JP4202154B2 - カーボネート類の製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はカーボネート類(炭酸ジエステル)の製造法、より詳しくは、パラジウム触媒を用いた分子状酸素を酸化剤とする一酸化炭素とヒドロキシ化合物との酸化的カップリング反応によるカーボネート類の製造法に関する。カーボネート類は、ポリマー原料、有機化学品の中間原料などとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
カーボネート類の製造法として、ホスゲンとフェノール等のヒドロキシ化合物を塩基存在下で反応させる方法が知られている。しかし、ホスゲンは猛毒であり、また塩の副生が避けられないことから、ホスゲンを用いないカーボネート類の製造法の開発は重要な課題である。ホスゲンを用いない方法として、パラジウム化合物触媒を用いた分子状酸素を酸化剤とする一酸化炭素とヒドロキシ化合物との酸化的カップリング反応が報告されている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、この方法では反応効率が悪いなどの問題点がある。
【0003】
【非特許文献1】
Journal of Organometallic Chemistry 630(2001),11−16
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、分子状酸素を酸化剤として用い、一酸化炭素とヒドロキシ化合物との酸化的カップリング反応により、反応効率よくカーボネート類を製造できる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、パラジウム化合物と特定のヘテロポリ酸の塩を触媒として用いると、ヒドロキシ化合物と一酸化炭素及び酸素から、温和な条件下で、対応するカーボネート類を効率よく製造できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、パラジウム化合物(A)と、構成元素として少なくともPとVとを含むヘテロポリ酸の塩(B)の存在下、下記式(2)
R−OH (2)
(式中、Rは炭化水素基又は複素環式基を示す)
で表されるヒドロキシ化合物を、一酸化炭素及び分子状酸素と反応させて、下記式(3)
R−O−CO−O−R (3)
(式中、Rは前記に同じ)
で表されるカーボネート類を生成させるカーボネート類の製造法であって、前記ヘテロポリ酸の塩(B)として、A 2 をヘテロポリ酸カチオンとしたとき、全体として、A 2 、P、Mo及びVの平均原子(又は原子団)比が、A 2 /P/Mo/V=2〜10/1/2.5〜7/5〜9.5の範囲となるようなヘテロポリ酸又はその塩の混合物(前記A 2 は、すべてがNH 4 であるか、又はその一部が水素原子である)を用いることを特徴とするカーボネート類の製造法を提供する。
【0010】
なお、本明細書では、「パラジウム化合物」をパラジウム単体を含む意味に用いる。
【0011】
【発明の実施の形態】
[パラジウム化合物(A)]
パラジウム化合物(A)としては、例えば、金属パラジウム、0価のパラジウム錯体などの0価のパラジウム化合物;酢酸パラジウム(II)、シアン化パラジウム(II)などの2価のパラジウムの有機酸塩、パラジウム(II)アセチルアセトナト、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)などの2価のパラジウムの有機錯体、フッ化パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、ヨウ化パラジウム(II)などの2価のパラジウムのハロゲン化物、硝酸パラジウム(II)、硫酸パラジウム(II)などの2価のパラジウムの酸素酸塩、酸化パラジウム(II)、硫化パラジウム(II)、セレン化パラジウム(II)、水酸化パラジウム(II)、テトラアンミンパラジウム(II)塩化物などの2価のパラジウムの無機錯体などの2価のパラジウム化合物などが例示できる。
【0012】
これらのパラジウム化合物のなかでも、酢酸パラジウム(II)などの2価のパラジウムの有機酸塩又は有機錯体、塩化パラジウム(II)などの2価のパラジウムのハロゲン化物、硫酸パラジウム(II)などの2価のパラジウムの酸素酸塩などの2価のパラジウム化合物が好ましい。
【0013】
パラジウム化合物は活性炭、シリカ、アルミナ、ゼオライトなどの担体に担持した形態で用いてもよい。パラジウム化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0014】
パラジウム化合物の使用量は、原料として用いるヒドロキシ化合物1モルに対して、例えば、0.0000001〜0.5モル、好ましくは0.000001〜0.1モル、さらに好ましくは0.00001〜0.01モル程度である。
【0015】
[ヘテロポリ酸の塩(B)]
本発明では、パラジウム化合物(A)と共に、構成元素として少なくともPとVとを含むヘテロポリ酸の塩(B)を用いる。
【0016】
ヘテロポリ酸とは、種類の異なる2種以上の中心イオンを含む酸素酸の縮合物であり、異核縮合酸ともいう。ヘテロポリ酸は、例えば、P、As、Sn、Si、Ti、Zrなどの元素の酸素酸イオン(例えば、リン酸、ケイ酸など)と、V、Mo、Wなどの元素の酸素酸イオン(例えば、バナジン酸、モリブデン酸、タングステン酸など)とで構成されており、その組み合わせにより種々のヘテロポリ酸が可能である。
【0017】
ヘテロポリ酸を構成する酸素酸のヘテロ原子として、例えば、Cu、Be、B、Al、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Ce、Th、N、P、As、Sb、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、U、Se、Te、Mn、I、Fe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Ptなどが例示できる。本発明におけるヘテロポリ酸は、構成元素として、少なくともPとVとを含有しており、さらに、Moを含んでいるのがより好ましい。このほかに、Si、Mo、Wなどの元素を含有してしていてもよい。
【0018】
ヘテロポリ酸又はその塩を構成するヘテロポリ酸アニオンとしては種々の組成のものを使用できるが、好ましいヘテロポリ酸アニオンの組成は、XM1240で表すことができる。この組成式において、Xは、Si、Pなどの元素であり、Mは、Mo、W、Vなどの元素である。本発明においては、ヘテロポリ酸アニオンとして、例えば、リンバナドモリブデン酸、リンバナジン酸のアニオンなどが例示できる。
【0019】
本発明では、ヘテロポリ酸のカチオンに相当する水素原子の少なくとも一部を他のカチオンで置換したヘテロポリ酸の塩を使用する。前記水素原子と置換可能なカチオンとしては、例えば、置換又は無置換アンモニウム(NH4;テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等の第4級アンモニウムなど)、アルカリ金属(Cs、Rb、K、Na、Liなど)、アルカリ土類金属(Ba、Sr、Ca、Mgなど)などが例示できる。特に、ヘテロポリ酸の水素原子の一部をNH4で置換し、カチオンをHとNH4との双方で構成した場合には、触媒活性や安定性がより向上する。この場合、Hに対するNH4の割合は、NH4/H(モル比)=0.1〜10、好ましくは0.2〜8、さらに好ましくは0.3〜5程度である。ヘテロポリ酸の水素原子の一部を置換アンモニウムで置換した場合も上記NH4と同様である。
【0020】
ヘテロポリ酸の塩(B)は、単独で用いてもよいが、2種以上を併用することもできる。ヘテロポリ酸の塩(B)は慣用乃至公知の方法により調製できる。
【0021】
ヘテロポリ酸の塩(B)のなかでも、下記式(1)で表されるヘテロポリ酸塩が好適に用いられる。
1 3+n[PMo12-nn40] (1)
【0022】
式(1)中、A1はヘテロポリ酸カチオンであり、置換又は無置換アンモニウム、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選択された少なくとも1種を含んでいる。nは1〜12の整数である。A1は、すべてが置換又は無置換アンモニウム、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選択されたカチオンであってもよく、一部が水素原子(プロトン)等の他のカチオンであってもよい。A1としては、すべてが置換又は無置換アンモニウム(特に、NH4)であるか、又はその一部が水素原子であるのが好ましい。nの値は、酸化力、安定性を考慮して適宜選択することができ、好ましくは1〜10程度である。
【0023】
また、好ましいヘテロポリ酸の塩(B)には、A2をヘテロポリ酸カチオンとしたとき、全体として、A2、P、Mo及びVの平均原子(又は原子団)比が、A2/P/Mo/V=1〜12/1/0〜11/1〜12の範囲となるようなヘテロポリ酸又はその塩の混合物が含まれる。前記A2は、置換又は無置換アンモニウム、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選択された少なくとも1種を含んでいる。A2は、すべてが置換又は無置換アンモニウム、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選択されたカチオンであってもよく、一部が水素原子(プロトン)等の他のカチオンであってもよい。A2としては、すべてが置換又は無置換アンモニウム(特に、NH4)であるか、又はその一部が水素原子であるのが好ましい。前記平均原子(原子団)比は、好ましくは、A2/P/Mo/V=2〜10/1/2.5〜7/5〜9.5であり、さらに好ましくは、A2/P/Mo/V=3〜8/1/3〜5/6〜9である。このようなヘテロポリ酸の塩(B)は、例えば、メタバナジン酸ナトリウムなどのメタバナジン酸塩と、モリブデン酸ナトリウムなどのモリブデン酸塩と、リン酸とを反応させ、好ましくは、次いで塩化アンモニウムなどのアンモニウム塩を加えることにより調製できる。A2(特にNH4)、P、Mo及びVの平均原子(又は原子団)比は、例えば、前記メタバナジン酸塩、モリブデン酸塩、リン酸、アンモニウム塩の使用量を調整することによりコントロールできる。なお、本発明では、前記ヘテロポリ酸の塩(B)として、A 2 をヘテロポリ酸カチオンとしたとき、全体として、A 2 、P、Mo及びVの平均原子(又は原子団)比が、A 2 /P/Mo/V=2〜10/1/2.5〜7/5〜9.5の範囲となるようなヘテロポリ酸又はその塩の混合物(前記A 2 は、すべてがNH 4 であるか、又はその一部が水素原子である)を用いるものである。
【0024】
ヘテロポリ酸の塩(B)の使用量は、特に限定されないが、原料として用いるヒドロキシ化合物1モルに対して、例えば、0.00001〜0.5モル、好ましくは0.0001〜0.1モル、さらに好ましくは0.001〜0.05モル程度である。
【0025】
ヘテロポリ酸の塩(B)は活性炭等の担体に担持した形態で用いてもよい。この場合、ヘテロポリ酸の塩(B)とパラジウム化合物(A)とを同一の担体上に分散担持させてもよい。
【0026】
[他の触媒成分]
本発明の方法では、前記パラジウム化合物(A)及びヘテロポリ酸の塩(B)に加えて、他の触媒成分等の添加物(以下、単に「他の触媒成分」と称することがある)を系内に存在させてもよい。他の触媒成分として、例えばイオン性化合物が挙げられる。イオン性化合物の添加によりパラジウムの触媒活性が大幅に向上する場合がある。イオン性化合物は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0027】
イオン性化合物には、例えば、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、トリメチルオクチルアンモニウムブロミドなどの第4級アンモニウム塩、テトラブチルアンモニウムホスホニウムなどの第4級ホスホニウム塩、塩化アンモニウム、臭化アンモニウムなどのハロゲン化アンモニウム等のオニウム塩;塩化リチウム、臭化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物;塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、臭化バリウムなどのアルカリ土類金属ハロゲン化物;アルミニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などの遷移金属のハロゲン化物などが含まれる。
【0028】
これらの中でも、第4級アンモニウム塩や第4級ホスホニウム塩などのオニウム塩;第4級アンモニウムブロミドや第4級ホスホニウムブロミドなどの臭化物が特に好ましい。
【0029】
イオン性化合物の使用量は、その種類によっても異なるが、原料として用いるヒドロキシ化合物1モルに対して、例えば0.001〜1モル、好ましくは0.005〜0.5モル、さらに好ましくは0.01〜0.3モル程度である。
【0030】
[一酸化炭素]
一酸化炭素としては特に限定されず、純粋な一酸化炭素を用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスで希釈した一酸化炭素を使用してもよい。また、反応系中において発生した一酸化炭素を用いてもよい。
【0031】
一酸化炭素の使用量は、原料として用いるヒドロキシ化合物の種類などに応じて選択でき、通常、ヒドロキシ化合物1モルに対して、0.5モル以上(例えば、1モル以上)、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは1〜50モル程度である。
【0032】
[分子状酸素]
分子状酸素としては特に限定されず、純粋な酸素を用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスで希釈した酸素や空気を使用してもよい。
【0033】
分子状酸素の使用量は、原料として用いるヒドロキシ化合物1モルに対して、通常0.5モル以上(例えば、1モル以上)、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは1〜50モル程度である。分子状酸素はヒドロキシ化合物に対して過剰量用いることが多い。
【0034】
[ヒドロキシ化合物]
本発明の方法において原料として用いるヒドロキシ化合物(アルコール類又はフェノール類)は前記式(2)で表される。式(2)中、Rは炭化水素基又は複素環式基を示す。
【0035】
炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらが複数個結合した基が含まれる。脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル基などのアルキル基(例えばC1-20アルキル基、好ましくはC1-10アルキル基、特に好ましくはC1-4アルキル基);ビニル、アリル基などのアルケニル基(例えばC2-20アルケニル基、好ましくはC2-10アルケニル基、特に好ましくはC2-4アルケニル基);エチニル、プロピニル基などのアルキニル基(例えばC2-20アルキニル基、好ましくはC2-10アルキニル基、特に好ましくはC2-4アルキニル基)などが挙げられる。
【0036】
脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル基などのシクロアルキル基(例えば、3〜20員のシクロアルキル基);シクロペンテニル、シクロヘキセニル基などのシクロアルケニル基(例えば、3〜20員のシクロアルケニル基);ノルボルニル、アダマンチル基などの多環の脂環式炭化水素基(橋かけ環式炭化水素基)などが挙げられる。
【0037】
芳香族炭化水素基としては、フェニル、ナフチル、フェナントリル基などの炭素数6〜20程度の芳香族炭化水素基が挙げられる。芳香族炭化水素基の芳香環には、シクロペンタン環、シクロヘキサン環などの脂環式炭化水素環、ピペリジン環、ピリジン環、テトラヒドロフラン環、フラン環などの非芳香族性又は芳香族性の複素環が縮合していてもよい。
【0038】
炭化水素基が複数個結合した基には、ベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル基などのアラルキル基(例えば、C7-21アラルキル基など);シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル基などのシクロアルキル−アルキル基などが含まれる。
【0039】
複素環式基には、例えば、4−ピペリジニル、2−ピリジル基などの窒素原子を含む非芳香族性又は芳香族性の複素環式基;2−フリル基などの酸素原子を含む非芳香族性又は芳香族性の複素環式基;2−チエニル基などの硫黄原子を含む非芳香族性又は芳香族性の複素環式基などが含まれる。複素環式基の複素環には、シクロペンタン環、シクロヘキサン環などの脂環式炭化水素環、ベンゼン環などの芳香族炭化水素環、ピペリジン環、ピリジン環、テトラヒドロフラン環、フラン環などの非芳香族性又は芳香属性の複素環が縮合していてもよい。
【0040】
前記炭化水素基、複素環式基は、反応を阻害しない範囲で置換基を有していてもよい。該置換基としては、例えば、アルキル基(メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル基などのC1-4アルキル基等)、アルケニル基(ビニル、アリル基などのC1-4アルケニル基等)、アルキニル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基(フェニル基、ナフチル基等)、アシル基、複素環式基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、置換オキシ基(例えば、メトキシ基等のC1-4アルコキシ基などのアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基、アセチルオキシ基などのアシルオキシ基等)、置換チオ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などのC1-4アルコキシ−カルボニル基などのアルコキシカルボニル基等)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基(アミノ基、N,N−ジメチルアミノ基などのN,N−ジC1-4アルキルアミノ基等)、スルホ基、これらが複数個結合した基などが挙げられる。
【0041】
式(2)で表されるヒドロキシ化合物の代表的な例として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、1−ヘキサノール、1−デカノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなどのアルコール類;フェノール、クレゾール(o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール)、キシレノール(3,5−キシレノール等)、カルバクロール、チモール、メトキシフェノール、クロロフェノール、アセチルフェノール、アセトキシフェノール、ニトロフェノール、カテコール、ナフトール(α−ナフトール、β−ナフトール)、ヒドロキシピリジン、ヒドロキシキノリンなどのフェノール類が例示できる。
【0042】
[反応]
反応は溶媒の存在下又は非存在下で行われる。溶媒は原料として用いるヒドロキシ化合物の種類等により適宜選択できる。溶媒として、例えば、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸などのカルボン酸等の有機酸;ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ニトロメタン、ニトロエタンなどのニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの鎖状又は環状エーテル類;ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素;水;これらの混合溶媒などが挙げられる。これらの溶媒のなかでも、プロトン性の溶媒、例えば、有機酸などが好ましい。
【0043】
本発明の方法では、反応系に脱水剤を添加したり、反応系から水を除去しながら反応を行うと、反応が効率よく進行する。脱水剤としては、水をトラップできるものであれば特に限定されず、例えば、モレキュラーシーブなどを使用できる。モレキュラーシーブ等を用いる場合、その使用量は操作性等を損なわない範囲で適宜選択できるが、一般には、原料として用いるヒドロキシ化合物1モルに対して、1〜200g程度、好ましくは10〜100g程度である。
【0044】
本発明の方法では、比較的温和な条件であっても円滑に反応が進行する。反応温度は、原料化合物の種類等に応じて適宜選択できるが、通常、0〜200℃、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは60〜120℃程度である。反応は常圧で行ってもよく、加圧下で行ってもよい。反応圧力は、例えば0.1〜5MPa、好ましくは1〜4MPa程度である。反応は、酸素及び一酸化炭素雰囲気下又は酸素及び一酸化炭素流通下、回分式、半回分式、連続式などの慣用の方法により行うことができる。
【0045】
この方法によれば、ヒドロキシ化合物の酸化的カップリング反応が進行し、原料として用いたヒドロキシ化合物[式(2)で表される化合物]に対応するカーボネート類[式(3)で表される化合物]が生成する。
【0046】
反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段やこれらを組み合わせることにより分離精製できる。未反応の原料や触媒は回収して再利用してもよい。
【0047】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、触媒としてパラジウム化合物と特定のヘテロポリ酸の塩とを組み合わせて用いるので、二酸化炭素の副生がほとんど無く、一酸化炭素と酸素を効率よく利用でき、パラジウム種のターンオーバー数も多い。そのため、ヒドロキシ化合物から対応するカーボネート類を生産効率よく製造することができる。
【0048】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0049】
調製例1
NaVO3(7.32g、60ミリモル)の水溶液(水:38ml)に、Na2MoO4・2H2O(8.22g、34ミリモル)の水溶液(水:12ml)を加えた。得られた水溶液に、85%リン酸(7.6g、66ミリモル)を水(10ml)に溶解した溶液を加え、95℃で1時間攪拌した。混合溶液を0℃まで冷却した後、飽和塩化アンモニウム水溶液150mlを加え、褐色の沈殿物を得た。この沈殿物を濾別し、水で再結晶した。結晶を分析したところ、NとPとMoとVの平均原子比は、N/P/Mo/V=5.0/1.0/4.0/7.8であり、プロトンの一部がアンモニウムカチオンで置換されたリンバナドモリブデン酸塩の混合物(以下、NPMoVと略記する)であることがわかった。
【0050】
実施例1
内容積120mlのオートクレーブに、酢酸パラジウム(II)[Pd(OAc)2]0.01ミリモル、NPMoV 70mg、テトラブチルアンモニウムブロミド(n−Bu4NBr)2.4ミリモル、モレキュラーシーブ3A(粉末)4.8g、及びフェノール0.1モルを入れ、一酸化炭素2MPa及び空気1MPaで加圧し、90℃で24時間反応させた。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、ジフェニルカーボネートが21%の収率、95%の選択率で生成していた。このときのパラジウムのターンオーバー数は1043であった。
【0051】
実施例2
フェノールを0.05モル用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、ジフェニルカーボネートが33%の収率、98%の選択率で生成していた。このときのパラジウムのターンオーバー数は818であった。
【0052】
実施例3
テトラブチルアンモニウムブロミド(n−Bu4NBr)を1.2ミリモル用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、ジフェニルカーボネートが20%の収率、93%の選択率で生成していた。このときのパラジウムのターンオーバー数は971であった。
【0053】
実施例4
反応時間を14時間とした以外は実施例1と同様の操作を行った。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、ジフェニルカーボネートが16%の収率、96%の選択率で生成していた。このときのパラジウムのターンオーバー数は815であった。
【0054】
実施例5(参考例とする)
NPMoV の代わりに(NH43HPMo11140 を70mg用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、ジフェニルカーボネートが9%の収率、95%の選択率で生成していた。このときのパラジウムのターンオーバー数は501であった。
【0055】
実施例6
テトラブチルアンモニウムブロミド(n−Bu4NBr)の代わりにテトラブチルホスホニウムブロミド(n−Bu4PBr)を2.4ミリモル用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、ジフェニルカーボネートが17%の収率、95%の選択率で生成していた。このときのパラジウムのターンオーバー数は953であった。
【0056】
実施例7
テトラブチルアンモニウムブロミド(n−Bu4NBr)の代わりにテトラエチルアンモニウムブロミド(Et4NBr)を2.4ミリモル用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、ジフェニルカーボネートが19%の収率、96%の選択率で生成していた。このときのパラジウムのターンオーバー数は1011であった。
【0057】
実施例8
内容積120mlのオートクレーブに、酢酸パラジウム(II)[Pd(OAc)2]0.01ミリモル、NPMoV 70mg、テトラブチルアンモニウムブロミド(n−Bu4NBr)2.4ミリモル、モレキュラーシーブ3A(粉末)4.8g、及びエタノール0.1モルを入れ、一酸化炭素2MPa及び空気1MPaで加圧し、90℃で24時間反応させた。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、ジエチルカーボネートが17%の収率、92%の選択率で生成していた。このときのパラジウムのターンオーバー数は943であった。
【0058】
比較例1
(NH43HPMo11140 の代わりに、H4PMo11140 を70mg用いた以外は実施例と同様の操作を行った。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、ジフェニルカーボネートが0.3%の収率、98%の選択率で生成していた。このときのパラジウムのターンオーバー数は12であった。

Claims (1)

  1. パラジウム化合物(A)と、構成元素として少なくともPとVとを含むヘテロポリ酸の塩(B)の存在下、下記式(2)
    R−OH (2)
    (式中、Rは炭化水素基又は複素環式基を示す)
    で表されるヒドロキシ化合物を、一酸化炭素及び分子状酸素と反応させて、下記式(3)
    R−O−CO−O−R (3)
    (式中、Rは前記に同じ)
    で表されるカーボネート類を生成させるカーボネート類の製造法であって、前記ヘテロポリ酸の塩(B)として、A 2 をヘテロポリ酸カチオンとしたとき、全体として、A 2 、P、Mo及びVの平均原子(又は原子団)比が、A 2 /P/Mo/V=2〜10/1/2.5〜7/5〜9.5の範囲となるようなヘテロポリ酸又はその塩の混合物(前記A 2 は、すべてがNH 4 であるか、又はその一部が水素原子である)を用いることを特徴とするカーボネート類の製造法。
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