JP4203212B2 - スローアウェイ式ボールエンドミル - Google Patents
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- B23C5/10—Shank-type cutters, i.e. with an integral shaft
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスローアウェイ式ボールエンドミルに関する。
【0002】
【従来の技術】
エンドミルはスライス工具の一種で、外周に切れ刃があって底面削り、側面削り、輪郭倣い削り、溝削りなど広範囲の用途をもっている。このエンドミルのうち、刃先交換式(スローアウェイ式)エンドミルは、刃先交換式チップを工具先端に取り付けて使用され、金型加工や部品加工における種々の形状に合わせて選択される。
【0003】
そのうち、チップ切れ刃がR形状のボールエンドミルは、金型などの3次元加工で突き加工を含むあらゆる方向に加工ができる工具であり、仕上げ用ボールエンドミルとしては、一枚のチップを工具先端に挟み込んで固定し、刃径公差やR精度を高精度にしたタイプが主流となっている。
【0004】
すなわち、図4および図5に示すように、このようなスローアウェイ式ボールエンドミルでは、エンドミル本体11の先端部に二つのクランプ片12、12を対向して設け、この二つのクランプ片12、12間にチップ13を配設してクランプ螺子14で固定していた。
【0005】
この場合、高精度な仕上げ加工を行なうためには、刃径公差やR精度を高精度にする必要があり、そのために例えば実開平6−53012号公報では、エンドミル本体11におけるチップ13の拘束面15をV字状にし、チップ13の取付け時の精度を上げることで加工物に対する仕上げ精度を向上させるようにしていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来のスローアウェイ式ボールエンドミルでは、図6および図7に示すように、寸法誤差によってクランプ穴16の内径がクランプ螺子14の外径よりもかなり大きくなった場合、チップ13の取付け時や切削加工中にチップ13が移動し、高精度な仕上げ加工ができないという問題があった。
【0007】
また、切削加工中にチップ13が移動すると、チップ13の欠損やビビリが発生し、切削作業を中断したりしなければならず、作業効率が悪いという問題があった。なお、図6はチップ13の正常な取付け状態を示し、図7はチップ13が位置づれしたときの状態を示す。
【0008】
このような取付け時や切削加工中におけるチップ13の移動を防止するためには、クランプ穴16やクランプ螺子14の寸法公差を厳密にしなければならず、製造歩留りの低下によって製造コストが上昇するなどの問題を誘発する。
【0009】
さらに、チップ13は超硬合金、サーメット、セラミックなどで形成される反面、クランプ螺子14は炭素鋼や合金鋼で形成されることから、チップ13の付け外しを繰り返して行なうと、クランプ螺子14が磨耗し、チップ13の取付け精度が低くなるという問題があった。
【0010】
本発明はこのような従来装置の問題点に鑑みてなされたものであり、チップの取付け時や切削加工中にチップが移動して高精度な仕上げ加工ができなかったり、チップの欠損やビビリが発生したり、製造歩留りが低下したり、使用を繰り返すうちにチップの取付け精度が低下するという従来の問題点を解消したスローアウェイ式ボールエンドミルを提供することを目的とする。
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に係るスローアウェイ式ボールエンドミルは、ボールエンドミル本体の先端部に、二つのクランプ片を対向するように設け、このクランプ片間に前記ボールエンドミル本体に当接するようにクランプ穴を有する切削チップを配設して、前記クランプ片の一方側から前記クランプ穴を貫通して前記クランプ片の他方側にクランプ螺子を螺合して前記切削チップを固定するスローアウェイ式ボールエンドミルにおいて、前記切削チップは、前記クランプ穴の内壁と前記クランプ螺子との間に位置するとともに該クランプ螺子の貫通により変形した金属部材によって、前記クランプ穴の直径方向の両端において前記クランプ螺子と密着している。
【0012】
上記スローアウェイ式ボールエンドミルでは、前記金属部材が銅もしくはアルミニウムまたはこれら金属との合金から成ることが望ましい。
【0013】
また、上記スローアウェイ式ボールエンドミルでは、前記ボールエンドミル本体は、前記切削チップと当接する拘束面の一部を除去した切除部を有し、前記切削チップは、前記切除部に当接するよう鉤状に形成された当接部を有することが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施例を図面に基づいて説明する。図1は各請求項に係るスローアウェイ式ボールエンドミルの切削チップ部分を示す図、図2は同じく断面図である。
【0015】
図1および図2において、1はボールエンドミル本体、2は切削チップ、3はクランプ螺子、4はクランプ片、5はクランプ穴である。
【0016】
エンドミル本体1は、断面が円形、楕円形あるいは多角形で、先端の両側に二つのクランプ片4、4が本体1の長さ方向で対向するように設けられている。
【0017】
二つのクランプ片4、4は、切削チップ2の厚みと略同一か若干広くなるように、所定の間隔をもって形成されている。また、その長さは、先端部および周縁部から切削チップ2が若干はみ出るように形成される。
【0018】
この二つのクランプ片4、4の一方側にはクンラプ螺子3が挿通するねじ穴6aが設けられ、他方側のクランプ片4にはクランプ螺子が螺合されるねじ穴6aが設けられている。
【0019】
このクランプ片4の先端部は、後述する切削チップ2がこのクランプ片4の先端部から略均等に突出するように、円弧状に設けられている。
【0020】
エンドミル本体1は二つのクランプ片4、4の間に位置するチップ当接部1aが切削チップ2が取り付けられたときの切削チップ2の拘束面となるように平面状に形成されている。
【0021】
このエンドミル本体1は、例えば炭素鋼鋼材などで形成される。
【0022】
切削チップ2の一方端側がエンドミル本体1のクランプ片4、4部分から若干突出するように円弧状に形成された切刃部分2aと、この切刃部分2aに連続して形成され、クンランプ片4、4内のエンドミル本体1の平面部1aに当接するように直線状に形成された底部2bとで構成される。
【0023】
この底部2bがエンドミル本体1の拘束面1aに当接して位置決めされる。この拘束面1aの一端部側を切り欠いた切除部を設け、この切除部に切削チップ2の下端部の一部が突出した突出部2cを形成し、切削チップ2の下端側が鉤状となるように形成する。このように切削チップ2の拘束面のこような鉤状に形成することで、切削チップ2をボールエンドミル本体に安定して固定することができる。
【0024】
切削チップ2の略中央部にはクランプ螺子3でクランプ片4、4部分に切削チップ2を固定するためのクランプ穴5が設けられている。
【0025】
この切削チップ2は、例えば超硬合金、サーメット、コーティング超硬合金、セラミックス、或いは超高圧焼結体などから成る。
【0026】
このクランプ穴5部分には、銅またはアルミニウムもしくはこれら金属の合金などから成る金属部材7が配設されている。この金属部材7は、銅またはアルミニウムもしくはこれらの合金に限らず、鉛、ニッケル、亜鉛、またはそれぞれの合金で形成してもよい。この金属部材7は、例えば硬度HRF90以下のもので形成される。
【0027】
図3(a)(b)に金属部材を示す。図3(a)は金属部材を一方端から見た図であり、図3(b)は側面から見た図である。この金属部材7は、切削チップ2と略同一長さを有し、クランプ穴5に挿入する際に、その外径が小さくなるように壁面の一部に割り7bが設けられている。また、その内径は、クランプ螺子3の外径と略同一か若干小径の螺子貫通穴7aが形成されている。この金属部材7は例えば厚み0.5〜2.0mm程度のもので形成される。
【0028】
この金属部材7は、クランプ穴5に圧入される。すなわち、金属部材7の外径はクランプ穴5より若干(直径で0.01〜0.1mm程度)大きく形成し、プラスチックハンマーで打ち込む。
【0029】
クランプ螺子3は例えば炭素鋼または合金鋼などで形成される。
【0030】
このようなエンドミル本体1と切削チップ2との構成において、二つのクランプ片4、4間に切削チップ2を挟んで一方のクランプ片4側から切削チップ2のクランプ穴2aを貫通して他方のクランプ片4の螺子穴6bに、クランプ螺子3を螺合することによって切削チップ2を固定する。この場合、クランプ螺子3がクランプ穴5を貫通する際に、黄銅やアルミニウムなどから成る軽合金が変形し、クランプ穴5とクランプ螺子3との間に隙間がないようにクランプ螺子3で切削チップ2を固定することができる。
【0031】
したがって、切削チップ2の鉤状部2cをエンドミル本体1の拘束面1aに当接した状態で切削チップ2のクランプ穴5にクランプ螺子3を挿入して固定すると、それ以降切削チップ2が位置ずれすることはなく、切削チップ2の取付けの位置精度を向上させることができる。
【0032】
このように、切削チップ2が一旦固定された後には、クランプ穴5とクランプ螺子3との間に隙間がないことから、切削作業中に、ビビリや振れが発生することもない。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係るスローアウェイ式ボールエンドミルによれば、前記切削チップは、前記クランプ穴の内壁と前記クランプ螺子との間に位置するとともに該クランプ螺子の貫通により変形した金属部材によって、前記クランプ穴の直径方向の両端において前記クランプ螺子と密着していることから、クランプ穴とクランプ螺子の隙間がなくなり、切削チップをエンドミル本体の拘束面に正確に位置合わせして固定することができ、切削チップの取付け位置の精度を向上させることができる。また、軽合金が緩衝材となり、加工中のチップの動きが抑えられ、チップが動くことによる欠損やビビリを防止することができ、被切削材の切削の仕上げ精度を向上させることができる。さらに、クランプ螺子の磨耗を防止することができ、取付け精度を長く維持できる。
【0034】
また、請求項3に係るスローアウェイ式ボールエンドミルによれば、前記ボールエンドミル本体は、前記切削チップと当接する拘束面の一部を除去した切除部を有し、前記切削チップは、前記切除部に当接するよう鉤状に形成された当接部を有することから、切削チップ2をボールエンドミル本体に安定して固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各請求項に係るスローアウェイ式ボールエンドミルの一実施形態を示す図である。
【図2】各請求項に係るスローアウェイ式ボールエンドミルの一実施形態を示す断面図である。
【図3】請求項1に係るスローアウェイ式ボールエンドミルに用いられる金属部材を示す図であり(a)は一端部側からみた図、(b)は側面側から見た図である。
【図4】従来のスローアウェイ式ボールエンドミルを示す図である。
【図5】従来の他のスローアウェイ式ボールエンドミルを示す図である。
【図6】従来のスローアウェイ式ボールエンドミルにおける切削チップ部分を拡大して示す図である。
【図7】従来のスローアウェイ式ボールエンドミルにおいて、切削チップに位置ずれが生じた状態を示す図である。
【符号の説明】
1:ボールエンドミル、2:切削チップ、3:クランプ螺子、4:クランプ片、5:クランプ穴
Claims (4)
- ボールエンドミル本体の先端部に、二つのクランプ片を対向するように設け、このクランプ片間に前記ボールエンドミル本体に当接するようにクランプ穴を有する切削チップを配設して、前記クランプ片の一方側から前記クランプ穴を貫通して前記クランプ片の他方側にクランプ螺子を螺合して前記切削チップを固定するスローアウェイ式ボールエンドミルにおいて、
前記切削チップは、前記クランプ穴の内壁と前記クランプ螺子との間に位置するとともに該クランプ螺子の貫通により変形した金属部材によって、前記クランプ穴の直径方向の両端において前記クランプ螺子と密着していることを特徴とするスローアウェイ式ボールエンドミル。 - 前記金属部材が銅もしくはアルミニウムまたはこれら金属との合金から成ることを特徴とする請求項1に記載のスローアウェイ式ボールエンドミル。
- 前記ボールエンドミル本体は、前記切削チップと当接する拘束面の一部を除去した切除部を有し、
前記切削チップは、前記切除部に当接するよう鉤状に形成された当接部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のスローアウェイ式ボールエンドミル。 - ボールエンドミル本体の先端部に、二つのクランプ片を対向するように設け、このクランプ片間に前記ボールエンドミル本体に当接するようにクランプ穴を有する切削チップを配設して、前記クランプ片の一方側から前記クランプ穴を貫通して前記クランプ片の他方側にクランプ螺子を螺合して前記切削チップを固定する取り付け方法において、
金属部材が挿入された前記クランプ穴に前記クランプ螺子を貫通させることにより、前記金属部材を変形させ、前記クランプ穴の内壁と前記クランプ螺子との隙間を埋めることを特徴とする取り付け方法。
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