JP4203791B2 - 撮像装置、色調整装置及び色調整方法 - Google Patents

撮像装置、色調整装置及び色調整方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は撮像装置、色調整装置及び色調整方法に関し、例えばディジタル化されたカラー画像信号に色加工処理を施すディジタルカメラに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の飛躍的なディジタルカメラの普及に伴い、ユーザがディジタル画像をパーソナルコンピュータ等を用いて取り扱う機会が増加しており、ディジタル画像の高画質化が要求されている。かかる高画質化の要求は、ユーザのよって好みが異なり、なるべく忠実に色再現することを期待するユーザもいれば、自分好みの色を再現することを期待するユーザも多い。
【0003】
この種の一般的なディジタルカメラには、露光状態を最適な状態に自動調整する自動露光調整機能(AE:Automatic Exposure)や、ホワイトバランスを最適な状態に自動調整する自動追尾型ホワイトバランス調整機能(ATW:Automatic Tracing White Balance)、及び画像のコントラストを最適な状態に自動調整する自動コントラスト調整機能(AK:Automatic Knee)などの自動調整機能が搭載されている。
【0004】
通常このようなディジタルカメラに搭載された各種の自動調整機能は、製造メーカごとに独自の設定があり、全てのユーザが満足する画質を得るようになされてはいない。このため自動調整機能のみならずユーザのマニュアル操作により各種機能の設定レベルを所望状態に調整するようになされたものも多く、またポートレートモードや風景モード等の複数種類の撮影モードのうちから任意の撮影モードを選択設定するようになされたものも多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ユーザが所望する画質は千差万別であり、例えば人間の顔色を好みの色で再現させたいと思うユーザもいれば、任意の色について彩度のみを高めに設定したいと思うユーザもいるのであるが、上述のような各種調整機能のうち色調整に関する機能については、輝度方向に対してのみユーザがマニュアル操作で自由に調整するようになされたものが大部分である。
【0006】
彩度方向及び色相方向に対しては、例えば、撮影した画像が適正露出か否かを確認するために、いわゆる白とび(ダイナミックレンジの上限を越えた飽和状態)が発生したときにその部分を点滅させて警告を発する機能を搭載したものも存在するが、警告の機能についてもデバイスの色域に対して行うものでもないため、実際にユーザのマニュアル操作で自由に彩度方向及び色相方向に調整するようになされたものはほとんど見当たらない。
【0007】
実際にこのような彩度補正や色相補正をディジタルカメラの内部処理で行う場合には、液晶モニタ上に画像の統計的な性質を表示する必要があり、かかる統計的な性質を画面表示した状態でユーザによるマニュアル操作に導く機能を設定するのは実用的ではなく、ユーザにとって操作が煩雑となるおそれがある。
【0008】
仮にディジタルカメラで撮影した画像を、ディスプレイ上に表示させてプリンタを用いてプリントアウトさせることが多い。その際、プリンタ等の出力デバイスの色域外のデータは、通常クリッピングされていしまい、それが色つぶれとなって現れてしまうことも多い。
【0009】
特にディジタルカメラの画質調整機能において彩度を比較的高めに設定している機種においては、それが顕著となって現れる。従って、撮影する際には、画像を出力するデバイスの色域情報を予め確認できるほうが良い再現性が得られることも多いが、かかる確認手法は未だ実現されていない。
【0010】
近年では、ディジタルカメラにより撮影された画像データに対する階調変換処理や色補正処理に関して、処理条件をそれぞれカスタマイズするメニューを作成しておき、設定内容について種々の名前を付けて選択可能としておくようにして、ユーザがメニュー選択により色階調をマニュアル設定できるようにした画像処理方法が提案されている。
(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−16874公報(第5頁及び第6頁、図1及び図3)
【0012】
しかし、かかる画像処理方法では、単なる色階調の補正のみをユーザのマニュアル操作で行い得るのであって、彩度調整や色相調整については全く述べられていないため、ユーザが自己のマニュアル操作で彩度調整や色相調整を行うのは未だ困難であった。さらには撮像結果として得られる画像データのうちユーザが所望する特定色の領域のみに対して、彩度調整や色相調整を自由に行うことは非常に困難であった。
【0013】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、ユーザの操作に応じた色調整の自由度を格段と向上し得る撮像装置、色調整装置及び色調整方法を提案しようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、被写体を撮像する撮像手段と、撮像されたデジタル撮像信号を輝度信号、赤信号、緑信号及び青信号に分離する分離手段と、輝度信号、赤信号、緑信号及び青信号に対して所定の行列演算式を用いることにより色差輝度信号、青色差信号及び赤色差信号を生成する色情報生成手段と、色差輝度信号、青色差信号及び赤色差信号を用いて表される肌色、空色及び芝草色を示す特定色に対する彩度及び色相の範囲を色差輝度信号と青色差信号と赤色差信号とにより表すYCbCr色空間で設定する色空間設定手段と、ユーザの操作に応じてYCbCr色空間における特定色領域としての肌色領域、空色領域及び芝草色領域の中から1つの特定色領域を選択する特定色選択手段と、選択された選択特定色領域における平均輝度に対する入力輝度の距離をマハラノビス距離算出手法により求め、求めた距離に応じて特定領域における入力輝度に対する補正値を算出する輝度補正値算出手段と、選択特定色領域の入力彩度値に対する平均彩度値において最大補正量になるように補正値を設定する彩度補正値設定手段と、選択特定色領域において入力色相値の平均値を中心として、中心から入力色相値が最小となる範囲で最大の補正量とし、中心から入力色相が最大となる範囲で最小の補正量とする色相補正曲線に基づいて色相値を設定する色相補正値設定手段と、輝度補正値算出手段、上記彩度値補正手段及び色相値補正手段を用いて、ユーザの操作に応じて選択された肌色領域、空色領域及び芝草色領域それぞれについて輝度値補正、彩度値補正及び色相値補正を行う特定色補正手段とを設けるようにした。
【0015】
この結果この撮像装置では、ユーザは自己のマニュアル操作で、撮影結果として得られる画像データに基づく画像のうち所望する特定色の領域のみについて、輝度、彩度及び色相を所望するレベルに自由に調整することができる。
【0016】
また本発明においては、撮像されたデジタル撮像信号を輝度信号、赤信号、緑信号及び青信号に分離する分離手段と、輝度信号、赤信号、緑信号及び青信号に対して所定の行列演算式を用いることにより色差輝度信号、青色差信号及び赤色差信号を生成する色情報生成手段と、色差輝度信号、青色差信号及び赤色差信号を用いて表される肌色、空色及び芝草色を示す特定色に対する彩度及び色相の範囲を色差輝度信号と青色差信号と赤色差信号とにより表すYCbCr色空間で設定する色空間設定手段と、ユーザの操作に応じてYCbCr色空間における特定色領域としての肌色領域、空色領域及び芝草色領域の中から1つの特定色領域を選択する特定色選択手段と、選択された選択特定色領域における平均輝度に対する入力輝度の距離をマハラノビス距離算出手法により求め、求めた距離に応じて特定領域における入力輝度に対する補正値を算出する輝度補正値算出手段と、選択特定色領域の入力彩度値に対する平均彩度値において最大補正量になるように補正値を設定する彩度補正値設定手段と、選択特定色領域において入力色相値の平均値を中心として、中心から入力色相値が最小となる範囲で最大の補正量とし、中心から入力色相が最大となる範囲で最小の補正量とする色相補正曲線に基づいて色相値を設定する色相補正値設定手段と、輝度補正値算出手段、彩度値補正手段及び色相値補正手段を用いて、ユーザの操作に応じて選択された肌色領域、空色領域及び芝草色領域それぞれについて輝度値補正、彩度値補正及び色相値補正を行う特定色補正手段とを設けるようにした。
【0017】
この結果この色調整装置では、ユーザは自己のマニュアル操作で、供給される画像データに基づく画像のうち所望する特定色の領域のみについて、輝度、彩度及び色相を所望するレベルに自由に調整することができる。
【0018】
さらに本発明においては、撮像されたデジタル撮像信号を輝度信号、赤信号、緑信号及び青信号に分離し、輝度信号、赤信号、緑信号及び青信号に対して所定の行列演算式を用いることにより色差輝度信号、青色差信号及び赤色差信号を生成し、色差輝度信号、青色差信号及び赤色差信号を用いて表される肌色、空色及び芝草色を示す特定色に対する彩度及び色相の範囲を色差輝度信号と青色差信号と赤色差信号とにより表すYCbCr色空間で設定し、ユーザの操作に応じてYCbCr色空間における特定色領域としての肌色領域、空色領域及び芝草色領域の中から1つの特定色領域を選択し、選択された選択特定色領域における平均輝度に対する入力輝度の距離をマハラノビス距離算出手法により求め、求めた距離に応じて特定領域における入力輝度に対する補正値を算出し、選択特定色領域の入力彩度値に対する平均彩度値において最大補正量になるように補正値を設定し、選択特定色領域において入力色相値の平均値を中心として、中心から入力色相値が最小となる範囲で最大の補正量とし、中心から入力色相が最大となる範囲で最小の補正量とする色相補正曲線に基づいて色相値を設定し、上記ユーザの操作に応じて選択された肌色領域、空色領域及び芝草色領域それぞれについて輝度値補正、彩度値補正及び色相値補正を行うようにした。
【0019】
この結果この色調整方法では、ユーザは自己のマニュアル操作で、供給される画像データに基づく画像のうち所望する特定色の領域のみについて、輝度、彩度及び色相を所望するレベルに自由に調整することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0021】
(1)ディジタルカメラの全体構成
図1において、1は全体としてディジタルカメラを示し、投影レンズ2を介して入射した撮像光L1をCCD(Charge Coupled Divice :電荷結合素子)3の撮像面において光電変換することにより撮像信号S1を得、これをCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング回路)及びAGC(Auto Gain Control :自動利得制御回路)部4に送出する。
【0022】
CDS及びAGC部4は、撮像信号S1にリセツト雑音が発生する期間においてその信号レベルを所定電位でクランプすることによつて雑音成分を低減すると共に、当該撮像信号S1の振幅を自動的に調整して出力を所定値に制御することによつてコントラストの変動を防止する。このようにして得られた撮像信号S2は続くアナログ/ディジタル変換(A/D)部5に送出され、ディジタル撮像信号S3に変換された後、信号処理部6に送出される。
【0023】
信号処理部6は、ディジタル撮像信号S3に対してY/C分離、ホワイトバランス調整処理及びγ(ガンマ)補正等を施した後、これをマトリクス処理によつてビデオ信号S4に変換し、これをメモリコントローラ7に送出する。
【0024】
メモリコントローラ7は、CPU8の制御下において、通常の被写体確認時(すわなち動画撮影時)には、ビデオ信号S4をフレーム単位で表示用メモリ9に順次書き込むと共に、ビデオエンコーダ10を介して所定方式(例えばNTSC(National Television System Committee)方式等)のコンポジット信号S5に変換した後、これをLCD11及び外部接続端子12に送出する。
【0025】
これによりLCD11の表示画面11Aにコンポジット信号S5に基づく動画像が表示されると共に、外部接続端子12に例えばパーソナルコンピュータやビデオモニタ等(図示せず)が接続されている場合には、当該外部接続端子12を介して供給されたコンポジット信号S5に基づく動画像が表示される。
【0026】
またCPU8には、動作プログラムや各定数が記憶されているROM(Read Only Memory)と、プログラムの実行時の作業領域となると共に画像を記録することが可能なRAM(Random Access Memory)とから構成されたシステムメモリ13と、ディジタルカメラ1の動作に関する各種定数や各種情報を電源遮断時にも記憶し続けることができる不揮発性メモリからなるストレージャ(Storager)14とがバス15を介して接続され、これらのメモリ13、14に対して各種データを必要に応じて記録再生し得るようになされている。
【0027】
ここでユーザが操作部16のうちのシャッタボタン(図示せず)を押圧操作したとき(すなわち静止画撮影時)には、CPU8からバス15を介して記録指令信号S10がメモリコントローラ7に送出され、これによりメモリコントローラ7は、表示用メモリ9にビデオ信号S4を書き込みながら当該ビデオ信号S4に基づく複数のフレーム画像の中からシャッタ時に撮影したフレーム画像を読み出した後、バス15を介してデータ圧縮伸長部17に送出する。
【0028】
このデータ圧縮伸長部17は、表示用メモリ9から読み出されたフレーム画像に対してJPEG(Joint Photographic Experts Groupe )規格に基づく圧縮符号化処理を行うことにより、画像情報が圧縮されたフレーム画像を得る。かくして得られた圧縮フレーム画像は、CPU8の制御に応じて、カードI/F18を介してメモリカードスロット19に挿入されているメモリカード20に書き込まれるようになされている。
【0029】
ここでユーザが操作部16のうちのモード切換スイッチ(図示せず)を操作して撮影モードから再生モードに切り換えると、CPU8はOSD(On Screen Display )21に読出指令信号S11を送出して、当該OSD21に予め記録されている再生モードの設定メニュー(以下、これを再生メニューと呼ぶ)を表す文字パターン(例えば「インデックス」や「プリント」等)を読み出させた後、ビデオエンコーダ10を介してLCD11の表示画面11Aに重畳表示させる。
【0030】
次いでユーザによる操作部16のうちの十字キー(図示せず)の操作に応じて再生メニューの中から「インデックス」表示が選択設定されると、CPU8は、カードI/F18及びメモリスロット19を介してメモリカード20に選択設定信号S12を送出して、当該メモリカード20に書き込まれている複数の圧縮フレーム画像の中からユーザが選択した所定数(例えば6枚)の圧縮フレーム画像を読み出して、これらをバス15を介してデータ圧縮伸長部17に送出する。
【0031】
データ圧縮伸長部17は、CPU8の制御に応じて、与えられた所定数の圧縮フレーム画像に対してそれぞれ伸長復号処理を行って元のフレーム画像に復元した後、これらをバス15を介してシステムメモリ13に一旦書き込むと共に、メモリコントローラ7に送出する。
【0032】
メモリコントローラ7は、CPU8の制御のもとで所定数のフレーム画像をそれぞれ所定倍率に縮小した後、これらをインデックス画像として表示用メモリ9に書き込むと共に、ビデオエンコーダ10を介してLCD11の表示画面11Aに表示させる。
【0033】
このようにLCD11の表示画面11Aに表示された所定数のインデックス画像の中からユーザによる操作部13のうちの十字キー(図示せず)の操作に応じて所望のインデックス画像が選択されると、CPU8はシステムメモリ13から当該インデックス画像に対応する元のフレーム画像を読み出してメモリコントローラ7に送出する。メモリコントローラ7は、フレーム画像をそのまま表示用メモリ9に書き込むと共に、ビデオエンコーダ10を介してLCD11の表示画面に表示する。
【0034】
因みにOSD21には、再生メニューを表す文字パターンの他に、保存又はキャンセルを表す文字パターンや、種々の大きさ及び形状を有する複数の画枠パターンが予め記録されており、上述と同様にユーザの操作に応じてCPU8から読出指令信号S11が与えられると、OSD21は当該読出指令信号S11に基づく文字パターン又は画枠パターンを読み出してLCD11の表示画面に重畳表示する。
【0035】
一方、OSD21は、文字パターン又は画枠パターンがLCD11の表示画面のどの位置に表示されているかを表す表示位置信号S13をCPU8に送出する。これによりCPU8は、表示位置信号S13に基づいて現在LCD11の表示画面に表示されている文字パターン又は画枠パターンが当該表示画面のどの位置に表示されているかを常時判断することができる。
【0036】
(2)信号処理部6における信号処理
上述の信号処理部6(図1)は、ディジタル撮像信号S3に対してY/C分離処理を行うことにより、当該ディジタル撮像信号S3に基づいて輝度信号Y及び線形のRGB信号(赤色信号Rin、緑色信号Gin及び青色信号Bin)を生成する。
【0037】
そして信号処理部6は、このうちRGB色信号(各原色信号)について、1フレーム画像の全画素又は適当にサンプリングした画素において各原色信号Rin、Gin、Binごとにそれぞれ平均値を算出した後、得られた赤色信号Rave、緑色信号Gave及び青色信号Baveに基づく補正係数を元の各原色信号Rin、Gin、Binにかけることによってホワイトバランス調整を行う。
【0038】
すなわちホワイトバランス調整は、緑色信号の平均値Gaveに対する赤色信号Raveの平均値の比(Gave/Rave)と、緑色信号Gaveの平均値に対する青色信号Baveの平均値の比(Gave/Bave)とが常に次式、
【0039】
【数1】
Figure 0004203791
【0040】
を満足するようにホワイトバランスアンプのゲインを制御することにより行われる。
【0041】
続いて信号処理部6は、当該ホワイトバランス調整処理を行ったRGB色信号でなる各原色信号Rwb、Gwb、Bwbにγ補正を施して、非線形のRGB色信号でなる各原色信号R´、G´、B´に変換する。
【0042】
具体的には、各原色信号Rwb、Gwb、Bwbが0.0031308以上の値のときには、γ補正後の各原色信号R´、G´、B´は、それぞれ次式
【0043】
【数2】
Figure 0004203791
【0044】
のような値をとり、また各原色信号Rwb、Gwb、Bwbが0.0031308より小さい値でかつ−0.0031308より大きい値のときには、γ補正後の各原色信号R´、G´、B´は、それぞれ次式
【0045】
【数3】
Figure 0004203791
【0046】
のような値をとり、さらに各原色信号Rwb、Gwb、Bwbが−0.0031308以下の値のときには、γ補正後の各原色信号R´、G´、B´は、それぞれ次式
【0047】
【数4】
Figure 0004203791
【0048】
のような値をとる。
【0049】
さらに信号処理部6は、γ補正後の非線形の各原色信号R´、G´、B´に基づいて、次式
【0050】
【数5】
Figure 0004203791
【0051】
に示すようなマトリクス処理を行うことにより、輝度信号Y´及び色差信号Cb´、Cr´からなるビデオ信号S4を生成する。
【0052】
(3)フレーム画像全体に対する彩度調整及び色相調整
このディジタルカメラ1では、信号処理部6は、CPU8の制御の下、ユーザの操作により、生成したビデオ信号S4に基づくフレーム画像に対して彩度方向及び又は色相方向の調整を、指定されたレベルで行い得るようになされている。
【0053】
すなわち信号処理部6は、ビデオ信号S4を構成する色差信号Cb´、Cr´に対して、ユーザにより指定されたパラメータ係数k(kは正の数)を乗算することにより、当該パラメータ係数kに対応する彩度レベルで、次式
【0054】
【数6】
Figure 0004203791
【0055】
に示すような色差信号Cb″、Cr″に変換する。かかるパラメータ係数kは、予め複数種類の異なる値が設定されており、ユーザが所望する値に自由に選択し得るようになされている。
【0056】
例えば、図2(A)に示すように、LCD11の表示画面11Aに表示された複数項目が列挙されたメニューバーMB1の中から「エフェクト」が選択され、続いて当該「エフェクト」を展開して表示される「輝度調整」、「彩度調整」及び「色相調整」等を表すメニューMB2(図2(B))の中から「彩度調整」が選択されると、当該「彩度調整」に応じた彩度調整画面MB3(図2(C))がGUI(Graphical User Interface)表示される。
【0057】
この彩度調整画面MB3は、上から順次「+」、「標準」及び「−」と表示されており、ユーザの操作により「標準」が選択されると予め設定されたデフォルト値に彩度レベルが決定され、「+」又は「−」が選択されると当該選択回数に比例して彩度レベルが上昇又は下降するようになされている。
【0058】
これに加えて、信号処理部6は、ビデオ信号S4を構成する色差信号Cb´、Cr´に対して、ユーザにより指定されたパラメータθ(θは角度)を設定して、次式
【0059】
【数7】
Figure 0004203791
【0060】
に示すような回転行列式を求めることにより、当該パラメータθに対応する色相でなる色差信号Cb″、Cr″に変換する。かかるパラメータθは、いわゆる色相環として割り当てられた色相群にそれぞれ対応する角度を表し、ユーザが所望する角度に自由に選択し得るようになされている。
【0061】
これら彩度調整及び又は色相調整が行われると、LCD11の表示画面11Aには、当該彩度調整及び又は色相調整が行われた後のビデオ信号S4に基づくフレーム画像がビデオエンコーダ10を介してコンポジット信号S5に変換され、当該コンポジット信号S5に基づく画像が表示される。従ってユーザはLCD11の表示画面11Aを目視確認しながら、必要に応じて何度でも所望の彩度及び又は色相である画像が得られるまで画質調整を繰り返せば良い。
【0062】
(4)記憶色調整
本実施の形態によるディジタルカメラ1では、信号処理部6は、上述のようなフレーム画像全体に対して彩度調整や色相調整を行う場合のみならず、例えば人間の皮膚の表面色を表す「肌色」、天空の色を表す「空色」及び芝生や草木等の色を表す「芝草色」など(以下、これを記憶色と呼ぶ)に対してのみ局所的に彩度調整や色相調整を行い得るようになされている。
【0063】
実際に、色情報は、輝度信号Y及び色差信号Cb、Crの3つの信号を用いたYCbCr色空間によって表される。かかるYCbCr色空間において、図3に示すような輝度信号に相当する軸と直交するCb−Cr平面でなる極座標系PFRでは、中心点からの距離が彩度を表し、色差信号Cbが0でかつ色差信号Cbが0以上に相当する軸を基準とする角度が色相を表す。
【0064】
かかるYCbCr色空間に基づく極座標系PFRにおいて、記憶色としての「肌色」、「空色」及び「芝草色」に対応する各領域(以下、「肌色領域」、「空色領域」及び「芝草領域」と呼ぶ)AR1〜AR3は、それぞれ実験データ等に基づいて、図3に示すように彩度及び色相の範囲が設定されている。
【0065】
(4−1)輝度調整
複数の記憶色(肌色、空色及び芝草色)のうちユーザによって選択された記憶色のみに対して輝度調整する場合、例えば「肌色」の分布に相当する「肌色領域」(図3のAR1)内でユーザが所望の肌色になるように輝度調整をする場合、当該「肌色領域」の中心からの補正前と補正後の輝度値をそれぞれ求めた後、当該輝度値の差分でなる補正量を補正前の輝度値に付加することで行われる。
【0066】
その際、まずデータの属性を統計的に判別するためのマハラノビス距離の距離尺度を用いて、肌色領域内における平均値に対する入力輝度の距離を求める。かかるマハラノビス距離Disは、輝度差をΔY、各色度差をΔCb、ΔCrとし、K〜K、K00〜K02、K10〜K12、K20〜K21を所定の定数又は輝度、彩度、色相の関数としたとき、次式
【0067】
【数8】
Figure 0004203791
【0068】
のように表される。
【0069】
このときの入力輝度と出力輝度との差分である輝度差(補正量)ΔYは、図4に示すように、記憶色の各領域の中心を原点として、縦軸に当該輝度差ΔY及び横軸にマハラノビス距離Disをとった特性曲線F1として表される。
【0070】
この特性曲線F1によると、輝度差ΔYは、補正前の輝度値及び色度値において最大値をとり(補正量が最大となり)、マハラノビス距離が遠くなるほど小さく(補正量が小さく)なることがわかる。実際に、図4では、入力輝度の値が0.4で出力輝度の値が0.46のときの肌色領域について表している。
【0071】
なお特性曲線F1は、マハラノビス距離Disが0から1まで(補正したい領域が1以内)となるように係数の正規化を行っており、曲線カーブ自体は階調飛びを防止すべく1次微分及び2次微分が連続となるようにして滑らかな曲線となるように設定されている。
【0072】
(4−2)彩度調整
またユーザにより選択された記憶色のみに対して彩度調整する場合、当該記憶色領域内でのみ彩度の調整幅をできるだけ広くすることが望ましい。そのためには記憶色領域内において入力彩度Cinと出力彩度Coutとの差分である彩度差(補正量)ΔCを、図5に示すように、入力彩度Cinに対する正規分布を表す彩度分布関数F2として表すようにする。
【0073】
この彩度分布関数F2は、入力彩度Cinの最小値及び最大値をそれぞれMin及びMaxとし、記憶色領域内の平均値Tarにおいて彩度差(補正量)ΔCが最大となるピーク値Peakをとることを前提として、入力彩度Cinが最小値Min以上平均値Tar以下の範囲では、次式
【0074】
【数9】
Figure 0004203791
【0075】
のように表され、入力彩度Cinが平均値Tar以上最小値Min以下の範囲では、次式
【0076】
【数10】
Figure 0004203791
【0077】
のように表される。
【0078】
この彩度分布関数F2によると、ピーク値Peakを変化させることにより全体が上下にシフトすることから彩度差(補正量)ΔCを調整することができることがわかる。実際に、図5では、入力彩度Cinの値が0.20、当該入力彩度Cinの最小値Minが0で最大値Maxが0.5、出力彩度Coutの値が0.26のときについて表している。
【0079】
かかる彩度分布関数F2について、横軸に入力彩度Cin及び縦軸に出力彩度Coutをとった場合には、図6に示すような特性曲線F3を得ることができる。この特性曲線F3では、入力彩度Cin及び出力彩度Coutが共に最小値0のときは無彩色を表し、双方の値が大きくなるほど彩度が高くなることを表している。
【0080】
さらに特性曲線F3について、横軸に入力彩度Cin及び縦軸に入力彩度に対する出力彩度の比であるゲインCout/Cinをとった場合には、図7に示すような特性曲線F4を得ることができる。
【0081】
さらにこれら彩度分布関数F3及び特性曲線F4、F5は、輝度及び色相の関数ともなっており、図8及び図9に示すように、輝度値及び色相値に対する正規分布を表す分布関数F6、F7としてもそれぞれ表されるようになされている。かかる分布関数F6、F7では、与えられた輝度値及び色相値に対して最大の補正量をとるピーク値を有し、当該ピーク値から離れるほど補正量が小さくなるような特性をもつようになっている。
【0082】
なお彩度分布関数F3、特性曲線F4、F5及び分布関数F6、F7は、曲線カーブ自体は階調飛びを防止すべく1次微分及び2次微分が連続となるようにして滑らかな曲線となるように設定されている。
【0083】
(4−3)色相調整
さらにユーザにより選択された記憶色のみに対して色相調整する場合、当該記憶色領域内で所望の色相に応じた色相線にできるだけ近づけることが望ましい。そこで、記憶色領域内において入力色相hinと出力色相houtとの差分である色相差(補正量)Δhを、図10に示すように、入力色相hinに対する逆S字曲線を表す特性曲線F8として表すようにする。
【0084】
この特性曲線F8は、入力色相hinの最小値及び最大値をそれぞれMin及びMaxとし、記憶色領域内の平均値Tarにおいて逆S字曲線の変極点をとることを前提として、入力色相hinが最小値Min以上平均値Tar以下の範囲では、ガンマの値をg1として、次式
【0085】
【数11】
Figure 0004203791
【0086】
のように表され、入力色相hinが平均値Tar以上最小値Min以下の範囲では、ガンマの値をg2として、次式
【0087】
【数12】
Figure 0004203791
【0088】
のように表される。
【0089】
実際に、図10では、肌色領域について、入力色相hinの最小値Minが80、最大値Maxが150であり、入力色相hinの値が120で、出力色相houtの値が130のときについて表している。
【0090】
かかる特性曲線F8について、横軸に入力色相hin及び縦軸に出力色相h utをとった場合には、図11に示すような特性曲線F9を得ることができる。この特性曲線F9では、平均値Tarである逆S字曲線の変極点において肌色として好ましいと思われる色相が分布しており、当該平均値Tarを変化させることにより全体が対角線上に沿ってシフトすることから色相差(補正量)Δhを調整することができることがわかる。
【0091】
なお特性曲線F8、F9は、曲線カーブ自体は階調飛びを防止すべく1次微分及び2次微分が連続となるようにして滑らかな曲線となるように設定されている。
【0092】
また同様に芝草色領域については、入力色相hinの最小値Minが165、最大値Maxが255であり、横軸に入力色相hin及び縦軸に色相差(補正量)Δhをとった特性曲線F10が図12のように表されると共に、横軸に入力色相hin及び縦軸に出力色相houtをとった特性曲線F11が図13のように表される。
【0093】
さらに同様に空色領域については、入力色相hinの最小値Minが280、最大値Maxが340であり、横軸に入力色相hin及び縦軸に色相差(補正量)Δhをとった特性曲線F12が図14のように表されると共に、横軸に入力色相hin及び縦軸に出力色相houtをとった特性曲線F13が図15のように表される。
【0094】
(5)LCD11の表示画面11A上での各種表示機能
実際にこのディジタルカメラ1では、上述のような記憶色調整をLCD11の表示画面11Aに表示される所定のGUI画面をユーザが目視確認しながら操作部16を操作して行い得るようになされている。
【0095】
例えば、図16(A)に示すように、LCD11の表示画面11Aに表示された複数項目が列挙されたメニューバーMB1の中から「エフェクト」が選択され、続いて当該「エフェクト」を展開して表示される複数項目が列挙されたメニューMB2(図16(B))の中から「記憶色調整」が選択されると、当該「記憶色調整」に応じた記憶色選択画面MB5(図16(C))が、上から順次「肌色」、「空色」及び「芝草色」のようにGUI表示される。
【0096】
この記憶色選択画面MB5において、ユーザの選択により例えば「肌色」が選択されると、当該「肌色」に応じた色調整画面MB6(図17(A))がGUI表示される。この色調整画面MB6には、上から順次「輝度」、「彩度」及び「色相」と表示されており、ユーザの操作により選択された項目に対応してスライドバーSBが表示画面11Aの下縁に沿って表示されるようになされている(図17(B))。
【0097】
そしてユーザは「輝度」、「彩度」及び「色相」のうち指定した項目のスライドバーSBを操作部16の十字キー等を用いて左右に移動させながら、当該移動位置に同期して調整内容が表示画面11A上に反映されるようになされている。
【0098】
ここで記憶色調整を行う際は、図18に示すようなsRGBモニタの色域とプリンタの色域とを一体化した画面を表示させるようにして、ユーザが画像の統計的な性質をも目視し得るようになされている。この場合、グレー領域ARGがsRGBモニタの色域を表す一方、カラー領域ARCがプリンタの色域を表している。
【0099】
プリンタの色域は機種、使用するインクや紙などによっても変化する。プリンタ等の出力デバイスの色域外のデータは通常クリッピングされてしまい、それが色つぶれとなって現れてしまうことも多い。特に信号処理部6の画質調整として彩度を高めに設定しているような機種においては、それが顕著に現れる。従って、撮影する際には、画像を出力するデバイスの色域情報を予め確認できる方がより良い再現性が得られることも多い。
【0100】
(6)sRGB色域外警告機能
このディジタルカメラ1では、LCD11の表示画面11Aに表示された画像に対してユーザが彩度方向の調整をする際に、彩度を高く設定し過ぎたときに、元々彩度の高い色などは出力デバイスの色域外のデータとなってしまうことから、出力デバイスの色域外であることを警告する機能(以下、これをsRGB色域外警告機能と呼ぶ)を搭載するようになされている。
【0101】
例えばLCD11の表示画面11A上に赤い花を表示させた状態で彩度を段階的に上昇させるように調整を行うと、通常の表示状態ではユーザはどの程度彩度が上がったのかを認識するのは困難であるため(図19(A)〜(D))、sRGB色域外警告機能を用いた場合には、sRGB色域外になった画像範囲を画素単位で例えば黄色で表示させる警告画面11B(図19(E)〜(H))に切り換えるようになされている。
【0102】
この警告画面11Bは、単にsRGB色域外となった画素を検出したときに切り換えるのみならず、元の表示画面11Aと所定時間間隔で交互に点灯表示させるようにしても良い。
【0103】
一方、色相方向の調子時にも、調整内容によってはデバイスの色域外となる色もあるため、その場合には上述と同様に警告画面(図示せず)を表示するようになされている。
【0104】
(7)本実施の形態による動作及び効果
以上の構成において、このディジタルカメラ1では、撮影結果として得られるフレーム画像に対して、ユーザの操作に応じて、肌色、空色又は芝草色の各記憶色のうち任意の記憶色が選択されると、LCD11の表示画面11Aが当該記憶色に応じた輝度、彩度及び色相の各調整を行い得る状態となる。
【0105】
この状態でユーザの操作により輝度、彩度及び色相のうちから選択的に調整が行われると、信号処理部6は、YCbCr色空間内における選択された記憶色領域の平均値を基準として、輝度方向、彩度方向及び色相方向に調整幅を拡張するような各種の関数演算を行うことにより、ユーザの操作に対応する自由度の高い調整を行うことができる。
【0106】
従って、ユーザは自己のマニュアル操作で、撮影結果として得られる画像データに基づく画像のうち所望する記憶色の領域のみについて、輝度、彩度及び色相を所望するレベルに自由に調整することができる。その際、彩度の調整レベルを高く設定し過ぎた結果、プリンタ等の出力デバイスの色域外となった場合には、当該色域外となった画像範囲を画素単位で所定色に点滅表示等させながら警告を行うようにしたことにより、通常の表示画面では目視確認し難い調整内容をもユーザに認識させることができ、色調整後の画像データに色つぶれ等の弊害が生じるのを未然に防止することができる。
【0107】
以上の構成によれば、このディジタルカメラ1において、撮影結果として得られるフレーム画像に対して、ユーザの操作に応じて選択された任意の記憶色について、輝度、彩度及び色相のうちから選択的に調整が行われたとき、YCbCr色空間内における選択された記憶色領域の平均値を基準として、輝度方向、彩度方向及び色相方向に調整幅を拡張するような各種の関数演算を行うようにしたことにより、ユーザは自己のマニュアル操作で、撮影結果として得られる画像データに基づく画像のうち所望する記憶色の領域のみについて、輝度、彩度及び色相を所望するレベルに自由に調整することができ、かくしてユーザの操作に応じた色調整の自由度を格段と向上し得るディジタルカメラ1を実現できる。
【0108】
(8)他の実施の形態
なお上述の本実施の形態においては、本発明による撮像装置として図1に示すようなディジタルカメラ1を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の構成からなる撮像装置に広く適用することができる。因みに本実施の形態では、ディジタルカメラの種類を、単板式又は三板式等の区別はつけなかったが、単板式の場合には、解像度の低下を防止すべく信号処理部6において、ディジタル撮像信号S3にデモザイク処理を施すようにすれば良い。
【0109】
また上述の実施の形態においては、彩度調整、色相調整及び記憶色(特定色)調整をユーザのマニュアル操作に応じて行うようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、事前にユーザの設定によりデフォルト値として登録しておくようにすれば、撮影結果である画像データが得られるごとに自動的に当該画像データに基づく画像のうちの記憶色の領域をデフォルト値に調整するようにしても良い。
【0110】
この場合、ユーザは輝度、彩度又は色相のうち自動化して調整する色情報を任意に選択しておくことができ、また色相調整の場合には、「肌色」、「空色」又は「芝草色」のうち自動化して調整する記憶色を任意に選択しておくことができる。さらには各記憶色の領域のうちからユーザが指定した領域のみを調整するようにする機能を持たせるようにしても良い。
【0111】
さらに特定色としての記憶色を、「肌色」、「空色」及び「芝草色」の3種類とした場合について述べたが、これ以外にもユーザが調整幅を拡張したいと望む種々の色にも広く適用するようにしても良い。
【0112】
さらに上述した彩度調整、色相調整及び記憶色調整を行った際のパラメータを信号処理部6内のプリセットとして組み込むようにすれば、今回の撮影時の調整がユーザのマニュアル操作であっても、次回からの撮影時にはそのパラメータを反映させることができるようにしても良く、より一層ユーザの使い勝手を向上することができる。
【0113】
また、彩度調整、色相調整及び記憶色調整を撮影前の画像に対して行うようにしても良く、撮影後に既にメモリカード等の外部記録媒体に記録された画像データに対して行うようにしても良い。
【0114】
また上述の本実施の形態においては、被写体を撮影する撮像手段を、投影レンズ2、CCD3、CDS及びAGC部4、A/D変換部5から構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、被写体の撮影結果を画像データとして得ることができれば、この他種々の構成からなる撮像手段を適用するようにしても良い。
【0115】
さらに上述の本実施の形態においては、ユーザの操作に応じて、予め設定された複数種類の記憶色(特定色)のうち指定された記憶色(特定色)を選択した後、当該記憶色(特定色)に応じた輝度、彩度及び色素のうち指定されたものを選択する選択手段を、操作部16、CPU8、OSD21及びLCD11から構成し、LCD11の表示画面11Aに表示されたGUI画面をユーザが操作部16を用いて選択するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、かかる選択処理を行い得るものであれば、種々の構成からなる選択手段に広く適用することができる。
【0116】
さらに上述の本実施の形態においては、ユーザの操作に応じて、特定色に応じた輝度、彩度及び又は色相を調整幅の範囲内で所望のレベルを指定するレベル指定手段と、操作部16、CPU8、OSD21及びLCD11から構成し、LCD11の表示画面11Aに表示されたGUI画面をユーザが操作部16を用いてレベル調整するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、かかるレベル調整処理を行い得るものであれば、種々の構成からなるレベル調整手段に広く適用することができる。
【0117】
さらに本実施の形態においては、YCbCr色空間内において予め設定された複数種類の記憶色(特定)の中から指定された記憶色(特定色)の色領域の平均値を基準として、当該記憶色(特定色)に応じた輝度、彩度及び又は色相の調整幅を拡張するような所定の演算処理を行う演算処理手段を、信号処理部6及びCPU8から構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は記憶色(特定色)に応じた輝度、彩度及び又は色相の調整幅を拡張することができれば、この他種々の構成からなる演算処理手段に広く適用することができる。
【0118】
この場合、輝度調整の際に、図4に示す特性曲線F1をマハラノビス距離Disを用いて生成するようにした場合について述べたが、当該マハラノビス距離Disから分散や共分散の概念を除いたユークリッド距離を用いるようにしても同様に輝度調整を行い得ることができる。
【0119】
また彩度調整の際に、図5に示す彩度分布関数F2を式(9)及び(10)から表すようにした場合について述べたが、要はピーク値Peakの変化に応じて彩度差(補正量)ΔCを調整することができる滑らかな正規分布をもつ関数であれば、この他種々の関数を適用するようにしても良い。
【0120】
さらに色相調整の際に、図10に示す特性曲線F8を式(11)及び(12)から表すようにした場合について述べたが、要は記憶色領域内の平均値Tarにおいて変極点をとるようなS字曲線又は逆S字曲線をもつ関数であれば、この他種々の関数を適用するようにしても良い。
【0121】
さらに本実施の形態においては、記憶色(特定色)に応じた輝度、彩度及び又は色相を調整幅の範囲内で指定されたレベルで、供給される画像データに基づく画像内の記憶色(特定色)の色領域を調整する色調整手段を、信号処理部6及びCPU8から構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は画像データに基づく画像内の記憶色(特定色)の色領域のみを指定されたレベルで調整することができれば、この他種々の構成からなる色調整手段に広く適用することができる。
【0122】
さらに本実施の形態においては、指定された記憶色(特定色)に応じた彩度及び又は色相のレベルが、所定の色域外であるか否かを判断する判断手段としてCPU8を適用し、当該判断結果により色域外であると判断された場合には、所定の警告を発する警告手段としてLCD11の警告画面11Bを適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、警告画面11Bの点滅等の表示のみならず、図示しないスピーカを介して警告音を放音するようにしても良い。
【0123】
さらには警告画面11Bの点滅等の表示ではなく、表示画面11Aにその旨を文字や数字等で画像データに基づく画像に重畳表示させるようにしても良い。この場合、例えば、図20(A)に示すように、LCD11の表示画面11Aに表示された複数項目が列挙されたメニューバーMB1の中から「設定」が選択され、続いて当該「設定」を展開して表示される複数項目が列挙されたメニューMB10の中から「警告」が選択されると、当該「警告」に応じた警告デバイス選択画面MB11が、上から順次「sRGB」、「プリンタ1」及び「プリンタ2」のようにGUI表示される。
【0124】
この警告デバイス選択画面MB11において、ユーザの選択により例えば「sRGB」が選択されると、当該「sRGB」に応じた警告表示画面MB12(図20(B))(例えば、「色域外:22%」)が表示画面11Aに表示されている画像データに基づく画像に重畳表示されるようにすれば良い。なお警告表示画面MB12は、上述した本実施の形態である警告画面11Bに重畳表示させるようにしても良い。
【0125】
さらに上述の実施の形態においては、撮影する際には、画像を出力するプリント等のデバイスの色域情報をユーザが認識しなかったが、本発明はこれに限らず、当該デバイスの色域情報を撮影時にユーザが予め確認できるようにしても良い。すなわち、図21(A)に示すように、LCD11の表示画面11Aに表示された複数項目が列挙されたメニューバーMB1の中から「ファイル」が選択され、続いて当該「ファイル」を展開して表示される複数項目が列挙されたメニューMB15の中から「統計情報」が選択されると、当該「統計情報」に応じた統計情報画面MB20(例えば、RGBやYCCの平均値や標準偏差等)を表示画面11A上に重畳表示させるようにすれば良く、その分ユーザはより良い再現性を得ることができる。
【0126】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、被写体を撮像する撮像手段と、撮像されたデジタル撮像信号を輝度信号、赤信号、緑信号及び青信号に分離する分離手段と、輝度信号、赤信号、緑信号及び青信号に対して所定の行列演算式を用いることにより色差輝度信号、青色差信号及び赤色差信号を生成する色情報生成手段と、色差輝度信号、青色差信号及び赤色差信号を用いて表される肌色、空色及び芝草色を示す特定色に対する彩度及び色相の範囲を色差輝度信号と青色差信号と赤色差信号とにより表すYCbCr色空間で設定する色空間設定手段と、ユーザの操作に応じてYCbCr色空間における特定色領域としての肌色領域、空色領域及び芝草色領域の中から1つの特定色領域を選択する特定色選択手段と、選択された選択特定色領域における平均輝度に対する入力輝度の距離をマハラノビス距離算出手法により求め、求めた距離に応じて特定領域における入力輝度に対する補正値を算出する輝度補正値算出手段と、選択特定色領域の入力彩度値に対する平均彩度値において最大補正量になるように補正値を設定する彩度補正値設定手段と、選択特定色領域において入力色相値の平均値を中心として、中心から入力色相値が最小となる範囲で最大の補正量とし、中心から入力色相が最大となる範囲で最小の補正量とする色相補正曲線に基づいて色相値を設定する色相補正値設定手段と、輝度補正値算出手段、彩度値補正手段及び色相値補正手段を用いて、ユーザの操作に応じて選択された肌色領域、空色領域及び芝草色領域それぞれについて輝度値補正、彩度値補正及び色相値補正を行う特定色補正手段とを設けたことにより、ユーザの操作に応じて選択された任意の特定色について、輝度、彩度及び色相のうちから選択して調整が行なわれたとき、YCbCr色空間内における選択された特定色領域における平均値を基準として、彩度値及び色相値を調整できるので、ユーザは自己のマニュアル操作で、撮結果として得られる画像データに基づく画像のうち所望する特定色の領域のみについて、輝度、彩度及び色相を所望するレベルに自由に調整することができ、かくしてユーザの操作に応じた色調整の自由度を格段と向上し得る撮像装置を実現できる。
【0127】
また本発明によれば、撮像されたデジタル撮像信号を輝度信号、赤信号、緑信号及び青信号に分離する分離手段と、輝度信号、赤信号、緑信号及び青信号に対して所定の行列演算式を用いることにより色差輝度信号、青色差信号及び赤色差信号を生成する色情報生成手段と、色差輝度信号、青色差信号及び赤色差信号を用いて表される肌色、空色及び芝草色を示す特定色に対する彩度及び色相の範囲を色差輝度信号と青色差信号と赤色差信号とにより表すYCbCr色空間で設定する色空間設定手段と、ユーザの操作に応じてYCbCr色空間における特定色領域としての肌色領域、空色領域及び芝草色領域の中から1つの特定色領域を選択する特定色選択手段と、選択された選択特定色領域における平均輝度に対する入力輝度の距離をマハラノビス距離算出手法により求め、求めた距離に応じて特定領域における入力輝度に対する補正値を算出する輝度補正値算出手段と、選択特定色領域の入力彩度値に対する平均彩度値において最大補正量になるように補正値を設定する彩度補正値設定手段と、選択特定色領域において入力色相値の平均値を中心として、中心から入力色相値が最小となる範囲で最大の補正量とし、中心から入力色相が最大となる範囲で最小の補正量とする色相補正曲線に基づいて色相値を設定する色相補正値設定手段と、輝度補正値算出手段、彩度値補正手段及び色相値補正手段を用いて、ユーザの操作に応じて選択された肌色領域、空色領域及び芝草色領域それぞれについて輝度値補正、彩度値補正及び色相値補正を行う特定色補正手段とを設けたことにより、ユーザの操作に応じて選択された任意の特定色について、輝度、彩度及び色相のうちから選択して調整が行なわれたとき、YCbCr色空間内における選択された特定色領域における平均値を基準として、彩度値及び色相値を調整できるので、ユーザは自己のマニュアル操作で、供給される画像データに基づく画像のうち所望する特定色の領域のみについて、輝度、彩度及び色相を所望するレベルに自由に調整することができ、かくしてユーザの操作に応じた色調整の自由度を格段と向上し得る色調整装置を実現できる。
【0128】
さらに本発明によれば、撮像されたデジタル撮像信号を輝度信号、赤信号、緑信号及び青信号に分離し、輝度信号、赤信号、緑信号及び青信号に対して所定の行列演算式を用いることにより色差輝度信号、青色差信号及び赤色差信号を生成し、色差輝度信号、青色差信号及び赤色差信号を用いて表される肌色、空色及び芝草色を示す特定色に対する彩度及び色相の範囲を色差輝度信号と青色差信号と赤色差信号とにより表すYCbCr色空間で設定し、ユーザの操作に応じてYCbCr色空間における特定色領域としての肌色領域、空色領域及び芝草色領域の中から1つの特定色領域を選択し、選択された選択特定色領域における平均輝度に対する入力輝度の距離をマハラノビス距離算出手法により求め、求めた距離に応じて特定領域における入力輝度に対する補正値を算出し、選択特定色領域の入力彩度値に対する平均彩度値において最大補正量になるように補正値を設定し、選択特定色領域において入力色相値の平均値を中心として、中心から入力色相値が最小となる範囲で最大の補正量とし、中心から入力色相が最大となる範囲で最小の補正量とする色相補正曲線に基づいて色相値を設定し、上記ユーザの操作に応じて選択された肌色領域、空色領域及び芝草色領域それぞれについて輝度値補正、彩度値補正及び色相値補正を行うようにしたことにより、ユーザの操作に応じて選択された任意の特定色について、輝度、彩度及び色相のうちから選択して調整が行なわれたとき、YCbCr色空間内における選択された特定色領域における平均値を基準として、彩度値及び色相値を調整できるので、ユーザは自己のマニュアル操作で、供給される画像データに基づく画像のうち所望する特定色の領域のみについて、輝度、彩度及び色相を所望するレベルに自由に調整することができ、かくしてユーザの操作に応じた色調整の自由度を格段と向上し得る色調整方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態によるディジタルカメラの内部構成を示すブロックである。
【図2】LCDの表示画面上の表示状態の説明に供する平面的な略線図である。
【図3】記憶色領域の説明に供する平面的な略線図である。
【図4】輝度調整の説明に供するグラフである。
【図5】彩度調整の説明に供するグラフである。
【図6】彩度調整の説明に供するグラフである。
【図7】彩度調整の説明に供するグラフである。
【図8】彩度調整の輝度関数の説明に供するグラフである。
【図9】彩度調整の色相関数の説明に供するグラフである。
【図10】色相調整(肌色の例)の説明に供するグラフである。
【図11】色相調整(肌色の例)の説明に供するグラフである。
【図12】色相調整(芝草色の例)の説明に供するグラフである。
【図13】色相調整(芝草色の例)の説明に供するグラフである。
【図14】色相調整(空色の例)の説明に供するグラフである。
【図15】色相調整(空色の例)の説明に供するグラフである。
【図16】記憶色調整の表示状態の説明に供する平面的な略線図である。
【図17】記憶色調整の表示状態の説明に供する平面的な略線図である。
【図18】sRGB及びプリンタの色域の説明に供する平面的な略線図である。
【図19】表示画面及び警告画面の表示の説明に供する平面的な略線図である。
【図20】他の実施の形態における警告画面の表示の説明に供する平面的な略線図である。
【図21】他の実施の形態における画像の統計量表示の説明に供する平面的な略線図である。
【符号の説明】
1……ディジタルカメラ、6……信号処理部、7……メモリコントローラ、8……CPU、9……表示用メモリ、10……ビデオエンコーダ、11……LCD、13……システムメモリ、14……ストレージャ、16……操作部、17……データ圧縮伸長部、20……メモリカード、21……OSD。

Claims (3)

  1. 被写体を撮像する撮像手段と、
    撮像されたデジタル撮像信号を輝度信号、赤信号、緑信号及び青信号に分離する分離手段と、
    上記輝度信号、上記赤信号、上記緑信号及び上記青信号に対して所定の行列演算式を用いることにより色差輝度信号、青色差信号及び赤色差信号を生成する色情報生成手段と、
    上記色差輝度信号、上記青色差信号及び上記赤色差信号を用いて表される肌色、空色及び芝草色を示す特定色に対する彩度及び色相の範囲を上記色差輝度信号と上記青色差信号と上記赤色差信号とにより表すYCbCr色空間で設定する色空間設定手段と、
    ユーザの操作に応じて上記YCbCr色空間における特定色領域としての肌色領域、空色領域及び芝草色領域の中から1つの上記特定色領域を選択する特定色選択手段と、
    選択された選択特定色領域における平均輝度に対する入力輝度の距離をマハラノビス距離算出手法により求め、求めた上記距離に応じて上記特定領域における上記入力輝度に対する補正値を算出する輝度補正値算出手段と、
    上記選択特定色領域の入力彩度値に対する平均彩度値において最大補正量になるように補正値を設定する彩度補正値設定手段と、
    上記選択特定色領域において入力色相値の平均値を中心として、当該中心から入力色相値が最小となる範囲で最大の補正量を有し、上記中心から入力色相が最大となる範囲で最小の補正量を有する色相補正曲線に基づいて色相値を設定する色相補正値設定手段と、
    上記輝度補正値算出手段、上記彩度値補正値設定手段及び色相値補正値設定手段を用いて、上記ユーザの操作に応じて選択された上記肌色領域、上記空色領域及び上記芝草色領域それぞれについて輝度値補正、彩度値補正及び色相値補正を行う特定色補正手段と
    を具える撮像装置。
  2. 入力デジタル撮像信号を輝度信号、赤信号、緑信号及び青信号に分離する分離手段と、
    上記輝度信号、上記赤信号、上記緑信号及び上記青信号に対して所定の行列演算式を用いることにより色差輝度信号、青色差信号及び赤色差信号を生成する色情報生成手段と、
    上記色差輝度信号、上記青色差信号及び上記赤色差信号を用いて表される肌色、空色及び芝草色を示す特定色に対する彩度及び色相の範囲を上記色差輝度信号と上記青色差信号と上記赤色差信号とにより表すYCbCr色空間で設定する色空間設定手段と、
    ユーザの操作に応じて上記YCbCr色空間における特定色領域としての肌色領域、空色領域及び芝草色領域の中から1つの上記特定色領域を選択する特定色選択手段と、
    選択された選択特定色領域における平均輝度に対する入力輝度の距離をマハラノビス距離算出手法により求め、求めた上記距離に応じて上記特定領域における上記入力輝度に対する補正値を算出する輝度補正値算出手段と、
    上記選択特定色領域の入力彩度値に対する平均彩度値において最大補正量になるように補正値を設定する彩度補正値設定手段と、
    上記選択特定色領域において入力色相値の平均値を中心として、当該中心から入力色相値が最小となる範囲で最大の補正量を有し、上記中心から入力色相が最大となる範囲で最小の補正量を有する色相補正曲線に基づいて色相値を設定する色相補正値設定手段と、
    上記輝度補正値算出手段、上記彩度値補正値設定手段及び色相値補正値設定手段を用いて、上記ユーザの操作に応じて選択された上記肌色領域、上記空色領域及び上記芝草色領域それぞれについて輝度値補正、彩度値補正及び色相値補正を行う特定色補正手段と
    を具える色調整装置。
  3. 入力デジタル撮像信号を輝度信号、赤信号、緑信号及び青信号に分離する分離ステップと、
    上記輝度信号、上記赤信号、上記緑信号及び上記青信号に対して所定の行列演算式を用いることにより色差輝度信号、青色差信号及び赤色差信号を生成する色情報生成ステップ と、
    上記色差輝度信号、上記青色差信号及び上記赤色差信号を用いて表される肌色、空色及び芝草色を示す特定色に対する彩度及び色相の範囲を上記色差輝度信号と上記青色差信号と上記赤色差信号とにより表すYCbCr色空間で設定する色空間設定ステップと、
    ユーザの操作に応じて上記YCbCr色空間における特定色領域としての肌色領域、空色領域及び芝草色領域の中から1つの上記特定色領域を選択する特定色選択ステップと、
    選択された選択特定色領域における平均輝度に対する入力輝度の距離をマハラノビス距離算出手法により求め、求めた上記距離に応じて上記特定領域における上記入力輝度に対する補正値を算出する輝度補正値算出ステップと、
    上記選択特定色領域の入力彩度値に対する平均彩度値において最大補正量になるように補正値を設定する彩度補正値設定ステップと、
    上記選択特定色領域において入力色相値の平均値を中心として、当該中心から入力色相値が最小となる範囲で最大の補正量を有し、上記中心から入力色相が最大となる範囲で最小の補正量を有する色相補正曲線に基づいて色相値を設定する色相補正値設定ステップと、
    上記輝度補正値算出ステップ、上記彩度値補正値設定ステップ及び色相値補正値設定ステップを用いて、上記ユーザの操作に応じて選択された上記肌色領域、上記空色領域及び上記芝草色領域それぞれについて輝度値補正、彩度値補正及び色相値補正を行う特定色補正ステップと
    を具える色調整方法。
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