JP4203627B2 - クローポール型発電機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クローポール型発電機、特には自転車用として用いられるクローポール型発電機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のクローポール型発電機は、永久磁石を有する筒体と、互いの磁極片が円周方向に交互に並列するように配置された2つのクローポール型のステータヨークと、両ステータヨークを磁気的に結合するコアヨークと、該コアヨークの周囲に配置されるコイルとで構成されている(特許文献1及び特許文献2参照)。該クローポール型発電機は、永久磁石を外側回転子とし、ステータヨーク、コアヨーク、及びコイルを内側固定子として、永久磁石の回転によりコアヨークに交番磁束を発生させ、これにより、コイルに電流が流れて発電するようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特許第2991705号公報(第7頁、図3,4)
【特許文献2】
特開2001−327139号公報(第4ページ、図3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のクローポール型発電機を、自転車の車輪のハブ軸に取り付けて自転車用ハブダイナモとして用いる場合には、前記2つのクローポール型のステータヨークはハブ軸に取付ナット等により固定されることとなるが、その際、互いの磁極片が接触することなく等間隔で隣接するように位置決めをする必要がある。しかし、クローポール型発電機の組立てに際して、前述したような位置決めを行って取付ナット等により固定する作業は面倒であり、その結果としてクローポール型発電機のコストが高くなるという問題があった。また、取付ナット等による固定が不十分な場合や、クローポール型発電機に加わった衝撃等の外力により、組付け時の位置がずれることもある。特に、クローポール型発電機を自転車用ハブダイナモとして用いる場合には、自転車の走行に伴う衝撃が加わるため、前記位置ズレが生じやすい。
【0005】
一方、例えば、2つのステータヨークに挟入されるボビン等と各ステータヨークとを係合させることにより、組付け時の位置決めや、その後の位置ズレを防止することが可能であるが、2つのステータヨークの円周方向の位置関係は各ステータヨークの極片数により異なるので、予めステータヨークの位置関係を算出した上で、各々ステータヨークに係合部を予め算出された位置に正確に設ける必要がある。例えば、各ステータヨークの極片数が14極であれば、各ステータヨークの極片が円周方向に28極並ぶこととなるので、各々のステータヨークに係合部分を円周方向に約12.86°異なる位置に設ける。しかし、2つのステータヨークの形状が異なれば、例えば、ステータヨークを鋼帯等の材料から順送金型でプレス成形する場合に、金型が2種類必要となる。また、クローポール型発電機には、軽量小型化及び発電効率の向上が望まれているところ、前記各ステータヨークは極力小さく、且つ、その極片数は多い方が好ましい。しかし、小型で極片数の多いステータヨークとする程、2つのステータヨークの円周方向の位置の規制も精度が要求される。その結果、クローポール型発電機の加工コストや組立コストが高くなるという問題が生じる。
【0006】
本発明は、これらに鑑みてなされたものであり、クローポール型発電機、特に自転車用として用いられるクローポール型発電機において、ステータヨークの円周方向の位置決めを簡便に行うことができ、また、クローポール型発電機の製造コストを軽減することができる手段を提供することを目的とする。
【0007】
本発明に係るクローポール型発電機は、環状に配置された永久磁石と、円盤部と該円盤部の円周方向に一定間隔で突設された複数の爪状の極片とを夫々有し、前記永久磁石の内側に配置された2つのステータヨークと、前記2つのステータヨークを磁気的に連結するコアヨークと、前記コアヨークの周囲に配置されたコイルと、を具備してなるクローポール型発電機において、前記2つのステータヨークは、各々の極片数N(Nは6以上の偶数)の2分の1が奇数である同形状のものであって、相対的に円盤部の円周方向に90°異なる位置に位置決めされることにより、前記各極片が円周方向に交互に並列するように組み合わされたものであり、前記円盤部の中央近傍には、嵌合凸部又は嵌合凹部が設けられ、前記コアヨークは、その両端に嵌合凹部又は嵌合凸部が設けられ、該コアヨーク及び各ステータヨークの嵌合凸部又は嵌合凹部が互い嵌合することにより、前記コアヨークの両端に、その円周方向の位置を規制するように各ステータヨークが夫々嵌合されたものである。これにより、各ステータヨークの極片数Nを多くしても、2つのステータヨークの円周方向の位置は90°異なるように位置決めすれば、核極片が等間隔で並列するように組み付けることができ、ステータヨーク等の加工精度や組付け精度を向上させることがなく、ステータヨークの円周方向の位置決めを簡便に行うことができる。また、2つのステータヨークを同形状とすることにより、プレス成形の金型を従来より少なくすることができる。
【0008】
また、本発明は、前記コアヨークの両端に嵌合凸部又は嵌合凹部が設けられ、前記各ステータヨークの円盤部の中央近傍に嵌合凹部又は嵌合凸部が設けられ、該コアヨーク及び各ステータヨークの嵌合凸部又は嵌合凹部が互いに嵌合することにより、コアヨークの両端に、その円周方向の位置を規制するように各ステータヨークが夫々嵌合されたものである。これにより、コアヨークに2つのステータヨークを、円周方向の位置が互いに90°異なるように嵌合させることができる。
【0009】
また、本発明は、前記コアヨークは両端形状が対称なものであり、該コアヨークの両端面及び前記各ステータヨークの円盤部に、各々少なくとも2以上の前記嵌合凹部又は嵌合凸部が、互いに円周方向に90°異なる位置となるように配設されたものである。これにより、コアヨークの両端にステータヨークを嵌合させる際に、コアヨークの各端面におけるステータヨークの円周方向の位置が90°異なる方向で選択でき、コアヨークとステータヨークとの嵌合及び両ステータヨークの位置合わせが容易となる。なお、本発明においてコアヨークの両端形状が対称とは、コアヨークの軸と直交する面を対称面として、その両端形状が対称なことをいう。
【0010】
また、本発明は、環状に配置された永久磁石と、円盤部と該円盤部の円周方向に一定間隔で突設された複数の爪状の極片とを夫々有し、前記永久磁石の内側に配置された2つのステータヨークと、前記2つのステータヨークを磁気的に連結するコアヨークと、前記コアヨークの周囲に配置されたコイルと、を具備してなるクローポール型発電機において、軸周りに前記コイルが巻回されるとともに中空部内に前記コアヨークが配設される中空軸の両端に、2枚の円盤が同軸となるように設けられてなるボビンを備え、該ボビンは、各円盤形状が対称なものであり、該ボビンの各円盤に嵌合凸部又は嵌合凹部が設けられ、前記2つのステータヨークは、各々の極片数N(Nは6以上の偶数)の2分の1が奇数である同形状のものであって、前記円盤部に嵌合凹部又は嵌合凸部が設けられ、前記ボビンの各円盤及び前記各ステータヨークの円盤部に、各々少なくとも2以上の嵌合凹部又は嵌合凸部が、互いに円周方向に90°異なる位置となるように配設され、前記ボビン及び前記各ステータヨークの各嵌合凸部及び嵌合凹部が夫々嵌合することにより、前記ボビンの各円盤に、相対的に前記円盤部の円周方向に90°異なる位置に位置決めされるように前記各ステータヨークが夫々嵌合されるとともに、前記各極片が円周方向に交互に並列するように組み合わされたものである。これにより、ボビンに2つのステータヨークを、円周方向の位置が互いに90°異なるように嵌合させることができる。また、ボビンに各ステータヨークを嵌合させる際に、ボビンの各円盤におけるステータヨークの円周方向の位置が90°異なる方向で選択でき、ボビンとステータヨークとの嵌合及び両ステータヨークの位置合わせが容易となる。なお、本発明においてボビンの各円盤形状が対称とは、ボビンの軸と直交する面を対称面として、その両端形状が対称なことをいう。
【0012】
また、前記クローポール型発電機を、自転車の車輪のハブ軸に固定されて用いられる自転車用のものとすることにより、小型、軽量であり、且つ自転車の車輪の回転数程度の回転力で照明ランプ用等に十分な電力を安定して発生させるハブダイナモを実現することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るクローポール型発電機100の全体構成を示す図であり、図に示すように、本クローポール型発電機100は、環状に配置された永久磁石101と、該永久磁石101と対向するように配置された2つのステータヨーク102L,102Rと、該ステータヨーク102L,102Rを磁気的に連結するコアヨーク103と、該コアヨーク103の周囲に配置されたコイル104とを具備してなるものである。このように構成されたクローポール型発電機100が、公知且つ任意の自転車の車輪のハブ軸1に固定されて自転車用ハブダイナモを構成している。なお、図には詳細に示していないが、該ハブ軸1には雄ネジが形成されており、自転車の車輪用フォークFにナット等により固定されるようになっている。また、本実施の形態では、本発明に係るクローポール型発電機が自転車用ハブダイナモとして用いられる場合を例に説明しているが、本発明の用途がこれに限定されるものではないことは当然である。
【0014】
本クローポール型発電機100が装備された自転車を走行させると、自転車の車輪がハブ軸1を軸として回転し、ハブケーシング2が回転するとともに、その内周面に円環状に配置された永久磁石101が回転する。該永久磁石101の回転により該ステータヨーク102L,102R及びコアヨーク103に交番磁束Gが生じて、コイル104に誘導電流が流れ、発電できるようになっている。
【0015】
前記ハブ軸1には、ハブケーシング2がベアリング3を介して回転自在に取り付けられている。ハブケーシング2は、ドラムハブ2aとスポークハブ2bとを備えてなり、該ドラムハブ2aは、図1及び図2に示すように、中央付近が径大であって、両端へ向かってテーパ状に縮径された円筒体であり、ドラムハブ2aの両端に、円盤状のスポークハブ2bが夫々設けられている。スポークハブ2bの周縁近傍には複数の孔2cが周方向に列設されており、該孔2cにスポークSが挿通されて、スポークハブ2bと車輪のリム(不図示)とが該スポークSにより連結されるようになっている。また、ハブケーシング2からは、ハブケーシング2内に収容されたクローポール型発電機100の電力を取り出すための端子4が外方へ突設されている。
【0016】
前記永久磁石101は、前記ハブケーシング2aの中央の径大部分の内周面にバックアップリング10を介して固定されている。バックアップリング10は、図3に示すように、円環状の枠体であり、その内周面には永久磁石101を構成する4つの磁石鋼が連続環状に固定されている。円環状に配置された永久磁石101は、その周方向にN極とS極とが交互となって計28極存在するように着磁されたものとなっている。このような永久磁石101と前記ハブケーシング2とが、本クローポール型発電機100の外側回転子を構成しており、自転車の車輪がハブ軸1を軸として回転することにより、ハブケーシング2が回転するとともに、その内周面に円環状に配置された永久磁石101も回転する。
【0017】
前記ステータヨーク102L,102Rは、図1に示すように、前記永久磁石101の内側に位置するように、ハブ軸1に外嵌されている。該ステータヨーク102Lとステータヨーク102Rとは同形状のものであるので、以下、ステータヨーク102Lを例に、これらの構成を説明する。図4に示すように、ステータヨーク102Lは、円盤部20Lと、該円盤部20Lの周縁から周方向に一定間隔で円盤部20Lの厚み方向へ延設された複数の極片21Lとを具備してなるものである。
【0018】
前記円盤部20Lは、前記永久磁石101の内方に納まる程度の大きさであり、その外径は、図1に示すように、各ステータヨーク102L,102Rが永久磁石101の内側に配置された場合に、各極片21Lに永久磁石101の磁力が作用する程度に離間されるように設定されている。円盤部20Lの中央にはハブ軸1を挿通するための挿通孔22が穿設されており、該挿通孔22周りの4箇所にコアヨーク103と嵌合するためのコア嵌合孔(嵌合凹部)23が穿設されている。4つのコア嵌合孔23は、すべて同形状であり、円盤部20Lの軸から半径方向へ同一位置であって、円周方向へ相互に90°異なる位置に配設されている。なお、コア嵌合孔23の形状は任意であり、図に示すような矩形に限定されず、円形やスリット状にすることも可能である。また、コア嵌合孔23はコアヨーク103と嵌合可能であれば足りるものであり、必ずしも穿孔とする必要はなく、凹溝であってもよい。
【0019】
さらに、円盤部20の外周縁の4箇所から半径方向にスリット24が形成されている。該スリット24は、交番磁束に伴い円盤部20Lの周方向に流れる渦電流を抑制するためのものである。詳細には、前記コア嵌合孔23に嵌合されるコアヨーク103の軸方向に交番磁束が発生すると、該交番磁束周り、即ち円盤部20Lの周方向に渦電流が発生する。該渦電流の流路に前記スリット24を設けることにより、円盤部20Lの周方向へ渦電流を流れ難くして、渦電流の発生を抑制する。また、各スリット24には拡幅部24aが形成されているが、これはコイル104の一端を引き出しておくためのものである。
【0020】
前記極片21Lは、円盤部20Lの外周縁に14極設けられており、円盤部20Lの厚み方向へ略直角に延設されることにより、その長手方向が円盤部20Lの挿通孔22に挿通されるハブ軸1の軸方向と平行になっている。なお、ステータヨーク102Lに設けるべき極片21Lの数は、該極片数Nの2分の1が奇数、即ち、2,6,10,14,18,・・・のいずれかとなるように設定することができる。言い換えれば、奇数の自然数1,3,5,7,9,・・・を2倍した数をステータヨーク102Lに設けるべき極片数Nとして設定することができる。
【0021】
また、ステータヨーク102Rについては、前記ステータヨーク102Lと同形状であり、詳細な説明は省略するが、前記極片21Lと同様に、円盤部20Rの外周縁に極片21Rが14極設けられており、前述したように、該極片数Nの2分の1が奇数であるように極片21Rの数を適宜変更することができるが、ステータヨーク102Lの極片数Nとステータヨーク102Rの極片数Nとは同一である。
【0022】
このように構成された2つのステータヨーク102L,102Rが、互いの極片21L,21Rが円周方向に交互に並列するように組み合わされ、これらが前記永久磁石101の内側に配置された場合に、各々14極の極片21L,21Rが永久磁石101の28極の磁極と夫々対応するようになっている。図5は、前述したように組み合わせた2つのステータヨーク102L,102Rの円周方向の位置を説明するためのものであるが、前記2つのステータヨーク102L,102Rは、相対的に円盤部21Lの円周方向に90°異なる位置となるように組み合わされている。一般に、各ステータヨークの極片が円周方向に交互に並列するように組み合わせるためには、一のステータヨークの極片数Nの2倍で、これが組み合わされたステータヨークの全極片数であるが、360°を割った角度αだけ2つのステータヨークを円周方向に相対的にずらす必要がある。即ち、角度α=360°/(極片数N×2)により、2つのステータヨークを円周方向に相対的にずらす角度αを求めて、各ステータヨークの円周方向の位置決めを行うが、クローポール型発電機100の発電効率の向上のためには極片数Nを多くすることが好ましく、その一方で、クローポール型発電機100の小型化のためにはステータヨーク102L,102Rの小型化も望まれており、角度αは小さくなる一方で、小型化されたステータヨーク102L,102Rに該角度αとなるような位置決め手段を精度良く設けることが必要となる。そこで、本発明では、ステータヨーク102L,102Rに設けるべき極片21L,21Rの各々の数を、極片数Nの2分の1が奇数となるように設定し、前記角度αに拘わらず、同形状のステータヨーク102L,102Rを、相対的に円周方向に90°異なる位置となるように組み合わせることにより、各極片21L,21Rを円周方向に交互に並列させることを実現している。これにより、各ステータヨーク102L,102Rの極片数Nを多くしても、2つのステータヨーク102L,102Rの円周方向の位置を常に90°異なるように位置決めすればよく、ステータヨーク102L,102Rの加工精度や組付け精度を向上させることなく、これらの円周方向の位置決めを簡便に行うことができる。また、ステータヨーク102L,102Rを同形状とすることにより、従来よりプレス成形の金型を少なくすることができる。
【0023】
図6は、コアヨーク103、コイル104及びボビン105を示すものであるが、図に示すように、コアヨーク103は、各々1対のコアヨーク片30,31が組み合わされてなり、コイル104が巻回されるボビン105の中空軸50に収容されている。一方、該ボビン105の中空軸50の外周にコイル104が巻回され、これにより、コアヨーク103の周囲にコイル104が配置されている。
【0024】
図7は、前記コアヨーク103の分解斜視図であるが、コアヨーク103は、カマボコ形状の1対のコアヨーク片30と、角柱状の1対のコアヨーク片31とが各々同種のコアヨーク片30,31が対向するようにして環状に組み合わされたものである。各コアヨーク片30,31の両端面には、前記ステータヨーク102L,102Rのコア嵌合孔23に嵌入される嵌合凸部30a,31aが夫々凸設されている。各嵌合凸部30a,31aは、すべて同形状であり、図6(a)に示すように、コアヨーク片30,31が環状に組み合わされた場合に、コアヨーク103の軸から半径方向へ同一位置であって、円周方向へ相互に90°異なる位置に配置され、且つ、図6(b)に示すように、コアヨーク103の軸と直交する平面を対称面として対称となる位置に配置される。なお、嵌合凸部30a,31aの形状も任意であり、前記コア嵌合孔23と嵌合可能であれば足りるものである。また、コアヨーク片30,31は公知且つ任意の構成が可能であり、例えば珪素鋼板や電磁鉄材等から作製することができ、また、コアヨーク103を複数の分割片からなるものとせず、フェライト等の粉末焼結材を用いて筒状の一体のものとして作製してもよい。
【0025】
前記ボビン105は、コイル104を巻回するための樹脂製のものであり、図8に示すように、中空軸50の両端にドーナツ形状の円盤51が同軸となるように配設されてなるものである。該中空軸50は、図6に示すように、その外周に前記コイル104が巻回されるとともに中空内に前記コアヨーク103が配設されるようになっている。中空軸50に巻回されたコイル104は、両円盤51に挟まれるようにして巻崩れが防止され、一方、中空軸50内に配設されたコアヨーク103は、両円盤51から前記嵌合凸部30a,31aが突出した状態で固定される。また、円盤51には、外周縁から半径方向へスリット52が形成されており、ボビン105に巻回されたコイル104の内周側の一端を該スリット52から引き出しておくことができるようになっている。
【0026】
図9に示すように、前記コアヨーク103、ボビン105、コイル104が組み付けられ、該コアヨーク103の両端にステータヨーク102L,102Rを嵌合させて、コアヨーク103、コイル104、ボビン105を内包するようにして、コアヨーク103によりステータヨーク102L,103Rを磁気的に連結できるようになっている。これらが一体として、図1に示すように、ハブ軸1にナット等により固定され、本クローポール型発電機100の内側固定子が構成されている。
【0027】
以下、ステータヨーク102L、102Rの組付け方法について説明する。説明の便宜上、円周方向の位置を鉛直方向上側を0°として時計周り90°、180°、270°とし、図5に示すように、前記コアヨーク103の嵌合凸部30aが0°及び180°の方向に、嵌合凸部31aが90°及び270°の方向に位置しているとする。まず、ステータヨーク102L、102Rのいずれか一方、ここではステータヨーク102Lをコアヨーク103の一端側の嵌合凸部30a,31aに任意の位置で嵌合させる。具体的には、ステータヨーク102Lの複数の極片21Lのうち任意の極片21Lを円周方向の位置基準とすれば、該極片21Lが4方向のいずれの方向であってもよい。ここでは仮に、極片21L1が0°の方向となるようにステータヨーク102Lをコアヨーク103の一端側の嵌合凸部30a,31aに嵌合させる。他方のステータヨーク102Rは、コアヨーク103の他端側の嵌合凸部30a,31aに嵌合させるが、ステータヨークの各極片21Rが前記ステータヨーク102Lの各極片21Lと円周方向に交互に並列するようにするために、ステータヨーク102Rを前記ステータヨーク102Lと円周方向に90°異なる位置として嵌合させる。即ち、前記ステータヨーク102Lの円周方向の位置基準である極片21Lと対応するステータヨーク102Rの極片21Rを極片21Rとすれば、該極片21Rが90°の方向、又は270°の方向となるようにコアヨーク103の嵌合凸部30a,31aにステータヨーク102Rを嵌合すればよい。
【0028】
このように、コアヨーク103に初めに嵌合するステータヨーク102Lの円周方向の位置は4方向の自由度があり、その後に嵌合するステータヨーク102Rの円周方向の位置は2方向の自由度があるので、嵌合作業が容易となる。また、ステータヨーク102L、102Rを同形状に、コアヨーク103の嵌合凸部30a,31aを左右両端で同形状にすることができ、2つのステータヨーク102L,102Rの形状を区別することなく、また、コアヨーク103の両端を区別することなく嵌合作業を行うことができ、作業性が向上する。
【0029】
なお、本実施の形態では、コアヨーク103の両端に嵌合凸部30a,31aを各々4箇所に、各ステータヨーク102L,102Rにコア嵌合孔23を各々4箇所に設けたが、例えば、一対のコアヨーク片30,31の各々一方の両端にのみ嵌合凸部30a,31aを設ける等、コアヨーク103の両端各々において、嵌合凸部を円周方向の位置が90°異なるように2箇所にのみ設けることとしてもよい。また、本実施の形態では、コアヨーク103に嵌合凸部30a,31aを、各ステータヨーク102L,102Rにコア嵌合孔23を設けたが、嵌合凸部と嵌合孔(嵌合凹部)とを逆に設けることとしてもよい。
【0030】
以下、本発明の第2の実施の形態に係るクローポール型発電機について説明する。第2の実施の形態に係るクローポール型発電機は、前記コアヨーク103に設けられた嵌合凸部30a,31aに代えて、ボビン106に嵌合凸部63を形成し、各ステータヨーク107L,107Rには、前記コア嵌合孔23に代えて、該嵌合凸部63と嵌合する嵌合スリット73を形成したものである。その他の構成は前記クローポール型発電機100と同様であり、ここでは詳細な説明は省略する。
【0031】
前記ステータヨーク107L,107Rも互いに同形状のものであるので、以下、ステータヨーク107Lを例に、これらの構成を説明する。図10に示すように、ステータヨーク107Lは、円盤部70Lと、該円盤部70Lの周縁から周方向に一定間隔で円盤部70Lの厚み方向へ延設された複数の極片71Lとを具備してなるものである。該円盤部70L及び極片71Lは、前記ステータヨーク102Lの円盤部20L及び極片21Lと同様であり、該極片71Lは、円盤部70Lの外周縁に14極設けられており、円盤部20Lの厚み方向へ略直角に延設されている。該極片71Lも、該極片数Nの2分の1が奇数となるように任意に設定することができる。また、円盤部70Lの中央にはハブ軸1を挿通するための挿通孔72が穿設されており、該挿通孔72から半径方向外側ヘ十字状に嵌合スリット(嵌合凹部)73が形成されている。4つの嵌合スリット73は、すべて同形状であり、円周方向へ相互に90°異なる位置に配設されている。該嵌合スリット73は、後述するボビン106の嵌合凸部63と嵌合するためのものであるが、円盤部70Lの周方向へ渦電流を流れ難くして、渦電流の発生を抑制する作用も発揮する。また、円盤部70の外周縁の4箇所から半径方向にスリット74が形成されているが、該スリット74は、前記ステータヨーク102Lのスリット24と同様のものであり、詳細な説明は省略する。
【0032】
図11は、ボビン106及びコアヨーク108を示すものであるが、図に示すように、前記ボビン106は、中空軸60の両端にドーナツ形状の円盤61が同軸となるように配設されてなり、該中空軸60に、前記コイル104が巻回されるとともに中空内にコアヨーク108が配設されるようになっている。円盤61の一方には、外周縁から半径方向へスリット62が形成されており、ボビン106に巻回されたコイル104の内周側の一端を該スリット62から引き出しておくことができるようになっている。また、両円盤61には、その軸方向へ突出する嵌合凸部63が夫々形成されている。該嵌合凸部63は、図11(a)に示すように、ボビン106の軸から半径方向へ同一位置であって、円周方向へ相互に90°異なる位置に配置されており、且つ、両円盤61において円周方向が同位置となるように、即ち、図11(b)に示すように、中空軸60と直交する平面を対称面として対称となる位置に配置されている。
【0033】
前記コアヨーク108は筒状のものであり、中空部分に前記ハブ軸1を層通可能なものである。該コアヨーク108は公知且つ任意の構成が可能であり、例えばフェライト等の粉末焼結材を用いて作製することができる。このようなコアヨーク108が前記ボビン106の中空軸60に収容され、その両端面で前記ステータヨーク107L,107Rの各円盤部70L,70Rと夫々接触して、ステータヨーク107L,107Rを磁気的に連結することができるようになっている。
【0034】
以下、ステータヨーク107L、107Rの組付け方法について説明する。説明の便宜上、円周方向の位置を鉛直方向上側を0°として時計周り90°、180°、270°とし、図12に示すように、前記ボビン106の嵌合凸部63が0°、90°、180°及び270°の方向に位置しているとする。まず、ステータヨーク107L、107Rのいずれか一方、ここではステータヨーク107Lをボビン106の一端面の嵌合凸部63に任意の位置で嵌合させる。具体的には、ステータヨーク107Lの複数の極片71Lのうち任意の極片71Lを円周方向の位置基準とすれば、該極片71Lが4方向のいずれの方向であってもよい。ここでは仮に、極片71L1が0°の方向となるようにステータヨーク107Lをボビン106の一端面の嵌合凸部63に嵌合させる。他方のステータヨーク107Rは、ボビン106の他端面の嵌合凸部63に嵌合させる。具体的には、前記ステータヨーク107Lの円周方向の位置基準である極片71Lと対応するステータヨーク107Rの極片71Rを極片71Rとすれば、該極片71Rが90°の方向、又は270°の方向となるようにボビン106の嵌合凸部63にステータヨーク107Rを嵌合する。これによりステータヨーク107Lとステータヨーク107Rが、相対的に円周方向の位置が90°異なるように組み合わされる。
【0035】
本実施の形態においても、ボビン106に初めに嵌合するステータヨーク106Lの円周方向の位置は4方向の自由度があり、その後に嵌合するステータヨーク106Rの円周方向の位置は2方向の自由度があるので、嵌合作業が容易となる。また、ステータヨーク107L、107Rを同形状に、ボビン106の嵌合凸部63を左右両端で同形状にすることができ、2つのステータヨーク107L,107Rの形状を区別することなく、また、ボビン106の両端を区別することなく嵌合作業を行うことができ、作業性が向上する。また、ステータヨーク107L、107Rを同形状にすることにより、プレス成形の金型を少なくすることができる。
【0036】
なお、本実施の形態でも、ボビン106の両端各々において、嵌合凸部63を円周方向の位置が90°異なるように2箇所にのみ設けることとしてもよく、また、ボビン106と各ステータヨーク107L,107Rに設ける嵌合凸部と嵌合凹部とを逆に設けることも可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るクローポール型発電機によれば、2つのステータヨークを、各々の極片数Nの2分の1が奇数である同形状のものであって、相対的に円盤部の円周方向に90°異なる位置に位置決めされることにより、前記各極片が円周方向に交互に並列するように組み合わされたものとしたので、各ステータヨークの極片数Nを多くしても、2つのステータヨークの円周方向の位置は90°異なるように位置決めすれば、各極片が等間隔で並列するように組み付けることができる。これにより、ステータヨーク等の加工精度や組付け精度を向上させることなく、ステータヨークの円周方向の位置決めを簡便に行うことができる。また、2つのステータヨークを同形状とすることにより、プレス成形の金型を従来より少なくすることができる。その結果、クローポール型発電機の製造コストを軽減することが可能となる。
【0038】
また、本発明によれば、前記コアヨークの両端に嵌合凸部又は嵌合凹部が設けられ、前記各ステータヨークの円盤部の中央近傍に嵌合凹部又は嵌合凸部が設けられ、該コアヨーク及び各ステータヨークの嵌合凸部又は嵌合凹部が互いに嵌合することにより、コアヨークの両端に、その円周方向の位置を規制するように各ステータヨークが夫々嵌合されたものとしたので、2つのステータヨークの円周方向の位置決めを容易に行うことができる。
【0039】
また、本発明によれば、前記コアヨークは、その両端形状が対称なものであり、該コアヨークの両端面及び前記各ステータヨークの円盤部に、各々少なくとも2以上の前記嵌合凹部又は嵌合凸部が、互いに円周方向に90°異なる位置となるように配設されたので、コアヨークの両端にステータヨークを嵌合させる際に、コアヨークの各端面におけるステータヨークの円周方向の位置の自由度が増して、コアヨークとステータヨークとの嵌合及び両ステータヨークの位置合わせが容易となる。
【0040】
また、本発明によれば、前記クローポール型発電機は、軸周りに前記コイルが巻回されるとともに中空部内に前記コアヨークが配設される中空軸の両端に、2枚の円盤が同軸となるように設けられてなるボビンを備えたものであり、該ボビンの各円盤に嵌合凸部又は嵌合凹部が設けられ、前記各ステータヨークの円盤部に嵌合凹部又は嵌合凸部が設けられ、前記ボビン及び各ステータヨークの各嵌合凸部及び嵌合凹部が夫々嵌合することにより、前記ボビンの各円盤に、その円周方向の位置を規制するように前記各ステータヨークが夫々嵌合されたものとしたので、2つのステータヨークの円周方向の位置決めを容易に行うことができる。
【0041】
また、本発明によれば、前記ボビンは、各円盤形状が対称なものであり、該ボビンの各円盤及び前記各ステータヨークの円盤部に、各々少なくとも2以上の前記嵌合凹部又は嵌合凸部が、互いに円周方向に90°異なる位置となるように配設されたものとしたので、ボビンに各ステータヨークを嵌合させる際に、ボビンの各円盤におけるステータヨークの円周方向の位置の自由度が増して、ボビンとステータヨークとの嵌合及び両ステータヨークの位置合わせが容易となる。
【0042】
また、前記クローポール型発電機を、自転車の車輪のハブ軸に固定されて用いられる自転車用のものとすることにより、小型、軽量であり、且つ自転車の車輪の回転数程度の回転力で照明ランプ用等に十分な電力を安定して発生させるハブダイナモを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自転車の車輪のハブ軸1に固定されたクローポール型発電機100の全体構成を示す正面図である。
【図2】クローポール型発電機100の側面図である。
【図3】永久磁石101の構成を示す側面図である。
【図4】 (a)は、ステータヨーク102Lの正面図であり、(b)は、側面図である。
【図5】ステータヨーク102Lとステータヨーク102Rが組み合わされた状態を示す正面図である。
【図6】 (a)は、コアヨーク103、コイル104、及びボビン105の正面図であり、(b)は、これらの部分断面を示した側面図である。
【図7】コアヨーク103の分解斜視図である。
【図8】ボビン105の斜視図である。
【図9】コアヨーク103、コイル104、及びボビン105とステータヨーク102L,102Rの組付けを説明するための側面図である。
【図10】ステータヨーク107Lの正面図である。
【図11】 (a)は、コイル104、ボビン106、及びコアヨーク108の構成を示す正面図であり、(b)は、これらの部分断面を示した側面図である。
【図12】ステータヨーク107Lとステータヨーク107Rが組み合わされた状態を示す正面図である。
【符号の説明】
1 ハブ軸
100 クローポール型発電機
101 永久磁石
102L,102R,107L,107R ステータヨーク
103,108 コアヨーク
104 コイル
105,106 ボビン
20L,20R,70L,70R 円盤部
21L,21R,71L,71R 極片
23 コア嵌合孔(嵌合凹部)
30a,31a 嵌合凸部
61 円盤
63 嵌合凸部
73 嵌合スリット(嵌合凹部)

Claims (4)

  1. 環状に配置された永久磁石と、円盤部と該円盤部の円周方向に一定間隔で突設された複数の爪状の極片とを夫々有し、前記永久磁石の内側に配置された2つのステータヨークと、前記2つのステータヨークを磁気的に連結するコアヨークと、前記コアヨークの周囲に配置されたコイルと、を具備してなるクローポール型発電機において、
    前記2つのステータヨークは、各々の極片数N(Nは6以上の偶数)の2分の1が奇数である同形状のものであって、相対的に円盤部の円周方向に90°異なる位置に位置決めされることにより、前記各極片が円周方向に交互に並列するように組み合わされたものであり、前記円盤部の中央近傍には、嵌合凸部又は嵌合凹部が設けられ、
    前記コアヨークは、その両端に嵌合凹部又は嵌合凸部が設けられ、
    該コアヨーク及び各ステータヨークの嵌合凸部又は嵌合凹部が互い嵌合することにより、前記コアヨークの両端に、その円周方向の位置を規制するように各ステータヨークが夫々嵌合されたことを特徴とするクローポール型発電機。
  2. 前記コアヨークは、その両端形状が対称なものであり、該コアヨークの両端面及び前記各ステータヨークの円盤部に、各々少なくとも2以上の前記嵌合凹部又は嵌合凸部が、互いに円周方向に90°異なる位置となるように配設されたことを特徴とする請求項1記載のクローポール型発電機。
  3. 環状に配置された永久磁石と、円盤部と該円盤部の円周方向に一定間隔で突設された複数の爪状の極片とを夫々有し、前記永久磁石の内側に配置された2つのステータヨークと、前記2つのステータヨークを磁気的に連結するコアヨークと、前記コアヨークの周囲に配置されたコイルと、を具備してなるクローポール型発電機において、
    軸周りに前記コイルが巻回されるとともに中空部内に前記コアヨークが配設される中空軸の両端に、2枚の円盤が同軸となるように設けられてなるボビンを備え、
    該ボビンは、各円盤形状が対称なものであり、該ボビンの各円盤に嵌合凸部又は嵌合凹部が設けられ、
    前記2つのステータヨークは、各々の極片数N(Nは6以上の偶数)の2分の1が奇数である同形状のものであって、前記円盤部に嵌合凹部又は嵌合凸部が設けられ、
    前記ボビンの各円盤及び前記各ステータヨークの円盤部に、各々少なくとも2以上の嵌合凹部又は嵌合凸部が、互いに円周方向に90°異なる位置となるように配設され
    前記ボビン及び前記各ステータヨークの各嵌合凸部及び嵌合凹部が夫々嵌合することにより、前記ボビンの各円盤に、相対的に前記円盤部の円周方向に90°異なる位置に位置決めされるように前記各ステータヨークが夫々嵌合されるとともに、前記各極片が円周方向に交互に並列するように組み合わされたものであることを特徴とするクローポール型発電機。
  4. 前記クローポール型発電機は、自転車の車輪のハブ軸に固定されて用いられる自転車用のものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のクローポール型発電機。
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