JP4201829B2 - 発泡樹脂複合構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、発泡樹脂原料を発泡させて成型した発泡樹脂成型体を母材とする発泡樹脂複合構造体の製造方法に関する。
従来、発泡スチロールなどの発泡樹脂成型品は、断熱用ボードおよび緩衝材などに用いられている。
発泡樹脂成型品の成型機および成型方法として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。図8は、特許文献1において従来技術として記載された発泡樹脂成型機の模式図である。以下、その発泡樹脂成型機を用いた発泡樹脂成型品の成型工程について説明する。
最初に、型開閉用シリンダ300を作動させて雄型100を雌型200の方へ水平移動させて型締めを行う。続いて、雄型100と雌型200との合わせ面に形成されるキャビティ360に発泡樹脂成型原料(発泡ビーズ)310を充填する。続いて、加熱された水蒸気を流入管330から雄型100および雌型200の内部に流入して上記合わせ面を加熱し、キャビティ360内の発泡樹脂成型原料310を溶融させる。続いて、冷却水を流入管330から流入し、その流入した冷却水を雄型100および雌型200の内部に形成された複数の噴射ノズル350から噴射し、上記合わせ面を冷却する。続いて、型開閉用シリンダ300を作動させて雄型100を水平移動させて型開きする。続いて、エジェクター320を移動させてエジェクターピン370を雌型200の内部からキャビティ360内に突出させ、キャビティ360内で固化した発泡樹脂成型品を離型する。
特開平9−39018号公報(第2段落、図8)
しかし、発泡樹脂成型品の軽量化を優先し、発泡樹脂成型原料の発泡倍率を高くすると、成型された発泡樹脂成型品の圧縮強度、曲げ強度および引張強度などの強度が低下する。また、それらの強度を高めるために発泡樹脂成型原料の発泡倍率を低くすると、発泡樹脂成型品の重量が増加し、軽量であるという発泡樹脂成型品が持っている本来の特性が損なわれる。さらに、発泡樹脂成型品を構成する発泡セル間の空隙率が大きくなると、防水性が低下する。
つまり、従来の発泡樹脂成型品は、軽量であるという特質を確保しながら、強度および防水性などの物性を変えたり、あるいは、新たな物性を加えたりすることが困難である。
そこでこの発明は、軽量であるという特質を確保しながら、強度および防水性などの物性を変えたり、あるいは、新たな物性を加えたりすることができる発泡樹脂複合構造体の製造方法を実現することを目的とする。
この発明は、上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明では、発泡ビーズ加熱発泡させて成型され、かつ、発泡セル(51)間の空隙率が0.2〜7%の発泡樹脂成型体からなる母材(12,50と、粘度が2000mPa・s以下であり、かつ、前記母材の一の面(12b,54)と他の面(12c,55)とに連通している空隙(52)に充填可能であり、かつ、付加重合により生成され、かつ、前記母材を溶解しない流動性の樹脂(53)と、排気口(11c,91c)が設けられ、前記母材を収容する容器(11,14,91,92)と、前記排気口に接続された真空ポンプ(70)とを用意し、前記母材に前記樹脂を塗布する工程と、前記母材を前記容器に収容する工程と、前記樹脂が塗布された母材が前記容器に収容された状態で前記真空ポンプを作動させ、前記塗布された樹脂を前記母材の空隙に浸透させる工程と、前記母材に浸透した樹脂を硬化させる工程と、を有することを特徴とする発泡樹脂複合構造体の製造方法という技術的手段を用いる。
請求項2に記載の発明では、発泡ビーズを加熱発泡させて成型され、かつ、発泡セル(51)間の空隙率が0.2〜7%の発泡樹脂成型体からなる円柱形状の母材(32)であって、一方の端面から中心軸に沿って内部まで達し、他方の端面には貫通していない挿入口(32d)が形成された母材(32)と、粘度が2000mPa・s以下であり、かつ、前記母材の一の面(32b)と他の面(32c)とに連通している空隙(52)に充填可能であり、かつ、付加重合により生成され、かつ、前記母材を溶解しない流動性の樹脂(53)と、前記挿入口に挿入する筒状部材(34)であって、その内部空間と連通する複数の吸気口(34a)が貫通形成された筒状部材と、前記筒状部材の一端に接続された真空ポンプ(70)とを用意し、前記母材の外壁に前記樹脂を塗布する工程と、前記筒状部材の他端を前記母材の挿入口に挿入する工程と、前記真空ポンプを作動させ、前記塗布された樹脂を前記母材の空隙に浸透させる工程と、前記母材に浸透した樹脂を硬化させる工程と、
を有することを特徴とする発泡樹脂複合構造体の製造方法という技術的手段を用いる。
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法において、透光性材料によって形成された窓(14b)が前記容器(11,14)に設けられてなるという技術的手段を用いる。
請求項4に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法において、前記母材(50)に塗布された樹脂の表面をフィルム(93)で覆う工程を有するという技術的手段を用いる。
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法において、前記流動性の樹脂(53)は溶剤を含まないものであるという技術的手段を用いる。
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法において、前記流動性の樹脂(53)はエポキシ樹脂であるという技術的手段を用いる。
請求項1ないし請求項5に記載の流動性の樹脂として、触媒により物性が変化するもの用いることもできる
例えば、触媒を付与しない状態では流動性を示し、触媒を付与すると硬化する樹脂であれば、その樹脂を流動状態に保持した状態で母材の空隙に収容し、空隙内の樹脂に触媒を付与することにより、空隙内の樹脂を硬化させることができる。
請求項1ないし請求項5に記載の流動性の樹脂として、導電性を有するもの用いることもできる
つまり、その樹脂を母材の空隙内に収容することにより、母材に導電性を持たせることができる。
例えば、所定温度を超えると硬化する流動性の樹脂、あるいは、触媒を付与すると硬化する流動性の樹脂に導電性材料を混合し、それを母材の空隙内に収容した後に、空隙内の樹脂を硬化させることにより、母材に導電性を持たせることができる。
請求項1ないし請求項5に記載の流動性の樹脂として、磁性体を含有するもの用いることもできる
つまり、その樹脂を母材の空隙内に収容することにより、母材に磁性を持たせることができる。
例えば、所定温度を超えると硬化する流動性の樹脂、あるいは、触媒を付与すると硬化する流動性の樹脂に磁性材料を混合し、それを母材の空隙内に収容した後に、空隙内の樹脂を硬化させることにより、母材に磁性を持たせることができる。
請求項1ないし請求項5に記載の流動性の樹脂として、薬剤を含有するもの用いることもできる
つまり、その樹脂を母材の空隙内に収容することにより、母材に薬剤による効果を持たせることができる。
例えば、抗菌剤を樹脂に含有させることにより、母材に抗菌効果を持たせることができる。また、防カビ剤を樹脂に含有させることにより、母材に防カビ効果を持たせることができる。
請求項1ないし請求項5に記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法において、前記母材(12,50)の特定の領域に形成された空隙(52)に前記樹脂(53)が収容されたという技術的手段を用いることもできる
つまり、母材の特定の領域に形成された空隙に前記樹脂が収容されているため、母材の特定の領域の物性を変えたり、あるいは、本来の特性に新たな物性を加えることができる。
例えば、母材の特定の領域の強度を他の領域よりも高くしたい場合に、その特定の領域における空隙内に熱硬化性樹脂を収容することにより、その特定の領域の強度を他の領域よりも高くすることができる。
前記流動性のエポキシ樹脂を母材の空隙に浸透させる工程において、エポキシ樹脂が前記母材の一の面を覆った状態にし、さらに、母材に浸透したエポキシ樹脂を硬化させる工程において、前記一の面を覆ったエポキシ樹脂を硬化させ、その硬化したエポキシ樹脂により形成された膜を前記一の面に形成する技術的手段を用いることもできる
これによれば、母材の一の面からの透水および透湿を防止することができる。また、エポキシ樹脂の膜を母材の一の面に貼着する工程が不要であるため、その分、発泡樹脂複合構造体の製造工程を短縮することができる。
上記の括弧内の符号は、後述する実施形態において使用する符号と対応するものである。
[発明の効果]
(請求項1に係る発明の効果)
請求項1に係る発泡樹脂複合構造体の製造方法によって製造された発泡樹脂複合構造体は、その母材を組成している発泡セル間に形成された空隙に樹脂が収容されてなるため、発泡樹脂成型体の軽量であるという特質を確保しながら、その物性を変えることができる。
つまり、従来は、一旦成型された発泡樹脂成型体の物性を変えたりすることができなかったが、発泡樹脂成型体の母材を組成している発泡セル間に樹脂を収容することにより、発泡樹脂成型体の軽量であるという特質を確保しながら、その物性を変えることができる。
また、樹脂を母材の空隙内に収容しても、母材の重量から増加の少ない発泡樹脂複合構造体を製造することができる。
さらに、樹脂は、付加重合により生成され、かつ、母材を溶解しないものであるため、比較的生成が容易であり、母材の空隙内に収容しても母材を変形させるおそれがない。
例えば、請求項6に記載のエポキシ樹脂は、グラフト重合前のプレポリマーと硬化剤を混合することにより付加重合されて生成される。また、エポキシ樹脂は、プレポリマーの組成と硬化剤の種類との組み合わせで物性が多様に変化するため、その組合せを変えることにより、母材の物性を変えることができる。さらに、エポキシ樹脂は、母材を組成している発泡セル間に形成された空隙に収容しても、その空隙を溶解しないため、母材が変形するおそれがない。
さらに、母材の空隙率を0.2〜7%にすることにより、母材の物性をより一層大きく変えることができる。
なお、上記の「物性」とは、物質の示す巨視的性質および微視的性質を含む意味である。例えば、物質の機械的・電気的・光学的・熱的・磁気的などの性質を含む。具体的には、圧縮強度、曲げ強度、引張強度、耐衝撃性などの機械的強度、重量、比重、弾性、あるいは、吸水性、透湿性、防水性、磁性、あるいは、電気抵抗、誘電率などの電気的特性、熱伝導率、熱抵抗、断熱性などの性質を含む。さらには、芳香性、防錆性、防カビ性、防虫性、光の透過率などの性質を含み、光沢、模様、色彩などの意匠的性質をも含む。
(請求項4に係る発明の効果)
母材に塗布された樹脂の表面をフィルムで覆うため、母材の一の面における圧力差を均等にすることができるので、樹脂を均等に各空隙内に収容することができる。
(請求項6に係る発明の効果)
流動性の樹脂は、エポキシ樹脂であるため、そのエポキシ樹脂を母材の空隙内に収容した後に、空隙内のエポキシ樹脂を硬化させることにより、母材の強度よりも機械的強度が高く、かつ、透水性および透湿性が低い発泡樹脂複合構造体を製造することができる。
また、エポキシ樹脂は、熱硬化性樹脂であるため、硬化前の流動状態のエポキシ樹脂を母材の空隙内に収容し、その後、空隙内の物質を加熱して硬化させることができる。
従って、母材の強度よりも強度の高い発泡樹脂複合構造体を製造することができる。
<第1実施形態>
この発明の第1実施形態について図を参照して説明する。
図1は、この実施形態に係る発泡樹脂複合構造体の製造装置(以下、製造装置という)の説明図であり、(a)は、製造装置を構成する部材を分解して示す斜視図、(b)は、製造装置の外観を示す斜視図である。
(製造装置の構成)
製造装置の構成について説明する。
製造装置90は、真空ポンプ70と、真空ボックス91と、固定枠92と、フィルム93とを備える。真空ボックス91は、箱状に形成されており、その内部は空洞になっている。真空ボックス91の上面91aには、内部の空間に連通する複数の吸引口91bが上下方向に貫通形成されている。吸引口91bは、上面91aの上に密着される発泡樹脂成型体(以下、母材という)50の下面に対して均等に配置されている。真空ボックス91の側面には、内部の空間に連通する排気口91cが貫通形成されている。排気口91cは、接続ホース(図示せず)によって真空ポンプ70と接続されている。
固定枠92は、母材50を嵌め込むための部材である。固定枠92は枠状に形成されており、母材50を嵌め込むための空間が形成されている。固定枠92の底面の周縁は、真空ボックス91の上面91aの周縁と合致する形成に形成されている。固定枠92は、真空ボックス91の上面91aの上に密着させて配置される。固定枠92は、母材50よりも厚く形成されている。
つまり、図1(b)に示すように、真空ボックス91の上に配置された固定枠92に母材50を嵌め込み、母材50の下面を真空ボックス91の上面91aに密着させたときに、母材50の上面54と、固定枠92の上方の開口面92aとの間に空間92bが形成されるようになっている。その空間92bには、母材50に浸透させる流動状態のエポキシ樹脂が注がれる。
フィルム93は、空間92bに充填されたエポキシ樹脂の表面に乗せられる。フィルム93は、真空ポンプ70により、母材50の表面が減圧されるときに、母材50の表面が均等に減圧されるようにするためのものである。
図6は、母材50の説明図であり、(a)は母材50の斜視図、(b)は(a)に示す母材50の領域Dの拡大図である。図6(b)に示すように、母材50は、発泡樹脂原料が発泡して形成された発泡セル51が多数集合して形成されている。各発泡セル51は、加熱により相互に融着している。各発泡セル51の間には、空隙52が形成されている。母材50の内部には多くの空隙52が形成されているが、一部の空隙52は、母材50の上面54および下面55に連通している。
以下、その連通している空隙52を連通空隙といい、連通していない空隙52を非連通空隙という。また、連通空隙および非連通空隙の両方に共通の事項については単に空隙という。
この発明は、その連通空隙52に発泡樹脂以外の物質を収容することにより、母材の持っている物性を変えたり、あるいは、新たな物性を加えることを特徴とする。この実施形態では、空隙52にエポキシ樹脂を収容する。
母材50を形成するための発泡樹脂原料としては、、特定の発泡温度において発泡するものである限り特に限定されないが、熱可塑性物質を主材とし、気体もしくは液体を発泡剤として含浸させたもの、あるいは、熱分解性の発泡剤を含有するものが好適に用いられるが、両者を含有するものでも良い。また、熱可塑性物質は架橋されていても良い。さらに、発泡材料は、例えば予備発泡ビーズや発泡体の破砕品のような既に発泡している材料に高圧下でガスを含浸させたものでも良い。さらに、既に発泡成型されたチップ状、ストロー状などの形状の材料や発泡体の破砕品でも良く、その材料を凝縮して成型型内で加熱融着させて母材50を形成しても良い。
熱可塑性物質を主材とし、気体もしくは液体を発泡剤として含浸させたものとしては、市販のポリスチレン発泡性ビーズ、ポリエチレン発泡性ビーズ、ポリプロピレン発泡性ビーズなどを用いても良いし、ブタン、ペンタン、フロン等の炭化水素、水、CO、Nを含浸させたものでも良い。また、熱分解性の発泡剤を含有するものとしては、下記に示す熱分解性の発泡剤および熱可塑性物質から適宜調製して用いても良い。この熱分解性の発泡剤と熱可塑性物質は、発泡剤の分解温度が熱可塑性物質の可塑化温度よりも高いことが好ましく、発泡剤の分解温度と熱可塑性物質の可塑化温度がほぼ等しくなるように選ばれることが、発泡材料を綺麗に発泡できることから更に好ましい。
発泡材料の主材としては、加熱により軟化する物質である限り特に制限を受けず、熱可塑性樹脂として知られる一群の合成プラスチック材料が好適に用いられる。例えば、ポリ(スチレン);ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)等のオレフィン系樹脂;ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニル)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリ(フシ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)体、フッ素化エチレンプロピレン共重合体、ポリ(テトラフルオロエチレン)、塩素化ポリ(塩化ビニル)、塩素化ポリ(エチレン)、塩素化ポリ(プロピレン)等のハロゲン化樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610 、ナイロン612 、ナイロン11、ナイロン12、ナイロンMXD6、ナイロン46、N−メトキシメチル化ポリ(アミド)、アミノポリ(アクリルアミド)等のポリアミド;スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−(エチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体、ポリプロピレン−EPDM、ポリエチレン−EPDM、イソブチレン−無水レイン酸共重合体、アクリルニトリル−アクリレート−スチレン共重合体、アクリルニトリル−エチレン−スチレン共重合体、アクリルニトリル−スチレン共重合体、アクリルニトリル−ブタジエンースチレン共重合体、アクリルニトリル−塩化ビニル−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の共重合体;さらに、アイオノマー、ケトン樹脂、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリ(プロピオン酸ビニル)、ポリ(アセタール)、ポリ(アミドイミド)、ポリ(アリレート)、熱可塑性ポリ(イミド)、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルエ−テルヶトン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(サルホン)、ポリ(エーテルサルホン)、ポリ(アミノサルホン)、ポリ(パラメチルスチレン)、ポリ(アリルアミン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(フェニレンオキサイド)、ポリ(フェニレンサルファイド)、ポリ(ブタジエン)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(メチルペンテン)、ポリ(メチルメタクリレート)、液晶ポリマー、ポリ(ウレタン)等を挙げることができる。また、適宜、上記重合体の変成体、架橋体を用いても良いし、これらを組み合わせて成る共重合体を用いても良い。さらに、これらの熱可塑性樹脂は単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
発泡樹脂原料に混練する熱分解性の発泡剤としては、一般的に使用されている熱分解性発泡剤である限り特に限定されず、発泡樹脂原料の主材の可塑化温度に適合させて選ばれる。
このような熱分解性発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾシクロヘキシルニトリル、ジアゾアミノベンゼン、アゾジカルボンアミドエステル等のアゾ化合物;ジニトロソベンタメチレンテトラミン(DPT)等のニトロソ化合物;p−トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)、ベンゼンスルホニルヒドラジド(BSH)、p,p´−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3´−ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;4,4´−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホアジド等のアジド化合物;p−トルエンスルホセミカルバジド、トリヒドラジノトリアジン、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモン、亜硝酸アンモン等を挙げることができる。さらに、これらの熱分解性発泡剤は単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
発泡樹脂原料には、これら発泡剤と共に、発泡速度を調節する目的で発泡助剤を添加しても良い。発泡速度を速める発泡助剤として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸、亜鉛華硝酸亜鉛などの無機塩、アジピン酸、しゅう酸などの酸類があげられ、発泡速度を遅延する発泡助剤として、マレイン酸、フタル酸などの有機酸、無水マレイン酸、無水フタル酸などの有機酸無水物、ジブチル錫マレート、塩化錫などの錫化合物があげられる。
発泡助剤は、使用する樹脂、発泡剤、助剤の種類によって異なるが、通常熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1〜2.0重量部程度の割合で添加されることが好ましい。これは、添加量が0.1重量部以下では効果が小さく、2.0重量部以上では効果が飽和する傾向があるためである。
発泡樹脂原料である発泡性ビーズの形状は、球形のものが好適に用いられるが、金平糖形状のもの、ラグビーボール形状のもの、ダルマ形状のもの、丸く押し出した樹脂を狭い間隔で切ったペレット形状、粉砕カレット形状のように一様な半径で規定できない形状のものでも良い。本質的には発泡する材料が多数の個体集合となっていれば良く、立方体や直方体、ストランド形状のものや平らな円盤のような潰れた形状、シートの小断片であっても良いのであって、ここでは便宜上このビーズという言葉でこれらの形状まで含めて代表させている。
発泡性ビーズの大きさは、0.3ミリから5ミリが好適に用いられる。ここで発泡性ビーズの大きさとは、発泡性ビーズがほぼ球形の場合には平均直径とする。また、平らなものやストランド状のものの場合に発泡性ビーズの大きさといえば、最も幅が小さいサイズをさすものとし、以下、発泡性ビーズの大きさといえばこの例に倣うものとする。発泡性ビーズの大きさが0.3ミリから5ミリのものが好適に用いられるのは、発泡性ビーズの製造し易さと発泡性ビーズの表面積、そして伝熱遅れによる軟化ムラが出にくいということの兼ね合いの結果である。0.3ミリより小さいビーズの使用も可能であるが、しかしこの場合、ビーズの表面積の総和が大きくなるので最終的な発泡セルの接触する界面の面積が大きくなり、薄膜状剛性セル壁を構成する材料がずっと多く必要となる。したがって、圧縮強度は増すものの、軽量化の効果は小さくなる。
また、発泡性ビーズ内部からの発熱をひきおこす仕組みを併用すれば、直径5ミリより大きな発泡性ビーズを用いることもできる。発泡性ビーズ内部からの発熱をひき起こす仕組みとしては、例えば、発泡性ビーズに金属粉を混ぜ込み高周波電磁場環境下での電磁誘導を利用することができる。
均質な発泡セル構造を持つ発泡樹脂複合構造体を得るためには、発泡性ビーズの大きさは、概略揃っているのが望ましい。しかし、厳密に揃っている必要はない。また、あえて発泡性ビーズの大きさに分布を持たせることで、発泡セル膜に特異な3次元構造を持たせることができるので、異なる大きさの発泡性ビーズを混ぜて用いることもある。
(製造方法)
次に、発泡樹脂複合構造体の製造方法について説明する。
母材50の空隙52に浸透させるエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂用硬化剤を用意する。また、それらの組合せは、母材50に浸透可能な粘度、十分に浸透するまでに要する時間および硬化後の硬度などを考慮して決定する。つまり、母材50の各空隙52に均一に浸透し、浸透速度が速く、浸透後に硬化するまでに長時間を要せず、さらに、母材50の機械的強度などの物性を良好にすることのできる組合せを決定する。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、異節環状型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、ゴム変成エポキシ樹脂、エポキシ化エラストマー、エポキシ化ステアリン酸エステル、エポキシ化大豆油、エポキシ変成ポリシロキサン、可撓性エポキシ樹脂、エポキシ化(メタ)アクリル系オリゴマー及びエポキシ基を持つ反応性希釈剤等を用いることができる。
また、エポキシ樹脂用硬化剤としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、無水メチルCD酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリット酸、無水ヘット酸、ドデセニル無水コハク酸、ポリアゼライン無水コハク酸等の酸無水物系硬化剤;エチレンアミン類、ジエチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、脂肪族アミン変成体等の脂肪族アミン系硬化剤;m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、メタキシリレンジアミン、芳香族アミン変成体等の芳香族アミン系硬化剤;また、その他硬化剤として、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、ピペリジン、ポリアミド樹脂、フェノール系樹脂、ポリチオール樹脂、メルカプタン系化合物、三フッ化ホウ素アミン錯体、イミダゾール系化合物等を用いることができる。
また、エポキシ系樹脂向けの硬化促進剤として、第3級アミン、トリフェニルフォスフィン、スタナースオクトエート、三フッ化ホウ素錯体、ベンジルジメチルアミン、DBU、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、イソシアネート類、スルフォニウム塩類、ヨードニウム塩類、ジアゾニウム塩類、ヒドラジド系化合物、ナイロン塩系化合物、有機金属化合物類等をさらに用いても良い。
以下の説明では、エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂用硬化剤を混合したものを単にエポキシ樹脂という。
図1(b)に示すように、母材50を固定枠92に嵌め込み、母材50の下面55を真空ボックス91の上面91aに密着させる(工程1)。次に、母材50の上面54に流動状態のエポキシ樹脂を注ぎ、母材50の上部の空間92bがエポキシ樹脂によって満たされた状態にする(工程2)。次に、真空ポンプ70を作動させ、真空ボックス91の内部を減圧する(工程3)。
すると、母材50の上面54の上に注がれていたエポキシ樹脂が連通空隙52の内部に収容される。つまり、エポキシ樹脂が母材50の内部に浸透する。また、エポキシ樹脂は、毛細管現象によって一部の非連通空隙52にも浸透する。この場合、エポキシ樹脂の非連通空隙52に対する浸透度は、エポキシ樹脂の表面張力および密度、非連通空隙52との接触角、非連通空隙52の径および発泡セル51の濡れやすさなどの条件によって変化する。
そして、エポキシ樹脂が母材50に十分浸透する時間が経過したところで、母材50を固定枠92から取出し、所定時間放置し、母材50に浸透したエポキシ樹脂を硬化させる(工程4)。なお、加熱により硬化が促進される性質のエポキシ樹脂を用いる場合は、母材50を加熱し、空隙内のエポキシ樹脂の硬化時間を短縮することもできる。
図7は、母材にエポキシ樹脂が浸透した発泡樹脂複合構造体の説明図であり、(a)は発泡樹脂複合構造体の斜視図、(b)は(a)に示す発泡樹脂複合構造体60の領域Dの拡大図である。図7(b)に示すように、発泡樹脂複合構造体60の各発泡セル51間に形成された空隙には、硬化したエポキシ樹脂53が収容されている。図7(b)において、発泡樹脂複合構造体60の各発泡セル51間の黒色で塗り潰された部分が、硬化したエポキシ樹脂53が収容された領域である。
(変更例)
エポキシ樹脂を塗布していない母材50を固定枠92に固定し、その母材50の上面54に流動状態のエポキシ樹脂を注ぎ、真空ポンプ70を作動させてエポキシ樹脂を母材50に浸透させることもできる。この製造方法によれば、浸透させるべきエポキシ樹脂の量が多い場合に有効である。また、エポキシ樹脂を浸透させたくない領域に対応する母材50の上面の領域をフィルムなどでマスキングすることにより、母材50の所望の領域にのみエポキシ樹脂を浸透させることができる。この方法によれば、母材50の所望の領域のみ機械的強度などの物性を向上させることができる。
<第2実施形態>
次に、この発明の第2実施形態について説明する。この実施形態の製造装置は、断面凹形状の母材の内壁に予めエポキシ樹脂を塗布しておき、真空引きによってエポキシ樹脂を母材に浸透させることを特徴とする。図2は、この実施形態に係る製造装置の説明図であり、(a)は製造装置の内部構造を示す斜視図、(b)は製造装置の外観を示す斜視図である。
(製造装置の構成)
製造装置10は、真空ボックス11、真空ポンプ70および蓋14を備える。真空ボックス11は箱状に形成されており、上面が開口している。真空ボックス11の上面には、枠状のパッキン11aが設けられている。真空ボックス11の底面11bには、母材12を乗せるための受け部材13,13が配置されている。この実施形態では、各受け部材13はレール条に形成されており、長手方向側面を相対向して配置されている。真空ボックス11の側面には、真空ボックス内部の空間に連通する排気口11cが貫通形成されている。排気口11cは、接続ホース(図示せず)によって真空ポンプ70と接続されている。
蓋14は、真空ボックス11を密閉できる板状に形成されている。蓋14の裏面には、パッキン14aが設けられている。パッキン14aは、蓋14を真空ボックス11のパッキン11aに密着させたときに、真空ボックス11の受け部材13,13の上に配置された母材12の上面と密着する。つまり、パッキン14aは、母材12の内部空間を密閉する。
蓋14のパッキン14aによって囲まれた部分には、窓14bが設けられている。窓14bはガラスなどの透光性材料によって形成されており、母材12に塗布されたエポキシ樹脂の浸透具合を窓14bを通して見ることができる。
(製造方法)
第1実施形態で使用したエポキシ樹脂を母材12の内壁12aに均一に塗布する(工程1)。図2(a)において、母材12のハッチングが施された部分が、エポキシ樹脂が塗布された領域である。次に、その母材12を真空ボックス11の受け部材13,13の上に乗せる(工程2)。工程1および工程2は逆でもよい。次に、蓋14を真空ボックス11に被せる(工程3)。このとき、蓋14のパッキン14aが、母材12の上部の周縁とを密着させ、母材12の内部空間を密閉する。次に、真空ポンプ70を作動し、真空ボックス11の内部を減圧する(工程4)。
すると、母材12の内壁12aに塗布されていたエポキシ樹脂が母材12の連通空隙の内部に収容される。つまり、エポキシ樹脂が母材12の内部に浸透する。また、エポキシ樹脂は、毛細管現象によって一部の非連通空隙にも浸透する。そして、エポキシ樹脂が母材12に十分浸透する時間が経過したところで、蓋14を開け、母材12を真空ボックス11から取出し、所定時間放置し、母材12に浸透したエポキシ樹脂を硬化させる(工程5)。なお、加熱により硬化が促進される性質のエポキシ樹脂を用いる場合は、母材12を加熱し、空隙内のエポキシ樹脂の硬化時間を短縮することもできる。
<第3実施形態>
次に、この発明の第3実施形態について説明する。この実施形態の製造装置は、角柱状の母材の外壁に予めエポキシ樹脂を塗布しておき、真空引きによってエポキシ樹脂を母材に浸透させることを特徴とする。図3は、この実施形態に係る製造装置の説明図であり、(a)は製造装置の内部構造を示す斜視図、(b)は製造装置に母材が収容された状態を示す斜視図である。
(製造装置の構成)
製造装置20は、真空ボックス21および真空ポンプ70を備える。真空ボックス21は箱状に形成されており、上面が開口している。真空ボックス21の上面の開口部には、枠状のパッキン21aが設けられている。パッキン21aの内側は、母材22の外形と合致する形状に形成されている。つまり、母材22を真空ボックス21に収容したときに、母材22の外壁とパッキン21aとの間に隙間が形成されないようになっている。
真空ボックス21の内部の底面21bには、母材22を乗せるための受け部材23が設けられている。また、真空ボックス21の側面には、真空ボックス内部の空間に連通する排気口21cが貫通形成されている。排気口21cは、接続ホース(図示せず)によって真空ポンプ70と接続されている。母材22を真空ボックス21に収容すると、母材22の外壁とパッキン21aとの間には隙間が形成されないようになっているが、パッキン21aよりも下部の母材22の外壁と真空ボックス21の内壁との間には空間が形成されるようになっている。排気口21cは、その空間と連通している。
(製造方法)
母材22を真空ボックス21に収容し、受け部材23の上に乗せる(工程1)。次に、第1実施形態で使用したエポキシ樹脂を、真空ボックス21から露出した母材22の外壁に均一に塗布する(工程2)。図3(b)においてハッチングが施された部分が、エポキシ樹脂を塗布した領域である。次に、真空ポンプ70を作動し、真空ボックス21の内部を減圧する(工程3)。
すると、母材22のうち、真空ボックス21に収容されている部分と真空ボックス21との間に形成されている空間が減圧され、母材22の外壁に塗布されていたエポキシ樹脂が母材22の連通空隙の内部に収容される。つまり、エポキシ樹脂が母材22の内部に浸透する。また、エポキシ樹脂は、毛細管現象によって一部の非連通空隙にも浸透する。
この製造方法の場合は、母材22の一部にのみ塗布したエポキシ樹脂が母材22の全体に浸透する。
そして、エポキシ樹脂が母材22に十分浸透する時間が経過したところで、母材22を真空ボックス21から取出し、所定時間放置し、母材22に浸透したエポキシ樹脂を硬化させる(工程4)。なお、加熱により硬化が促進される性質のエポキシ樹脂を用いる場合は、母材22を加熱し、空隙内のエポキシ樹脂の硬化時間を短縮することもできる。
<第4実施形態>
次に、この発明の第4実施形態について説明する。この実施形態の製造装置は、円柱形状の母材の外壁に予めエポキシ樹脂を塗布しておき、真空引きによってエポキシ樹脂を母材に浸透させることを特徴とする。図4は、この実施形態に係る製造装置の説明図であり、(a)は製造装置の構造を示す斜視図、(b)は製造装置が母材に装填された状態を示す斜視図である。
(製造装置の構成)
製造装置30は、筒状部材34と、パッキン31と、真空ポンプ70とを備える。筒状部材34の周面には、筒状部材34の内部空間と連通する複数の吸気口34aが貫通形成されている。パッキン31には、排気口31cが貫通形成されており、その排気口31cに筒状部材34の一端が挿入されている。つまり、筒状部材34の内部空間はパッキン31の排気口31cと連通している。排気口31cは、接続ホース(図示せず)によって真空ポンプ70と接続されている。
円柱形状の母材32の内部には、筒状部材34の他端を挿入するための挿入口32dが形成されている。挿入口32dは、母材32の一方の端面32eから中心軸に沿って内部まで達しており、他方の端面には貫通していない。また、挿入口32dは、筒状部材34の周面が密着する形状に形成されている。筒状部材34の周面に形成された吸気口34aは、筒状部材34を母材32の挿入口32dに挿入したときに、挿入口32dの内壁32cに対して均等に分布するように配置されている。
(製造方法)
第1実施形態で使用したエポキシ樹脂を母材32の外壁(周面32bおよび両端面)に均一に塗布する(工程1)。次に、その母材32の挿入口32dへ筒状部材34の他端を挿入する(工程2)。次に、真空ポンプ70を作動し、母材32の挿入口32dの内部を減圧する(工程3)。すると、母材22の外壁に塗布されていたエポキシ樹脂が母材32の連通空隙の内部に収容される。つまり、エポキシ樹脂が母材32の内部に浸透する。また、エポキシ樹脂は、毛細管現象によって一部の非連通空隙にも浸透する。
そして、エポキシ樹脂が母材32に十分浸透する時間が経過したところで、母材32から筒状部材34を抜き取り、母材32を所定時間放置し、母材32に浸透したエポキシ樹脂を硬化させる(工程4)。なお、加熱により硬化が促進される性質のエポキシ樹脂を用いる場合は、母材32を加熱し、空隙内のエポキシ樹脂の硬化時間を短縮することもできる。
参考例1
次に、参考例1について説明する。この参考例1の製造装置は、エアポンプを用いてエポキシ樹脂を加圧することにより、エポキシ樹脂を母材に浸透させることを特徴とする。図5は、この参考例1に係る製造装置の説明図であり、(a)は製造装置の構造を示す斜視図、(b)は製造装置の縦断面図である。
(製造装置の構成)
製造装置40は、排気部材41と、収容部材43と、蓋44と、エアポンプ80とを備える。排気部材41には、複数の排気口41aが上下方向に貫通形成されている。図5(b)に示すように、排気部材41の上に母材42が配置される。各排気口41aは、排気部材41の上に配置される母材42の裏面に対して均等に分布している。各排気口41aは、エアポンプ80から送出され、母材42の連通空隙などを通過した空気を外部へ排気する。
収容部材43は、枠状に形成されており、その下面の周縁は、母材42の上面42aの周縁に密着する形状に形成されている。蓋44の裏面には、パッキン44aが設けられている。図5(b)に示すように、パッキン44aは、収容部材43の上面の周縁に密着する形状に形成されている。また、蓋44の中央には、エアポンプ80から送出される空気を吸入するための吸気口44bが貫通形成されている。
図5(b)に示すように、収容部材43は、母材42の上面42aに配置され、収容部材43の内側に形成された空間43aには、流動状態のエポキシ樹脂53が注がれる。このとき、注がれたエポキシ樹脂53の上方には、エアポンプ80から送出された空気を充填するための空間が形成される。
(製造方法)
排気部材41の上面に母材42を乗せる(工程1)。次に、その母材42の上面42aに収容部材43を乗せる(工程2)。次に、第1実施形態で使用したエポキシ樹脂を収容部材43の空間43aに注ぐ(工程3)。次に、収容部材43の上を蓋44で覆う(工程4)。次に、エアポンプ80と接続された接続ホース(図示せず)を蓋44の吸気口44bに接続し、エアポンプ80を作動する(工程5)。予め接続ホースを吸気口44bに接続した蓋44を収容部材43に被せてもよい。
すると、エアポンプ80から送出される空気によって、エポキシ樹脂53が接触している空間43a内の圧力が高まり、エポキシ樹脂53が母材42の上面42aに対して加圧される。これにより、エポキシ樹脂53が母材42の連通空隙および非連通空隙の内部への浸透が促進される。
そして、エポキシ樹脂が母材42に十分浸透する時間が経過したところで、蓋44および収容部材43を取り去り、母材42を排気部材41から外す。そして、母材42を所定時間放置し、母材42に浸透したエポキシ樹脂を硬化させる(工程6)。なお、加熱により硬化が促進される性質のエポキシ樹脂を用いる場合は、母材42を加熱し、空隙内のエポキシ樹脂の硬化時間を短縮することもできる。
参考例2
材を流動状態のエポキシ樹脂に浸漬し、毛管現象を利用してエポキシ樹脂を母材の空隙に浸透させることもできる。例えば、図1に示した製造装置を使用し、固定枠92に充填されたエポキシ樹脂の中に母材50を浸漬する。そして、エポキシ樹脂が母材50の空隙内に充分浸透した時間になったときに母材50を固定枠92から取出して所定時間放置し、エポキシ樹脂を硬化させる。なお、加熱により硬化が促進される性質のエポキシ樹脂を用いる場合は、母材50を加熱し、空隙内のエポキシ樹脂の硬化時間を短縮することもできる。
[実験]
次に、本願発明者らが行った実験について説明する。
<準備1>
最初に、本願発明者らは、母材の空隙に浸透可能な液体の粘度について調べた。ここでは、水にBASF社製のラテコールD(ラテコールはBASF社の登録商標)を混合した水溶液を着色したもの(以下、着色溶液という)を使用した。ラテコールDは、アクリル酸・メタクリル酸・アクリル酸エステル共重合体であり、カルボキシル基を多く含有するポリマーディスパージョンで、アルカリ中和により、可溶化し、透明な高粘度水溶液となる。この実験では、500mPa・s、1000mPa・s、1500mPa・sおよび2000mPa・sの計4種類の粘度を示す着色溶液を使用した。
また、発泡倍率60倍(約17g/l)の発泡樹脂成型体を母材として使用した。また、図1に示した製造装置を実験装置として使用した。
母材50を固定枠92に固定し、その母材50の上面に上記の着色溶液の1つを充填した。そして、真空ポンプ70を作動させてから、着色溶液が母材50の下面に到達するまでの時間を計測した。このときの真空ボックス91の内部の真空度は、約-50kPaである。
図9は、母材に浸透可能な流動体の粘度に対する評価をまとめた図表である。上記の時間は、粘度500mPa・sの着色溶液では約3分、1000mPa・sの着色溶液では約4分、1500mPa・sの着色溶液では約7分、2000mPa・sの着色溶液では約10分であった。
上記より、母材の空隙にエポキシ樹脂が収容されてなる発泡樹脂複合構造体を製造する効率を高める観点から、粘度が2000mPa・sを超えないエポキシ樹脂を使用することが好ましいことが分かった。
<準備2>
次に、本願発明者らは、上記の準備1の結果をエポキシ樹脂に適用できるかを調べた。
ここでは、エポキシ樹脂としてジャパンエポキシレジン株式会社製のjER811NおよびjERキュアFL240を混合したものを使用した(jERおよびjERキュアは、ジャパンエポキシレジン株式会社の登録商標)。jER811Nの一般名は、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂および反応性希釈剤の混合物であり、それぞれを85%、15%の重量比で混合したものである。また、jERキュアFL240の一般名は、変性脂肪族ポリアミンであり、ビスフェノールAおよび変性脂肪族ポリアミンをそれぞれ20%、80%の重量比で混合したものである。
ここで使用するエポキシ樹脂(jER811NおよびjERキュアFL240を混合したもの)の粘度は、475mPa・sである。また、実験1と同じ発泡倍率60倍(約17g/l)の発泡樹脂成型体を母材として使用した。母材を試験片としてA〜Dの計4個作成した。このように複数個の試験片を使用して実験するのは、発泡樹脂成型体の原反から試験片を作成するとき、切断箇所によって発泡セルの融着率が異なり、空隙率が異なるため、複数の試験片で実験することにより、測定データの偏りをなくすためである。
ここで使用した装置および方法は準備1と同じである。その結果、真空ポンプの作動開始から約3分後には、エポキシ樹脂が試験片の下面に到達した。そして、各試験片のエポキシ樹脂浸透前の重量と浸透後の重量とを計測し、試験片に浸透したエポキシ樹脂の浸透量を計算した。
図10は、各試験片に浸透可能なエポキシ樹脂の粘度に対する評価をまとめた図表である。エポキシ樹脂の浸透量の最小値は、33.1gであり、最大値は40.5gであり、平均値は36.95gであった。
図中の備考欄に記載の「上蓋」とは、エポキシ樹脂の表面に乗せた蓋(透湿性のないフィルム状のもの)のことであり、真空ポンプが作動しているときに試験片の上面が均等に減圧され、エポキシ樹脂を試験片に満遍なく浸透させるために使用した。
上記の実験結果より、上記のエポキシ樹脂を使用して、そのエポキシ樹脂が空隙に収容された発泡樹脂複合構造体の機械的強度などの各実験を行うことにした。
<実験の種類>
本願発明者らが行った実験の種類を図11に示す。本願発明者らは、発泡樹脂複合構造体の圧縮強度を調べるための圧縮試験、曲げ強度を調べるための曲げ試験、引張強度を調べるための引張試験、応力を繰返し加えたときの残留歪みを調べるための繰返し残留歪み試験、緩衝能力を調べるための緩衝係数算出試験、透湿性を調べるための透湿試験、吸水性を調べるための吸水試験および耐衝撃性を調べるための落球試験などを行った。
また、上記の各試験は、それぞれ日本工業規格(JIS)に規定された試験方法に従って行った。また、全試験で使用した試験片は、EPS(発泡ポリスチレン)製であり、厚さ25mmのものは、原反をそのまま切断して使用した。厚さ25mm以外の試験片は、原反をバンドソーによって切断して採取したものであり、スキン層(成型によって発泡樹脂成型体の表面にできる平滑な層)またはエポキシ樹脂コーティングのないものである。
<実験1:圧縮試験1>
(準備)
最初に、実験に使用する試験片を作成した。軟性エポキシ樹脂を浸透させた試験片および剛性エポキシ樹脂を浸透させた試験片の2種類の試験片を作成した。ここで、軟性エポキシ樹脂とは、前述の準備2で使用したjER811NおよびjERキュアFL240を混合したものであり、硬化してもゴムのような性質を有し、可使時間は約30分である。剛性エポキシ樹脂とは、前述のjER811NとjERキュアST12とを混合したものであり、硬化後の硬度は鉛筆硬度Hであり、可使時間は約110分である。また、混合直後の粘度は、1500mPa・sである。
jERキュアST12の一般名は、変性脂肪族ポリアミンであり、メタキシリレンジアミンおよびその他をそれぞれ6%、94%の重量比で混合したものである。
また、発泡倍率20倍、38倍および60倍の3種類の試験片をそれぞれA〜Fの6個ずつ作成した。また、エポキシ樹脂を浸透させる前の各試験片の外寸(mm)(奥行きL、幅Wおよび厚さH)、重量(g)、比重(g/l)および空隙率(%)を計測し、エポキシ樹脂を浸透させた後の各試験片の外寸、重量、比重およびエポキシ樹脂浸透量(g)を計測した。図12は、軟性エポキシ樹脂の浸透前後の各計測データを示し、図13は、剛性エポキシ樹脂の浸透前後の各計測データを示す。
図14は、母材(試験片)の比重に対するエポキシ樹脂の浸透量を表すグラフである。同グラフから、エポキシ樹脂の浸透量は、母材の比重によっては差が小さいことが分かる。一方、図12,13から、母材の空隙率が大きいほど、つまり発泡セル同士の融着率が小さいほど浸透量の多いことが分かる。
(実験内容)
圧縮強度の測定は、日本工業規格に定められているJIS K 7220に従って行った。この測定方法は、国際標準化機構(ISO)の規定ISO844の一部を変更したものである。圧縮試験機は、試験片を圧縮する圧縮ジグと、荷重指示計と、変形指示計とを備える。圧縮ジグは、発生する加重の範囲及び圧縮変形量に適し、平滑平行な2枚の正方形または円形の押圧板を有する。押圧板は表面が研磨されており、荷重によって変形しないものである。加圧板の大きさは、1辺または直径が10cm以上である。加圧板は、一方を固定板とし、他方を可動板としている。可動板は、一定の速度で移動可能なものであり、加圧面の面積は、試験片の断面積よりも大きい。荷重指示計は、試験片に加わる全圧縮荷重を示すことができるものであり、設定した試験速度において指示値の±1%またはそれ以上の精度で荷重値を示すことができるものである。変形指示計は、試験中の任意の時間における圧縮ジグの2つの圧縮面の間の距離を測定するたものものである。変形指示計は、その距離を試験片に加わる荷重の関数として、もしくは、試験開始から経過した時間の関数として、または、その荷重と時間の関数として記録できるものである。また、変形指示計は、設定した試験速度において指示値の±1%またはそれ以上の精度を有する。
この実験で使用した試験機は、株式会社島津製作所製のオートグラフであり(オートグラフは株式会社島津製作所製の登録商標)、上記の測定規定を満足するものである。
圧縮強度は、材料が圧縮力を受けて変形や破壊するときの圧縮荷重を材料の断面積で除して表す。この実験では、エポキシ樹脂が浸透していない母材単体、軟性エポキシ樹脂が浸透した軟性エポキシ樹脂浸透体および剛性エポキシ樹脂が浸透した剛性エポキシ樹脂浸透体の3種類の試験片について圧縮強度を測定した。また、発泡倍率が20倍、38倍および60倍の3種類の試験片をそれぞれ3個(A、BおよびC)ずつ使用した。つまり、計6種類の試験片を使用した。各試験片のおおよその大きさは、長さ(L)50mm×幅(W)50mm×厚さ(H)25mmである。
また、各試験片の歪み率が5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%および80%に達した時点における圧縮強度をそれぞれ測定した。ここで、歪み率とは、試験片の減少した厚さを圧縮前の厚さで除した値である。
図15は、エポキシ樹脂の浸透していない母材単体の圧縮強度の測定結果を示す図表である。図16は、軟性エポキシ樹脂が浸透した軟性エポキシ樹脂浸透体の圧縮強度の測定結果を示す図表である。図17は、剛性エポキシ樹脂が浸透した剛性エポキシ樹脂浸透体の圧縮強度の測定結果を示す図表である。各図において、各試験片に対応する歪み率(%)の下段の2つの数値は、上段が測定強度を示し、下段が圧縮強度を示す。ここで、測定強度とは、試験片の上下面に掛かる力(N)である。また、圧縮強度とは、測定強度を単位平方mm当たりの応力(N/mm2)であり、それをkPaに換算して表してある。
例えば、発泡倍率が60倍の母材単体の試験片(60倍品)Aの歪み率10%のときの測定強度は、260.0Nであり、圧縮強度は、102.9kPaであった(図15)。また、発泡倍率が60倍の母材に軟性エポキシ樹脂が浸透した試験片(60倍品)Aの歪み率10%のときの測定強度は、320.5Nであり、圧縮強度は、126.3kPaであった(図16)。また、発泡倍率が60倍の母材に剛性エポキシ樹脂が浸透した試験片(60倍品)Aの歪み率10%のときの測定強度は、362.5Nであり、圧縮強度は、142.9kPaであった(図17)。
図18は、図15,16,17に示す測定結果のうち、各歪み率に対する圧縮応力値をグラフ化したものである。このグラフから、各倍率の試験片は、それぞれ各歪み率において、母材単体、軟性エポキシ樹脂浸透体、剛性エポキシ樹脂浸透体の順に圧縮応力値が大きくなっていることが分かる。
つまり、母材にエポキシ樹脂を浸透させ、母材内部の空隙内に硬化したエポキシ樹脂が収容された状態となることにより、母材単体の圧縮強度を高めることができることが分かった。さらに、軟性エポキシ樹脂よりも剛性エポキシ樹脂を浸透させた試験片の方が圧縮応力値が高くなっていることから、硬化後の硬度が高いエポキシ樹脂を母材に浸透させれば、より一段と圧縮強度を高めることができることも分かった。
<実験2:曲げ試験1>
曲げ強度の測定は、日本工業規格に定められているJIS K 7221に従って行った。この測定方法は、国際標準化機構(ISO)の規定ISO1209に準じたものである。測定の原理として、2点で支持する試験片の中央に、加圧くさびによって一定速度で垂直方向に加圧する(N/cm2)原理を用いた。規定のたわみ(mm)または破壊発生時の最大荷重(N)を測定した。曲げ試験機は、クロスヘッド(荷重を加える部分)の移動速度を一定に保つことができるものである。また、試験機の荷重指示は、試験片に加わる荷重を±1%の精度で測定することができる機構によって行う。試験片支持台は、先端部が円柱状の2つの支持台を同一水平面上に平行に設置される。先端部は、半径5mm±0.2mmであり、支持台は、試験片の幅以上の長さである。
また、支点間距離は、100mm±1mmである。加圧くさびは、支持台と同一形状および同一寸法である。また、加圧くさびは、2つの支持台の中間に、支持台と平行に設置される。
この実験で使用した試験機は、前述の株式会社島津製作所製のオートグラフであり、上記の測定規定を満足するものである。
この実験において測定項目の曲げ応力とは、対称3点曲げ試験方法において、任意の荷重を加えたとき、試験片に生じる応力のことである。また、たわみとは、荷重を受けた試験片の支点間の中央位置における面が、曲げ試験中に、この面の元の平面の位置から離れた距離(mm)のことである。
図19は、エポキシ樹脂が浸透していない母材単体の曲げ強度の測定結果を示す図表である。図20は、軟性エポキシ樹脂が母材に浸透した軟性エポキシ樹脂浸透体の曲げ強度の測定結果を示す図表である。図21は、剛性エポキシ樹脂が母材に浸透した剛性エポキシ樹脂浸透体の曲げ強度の測定結果を示す図表である。
この実験では、発泡倍率が20倍、38倍および60倍の3種類の試験片で、大きさがそれぞれ120mm(L)×25mm(W)×20mm(H)の試験片を3個ずつ使用した。また、試験片の外寸のうち、幅25mm(W)および厚さ(H)の精度を高めるために、作成した多くの試験片の右端、中央および左端の3箇所における幅(W)および厚さ(H)をそれぞれ測定し、各測定値の平均値がそれぞれ25mm(W)および20mm(H)に近いものを試験片として採用した。図19に記載の比重とは、母材単体の比重であり、図20,21に記載の比重とは、母材単体およびエポキシ樹脂の重量の総和から算出した比重である。
例えば、母材単体の60倍の試験片(60倍品)A、BおよびCの曲げ応力値の平均値は、217.5kPaであった(図19)。また、軟性エポキシ樹脂浸透体の60倍の試験片(60倍品)A、BおよびCの曲げ応力値の平均値は、348.0kPaであった(図20)。また、剛性エポキシ樹脂浸透体の60倍の試験片(60倍品)A、BおよびCの曲げ応力値の平均値は、336.1kPaであった(図21)。
図22は、図19,20,21に示す測定結果のうち、各発泡倍率の試験片の比重と曲げ応力との関係を示すグラフである。各グラフにマークされた3つのポイントは、左から60倍、38倍、20倍の発泡倍率の試験片であることを示す。図22において、軟性エポキシ(EPS)比重とは、軟性エポキシ樹脂を浸透させる前の母材(EPS)の比重のことであり、剛性エポキシ(EPS)比重とは、剛性エポキシ樹脂を浸透させる前の母材(EPS)の比重のことである。
このグラフから、母材にエポキシ樹脂を浸透させると、母材単体よりも曲げ応力が大きくなることが分かった。また、母材に剛性エポキシ樹脂を浸透させたものよりも軟性エポキシ樹脂を浸透させたものの方が曲げ応力をより一段と大きくできることが分かった。例えば、発泡倍率が60倍の母材に軟性エポキシ樹脂を浸透させた軟性エポキシ樹脂浸透体は、その母材単体よりも曲げ応力を約140kPa大きくできることが分かった。また、発泡倍率が38倍の母材に軟性エポキシ樹脂を浸透させた軟性エポキシ樹脂浸透体は、その母材単体よりも曲げ応力を約250kPa大きくできることが分かった。
<実験3:引張試験>
引張り強さの測定は、日本工業規格に定められているJIS K 6400-5に従って行った。この測定方法は、国際標準化機構(ISO)の規定ISO 1798 1997の一部を変更したものである。この試験では、試験片の引張強さおよび伸び率を測定した。ここで、引張強さとは、試験片が破断するまで一定速度で引張り、試験片が破断するまでの間に示した最大力(破断最大力)を試験片の断面積で除した値である。伸び率とは、試験片が破断したときの伸び率である。
引張試験装置は、引張る力が増すにつれて試験片を自動的に締め付けるつかみ具を備えており、つかみ具の移動する速さが毎分500±50mmで速度を一定に保てるものである。2号形のダンベル状の試験片を使用した。試験片の大きさは、全長120mm×端部の直径25mm×中央の棒状部の直径10mmである。また、発泡倍率20倍、38倍および60倍の試験片を作成した。各試験片の棒状部には、試験片が変形しないように標線を40mmを超えない間隔で付けた。
この実験で使用した試験機は、前述の株式会社島津製作所製のオートグラフであり、上記の測定規定を満足するものである。
試験片は、中央の棒状部の断面に均一に引張る力が掛かるように、両端部の上下をつかむ距離が同じになるように調整して、両端部を試験装置のつかみ具に取り付けた。そして、試験装置をスタートさせ、最大力を±1%の精度で記録し、破断時の標線間距離を±1.25mmの精度で測定した。ここで、標線間の外で破断した試験片は無効とした。
試験片の厚さの平均値を求め、試験片の幅から試験片の平均断面積を計算した。そして、引張強さTb(kPa)を次式(1)により算出した。
Tb=(F/A)×103 ・・・(1)
ここで、Fは、破断時の最大力(N)であり、Aは、試験片の平均断面積(mm2)である。
また、試験片の伸び率Ebを次式(2)により算出した。
Eb=((L-L1)/L1)×100 ・・・(2)
ここで、Lは、破断時の標線間距離(mm)であり、L1は、破断前の標線間距離(mm)である。
図23は、エポキシ樹脂を浸透させていない母材(EPS)単体に対する引張試験の測定結果を示す図表である。図24は、EPP(発泡ポリプロピレン)により成型された母材単体に対する引張試験の測定結果を示す図表である。図25は、母材(EPS)に軟性エポキシ樹脂を浸透させた発泡樹脂複合構造体に対する引張試験の測定結果を示す図表である。図26は、母材(EPS)に剛性エポキシ樹脂を浸透させた発泡樹脂複合構造体に対する引張試験の測定結果を示す図表である。図中、試験片外寸は、試験片の棒状部の外寸である。
図23に示すように、発泡倍率60倍の母材(EPS)単体(60倍品)の伸び率は、6.6〜7.5%であり、引張強さの平均値は257.84kPaであった。図24に示すように、発泡倍率45倍の母材(EPP)単体(45倍品)の伸び率は、36.8〜47.8%であり、引張強さの平均値は284.15kPaであった。図25に示すように、発泡倍率60倍の母材(EPS)に軟性エポキシ樹脂を浸透させた軟性エポキシ樹脂浸透体の伸び率は、11.1〜14.0%であり、引張強さの平均値は384.63kPaであった。図26に示すように、発泡倍率60倍の母材(EPS)に剛性エポキシ樹脂を浸透させた剛性エポキシ樹脂浸透体の伸び率は、7.8〜9.0%であり、引張強さの平均値は368.18kPaであった。
図27は、図23〜26に示す測定結果のうち、各発泡倍率の試験片の比重に対する引張強さの関係を示すグラフである。各グラフにマークされた3つのポイントは、左から60倍、38倍、20倍の発泡倍率の試験片であることを示す。ただし、EPPの母材単体については、左から45倍、30倍、15倍の発泡倍率の試験片であることを示す。また、各グラフ中に記載の複合比重とは、母材単体およびエポキシ樹脂の重量の総和から算出した比重である。
このグラフから、母材にエポキシ樹脂を浸透させると、母材単体よりも引張強さが大きくなることが分かった。また、母材に剛性エポキシ樹脂を浸透させたものよりも軟性エポキシ樹脂を浸透させたものの方が引張強さをより一段と大きくできることが分かった。例えば、発泡倍率が60倍の母材に軟性エポキシ樹脂を浸透させた軟性エポキシ樹脂浸透体は、その母材単体よりも引張強さを約127kPa大きくできることが分かった。また、発泡倍率が38倍の母材に軟性エポキシ樹脂を浸透させた軟性エポキシ樹脂浸透体は、その母材単体よりも引張強さを約322kPa大きくできることが分かった。さらに、発泡倍率が20倍の母材に軟性エポキシ樹脂を浸透させた軟性エポキシ樹脂浸透体は、その母材単体よりも引張強さを約217kPa大きくできることが分かった。つまり、母材単体に軟性エポキシ樹脂を浸透させ、硬化させることにより、引張強さを平均約250kPa大きくできることが分かった。
図28は、図23〜26に示す測定結果のうち、各発泡倍率の試験片の比重に対する伸び率の関係を示すグラフである。各グラフにマークされた3つのポイントは、左から60倍、38倍、20倍の発泡倍率の試験片であることを示す。ただし、EPPの母材単体については、左から45倍、30倍、15倍の発泡倍率の試験片であることを示す。
このグラフから、母材にエポキシ樹脂を浸透させると、母材単体よりも伸び率が約2倍に大きくなることが分かった。また、母材に剛性エポキシ樹脂を浸透させたものよりも軟性エポキシ樹脂を浸透させたものの方が伸び率をより一段と大きくできることが分かった。
<実験4:吸水試験>
この実験では、母材単体、軟性エポキシ樹脂浸透体および剛性エポキシ樹脂浸透体に対する吸水量を測定した。この実験で使用した試験片の外寸は、長さ(L)約100mm×幅(W)約70mm×厚さ(H)約10mmであり、発泡樹脂ブロックをバンドソーにより切断して作成した。また、母材単体、軟性エポキシ樹脂浸透体および剛性エポキシ樹脂浸透体の各試験片は、発泡倍率20倍、38倍および60倍の各倍率毎にA,Bの2個ずつ作成した。
試験片を23±3℃の清水の入った容器の水面下50mmに浸漬し、10秒経過後に試験片を取出し、鉛直から30°傾斜した網目の開きが約3mmの金網に載せて30秒間放置させた後、試験片の質量を0.01gの精度で測定し、これを基準質量とした。次に、その試験片を再び清水に浸漬し、24時間吸水させた後、基準質量測定のときと同じ方法で質量を測定した。また、着水の影響を少なくするために、24時間吸水させる操作の前後において、表面水分をガーゼなどで拭き取り、エタノールに10秒間浸漬し、再び表面をガーゼなどで拭き取り、60分間放置した後、質量を測定した値を、基準質量および最終吸水後の質量とした。
吸水量(g/100cm2)は、最終吸水後の質量(g)から基準質量(g)を減算した値を試験片の表面積(cm2)で除した値に100を乗じることにより算出した。
図29は、吸水試験の測定結果をまとめた図表であり、図30は、図29に示す測定結果のうち、各発泡倍率の試験片の比重に対する吸水量の関係を示す散布図である。
図29,30に示す測定結果から、母材にエポキシ樹脂を浸透させた試験片の方が、母材単体よりも吸水量が少なかった。また、軟性エポキシ樹脂浸透体の方が剛性エポキシ樹脂浸透体よりも吸水量がより一段と少なかった。
ところで、エポキシ樹脂浸透体の試験片は、その上下の面に露出していた空隙が硬化したエポキシ樹脂によって塞がれているため、吸水性は殆ど無いはずである。しかし、試験片は、発泡樹脂ブロックをバンドソーによって切断して作成しており、その切断面にはエポキシ樹脂が浸透していない空隙が露出している。従って、その切断面の空隙から吸水されたものと推定される。
また、剛性エポキシ樹脂浸透体の方が軟性エポキシ樹脂浸透体よりも吸水性が高いのは、バンドソーによる切断時に剛性エポキシ樹脂の硬さで切断面が荒れたためであると推定される。
<実験5:吸湿試験>
吸湿試験は、日本工業規格に定められているJIS K 7225に従って行った。この測定方法は、国際標準化機構(ISO)の規定ISO 1663の一部を変更したものである。
試験片の大きさは、直径75mm×厚さ25mmの円板である。また、発泡倍率20倍、38倍および60倍の試験片を作成した。
この実験では、試験容器として、開口部が円形で、水蒸気に対して不透過性の材料、例えばガラス製または金属製で内径が65mm以上で、かつ、上部は封蝋剤を収容できるように僅かに外側に開いた容器を使用した。また、試験片の端部での水蒸気の回り込みによる影響を減らすために試験片を嵌め込む円形の型枠を使用した。また、封蝋剤を溶かすための皿(ポットでもよい)と、試験片を精度0.1mgで秤量できる化学秤を使用した。また、設定温度の±1℃および相対湿度の±2%に制御でき、連続的に監視できる恒温恒湿糟を使用した。また、23℃で溶解していない過剰の塩化物を含む塩化物溶液を使用した。封蝋剤は、試験条件によって影響を受けない微結晶ワックス90%と可塑剤(例えば、低分子量ポリイソブチレン)10%との混合物を使用した。吸湿剤として使用した無水塩化カルシウム吸湿剤は、30番(60μm)のふるいを通過させ、微粉末を含まない直径約5mmのものを使用した。
上記の容器の底に厚さ(20±5)mmの吸湿剤を置き、容器の開口部に封蝋剤を介して試験片を嵌め込んだ。吸湿剤と試験片との間の空間は、(15±5)mmに設定し、封蝋剤を液化するまで加熱した。試験片の暴露面積の直径は、試験片の直径の90%以上に設定した。
そして、恒温恒湿糟の中に容器を配置し、試験片を24時間状態調節し、試験片を24時間単位で秤量した。その読取単位は、100μgである。また、単位時間当たりの質量変化を5回連続して測定し、その平均値が±2%で一定となるまで秤量を継続した。測定条件は、温度23℃湿度60%である。
そして、次式(3)により、2回連続した秤量における単位時間当たりの質量の変化率G(μg/h)を算出した。
G=(m2-m1)/(t2-t1) ・・・(3)
ここで、(m2-m1)は、試験片を2回連続して量った質量の差(μg)であり、(t2-t1)は、試験片を2回連続して秤量した時間の間隔(h)である。
そして、次式(4)により、水蒸気透過速度g(μg/(m2・s))を算出した。
g=(G/A)×(100/3600) ・・・(4)
ここで、Aは湿気に暴露した側の試験片の面積(m2)である。
そして、次式(5)により、水蒸気透過度Wp(ng/(m2・s・Pa))を算出した。
Wp=(G/Aρ)×(105/36) ・・・(5)
ここで、ρは、水蒸気圧の差2390(Pa)である。
そして、次式(6)により、水蒸気透過係数δ(ng/(m・s・Pa))を算出した。
δ=(Wp×s)/103 ・・・(6)
ここで、sは試験片の厚さ(mm)である。
図31は、上記の吸湿試験の測定結果をまとめた図表である。図32,33,34は、図31に示す測定結果を試験片の種類毎にグラフ化したグラフである。
図31に示すように、水蒸気透過係数(図中では透過係数)は、発泡倍率60倍の母材単体(60倍品)では、125.4(ng/(m・s・Pa))であり、同倍率の軟性エポキシ樹脂浸透体では、43.2(ng/(m・s・Pa))であり、同倍率の剛性エポキシ樹脂浸透体では、48.2(ng/(m・s・Pa))であった。つまり、母材単体にエポキシ樹脂を浸透させることにより、水蒸気の透過性(透湿性)が2〜4割程度低くなることが分かった。また、剛性エポキシ樹脂浸透体よりも軟性エポキシ樹脂浸透体の方が、少し水蒸気の透過性が低いことも分かった。このことから、母材内の空隙が完全にエポキシ樹脂によって充填されていないことが推定された。
従って、水蒸気の透過能力を0にするためには、エポキシ樹脂浸透体の表面にエポキシ樹脂を成膜し、水蒸気の透過を遮断すれば良いことが分かった。
<実験6:繰返し圧縮残留歪み試験>
この実験では、試験片を繰返し圧縮したときの試験片に残留している歪みの大きさを測定した。実験内容は、基本的に実験1の圧縮試験と同じである。母材(EPS)単体、母材(EPP)単体、軟性エポキシ樹脂浸透体および剛性エポキシ樹脂浸透体の計4種類の試験片を使用した。また、発泡倍率が20倍、38倍および60倍の3種類の試験片をそれぞれ3個(A、BおよびC)ずつ使用した。母材(EPP)単体では、発泡倍率が15倍、30倍および45倍の3種類の試験片をそれぞれ3個(A、BおよびC)ずつ使用した。各試験片のおおよその大きさは、長さ(L)50mm×幅(W)50mm×厚さ(H)25mmである。
そして、実験1で使用した装置(オートグラフ)により、試験片を20mm/secの速度で試験片の中央を圧縮した。試験片の厚さが75%(18.75mm)になるまで圧縮した。
各発泡倍率の試験片A,B,Cに対してそれぞれ行った。圧縮は、30分間隔で計5回行った。圧縮を開放後、30分間自然放置し、試験片の厚さが回復したところで試験片の厚さを測定した。
そして、試験片の厚さの低下率C(%)を次式(7)により算出した。
C=((d0-dr)/d0)×100 ・・・(7)
図35は、母材(EPS)単体および母材(EPP)単体の各測定結果をまとめた図表である。図36は、軟性エポキシ樹脂浸透体および剛性エポキシ樹脂浸透体の各測定結果をまとめた図表である。図37は、図35,36に示す測定結果に基いて、繰返し圧縮回数と試験片の厚さの低下率との関係を示したグラフである。
図35,36,37に示す低下率は、試験片A,B,Cの低下率の平均値である。図35に示すように、発泡倍率60倍の母材(EPS)単体(60倍品)の1回目の圧縮による低下率は16.6%であり、5回目の低下率は28.5%であった。発泡倍率60倍の母材(EPP)単体(60倍品)の1回目の圧縮による低下率は3.7%であり、5回目の低下率は7.3%であった。図36に示すように、軟性エポキシ樹脂浸透体の1回目の圧縮による低下率は15.5%であり、5回目の低下率は17.7%であった。また、剛性エポキシ樹脂の1回目の圧縮による低下率は17.4%であり、5回目の低下率は24.1%であった。
上記の実験6の測定結果より、圧縮の回数が増加しても母材(EPS)単体よりもエポキシ樹脂浸透体の方が、厚さの低下率が小さいことが分かった。また、軟性エポキシ樹脂浸透体は、3回目以降の圧縮において、母材(EPP)単体並の低下率の低下に抑えられていることも分かった。また、剛性エポキシ樹脂浸透体よりも軟性エポキシ樹脂浸透体の方が、厚さの低下率がより一段と小さいことが分かった。
<実験7:落錘衝撃試験>
この実験では、試験片の上に重錘を落下させ、試験片のエネルギー吸収力(緩衝能力)を測定した。測定は、日本工業規格(JIS)のJIS K 7211に従って行った。母材(EPS)単体、母材(EPP)単体、軟性エポキシ樹脂浸透体および剛性エポキシ樹脂浸透体の計4種類の試験片を使用した。また、発泡倍率が20倍、38倍および60倍の3種類の試験片をそれぞれ5個ずつ使用した。母材(EPP)単体では、発泡倍率が30倍および45倍の2種類の試験片をそれぞれ5個ずつ使用した。各試験片のおおよその大きさは、長さ(L)140mm×幅(W)50mm×厚さ(H)25mmである。
試験装置は、試験片を載置する鉄製ベッドと、その上方に重錘を支持する支柱と、重錘離脱装置、再衝撃防止装置および重錘などで構成される。この実験では、重錘離脱装置として重錘の上部を真空装置で吸引することにより、重錘を支持し、吸引を中止することで重錘を離脱させる装置を使用した。試験片から重錘までの高さ(試験高さ)を0cmから2cm,4cm,6cm,8cmと2cm刻みで高くし、それぞれの高さから重錘を落下させて試験片の破壊を調べた。また、重錘の落下は、各高さにおいて試験片を取り替えながら計5回行った。試験片の割れ・折れ・分離を破壊とみなし、ヒビおよび凹みは非破壊とした。
そして、測定の結果に基づき、50%破壊高さおよび50%破壊エネルギを算出した。ここで、50%破壊高さとは、試験片の総数の50%が破壊するときの高さであり、50%破壊エネルギとは、試験片の総数の50%が破壊するときの破壊エネルギである。
50%破壊高さ(cm)Hは次式(8)により算出した。
H=Hi+d[(A(i・ni)/N)±1/2] ・・・(8)
ここで、Hiは高さ水準(i)が0のときの試験高さであって、試験片が破壊されることが予測される高さである。dは試験高さを上下させるときの高さ間隔(cm)であり、この実験では2cmである。Aは、数列の総和を表す記号である。iは高さ水準のときを0とし、1つずつ増減する高さ水準(i=・・-3,-2,-1,0,1,2,3・・)であり、この実験では、i=-2,-1,0,1,2である。niは各水準において破壊したまたは破壊しなかった試験片の総数であり、いずれも多い方のデータを使用する。なお、同数の場合はどちらを使用してもよい。±1/2は、破壊した試験片の総数を使用した倍は負号を、破壊しなかった試験片の総数を使用した場合は正号をとる。
また、50%破壊エネルギE(J)は、次式(9)により算出した。
E=m×g×H ・・・(9)
ここで、mは重錘の質量(kg)であり、この実験では0.5kgである。gは重力加速度(9.80619920m/s2 )であり、Hは上記(8)により算出した50%破壊高さであり、メートル(m)に換算した値である。
図38は、母材(EPS)単体および母材(EPP)単体の各測定結果をまとめた図表である。図39は、軟性エポキシ樹脂浸透体および剛性エポキシ樹脂浸透体の各測定結果をまとめた図表である。図40は、図38,39に示す測定結果に基いて、4種類の試験片の50%破壊エネルギ(J)を対比させたグラフである。
図38に示すように、発泡倍率60倍の母材単体(EPS)の50%破壊高さは、6.33cmであり、50%破壊エネルギは0.31(J)であった。また、発泡倍率45倍の母材単体(EPP)の50%破壊高さは、25.67cmであり、50%破壊エネルギは1.26(J)であった。また、図39に示すように、発泡倍率60倍の軟性エポキシ樹脂浸透体の50%破壊高さは、10.33cmであり、50%破壊エネルギは0.51(J)であった。発泡倍率60倍の剛性エポキシ樹脂浸透体の50%破壊高さは、10.33cmであり、50%破壊エネルギは0.51(J)で、それぞれ軟性エポキシ樹脂浸透体と同じ値であった。
上記の実験7の測定結果より、発泡倍率が20倍では、母材単体(EPS)およびエポキシ樹脂浸透体のどちらもエネルギ吸収率に殆ど差のないことが分かった。しかし、発泡倍率が38倍および60倍では、母材(EPS)単体よりもエポキシ樹脂浸透体の方が、50%破壊エネルギが大きい、つまりエネルギ吸収率(緩衝能力)が高いことが分かった。また、軟性エポキシ樹脂浸透体および剛性エポキシ樹脂浸透体では、エネルギ吸収率に殆ど差のないことも分かった。エポキシ樹脂浸透体は、母材単体(EPS)よりも、エネルギ吸収率が1.5倍〜2.4倍と高いことが分かった。
<実験8:静的緩衝係数測定試験>
静的緩衝係数の算出は、日本工業規格(JIS)のJIS Z 0235に従って行った。実験1の圧縮試験において得た図18の各歪み率に対する圧縮応力値のグラフを使用した。ここで使用する圧縮歪みは、静的緩衝係数の計算を行うためにパーセントではなく、比率の値で扱う。
図41は、算出した静的緩衝係数を示す図表である。図42は、図41に示すデータに基いて作成した、静的緩衝係数と圧縮応力との関係を示すグラフである。
図41,42より、剛性エポキシ樹脂浸透体は、母材(EPS)単体よりも静的緩衝係数が約1割高いことが分かった。また、軟性エポキシ樹脂浸透体は、母材(EPS)単体と殆ど差のないことが分かった。
また、発泡スチロールなどの発泡樹脂成型体の緩衝設計における緩衝肉厚tは、次式(10)により算出される。
t=C×G/H ・・・(10)
ここで、Cは、静的緩衝係数、Gは、製品許容G値、Hは、落下高さである。この式により、例えば静的緩衝係数Cが1から2に増加した場合は、緩衝肉厚tは2倍になる。上記の実験8の算出結果から、剛性エポキシ樹脂浸透体の静的緩衝係数は母材(EPS)単体よりも最大で1割(10%)増加することが分かった。従って、上記の式(10)より、緩衝肉厚も1割増加することになる。このように、静的緩衝係数の1割程度の増加であれば、緩衝材として使用する発泡樹脂成型体の衝撃を受ける面積を減らし、緩衝しやすく工夫することで必要な緩衝能力を十分達成することができる。
<実験9:熱伝導率試験>
この実験は、おおよそ日本工業規格(JIS)のJIS A 9511に規定の平板比較法に従って行った。試験片のおおよその外寸は、長さ(L)200mm×幅(W)200mm×厚さ(H)25mmである。また、母材単体(EPS)および軟性エポキシ樹脂浸透体のそれぞれについて発泡倍率20倍、38倍および60倍の試験片を作成した。
熱伝導率λ(W/m・k)は、次式(11)により算出した。
λ=d/R ・・・(11)
ここで、dは、試験片の厚さ(m)であり、Rは、熱抵抗(m2・k/W)である。
図43は、実験結果をまとめた図表であり、図44は、図43に示す結果に基づいて作成した、熱伝導率と試験片の比重との関係を示すグラフである。図43,44に示すように、各発泡倍率において母材単体(EPS)よりも軟性エポキシ樹脂浸透体の方が、熱抵抗が僅かに小さく、熱伝導率が僅かに高いことが分かった。また、成型時に使用した水蒸気や大気中の水分などが空隙内に存在する通常の発泡樹脂成型体単体(EPS)と比較すると、軟性エポキシ樹脂浸透体は、空隙内に水分に代わって軟性エポキシ樹脂が充填されている分、熱抵抗が大きく向上する。
次に、本願発明者らは、エポキシ樹脂の浸透量の違いによる強度のバラツキを実験により求めた。また、エポキシ樹脂の浸透量が同等のときの剛性エポキシ樹脂と軟性エポキシ樹脂との強度の違いを実験により求めた。さらに、エポキシ樹脂浸透体の比重と同等の比重を有する母材単体(EPS)を作成し、同等比重でのエポキシ樹脂浸透体と母材単体(EPS)の物性の違いを実験により求めた。
<実験10:エポキシ樹脂浸透実験>
最初に、軟性エポキシ樹脂および剛性エポキシ樹脂の浸透量を実験した。試験片は発泡倍率36倍で、おおよその外寸は、長さ(L)200mm×幅(W)200mm×厚さ(H)25mmである。また、A〜D,Zの計5個の試験片を使用した。試験片A〜Dは新たに作成した。試験片Zは、前述の準備2において作成した試験片Aであり、前述の実験1〜9にて使用したものである。
図45は、軟性エポキシ樹脂および剛性エポキシ樹脂の浸透実験の結果をまとめた図表である。図46(a)は、36倍品と38倍品(Z)のエポキシ樹脂の浸透量差を示す図表であり、図46(b)は、エポキシ樹脂の浸透量と母材単体(EPS)の比重との関係を示すグラフである。
図45に示すように、軟性エポキシ樹脂浸透体の試験片A〜Dの軟性エポキシ樹脂の浸透量は、17.75〜21.83gであり、試験片Dでは41.55gであった。剛性エポキシ樹脂浸透体の試験片A〜Dの剛性エポキシ樹脂の浸透量は、18.09〜20.08gであり、試験片Dでは29.17gであった。試験片A〜Dのうち試験片Bと、前回作成した試験片Zとでエポキシ樹脂の浸透量を比較すると、図46(a)に示すように、浸透量差が軟性エポキシ樹脂では約22gであり、剛性エポキシ樹脂では9gであった。つまり、今回作成した試験片と前回作成した試験片とでは、エポキシ樹脂の浸透量の差が軟性エポキシ樹脂では約2倍の開きがあり、剛性エポキシ樹脂では約1.5倍の開きがあることが分かった。
<実験11:圧縮試験2>
前述の圧縮試験1と同じ試験装置および測定方法により圧縮試験を行った。この試験に使用した試験片は、母材単体(EPS)、軟性エポキシ樹脂浸透体および剛性エポキシ樹脂浸透体であり、母材単体については発泡倍率38倍の試験片A,B,Cおよび20倍の試験片A,B,Cを新たに作成した。また、軟性エポキシ樹脂浸透体および剛性エポキシ樹脂浸透体については、それぞれ発泡倍率38倍の試験片A,B,Cの試験片を新たに作成した。母材単体の発泡倍率20倍の各試験片は、軟性エポキシ樹脂浸透体および剛性エポキシ樹脂浸透体の発泡倍率38倍の試験片と比重が同等となるものとして作成した。
図47は、母材単体の圧縮強度試験の測定結果をまとめた図表であり、図48は、軟性エポキシ樹脂浸透体の圧縮強度試験の測定結果をまとめた図表であり、図49は、剛性エポキシ樹脂浸透体の圧縮強度試験の測定結果をまとめた図表である。図50は、図47,48,49に示す測定結果に基づいて作成した、圧縮応力と歪み率との関係を示すグラフである。図48,49において、Z(38倍品)として示す試験片A,B,Cは、圧縮試験1において得た測定結果である(図16,17)。
図47〜図50に示す測定結果より、母材にエポキシ樹脂を浸透させ、硬化させた試験片の方が母材単体の試験片よりも、歪み率50%までにおける圧縮強度を1.1〜1.2倍高めることができることが分かった。また、軟性エポキシ樹脂浸透体と剛性エポキシ樹脂浸透体との応力差は約3%程度であった。歪み率50%以上では、母材単体とエポキシ樹脂浸透体との応力差が大きくなるのは、試験片が圧縮されることによるエポキシ樹脂の密度が高くなることが原因であると推定された。
<実験12:曲げ試験2>
前述の曲げ試験1と同じ試験装置および測定方法により圧縮試験を行った。この試験に使用した試験片は、母材単体(EPS)、軟性エポキシ樹脂浸透体および剛性エポキシ樹脂浸透体であり、母材単体については発泡倍率38倍の試験片A,B,Cおよび20倍の試験片A,B,Cを新たに作成した。また、軟性エポキシ樹脂浸透体および剛性エポキシ樹脂浸透体については、それぞれ発泡倍率38倍の試験片A,B,Cの試験片を新たに作成した。母材単体の発泡倍率20倍の各試験片は、軟性エポキシ樹脂浸透体および剛性エポキシ樹脂浸透体の発泡倍率38倍の試験片と比重が同等となるものとして作成した。
図51は、母材単体の曲げ強度試験の測定結果をまとめた図表であり、図52は、軟性エポキシ樹脂浸透体の圧縮強度試験の測定結果をまとめた図表であり、図53は、剛性エポキシ樹脂浸透体の圧縮強度試験の測定結果をまとめた図表である。図54は、図51,52,53に示す測定結果に基づいて作成した、曲げ応力の対比を示すグラフである。図52,53において、Z(38倍品)として示す試験片A,B,Cは、曲げ試験1において得た測定結果である(図20,21)。
図51〜54に示す測定結果より、母材にエポキシ樹脂を浸透させ、硬化させた試験片の方が母材単体の試験片よりも曲げ応力を約1.4倍高めることができることが分かった。母材単体の試験片の破断面を観察すると、発泡セル間が破壊されているのではなく、殆どの発泡セル間が分裂した状態であった。これに対してエポキシ樹脂を浸透させた試験片の破断面は、発泡セル間が分離しておらず、殆どの発泡セル同士が融着した状態であった。つまり、エポキシ樹脂を浸透させたことにより、発泡セル間の分離が発生しないため、曲げ応力が高くなることが分かった。
また、エポキシ樹脂の浸透量の変化に対して曲げ応力値の変化が微少であった。これは、曲げ応力値は、母材破壊による数値と考えられ、エポキシ樹脂のアンカー効果およびエポキシ樹脂自体の曲げ強度による力が微少であることが原因であると推定された。エポキシ樹脂の浸透量の違いによる応力の差が微少であることも同じ原因であると推定された。
<実験13:水漏れ試験>
母材にエポキシ樹脂を浸透させ、硬化させた試験片の防水効果について実験した。図1に示した製造装置を利用し、固定枠92に固定した試験片の表面に水を充填し、真空ポンプ70を作動させ、所定の真空度になってから所定時間経過後に試験片の下面から水が漏れるかどうかを観察した。この実験で使用した水は、真水と、界面活性剤を0.1%混合した水と、界面活性剤を1.0%混合した水の3種類である。また、真空ボックス内の真空度を-10kPaおおび-40kPaの2つの値に制御し、制御開始から5分後および15分後に水漏れを観察した。試験片として、発泡倍率38倍の母材単体(EPS)と、軟性エポキシ樹脂浸透体とを使用した。
図55は、水漏れ試験の結果をまとめた図表である。母材単体は、真空度-40kPaでは、いずれの水に対しても短時間で水漏れが観測された。また、真空度-10kPaでは、真水のときに15秒経過時に試験片の真空側の面に水滴が発生した。一方、軟性エポキシ樹脂浸透体は、いずれの真空度のときも、どの水に対しても時間経過による水漏れは全く観測されなかった。
つまり、軟性エポキシ樹脂浸透体は、防水効果が100%であることが分かった。
<実験1〜13のまとめ>
図56,57は、実験1〜9における測定結果(第1試験結果)をまとめた図表である。図58(a)は、実験10〜12における測定結果(第2試験結果)をまとめた図表であり、図58(b)は、母材単体(EPS)とエポキシ樹脂浸透体との比較を示す図表である。
1.[剛性]
1.1(圧縮強度)
圧縮強度は、母材にエポキシ樹脂を浸透させ、硬化させた発泡樹脂複合体の方が、母材単体よりも1.1〜1.2倍の圧縮強度を向上させることができた。また、上記の発泡樹脂複合構造体の方が、母材単体よりも圧縮後の復元率が高く、EPP製の母材相当の復元率を達成することができた。
1.2(曲げ・引張強度)
曲げ強度は、母材にエポキシ樹脂を浸透させ、硬化させた発泡樹脂複合体の方が、母材単体よりも1.4倍向上させることができた。また、引張強度は、母材に軟性エポキシ樹脂を浸透させ、硬化させた発泡樹脂複合構造体の方が、母材単体よりも1.2〜1.5倍向上させることができた。
また、上記の発泡樹脂複合構造体は、母材単体と比較して、割れ、欠けおよび摩擦などに強く、耐久性および耐摩擦性に優れている。
2.[エネルギ吸収性(緩衝性)]
エネルギ吸収率は、母材にエポキシ樹脂を浸透させ、硬化させた発泡樹脂複合体の方が、母材単体よりも1.5〜2.4倍向上させることができた。また、たわみ量および伸び率は、母材に軟性エポキシ樹脂浸を浸透させ、硬化させた発泡樹脂複合構造体の方が、母材単体よりも1.5〜2倍向上させることができた。また、静的緩衝係数では、上記発泡樹脂複合構造体は、母材単体と比較して略同等値であることから、発泡樹脂複合構造体は、緩衝能力は母材単体と同等であるが、エネルギ吸収率は1.5〜2.4倍高いことが分かった。
3.[耐水性]
母材にエポキシ樹脂を浸透させ、硬化させた発泡樹脂複合体は、母材の空隙内で硬化したエポキシ樹脂が空隙を閉塞するため、水蒸気の透過も抑制することができた。また、上記の発泡樹脂複合構造体は、吸水の抑制効果も高く、表面にエポキシ樹脂などで被膜すれば、抑制効果は100%になる。また、防水(水が表面から裏面へ通過しない)効果という点では、表面をエポキシ樹脂などで被膜しなくても100%の防水効果を達成できる。
4.[その他]
(1)図57(b)に示すように、母材単体(EPS)とエポキシ樹脂浸透体とを比較すると、比重16g/lで発泡倍率60倍の母材単体は、エポキシ樹脂を浸透させ、硬化させることにより、比重20g/lで発泡倍率50倍の母材単体に相当する物性を持たせることができる。また、比重26g/lで発泡倍率38倍の母材単体は、エポキシ樹脂を浸透させ、硬化させることにより、比重33g/lで発泡倍率30倍の母材単体に相当する物性を持たせることができる。また、比重50g/lで発泡倍率20倍の母材単体は、エポキシ樹脂を浸透させ、硬化させることにより、比重50〜66g/lで発泡倍率20〜15倍の母材単体に相当する物性を持たせることができる。
つまり、発泡樹脂製品の比重を変えることなく、エポキシ樹脂を浸透させ、硬化させることにより、発泡倍率60倍、38倍、20倍の発泡樹脂製品をそれぞれ発泡倍率50倍、30倍、20〜15倍の発泡樹脂製品相当の圧縮強度を出すことができる。
(2)母材にエポキシ樹脂を浸透させ、硬化させた発泡樹脂複合体は、母材単体よりも熱伝導率を高くすることができた。エポキシ樹脂よりも熱伝導率の低い物質を母材の空隙内に収容すれば、断熱性の高い発泡樹脂複合構造体を実現できることが推定される。
(3)エポキシ樹脂の図45に示したように、母材の空隙率が大きいほどエポキシ樹脂の浸透量が増加する。また、エポキシ樹脂を浸透させる時間が長いほど、浸透量が増加する。
従って、母材の空隙率および浸透時間の少なくとも一方を制御することにより、エポキシ樹脂の浸透量を制御することができるため、用途に応じた発泡樹脂複合構造体を製造することができる。
(4)また、母材の一部をフィルムなどでマスクすることにより、エポキシ樹脂を特定の範囲のみに浸透させることもできる。これにより、上述の各特性を一部にのみ有する発泡樹脂複合構造体を製造することができる。
次に、本願発明者らは、母材にエポキシ樹脂を浸透させ、硬化させた発泡樹脂複合構造体の表面にエポキシ樹脂をコーティングした場合の物性の変化を実験した。
<実験14:部分圧縮試験>
母材にエポキシ樹脂を浸透させ、硬化させた試験片の防水効果について実験した。この実験で使用した装置および実験方法は、基本的に実験1と同じであるが、実験1のように試験片の表面全体を圧縮するのではなく、試験片の一部を圧縮した。実験1で使用した可動板よりも下面の面積が小さい可動板を使用した。また、エポキシ樹脂浸透体の試験片と、母材(EPS)にエポキシ樹脂をコーティングした試験片と、エポキシ樹脂浸透体にエポキシ樹脂をコーティングした試験片とを使用し、それぞれの部分圧縮強度を測定した。また、エポキシ樹脂浸透体として軟性エポキシ樹脂浸透体および剛性エポキシ樹脂浸透体の2種類を作成した。軟性エポキシ樹脂浸透体には軟性エポキシ樹脂をコーティングして硬化させ、剛性エポキシ樹脂浸透体には剛性エポキシ樹脂をコーティングして硬化させた。いずれの試験片も発泡倍率38倍である。また、EPS製の母材と比較するために発泡倍率15倍および30倍のEPP製の試験片も作成した。エポキシ樹脂のコーティング層の厚さは、約0.02mmである。
試験片を部分的に圧縮すると、圧縮された部分の周囲の試験片を巻き込みながら圧縮されるため、圧縮部分と非圧縮部分との間にせん断力が働く。このため、母材単体(EPS)の試験片では、圧縮部分に穴が開くように圧縮されるが、エポキシ樹脂浸透体(特に軟性エポキシ樹脂浸透体)では、スポンジのように周囲を巻き込みながら凹んだ。
図59は、軟性エポキシ樹脂を使用した試験片の測定結果をまとめた図表であり、図60は、剛性エポキシ樹脂を使用した試験片の測定結果をまとめた図表である。図61は、発泡倍率15倍および30倍のEPP製の試験片の測定結果をまとめた図表である。図62は、図59〜61に示す測定結果に基づいて作成した、圧縮応力と歪み率との関係を示すグラフである。
図59〜図62に示す測定結果より、軟性エポキシ樹脂浸透体の表面に軟性エポキシ樹脂をコーティングした試験片は、発泡倍率15倍の母材単体(EPP)と30倍の母材単体(EPP)との間の圧縮応力であった。これは、圧縮により潰れても表面にコーティングされた軟性エポキシ樹脂の被膜が伸びることにより、発泡セルが破壊されず、母材単体(EPP)並の復元性を有することが原因であると推定される。
また、母材単体(EPS)の表面に軟性エポキシ樹脂をコーティングした試験片でも、歪み率が30%付近までは表面の被膜の伸びにより、母材が破壊されず、母材単体(EPP)と同様の潰れ方が見られたが、表面の被膜が破断した後は、母材単体(EPS)の物性となった。
剛性エポキシ樹脂浸透体の表面に剛性エポキシ樹脂を被膜した試験片および母材単体(EPS)の表面に剛性エポキシ樹脂を被膜した試験片は、それぞれ剛性エポキシ樹脂の被膜により僅かに圧縮応力の向上が見られた。
<実験15:曲げ試験3>
実験14の部分圧縮試験において使用した同じ種類の試験片を使用して曲げ試験を行った。この実験で使用した装置および実験方法は、実験2と同じである。図63は、軟性エポキシ樹脂を使用した試験片の測定結果をまとめた図表であり、図64は、剛性エポキシ樹脂を使用した試験片の測定結果をまとめた図表である。図65は、発泡倍率15倍および30倍の母材単体(EPP)の試験片の測定結果をまとめた図表である。図66は、図63〜図65に示す測定結果に基づいて作成した、曲げ応力値の対比を示すグラフである。図67は、たわみ量の対比を示すグラフである。図68は、発泡倍率38倍の母材単体(EPS)を基準とした場合のエネルギ吸収率の比較表である。図69は、10%圧縮強度、曲げ強度およびたわみ量の測定結果をまとめた図表である。
図63〜図67に示す測定結果より、実験14の部分圧縮試験と同様、軟性エポキシ樹脂浸透体の表面に軟性エポキシ樹脂をコーティングした試験片が、曲げ強度およびたわみ量共に発泡倍率15倍の母材単体(EPP)と30倍の母材単体(EPP)との間の数値を記録した。エポキシ樹脂浸透体の試験片よりも、母材単体(EPS)の表面にエポキシ樹脂をコーティングした試験片の方が僅かに曲げ強度が高い。これは、エポキシ樹脂の浸透性が高く、表面に塗布したエポキシ樹脂が母材内部に浸透したことが原因であると推定される。
曲げ強度の測定結果のみでエネルギ吸収率を比較すると、図68に示すように、軟性エポキシ樹脂浸透体の表面に軟性エポキシ樹脂をコーティングした試験片は、発泡倍率15倍の母材単体(EPP)の試験片相当であることが分かった。
<実験16:耐熱試験>
この実験では、母材(EPS)にエポキシ樹脂を浸透させ、硬化させた場合の耐熱性の変化を実験した。この実験で使用した試験片は、発泡倍率38倍の母材単体(EPS)と、発泡倍率40倍のヒートポール(ヒートポールは、株式会社ジェイエスピーの登録商標である)と、剛性エポキシ樹脂浸透体と、剛性エポキシ樹脂浸透体に剛性エポキシ樹脂をコーティングしたものとである。ヒートポールの材質は、AS系樹脂(アクリロニトリル−スチレン系樹脂)の発泡樹脂成型体である。ヒートポールは、耐熱性発泡樹脂製品として使用されており、EPS製の発泡樹脂成型体よりも耐熱性に優れていることから、耐熱性能の比較対象として使用した。
検査室に設定した恒温糟内部を設定温度に保持し、その中に試験片を入れ、経過時間による寸法の変化(収縮率)を計測した。設定温度は、90℃および100℃であり、計測時間は、15分、30分、60分とした。寸法計測は、収縮率計測のため、長さ(L)のみの計測とした。そして、計測時に恒温糟から試験片を取出し、5分間の自然養生(温度23℃,湿度50%)をした後にノギスで計測し、計測後、再び恒温糟に入れた。
図70(a)は母材単体(EPS)およびヒートポールの試験片の外寸、重量および比重をまとめた図表であり、図70(b)は剛性エポキシ樹脂浸透体を作成するための原反のデータをまとめた図表であり、図70(c)は原反から作成した剛性エポキシ樹脂浸透体の試験片のデータをまとめた図表である。図71,72は測定結果をまとめた図表である。図73(a)は図71に示す測定結果に基づいて作成した、収縮率と経過時間との関係を示すグラフであり、図73(b)は図72に示す測定結果に基づいて作成した、収縮率と経過時間との関係を示すグラフである。図74(a)は剛性エポキシ樹脂浸透体の試験片と、剛性エポキシ樹脂浸透体を剛性エポキシ樹脂でコーティングした試験片のデータを示す図表であり、図74(b)はコーティング前の母材単体の試験片と、コーティング後の試験片のデータを示す図表である。図75は、剛性エポキシ樹脂を剛性エポキシ樹脂でコーティングした試験片と、母材単体を剛性エポキシ樹脂でコーティングした試験片の耐熱試験結果をまとめた図表である。図76は図75に示す測定結果に基づいて作成した、収縮率と経過時間との関係を示すグラフである。図77は各試験片の収縮率をまとめた図表である。
各測定結果より、100℃の環境下で、ヒートポールの試験片と、剛性エポキシ樹脂浸透体を剛性エポキシ樹脂でコーティングした試験片とが、共に収縮率が1%以下であり、同等の耐熱性能であると考えられた。
また、90℃の環境下の剛性エポキシ樹脂浸透体の試験片と、100℃の環境下の剛性エポキシ樹脂浸透体を剛性エポキシ樹脂でコーティングした試験片とは、収縮率がマイナスとなり、収縮ではなく若干の膨張を確認した。これは、3次発泡もしくは試験片内部の空気の膨張が原因であると推定される。
試験後の各試験片の断面を観察し、母材に剛性エポキシ樹脂をコーティングした試験片と、剛性エポキシ樹脂浸透体の試験片と、剛性エポキシ樹脂浸透体を剛性エポキシ樹脂でコーティングした試験片とを比較すると、剛性エポキシ樹脂を浸透させた試験片は、母材の熱による変形(収縮)を抑えていることが確認できた。
しかし、母材に剛性エポキシ樹脂を浸透させ、硬化させるだけでは、試験片表面で母材(EPS)が露出しているためにヒートポールよりも耐熱性が劣った。
従って、剛性エポキシ樹脂の浸透およびコーティングの両方を行うことにより、ヒートポールと同等(100℃以上の耐熱性)を得られることが分かった。
<実験17:釘引抜き試験>
次に、本願発明者らは、釘の引抜き強度を測定する実験を行った。実験装置は、試験片の両端下面を支持する支持台と、その支持台に支持された試験片の両端上面を押さえる押さえ板と、ねじと、試験片にねじ込まれたねじを引き抜くための引抜き板と、その引抜き板を所定速度で垂直方向に上昇させる上昇装置とで構成される。上昇装置には、引抜き板上部のリングに引っ掛けるフックと、木用ねじに掛かる力を測定する機能とが備えられている。
試験片として、発泡倍率20倍および38倍の2種類の母材単体(EPS)と、発泡倍率38倍の母材に軟性エポキシ樹脂を浸透させ、硬化させた軟性エポキシ樹脂浸透体と、同母材に剛性エポキシ樹脂を浸透させ、硬化させた剛性エポキシ樹脂浸透体とを使用した。また、各種の試験片は、それぞれA〜Eの計5個ずつ作成した。
ところで、釘を使用して釘引抜き試験を行うと、引抜くときの力が小さく、計測値が微小になる。また、試験片を試験機にセットする際に試験片に小さな衝撃を与えてしまうだけで計測値にバラツキが生じてしまい、正確な計測を行うことができない。そこで、この実験では、釘よりも試験片を噛みながら食い込む木用ねじを使用し、計測誤差を抑え、母材単体(EPS)とエポキシ樹脂浸透体との明確な計測値の違いを出すようにした。直径5mm×全長40mmの木用ねじを使用した。
試験片の上面中央から上記の引抜き板を介して上記の木用ねじを一定量ねじ込み、その試験片を上記の支持台に下面が支持されるように載置し、上記の押さえ板で試験片を押さえた。そして、上記の上昇装置の下端に備えられたフックを引抜き板上部のリングに引っ掛け、上昇装置を20mm/minの速度で上昇させ、木用ねじを試験片から抜くときの力(引抜き力)を測定した。木用ねじを抜き始めて引張り距離が1mm以内で引抜き力の最大値が計測され、その後、木用ねじは、ズルズルと引抜き力が弱まりながら抜けていった。
図78(a)は母材単体の試験片のデータを示す図表であり、図78(b)は軟性エポキシ樹脂浸透体および剛性エポキシ樹脂浸透体の各試験片のデータを示す図表であり、図78(c)は引抜き試験の測定結果を示す図表である。図79は、図78(c)に示す測定結果に基づいて作成した、各試験片の引抜き強度の対比を示すグラフである。
上記の測定結果より、エポキシ樹脂浸透体(母材の発泡倍率38倍)の試験片の引抜き強度は、母材単体(発泡倍率38倍)よりも15N程度大きいことが分かった。しかし、発泡倍率20倍の母材単体の引抜き強度よりは小さいことが分かった。
次に、本願発明者らは、母材の空隙率が緩衝性能および浸透性能に与える影響について調べる実験を行った。
<実験18:緩衝能力試験>
この実験は、実験8の静的緩衝係数測定試験と同じ方法で行った。また、重錘には、Gセンサを取付け、重錘を1個の試験片に対して5箇所に落下させ、G値を測定した。試験片は、空隙率の異なる試験片を採取するために、発泡セルの融着度合いで分けて4種類作成した。図80は、試験片を採取した場所を示す説明図である。試験片は、発泡倍率80〜90倍の円柱形状の発泡樹脂成型体を円板形状に切断し、それを正方形に加工することにより作成した。発泡セル同士の融着状態が限界になっている試験片(融着限界品)A,Bは、発泡樹脂成型体の両端近傍から採取した。発泡セル同士の融着状態が良好な試験片(融着良品)A〜Dは、発泡樹脂成型体の中心軸に沿って均等間隔に4箇所を切断して採取した。発泡セル同士の融着状態が不良な試験片(融着不良品)A〜Dも同じく4箇所から採取した。表面部分の発泡セル同士の融着状態が良好な試験片(融着良品表面部分)A,Bは、融着限界品よりも端部寄りの発泡樹脂成型体から採取した。
図81は、上記の採取した各試験片に軟性エポキシ樹脂を浸透させ、硬化させて作成した試験片のデータを示す図表である。各試験片には、母材単体のときの空隙率が記載されている。母材内部の空隙が多いほど軟性エポキシ樹脂の浸透量が増加することから、空隙率は、(軟性エポキシ樹脂浸透量/試験片体積)×100の式を用いて算出した。
図82は緩衝能力の測定結果を示す図表であり、図83は図82に示す測定結果に基づいて作成した、G値と空隙率との関係を示すグラフである。図84は各試験片毎に空隙率と緩衝能力評価との関係をまとめた図表である。
各試験片に対する緩衝能力の評価は、母材単体(EPS)のG値46.9(m/s2)を基準とし、約70(m/s2)までを緩衝能力良好と評価し(○)、70から80(m/s2)までを緩衝能力が若干劣るを評価(△)とし、80(m/s2)以上を緩衝能力無し(×)とした。
その結果、図84に示すように、空隙率2〜5%の試験片が良好な緩衝能力を有し、空隙率6%の試験片が若干緩衝能力に劣るものの実用面では問題がなく、空隙率9%の試験片は、緩衝能力が無く実用的でないという評価になった。
緩衝設計は、安全率として、製品許容G値に0.9〜0.8を乗じた値を設計G値として使用し、製品の肉厚を算出する。このことから、母材単体(EPS)で測定した46.9Gから25%増加までが安全率内となり、緩衝材としての実用性があると考えられる。
従って、安全率の観点からは、46.9Gから25%増加の範囲内に収まっている空隙率2%の軟性エポキシ樹脂浸透体が好ましいと考えられる。
また、今回の実験で使用した軟性エポキシ樹脂よりも軟性の高いエポキシ樹脂などを母材に収容することにより、G値の増加を抑制できるものと推定される。
<実験19:圧縮試験3>
実験18で作成した各試験片を使用して圧縮試験を行い、試験片の母材の空隙率と圧縮強度と静的緩衝係数との関係を調べた。図85は各試験片の測定結果をまとめた図表である。図86は図85に示す測定結果に基づいて作成した、圧縮応力と歪み率との関係を示すグラフである。図87は、歪み率が10%のときの圧縮応力と空隙率との関係を示すグラフである。図88は各試験片毎に空隙率に対する圧縮応力を評価した結果を示す図表である。
上記の測定結果より、母材の空隙率が大きくなるほど、つまりエポキシ樹脂の浸透量が増加するほど圧縮強度が高くなることが分かった。また、静的緩衝係数については大きな差は見られず、圧縮強度だけが向上していることが分かった。
従って、エポキシ樹脂浸透体を緩衝材として設計する場合は、母材の肉厚を変更しないで衝撃を受ける受け面積を減らすことができる。ただし、母材単体(EPS)の圧縮応力よりも3倍以上の圧縮応力になる空隙率6%以上のエポキシ樹脂浸透体は、その分、受け面積が極端に減るため、実用性が低い。
そこで、図88に示すように、空隙率が6%までのエポキシ樹脂浸透体に対する圧縮応力の評価を良好(○)とし、空隙率が7%のエポキシ樹脂浸透体(融着不良品A)の評価をやや劣る(△)とし、空隙率が9%のエポキシ樹脂浸透体の評価を実用性無し(×)とした。なお、同じ空隙率6%でも融着良品Dの評価が○であるのは、融着良品は融着不良品よりも発泡セル同士の融着率が高く、緩衝能力が高いからである。
<実験20:浸透性試験>
母材の空隙率の小さい試験片に対するエポキシ樹脂の浸透性について実験した。この実験は、図1に示した製造装置を使用して行った。また、表面に軟性エポキシ樹脂を塗布した試験片を固定枠92に固定し、真空ポンプ70によって真空引きを所定時間行い、エポキシ樹脂の浸透を観察した。試験片は、発泡倍率30倍の母材を使用した。
図89(a)は試験片のデータを示す図表であり、図89(b)は浸透試験の結果を示す図表であり、図89(c)は空隙率の算出結果を示す図表である。図90は各試験片に対する浸透時間の評価を示す図表である。
上記の測定結果より、空隙率0.5%の母材では、25mmの肉厚に対して真空度-0.8kg/cm2を保持した状態で15分以上で軟性エポキシ樹脂を浸透させることができることが分かった。
また、空隙率1.5%の母材では、浸透時間は5分以上であった。さらに、空隙率3%の母材では、浸透時間は30秒程度であり、空隙率5%および9%では、浸透時間は一瞬であった。そこで、図90に示すように、浸透時間が5分以上必要な空隙率0.5%および1.5%以下の母材に対して、やや劣る(△)と評価し、浸透時間が30秒程度以下である空隙率3%、5%および9%の母材に対して良好(○)と評価した。
さらに、空隙率0.5%未満の母材に対するエポキシ樹脂の浸透性について実験した。この実験では、発泡樹脂成型において発泡セル同士の融着率が最大のものを成型し、それを切断して試験片を作成した。また、軟性エポキシ樹脂樹脂よりも低粘度で浸透性の高い着色水(約1mPa・s)を使用した。図91(a)は試験片のデータを示す図表であり、図91(b)は各試験片に対する浸透時間の評価を示す図表であり、図91(c)は空隙率の算出表である。図92は、各空隙率に対する評価を示す図表である。
実験の結果、図91(b)に示すように、空隙率が0.2%の試験片Cでは、真空度-0.8kg/cm2 を10分間保持すれば、着色水が試験片の一部裏面まで浸透することが分かった。その裏面に到達した着色水の面積は約10%であった。また、空隙率が0.1%の試験片Bでは、10分間経過しても着色水は試験片の裏面に到達しなかった。浸透深さは、試験片の表面から約10mmであった。また、空隙率が0.1%の試験片Dでは、30分経過すると着色水が試験片の一部裏面まで到達したが、殆ど浸透深さ約15mmまでしか浸透しなかった。
そこで、図92に示すように、10分以下で着色水が一部裏面まで浸透した空隙率0.2%の試験片および空隙率0.5%の試験片は、低粘度の水を一部浸透させることができるため、浸透性がやや劣る(△)と評価し、着色水が裏面まで浸透しなかったり、一部裏面まで浸透したが、長時間を必要とする空隙率0.1%の試験片は浸透性が劣る(×)と評価した。
図93は、上述の緩衝能力試験、圧縮試験および浸透試験における各空隙率に対する総合評価を示す図表である。この総合評価より、浸透性を利用する場合は、母材の空隙率が0.2%以上であることが望ましいことが分かった。また、緩衝能力および圧縮応力を利用する場合は、母材の空隙率が7%を超えないことが望ましいことが分かった。
以上より、空隙率0.5〜7%の範囲の母材にエポキシ樹脂を浸透させたエポキシ樹脂浸透体が総合的に優れていることが分かった。
<実験21:曲げ試験4>
母材の空隙率の大きい試験片に対する曲げ強度について実験した。この実験は、前述の実験2の曲げ試験と同じ試験装置および試験方法により行った。チップドレン(チップドレンは、株式会社ジェイエスピーの登録商標)を切断した試験片と、チップドレンにエポキシ樹脂を浸透させ、硬化させたものを切断した試験片とを作成した。また、チップドレンの母材に軟性エポキシ樹脂を浸透させ、硬化させた試験片と、剛性エポキシ樹脂を浸透させ、硬化させた試験片の2種類を作成した。チップドレンは、チップ状またはストロー状の発泡樹脂成型体を凝縮して再度発泡成型した発泡樹脂成型体である。
図94(a)はチップドレンのデータを示す図表であり、図94(b)はチップドレンにエポキシ樹脂を浸透させ、硬化させた場合のデータを示す図表である。図95〜図97は曲げ試験の測定結果を示す図表である。図98は図95〜図97に示す測定結果に基づいて作成した、曲げ応力を各試験片毎に対比して示すグラフである。図99は図95〜図97に示す測定結果に基づいて作成した、たわみ量を各試験片毎に対比して示すグラフである。図100は母材単体(浸透なし)を基準とした場合の各試験片のエネルギ吸収率の比較を示す図表である。
図100に示す比較より、空隙率が30%以上のチップドレンの母材にエポキシ樹脂を浸透させ、硬化させることにより、曲げ強度およびたわみ量が向上し、エネルギ吸収率が向上することが分かる。
<実験22:圧縮試験4>
母材の空隙率の大きい試験片に対する圧縮強度について実験した。この実験は、前述の実験1の圧縮試験と同じ試験装置および試験方法により行った。試験片は、外寸以外は実験21で使用した試験片と同じものを使用した。
図101,102は測定結果を示す図表である。図103は、図101,102に示す測定結果に基いて作成した、各試験片毎の圧縮応力と歪み率との関係を示すグラフである。
上記の測定結果より、空隙率が30%以上のチップドレンの母材に剛性エポキシ樹脂を浸透させ、硬化させることにより、圧縮強度を向上させることができることが分かった。また、空隙率が30%以上のチップドレンの母材に軟性エポキシ樹脂を浸透させ、硬化させた試験片は、大きな圧縮応力の変化がなく、また静的緩衝係数も大きく変化しないことから、チップドレンの緩衝性(柔軟性)および圧縮応力を確保しつつ、曲げ試験の結果から、母材単体の3.5倍のエネルギ吸収率を持っていると推定される。
図104は、実験21,22の各測定結果に基づいて各空隙率の母材の評価を示す図表である。空隙率が30%の母材は、エポキシ樹脂を浸透させ、硬化させることにより、曲げ強度および圧縮強度などが向上することから良好(○)と評価した。また、空隙率が36%の母材にエポキシ樹脂を浸透させ、硬化させたものは、母材単体よりも静的緩衝係数が若干高くなっていることから(図101)、やや良好(△)と評価した。また、空隙率が39%の母材にエポキシ樹脂を浸透させ、硬化させたものは、空隙率が36%のものよりも静的緩衝係数が高くなっており、緩衝能力がより一層落ちていることから(図101)、劣る(×)と評価した。
<他の実施形態>
(1)エポキシ樹脂用硬化剤としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、無水メチルCD酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリット酸、無水ヘット酸、ドデセニル無水コハク酸、ポリアゼライン無水コハク酸等の酸無水物系硬化剤;エチレンアミン類、ジエチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、脂肪族アミン変成体等の脂肪族アミン系硬化剤;m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、メタキシリレンジアミン、芳香族アミン変成体等の芳香族アミン系硬化剤;また、その他硬化剤として、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、ピペリジン、ポリアミド樹脂、フェノール系樹脂、ポリチオール樹脂、メルカプタン系化合物、三フッ化ホウ素アミン錯体、イミダゾール系化合物などを用いることができる。
(2)エポキシ系樹脂向けの硬化促進剤として、第3級アミン、トリフェニルフォスフィン、スタナースオクトエート、三フッ化ホウ素錯体、ベンジルジメチルアミン、DBU、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、イソシアネート類、スルフォニウム塩類、ヨードニウム塩類、ジアゾニウム塩類、ヒドラジド系化合物、ナイロン塩系化合物、有機金属化合物類等をさらに用いても良い。
(3)硬化性樹脂として、アクリル系エマルジョン、溶剤系アクリル樹脂、エチレン酢酸ビニル系エマルジョン、溶剤系エチレン酢酸ビニル樹脂、合成ゴム系ラテックス、溶剤系合成ゴム樹脂などのうち、母材を破壊しないものを使用することができる。
(4)熱硬化性樹脂組成物としては、例えば、オリゴエステルアクリレート樹脂系熱硬化性組成物、キシレン樹脂系熱硬化性組成物、グアナミン樹脂系熱硬化性組成物、ジアリルフタレート樹脂系熱硬化性組成物、ビニルエステル樹脂系熱硬化性組成物、フェノール樹脂系熱硬化性組成物、不飽和ポリエステル樹脂系熱硬化性組成物、フラン樹脂系熱硬化性組成物、ポリイミド樹脂材料組成物、ポリ(p−ヒドロキシ安息香酸)樹脂材料組成物、ポリ(ウレタン)系硬化樹脂材料組成物、マレイン酸樹脂材料組成物、メラミン樹脂材料組成物、ユリア樹脂材料組成物、シリコン系樹脂材料組成物などを用いることができる。これらは、単独で用いても良いし、複数種組み合わせて用いても良い。その他、モノマー分子中に水酸基、アミノ基、カルボキシル基を複数個有する反応性樹脂材料と熱分解性架橋剤を混合したものを用いることができる。
(5)母材の空隙に浸透させ、硬化させることのできる物質としてポリ(ウレタン)系硬化樹脂を用いることもできる。ポリ(ウレタン)系硬化樹脂は、イソシアネート系化合物とポリオール類を組み合わせることで得られる。イソシアネート系化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシフネート、トリフェニルメタンジイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフオスフアイト、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビス(ジイソシアネートメチル)シクロヘキサン、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの単量体又はこれらのイソシアヌレート変性体、ウレタン変性体、ビゥレット変性体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、トリメチロールプロパン付加体、ブロックイソシアネートなどがあげられる。
(6)ポリオール類としては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、水酸基変成(メタ)アクリル系ポリマー、水酸基変成ビニル系ポリマー、水酸基変成ポリエステル、水酸基変成ポリカーボネートなどを用いることができる。
(7)硬化促進剤として、アミン類、金属塩類、シリコーン油等を用いても良い。また、上記熱硬化性樹脂組成物の流動性を調整する為に、減粘剤、増粘剤、チキソトロープ剤等を用いて良い。減粘剤として、例えば、ペンタン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の各種溶剤を用いることができる。増粘剤として、例えば、アクリルゴム、エビクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴムなどを用いることができる。チキソトロープ剤として、例えば、コロイダルシリ力、ポリビニルピロリドンなどを用いることができる。
(8)母材の空隙に無機ポリマーを浸透させることもできる。無機ポリマーとしては、水ガラス、ポリシラン、シリコーンゴムなどを用いることができる。シリコーンゴムは、2液型の液状ゴムが好適に用いられる。つまり、2液型LTV及び2液型RTVがある。
(9)上述の発泡材料、熱硬化性物質、熱可塑性物質には、本発明の目的を阻害しない範囲において、増量剤、着色剤、補強繊維、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難然剤、防カビ剤、防虫剤、抗菌剤、可塑剤、カップリング剤、電気伝導性フィラー、磁性体フィラー、熱伝導性フィラー、帯電防止材剤、弾性微粒子などの改質剤が必要に応じて添加されていても良い。
(10)増量剤としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、カーボンブラック、二酸化ケイ素、酸化チタン、ガラス粉、中空ガラスバルーン、珪藻土、カオリン、パーライト、蛍石、ベントナイトなどを用いることができる。
(11)着色剤には、一般的な顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、シアニン系顔料、キナクドリン系顔料などがある。染料では、アゾ系染料、アントラキノン系染料、インジゴイド系染料、スチルベン系染料などがある。
(12)アルミフレーク、ニッケル粉、金粉、銀粉、銅粉、酸化チタンなどの金属粉を着色剤として用いても良い。
(13)補強繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、セルロース繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、金属繊維などを用いることができる。
(14)紫外線吸収剤としては、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤などを用いることができる。
(15)酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などを用いることができる。
(16)難燃剤としては、塩素化パラフィン、ヘキサブロモフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテルなどのハロゲン系難燃剤;ポリリン酸アンモニウム、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェートなどの含リン酸系難燃剤;メラミン誘導体;赤リン、酸化錫、三酸化アンチモン、水酸化ジルコニウム、水酸化マグネシウム、メタホウ酸バリウムなどの無機系難然剤などの1種もしくは2種以上を用いることができる。
(17)防カビ剤としては、10,10´−オキシビスフェノキシアルシン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、N−ジメチル−N´−フェニルーN´−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、2−メトキカルボニルアミノベンズイミダゾール、2−メトキカルボニルアミノベンゾイミダゾール、チアベンゾールなどを用いることができる。
(18)可塑剤としては、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪族一塩基酸エステル系可塑剤、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、二価アルコールエステル系可塑剤、オキシ酸エステル系可塑剤などを用いることができる。
(19)カップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチルーアミノエチル)チタネートなどのチタネート系カップリング剤を用いることができる。
(20)電気伝導性フィラーとしては、金、銀、銅、ニッケル、パラヂウム、白金、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、アルミニウム、亜鉛、錫、鉛等の金属を粒子状にしたもの、上記金属の合金を粒子状にしたもの、酸化錫等の金属酸化物を粒子状にしたもの、カーボン等の導電性炭素同素体を粒子状にしたも、ガラス、カーボン、マイカ、プラスチック等の粒子の表面に導電の金属をコートしたものなどを用いることができる。これらの少なくとも1つを例えばエポキシ樹脂に混合し、それを母材の空隙内に浸透させ、硬化させることにより、電気伝導性を有する発泡樹脂複合構造体を製造することができる。
(21)磁性体フィラーとしては、コバルトフェライト系磁性体、メタル磁性体、CrO、γ−Fe、FeN、Baフェライト等を粉末状にしたものを用いることができる。これらの少なくとも1つを例えばエポキシ樹脂に混合し、それを母材の空隙内に浸透させ、硬化させることにより、磁性を有する発泡樹脂複合構造体を製造することができる。
(22)熱伝導性フィラーとしては、銅、アルミニウム、ベリリア、窒化アルミニウム、窒化ボロン、アルミナ、マグネシア、チタニア、ダイアモンド、鉛、ジルコン等を粉体状にしたものを用いることができる。これらの少なくとも1つを例えばエポキシ樹脂に混合し、それを母材の空隙内に浸透させ、硬化させることにより、熱伝導性の高い発泡樹脂複合構造体を製造することができる。
(23)帯電防止材剤としては、ポリ(オキシエチレン)アルキルアミン、ポリ(オキシエチレン)アルキルアミド、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル、ポリ(オキシエチレン)アルキルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン系帯電防止剤;アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルホスフェートなどのアニオン系帯電防止剤;第4級アンモニウムクロライド、第4級アンモニウムサルフェート、第4級アンモニウムナイトレートなどのカチオン系帯電防止剤;アルキルベタイン型、アルキルイミダゾリン型、アルキルアラニン型などの両性系帯電防止剤;ポリビニルベンジル型カチオン、ポリアクリル酸型カチオンなどの導電性樹脂などを用いることができる。これらの少なくとも1つを例えばエポキシ樹脂に混合し、それを母材の空隙内に浸透させ、硬化させることにより、帯電防止効果の高い発泡樹脂複合構造体を製造することができる。
(24)弾性微粒子としては、アクリルビーズ、ポリエチレンビーズ、ポリプロピレンビーズなどを用いることができる。これらの少なくとも1つを母材の空隙内に収容することにより、弾性の高い発泡樹脂複合構造体を製造することができる。
(25)参考例として、マイクロカプセルを母材の空隙内に収容することにより、母材にマイクロカプセルによる効果を持たせることができる。ここで、マイクロカプセルとは、直径がナノメートルからミリメートルの間の微小な容器であり、閉じ込められる物質(芯物質、コア)とそれを取り囲む物質(壁材、シェル)から構成される。また、マイクロカプセルには、密閉型および多孔型のものを含む。
例えば、マイクロカプセルの外殻を構成するシェル(壁材)として、外気温度が所定温度を超えると亀裂の入る性質のシェルを使用し、そのシェルに芳香剤をコア(芯物質)として内包する。そして、そのマイクロカプセルを母材の空隙内に収容することにより、外気温度が所定温度を超えると空隙内のマイクロカプセルに亀裂が入り、芳香剤を外気中に放出することができる。
また、シェルにエポキシオリゴマーを内包することにより、マイクロカプセルからなる物質を低粘度の水系エマルションとして取り扱うことができる。そして、その物質を母材の空隙内に収容してから加熱してマイクロカプセルのシェルを溶解し、シェル内のエポキシオリゴマーをバインダー樹脂などと架橋反応させることもできる
この製造方法によれば、反応硬化物はエポキシオリゴマーの特長を活かした密着性、硬度、耐水性に優れた物性を示すため、母材の物性を優れた物性に変化させることができる。また、空気に触れてからの経過時間が所定時間を超えると割れたり溶解するシェルに芳香剤をコアとして収容したマイクロカプセルを母材の空隙内に収容することもできる。この製造方法によれば、母材に芳香性を持たせることができる。
また、シェルに内包する物質は、抗菌剤、防カビ剤などの薬剤でもよい。
(26)電子線や紫外線(光開始剤が必要)を照射することにより、ラジカル重合を起こして硬化する樹脂を母材の空隙内に収容することもできる。この製造方法によれば、樹脂を常温で扱うことができるため、生産性を高めることができる。
(27)着色水や塗料を母材の空隙に浸透させることにより、母材の表面に新たな色の模様が現れることにより、新たなデザインを創作することもできる。
(28)反射塗料、夜光塗料、蓄光塗料、蛍光塗料、防カビ塗料、抗菌塗料、脱臭、消臭塗料、光触媒塗料、結露防止用塗料、防虫塗料、導電性塗料、電気絶縁塗料、帯電防止用塗料、電磁波遮蔽用塗料、防火塗料、防音塗料、遮音塗料、制振塗料、耐熱塗料、遮熱塗料、、示温塗料、感圧塗料、応力解析塗料、冷凍庫パレット用塗料、船用塗料、重防食用塗料、魚網防汚塗料、グラファイト塗料、床用塗料、屋根用塗料、弾性塗料、瓦用塗料、皮革用塗料、コールタール、天然漆、クラッキングエナメル、パール調塗料、メタリック調塗料などの各種の塗料を母材の空隙に浸透させることもできる。
(29)母材の空隙に収容する物質は、流動体に限定されるものではなく、半流動体、粉状体、粒状体などの性状の物質でもよい。
(30)前述の各実施形態において使用した製造装置および製造方法は、一例であり、本発明の目的を逸脱しない限り、製造装置および製造方法を変更することができる。
この発明の第1実施形態に係る製造装置の説明図であり、(a)は、製造装置を構成する部材を分解して示す斜視図、(b)は、製造装置の外観を示す斜視図である。 第2実施形態に係る製造装置の説明図であり、(a)は製造装置の内部構造を示す斜視図、(b)は製造装置の外観を示す斜視図である。 第3実施形態に係る製造装置の説明図であり、(a)は製造装置の内部構造を示す斜視図、(b)は製造装置に母材が収容された状態を示す斜視図である。 第4実施形態に係る製造装置の説明図であり、(a)は製造装置の構造を示す斜視図、(b)は製造装置が母材に装填された状態を示す斜視図である。 参考例1に係る製造装置の説明図であり、(a)は製造装置の構造を示す斜視図、(b)は製造装置の縦断面図である。 母材50の説明図であり、(a)は母材50の斜視図、(b)は(a)に示す母材50の領域Dの拡大図である。 母材にエポキシ樹脂が浸透した発泡樹脂複合構造体の説明図であり、(a)は発泡樹脂複合構造体の斜視図、(b)は(a)に示す発泡樹脂複合構造体60の領域Dの拡大図である。 従来の発泡樹脂成型機の模式図である。 準備1において母材に浸透可能な流動体の粘度に対する評価をまとめた図表である。 準備2において各試験片に浸透可能なエポキシ樹脂の粘度に対する評価をまとめた図表である。 本願発明者らが行った実験の種類を示す図表である。 実験1における軟性エポキシ樹脂の浸透前後の各計測データを示す図表である。 合成エポキシ樹脂の浸透前後の各計測データを示す図表である。 母材(試験片)の比重に対するエポキシ樹脂の浸透量を表すグラフである。 エポキシ樹脂の浸透していない母材単体の圧縮強度の測定結果を示す図表である。 軟性エポキシ樹脂が浸透した軟性エポキシ樹脂浸透体の圧縮強度の測定結果を示す図表である。 剛性エポキシ樹脂が浸透した剛性エポキシ樹脂浸透体の圧縮強度の測定結果を示す図表である。 図15,16,17に示す測定結果のうち、各歪み率に対する圧縮応力値をグラフ化したものである。 実験2におけるエポキシ樹脂が浸透していない母材単体の曲げ強度の測定結果を示す図表である。 軟性エポキシ樹脂が母材に浸透した軟性エポキシ樹脂浸透体の曲げ強度の測定結果を示す図表である。 剛性エポキシ樹脂が母材に浸透した剛性エポキシ樹脂浸透体の曲げ強度の測定結果を示す図表である。 図19,20,21に示す測定結果のうち、各発泡倍率の試験片の比重と曲げ応力との関係を示すグラフである。 実験3におけるエポキシ樹脂を浸透させていない母材(EPS)単体に対する引張試験の測定結果を示す図表である。 EPP(発泡ポリプロピレン)により成型された母材単体に対する引張試験の測定結果を示す図表である。 母材(EPS)に軟性エポキシ樹脂を浸透させた発泡樹脂複合構造体に対する引張試験の測定結果を示す図表である。 母材(EPS)に剛性エポキシ樹脂を浸透させた発泡樹脂複合構造体に対する引張試験の測定結果を示す図表である。 図23〜26に示す測定結果のうち、各発泡倍率の試験片の比重に対する引張強さの関係を示すグラフである。 図23〜26に示す測定結果のうち、各発泡倍率の試験片の比重に対する伸び率の関係を示すグラフである。 実験4における吸水試験の測定結果をまとめた図表である。 図29に示す測定結果のうち、各発泡倍率の試験片の比重に対する吸水量の関係を示す散布図である。 実験5における吸湿試験の測定結果をまとめた図表である。 図31に示す測定結果を試験片の種類毎にグラフ化したグラフである。 図31に示す測定結果を試験片の種類毎にグラフ化したグラフである。 図31に示す測定結果を試験片の種類毎にグラフ化したグラフである。 実験6における母材(EPS)単体および母材(EPP)単体の各測定結果をまとめた図表である。 軟性エポキシ樹脂浸透体および剛性エポキシ樹脂浸透体の各測定結果をまとめた図表である。 図35,36に示す測定結果に基いて、繰返し圧縮回数と試験片の厚さの低下率との関係を示したグラフである。 実験7において母材(EPS)単体および母材(EPP)単体の各測定結果をまとめた図表である。 軟性エポキシ樹脂浸透体および剛性エポキシ樹脂浸透体の各測定結果をまとめた図表である。 図38,39に示す測定結果に基いて、4種類の試験片の50%破壊エネルギ(J)を対比させたグラフである。 実験8において算出した静的緩衝係数を示す図表である。 図41に示すデータに基いて作成した、静的緩衝係数と圧縮応力との関係を示すグラフである。 実験9の結果をまとめた図表である。 図43に示す結果に基づいて作成した、熱伝導率と試験片の比重との関係を示すグラフである。 実験10において軟性エポキシ樹脂および剛性エポキシ樹脂の浸透実験の結果をまとめた図表である。 図46(a)は、36倍品と38倍品(Z)のエポキシ樹脂の浸透量差を示す図表であり、図46(b)は、エポキシ樹脂の浸透量と母材単体(EPS)の比重との関係を示すグラフである。 実験11において母材単体の圧縮強度試験の測定結果をまとめた図表である。 軟性エポキシ樹脂浸透体の圧縮強度試験の測定結果をまとめた図表である。 剛性エポキシ樹脂浸透体の圧縮強度試験の測定結果をまとめた図表である。 図47,48,49に示す測定結果に基づいて作成した、圧縮応力と歪み率との関係を示すグラフである。 実験12において母材単体の曲げ強度試験の測定結果をまとめた図表である。 軟性エポキシ樹脂浸透体の圧縮強度試験の測定結果をまとめた図表である。 剛性エポキシ樹脂浸透体の圧縮強度試験の測定結果をまとめた図表である。 図51,52,53に示す測定結果に基づいて作成した、曲げ応力の対比を示すグラフである。 実験13の水漏れ試験の結果をまとめた図表である。 実験1〜9における測定結果(第1試験結果)をまとめた図表である。 実験1〜9における測定結果(第1試験結果)をまとめた図表である。 図58(a)は、実験10〜12における測定結果(第2試験結果)をまとめた図表であり、図58(b)は、母材単体(EPS)とエポキシ樹脂浸透体との比較を示す図表である。 実験14における軟性エポキシ樹脂を使用した試験片の測定結果をまとめた図表である。 剛性エポキシ樹脂を使用した試験片の測定結果をまとめた図表である。 発泡倍率15倍および30倍のEPP製の試験片の測定結果をまとめた図表である。 図59〜61に示す測定結果に基づいて作成した、圧縮応力と歪み率との関係を示すグラフである。 実験15における軟性エポキシ樹脂を使用した試験片の測定結果をまとめた図表である。 剛性エポキシ樹脂を使用した試験片の測定結果をまとめた図表である。 発泡倍率15倍および30倍の母材単体(EPP)の試験片の測定結果をまとめた図表である。 図63〜図65に示す測定結果に基づいて作成した、曲げ応力値の対比を示すグラフである。 たわみ量の対比を示すグラフである。 発泡倍率38倍の母材単体(EPS)を基準とした場合のエネルギ吸収率の比較表である。 10%圧縮強度、曲げ強度およびたわみ量の測定結果をまとめた図表である。 図70(a)は実験16における母材単体(EPS)およびヒートポールの試験片の外寸、重量および比重をまとめた図表であり、図70(b)は剛性エポキシ樹脂浸透体を作成するための原反のデータをまとめた図表であり、図70(c)は原反から作成した剛性エポキシ樹脂浸透体の試験片のデータをまとめた図表である。 測定結果をまとめた図表である。 測定結果をまとめた図表である。 図73(a)は図71に示す測定結果に基づいて作成した、収縮率と経過時間との関係を示すグラフであり、図73(b)は図72に示す測定結果に基づいて作成した、収縮率と経過時間との関係を示すグラフである。 図74(a)は剛性エポキシ樹脂浸透体の試験片と、剛性エポキシ樹脂浸透体を剛性エポキシ樹脂でコーティングした試験片のデータを示す図表であり、図74(b)はコーティング前の母材単体の試験片と、コーティング後の試験片のデータを示す図表である。 剛性エポキシ樹脂を剛性エポキシ樹脂でコーティングした試験片と、母材単体を剛性エポキシ樹脂でコーティングした試験片の耐熱試験結果をまとめた図表である。 図75に示す測定結果に基づいて作成した、収縮率と経過時間との関係を示すグラフである。 各試験片の収縮率をまとめた図表である。 図78(a)は実験17における母材単体の試験片のデータを示す図表であり、図78(b)は軟性エポキシ樹脂浸透体および剛性エポキシ樹脂浸透体の各試験片のデータを示す図表であり、図78(c)は引抜き試験の測定結果を示す図表である。 図78(c)に示す測定結果に基づいて作成した、各試験片の引抜き強度の対比を示すグラフである。 実験18における試験片を採取した場所を示す説明図である。 採取した各試験片に軟性エポキシ樹脂を浸透させ、硬化させて作成した試験片のデータを示す図表である。 緩衝能力の測定結果を示す図表である。 図82に示す測定結果に基づいて作成した、G値と空隙率との関係を示すグラフである。 各試験片毎に空隙率と緩衝能力評価との関係をまとめた図表である。 実験19における各試験片の測定結果をまとめた図表である。 図85に示す測定結果に基づいて作成した、圧縮応力と歪み率との関係を示すグラフである。 歪み率が10%のときの圧縮応力と空隙率との関係を示すグラフである。 各試験片毎に空隙率に対する圧縮応力を評価した結果を示す図表である。 図89(a)は実験20における試験片のデータを示す図表であり、図89(b)は浸透試験の結果を示す図表であり、図89(c)は空隙率の算出結果を示す図表である。 各試験片に対する浸透時間の評価を示す図表である。 図91(a)は試験片のデータを示す図表であり、図91(b)は各試験片に対する浸透時間の評価を示す図表であり、図91(c)は空隙率の算出表である。 各空隙率に対する評価を示す図表である。 緩衝能力試験、圧縮試験および浸透試験における各空隙率に対する総合評価を示す図表である。 図94(a)は実験21におけるチップドレンのデータを示す図表であり、図94(b)はチップドレンにエポキシ樹脂を浸透させ、硬化させた場合のデータを示す図表である。 曲げ試験の測定結果を示す図表である。 曲げ試験の測定結果を示す図表である。 曲げ試験の測定結果を示す図表である。 図95〜図97に示す測定結果に基づいて作成した、曲げ応力を各試験片毎に対比して示すグラフである。 図95〜図97に示す測定結果に基づいて作成した、たわみ量を各試験片毎に対比して示すグラフである。 母材単体(浸透なし)を基準とした場合の各試験片のエネルギ吸収率の比較を示す図表である。 実験22における測定結果を示す図表である。 実験22における測定結果を示す図表である。 図101,102に示す測定結果に基いて作成した、各試験片毎の圧縮応力と歪み率との関係を示すグラフである。 実験21,22の各測定結果に基づいて各空隙率の母材の評価を示す図表である。
符号の説明
10,20,30,40,90・・製造装置、11,21,91・・真空ボックス、
12,22,32,42,50・・母材、14,44・・蓋、41a・・排気口、
51・・発泡セル、52・・空隙、53・・エポキシ樹脂、70・・真空ポンプ、
80・・エアポンプ、91b・・吸引口。

Claims (6)

  1. 発泡ビーズを加熱発泡させて成型され、かつ、発泡セル間の空隙率が0.2〜7%の発泡樹脂成型体からなる母材と、
    粘度が2000mPa・s以下であり、かつ、前記母材の一の面と他の面とに連通している空隙に充填可能であり、かつ、付加重合により生成され、かつ、前記母材を溶解しない流動性の樹脂と、
    排気口が設けられ、前記母材を収容する容器と、
    前記排気口に接続された真空ポンプとを用意し、
    前記母材に前記樹脂を塗布する工程と、
    前記母材を前記容器に収容する工程と、
    前記樹脂が塗布された母材が前記容器に収容された状態で前記真空ポンプを作動させ、前記塗布された樹脂を前記母材の空隙に浸透させる工程と、
    前記母材に浸透した樹脂を硬化させる工程と、
    を有することを特徴とする発泡樹脂複合構造体の製造方法
  2. 発泡ビーズを加熱発泡させて成型され、かつ、発泡セル間の空隙率が0.2〜7%の発泡樹脂成型体からなる円柱形状の母材であって、一方の端面から中心軸に沿って内部まで達し、他方の端面には貫通していない挿入口が形成された母材と、
    粘度が2000mPa・s以下であり、かつ、前記母材の一の面と他の面とに連通している空隙に充填可能であり、かつ、付加重合により生成され、かつ、前記母材を溶解しない流動性の樹脂と、
    前記挿入口に挿入する筒状部材であって、その内部空間と連通する複数の吸気口が貫通形成された筒状部材と、
    前記筒状部材の一端に接続された真空ポンプとを用意し、
    前記母材の外壁に前記樹脂を塗布する工程と、
    前記筒状部材の他端を前記母材の挿入口に挿入する工程と、
    前記真空ポンプを作動させ、前記塗布された樹脂を前記母材の空隙に浸透させる工程と、
    前記母材に浸透した樹脂を硬化させる工程と、
    を有することを特徴とする発泡樹脂複合構造体の製造方法
  3. 透光性材料によって形成された窓が前記容器に設けられてなることを特徴とする請求項1に記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法
  4. 前記母材に塗布された樹脂の表面をフィルムで覆う工程を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法
  5. 前記流動性の樹脂は溶剤を含まないものであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法
  6. 前記流動性の樹脂はエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法
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