JP4200461B2 - ハイブリッド駆動装置 - Google Patents
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Description
この特許文献1に記載の技術では、動力分配機構(本願にいう第一遊星歯車装置)を、電気的な無段変速機として作動可能な差動状態と、これを非差動とするロック状態とに選択的に切替える差動状態切替装置を備え、電気的に変速比が変更させられる変速機の燃費改善効果と、機械的に動力を伝達する歯車式伝動装置の高い伝達効率との両長所を兼ね備えた駆動装置を得ている。
この動力分配機構を介する伝動系統を本願では、第一伝動系統と呼ぶ。一方、入力軸と変速機(本願にいう第二遊星歯車装置)を構成する一の回転要素を係合するクラッチを設け、入力軸から直接、変速機にその回転駆動力を伝動できる構成を採用した実施例(実施例4・実施例5)が示されている。実施例4の第二クラッチC2が、入力軸と変速機とを直結するクラッチであり、実施例5は第四クラッチC4が、入力軸と変速機と直結するクラッチである。
この例では、後進段は、有段変速作動と無段変速作動との両方で実現されるが、両後進段における、摩擦係合要素の係合状態は同一であり、後進段を実現するのに、入力回転を減速して第二遊星歯車装置に入力し、その入力から後進駆動を得る。
この例でも、後進段は、有段変速作動と無段変速作動との両方で実現されるが、両後進段における、摩擦係合要素の係合状態は実質的に同一であり、後進段を実現するのに、エンジン回転を第四クラッチを介して直接第二遊星歯車装置に入力し、その入力から後進駆動を得るものとしている。この例では、動力分配機構をロックすることはできない。
また、両例とも、有段変速作動と無段変速作動とをどのような走行状態で使用するかの開示はなく、例えば、無段変速作動を長時間に亘って行うと、バッテリーの残量が問題となり、又、回転電機のロータ温度が上昇し問題が生じる可能性がある。
結果、2モータ式スプリットハイブリッド駆動装置において、その後進段を実現するのに改善の余地がある。
エンジンに接続された入力軸と、車輪に接続された出力軸と、第一回転電機、第二回転電機と、前記入力軸の回転駆動力を前記出力軸と前記第一回転電機に分配可能な第一遊星歯車装置を備えるとともに、前記第一遊星歯車装置の出力回転要素と前記出力軸との間に第二遊星歯車装置を備え、
前記入力軸の回転駆動力の一部または全部を前記第一遊星歯車装置を介して前記第二遊星歯車装置に伝動する第一伝動系統と、第一クラッチにより選択的に前記入力軸から前記第二遊星歯車装置に直接回転駆動力を伝動する第二伝動系統とを備えたハイブリッド駆動装置の特徴構成は、
第二クラッチを設けて前記第一遊星歯車装置の複数の回転要素が同速となるようにロック可能に構成し、
前記第一クラッチと第二クラッチとのいずれか一方、もしくはそれらの両方が係合した状態で実現される直結モードにおける減速比の異なる複数の前進段として、前記第一クラッチが係合され前記第二クラッチが非係合とされて実現される前進段、前記第一クラッチが非係合とされ前記第二クラッチが係合されて実現される前進段、及び、前記第一クラッチ及び前記第二クラッチの両方が係合されて実現される前進段を備えるとともに、
後進段として、前記第一クラッチ及び第二クラッチを非係合状態として、前記第一遊星歯車装置による回転駆動力の分配が働く分配モードにおいて、前記第一遊星歯車装置の回転を前記第二遊星歯車装置により後進回転に変換する分配後進段と、
前記分配後進段から、前記第二クラッチを係合状態として第二クラッチを介して第二遊星歯車装置に伝動される回転を後進回転に変換する直結後進段とを備えたことにある。
この構成のハイブリッド駆動装置には第二クラッチが備えられ、このクラッチを係合することで第一遊星歯車装置がロックされる。即ち、第一遊星歯車装置の入力がそのままの状態で出力され、第二遊星歯車装置の入力となる。
また、前進段は、前記第一クラッチと第二クラッチとのいずれか一方、もしくはそれらの両方が係合した状態で実現される直結モードにおいて、減速比の異なる複数の減速段を実現できる。
一方、この分配後進段から、第二クラッチを係合状態として第二遊星歯車装置に伝動される回転駆動力を後進駆動とする直結後進段を備えることで、前進変速に関与する第二クラッチを使用した後進段が実現でき、必要となる摩擦係合要素の数をおさえながら、2モータスプリット式のハイブリッド駆動装置の利点を生かせる。
後述するように、電気的な無段変速可能な分配後進段では、得られる駆動力にある程度の限界はあるものの、停止から所定の車速まで、比較的広い範囲に対応でき後進段への変速を良好に行える。そして、後進が長時間に亘る場合は、この分配後進段から直結後進段へ移行することで、バッテリー残量を所定範囲に抑えながら、安定した後進を持続できる。
回転電機のコイル温度
分配後進段では、回転電機がその作動状態に関わるため、この後進段での作動が継続すると、コイル温度が上昇する場合がある。
そこで、前記分配後進段から前記直結後進段への変速は、前記第一回転電機もしくは第二回転電機、あるいはそれらの両方のコイル温度に基づいて行われる構成としておくことが好ましい。
このようにすることで、分配後進段での作動が過度に継続し、回転電機に影響が出ることが防止でき、後進が継続された場合に、回転電機に問題を発生せず、さらにバッテリーの蓄電量の減少を抑える状態で、長時間に亘る後進を行える。
直結後進段への変速を行おうとした場合に、出力軸の回転速度(車速)が極めて低い場合は、エンジンに直接駆動負荷がかかるため、エンジンストールを誘発する可能性がある。
しかしながら、分配後進段から直結後進段への変速を、出力軸の回転速度が所定値以上であることを条件として行う構成とすることで、変速に際して、エンジンストールを伴わない良好な変速をおこなえる。
本願に係るハイブリッド駆動装置では、第二クラッチが係合した第一遊星歯車装置のロック状態で実現するが、第一回転電機と第二回転電機とがほぼ同速となった状態では、第二クラッチの係合要素間の差回転をなくすことで、ショックなく同期切替変速可能となる。
そして、同期切替変速を実現するのに、出力が変化しない状態でエンジンの動作点を変更することで、出力軸側に伝達される駆動力を維持したまま、同期切替変速を良好に行うことができる。
前記第一クラッチが係合され、第二クラッチが非係合とされ、前記第一遊星歯車装置及び前記第二遊星歯車装置を一体とする一体遊星歯車装置を構成する第一回転要素、第二回転要素、第三回転要素及び第四回転要素に関し、第一回転要素に第一回転電機が、第二回転要素に前記出力軸が、第三回転要素に前記入力軸が、第四回転要素に前記回転電機が接続される4要素構造の駆動伝動状態を実現する4要素モードとが実現されることが好ましい。
第一遊星歯車装置と第二遊星歯車装置とを備えた構成において、第一遊星歯車装置が差動動作し、その出力を第二遊星歯車装置で変速する3要素構造の駆動伝動状態と、第一遊星歯車装置と第二遊星歯車装置とが一体として4要素の遊星歯車装置(一体遊星歯車装置と呼ぶ)をなし、4要素構造の駆動伝動状態である4要素モードを実現する構成とすることで、異なった変速比の変速段を、制限された数の回転要素で実現できる。
最も、シンプルな構成で分配機構を構成することとなるともに、入力軸が接続される第二回転要素が、回転速度の順でみて、第一、第三回転要素の間に位置するため、第一回転電機、第二回転電機に差回転がある場合も、エンジン側の作動制御で迅速に差回転を吸収できる。
この装置を採用することで、直結モードにおいて、前進4段及び後進段を実現できる。
前記第二遊星歯車装置を構成する前記第一回転要素は前記第一ブレーキにより非回転部材に選択的に固定され、
前記第二遊星歯車装置を構成する前記第二回転要素は前記出力軸に出力回転を出力し得、
前記第二遊星歯車装置を構成する前記第三回転要素は前記第一クラッチにより前記入力軸の回転が選択的に伝達され、
前記第二遊星歯車装置を構成する前記第四回転要素は、前記出力回転要素及び前記第二回転電機に接続されるとともに、第二ブレーキにより非回転部材に選択的に固定される構成としておけばよい。
さらに、第二遊星歯車装置として、一対のサンギヤ、単一の共通キャリア及びリングギヤを備えて構成されるラビニョ型遊星歯車装置を備えて構成され、
一方の前記サンギヤは前記第一ブレーキにより非回転部材に選択的に固定され、
前記リングギヤは前記出力軸に出力回転を出力し得、
前記共通キャリアは前記第一クラッチにより前記入力軸の回転が選択的に伝達され、
他方の前記サンギヤは、前記出力回転要素及び前記第二回転電機に接続されるとともに、第二ブレーキにより非回転部材に選択的に固定される構成を採用すると、公知のラビニョ型遊星歯車装置を使用して本願の目的を達成できるハイブリッド駆動装置を実現できる。
図1は、本願に係るハイブリッド駆動装置TMのスケルトン図を示したものである。
一方、図9は、当該ハイブリッド駆動装置TMが装備される車両Vの制御システム構成を示したものである。
図1に示すように、エンジンEから第二遊星歯車装置PGS2に向かうに従って、第一回転電機MG1、第二回転電機MG2を設けている。
中央に位置する縦線(「Ca1」と付記)は、キャリアca1である第二回転要素(rm2)に対応しており、この回転要素は入力軸Iと一体に回転する。図中縦軸の「1」は、エンジン回転速度を示している。
右側に位置する縦線(「R1」と付記)は、リングギヤr1である第三回転要素(rm3)に対応しており、この回転要素は中間軸M及びこれに接続されている第二回転電機MG2のロータと一体に回転する。
この第一遊星歯車装置PGS1の場合、第二回転要素rm2が入力回転要素であり、第三回転要素rm3が出力回転要素である。
この作動状態では、第一回転電機MG1がエンジン駆動に対する反力受けとなり、エンジンEからの駆動力が分配されて、第一回転電機MG1及び中間軸Mに伝達される。この時、第一回転電機MG1はジェネレータとして働く。一方、中間軸Mには、オーバドライブ状態(中間軸MがエンジンEの回転速度より速く回る状態)で、残余の駆動力が伝動される。そして、中間軸Mにおいて、エンジン駆動の残余分と、第二回転電機MG2により追加若しくは削減される駆動力が、第二遊星歯車装置PGS2に伝達される。
第二遊星歯車装置PGS2としては、ラビニョ型の遊星歯車装置を採用しており、一対のサンギヤs2、s3、共通キャリアcac及びリングギヤrcとを備えて構成されている。この共通キャリアcacは、ロングピニオンギヤlpとショートピニオンギヤspを支持する構成とされている。
先にも説明したように、第二遊星歯車装置PGS2には、摩擦係合要素として、第一クラッチC1、第一ブレーキB1、第二ブレーキB2及び第三ブレーキB3が備えられている。これら摩擦係合要素C1,B1,B2,B3及び先に説明した第二クラッチC2の作動表を示したのが図3(a)である。さらに、図3(b)に、このハイブリッド駆動装置TMで実現できる変速段間の変速状態を示している。
作動表において、「○」は当該摩擦係合要素が係合状態にあることを示しており、「無印」は、摩擦係合要素が非係合状態にあること示している。
直結モードでは、第一速段(1stと記載)、第二速段(2ndと記載),第三速段(3rdと記載),第四速段(4thと記載)、直結後進段(REVと記載)が実現される。
このように、遊星歯車装置が、速度の順に第一回転要素rm1、第二回転要素rm2、第三回転要素rm3を有する構成となり、第一回転要素に第一回転電機MG1が、第二回転要素rm2に入力軸Iが、第三回転要素rm3に中間軸M及び第二回転電機MG2が接続され、その中間軸Mの回転が変速されて出力軸Oに出力される駆動伝動状態を、本願においては、「3要素構造の駆動伝動状態」と呼ぶ。
この場合、一体遊星歯車装置は、速度の順に第一回転要素rm1、第二回転要素rm2、第三回転要素rm3及び第四回転要素rm4を有する構成となり、第一回転要素(第一遊星歯車装置PGS1のサンギヤs1が備えられる)rm1に第一回転電機MG1が接続され、第二回転要素(第二遊星歯車装置PGS2リングギヤrcが備えられる)rm2に出力軸Oが接続され、第三回転要素(第一遊星歯車装置PGS1のキャリアca1,第二遊星歯車装置PGS2共通キャリアcacが備えられる)rm3に入力軸Iが接続され、第四回転要素(第一遊星歯車装置PGS1のリングギヤr1、第三遊星歯車機構PG3のサンギヤs3が備えられる)rm4に中間軸M及び第二回転電機MG2が接続され、前記出力軸Oに出力される。この駆動伝動状態を、本願においては、「4要素構造の駆動伝動状態」と呼ぶ。
このステップ変速では、変速の前後における摩擦係合要素の係合、非係合により、第二遊星歯車装置PGS2の入力回転要素の回転速度が変化する。
同図、縦線と回転要素との対応に関して説明すると、左側から右側に進むに従って順に、第二遊星歯車機構PG2のサンギヤs2が設けられている回転要素(第一回転要素rm1)、リングギヤrcが設けられている回転要素(第二回転要素rm2)、共通キャリアcacと一体回転する回転要素(第三回転要素rm3)、第三遊星歯車機構PG3のサンギヤs3が設けられている回転要素(第四回転要素rm4)が位置することとなる。
第一回転要素rm1は第一ブレーキB1によりミッションケースMCに選択的に固定される。
第二回転要素rm2は出力軸Oに出力回転を出力し得る。
第三回転要素rm3は第一クラッチC1によりエンジンEの回転が選択的に伝達される。
第四回転要素rm4は中間軸Mの回転が選択的に伝達されるとともに、第二ブレーキB2によりミッションケースMCに選択的に固定される。
スケルトン図である図1、作動表である図3、ハイブリッド駆動装置の速度線図である図4、図5、図6の図面に基づいて、以下説明する。
このモードは、エンジンEからの回転駆動力がそのまま第二遊星歯車装置PG2に入力される状態で実現されるモードであり、図3、図4に示すように、前進4段と後進段とが実現可能とされている。図3からも判明するように、第一クラッチC1が係合状態とされ、第二分岐入力部I2を介して第二遊星歯車装置PGS2にエンジン駆動が入力される状態と、第二クラッチC2が係合状態とされ、中間軸Mを介して第二遊星歯車装置PGS2にエンジン駆動が入力される状態との一方、もしくは両方で、この直結モードを実現する。
第一速段にあっては、第二クラッチC2のみが係合されるため、第一遊星歯車装置PGS1はロックされ、第三遊星歯車機構PG3のサンギヤs3にエンジンEの回転が入力される。そして、第一ブレーキB1が係合されることで、第二遊星歯車機構PG2のサンギヤs2が固定され、リングギヤrcから減速回転を出力軸Oに出力する。
第二速段にあっては、第一クラッチC1が係合され、第二クラッチC2が非係合状態とされるため、第二遊星歯車装置PGS2の共通キャリアcacに、エンジンEの回転が入力される。そして、第一ブレーキB1が係合されることで、第二遊星歯車機構PG2のサンギヤs2が固定され、リングギヤrcから減速回転を出力軸Oに出力する。このとき、第一速段と第二速段との減速比は、第二速段の方が小さい。
第三速段にあっては、第一クラッチC1及び第二クラッチC2が係合され、第二遊星歯車装置PGS2の共通キャリアcacと、第三遊星歯車機構のサンギヤs3に、エンジンEの回転が入力される。結果、第一遊星歯車装置PGS1及び第三遊星歯車機構PG3がともにロック状態となり、エンジンの回転をそのままリングギヤrcに伝動し、出力軸Oに出力する。
第四速段にあっては、第一クラッチC1が係合されるため、第二遊星歯車装置PGS2の共通キャリアcacにエンジンの回転が入力される。そして、第二ブレーキB2が係合されることで、第三遊星歯車機構PG3のサンギヤs3が固定され、リングギヤrcから増速回転を出力軸Oに出力する。
直結後進段REVにおいては、第二クラッチC2が係合され、第一遊星歯車装置PGS1がロックされる。従って、第三遊星歯車機構PG3のサンギヤs3にエンジン回転が伝達される。この状態で、第三ブレーキB3が係合されるため、第二遊星歯車装置PGS2の共通キャリアcacは固定される。結果、リングギヤrcにエンジン回転に対して逆転した後進回転を出力し、後進段を実現する。
このモードにあっては、図3、図5、図6に示すように、3要素構造の駆動伝動状態と、4要素構造の駆動伝動状態とを実現する。そして、3要素構造において低速側の前進段3Loを実現するとともに分配後進段3REVを実現する。そこで、これら2段3Lo,3REVのモードを分配モードと呼ぶ。
この駆動伝動状態は、第一遊星歯車装置PGS1が差動状態で働き、エンジンEからの回転駆動力を第一回転電機MG1と中間軸M側に分配する。
図5に示すように、第一遊星歯車装置PGS1において反力受けとして働く第一回転電機MG1との関係から決まる第三遊星歯車機構PG3のサンギヤs3の入力を、第一ブレーキB1のみを係合してリングギヤrcに減速して伝達し、出力する。
この駆動伝動状態でも、第一遊星歯車装置PGS1が差動状態で働き、エンジンからの回転駆動力を第一回転電機MG1と中間軸M側に分配する。
図5に示すように、第一遊星歯車装置PGS1において反力受けとして働く第一回転電機MG1との関係から決まる第三遊星歯車機構PG3のサンギヤs3の入力を、第三ブレーキB3のみを係合して、第二遊星歯車装置PGS2の共通キャリアcacを固定することで、リングギヤrcに逆転させて出力し、出力軸Oに伝達する。
この駆動伝動状態は、図3(a)に示すように第一クラッチC1のみを係合することで実現する。即ち、第一遊星歯車装置PGS1のキャリアca1,第二遊星歯車装置PGS2の共通キャリアcacが一体とされる(一体遊星歯車装置が形成される)ことで、先の「4要素構造の駆動伝動状態」として説明した4つの回転要素に関して、各回転要素が、入力軸I(引いてはエンジンE)、第一回転電機MG1、第二回転電機MG2及び出力軸Oに独立に接続された状態が実現する。
即ち、図6に示すように、速度線図上では、各要素の回転速度が一直線上に位置し、出力回転要素である第二遊星歯車装置PGS2のリングギヤrcの回転として出力される。
横軸は車速であり、縦軸はアクセルAの踏み込み量等との関係から決まる要求される駆動力である。
図7は各前進段(「1st」、「2nd」、「3rd」、「4th」、「3Lo」、「4Mid」)のカバー領域を示しており、図8は各後進段(「REV」、「3REV」)のカバー領域を示している。
これまでも説明してきたように、ハイブリッド車両Vは、エンジンE、回転電機(第一回転電機MG1、第二回転電機MG2)、遊星歯車装置(第一遊星歯車装置PGS1,第二遊星歯車装置PGS2)、摩擦係合要素の油圧制御装置OC,インバータIn、バッテリーB及び、出力軸Oに駆動連結される駆動輪W等を備える。
駆動装置制御手段m6には、前進状態における制御を受け持つ前進制御手段m6fと後進状態における制御を受け持つm6rとを備えている。
この後進制御手段m6rにおける制御ステップを示したのが、図10である。
この処理フローは、後進走行が3要素構造の駆動伝動状態をとる分配後進段3REVにあって、常時働く。
そこで、回転速度が所定値以上である場合(ステップ3:yes)は、直結後進段REVへの変速を行うか否かの更なる判定ステップ(ステップ4)に進む。回転速度が所定値未満の場合(ステップ3:no)は、現在の後進状態3REVを維持する。
そこで、差回転が所定値以下である場合(ステップ4:yes)は、第二クラッチC2の係合を行い直結後進段REVへの変速を行う(ステップ5)に進む。差回転が所定値以下の場合(ステップ4:no)は、エンジン制御手段m1は、現在の駆動力が変化しないようにエンジンEの動作点を、差回転が一定値以下になるように変更する(ステップ6)。この変更の状態を示したのが図11及び図12である。
(1)上記の実施の形態にあっては、第一遊星歯車装置PGS1としては、シングルプラネタリギヤを、第二遊星歯車装置PGS2としては、ラビニョ型遊星歯車装置を採用する例を示したが、第一遊星歯車装置PGS1としては、回転要素として、回転速度の順に、第一回転要素、第二回転要素、第三回転要素を備え、回転速度の順に第一回転電機、入力軸(エンジン)、第二回転電機が接続される、3要素の遊星歯車装置を採用できる。一方、第二遊星歯車装置PGS2としては、回転要素として、回転速度の順に、第一回転要素、第二回転要素、第三回転要素、第四回転要素を備え、回転速度の順に、ブレーキ、出力軸、入力軸(エンジン)、中間軸及び第二回転電機機に接続される4要素の遊星歯車装置を採用できる。
同一の縦線上に上下に併記されている回転要素c1と回転要素D2は、当該回転要素が連結されている。
即ち、本願に係るハイブリッド駆動装置は、4要素の第二遊星歯車装置PGS4を備えることから、少なくとも回転要素として4要素を必要とする。そして、上段に示した例は、これら4要素のうちの3要素を選択して、第一遊星歯車装置PGS1の3要素として使用する。中段に示す例は、入力軸に接続される回転要素(図上「ENG」と記載)と、第一回転電機MG1に接続される回転要素(図上「MG1」と記載)との間に、一要素を追加している。下段に示す例は、入力軸に接続される回転要素(図上「ENG」と記載)と、第一回転電機MG1に接続される回転要素(図上「MG1」と記載)との間に、二要素を追加している。
この中間に位置される回転要素の数(縦線の数)が多いほど、第一遊星歯車装置MGS1において第一回転電機MG1を反力受けとして働かせる場合に、小さい反力で要求を満たせる。従って、この条件に関しても、図2に、その速度線図で示す装置は最も有利であることが判る。
B2 第二ブレーキ
B3 第三ブレーキ
C1 第一クラッチ
C2 第二クラッチ
E エンジン
I 入力軸
I1 第一分岐入力部
I2 第二分岐入力部
MC ミッションケース(非回転部材)
MG1 第一回転電機
MG2 第二回転電機
O 出力軸
PG1 第一遊星歯車機構
PG2 第二遊星歯車機構
PG3 第三遊星歯車機構
PGS1 第一遊星歯車装置
PGS2 第二遊星歯車装置
ca1 キャリヤ
cac 共通キャリア
r1 リングギヤ
rc リングギヤ
rm1 第一回転要素
rm2 第二回転要素
rm3 第三回転要素
rm4 第四回転要素
s1 サンギヤ
s2 サンギヤ
s3 サンギヤ
Claims (11)
- エンジンに接続された入力軸と、車輪に接続された出力軸と、第一回転電機、第二回転電機と、前記入力軸の回転駆動力を前記出力軸と前記第一回転電機に分配可能な第一遊星歯車装置を備えるとともに、前記第一遊星歯車装置の出力回転要素と前記出力軸との間に第二遊星歯車装置を備え、
前記入力軸の回転駆動力の一部または全部を前記第一遊星歯車装置を介して前記第二遊星歯車装置に伝動する第一伝動系統と、第一クラッチにより選択的に前記入力軸から前記第二遊星歯車装置に直接回転駆動力を伝動する第二伝動系統とを備えたハイブリッド駆動装置であって、
第二クラッチを設けて前記第一遊星歯車装置の複数の回転要素が同速になるようにロック可能に構成し、
前記第一クラッチと第二クラッチとのいずれか一方、もしくはそれらの両方が係合した状態で実現される直結モードにおける減速比の異なる複数の前進段として、前記第一クラッチが係合され前記第二クラッチが非係合とされて実現される前進段、前記第一クラッチが非係合とされ前記第二クラッチが係合されて実現される前進段、及び、前記第一クラッチ及び前記第二クラッチの両方が係合されて実現される前進段を備えるとともに、
後進段として、前記第一クラッチ及び第二クラッチを非係合状態として、前記第一遊星歯車装置による回転駆動力の分配が働く分配モードにおいて、前記第一遊星歯車装置の出力回転を前記第二遊星歯車装置により後進回転に変換する分配後進段と、
前記分配後進段から、前記第二クラッチを係合状態として前記第二クラッチを介して第二遊星歯車装置に伝動される回転を後進回転に変換する直結後進段とを備えたハイブリッド駆動装置。
- 前記分配後進段と前記直結後進段との間の変速が同期切替変速である請求項1記載のハイブリッド駆動装置。
- ニュートラルから前記後進段への変速において、前記分配後進段への変速を行う請求項1又は2記載のハイブリッド駆動装置。
- 前記分配後進段から前記直結後進段への変速は、前記第一回転電機もしくは第二回転電機、あるいはそれらの両方のコイル温度に基づいて行われる請求項3記載のハイブリッド駆動装置。
- 前記分配後進段から前記直結後進段への変速は、前記出力軸の回転速度が所定値以上であることを条件として行われる請求項4記載のハイブリッド駆動装置。
- 前記分配後進段から前記直結後進段への変速を実行するに、前記第一回転電機と前記第二回転電機との回転速度の差回転が一定値より大きい場合、出力が変化しないようにエンジンの動作点を変更して、前記差回転を前記一定値以下とする請求項1〜5のいずれか一項記載のハイブリッド駆動装置。
- 前記前進段として、
前記第一クラッチ及び第二クラッチが非係合とされ、前記第一遊星歯車装置を構成する第一回転要素、第二回転要素及び第三回転要素に関し、第一回転要素に前記第一回転電機が、第二回転要素に前記入力軸が、第三回転要素に第二電動機及び中間軸が接続され、前記中間軸の回転が前記第二遊星歯車装置を経て前記出力軸に出力される3要素構造の駆動伝動状態を実現する3要素モードと、
前記第一クラッチが係合され第二クラッチが非係合とされ、前記第一遊星歯車装置及び前記第二遊星歯車装置を一体とする一体遊星歯車装置を構成する第一回転要素、第二回転要素、第三回転要素及び第四回転要素に関し、第一回転要素に第一回転電機が、第二回転要素に前記出力軸が、第三回転要素に前記入力軸が、第四回転要素に前記回転電機が接続される4要素構造の駆動伝動状態を実現する4要素モードとが実現される請求項1〜6のいずれか一項記載のハイブリッド駆動装置。 - 前記第一遊星歯車装置が、回転速度の順に第一回転要素、第二回転要素、第三回転要素を備えた遊星歯車機構であって、前記第一回転要素に前記第一回転電機が接続され、前記第二回転要素に前記入力軸が接続され、前記第三回転要素に前記出力回転要素が接続されて構成される請求項1〜6のいずれか一項記載のハイブリッド駆動装置。
- 前記第二遊星歯車装置を、非回転部材に回転要素を選択的に固定する第一ブレーキ、第二ブレーキ及び第三ブレーキと、前記第一クラッチと、回転速度の順に第一回転要素、第二回転要素、第三回転要素、第四回転要素を備えて構成し、
前記第一遊星歯車装置とともに、前記第一ブレーキ、第二ブレーキ、第三ブレーキ及び第一クラッチ、第二クラッチの係合・非係合状態の設定により、前記前進段として異なった4つの変速段を実現する請求項1〜8のいずれか一項記載のハイブリッド駆動装置。 - 前記第二遊星歯車装置に関し、
前記第二遊星歯車装置を構成する前記第一回転要素は前記第一ブレーキにより非回転部材に選択的に固定され、
前記第二遊星歯車装置を構成する前記第二回転要素は前記出力軸に出力回転を出力し得、
前記第二遊星歯車装置を構成する前記第三回転要素は前記第一クラッチにより前記入力軸の回転が選択的に伝達され、
前記第二遊星歯車装置を構成する前記第四回転要素は、前記出力回転要素及び前記第二回転電機に接続されるとともに、第二ブレーキにより非回転部材に選択的に固定される請求項9記載のハイブリッド駆動装置。 - 前記第二遊星歯車装置が、一対のサンギヤ、単一の共通キャリア及びリングギヤを備えて構成されるラビニョ型遊星歯車装置を備えて構成され、
一方の前記サンギヤは前記第一ブレーキにより非回転部材に選択的に固定され、
前記リングギヤは前記出力軸に出力回転を出力し得、
前記共通キャリアは前記第一クラッチにより前記入力軸の回転が選択的に伝達され、
他方の前記サンギヤは、前記出力回転要素及び前記第二回転電機に接続されるとともに、第二ブレーキにより非回転部材に選択的に固定される請求項10記載のハイブリッド駆動装置。
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