JP4204033B2 - 金属箔張積層板及びそれを用いてなる配線基板 - Google Patents

金属箔張積層板及びそれを用いてなる配線基板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子等の電子部品を搭載する配線基板に使用される、絶縁樹脂に金属を積層した積層板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピューター、携帯情報・通信端末に代表される電子機器において、これら電子機器に用いられる半導体素子と配線基板の電気的接続を行うためには、リードを介さずに直接実装する、いわゆるベアチップ実装が採用されるようになった。
しかしながら、半導体素子と配線基板の熱膨張係数が大きく異なるため、電子機器の稼動に伴う温度変化により、半導体素子と配線基板とを接続するハンダ接合部にクラックや剥離が生じ、導通不良となる場合がある。そこで、半導体素子の熱膨張係数に近付けた、低熱膨張の配線基板が求められている。
【0003】
配線基板を低熱膨張化する手段としては、配線基板のコア(芯材)や回路導体に、低熱膨張特性を有する鉄−ニッケル系合金箔を使用することが挙げられる。特に、鉄−36質量%ニッケル合金や鉄−42質量%ニッケル合金の熱膨張係数が概ね1〜5ppm/℃と、半導体素子であるシリコンの熱膨張係数の約3ppm/℃と同程度であり、これらの組成を有する鉄−ニッケル系合金箔の使用は有効である。
鉄−ニッケル系合金箔を配線基板に使用した例としては、熱膨張率の小さいパラ配向型芳香族ポリアミドフィルムと鉄−ニッケル系合金箔を、エポキシ系接着剤を介して積層したフレキシブルプリント配線基板がある(例えば、特許文献1参照)。ただし、鉄−ニッケル系合金は銅と比較して電気抵抗が高いため、回路導体としては不適な場合がある。この問題を解決する手段としては、鉄−ニッケル系合金の表面に銅層を設けた低熱膨張配線基板がある(例えば特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−97615号公報(第3−4頁)
【特許文献2】
特開平11−354684号公報(第7−8頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上述した従来例である配線基板を、多層配線基板のコア兼グランド層として用いることを検討した。その結果、電気抵抗を下げるためには鉄−ニッケル系合金箔表面に形成された銅層が厚いほど電気抵抗を下げる効果が得られる一方で、銅の熱膨張係数が約17ppm/℃と大きいため、配線基板の低熱膨張化が困難になることが判明した。
特に近年、配線基板の薄型・軽量化及び配線の高密度化により、コアに用いる鉄−ニッケル系合金箔は薄いものが要求され、その表面に過剰に銅層を設けることによる熱膨張係数の増大が問題となる。
【0006】
一方、電子機器の動作速度の高速化に伴い、扱われる信号の高周波化が目覚しいが、コアに用いる鉄−ニッケル系合金は強磁性材料であり、電気抵抗も通常の銅配線と比較すると高いという欠点もある。
本発明者らの検討によれば、例えば図5に示すような鉄−ニッケル系合金箔(1)と絶縁樹脂(4)とが積層された構造の金属箔張積層板(12)をコアとして、絶縁樹脂(4)の表面に銅からなる信号配線(7)を積層配置し、鉄−ニッケル系合金箔(1)をグランドとした配線基板(8)の場合では、例えば図6に示す一般的な配線基板と同様に銅製グランド(13)を使用した配線基板(14)と比較して、1GHzを超える周波数を持つ信号の伝送損失は4〜7倍と非常に大きくなることが判明した。
また、鉄−ニッケル系合金箔を銅で被覆することにより伝送損失が低減されるが、銅被覆が厚い場合、前述の熱膨張係数が増大する問題が生じ、逆に薄過ぎる場合は伝送損失が大きくなり、実用化困難であった。
本発明は上述の問題を鑑みてなされたもので、配線基板のコアとして使用することにより、配線基板を低熱膨張化しつつ、伝送特性も向上させる金属箔張積層板、及びそれを用いた軽量・薄型の配線基板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上述の問題に対して鋭意検討を行った結果、特定の厚さの銅で被覆した薄い鉄−ニッケル系合金箔と、特定の熱膨張係数を持つ絶縁樹脂を積層した金属箔張積層板をコアとすることで、軽量・薄型かつ平坦度に優れた配線基板が得られ、伝送特性を大きく改善できることを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は、厚さ5〜25μm、硬さがビッカース硬さで215以上280以下、質量%で、C:0.010%以下、Ni:27〜52%、残部はFe及び不純物の鉄−ニッケル系合金箔の少なくとも片面に銅層を被覆した銅被覆合金箔を、絶縁樹脂の少なくとも片面に積層した金属箔張積層板において、前記鉄−ニッケル系合金箔表面上に被覆した銅の厚さが片面あたり0.3μm以上かつ、鉄−ニッケル系合金箔表面上に被覆した銅の全厚さ/鉄−ニッケル系合金箔の全厚さで表される比が0.5以下であり、前記絶縁樹脂の30〜200℃の面方向の平均熱膨張係数が0〜10ppm/℃であることを特徴とする金属箔張積層板である。
また本発明は、鉄−ニッケル系合金箔の少なくとも片面に銅を被覆した銅被覆合金箔を少なくとも1層以上含む配線基板において、上述の金属箔張積層板を用いる配線基板である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明である金属箔張積層板の断面構造の一例を図1に模式図で示す。
金属箔張積層板(5)は、鉄−ニッケル系合金箔(1)の片面に銅(2)を被覆した銅被覆合金箔(3)と絶縁樹脂(4)を積層した構造を有する。
本発明の重要な特徴は、鉄−ニッケル系合金箔(1)に被覆した銅(2)の厚さを、片面あたり0.3μm以上かつ、鉄−ニッケル系合金箔表面上に被覆した銅の全厚さ/鉄−ニッケル系合金箔の全厚さで表される比を0.5以下にしたことにある。
本発明において、上述のような特定の厚みとする銅層を鉄−ニッケル系合金箔表面上に形成するのは、電気伝導性向上層として機能させる他に、伝送損失低減層といった機能も持たせるためである。以下に詳しく説明する。
【0009】
銅を被覆する理由の一つは、金属箔張積層板に求められる、優れた電気伝導性を確保する目的がある。より電気伝導性を付与させるためには、図2に示す鉄−ニッケル系合金箔(1)の両面に銅(2)を被覆した銅被覆合金箔(6)を使用した金属箔張積層板(9)としても良い。
コアとして例えば電源とグランドの2層配線が必要な場合は、図3に示す絶縁樹脂(4)の両面に銅被覆合金箔(3)を配置する形態が可能であり、金属箔張積層板(10)として積層の対称性が得られ、曲げ剛性も得られるため好ましい。より好ましくは図4に示すように、鉄−ニッケル系合金箔の両面に銅を被覆した銅被覆合金箔(6)を用いた金属箔張積層板(11)である。必要であれば、更に銅被覆合金箔と絶縁樹脂を多層に積層した金属箔張積層板も可能である。
【0010】
銅を被覆する更に重要な理由としては、信号配線における伝送損失の低減がある。本発明者らが鋭意検討した結果、本発明である金属箔張積層板(5)を用いて作製した配線基板(15)(図7)の伝送損失は、鉄−ニッケル系合金箔(1)を銅(2)で被覆することにより、銅製グランドを使用した配線基板と同等の伝送損失まで低減できることを見出した。
更に伝送損失を低減するために必要な銅(2)の厚さは、1GHzを超える高周波数では銅の厚みが薄過ぎると伝送損失を低減することはできない。そのため、本発明者等は上述の電器伝導性と伝送損失の両立可能な銅の厚みを検討した結果、銅の厚みが0.3μm未満であると、伝送損失を低減する効果が得られないため、本発明においては、銅の厚みを0.3μm以上と規定した。望ましくは0.5μm以上である。
なお、本発明においては鉄−ニッケル系合金箔表面上に被覆する銅は、片面の表面のみでも良いが、反りの発生が心配される場合は、両面に均等な厚みで被覆することが好ましい。
【0011】
しかし、被覆する銅が厚くなるほど、銅被覆合金箔(3)の熱膨張係数が増大し、金属箔張積層板及び配線基板の低熱膨張特性を維持することが困難になる。
そのため、低熱膨張特性を維持するには鉄−ニッケル系合金箔の厚みと、被覆する銅の厚みを適正にすることが重要である。本発明者らが検討した結果、鉄−ニッケル系合金箔表面上に被覆した銅の全厚さ/鉄−ニッケル系合金箔の全厚さで表される比を0.5以下とすることにより、半導体素子と配線基板の接続信頼性の向上が可能であるが、0.5を超えて銅の厚さを増すと、配線基板の熱膨張が大きく、半導体素子と配線基板の接続部が壊れることを見出した。従って、本発明では鉄−ニッケル系合金箔表面上に被覆した銅の全厚さ/鉄−ニッケル系合金箔の全厚さで表される比が0.5以下と規定した。望ましくは0.2以下である。
【0012】
次に、本発明で用いる鉄−ニッケル系合金箔に銅を被覆する方法は、電気めっき、無電解めっき等の湿式成膜法や、真空蒸着やスパッタリング等の乾式成膜法を用いれば良い。ここで乾式成膜法とは、物理蒸着や化学蒸着法など、気相やプラズマを利用した乾式の成膜方法全般のことである。更には、圧延銅箔または電解銅箔を用いて、鉄−ニッケル系合金箔と機械的に圧着しても良い。
【0013】
次に、本発明で用いる絶縁樹脂としては、その30〜200℃の面方向の平均熱膨張係数が0〜10ppm/℃であることが必要である。本発明の金属箔張積層板は、絶縁樹脂と銅被覆合金箔を150〜200℃程度に加熱したホットプレスや加熱ラミネートにより加熱圧着して得られる。
ここで、配線基板用絶縁材料として一般的に用いられているエポキシ、ポリイミド等の絶縁樹脂は、その面方向の平均熱膨張係数が15〜100ppm/℃と大きい。一方、本発明で使用する銅被覆合金箔は銅で被覆した鉄−ニッケル系合金箔であり、その熱膨張係数はおよそ10ppm/℃以下である。また、本発明で使用する鉄−ニッケル系合金箔の厚みは薄く、それ自身に平坦度を保つ曲げ剛性を発現させることは困難な場合がある。
【0014】
従って、このような熱膨張が大きい絶縁樹脂(16)と銅被覆合金箔(3)を加熱圧着して金属箔張積層板を製造した場合、その冷却過程において銅被覆合金箔より絶縁樹脂の収縮量が大きいため、図8に示すような反りが発生して実用化が困難となる。また、絶縁樹脂(16)両面に銅被覆合金箔(3)を配置した場合は、加熱圧着後は平坦で反りが見られないこともある。しかし、冷却過程での絶縁樹脂の収縮量が大きいことにより、絶縁樹脂には銅被覆合金箔からの引張応力が残留している。このような金属箔張積層板にコア用の配線をエッチングで形成すると、エッチアウト部(18)に図9に示す変形が生じ、新たに絶縁樹脂及び信号配線を積層形成するための平坦度が得られない場合がある。
以上の理由から、本発明で使用する絶縁樹脂の30〜200℃の面方向の平均熱膨張係数は0〜10ppm/℃と規定した。もし、絶縁樹脂の熱膨張係数が0ppm/℃より小さい、すなわち加熱収縮を示す絶縁樹脂や、10ppm/℃を超える絶縁樹脂では、上述した通り銅被覆合金箔との熱膨張差による反りが顕著になるためである。
【0015】
なお、本発明で言う面方向の平均熱膨張係数とは、シートあるいはフィルム状をなす絶縁樹脂の厚さ方向と直交する平面上において、ある温度範囲での任意の一軸方向の熱膨張率(伸び率)を、その温度差で除した値である。なお具体的には、例えばシートあるいはフィルム状の絶縁樹脂から平行な対辺を持つ長方形を切り出して、その対辺が底面を成すよう筒状に丸めて円柱型試料を作製し、熱機械分析装置の検出棒を介して円柱型試料の対向する底面に圧縮荷重を加えながら昇温し、検出棒の移動量により試料の熱膨張量(伸び)を測定することにより、上述の平均熱膨張係数が求められる。
また、本発明で規定する特性を持つ絶縁樹脂として具体的な一例を挙げておくと、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、芳香族ポリエステル等からなる液晶ポリマーを用いて、それらの液晶構造を等方的に配向させたフィルムが挙げられる。また、これらの低熱膨張樹脂をフィラー状(粒状または短繊維状)に加工し、エポキシ等の樹脂に混合してその熱膨張を抑制した絶縁樹脂でも良く、本発明は絶縁樹脂の成分により特に制限されるものではない。
【0016】
これらの絶縁樹脂と銅被覆合金箔(鉄−ニッケル系合金箔表面または銅表面)との接着力が不足する場合は、極性の強い官能基を持つ接着性樹脂を、銅被覆合金箔と絶縁樹脂の間に接着層として設けても良い。また、紫外線照射やシランカップリング処理等の表面改質処理を行って、絶縁樹脂の接着力を高めても良い。ただしいずれの場合も、接着層及び表面改質層を含めた絶縁樹脂の平均熱膨張係数が、本発明で規定した範囲から外れないことが重要である。
【0017】
本発明に用いる鉄−ニッケル系合金箔の組成を具体的に示すと、C:0.010%以下、Ni:27〜52%、残部はFe及び不純物である。この合金は、30〜200℃の平均熱膨張係数が10ppm/℃以下であり、金属箔張積層材及び配線基板の低熱膨張化に大変有用である。
【0018】
鉄−ニッケル系合金箔の厚さが薄いほど、エッチングにより微細な配線パターンが形成できる。また、コアにスルーホールを加工する場合、ドリルキリやレーザ等の一般的な方法を使用できる利点がある。しかし薄すぎると、鉄−ニッケル系合金箔の圧延中に折れ、シワの欠陥や、介在物の脱落によるピンホールが発生し、製造困難となる。従って、本発明の鉄−ニッケル系合金箔の厚さとしては5〜25μmである。より好ましくは、10〜20μmである。
【0019】
このように薄い金属は、絶縁樹脂との加熱圧着工程や配線形成のエッチング工程における搬送及び作業中に、僅かな外力による折れやシワ等の欠陥が非常に生じ易い。そこで本発明に用いる鉄−ニッケル系合金箔はある程度の剛性を有していることが必要である。その硬さとしては、ビッカース硬さで215以上280以下である。過度の焼鈍によりビッカース硬さが215より低い場合は、欠陥発生率が非常に高くなる。ビッカース硬さが280より高い場合は、ドリルキリ等の加工工具の寿命が短くなり好ましくない
【0020】
本発明で用いる鉄−ニッケル系合金箔は、電源やグランド用配線をエッチング加工される場合がある。よって、エッチング速度が大きく、板厚方向に真直ぐな形状で加工されるものが好ましい。具体的には、炭素量を0.010質量%以下の鉄−ニッケル系合金が好ましい。より好ましくは0.005質量%以下である。
また、鉄−ニッケル系合金中に介在物が多く存在すると、エッチング加工中、介在物が脱落して配線が欠けたり、孔食の起点となったりする危険性がある。よって、介在物が少ないものが好ましい。具体的には、鏡面研磨した鉄−ニッケル系合金の断面を、10体積%の硝酸を含むアルコール溶液で腐食し、光学顕微鏡で1000倍に拡大観察した場合、介在物の面積率が0.5%以下の鉄−ニッケル系合金が好ましい。さらに好ましくは、0.3%以下である。
【0021】
上述した本発明である金属箔張積層板をコアとして用いて、低熱膨張かつ軽量・薄型で、伝送特性に優れた配線基板を製造可能である。例えば図7に示したように、絶縁樹脂(4)の表面に銅からなる信号配線(7)を積層配置し、銅被覆合金箔(3)をグランドとして使用可能な配線基板が得られる。また図10に示すように、金属箔張積層板(17)の銅被覆合金箔(3)側に新たな絶縁樹脂(4)と信号配線(7)を設けて配線基板を製造することも可能である。
ただし、前述した伝送損失を低減させるために、信号配線(7)と対向する鉄−ニッケル系合金箔(1)の面が銅(2)で被覆されている必要がある。どちらの場合にも対応可能な、図2に示した金属箔張積層板(9)の使用が好ましく、さらに図11に示す配線基板の構造も可能である。
【0022】
コアとして例えば電源とグランドの2層配線が必要な場合は、図3及び図4に示した金属箔張積層板をコアとして、その片面または両面に新たな絶縁樹脂(4)と信号配線(7)を設けて、図12〜図15に示す配線基板を製造することが可能である。配線基板として積層の対称性が得られ、平坦度が安定して確保できるため、両面に信号配線を配置する図14、図15の構造がより好ましい。
【0023】
本発明である金属箔張積層板は、銅により被覆された鉄−ニッケル系合金箔からなる銅被覆合金箔の電気伝導度や磁性等の物性、及び信号の伝送損失や伝播速度等の信号特性に問題が無ければ、低熱膨張の配線基板として単独での使用が可能である。例えば、図1、図2では片面配線基板、図3、図4では両面配線基板として使用可能である。
【0024】
【実施例】
(実施例1)
冷間圧延及び焼鈍により、厚さ25μmの鉄−42質量%ニッケル合金箔を作製した。最終冷間圧延後の焼鈍は、400℃の水素還元性雰囲気中、5分間の保持で行った。この鉄−42質量%ニッケル合金箔について、ビッカース硬さ、化学成分、介在物の面積率を調査した結果を、表1に示す。
介在物の面積率は、圧延方向と平行な断面を鏡面研磨し、10体積%の硝酸を含むアルコール溶液で腐食後、光学顕微鏡で1000倍に拡大した0.1mm×0.08mmの視野において、画像解析を用いて行った。
【0025】
【表1】
Figure 0004204033
【0026】
次に、前述の厚さ25μmの鉄−42質量%ニッケル合金箔の片面に、厚さ0.3μm、0.5μm、及び2.0μmの電気銅めっきを施し、銅被覆合金箔を準備した。また、厚さ12μmのPPTA(ポリパラフェニレンテレフタルアミド)フィルムの両面に、エポキシ系接着剤のワニスを厚さ10μmずつ塗工及び乾燥した絶縁樹脂を準備した。
この絶縁樹脂を200℃で1時間硬化させた後、熱機械試験機(真空理工社製TM−7000)を用いて、30〜200℃の面方向の平均熱膨張係数を測定した値は、8.3ppm/℃であった。
前記銅被覆合金箔の電気銅めっき面側に絶縁樹脂を積層し、真空プレスにより両者を加熱圧着し、金属箔張積層板(図1)を作製した。目視で確認したところ、平坦度は良好であった。
次に、絶縁樹脂表面に無電解銅めっき及び電気銅めっきを行い、厚さ12μmの銅層を形成した。その後、塩化第二鉄溶液により銅層をエッチングして直線の信号配線を複数加工し、銅被覆合金箔をグランドとする2層配線基板(図7)を得た。上記製造工程中、鉄−42質量%ニッケル合金箔に折れやシワの欠陥は発生しなかった。
【0027】
(実施例2)
実施例1で用いた厚さ25μmの鉄−42質量%ニッケル合金箔の両面に、片面あたり厚さ1μm、5μm、6μmずつ電気銅めっきを施した銅被覆合金箔を準備した。また、実施例1で使用した絶縁樹脂を準備した。
絶縁樹脂の両面に銅被覆合金箔を積層し、真空プレスにより加熱圧着し、金属箔張積層板(図4)を作製した。目視で確認したところ、平坦度は良好であった。
次に、金属箔張積層板をコア層として、その両面に厚さ45μmのエポキシ系絶縁樹脂を積層し、真空プレスにより加熱圧着した。絶縁樹脂表面に無電解銅めっき及び電気銅めっきを行い、厚さ12μmの銅層を形成した。その後、塩化第二鉄溶液により両面の銅層をエッチングして、格子点状に配置された直径150μmの複数の円形パッドが、幅75μmの配線で結ばれている配線パターンを形成し、銅被覆合金箔をグランドとする4層配線基板(図15)を得た。
【0028】
(比較例1)
鉄−42質量%ニッケル合金箔に電気銅めっきを行わないこと以外は、実施例1と同様に金属箔張積層板を作製し、鉄−42質量%ニッケル合金箔単体をグランドとする2層配線基板(図5)を得た。
【0029】
(比較例2)
銅被覆合金箔の代りに厚さ25μmの電解銅を用いる以外は、実施例1と同様に金属箔張積層板を作製し、電解銅をグランドとする2層配線基板(図6)を得た。
【0030】
(比較例3)
鉄−42質量%ニッケル合金箔の片面に、厚さ0.13μm、0.23μm、及び14.0μmの電気銅めっきを施す以外は、実施例1と同様に金属箔張積層板を作製し、銅被覆合金箔をグランドとする2層配線基板を得た。
【0031】
(比較例4)
冷間圧延及び焼鈍により、厚さ25μmの鉄−42質量%ニッケル合金箔を作製した。最終冷間圧延後の焼鈍は、750℃の水素還元性雰囲気中、5分間の保持で行った。この鉄−42質量%ニッケル合金箔の硬さは、ビッカース硬さで112であった。次に、この鉄−42質量%ニッケル合金箔の片面に、厚さ0.3μmの電気銅めっきを施した銅被覆合金箔を準備した。
次に、厚さ25μmの熱融着型ポリイミドを絶縁樹脂として準備し、前記銅被覆合金箔の電気銅めっき面側に絶縁樹脂を積層し、真空プレスにより両者を加熱圧着し、金属箔張積層板を作製した。前述の熱機械試験機を用いて、絶縁樹脂単体の30〜200℃の面方向の平均熱膨張係数を測定した値は、18.8ppm/℃であった。加熱圧着後、絶縁樹脂を内側とした曲率半径約10mmの反りが発生したため、以降の配線基板作製工程を中止した。なお、電気銅めっき用支持枠に合金箔を固定する際、くさび型の折れが多発し、めっき後の銅被覆合金箔表面にも残存したことを確認した。
【0032】
(比較例5)
鉄−42質量%ニッケル合金箔の両面に、片面あたり厚さ8μm、10μm、及び20μmの電気銅めっきを施す以外は、実施例2と同様に金属箔張積層板を作製し、銅被覆合金箔をグランドとする4層配線基板を得た。
【0033】
(比較例6)
銅被覆合金箔の代りに厚さ25μmの電解銅を用いる以外は、実施例2と同様に金属箔張積層板を作製し、電解銅をグランドとする4層配線基板を得た。
【0034】
実施例1及び比較例1〜3で作製した配線基板について、前述の熱機械試験機を用いて、その30〜200℃の面方向の平均熱膨張係数を測定した。また、各基板における高周波信号の伝送損失を測定した。測定方法は、ネットワークアナライザ(Agilent社製8719ES)を用いて、各配線基板の銅被覆合金箔(銅めっきした鉄−42質量%ニッケル合金箔)、鉄−42質量%ニッケル合金箔、または電解銅をグランドに結線し、配線基板表面の信号配線に100MHz〜10GHzの信号を送信し、信号配線の単位長さあたりの損失(dB/m)を測定した。なお、同装置を用いて信号配線のインピーダンスを測定した結果、約50Ωであった。以上、測定した結果を表2に纏めて示す。
【0035】
【表2】
Figure 0004204033
【0036】
表2に示したように、本発明である金属箔張積層板を用いた配線基板(試料No.4〜6及びNo.9)の熱膨張係数は、銅製グランドを用いた配線基板(試料No.8)と比較して小さく、半導体素子の熱膨張係数と近似しているため、ベアチップ実装時の接続信頼性に優れた配線基板であることが分かる。さらに、伝送損失は銅製グランドを用いた場合と同等のレベルまで低減されており、高周波用途の配線基板としての使用も可能である。
また、実施例1及び実施例2においては、金属箔積層板及び配線基板の製造工程中、鉄−ニッケル系合金箔の折れやシワによる不良率が皆無で、絶縁樹脂との積層後も反りが軽微であり、本発明の金属箔張積層板及び配線基板は、量産性及び平坦性に非常に優れていることが確認された。
【0037】
次に、実施例2及び比較例5、6で作製した4層配線基板について、前述の熱機械試験機を用いて、その30〜200℃の面方向の平均熱膨張係数を測定した。また、厚さ150μmのダミーチップ表面に、はんだペーストを用いて形成した高さ80μmのバンプを介して、ダミーチップと4層配線基板表面の円形パッドを接続した。その後、バンプの導通検査を行った結果、全ての4層配線基板において抵抗値の異常は見られなかった。続いて、温度サイクルテスト(1サイクル:−60℃〜室温〜160℃〜室温)を1000サイクル行い、前述のバンプの導通検査を行った。検査結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
Figure 0004204033
【0039】
表3に示したように、本発明である金属箔張積層板を用いた4層配線基板(試料No.9〜11)は、温度サイクルテスト後も抵抗値の上昇は見られず、導通検査合格率は100%であった。一方、銅被覆が厚い4層配線基板(試料No.12〜14)及び電解銅をコア層に用いた4層配線基板(試料No.15)は、抵抗値が異常に高くなる導通不良が発生していた。
以上の結果から、本発明である金属箔張積層板を用いることにより、半導体素子との接続信頼性に非常に優れた配線基板を得ることが可能である。
【0040】
【発明の効果】
本発明の金属箔張積層板を配線基板のコアとして用いることにより、配線基板を低熱膨張化しつつ、信号の伝送損失を飛躍的に低減することが可能であり、かつ量産性、平坦性に優れていることから、高周波用途でのベアチップ実装用基板の実用化にとって、欠くことのできない技術となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明である金属箔張積層板の一例を示す断面模式図である。
【図2】本発明である金属箔張積層板の一例を示す断面模式図である。
【図3】本発明である金属箔張積層板の一例を示す断面模式図である。
【図4】本発明である金属箔張積層板の一例を示す断面模式図である。
【図5】銅被覆のない鉄−ニッケル系合金箔を用いた金属箔張積層板をコアとした配線基板を示す断面模式図である。
【図6】銅を用いた金属箔張積層板をコアとした配線基板を示す断面模式図である。
【図7】本発明である金属箔張積層板をコアとした配線基板を示す断面模式図である。
【図8】金属箔張積層板に発生した反りを示す断面模式図である。
【図9】金属箔張積層板のエッチアウト後に発生した反りを示す断面模式図である。
【図10】本発明である金属箔張積層板をコアとした配線基板を示す断面模式図である。
【図11】本発明である金属箔張積層板をコアとした配線基板を示す断面模式図である。
【図12】本発明である金属箔張積層板をコアとした配線基板を示す断面模式図である。
【図13】本発明である金属箔張積層板をコアとした配線基板を示す断面模式図である。
【図14】本発明である金属箔張積層板をコアとした配線基板を示す断面模式図である。
【図15】本発明である金属箔張積層板をコアとした配線基板を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1.鉄−ニッケル系合金箔、2.銅、3.銅被覆合金箔、4.絶縁樹脂、5.金属箔張積層板、6.銅被覆合金箔、7.信号配線、8.配線基板、9.金属箔張積層板、10.金属箔張積層板、11.金属箔張積層板、12.金属箔張積層板、13.銅製グランド、14.配線基板、15.配線基板、16.絶縁樹脂、17.金属箔張積層板、18.エッチアウト部

Claims (2)

  1. 厚さ5〜25μm、硬さがビッカース硬さで215以上280以下、質量%で、C:0.010%以下、Ni:27〜52%、残部はFe及び不純物の鉄−ニッケル系合金箔の少なくとも片面に銅層を被覆した銅被覆合金箔を、絶縁樹脂の少なくとも片面に積層した金属箔張積層板において、前記鉄−ニッケル系合金箔表面上に被覆した銅の厚さが片面あたり0.3μm以上かつ、鉄−ニッケル系合金箔表面上に被覆した銅の全厚さ/鉄−ニッケル系合金箔の全厚さで表される比が0.5以下であり、前記絶縁樹脂の30〜200℃の面方向の平均熱膨張係数が0〜10ppm/℃であることを特徴とする金属箔張積層板。
  2. 鉄−ニッケル系合金箔の少なくとも片面に銅を被覆した銅被覆合金箔を少なくとも1層以上含む配線基板において、請求項1に記載の金属箔張積層板を用いることを特徴とする配線基板。
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