本発明は、ディジタル伝送技術に関し、特に、情報データを符号拡散して伝送するCDM(符号分割多重:Code Division Multiplexing)受信装置に関し、さらに特に、BPSK(binary Phase Shift Keying)変調方式、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調方式、8PSK(8 Phase Shift Keying)、16QAM(16 level Quadrature Amplitude Modulation)変調方式、32QAM(32 level Quadrature Amplitude Modulation)変調方式および多値QAM(Quadrature Amplitude Modulation)変調を使用するCDM受信装置に関する。
図1は、従来のCDM−BPSK(binary Phase Shift Keying)伝送システムの構成の一例を説明するブロック図である。CDM送信装置1から伝送路2を経てCDM受信装置3にデータを伝送する。CDM送信装置1は、誤り訂正符号化部4と、符号拡散部5と、直交変調部6とを具える。CDM受信装置3は、直交復調部7と、符号逆拡散部8と、誤り訂正復号化部9とを具える。
CDM送信装置1において、送信データを誤り訂正符号化部4において誤り訂正符号化した後、符号拡散部5に供給する。符号拡散部5において、送信データに符号拡散を行う。図2は、符号拡散部5における符号拡散を説明する図である。この例では、4つの長さの4つの直交拡散符号W1(1,1,1,1)、W2(1,−1,1,−1)、W3(1,1,−1,−1)およびW4(1,−1,−1,1)を用いて誤り訂正符号化を施した4ビットデータ(1,−1,1,1)の送信データDを伝送する。最初に、この4ビットのデータを1ビットずつ4系統に分離し、それぞれに拡散符号W1、W2、W3およびW4を乗算して、それぞれ4ビットのデータを得る。さらに、これら4ビットの4系統分のデータ(1,1,1,1)、(−1,1,−1,1)、(1,1,−1,−1)および(1,−1,−1,1)を、同一のビット位置毎に加算し、1系統の送信データ(2,2,−2,2)を得る。このように符号拡散部5において得られた送信データを直交変調部6で直交変調し、ディジタル変調波にして伝送路2に送出する。
CDM受信装置3では、伝送路2を通ったディジタル変調波を受信する。まず、伝送路2で誤りが発生せず、送信装置1が送信した送信データと同一のデータが受信される場合について説明する。直交復調部7において、受信データを直交復調し、符号逆拡散部8に供給する。符号逆拡散部8において、受信データに符号逆拡散を行う。図3は、符号逆拡散部8において行われる符号逆拡散を説明する図である。4ビットデータ(2,2,−2,2)を4系統に分離し、それぞれにCDM送信装置1におけるのと同じ拡散符号W1、W2、W3およびW4を乗算して、それぞれ4つのデータからなる(2,2,−2,2)、(2,−2,−2,−2)、(2,2,2,−2)および(2,−2,2,2)を得る。さらに、これら4つのデータからなる4系統分のデータに関し、各系統毎に4つのデータの平均値を求め、さらに、極性が正なら1、負なら−1というようにしきい値判定をすると、それぞれの系統から、(1、−1、1、1)という、送信したデータと同一のデータを得ることができる。しきい値判定したデータを、誤り訂正符号復号部9で誤り訂正処理した後、出力する。なお、図3において点線で囲んで示すしきい値判定処理は、誤り訂正復号化部9における誤り訂正符号復号を軟判定で行う場合は不要である。
次に、伝送路2において信号に誤りが混入した場合を説明する。図4は、このような場合において符号逆拡散部8において行われる符号逆拡散処理を説明する図である。この例において、送信データ(2,2,−2,2)の2番目のデータに誤りが混入し、受信データが(2,0,−2,2)となったとする。図3の例と同様に、受信データを4系統に分離し、それぞれに拡散符号W1、W2、W3およびW4を乗算して、それぞれ4つのデータからなる(2,0,−2,2)、(2,0,−2,−2)、(2,0,2,−2)および(2,0,2,2)を得る。これら4つのデータからなる4系統分のデータに関し、各系統毎に4つのデータの平均値を求めると、(0.5、−0.5、0.5、1.5)となり、しきい値判定すると、(1,−1,1,1)となり、送信したデータと同一の、誤りのないデータを得ることができることがわかる。
また、CDM伝送装置は、上述したBPSK変調方式以外にも、より周波数利用効率を向上させたQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調方式、8PSK(8 Phase Shift Keying)、16QAM(16 level Quadrature Amplitude Modulation)変調、32QAM(32 level Quadrature Amplitude Modulation)変調等も利用可能である。図5は、このような従来技術のQPSK変調方式を利用するCDMシステムの構成の一例を示すブロック図である。この例では、4つの長さの4つの直交拡散符号W1(1,1,1,1)、W2(1,−1,1,−1)、W3(1,1,−1,−1)およびW4(1,−1,−1,1)を用いて送信データDに誤り訂正符号化を施して伝送する場合を示している。送信装置10は、誤り訂正符号化部12と、直列/並列変換部14と、QPSKマッパ16a〜16dと、乗算器18a〜18dおよび20a〜20dと、加算器22および24と、直交変調部26とを具える。送信装置10において、送信データDを誤り訂正符号化部12において誤り訂正符号化し、直列/並列変換部14において1ビット→8ビットの直列/並列変換をした後、2ビットずつ4系統に分配し、それぞれ独立のQPSKマッパ16a〜16dに入力する。図6は、これらのようなQPSKマッパにおいて行われるマッピングを説明する図である。図6において、半径1の円周上の4つの点が搬送波の取り得る位相であり、QPSK変調では、搬送波の位相をこれら4つの位相のいずれかに切り替えるごとに、同時に2ビットのデータを伝送することができる。各点の傍らに書かれている2桁の数字は、伝送される2ビットのデータがQPSKマッパに入力される際の上位ビットおよび下位ビットを表している。また、横軸および縦軸の値は、マッパ出力IおよびQの出力値を表す。例えば、QPSKマッパ入力が(上位ビット,下位ビット)=(0,1)ならば、QPSKマッパは(I,Q)=(−1/√2,1/√2)を出力する。4つのQPSKマッパ16a〜16dの出力IおよびQを、各々乗算器18a〜18dおよび20a〜20dによって、QPSKマッパごとに異なる拡散符号W1、W2、W3またはW4と乗算した後、加算器22および24によってI、Qごとに足し合わす。さらに、これらの足し合わされたIおよびQ信号を、直交変調器26によって直交変調し、CDM−QPSK変調波送信信号Tとして伝送路28に通す。
受信装置30は、直交復調部32と、乗算器34a〜34dおよび36a〜36dと、平均値計算部38a〜38dおよび40a〜40dと、QPSKデマッパ42a〜42dと、並列/直列変換部44と、誤り訂正符号復号部46とを具える。受信装置30は、伝送路28を通ったディジタル変調波を受信する。受信信号を、まず直交復調部32によって直交復調し、I、Qからなる受信信号Rを得る。受信信号Rを4系統に分配し、系統ごとI、Qごとにそれぞれに送信器10において用いたものと同じ拡散符号W1、W2、W3およびW4を乗算器34a〜34dおよび36a〜36dによって乗算する。さらに、これら4つのデータからなる4系統分のデータを、各系統ごとに、また、I、Qごとに、平均値計算部38a〜38dおよび40a〜40dによって、同じCDMフレームに属する4つ分のデータの平均値を求め、QPSKデマッパ42a〜42dによって符号判定を行う。符号判定を、平均化されたI、Qの座標が図7における4つの点のうち受信信号点に最も近い点を選び、その点の脇に記してある1対の数を出力することにより行う。例えば、受信信号点の平均化されたI,Qの座標が図6に示す×の位置にあった場合、QPSKデマッパは、最も近い点(この例の場合、左下の点)の脇に記してある1対の数(1,1)を出力する。こうして4つのQPSKデマッパ42a〜42dから得られた各2ビット、合計8ビットのデータを、並列/直列変換回路44によって1ビットのビットストリームに変換し、さらに誤り訂正復号部46で誤り訂正処理を行った後、受信データD’として出力する。なお、前記CDM−BPSKシステムの例と同様、このQPSKデマッパは、後段の誤り訂正符号復号を軟判定で行う場合は不要である。
図8は、従来技術の8PSK変調方式を利用するCDMシステムの構成の一例を示すブロック図である。送信装置50は、誤り訂正符号化部52と、直列/並列変換部54と、8PSKマッパ56a〜56dと、乗算器58a〜58dおよび60a〜60dと、加算器62および64と、直交変調部66とを具える。受信装置70は、直交復調部72と、乗算器74a〜74dおよび76a〜76dと、平均値計算部78a〜78dおよび80a〜80dと、8PSKデマッパ82a〜82dと、並列/直列変換部84と、誤り訂正符号復号部86とを具える。受信装置50は、伝送路68を通ったディジタル変調波を受信する。CDM−8PSKの動作は既知であり、上述したCDM−QPSKと類似しているので、さらに詳しい説明はしない。
図9は、従来技術の16QAM変調方式を利用するCDMシステムの構成の一例を示すブロック図である。送信装置90は、誤り訂正符号化部92と、直列/並列変換部94と、16QAMマッパ96a〜96dと、乗算器98a〜98dおよび100a〜100dと、加算器102および104と、直交変調部106とを具える。受信装置110は、直交復調部112と、乗算器114a〜114dおよび116a〜116dと、平均値計算部118a〜118dおよび120a〜120dと、16QAMデマッパ122a〜122dと、並列/直列変換部124と、誤り訂正符号復号部126とを具える。受信装置110は、伝送路108を通ったディジタル変調波を受信する。CDM−16QAMの動作は既知であり、上述したCDM−QPSKと類似しているので、さらに詳しい説明はしない。さらに多値のCDM−多値QAMについても同様である。
このように、CDM伝送方式は符号誤りをある程度修復する効能を持つ。しかしながら、CDM伝送方式においても、ある一定のしきい値を超える雑音が伝送信号に乗った場合、修復が困難となるという問題があった。
本発明の目的は、降雨減衰による遮断のような、信号の欠損がわかっている場合の雑音耐性を向上させたCDM受信装置を提供することにある。
本発明の第1発明によるCDM受信装置は、符号拡散された情報データを受信し、この情報データを符号逆拡散するC D M 受信装置において、受信情報データの遮断を検出する遮断検出手段と、遮断した部分における情報データの推定を行う遮断部分推定手段と、前記受信情報データの遮断した部分に前記推定した情報データを置換する情報データ置換手段とを具え、前記遮断部分推定手段が、検出された遮断部分の情報データを受信情報データに各々の直交拡散符号を乗算することによって得られる値に基づき推定し、前記情報データ置換手段が、前記受信情報データの遮断部分を前記推定された情報データと置き換え、その後に符号逆拡散を行うことを特徴とする。
本発明の第2発明によるCDM受信装置は、第1発明によるCDM受信装置において、前記遮断部推定手段が、前記推定値として、予め決められた範囲内の一定間隔の推定値の各々に関して、受信情報データに各々の直交拡散符号を乗算することによって得られる値の集合の平均値の絶対値の分散を計算し、最も分散が小さくなる推定値を採用することを特徴とする。
本発明の第3発明によるCDM受信装置は、第1又は第2発明によるCDM受信装置において、BPSK変調方式を使用することを特徴とする。
本発明の第4発明によるCDM受信装置は、第1又は第2発明によるCDM受信装置において、QPSK変調方式を使用することを特徴とする。
本発明の第5発明によるCDM受信装置は、第1又は第2発明によるCDM受信装置において、8PSK変調方式を使用することを特徴とする。
本発明の第6発明によるCDM受信装置は、第1発明によるCDM受信装置において、16QAM変調方式を使用することを特徴とする。
本発明の第7発明によるCDM受信装置は、第6発明によるCDM受信装置において、前記受信情報データに各々の直交拡散符号(符号長m)を乗算することによって得られる値の集合の平均値(I
j,Q
j)(j=0〜m−1)および受信信号が取り得る信号点(I
i,Q
i)(i=0〜15)に関して、
を計算し、Sが最も大きくなる推定値を採用することを特徴とする。
本発明の第8発明によるCDM受信装置は、第1発明によるCDM受信装置において、多値QAM変調方式を使用することを特徴とする。
本発明の第9発明によるCDM受信装置は、第8発明によるCDM受信装置において、前記多値をn値として、前記受信情報データに各々の直交拡散符号(符号長m)を乗算することによって得られる値の集合の平均値(I
j,Q
j)(j=0〜m−1)および受信信号が取り得る信号点(I
i,Q
i)(i=0〜n−1)に関して、
を計算し、Sが最も大きくなる推定値を採用することを特徴とする。
本発明の第10発明によるCDM受信装置は、第1ないし第9発明によるCDM受信装置において、符号多重数を拡散符号の符号長より少ない数としたことを特徴とする。
本発明の第11発明によるOFCDM受信装置は、符号拡散された情報データを受信し、受信情報データをフーリエ変換し、前記フーリエ変換された受信情報データを1系統にまとめた後に符号逆拡散するOFCDM受信装置において、受信情報データの遮断を検出する遮断検出手段と、遮断した部分における情報データの推定を行う遮断部分推定手段と、前記受信情報データの遮断した部分に前記推定した情報データを置換する情報データ置換手段とを具え、前記遮断部分推定手段が、検出された遮断部分の情報データを受信情報データに各々の直交拡散符号を乗算することによって得られる値に基づき推定し、前記情報データ置換手段が、前記受信情報データの遮断部分を前記推定された情報データと置き換え、その後に符号逆拡散を行うことを特徴とする。
本発明によれば、CDM受信装置において、受信信号の欠損部分を推定補間した後に逆拡散処理を行うことにより、耐雑音・遮断特性を向上させることができる。
まず、本発明の原理を説明する。図1の平均値計算部出力は、送信データと同じく{1,−1,1,1}となっている。一方、伝送誤りを含んだデータを受信した場合を示した図2の平均値計算部出力は{0.5,−0.5,0.5,1.5}となっている。すなわち、誤りのないデータの場合、平均値計算部の出力の絶対値は、送信データの絶対値同様一定値となり、伝送誤りがある場合には、平均値計算部の出力の絶対値は一定にはならないことがわかる。そこで、もし伝送誤りもしくは遮断した箇所が明らかな場合には、その部分にある一定範囲の値を、一定のステップ幅で変化させながらその箇所に代入していき、平均値計算部の出力の絶対値が一定値になる値を探し、その値を平均値計算部の出力値として代入すれば、雑音に対する耐性を向上できると考えられる。また、遮断部分以外の部分が、遮断はしていないまでもある程度の雑音が乗っている場合、遮断部の値を変化させていっても、平均値計算部の出力値の絶対値は一定にならない。このような場合には、平均値計算部の出力値の絶対値の分散が最も小さくなるような値を遮断部に置換してやればよい。また、複数のデータ部分が遮断していることが分かっている場合、それら各部分について、上記の場合と同様に数値を変化させていき、平均値計算部の出力値の絶対値が一定、または、分散値が最小となる値の組み合わせを探せばよい。
図10は、上述したような原理に基づく本発明によるCDM−BPSK受信装置の構成の一例を示すブロック図である。CDM受信装置130は、遮断検出部132と、直交復調部133と、拡散符号乗算部134と、平均値計算部135と、分散値計算部136と、置換値生成部137と、出力ゲート138と、しきい値判定部139と、誤り訂正符号復号化部140とを具える。遮断検出部132は、CDM送信装置(図示せず)から伝送路(図示せず)を経て受信したデータにおける遮断を検出する。遮断検出部132は、遮断が検出された場合、この遮断のある箇所を表す情報を置換値生成部137に供給する。直交復調部133は、上述した従来技術と同様に、前記受信データを直交復調し、拡散符号乗算部134に供給する。拡散符号乗算部134は、上述した図1に示すような従来のCDM受信装置の符号逆拡散部において行う符号逆拡散処理と同様に、拡散符号を受信データに乗算し、平均値計算部135に供給する。平均値計算部135は、上述した図1に示すような従来のCDM受信装置の符号逆拡散部において行う符号逆拡散処理と同様に、各々の拡散符号を乗算したデータの平均値を計算し、分散値計算部136および出力ゲート138に供給する。分散値計算部136は、前記平均値の絶対値が一定であるか否かを判断し、一定である場合、これらの平均値を出力するように出力ゲート138に指令する。前記平均値が一定でない場合、前記平均値の絶対値の分散値を計算し、この分散値を記憶すると共に、置換値生成部137に置換値情報を生成するように指令する。置換値生成部137は、遮断検出部132から供給された情報によって示された遮断のある箇所の値を、予め決められた一定範囲内で一定の刻みで変化させて生成した値に置き換え、拡散符号乗算部134に供給する。拡散符号乗算部134は、遮断部分を置換値で置き換えたデータに拡散符号を乗算し、平均値計算部135に供給し、平均値計算部135は再度計算した平均値を分散値計算部136および出力ゲート138に供給する。分散値計算部136は、置換値生成部137が生成したすべての置換値に関する平均値の絶対値の分散値を比較し、最も分散値が小さかった平均値を出力するように出力ゲート138に指令する。出力ゲート138はこのようにして決定された平均値をしきい値判定部139に供給し、しきい値判定部139は、上述した図1に示すような従来のCDM受信装置におけるのと同様のしきい値判定処理を行い、結果を誤り訂正符号復号化部140に供給する。誤り訂正符号復号化部140は、上述した図1に示すような従来のCDM受信装置におけるのと同様の誤り訂正符号復号化処理を行い、結果を受信データとして出力する。
図4に関して説明した従来例と同じように、送信データ(2,2,−2,2)の2番目のデータに誤りが混入し、受信データが(2,0,−2,2)となった場合を考えると、遮断検出部132は、2番目のデータに遮断があることを検出し、置換値生成部にその情報を供給する。直交復調部133が直交復調したデータに、拡散符号乗算部134において直交拡散符号W1(1,1,1,1)、W2(1,−1,1,−1)、W3(1,1,−1,−1)およびW4(1,−1,−1,1)を乗算する。これにより、(2,0,−2,2)、(2,0,−2,−2)、(2,0,2,−2)および(2,0,2,2)が得られる。平均値計算部135は、これらの各々の平均値を計算し、(0.5,−0.5,0.5,1.5)を得る。これらの絶対値は一定でないため、分散値計算部136は前記平均値の絶対値の分散を計算し、0.1875を得ると共にこの値を記憶し、置換値生成部137に置換値を生成させる。置換値生成部137は、予め決められた範囲、例えば、本例において−2〜2の範囲で、一定のきざみで置換値を得る。本例においては、−2、−1、0、1、および2を発生するとする。遮断検出部132から供給された遮断箇所の情報に基づいて、受信データ(2,0,−2,2)の2番目のデータを、前記置換値と順次置き換えていく。このようにして得られる平均値は、置換値−2に関して(0,0,0,2)、置換値−1に関して(0.25,−0.25,0.25,1.75)、置換値0に関して(0.5,−0.5,0.5,1.5)、置換値1に関して(0.75,−0.75,0.75,1.75)、置換値2に関して(1,−1,1,1)となる。これらの絶対値の分散は、置換値−2に関して0.75、置換値−1に関して0.421875、置換値0に関して0.1875、置換値1に関して0.046875、置換値2に関して0となる。したがって平均値の絶対値の分散が最も小さい2を置換値として決定し、(1,−1,1,1)を出力ゲート138から出力する。
図11は、本発明によるCDM−QPSK受信装置を含むCDM−QPSKシステムの構成の一例を示すブロック図である。送信装置10は、図5の参照と共に上述した従来のCDM−QPSKシステムにおける送信装置10と同様のものであり、同様の構成要素を具え、したがって、図5と同じ参照符を用いる。送信装置50の動作は上述した従来の送信装置10の動作と同様であるため、さらに説明はしない。
本発明によるCDM−QPSK受信装置150は、直交復調部152と、遮断検出部154と、置換部156a〜156dおよび158a〜158dと、乗算器160a〜160dおよび162a〜162dと、平均値計算部164a〜164dおよび166a〜166dと、分散値計算部168と、置換値生成部170と、出力ゲート172a〜172dおよび174a〜174dと、QPSKデマッパ176a〜176dと、並列/直列変換部178と、誤り訂正符号復号部180とを具える。
伝送路28上で信号遮断や妨害の影響がない場合、IおよびQからなる平均値計算部4対の出力値は、いずれも図6のQPSKマッピングの4つの信号点のうちいずれかと等しい位置に受信される。この際のCDM−QPSK受信装置150の動作は図5を参照して説明した従来のCDM−QPSK受信装置30の動作と同様であり、受信信号を直交復調部152によって直交復調し、I、Qからなる受信信号Rを得る。受信信号Rを4系統に分配し、系統ごとI、Qごとにそれぞれに送信器10において用いたものと同じ拡散符号W1、W2、W3およびW4を乗算器160a〜160dおよび162a〜162dによって乗算する。さらに、これら4つのデータからなる4系統分のデータを、各系統ごとに、また、I、Qごとに、平均値計算部164a〜164dおよび166a〜166dによって、同じCDMフレームに属する4つ分のデータの平均値を求め、QPSKデマッパ176a〜176dによって符号判定を行う。符号判定を、平均化されたI、Qの座標を図7における4つの点から選び、その点の脇に記してある1対の数を出力することにより行う。こうして4つのQPSKデマッパ176a〜176dから得られた各2ビット、合計8ビットのデータを、並列/直列変換回路178によって1ビットのビットストリームに変換し、さらに誤り訂正復号部180で誤り訂正処理を行った後、受信データD’として出力する。なお、従来例と同様、これらのQPSKデマッパは、後段の誤り訂正符号復号を軟判定で行う場合は不要である。
しかしながら、伝送路上で、信号遮断があった場合、この関係が崩れ、4つの信号点のいずれとも異なった信号点となる。そこで、遮断検出部154が受信信号において遮断を検出した場合、遮断箇所の情報を置換値生成部170に供給し、置換値生成部170は、受信信号の信号遮断箇所に対するIの値の推定値を生成して置換部156a〜156dおよび158a〜158dに供給し、置換部156a〜156dおよび158a〜158dは、信号遮断箇所のIの値をこの推定値に置換する。分散値計算部168は、平均値計算部164a〜164dおよび166a〜166dの出力値Iの絶対値の分散値を計算し、その値を保存しながら、遮断検出部154が検出した信号の劣化した各部分のIの値を前記推定値に置換する。すべてのパターンについて置換した場合の平均値計算部164a〜164dおよび166a〜166dの出力値の絶対値の分散値の計算が終了した後、分散値計算部168は、最も分散値が小さかった場合のIの置換値を置換値生成部170に出力するように指示する。同様に平均値計算部出力値の分散をQについて計算する。置換値生成部170は、受信信号Rの信号遮断箇所に対するQの値の推定値を生成して、置換部156a〜156dおよび158a〜158dは、信号遮断箇所のQの値をこの推定値に置換する。分散値計算部168は、平均値計算部164a〜164dおよび166a〜166dの出力値Qの絶対値の分散値を計算し、その値を保存しながら、遮断検出部154が検出した信号の劣化した各部分のQの値を前記推定値に置換する。すべてのパターンについて置換した場合の平均値計算部164a〜164dおよび166a〜166dの出力値の絶対値の分散値の計算が終了した後、分散値計算部66は、最も分散値が小さかった場合のQの置換値を置換値生成部170に出力するように指示する。これらの処理が終了した後、出力ゲート172a〜172dおよび174a〜174dを開き、そのときの平均値計算部164a〜164dおよび166a〜166dの出力値をQPSKデマッパ176a〜176dに供給する。QPSKデマッパ176a〜176dによって符号判定を行う。符号判定を、平均化されたI、Qの座標が図7における4つの点のうち受信信号点に最も近い点を選び、その点の脇に記してある1対の数を出力することにより行う。例えば、受信信号点の平均化されたI,Qの座標が図6に示す×の位置にあった場合、QPSKデマッパは、最も近い点(この例の場合、左下の点)の脇に記してある1対の数(1,1)を出力する。こうして4つのQPSKデマッパ176a〜176dから得られた各2ビット、合計8ビットのデータを、並列/直列変換回路178によって1ビットのビットストリームに変換し、さらに誤り訂正復号部180で誤り訂正処理を行った後、受信データD’として出力する。
上記説明では、I信号およびQ信号の振幅がそれぞれ一定値であることを利用し、I信号に対する置換値はI信号の分散のみに着目して求め、Q信号に対する置換値はQ信号の分散のみに着目して求めたが、図6からわかるように、受信信号点の原点からの距離が一定値である、すなわち、受信信号点が原点を中心とする同じ円の円周上にあることを利用することも可能である。伝送路上で信号遮断や妨害の影響がない場合、IおよびQからなる平均値計算部164a〜164dおよび166a〜166dの4対の出力値は、いずれも図6のQPSKマッピングの4つの信号点のうちいずれかと等しい位置において受信される。図6の例では、いずれの信号点も中心から距離1の位置、すなわち半径1の円の円周上にあることがわかる。しかしながら、伝送路上で信号遮断があった場合、この関係が崩れ、この半径1の円の円周から離れた信号点となる。置換値生成部170は、受信信号Rの信号遮断箇所のIおよびQの推定値を生成し、置換部156a〜156dおよび158a〜158dは、信号遮断箇所のIおよびQの値を前記推定値に置換する。次に、このときの逆拡散結果、すなわち平均値計算部164a〜164dおよび166a〜166dの出力値の中心からの距離
の分散をIについて計算する。分散値計算部168は、平均値計算部164a〜164dおよび166a〜166dの出力値IおよびQからrを求め、その分散値を計算し、その値を保存しながら、遮断検出部154が検出した受信信号における劣化した各部分のQの値を置換していく。すべてのパターンについて置換した場合の平均値計算部164a〜164dおよび166a〜166dの出力値rの分散値の計算が終了した後、分散値計算部168は、最も分散値が小さかった場合のQの置換値を、置換値生成部に出力するように指示する。これらの処理が終了した後、出力ゲート172a〜172dおよび174a〜174dを開き、そのときの平均値計算部164a〜164dおよび166a〜166dの出力値をQPSKデマッパ176a〜176dに供給する。
図12は、本発明によるCDM−8PSK受信装置を含むCDM−8PSKシステムの構成の一例を示すブロック図である。送信装置50は、従来技術と同様のものであってもよく、誤り訂正符号化部82と、直列/並列変換部84と、8PSKマッパ86a〜86dと、乗算器88a〜88dおよび90a〜90dと、加算器92および94と、直交変調部96とを具える。送信装置80の動作は従来技術と同様であるため、さらに説明はしない。
本発明によるCDM−8PSK受信装置190は、直交復調部192と、遮断検出部194と、置換部196a〜196dおよび198a〜198dと、乗算器200a〜200dおよび202a〜202dと、平均値計算部204a〜204dおよび206a〜206dと、分散値計算部208と、置換値生成部210と、出力ゲート212a〜212dおよび214a〜214dと、8PSKデマッパ216a〜216dと、並列/直列変換部218と、誤り訂正符号復号部220とを具える。
伝送路68上で信号遮断や妨害の影響がない場合、IおよびQからなる平均値計算部4対の出力値は、いずれも図13の8PSKマッピングの8つの信号点のうちいずれかと等しい位置に受信される。この際のCDM−8PSK受信装置190の動作は図8を参照して説明した従来のCDM−8PSK受信装置50の動作と同様であり、受信信号を直交復調部192によって直交復調し、I、Qからなる受信信号Rを得る。受信信号Rを4系統に分配し、系統ごとI、Qごとにそれぞれに送信器50において用いたものと同じ拡散符号W1、W2、W3およびW4を乗算器200a〜200dおよび202a〜202dによって乗算する。さらに、これら4つのデータからなる4系統分のデータを、各系統ごとに、また、I、Qごとに、平均値計算部204a〜204dおよび206a〜206dによって、同じCDMフレームに属する4つ分のデータの平均値を求め、8PSKデマッパ216a〜216dによって符号判定を行う。符号判定を、平均化されたI、Qの座標を図13における8つの点から選び、その点の脇に記してある1対の数を出力することにより行う。こうして4つの8PSKデマッパ216a〜216dから得られた各3ビット、合計12ビットのデータを、並列/直列変換回路218によって1ビットのビットストリームに変換し、さらに誤り訂正復号部220で誤り訂正処理を行った後、受信データD’として出力する。なお、従来例と同様、これらの8PSKデマッパは、後段の誤り訂正符号復号を軟判定で行う場合は不要である。
しかしながら、伝送路上で、信号遮断があった場合、この関係が崩れ、8つの信号点のいずれとも異なった信号点となる。そこで、遮断検出部194が受信信号において遮断を検出した場合、遮断箇所の情報を置換値生成部210に供給し、置換値生成部210は、受信信号の信号遮断箇所に対するIの値の推定値を生成して置換部196a〜196dおよび198a〜198dに供給し、置換部196a〜196dおよび198a〜198dは、信号遮断箇所のIの値をこの推定値に置換する。分散値計算部208は、平均値計算部204a〜204dおよび206a〜206dの出力値Iの絶対値の分散値を計算し、その値を保存しながら、遮断検出部194が検出した信号の劣化した各部分のIの値を前記推定値に置換する。すべてのパターンについて置換した場合の平均値計算部204a〜204dおよび206a〜206dの出力値の絶対値の分散値の計算が終了した後、分散値計算部208は、最も分散値が小さかった場合のIの置換値を置換値生成部210に出力するように指示する。同様に平均値計算部出力値の分散をQについて計算する。置換値生成部210は、受信信号Rの信号遮断箇所に対するQの値の推定値を生成して、置換部196a〜196dおよび198a〜198dは、信号遮断箇所のQの値をこの推定値に置換する。分散値計算部208は、平均値計算部204a〜204dおよび206a〜206dの出力値Qの絶対値の分散値を計算し、その値を保存しながら、遮断検出部194が検出した信号の劣化した各部分のQの値を前記推定値に置換する。すべてのパターンについて置換した場合の平均値計算部204a〜204dおよび206a〜206dの出力値の絶対値の分散値の計算が終了した後、分散値計算部208は、最も分散値が小さかった場合のQの置換値を置換値生成部210に出力するように指示する。これらの処理が終了した後、出力ゲート212a〜212dおよび214a〜214dを開き、そのときの平均値計算部204a〜204dおよび206a〜206dの出力値を8PSKデマッパ216a〜216dに供給する。8PSKデマッパ216a〜216dによって符号判定を行う。符号判定を、平均化されたI、Qの座標が図13における8つの点のうち受信信号点に最も近い点を選び、その点の脇に記してある1対の数を出力することにより行う。こうして4つの8PSKデマッパ216a〜216dから得られた各3ビット、合計12ビットのデータを、並列/直列変換回路218によって1ビットのビットストリームに変換し、さらに誤り訂正復号部220で誤り訂正処理を行った後、受信データD’として出力する。
図14は、本発明によるCDM−16QAM受信装置を含むCDM−16QAMシステムの構成の一例を示すブロック図である。送信装置90は、従来技術と同様のものであってもよく、誤り訂正符号化部92と、直列/並列変換部94と、16QAMマッパ96a〜96dと、乗算器98a〜98dおよび100a〜100dと、加算器102および104と、直交変調部106とを具える。送信装置90の動作は従来技術と同様であるため、さらに説明はしない。
本発明によるCDM−16QAM受信装置230は、直交復調部232と、遮断検出部234と、置換部236a〜236dおよび238a〜238dと、乗算器240a〜240dおよび242a〜242dと、平均値計算部244a〜244dおよび246a〜246dと、事後確率計算部248と、置換値生成部250と、出力ゲート252a〜252dおよび254a〜254dと、16QAMデマッパ256a〜256dと、並列/直列変換部258と、誤り訂正符号復号部260とを具える。
伝送路108上で信号遮断や妨害の影響がない場合、IおよびQからなる平均値計算部4対の出力値は、いずれも図15の16QAMマッピングの16の信号点のうちいずれかと等しい位置に受信される。この際のCDM−16QAM受信装置230の動作は図9を参照して説明した従来のCDM−16QAM受信装置110の動作と同様であり、受信信号を直交復調部232によって直交復調し、I、Qからなる受信信号Rを得る。受信信号Rを4系統に分配し、系統ごとI、Qごとにそれぞれに送信器90において用いたものと同じ拡散符号W1、W2、W3およびW4を乗算器240a〜240dおよび242a〜242dによって乗算する。さらに、これら4つのデータからなる4系統分のデータを、各系統ごとに、また、I、Qごとに、平均値計算部244a〜244dおよび246a〜246dによって、同じCDMフレームに属する4つ分のデータの平均値を求め、16QAMデマッパ256a〜256dによって符号判定を行う。符号判定を、平均化されたI、Qの座標を図15における16つの点から選び、その点の脇に記してある1対の数を出力することにより行う。こうして4つの16QAMデマッパ256a〜256dから得られた各4ビット、合計16ビットのデータを、並列/直列変換回路258によって1ビットのビットストリームに変換し、さらに誤り訂正復号部250で誤り訂正処理を行った後、受信データD’として出力する。なお、従来例と同様、これらの16QAMデマッパは、後段の誤り訂正符号復号を軟判定で行う場合は不要である。
しかしながら、伝送路上で、信号遮断があった場合、この関係が崩れ、16つの信号点のいずれとも異なった信号点となる。そこで、遮断検出部234が受信信号において遮断を検出した場合、遮断箇所の情報を置換値生成部250に供給し、置換値生成部250は、受信信号Rの信号遮断箇所に対するIの値の推定値を生成して置換部236a〜236dおよび238a〜238dに供給し、置換部236a〜236dおよび238a〜238dは、信号遮断箇所のIの値をこの推定値に置換する。事後確率計算部248は、平均値計算部244a〜244dおよび246a〜246dの出力値(I
j,Q
j)(j=0〜3)すべてについて、取り得る16通りの信号点(I
i,Q
i)(i=0〜15)が送信された確からしさ(事後確率)に比例するexp{−(I
j−I
i)
2−(Q
j−Q
i)
2}の総和を求め、さらにそれらの総積、
を計算し、その値を保存しながら、遮断検出部234が検出した信号の劣化した各部分のIの値を前記推定値に置換する。すべてのパターンについて置換した場合の平均値計算部244a〜244dおよび266a〜266dのS
Iの計算が終了した後、事後確率計算部248は、最もS
Iが大きかった場合のIの置換値を置換値生成部250に出力するように指示する。同様に、置換値生成部250は、受信信号Rの信号遮断箇所に対するQの値の推定値を生成して置換部236a〜236dおよび238a〜238dに供給し、置換部236a〜236dおよび238a〜238dは、信号遮断箇所のQの値をこの推定値に置換する。事後確率計算部248は、平均値計算部244a〜244dおよび246a〜246dの出力値(I
j,Q
j)(j=0〜3)すべてについて、取り得る16通りの信号点(I
i,Q
i)(i=0〜15)が送信された確からしさ(事後確率)に比例するexp{−(I
j−I
i)
2−(Q
j−Q
i)
2}の総和を求め、さらにそれらの総積、
を計算し、その値を保存しながら、遮断検出部234が検出した信号の劣化した各部分のQの値を前記推定値に置換する。すべてのパターンについて置換した場合の平均値計算部244a〜244dおよび266a〜266dのS
Qの計算が終了した後、事後確率計算部248は、最もS
Qが大きかった場合のIの置換値を置換値生成部250に出力するように指示する。これらの処理が終了した後、出力ゲート252a〜252dおよび254a〜254dを開き、そのときの平均値計算部244a〜244dおよび246a〜246dの出力値を16QAMデマッパ256a〜256dに供給する。16QAMデマッパ256a〜256dによって符号判定を行う。符号判定を、平均化されたI、Qの座標が図15における16の点のうち受信信号点に最も近い点を選び、その点の脇に記してある1対の数を出力することにより行う。こうして4つの16QAMデマッパ256a〜256dから得られた各4ビット、合計16ビットのデータを、並列/直列変換回路258によって1ビットのビットストリームに変換し、さらに誤り訂正復号部260で誤り訂正処理を行った後、受信データD’として出力する。
なお、上述した取り得る16通りの信号点(Ii,Qi)(i=0〜15)および式(1)、(2)中のIi、Qiは、振幅を含め正確な値が受信側ではわからない場合が多い。このような場合には、図16に示すように、図14の送信装置90と同様の送信装置90’に既知符号発生部93を設け、周期的に16QAMの信号点のすべて、または一部を使って既知シンボルを伝送し、図14の送信装置230と同様の受信装置230’に既知符号検出部249およびシンボル平均化部251を設け、そのときの信号点位置を平均化して雑音抑制した後、16QAMデマッパ256a〜256dに反映させるといった処理を行うことにより、Ii、Qiを求めることができる。
上記実施例4のCDM−16QAMと同様に、例えば32QAM、64QAM、128QAM、256QAM等のさらに多値の変調方式を用いるCDM受信装置においても、同様に本発明の原理を適用することができる。
なお、上述したすべての実施例について、拡散符号長=4、符号多重数=4としたが、拡散符号長および符号多重数は、互いに直交する符号であればいくらであってもよい。
また、上記式(1)および(2)を、16QAM以上の多値QAM変調方式に適用する場合について説明したが、BPSK、QPSKおよび8PSK変調方式に適用することもできる。その場合、図10、11および12における分散値計算部を事後確率計算部とすればよい。事後確率計算部で行う処理は、各々の場合の信号点数に応じて式(1)および(2)におけるiの値を変化させればよく、処理内容は実施例4の16QAM変調の場合と同様である。
上述した実施例においては、拡散符号として符号長4のウォルシュ符号を使用した。ウォルシュ符号では、符号長Nとした場合、N個の互いに直交した符号群が存在するため、符号多重数Mは最大Nまでとることができる。しかし、ここで最大符号多重数Nよりも少ない符号多重数とすると、さらに特性の改善が可能である。上述したすべての実施例では、拡散符号としてW1、W2、W3およびW4を用いた。ここで、W4を使用せず、W1、W2およびW3のみを用いて符号多重数3の伝送を行うとする。このとき、受信装置においてW4を用いた逆拡散を行ったとすると、その逆拡散結果は0となる。そこで、欠損したデータを補間して分散計算をする際に、使用されている符号と直交する、拡散に使われていない符号でも逆拡散を行い、このときの逆拡散結果と0との差の自乗を分散計算結果に加算することで、補間の精度をより高めることができる。
上述した実施例においては、本発明をCDM−PSKおよびCDM−QAM変調方式に適用した場合について説明したが、本発明を、拡散されたチップをOFDMキャリアに分散させて伝送することでマルチパス・周波数選択性フェージング環境における受信特性を改善した、いわゆるOFCDM(Orthogonal Frequency and Code Division Multiplexing)に適用することもできる。図17は、基本変調に16QAMを使った場合の、本発明によるOFCDM受信装置を含むOFCDMシステムの構成の一例を示すブロック図である。図14の送信装置90とほぼ同様の送信装置90”は、図14と同じ符号で示す同様の構成要素の他に、直列/並列変換部103およびIFFT(Inverse fast Fourier Transform)部105を具え、拡散されたマッピング信号を加算して多重した後、直列/並列変換部103によりOFDMキャリアの本数に分配し、IFFT部105によりフーリエ逆変換してから直交変調部106で直交変調することでOFCDM波を生成している。図14の受信装置230とほぼ同様で図14と同じ符号で示す同様の構成要素を具える受信装置230”は、FFT部231および並列/直列変換部233をさらに具え、直交復調の後、FFT部231でフーリエ変換を行い、さらに並列/直交変換部233で1系統にまとめてから符号逆拡散を行うことにより、OFCDM波を復号する。このように、本発明を、周波数フェージングによるOFDMキャリア欠損の補償にも適用することができる。なお、基本変調方式としては、16QAM以外にも、BPSK、QPSK、8PSK等のnPSK変調や、32QAM、64QAM、128QAM、256QAMといったより多値化したnQAM変調も用いることができる。
従来のCDM−BPSK伝送システムの構成の一例を説明するブロック図である。
符号拡散部において行われる符号拡散処理を説明する図である。
符号逆拡散部において行われる符号逆拡散処理を説明する図である。
符号逆拡散部において行われる符号逆拡散処理を説明する図である
従来技術のQPSK変調方式を利用するCDMシステムの構成の一例を示すブロック図である。
QPSKマッパにおいて行われるマッピングを説明する図である。
QPSKデマッパにおいて行われる符号判定を説明する図である。
従来技術の8PSK変調方式を利用するCDMシステムの構成の一例を示すブロック図である。
従来技術の16QAM変調方式を利用するCDMシステムの構成の一例を示すブロック図である。
本発明によるCDM−BPSK受信装置の構成の一例を示すブロック図である。
本発明によるCDM−QPSK受信装置を含むCDM−QPSKシステムの構成の一例を示すブロック図である。
本発明によるCDM−8PSK受信装置を含むCDM−8PSKシステムの構成の一例を示すブロック図である。
8PSKデマッパにおいて行われる符号判定を説明する図である。
本発明によるCDM−16QAM受信装置を含むCDM−16QAMシステムの構成の一例を示すブロック図である。
16QAMデマッパにおいて行われる符号判定を説明する図である。
本発明によるCDM−16QAM受信装置を含むCDM−16QAMシステムの構成の他の例を示すブロック図である。
本発明によるOFCDM受信装置を含むOFCDMシステムの構成の一例を示すブロック図である。
符号の説明
1、10、50、90、90’、90” 送信装置
2、28、68、108 伝送路
3、30、70、130、150、190、230、230’、230” 受信装置
4、12、52、92 誤り訂正符号化部
5 符号拡散部
6、26、66、106 直交変調部
7、32、72、112、133、152、192、232 直交復調部
8 符号逆拡散部
9、46、86、126、140、180、220、260 誤り訂正符号復号化部
14、54、94、103 直列/並列変換部
16a〜16d QPSKマッパ
18a〜18d、20a〜20d、34a〜34d、36a〜36d、58a〜58d、60a〜60d、74a〜74d、76a〜76d、98a〜98d、100a〜100d、114a〜114d、116a〜116d、160a〜160d、162a〜162d、200a〜200d、202a〜202d、240a〜240d、242a〜242d 乗算器
22、24、62、64、102、104 加算器
38a〜38d、40a〜40d、78a〜78d、80a〜80d、118a〜118d、120a〜120d、164a〜164d、166a〜166d、204a〜204d、206a〜206d、244a〜244d、246a〜246d 平均値計算部
42a〜42d、176a〜176d QPSKデマッパ
44、84、124、178、218、233、258 並列/直列変換部
56a〜56d 8PSKマッパ
82a〜82d、216a〜216d 8PSKデマッパ
93 既知符号発生部
96a〜56d 16QAMマッパ
105 IFFT部
122a〜122d、256a〜256d 16QAMデマッパ
132、154、194、234 遮断検出部
134 拡散符号乗算部
135 平均値計算部
136、168、208 分散値計算部
137、170、210、250 置換値生成部
138、172a〜172d、174a〜174d、212a〜212d、214a〜214d、252a〜252d、254a〜254d 出力ゲート部
139 しきい値判定部
156a〜156d、158a〜158d、196a〜196d、198a〜198d、236a〜236d、238a〜238d 置換部
231 FFT部
248 事後確率計算部
249 既知符号検出部
251 シンボル平均化部