JP4203350B2 - 管継手の解体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、管継手の解体装置、特に、ロックリングの拡径と挿し口の引き抜きとを簡素化することによって、管継手を容易に解体することができる、管継手の解体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
曲り管同士を接合する管継手の構造を、図面を参照しながら説明する。
【0003】
図10は、挿し口が挿入途中の管継手を示す正面図、図11は、管継手を示す部分断面図、図12は、受け口の部分斜視図である。
【0004】
図10から図12において、1は、一方の管、2は、一方の管の挿し口であり、その先端には、突起2Aが形成されている。3は、挿し口2の外周面にその周方向に間隔をあけて形成された複数個の板状突部、4は、所定の突部3の後端(挿し口の先端側端部と反対側の端部)面上に形成された管押し込み用突起であり、この例では一つおきに形成されている。
【0005】
5は、一方の管1に接合される他方の管、6は、他方の管5の受け口であり、その端部内周面には、図12に示すように、環状溝6Aが形成され、環状溝6Aには、間隔をあけ且つ突部3と対応させて、複数個のボルト孔6Bが貫通して形成されている。7は、環状溝6A内に弾性体7Aと交互に収容された、板状突部3を押圧する円弧状押圧部材である。押圧部材7は、弾性体7Aに挟まれているので、後述するボルト8を緩めても自重により落下しないようになっている。8は、ボルト孔6Bに螺合するボルトであり、ボルト8によって押圧部材7を介して挿し口2と受け口6とが固定される。9は、挿し口2と受け口6との間に挿入されたゴム輪等からなるシール部材、10は、受け口6に形成されたロックリング用溝6C内に弾性部材11を介して嵌め込まれた拡縮径可能なロックリングである。
【0006】
上述した管継手においては、管押し込み用突起4を利用して管押し込み治具により挿し口2を受け口6内に挿入した後、ボルト8を締めれば、押圧部材7を介して挿し口2と受け口6とが固定される。そして、地震等により管継手部に圧縮力が作用した場合には、挿し口2の先端が受け口6に当接するまで、管継手部の収縮が可能となり、一方、管継手部に引っ張り力が作用した場合には、挿し口2の突起2Aがロックリング10に当接するまで、管継手部の伸長が可能となって、耐震管としての機能を果たす。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した管継手において、継手を解体するには、すなわち、受け口6内から挿し口2を抜き取るには、受け口6内に治具を挿入してロックリング10を拡径した状態に保持し、この状態で挿し口2を抜き取る必要があった。
【0008】
しかしながら、この作業は、複雑で時間と手間を要していた。
【0009】
従って、この発明の目的は、ロックリングの拡径と挿し口の引き抜きとを簡素化することによって、管継手の解体作業が容易に行える、管継手の解体装置を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、周方向に間隔をあけて板状突部が形成され、前記突部に管押し込み用突起が形成された、一方の管の挿し口が、他方の管の受け口内に挿入され、前記挿し口と前記受け口との間に、シール部材とロックリングとが設けられ、前記ロックリングは、管継手に引き抜き力が作用した時に、前記挿し口と前記受け口とに係合する、プッシュオンタイプの管継手の解体装置において、前記突部間から前記受け口内に挿入される矢板と、前記一方の管にその管軸方向に移動可能に取り付けられる矢板挿入リングと、前記他方の管と前記矢板挿入リングとの間に取り付けられる前記挿し口の引き抜き手段とを備え、前記引き抜き手段を収縮させることによって、前記矢板は、前記受け口内に挿入されて前記ロックリングが拡径され、前記管押し込み用突起を前記矢板挿入リングに固定した後、前記挿し口引き抜き手段を伸長させることによって、前記挿し口は、前記受け口から引き抜かれることに特徴を有するものである。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、引き抜き手段は、シリンダからなることに特徴を有するものである。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明は、矢板挿入リングは、管押し込み用突起の収容部を有し、前記収容部は、管押し込み用突起が抜け出ないように、閉塞部材よって閉塞されることに特徴を有するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の、管継手の解体装置の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、この発明の、管継手の解体装置を装着した管継手を示す斜視図、図2は、この発明の、管継手の解体装置の矢板挿入リングを示す斜視図、図3は、矢板の挿入前の管継手を示す部分断面図、図4は、矢板の挿入後の管継手を示す部分断面図、図5は、矢板挿入リングの収容部に収容された管押し込み用突起および閉塞部材を示す斜視図、図6は、閉塞部材により閉塞された、矢板挿入リングの収容部を示す斜視図、図7は、管押し込み用突起が矢板挿入リングの収容部に収容された管継手を示す部分断面図、図8は、挿し口が受け口から引き抜かれた管継手を示す部分断面図、図9は、この発明の、管継手の解体装置の矢板を示す斜視図である。
【0015】
図1から図9において、1は、一方の管、2は、一方の管の挿し口であり、その先端には、突起2Aが形成されている。3は、挿し口2の外周面にその周方向に間隔をあけて形成された複数個の板状突部、4は、所定の突部3の後端(挿し口の先端側端部と反対側の端部)面上に形成された管押し込み用突起であり、この例では一つおきに形成されている。
【0016】
5は、一方の管1に接合される他方の管、6は、他方の管5の受け口であり、その端部には、図12に示すように、環状溝6Aが形成され、環状溝6Aには、間隔をあけ且つ突部3と対応させて、複数個のボルト孔6Bが貫通して形成されている。7は、環状溝6A内に弾性体7Aと交互に収容された、板状突部3を押圧する円弧状押圧部材である。押圧部材7は、弾性体7Aに挟まれているので、後述するボルト8を緩めても自重により昇降しないようになっている。8は、ボルト孔6Bに螺合するボルトであり、ボルト8によって押圧部材7を介して挿し口2と受け口6とが固定される。9は、挿し口2と受け口6との間に挿入されたゴム輪等からなるシール部材、10は、受け口6に形成されたロックリング用溝6C内に弾性部材11を介して嵌め込まれた拡縮可能なロックリングである。
【0017】
12は、隣接する板状突部3間から受け口6内に挿入される矢板である。図4に示すように、矢板12の板厚(T1)は、ロックリング10をこれが挿し口2の突起2Aに係合しないように拡径させるために、突起2Aの高さ寸法(T2)と同等またはそれ以上になっている。図9に示すように、矢板12の先端12Aは、受け口6内に挿入されやすくするために鋭角に形成され、後端12Bは、後述する矢板挿入リング13の溝に挿入されやすくするために傾斜している。
【0018】
13は、矢板挿入リングである。矢板挿入リング13は、図1に示すように、半割りに形成され、ボルト14によって、一方の管1にその管軸方向に移動可能に取り付けられる。図2に示すように、矢板挿入リング13の挿し口2の先端側の端面には、管押し込み用突起4が収容される収容部13Aが突起4位置と対応させて形成されている。収容部13Aの対向面には、後述する閉塞部材18が嵌め込まれる溝13Bが形成されている。矢板挿入リング13の挿し口2の先端側の端面内周側には、環状溝13Cが形成されている。環状溝13Cの板状突部3に対応する位置には、切り欠き13Dが形成されている。
【0019】
15は、引き抜き手段としての、例えば、油圧式シリンダである。シリンダ15は、ボルト16により連結される半割りに形成された固定部材17により、受け口6と矢板挿入リング13との間に取り付けられる。シリンダ15の収縮によって矢板12が受け口6内に挿入され、シリンダ15の伸長によって挿し口2が受け口6内から引き抜かれる。
【0020】
18は、収容部13Aを閉塞する閉塞部材である。閉塞部材18は、収容部13A内に管押し込み用突起4が収容された後、突起4が収容部13Aから抜け出ないように、収容部13Aの溝13Bに差し込むことによって、収容部13Aを閉塞する。
【0021】
以上のように構成されている、この発明の、管継手の解体装置によれば、以下のようにして、挿し口2が受け口6内から引き抜かれて管継手が解体される。
【0022】
先ず、図3に示すように、ボルト8を緩めて、押圧部材7をフリーにする。次に、矢板挿入リング13を一方の管1に装着すると共に、シリンダ15を他方の管5の受け口6に装着して、シリンダ15を矢板挿入リング13に固定する。次いで、矢板12を板状突部3間に乗せ、その先端12Aを受け口6内に挿入する。矢板12の先端12Aは、押圧部材7がフリーになっているので、容易に受け口6の入口内に挿入できる。この際、矢板12を挿入できるように、シリンダ15を伸長させておく。次いで、図3に示すように、矢板12の後端12Bが矢板挿入リング13の環状溝13C内に入り込むように、シリンダ15を若干縮める。
【0023】
このようにして、各矢板12のセットが完了したら、図3の矢印方向に、シリンダ15を収縮させる。これによって、図4に示すように、矢板12の先端12Aは、挿し口2の外周面上に沿ってシール部材9と挿し口2との間を、シール部材9を押しのけながら通過し、さらに、ロックリング10と挿し口2との間に入り込む。矢板12は、その先端が鋭角に形成されているので、容易に挿入可能である。これによって、ロックリング10は、弾性部材11の弾性力に抗して押し広げられ拡径する。このようにして、ロックリング10が拡径するが、矢板12の板厚(T1)は、挿し口2の突起2Aの高さ寸法(T2)と同等かそれ以上になっているので、挿し口2を受け口6から引き抜いた時に、突起2Aがロックリング10に係合することはない。なお、押圧部材7は、上述したように、弾性体7Aと交互に環状溝6A内に挿入されているので、自重で落下することはない。従って、突起2Aと係合することはない。
【0024】
このようにして、シリンダ15の収縮により矢板挿入リング13が受け口6側に移動すると、図7に示すように、管押し込み用突起4は、矢板挿入リング13の収容部13A内に収容される。このようにして、突起4が収容部13A内に収容されたら、図5および図6に示すように、閉塞部材18を収容部13Aの溝13B内に差し込んで収容部13Aを閉塞して、突起4が収容部13A内から抜け出ないようにする。
【0025】
次いで、図8の矢印方向に、シリンダ15を伸長させる。これにより、挿し口2は、受け口6内から引き抜かれる。この際、各矢板12も挿し口2の突起2Aに係合することによって挿し口2と共に、受け口6内から引き抜かれる。突起2Aは、拡径されているので、ロックリング10と係合することはない。
【0026】
このようにして、挿し口2が受け口6内から引き抜かれて、管継手が容易且つ確実に解体される。
【0027】
この発明は、曲がり管以外に直管の管継手にも適用可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、矢板を挿し口にセットした後、シリンダを操作して矢板挿入リングを挿し口に沿って往復移動させるのみで、ロックリングの拡径と挿し口の引き抜きとが行えるので、管継手を容易に解体することができるといった有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の、管継手の解体装置を装着した管継手を示す斜視図である。
【図2】この発明の、管継手の解体装置の矢板挿入リングを示す斜視図である。
【図3】矢板の挿入前の管継手を示す部分断面図である。
【図4】矢板の挿入後の管継手を示す部分断面図である。
【図5】矢板挿入リングの収容部に収容された管押し込み用突起および閉塞部材を示す斜視図である。
【図6】閉塞部材により閉塞された、矢板挿入リングの収容部を示す斜視図である。
【図7】管押し込み用突起が矢板挿入リングの収容部に収容された管継手を示す部分断面図である。
【図8】挿し口が受け口から引き抜かれた管継手を示す部分断面図である。
【図9】この発明の、管継手の解体装置の矢板を示す斜視図である。
【図10】挿し口が挿入途中の管継手を示す正面図である。
【図11】管継手を示す部分断面図である。
【図12】受け口の部分斜視図である。
【符号の説明】
1:一方の管
2:挿し口
2A:突起
3:板状突部
4:管押し込み用突起
5:他方の管
6:受け口
6A:環状溝
6B:ボルト孔
6C:ロックリング用溝
7:押圧部材
7A:弾性体
8:ボルト
9:シール部材
10:ロックリング
11:弾性部材
12:矢板
12A:矢板の先端
12B:矢板の後端
13:矢板挿入リング
13A:収容部
13B:閉塞部材挿入用溝
13C:環状溝
13D:切り欠き
14:ボルト
15:シリンダ
16:ボルト
17:固定部材
18:閉塞部材
Claims (3)
- 周方向に間隔をあけて板状突部が形成され、前記突部に管押し込み用突起が形成された、一方の管の挿し口が、他方の管の受け口内に挿入され、前記挿し口と前記受け口との間に、シール部材とロックリングとが設けられ、前記ロックリングは、管継手に引き抜き力が作用した時に、前記挿し口と前記受け口とに係合する、プッシュオンタイプの管継手の解体装置において、
前記突部間から前記受け口内に挿入される矢板と、前記一方の管にその管軸方向に移動可能に取り付けられる矢板挿入リングと、前記他方の管と前記矢板挿入リングとの間に取り付けられる前記挿し口の引き抜き手段とを備え、前記引き抜き手段を収縮させることによって、前記矢板は、前記受け口内に挿入されて前記ロックリングが拡径され、前記管押し込み用突起を前記矢板挿入リングに固定した後、前記挿し口引き抜き手段を伸長させることによって、前記挿し口は、前記受け口から引き抜かれることを特徴とする、管継手の解体装置。 - 前記引き抜き手段は、シリンダからなることを特徴とする、請求項1記載の、管継手の解体装置。
- 前記矢板挿入リングは、前記管押し込み用突起の収容部を有し、前記収容部は、前記管押し込み用突起が抜け出ないように、閉塞部材よって閉塞されることを特徴とする、請求項1または2記載の、管継手の解体装置。
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