゴム変性スチレン系樹脂の透明性が低下するので好ましくない。
【0014】
本発明に使用するゴム変性スチレン系樹脂の製造は、常用されている塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が用いられる。また、回分式重合法、連続式重合法のいずれの方法も用いることができる。
【0015】
これらの重合法は、重合開始剤としてアゾビスブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等のアゾ化合物や、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、エチル−3,3−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブチレート等の有機過酸化物を用いることができる。また、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、4−メチル−2,4−ジフェニルペンテン−1を用いることができる。可塑剤としてジイソブチルアジペートやブチルベンジルフタレート等を必要に応じて添加してもよい。
【0016】
次に、本発明において用いられる(II)添加剤について説明する。
(A)高級脂肪酸の金属塩とは炭素数14以上を有する脂肪酸の金属塩をいう。好ましくは炭素数18〜22の脂肪酸の金属塩であり、高級脂肪酸としてはステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、エルカ酸等が挙げられ、また、金属としてはカルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、鉛等が挙げられる。これらの(A)高級脂肪酸の金属塩は、単独でもよいが二種以上を併用してもよく、これらの中でステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸亜鉛が好ましい。
【0017】
本発明において、(B)脂肪族アルコールとはセチルアルコール、ステアリルアルコール等の一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールが挙げられる。これらの(B)脂肪族アルコールは、単独でもよいが二種以上を併用してもよく、これらの中でペンタエリスリトールが好ましい。
【0018】
本発明において、(I)ゴム変性スチレン系樹脂に添加剤として(A)高級脂肪酸の金属塩および(B)脂肪族アルコールを配合することにより、カレンダー成形時に、ゴム変性スチレン系樹脂がロールに粘着することなく安定したシート加工が可能となり、また得られるシートの透明性も優れる。
【0019】
また、添加剤として(A)高級脂肪酸の金属塩および(B)脂肪族アルコールに、(C)高級脂肪酸、(D)高級脂肪酸エステル、(E)ポリエチレンワックスを併用することにより、さらに透明性の向上が図れる。
(C)高級脂肪酸とは炭素数14以上を有する脂肪酸をいい、好ましくは炭素数18〜22の脂肪酸であり、高級脂肪酸としてはステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、エルカ酸等が挙げられ、単独でもよいが二種以上を併用してもよく、ステアリン酸が好ましい。
【0020】
(D)高級脂肪酸エステルとは炭素数14以上を有する脂肪酸エステルをいい、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル等の脂肪族一塩基酸エステル、コハク酸ジイソデシル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソデシル、アゼライン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸エステルが挙げられるが、特に脂肪族二塩基酸 エステルが好ましく、さらにアジピン酸ジオクチルが好ましい。
【0021】
(E)ポリエチレンワックスは、分子量1,000〜10,000の一般市販品を用いることができるが、部分酸化の割合が1〜5重量%であるポリエチレンワックスが好ましい。
【0022】
本発明で添加剤として用いる(A)高級脂肪酸の金属塩、(B)脂肪族アルコール、(C)高級脂肪酸、(D)高級脂肪酸エステル、(E)ポリエチレンワックスの各配合割合は、(A)高級脂肪酸の金属塩0.1〜2重量部、(B)脂肪族アルコール0.1〜2重量部、(C)高級脂肪酸0〜1重量部、(D)高級脂肪酸エステル0〜1重量部、(E)ポリエチレンワックス0〜1重量部であり、かつ、これら(A)〜(E)5種の合計は、4重量部以下である。
(A)高級脂肪酸の金属塩および(B)脂肪族アルコールが各々0.1重量部未満だとゴム変性スチレン系樹脂がロールに粘着しやすく安定なシート加工ができない。また、(C)高級脂肪酸、(D)高級脂肪酸エステル、(E)ポリエチレンワックスが各々1重量部を越えるとゴム変性スチレン系樹脂の透明性が低下する。
また、ゴム変性スチレン系樹脂100重量部に対して上記(A)〜(E)5種の合計が0.2重量部を越え、4重量部以下であり、好ましくは0.2重量部を越え3重量部以下である。含有量が0.2重量部未満だとカレンダー成形時にゴム変性スチレン系樹脂がロールに粘着しやすく安定なシート加工ができず、4重量部を越えるとゴム変性スチレン系樹脂の透明性が低下する。
【0023】
さらに、各配合割合は、(A)高級脂肪酸の金属塩、(B)脂肪族アルコール、(C)高級脂肪酸、(D)高級脂肪酸エステル、および(E)ポリエチレンワックスの5種とも併用した場合が特に好ましい。これら5種を併用して配合した場合には透明性を損なわずにロール粘着の改善効果が最も顕著に現れる。
特に、(A)高級脂肪酸の金属塩としてステアリン酸カルシウムおよび/またはステアリン酸亜鉛、(B)脂肪族アルコールとしてペンタエリスリトール、(C)高級脂肪酸としてステアリン酸、(D)高級脂肪酸エステルとしてアジピン酸ジオクチル、(E)ポリエチレンワックスとして部分酸化の割合が1〜5重量%であるポリエチレンワックスを組み合わせた配合が特に好ましい。
【0024】
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、(I)ゴム変性スチレン系樹脂に(II)(A)高級脂肪酸の金属塩、(B)脂肪族アルコール、(C)高級脂肪酸、(D)高級脂肪酸エステル、(E)ポリエチレンワックスを配合して得られる。配合方法については特に規定はないが、たとえばバンバリーミキサー、コニーダー、単軸押出機、二軸押出機等の公知のブレンダーでゴム変性スチレン系樹脂に練り込ませる方法がある。
また、ヘンシェルミキサー等のブレンダーによりゴム変性スチレン系樹脂と(A)高級脂肪酸の金属塩や(B)脂肪族アルコールや(C)高級脂肪酸、(D)高級脂肪酸エステル、(E)ポリエチレンワックスとをドライブレンドする方法でもよい。あるいはゴム変性スチレン系樹脂の重合開始前、重合反応中にこれらの添加剤を配合する方法でもよい。
【0025】
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、カレンダー成形の他、射出成形、押出成形、圧縮成形、真空成形等の方法により各種成形体に加工され実用に供される。
【0026】
また、本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物には、これまでに説明した本発明を構成する添加剤以外の酸化防止剤、耐候剤、滑剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、鉱油、難燃剤等の添加剤を、本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物の性能を損なわない範囲で配合してもよい。配合する時期については重合開始前、重合反応途中、重合体の後処理、重合体の造粒、成形、加工等の任意の段階を適宜選べる。
【0027】
【実施例】
次に実施例をもって本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
最初に、実施例、および比較例で使用したゴム変性スチレン系樹脂の製造について、参考例として説明する。
【0028】
参考例;ゴム変性スチレン系樹脂−1
容積200リットルのオートクレーブにスチレン56.0Kg、メチルメタクリレート38.6Kgおよびn−ブチルアクリレート5.4Kgのモノマー混合物にスチレン−ブタジエン共重合体(旭化成社製アサプレン670A(商品名))を10Kg溶解し、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド80g、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン150gを添加し撹拌しながら温度90℃で8時間加熱した後、冷却して塊状重合を停止した。
次いで該反応混合液を容積400リットルのオートクレーブに移し、これに新たに重合開始剤としてジクミルパーオキサイドを200g添加した。純水200Kgにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1g、第三リン酸カルシウム500gを懸濁安定剤として添加し、撹拌しながら混合液を分散させた。そしてこの混合液を温度100℃で2時間、115℃で3.5時間、130℃で2.5時間加熱重合させた。
反応終了後、洗浄、脱水後乾燥しビーズ状のゴム変性スチレン系樹脂−1を得た。ゴム変性スチレン系樹脂−1の組成を表1に示した。
【0029】
参考例;ゴム変性スチレン系樹脂−2
スチレン59Kg、メチルメタクリレート27Kgおよびn−ブチルアクリレート14Kgとした以外は前記ゴム変性スチレン系樹脂−1と同様に操作してビーズ状のゴム変性スチレン系樹脂−2を得た。ゴム変性スチレン系樹脂−2の組成を表1に示した。
【0030】
【表1】
【0031】
実施例1、参考例1〜9
ゴム変性スチレン系樹脂−1、2に対し(A)高級脂肪酸の金属塩としてステアリン酸カルシウム(日本油脂社製 カルシウムステアレート(商品名))およびステアリン酸亜鉛(日本油脂社製 ジンクステアレートGP(商品名))、(B)脂肪族アルコールとしてペンタエリスリトール、(C)高級脂肪酸としてステアリン酸、(D)高級脂肪酸エステルがアジピン酸ジオクチル、(E)ポリエチレンワックスとして部分酸化1重量%のポリエチレンワックス(三井化学社製 ハイワックス4202E(商品名))を表2に示した量で配合し、二軸押出機(東芝機械社製 TEM35B)にてシリンダー温度220℃でブレンド押出ししてペレットとし、次いでこのペレットを2オンスインラインスクリュー射出成形機(新潟鉄工所社製 SN−51B)にてシリンダー温度220℃で射出成形した成形体を試験試料に用いて物性および透明性測定を行った。測定値を表4に示した。
さらに、二軸押出機から得られる溶融状のゴム変性スチレン系樹脂組成物をカレンダー成形機(西村工機社製 8インチ4本ロール逆L型)を用いてロール温度160℃にて厚さ0.3mmのシートを得た。カレンダー成形時のロール粘着状態および得られたシートの透明性を表4に示した。
【0032】
比較例1〜12
上記実施例と同様にゴム変性スチレン系樹脂−1、2に対し(A)高級脂肪酸の金属塩としてステアリン酸カルシウム(日本油脂社製 カルシウムステアレート(商品名))およびステアリン酸亜鉛(日本油脂社製 ジンクステアレートGP(商品名))、(B)脂肪族アルコールとしてペンタエリスリトール、(C)高級脂肪酸としてステアリン酸、(D)高級脂肪酸エステルがアジピン酸ジオクチル、(E)ポリエチレンワックスとして部分酸化1重量%のポリエチレンワックス(三井化学社製 ハイワックス4202E(商品名))を表3に示した量で配合し、二軸押出機(東芝機械社製 TEM35B)にてシリンダー温度220℃でブレンド押出ししてペレットとし、次いでこのペレットを2オンスインラインスクリュー射出成形機(新潟鉄工所社製 SN−51B)にてシリンダー温度220℃で射出成形した成形体を試験試料に用いて物性および透明性測定を行った。測定値を表5に示した。
さらに、二軸押出機から得られる溶融状のゴム変性スチレン系樹脂組成物をカレンダー成形機(西村工機社製 8インチ4本ロール逆L型)を用いてロール温度160℃にて厚さ0.3mmのシートを得た。カレンダー成形時のロール粘着状態および得られたシートの透明性を表5に示した。
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物に係わる実施例1、参考例1〜9は、カレンダー成形時にロール粘着性が少なく、安定してシートを得ることができ、かつシートの透明性も優れていたが、本発明の条件に合わないゴム変性スチレン系樹脂組成物に係わる比較例1〜12はカレンダー成形時にロール粘着を生じてシートが得られないか、得られてもシートの透明性に劣るものであった。
【0038】
本発明において実施した各物性値の測定方法、および評価基準を以下に説明する。
(1)アイゾット(IZOD)衝撃強度:ASTM D256に準拠して、12.7(幅)×64(長さ)×6.4mm(厚)の試験片に深さ2.54mmのノッチを入れ、打撃速度 3.46m/秒で測定した。
(2)曇度:ASTM D1003に準拠して射出成形体30×90×2mm厚の試験片、およびカレンダー成形にて得られた0.3mm厚のシートを用いて測定した。
(3)全光線透過率:ASTM D1003に準拠して射出成形体30×90×2mm厚の試験片、およびカレンダー成形にて得られた0.3mm厚のシートを用いて測定した。
【0039】
(4)ゴム変性スチレン系樹脂中のゴム状弾性体の量:ゴム変性ポリスチレン樹脂で一般的に用いられている赤外吸収スペクトル法で測定した。即ち、予めゴム状弾性体のスチレンとブタジエンの重量比率を赤外吸収スペクトル法で測定しておき、次いでゴム変性スチレン系樹脂のブタジエンの重量比率を赤外吸収スペクトル法で測定し、両測定値よりゴム変性スチレン系樹脂中のゴム状弾性体量を求めた。なお、赤外吸収スペクトル測定装置には日本バイオラッドラボラトリーズ社製 FTS− 575C型を用いた。
(5)ゴム変性スチレン系樹脂中の連続相の構成単位:ゴム変性スチレン系樹脂をトルエンに溶解後、遠心分離を行い、上澄み液を分取しメタノールを加え、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系重合体を沈澱させる。この沈澱物を乾燥し、これを重クロロホルムに溶解して2%溶液に調製して測定試料として、FT−NMR(日本電子社製 FX−90Q型)を用いて13C測定し、スチレン、(メタ)アクリル酸エステルのピーク面積から算出した。
【0040】
(6)成形性;前記の実施例、比較例において、つぎのとおり評価した。
ロールに全く粘着せずに安定してシートが得られた評価を◎、
ロールに多少粘着するものの安定してシートが得られた評価を○、
ロールに粘着しやすく安定してシートが得られなかった評価を△、
ロールに全ての樹脂が粘着しカレンダー成形不能の評価を×、
とし○〜◎を合格とした。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、透明性、衝撃強度およびカレンダー成形性に優れたゴム変性スチレン系樹脂組成物を提供することができる。
Claims (2)
- (I)スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体をゴム状弾性体の存在下に重合して得られるゴム変性スチレン系樹脂であって、ゴム状弾性体1〜15重量部、並びにスチレン系単量体単位35〜75重量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位25〜65重量%からなるスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系重合体85〜99重量部[但し合計量を100重量部とする]とからなり、かつスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる連続相にゴム状弾性体を主成分とする軟質成分の分散粒子が分散してなる該ゴム変性スチレン系樹脂100重量部に対し、(II)(A)ステアリン酸亜鉛0.1〜2重量部、(B)ペンタエリスリトール0.1〜2重量部、(C)ステアリン酸0重量部を超え1重量部以下、(D)アジピン酸ジオクチル0重量部を超え1重量部以下、(E)部分酸化の割合が1〜5重量%であるポリエチレンワックス0重量部を超え1重量部以下、[但し(A)〜(E)の合計量は、4重量部以下とする]を配合してなることを特徴とするゴム変性スチレン系樹脂組成物。
- 請求項1記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物をカレンダー成形してなることを特徴とするシート。
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