JP4202413B2 - ペル酸素組成物 - Google Patents

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Description

本発明はペル酸素(peroxygen)組成物に関する。より詳しくは、本発明は、過酸の溶液、さらに詳しくは、エステル過酸(ester peracid)の溶液に関する。
周知のように、ある種の化合物は非常に強力な殺菌効果を発揮し、そのため、いろいろな種類の用途、特に家庭および産業における硬質表面(hard surface)の消毒における消毒剤としての使用に適したものとなっている。もっとも普通に使用される化合物の一つは次亜塩素酸ナトリウム溶液である。これは低価格で容易に入手することができ、かつ短い接触時間で消毒剤として相当の有効性を示すからである。しかし、近年、次亜塩素酸塩溶液の使用によって生じうる環境に関する結果、たとえば塩素化有機化合物たとえばトリハロメタンの生成の可能性、に対して表明される関心がますます増大しており、したがって代替消毒剤を見つけ出す試みがなされている。
これまで次亜塩素酸塩消毒剤の代替物としての使用が提案されている一群の薬品は、有機ペル酸素化合物特に脂肪族C1〜C3過酸たとえば過酢酸から成る。これらの脂肪族過酸(aliphatic peracid)は非常に有効な殺菌剤であるが、人によってはその臭いが不快あるいは刺激的であると感じるため、消毒剤を人のいるまわりで使用することが考えられる用途に関しては、代替消毒剤を見つけることが望ましい。
多くの消毒剤組成物特に家庭用の消毒剤は消毒剤の濃厚溶液を使用しており、使用に際して必要濃度まで希釈される。多くのそのような濃厚溶液においては、有機溶剤に比して、低価格、入手の容易さ、安全な取扱いの容易さがあるため、水が溶剤として使用される。消毒剤は濃厚溶液中で単一相の系をなしているのが明らかに望ましい。そうすれば、使用時に溶液を攪拌する必要がないからである。単一相系の生成により、消毒剤が組成物全体にわたって不均一に分布する可能性が低下し、したがって消毒剤の不適切または過剰な使用の可能性が低下する。
先行技術においてはエステル過酸が知られている。たとえば、欧州特許公開第EP−A−0 166 571号明細書では、漂白および洗濯用途のための、一般式、〔RX〕m AOOHのエステル過酸の使用が教示されている。この式において、Rはヒドロカルビルまたはアルコキシル化ヒドロカルビル、Xはヘテロ原子成分好ましくは酸素、Aは一つまたは二つのカルボニル基を含むいろいろな種類の有機成分、mは1または2である。
欧州特許公開第EP−A−0 426 217号明細書は、漂白および洗浄設備のための、一般式 X−O2C−A−CO3Hのエステル過酸の使用を教示している。この式において、AはC1〜C12のアルキル、アリール、またはアルカリール(alkaryl)基であり、Xは随意にヘテロ原子を含むC1〜C20のアルキル、アリール、アルキルアリール基である。
フランス特許出願第2324626号明細書とNedelecらの論文(Synthesis,1976,pp821−3)とはいずれも、有機溶剤中での酸塩化物と過酸化水素との反応によるエステル過酸の製造と分離の方法を教示している。
C.Lionらの論文(Bull.Soc.Chim.Belg.1991,100,pp555−559)は、高濃度の硫酸の存在下でエステル酸(ester acid)と過酸化水素とを反応させ、氷中に急冷することによる、エステル過酸の製造と分離を開示している。そのようにして製造されたエステル過酸はアルカリ性水溶液中で毒性の有機リン化合物を分解させるのに使用される。
どの先行技術の文献も、本発明の貯蔵安定なエステル過酸酸性水溶液、またはそのようなエステル過酸の溶液の消毒剤としての使用について、明確には開示していない。
本発明の目的は、新しい貯蔵安定なエステル過酸酸性水溶液を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、C1〜C3脂肪族過酸に比して低臭気の過酸殺菌剤を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、貯蔵安定なエステル過酸酸性水溶液の製造方法を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、低臭気の過酸を用いる殺菌溶液を提供することである。
本発明によれば、一般式、
Figure 0004202413
を有し、Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示し、xが1〜4である、少なくとも1種のエステル過酸を含み、1〜4未満のpHを有し、しかも前記エステル過酸が溶液の0.08〜15重量%の量で存在する貯蔵安定な酸性平衡水溶液が提供される。
本発明のもう一つの側面によれば、一般式
Figure 0004202413
を有し、xが1〜4であり、Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す、一つ以上のカルボキシル化合物の水溶液を、4よりも小さく、好ましくは3以下のpHにおいて、溶液の0.08〜15重量%の量でエステル過酸が生成されるまで、無機ペル酸素化合物と接触させ、そのあと、生成されるエステル過酸溶液のpHが1よりも小さい場合には、そのpHを1〜4未満の範囲に調節することから成ることを特徴とする、少なくとも一つのエステル過酸から成る貯蔵安定な酸性水溶液を製造する方法、が提供される。
本発明による酸性水溶液は、一般化学式、
Figure 0004202413
を有し、Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示し、xが1〜4である、と定義される少なくとも1種のエステル過酸を含む。Rが3または4個の炭素原子を有する場合、アルキル基は線状または枝分かれとすることができる。すなわち、アルキル基はn−プロピルもしくはイソプロピル、またはn−ブチル、イソブチル、もしくはt−ブチルとすることができる。好ましくは、Rはメチル基である。多くの場合、xの値は2、3、または4である。
特定実施態様において、本発明による溶液は、xが2、3、および4であるエステル過酸の混合物、すなわち過アジピン酸、過グルタル酸、および過コハク酸のモノエステルの混合物、から成る。特に好ましい実施態様において、組成物中に存在するエステル過酸の主要部分はx=3を有する。
本発明による溶液は1〜5好ましくは1.5〜4の範囲のpHを有する。ある種の実施態様においては、溶液のpHは1.75よりも大きい。また、2よりも大きく、たとえば2.5以上とすることができる。ある種の実施態様においては、3〜3.5の範囲のpHが有効でありうる。本発明によるエステル過酸溶液は、水溶液中に平衡混合物として存在し、その場合、エステル過酸は水、過酸化水素、および過酸化されていない酸と平衡している。この平衡は下記の一般反応式に従う。
Figure 0004202413
この式において、Rは水素または有機基を示す。容易にわかるように、一つの成分の濃度が固定されている場合、個々の成分の相対濃度を大きな範囲にわたって変え、しかも平衡にあるようにすることができる。エステル過酸の溶液が平衡にない場合、化学反応が起って、混合物の組成が平衡組成物の組成に向かって変化する。
本発明による溶液は貯蔵安定性という利点を有する。すなわち、溶液のエステル過酸成分の活性が、長い貯蔵期間にわたって維持される。用途に応じて、必要な貯蔵安定度は、何日という期間たとえば10日以上から、数週間の期間たとえば4週間以上、また数ヵ月の期間たとえば3ヵ月以上までにも変化しうる。
使用または貯蔵の場合に、エステル過酸は溶液中に0.08〜15重量%、好ましくは0.08〜5重量%の合計濃度で存在する。容易にわかるように、貯蔵および/または輸送用のエステル過酸溶液は、また使用組成物の製造のために希釈が使用される場合は特に、しばしば、少なくとも0.08wt%のエステル過酸、好ましくは少なくとも1wt%のエステル過酸を含む。
過酸化されていないエステル酸の合計濃度は、一般に溶液の約15wt%以下、しばしば約0.05〜約10wt%、もっともしばしば約1〜約9wt%であるが、ある種の実施態様においては、30wt%までの濃度が使用できる。
過酸化水素は一般に30wt%以下の濃度で溶液中に存在し、ある種の実施態様においては、15〜25wt%の範囲の濃度たとえば約20wt%が特に良好な結果を与える。他の実施態様においては、過酸化水素の濃度はしばしば約0.5〜約15wt%であり、さらにしばしば約1〜約10wt%である。
本発明による溶液中の随意成分としては、安定剤、不活性無機塩、界面活性剤、染料、香料、腐食防止剤があり、また増粘が他の目的のために存在する成分の組合せによっては達成されない場合の増粘剤がある。随意成分は大きな範囲の濃度で存在することができるが、多くの場合、これらの随意成分の合計濃度は25wt%を越えないようにする。
本発明による溶液の貯蔵安定性の改善のために、安定剤を有効に使用でき、また、意図する用途において、エステル過酸が分解を引起すことが知られている化合物たとえば遷移金属イオンと接触する可能性が高い場合には、特に望ましい。適当なキレート化剤は、しばしば、アミノポリカルボン酸もしくはその塩たとえばEDTAもしくはDTPA、および/またはカルボン酸置換N含有複素環式化合物たとえば8−ヒドロキシキノリンもしくはピコリン酸もしくはジピコリン酸、ならびにオルガノポリホスフェート、たとえばヒドロキシエチリデンジホスホン酸、およびアルキレンアミノメチレンホスホン酸たとえばエチレンジアミノテトラメチレンホスホン酸、シクロヘキサン−1,2−ジアミノテトラメチレンホスホン酸、およびジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、である。オルガノホスフェートとN−複素環式カルボン酸との併用が特に適当である。溶液中のキレート化剤の量は配合者の裁量の範囲内にあるが、キレート化剤に含まれる活性物質として計算して、好ましくは0.25wt%よりも大きく、しばしば約1.5wt%以下である。
本発明で使用できる界面活性剤は、非イオン、陰イオン、陽イオン、または両性界面活性剤とすることができる。一般に、界面活性剤は少なくとも一つの疎水基たとえば少なくとも8個しばしば10〜26個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を含み、この脂肪族基はしばしば非環式であるが場合によっては脂環式基を含んでいる。あるいは、この疎水基は少なくとも6個好ましくは18個までの脂肪族炭素原子を含むアルカリール基とすることができる。界面活性剤は、さらに少なくとも一つの水溶化基、たとえば、疎水基に直接または間接に結合されたスルホネート、スルフェート、またはカルボキシル基、を含む。結合成分は、エーテルまたはエステル結合を含む多価アルコールの残基、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、またはポリエーテル残基から誘導される残基、を含むことができる。界面活性剤は、セッケンまたは合成洗剤とすることができる。合成洗剤としては、たとえば、A.DavidsohnとB.M.MilwidskyがSynthetic Detergents(6訂版,1978年、George Godwin Limited刊)の第2章で述べているようなものがあり、またそれらの製造方法も同じ本の第5章に述べられている。前記書物の11〜23頁に述べられている陰イオン界面活性剤のうち、スルホネートおよびスルフェートが特別の実際的重要性を有する。スルホネートとしては、たとえばアルカリールスルホネート特にアルキルベンゼンスルホネートであって、好ましくはアルキル基が9〜15個の炭素原子を含む直鎖であるものがあるが、これらのうちもっとも普通に使用される界面活性剤は線状ドデシルベンゼンスルホネートである。本発明の溶液で有効なその他の陰イオンスルホネートとしては、オレフィンスルホネート(たとえば、第1または第2脂肪族モノオレフィンをスルホン化することによって得られるもの)、アルカンスルホネート特に線状アルカンスルホネート、ならびにヒドロキシアルカンスルホネートおよびジスルホネート(特に、アルキル基が10〜24の偶数個の炭素原子を含む3−、4−、および5−ヒドロキシ−n−アルキルスルホネート)がある。その他の望ましい陰イオン界面活性剤としては、アルコールスルフェート(好ましくは、少なくとも炭素原子10個の鎖長を有する線状のもの)および硫酸化脂肪酸アルカノールアミドがある。その他のスルフェートとしては、硫酸化非イオン界面活性剤、たとえば、アルキル基が約8〜12個の炭素原子を含み、各分子に1〜10単位のエチレンオキシドが存在するアルキルフェノキシエチレンオキシドエーテルスルフェートがある。さらに別のスルフェート界面活性剤としては、アルキル基が10〜20個の炭素原子を含み、好ましくは線状であって、各分子が1〜10個好ましくは1〜4個のエチレンオキシド分子を含むアルキルエーテルスルフェートがある。さらなる陰イオン界面活性剤としては、ここで述べた、エチレンオキシドを基剤とする非イオン界面活性剤のホスフェート誘導体がある。
陰イオン界面活性剤の少なくとも一部が液状であるかまたは容易に液化できるというのがかなり有効である。
多くの適当な種類の陰イオン界面活性剤において、対イオンは1価の金属イオンしばしばナトリウムもしくはカリウムイオンであるか、またはたとえばエタノールアミンもしくはイソプロピルアミンから誘導される第4アンモニウム陽イオンである。
実際上、陽イオン洗剤は通常陰イオン界面活性剤と同じ組成物中に一緒には存在しないが、陽イオン洗剤を使用する場合、これらはしばしば第4アンモニウム塩、たとえば、少なくとも一つのアルキル基が少なくとも10個の炭素原子を含むテトラアルキルアンモニウム塩、または少なくとも10個の炭素原子を含むアルキル鎖で置換された第4ピリジニウム塩である。第4アンモニウムハロゲン化物、通常、塩化物を使用することができ、第4アンモニウムハロゲン化物とエステル過酸とが使用直前に一緒にされる場合には特にそうであるが、多くの実施態様において、非ハロゲン化物である第4アンモニウム塩の使用が好ましい。エステル過酸と第4アンモニウム塩とを含む溶液を任意の有意の期間にわたって貯蔵すべき場合には、特に非ハロゲン化物である第4アンモニウム塩の使用が好ましい。貯蔵のためのそのような溶液に第4アンモニウムハロゲン化物を使用すると、ハロゲン化物の酸化によってエステル過酸の分解が起りうる。非ハロゲン化物である第4アンモニウム塩の例としては、スルフェート、メトスルフェート、エトスルフェート、水酸化物、アセテート、サッカリネート、ホスフェート、およびプロピオネートがある。
本発明での使用に適した非イオン界面活性剤のかなりの部分は、エチレンオキシドおよび場合によってはプロピレンオキシドの縮合物から成る。特に重要なそのような非イオン界面活性剤の一つの種類は、8〜18個の炭素原子を含むアルコールと、エチレンオキシドポリマーとの水溶性縮合物から成り、1分子の界面活性剤あたりしばしば少なくとも5モルのエチレンオキシドたとえば7〜20モルのエチレンオキシドを含む。他の非イオン界面活性剤は、アルキルフェノールまたはアルキルナフトールとエチレンオキシドポリマーとの水溶性縮合物から成り、通常、1モルのアルキルフェノールまたはアルキルナフトールあたり5〜25モルのエチレンオキシドを含む。通常、アルキル基は6〜12個の炭素原子を含み、しばしば線状である。アルコールまたはフェノール/エチレンオキシド縮合物におけるようにエーテル結合によって親水性成分に結合さている、非イオン界面活性剤の疎水性成分の代替物として、この結合をエステル基とすることができる。通常、疎水性成分は、8〜22個の炭素原子を含む直鎖脂肪酸の残基より詳しくはラウリン酸、ステアリン酸、およびオレイン酸残基である。非イオンエステル界面活性剤の一つの種類においては、しばしば親水性成分がポリエチレンオキシドから成り、1モルの脂肪酸残基あたり5〜30モルのエチレンオキシドの比率とされることが多い。容易にわかるように、モノエステルとジエステルのどちらも使用することができる。あるいは、親水性成分としてグリセロールを使用し、そうすることによってモノグリセリドまたはジグリセリドを生成させることができる。別の種類においては、親水性成分がソルビトールから成る。さらに別の種類の非イオン界面活性剤は、C10〜C22アミドをポリエチレンオキシドまたはポリプロピレングリコールの一つまたは複数の親水性成分と縮合させたときに得られるアルカノールアミドから成る。半極性洗剤は水溶性アミンオキシド、水溶性ホスフィンオキシド、および水溶性イオウ酸化物を含み、これらの酸化物はそれぞれ、10〜22個の炭素原子を含む一つのアルキル成分と、1〜3個の炭素原子を含むアルキルおよびヒドロキシアルキル基のグループから選択される二つの短鎖成分とを含む。
有効な両性界面活性剤は脂肪族第4アンモニウム、スルホニウム、およびホスホニウム化合物の誘導体を含み、これらの誘導体においては脂肪族成分が線状または枝分かれであることができ、あるいは、これらの誘導体のうち二つが結合して環式化合物を生成することができる。ただし、後者の場合、少なくとも一つの成分が約8〜22個の炭素原子を含む疎水基から成るかまたはこれを含み、かつその成分が水溶化陰イオン基(しばしば、カルボキシル化合物、スルフェート、およびスルホネートから選択される)を含んでいなければならない。
使用可能な、界面活性剤でない増粘剤としては、橋かけ結合されたポリ(アクリレート)、天然ガムたとえばキサンタンまたはラムサン(rhamsan)ガム、セルロース誘導体たとえばカルボキシメチルセルロース、およびシリケートがある。
少なくとも一つのエステル過酸から成る、本発明の貯蔵安定な酸性水溶液の製造方法は、一般式、
Figure 0004202413
を有し、xが1〜4であり、Rが1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す、一つ以上のカルボキシル化合物の水溶液を、4よりも小さなpHにおいて、水溶液の0.08〜15重量%の量でエステル過酸が生成されるまで、無機ペル酸素化合物と接触させることから成る。通常、この接触は約0〜約50℃の温度において実施され、また多くの実施態様において、3以下特に好ましくは2.5以下のpHで実施される。生成されるエステル過酸溶液のpHが1よりも小さい場合、そのpHは1〜4未満の範囲に調節される。
無機過酸化物は、好ましくは過酸化水素であるが、過酸塩たとえば過ホウ酸ナトリウム1水和物および4水和物とすることもできる。この無機過酸化物はエステル酸または酸誘導体に対して等モル比で存在することができるが、多くの場合、モル過剰の無機過酸化物の使用が望ましい。容易にわかるように、生成されるエステル過酸の溶液は平衡組成物を形成する傾向があるので、出発原料の濃度の選択が最終生成組成を強く支配する。ただし、後続処理たとえば希釈によって最終組成を変える場合は別である。
エステル過酸の特に急速な生成が必要なある種の実施態様の場合、本発明による貯蔵安定な酸性水溶液の製造方法は、触媒として有効な量の強酸、たとえば、硫酸、リン酸、および無機スルホン酸(たとえばメタンスルホン酸)の存在下で、溶液のpHを低下させてエステル過酸の生成速度が大きくなるようにして実施することができる。しばしば0〜1の範囲のpHが使用される。強酸は、使用する場合、しばしば溶液の0.1〜5wt%の範囲の量だけ存在する。しかし、容易にわかるように、強酸種の存在により、割合に急速なエステル官能基(function)の加水分解が起る。エステル官能基の損失は、直接にエステル過酸の損失を引起すばかりでなく、エステル酸を平衡状態から除去してエステル過酸をエステル酸と過酸化水素に逆戻りさせることによって、間接的にもエステル過酸の損失を引起す。したがって、強酸を使用する場合、エステル過酸の貯蔵安定な溶液を製造するためには、強酸を対応する量のアルカリの添加によって中和すべきである。この中和のために使用できるアルカリとしては、特にアルカリ金属水酸化物およびアンモニア、特に水酸化ナトリウムがある。本発明の好ましい実施態様において、強酸触媒が使用され、エステル過酸濃度が所望の濃度に達するまで、強酸の存在下で溶液が反応させられる。次に、この到達点において、アルカリを添加して、溶液のpHを、エステル過酸の触媒による生成が減速または停止され、エステルの加水分解も減速または停止される値、しばしば1.5〜5特に2.5〜4たとえば3〜3.5の範囲のpHまで上昇させる。
別の好ましい実施態様において、本発明によるエステル過酸は、90wt%以下しばしば約30wt%よりも大きく、好ましくは約65〜約88wt%の濃度の過酸化水素を含む過酸化水素水を、エステル酸出発原料と他の随意の成分との水溶液に、穏やかな攪拌を加えながら、制御添加することによって製造される。好ましくは、周囲温度を使用し、代表的な値は約10〜約30℃の範囲にある。エステル過酸溶液を平衡に到達させるのに必要な時間は、多くの要因、たとえば、温度、使用する酸触媒の存在とその量、に依存する。代表的な時間はしばしば1日〜約30日である。
特に好ましい実施態様において、エステル酸出発原料の供給源はコハク酸、アジピン酸、およびグルタル酸のモノメチルエステルの混合物から成る。
本発明のある種の実施態様において、エステル酸は、無機ペル酸素化合物の随意の存在下において、ジエステルの加水分解によって現場で得られる。強酸触媒によるエステル過酸の製造に使用されるものと類似の条件が使用され、アルカリが後続添加されて、エステル官能基に対する強酸の悪影響が緩和される。この実施法の利点は、より入手の容易なジエステルを出発原料として使用できるということである。
本発明による消毒法は、消毒すべき被作用物を、エステル過酸の貯蔵安定な酸性水溶液の溶液、またはこれから製造されるものに接触させることからなる。この溶液は希釈なしで使用することができ、あるいは希釈することもできる。この組成物を希釈する場合、通常、希釈は、被作用物に応じて、最終希釈後の溶液中のエステル過酸濃度が約1〜10,000ppmとなるように選択される。
この消毒法では、非常に広い範囲の温度、一般に約4℃から消毒剤として使用される溶液の沸点までの温度が使用できる。多くの場合、特に消毒剤がたとえば布を用いて手で塗布される場合、温度は作業者が気持ち良く許容し得る最高温度によって制限され、60℃を越えることはないと思われる。
この消毒法は、いろいろな種類の被作用物の処理に使用することができる。処理可能な被作用物の多くは液体または固体である。汚染された気相の被作用物は、本発明の殺菌組成物の希薄溶液を噴霧することにより、または気体を本発明の過酸溶液の浴中を通して泡立たせることにより、首尾良く処理することができる。一つの種類の液体被作用物は、微生物汚染された水性物質、たとえば、再循環プロセス水または廃棄前の水性流出液から成る。そのようなプロセス水および流出液は多くの産業において発生し、バクテリア、藻類、イーストで汚染されていることがあり、またよりまれであるがウイルスによって汚染されていることがある。以下に挙げる産業に限定されるものではないが、汚染プロセス水は植物および動物物質の処理につきものである。たとえば、紙およびパルプ産業、食品処理(たとえば砂糖精製産業、醸造、ワイン製造、およびアルコール蒸留産業)、わら処理からの流出液、下水処理場からの排水(たとえば、部分処理または単にろ過された下水の、海に延びる管路による排水)、食肉処理工場、動物性脂肪精製事業(carcassrendering activities)、および家畜の飼育からの排水がある。その他の液体被作用物としては、園芸産業におけるかんがい水がある。さらに別の重要な汚染水性物質の発生源としては、産業において生じる冷却水があり、あるいは大きな建物たとえばホテル、事務所、および病院に設置された空調装置から生じる冷却水がある。本発明の組成物は、非水性液体物質たとえば切削油の処理に使用することができる。
前述の事柄に妨げられることなく、本発明の組成物は、人に接触する場所における消毒に独自の価値を有すると考えられる。たとえば、本発明の組成物は、固体、たとえば硬質表面、または食品処理、動物飼育、園芸、仕出し、家庭、もしくは病院環境において再使用を意図する汚染物品の消毒に使用することができる。硬質表面は、金属、木材、セラミックス、ガラス、およびプラスチックから製造されたものであることができ、作業台、壁、床、衛生陶器、プラントまたは装置、容器、工具、機械、プラントと配管が含まれうる。容易に理解されるように、そのような硬質表面の場合、小さめの物品は本発明の殺菌組成物の溶液に浸漬させるのが便利であることが多く、またより大規模の用途の場合には、噴霧または類似の散布手段がより容易に使用できる。この消毒法は、吸湿性の材料たとえば汚染されたリネンまたは特に汚れた赤ん坊用のおしめ(しばしばテリータオル地で作られる)の消毒を意図することもできる。本発明の組成物は、収穫された植物または植物生成物たとえば種子、球茎、塊茎、果物、および野菜の消毒に使用することができる。あるいは、本発明の組成物は成長中の植物特に収穫物が成長中の植物、たとえば穀草、葉野菜、およびサラダ用野菜作物(salad crops)、根菜、豆類、液果、カンキツ類、および堅果の処理に使用することができる。
さらにまた、容易に理解されるように、本発明の方法によって製造される過酸溶液は、必要であれば、過酸が使用される他の目的、たとえば漂白においてもまたは洗濯作業における漂白添加剤としても使用することができる。
以上、本発明を一般的に説明したので、以下、本発明の特定実施態様を示す。これらの実施態様は単なる例として示すものである。
例1 モノメチルペルグルタレート(MMPG)の製造
モノメチルグルタレート(MMG)を水に溶解させることにより、それぞれ、10wt%のMMGと10wt%のH22(試料A)、10wt%のMMGと20wt%のH22(試料B)、20wt%のMMGと10wt%のH22(試料C)、20wt%のMMGと20wt%のH22(試料D)、30wt%のMMGと10wt%のH22(試料E)、および30wt%のMMGと20wt%のH22(試料F)から成る水溶液を作った。これらの水溶液に、穏やかに攪拌しながら、10分間かけて、必要量の過酸化水素(85wt%)を添加した。それぞれの溶液は1.5〜2の範囲のpHを有する。次に、これらの溶液を周囲温度で12日間貯蔵し、この貯蔵の間、時々高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析した。このHPLC分析においては、Jones Chromatographyから購入したApexオクタデシルカラム(25cm、5ミクロン)を使用した。溶離液は、溶離速度1ml/minのとき、75:25の(水+0.25%酢酸):メタノール比率を示した。210nmの紫外線検出を使用した。この分析によれば、6、8分後にピークが出現し、このピークはモノメチルペルグルタレートに帰される。このピークが過酸によるピークであることを確認するために、サンプルにチオジグリコールを添加したところ、このピークは消滅した。MMPGのほかに、モノメチルグルタレート(MMG)、グルタル酸(GA)、および過グルタル酸(PGA)の濃度もモニターした。結果を、下の表1に示す。
Figure 0004202413
これらの溶液を硫酸セリウム(IV)溶液による滴定によって分析したところ、21日後、試料Aは9.7wt%のH22、試料Bは19.5wt%のH22、試料Cは8.8wt%のH22、試料Dは19wt%のH22、試料Eは8.5wt%のH22、試料Fは17.2wt%のH22を含んでいた。明らかにこの結果は本発明による溶液の貯蔵安定性を示している。試料B、D、およびFに関する貯蔵安定性の結果、すなわちこれらの試料が約20wt%の過酸化水素を含むという結果は、特に好都合なものである。
比較例2 強酸の存在下でのモノメチルペルグルタレート(MMPG)の製造、後続のpH調節なし
5.39gのモノメチルグルタレート、0.59gの硫酸(98wt%)、および0.189gのヒドロキシエチリデンジホスホン酸(英国で、商品名 DEQUEST 2010で市販されている)を、37.59gの脱イオン水に溶解させた。この溶液に、穏やかに攪拌しながら、10分間かけて、5.99gの過酸化水素(85wt%)を添加し、約0.5のpHの溶液を作った。次に、この溶液を2週間室温(約20℃)で貯蔵した。例1で述べたHPLC法によるこの溶液の分析によれば、1日後に、約1:1の重量比のMMPGとPGAから成る混合物が生成されていた。しかし、2週間後には、事実上、MMPGはまったく残留していなかった。また、溶液中のMMGの濃度が著しく減少し、それに対応してグルタル酸濃度が増大しているのも観察された。これらの結果はこの溶液が貯蔵安定でないことを示し、それはMMPGとMMGに含まれるエステル官能基の加水分解のためであると考えられる。
例3 安定剤を加えたMMPGの製造
5.39gのモノメチルグルタレートと安定剤としての0.189gのヒドロキシエチリデンジホスホン酸(英国で、商品名 DEQUEST 2010で市販されている)とを、37.59gの脱イオン水に溶解させた。この溶液に、穏やかに攪拌しながら、10分間かけて、5.99gの過酸化水素(85wt%)を添加した。次に、この溶液を約2週間貯蔵した。この溶液は認めうる臭気を有しない。
例4 モノメチルペルスクシネート(MMPS)の製造
モノメチルスクシネート(5g)を、脱イオン水(38.7g)に溶解させた。この溶液に、穏やかに攪拌しながら、室温で、10分間かけて、86%の過酸化水素溶液(6g)を添加し、次に、0.18gのヒドロキシエチリデンジホスホン酸(英国で、商品名 DEQUEST 2010で市販されている)を添加した。この溶液を約2週間放置したあと、認めうる臭気は感じられなかった。
例5 アジピン酸、グルタル酸、およびコハク酸のモノメチルエステルの混合物からのモノメチルエステル過酸の製造
モノメチルグルタレート(3.3g)、モノメチルアジペート(0.6g)、および1.2gのモノメチルスクシネートを、脱イオン水(38.7g)に溶解させた。この溶液に、穏やかに攪拌しながら、室温で、10分間かけて、86%の過酸化水素溶液(6g)を添加し、次に、0.18gのヒドロキシエチリデンジホスホン酸(英国で、商品名 DEQUEST 2010で市販されている)を添加した。この溶液を約2週間放置したあと、認めうる臭気は感じられなかった。
例6 消毒実験
例3、4、および5で製造した溶液を、バクテリア(Pseudomonas aeruginosaおよびStaphylococcus aureus)およびイースト(Saccharomyces cerevisiae)に対する活性について試験した。M.G.C.BaldryがJournal of Applied Bacteriology,1983,vol.54,pp417−423、で述べている方法を使用し、接触時間を5分(20℃)とした。溶液のpHは下記の表2に詳細を示すように変化させた。これらの溶液を、バクテリアに対しては20ppmの過酸活性酸素濃度で、イーストに対しては50ppmの過酸活性酸素濃度で使用した。比較実験も実施した。比較実験には、1wt%の過酢酸、6wt%の過酸化水素、および9wt%の酢酸を含む過酸溶液を希釈し、同じ過酢酸濃度(wt%)を使用した。この実験の結果を下記の表2に示す。表2には、モノ過グルタル酸溶液(PGA)、モノ過コハク酸溶液(PSA)、およびモノ過アジピン酸:モノ過グルタル酸:モノ過コハク酸の重量比45:27:27の溶液(AGS)に関して、イーストSaccharomyces cerevisiaeに対する同じ条件での比較結果をも示す。
Figure 0004202413
これらの結果によれば、本発明によるエステル過酸溶液は、過酢酸の場合と大体において比肩しうる、バクテリアとイーストに対する消毒性能を与える、ということがわかる。イーストに対する高い性能は、PGA、PSA、およびAGS溶液の活性が低いことを考えると、特に予想外のものである。消毒実験中、過酢酸溶液の臭気は不快に感じられたが、本発明による溶液のうちのどれからの臭気も認めうるほどではなかった。したがって、同等の性能のレベルで比較すると、本発明による組成物は低い臭気を有する、ということがわかる。
例7 モノブチルペルグルタレートの製造
例3の方法によって、モノブチルペルグルタレートを製造した。ただし、例3と異なり、モノブチルグルタレート(1:1モル比のブタン−1−オールとグルタル酸の反応によって製造)を使用した。1日間放置したあとで、この溶液を分析したところ、0.08%のモノブチルペルグルタレートと10.2%の過酸化水素とが含まれていることがわかった。室温での2週間の貯蔵後、溶液の組成は実験誤差の範囲内で同じであった。この組成物は認めうる臭気を有しない。
例8 モノブチルペルスクシネートの製造
例3の方法によって、モノブチルペルスクシネートを製造した。ただし、例3と異なり、モノブチルスクシネート(5g)(1:1モル比のブタン−1−オールと無水コハク酸の反応によって製造)を使用した。1日間放置したあとで、この溶液を分析したところ、0.05%のモノブチルペルスクシネートと10.9%の過酸化水素とが含まれていることがわかった。室温での2週間の貯蔵後、この溶液組成物は0.12%のモノブチルペルスクシネートと10.4%の過酸化水素を含んでいた。この組成物は認めうる臭気を有しない。
比較例9 モノオクチルペルスクシネートの製造
例5の方法により、モノオクチルペルスクシネートを製造した。ただし、例5と異なり、モノオクチルスクシネート(1:1モル比のオクタン−1−オールと無水コハク酸との反応によって製造)を使用した。
生成された溶液を調べたところ、この溶液は2相系を成していた。
例10 消毒実験
例7と8で製造した溶液について、例6で述べたものと同じ一般的方法によって、消毒活性を試験した。溶液のpHは下記の表3に詳細を示すように変化させた。実験の結果を、下記の表3に示す。
Figure 0004202413
この結果が示すように、本発明によるエステル過酸溶液は、バクテリアに対して、過酢酸の消毒性能に大体において比肩しうる消毒性能を与える。イーストに対しても、消毒性能は過酢酸に少なくとも比肩しうるものであり、pH9の例8の溶液の場合、過酢酸よりもずっとすぐれている。これは、>C4の脂肪族過酸はイーストに対して非常に小さな活性しか持たないということが知られているので、予想外の高性能を示すものである。この場合にも、消毒実験中、過酢酸溶液の臭気は不快なものであったが、本発明による溶液のうちのどれからの臭気も認めうるほどではなかった。したがって、同等の性能レベルで比較した場合、本発明による溶液は低臭気を有するということがわかる。
比較例11
例1のものと同じ組成の溶液である試料Aを製造した。ただし、この溶液は、過酸化水素の添加により、pH4となるように緩衝剤処理した。この溶液は、室温での14日間の貯蔵後、事実上エステル過酸を含んでいないのが観察された。
比較例12
例1のものと同じ組成の溶液である試料Aを製造した。ただし、この溶液のpHは過酸化水素の添加により0.5に調節した。この溶液は、室温での14日間の貯蔵後、事実上エステル過酸を含んでいないのが観察された。
比較例11と12の結果は、本発明による組成物の製造時に、pHを制御することが重要であるということを示している。
例13および比較例14
例1のものと同じ組成の母液(parent solution)、試料Aを製造した。ただし、例1のものと異なり、この溶液は1%の硫酸をも含む。この溶液のpHは約0.5であった。室温での1日間の貯蔵後、例1のHPLC法により、この溶液を分析した。この溶液を二つの部分に分けた。例13においては、溶液のpHを、47wt%の水酸化ナトリウム溶液の添加により、約2まで上昇させた。比較例14においては、溶液のpHを調節しなかった。これら二つの部分を、室温で、さらに8日間貯蔵した(すなわち、合計で9日間貯蔵)。次に、これらの部分を、例1のHPLC法によって分析した。結果を、下記の表4に示す。
Figure 0004202413
この結果が明らかに示すように、9日間の貯蔵後、例13の溶液は事実上母液と同じMMPG濃度を保っているが、比較例14の溶液ではほとんど半分近くまでMMPG濃度が減少している。これは、強酸触媒を用いて製造された溶液のpHを増大させることの利点を示している。また、本発明による酸性水溶液のすぐれた安定性をも示している。

Claims (23)

  1. 溶液中に過酸成分を含有し、そして1〜4未満の範囲のpHを有する貯蔵安定な、酸性平衡水溶液であって、前記過酸は、一般式:
    Figure 0004202413
    (式中、Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示し、そしてxは1〜4である)を有する少なくとも1種のエステル過酸を含み、前記エステル過酸は該溶液の0.08〜15重量%の量で存在する、貯蔵安定な酸性平衡水溶液。
  2. pHが1.5〜4未満であることを特徴とする、請求項1に記載の溶液。
  3. xが、2、3又は4であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の溶液。
  4. Rがメチル基であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶液。
  5. エステル過酸が、溶液の0.1〜5重量%を占めることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶液。
  6. エステル過酸がモノメチル過グルタル酸であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶液。
  7. エステル過酸がモノメチル過アジピン酸であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶液。
  8. エステル過酸がモノメチル過コハク酸であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶液。
  9. 溶液が15〜25重量%の過酸化水素を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の溶液
  10. 少なくとも1種のエステル過酸を含む請求項1に記載の貯蔵安定な酸性水溶液を製造する方法であって、一般式:
    Figure 0004202413
    (式中、xは1〜4であり、Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す)を有する少なくとも1種のカルボキシル化合物の水溶液を、4未満のpHで、水溶液の0.08〜15重量%の量でエステル過酸が生成されるまで、無機ペル酸素化合物と接触させ、その後に、生成するエステル過酸溶液のpHが1未満である場合には、そのpHを1〜4未満の範囲に調節することからなることを特徴とする、前記溶液を製造する方法。
  11. 無機ペル酸素化合物が、過酸化水素からなることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  12. 過酸化水素が65〜88重量%の濃度を有する過酸化水素の水溶液として存在することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  13. 前記接触が2.5以下のpHで行われることを特徴とする、請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 0〜1のpHにおいて、強酸触媒が使用され、エステル過酸が所望の濃度に達した後に、アルカリの添加によって、pHが1〜4未満に調節されることを特徴とする、請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. xが2、3又は4であることを特徴とする、請求項10〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. Rがメチル基であることを特徴とする、請求項10〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. エステル過酸が溶液の0.08〜15重量%を占めることを特徴とする、請求項10〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. エステル過酸が、溶液の0.1〜5重量%を占めることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
  19. エステル過酸が、メチル過グルタル酸であることを特徴とする、請求項10〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. エステル過酸が、メチル過アジピン酸であることを特徴とする、請求項10〜18のいずれか1項に記載の方法。
  21. エステル過酸が、メチル過コハク酸であることを特徴とする、請求項10〜18のいずれか1項に記載の方法。
  22. 請求項1の水溶液の希釈により得られた消毒剤。
  23. 請求項1の水溶液の希釈後に得られたエステル過酸の濃度が、溶液の1〜10,000ppmであることを特徴とする、請求項22の消毒剤。
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