JP4200452B2 - ハイブリッド駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンからの駆動力を受け入れる入力軸、第一及び第二の電動機、遊星歯車装置及び駆動出力を出力する出力軸を備えたハイブリッド駆動装置に関する。
上記のようなハイブリッド駆動装置として、特許文献1に示される装置がある。この文献に示される装置は、例えば当該明細書図1に示されるように、第1及び第2電動機(モータ・ジェネレータ)2、3を備えるとともに、遊星歯車装置からなる動力分配機構40及び2つの遊星歯車装置からなる変速機41を備えて構成されている。
本明細書においては、「電動機」は、『モータ』、『モータ・ジェネレータ』または『ジェネレータ』を総称するものとし、遊星歯車装置とは、サンギヤ、キャリア、リングギヤの三つの回転要素を備えた遊星歯車に関し、遊星歯車単独で、若しくは複数の遊星歯車を組み合わせて得られ、入力に係る回転要素、この入力に係る回転要素に対する反力受けとなる回転要素、及び出力に係る回転要素を備えた機構を呼ぶ。また、遊星歯車装置を成す回転要素と電動機に備えられるロータとの間の駆動伝動に関しては、電動機がジュネレータ働く場合及びモータとして働く場合を含めて伝動と呼ぶ。電動機がモータとして働く場合は電動機により回転要素が回転されることとなり、電動機がジェネレータとして働く場合は、回転要素により電動機のロータが回転されることとなる。
上記の特許文献1に示されるハイブリッド駆動装置では、第1及び第2電動機2、3及び、単一の遊星歯車装置を備え、入力軸の回転が第1の回転要素に伝動され、エンジンからの駆動力の反力受けとして働く一方の電動機の回転が第2の回転要素に伝動され、第3の回転要素の回転が前記出力軸に伝動されるとともに、他方の電動機の回転が当該第3の回転要素に伝動される、所謂、3要素構造を採用するとともに、第2の電動機よりも伝動下手側に有段変速機構が配置される。従って、この構成ではモータサイズを小さくできるものの、第2の電動機よりも伝動下手側で有段変速を行うため、その変速時にショックが伴う。
このようなショックの発生を無くすることが可能な無段変速を行う装置として、特許文献2に開示の技術がある。
この文献に開示の技術では、第1及び第2の電動機と、2つの遊星歯車装置と2つの摩擦係合要素が備えられる。
この装置構成を採用すれば、小型のモータを採用しながら変速ショックのない状態で変速を行える。
本明細書の図13に、特許文献2に記載のハイブリッド駆動装置における走行速度に対する各機器の速度(図上、入力スピードと記載)、電動機トルク及び電動機出力を示した。
装置は、低速側で採用される第一モードと、高速側で採用される第二モードとの間で、摩擦係合要素の切り換えにより所定の駆動走行を行う。この第二モードにおける駆動伝動状態は、図示される車速範囲をさらに越えて、高速域に車速が上昇してもそのまま維持される。
ハイブリッド駆動装置が採用する駆動伝動構造は、第一モードにおいては「3要素構造」と呼ぶ駆動伝動構造となっており、第二モードにおいては「4要素構造」と呼ぶ駆動伝動構造となっている。
図14を使用して、この「3要素構造」及び「4要素構造」に関して説明する。
図は、遊星歯車装置を構成する各回転要素を○で、各回転要素の接続状態を腕(横棒及び縦棒)で表したものであり、エンジンに接続される回転要素を(E)で、出力に接続される回転要素を(OUT)で、さらに、第一の電動機MG1に接続される回転要素を(MG1)で、第二の電動機MG2に接続される回転要素を(MG2)で示している。本願において接続とは、回転要素と当該回転要素に連結されるものが同一回転速度となる直結型の接続形態及び、回転要素と当該回転要素に連結されるものの回転速度が一定の比となる接続形態の両方を含むものとする。
3要素構造
図14(a)に示すように、この構造にあっては、遊星歯車装置Paの特定の回転要素(第1の回転要素)に、エンジンEからの駆動が入力され、その入力に対して、第一の電動機MG1に接続される回転要素(第2の回転要素)が主にエンジンの反力受けとして働き、残りの回転要素(第3の回転要素)が出力OUT側に接続されるとともに、第二の電動機MG2が、この残りの第3の回転要素に接続されている。
即ち、遊星歯車装置の速度線図においては、エンジン駆動を受け入れる第1の回転要素を挟んで、第一の電動機MG1、第二の電動機MG2に接続される第2及び第3の回転要素が設けられ、この第二の電動機MG2が接続された第3の回転要素の駆動力が出力OUTとされる。
先に示した、特許文献2に開示の技術の場合、第一モードでは、遊星歯車20が、この3要素構造を画定する遊星歯車装置として働く。さらに、電動機46が第一の電動機MG1として、電動機48が第二の電動機MG2として働いている。遊星歯車32は減速装置として働いている。
4要素構造
図14(b)に示すように、この構造にあっては、2の遊星歯車装置Pa,Pbからなる機構において、一の遊星歯車装置Paの特定の回転要素に、エンジンEからの駆動が入力され、この遊星歯車装置Paの他の二つの回転要素が、出力OUT及び第二の電動機MG2に接続される回転要素となる。
一方、他の遊星歯車装置Pbに関して、それぞれ異なった回転要素が、先に一の遊星歯車装置PaのエンジンE及び出力OUTに接続されている回転要素に連結される。そして、残りの回転要素が、第一の電動機MG1が接続され、主にエンジンの反力受けとして働く。
従って、速度線図上に配置される回転要素として4個の回転要素を有し、これら回転要素のうち2個の回転要素の回転状態を決定すると他の回転要素の回転状態が決まる2自由度の遊星歯車装置において、各回転要素にそれぞれ独立に、エンジンからの入力軸、車輪への出力軸、および2個の電動機の回転が伝動される構成となっている。
先に示した、特許文献2に開示の技術の場合、第二モードでは、遊星歯車20、32が一体として、この4要素構造の遊星歯車装置を構成して働くこととなっており、電動機46が第一の電動機MG1として、電動機48が第二の電動機MG2として働いている。
以上の説明により、特許文献2に記載の発明は、低速側の第一モードにおいては、3要素構造での駆動伝動構造を採用しており、それより高速側の第二モードでは、4要素構造の駆動伝動構造を採用しているといえる。
図13に戻って、この図は、先にも説明したように、特許文献2に記載のハイブリッド駆動装置の入力速度(上段)、電動機トルク(中段)及び電動機出力(下段)を示したものである。各図における横太線が、速度、電動機トルク、電動機出力が夫々0であることを示し、それより下で負、それ上で正の値を取る。
各図に箱書きで示しているのは、それぞれの図における線の区分けを示しており、これらの図において「3Lo」は、先に説明した「低速側の3要素構造での駆動伝動構造」を、「4Hi」は、先に説明した「高速側の4要素構造での駆動伝動構造」を示している。従って、「3Lo」が、これで説明してきた第一モードに、「4Hi」が第二モードに対応する。
一方、その右側に記載の、上段の図における、Ne,Nmg1,Nmg2,Noutは、記載順に、入力軸I、第一の電動機MG1、第二の電動機MG2、出力軸Oの入力速度(回転数)を示している。中段の図における、Tmg1,Tmg2は、記載順に、第一の電動機MG1、第二の電動機MG2のトルクを示している。下段の図における、Pmg1,Pmg2は、記載順に、第一の電動機MG1、第二の電動機MG2の出力を示している。この出力は、これが正の状態で、電動機がモータとして働いており、負の状態でジェネレータとして働いていることに対応する。
さて、特許文献2に記載の従来技術においては、モードとして、低速側の第一モードと、高速側に第二モードとが設けられ、第二モードにあっては、4要素構造の駆動伝動構造が踏襲される。この駆動伝動状態は、さらに高速の領域にあっても維持され、より高速側の速度域(図13において図右端に近い領域)では、第二の電動機がモータとして働きながら、第一の電動機はジェネレータとして働き、その出力が比較的大きな値を取っている。
特開2005−61498号公報(図1) USPA2002/0142876
上述の4要素構造のハイブリッド駆動装置は、回生時には、一つの電動機が回生(ジェネレータとして働く)、もう一つの電動機が力行(モータとして働く)をする。
しかしながら、上述の4要素構造の場合は、回生時には、減速エネルギー以上の電力を電気変換することになり、エネルギー回収効率が悪化する。
この問題を、上述の駆動伝動構造との関係で説明すると、以下のように説明することができる。
図14(a)に示すように、3要素構造の場合は、速度線図において、エンジンに接続される回転要素を挿んでその両側に第一の電動機MG1と第二の電動機MG2に接続される回転要素が位置される。
さて、回生ブレーキがかけられた状態では、エンジン回転は停止に向かうここととなり、第一の電動機MG1速度も低下する。3要素構造の場合は、出力を担う回転要素OUTと第二の電動機MG2が接続される回転要素は同じ回転要素であることから、回生ブレーキがかけられた状態でなお残存している慣性力は出力OUT側に働くが、これを第二の電動機MG2で直接受けることが可能である。
一方、4要素構造の場合は、図14(b)に示すように、4要素全体として、速度線図において、その両端に第一及び第二の電動機MG1,MG2が位置する。そして、その内側に、エンジンの出力を受ける回転要素及び出力側に接続される回転要素が配設される。
さて、回生ブレーキがかけられた状態では、エンジン回転は停止に向かうここととなり、第一の電動機MG1の速度も低下する。4要素構造の場合は、出力を担う回転要素OUTと第二の電動機MG2が接続される回転要素は異なった回転要素であり、車両走行に伴って残存している慣性力により出力OUTに接続されている回転要素は、現状の回転を維持しようと働く。この状態にあっては、第一及び第二の電動機MG1,MG2の両方が、エンジンの回転を低下させるべく働く必要が生じる。
結果、回生ブレーキ時の挙動においては、3要素構造が4要素構造に勝ることとなる。
さらに、高車速・低駆動力領域(ネガティブハイブリッド領域)において、電気変換率が増大し、伝達効率が悪化する。
この状態に関しても、3要素構造と4要素構造を比較して説明する。
図14(a)に示すように、3要素構造の場合は、速度線図において、エンジンを挿む形でその両側に第一の電動機MG1と第二の電動機MG2が配設される。
一方、4要素構造の場合は、図14(b)に示すように、4要素全体として、速度線図において、その両端に第一及び第二の電動機MG1,MG2が位置し、その内側に、エンジンEの出力を受ける回転要素及び出力OUT側に接続される回転要素が配設される。
これら構造において伝達効率を考える場合、エンジン駆動の入力位置を支点とするレバーを想定すればよい。高車速時には、第二の電動機MG2及び出力OUTは高速とされるが、支点からこれらの作用位置は、3要素構造の場合同一である。従って、第一の電動機MG1は、エンジン駆動の入力位置を支点とするモーメントに見合うだけのトルクを発生すればよい。一方、4要素構造の場合は、エンジン駆動が入力される位置である支点からみて、出力OUT及び第二の電動機MG2の位置は異なるとともに、第二の電動機MG2の位置は離れている。従って、第一の電動機MG1は3要素構造の場合より大きな逆方向の出力を発生する必要が生じる。
この状態を後に詳細に示す図3と図13とを使用して簡単に説明すると、図3、13において、下段の図は、電動機出力を示す図である。これら図において、横軸は車速を縦軸は電動機出力を示している。従って、高速域とは、図上右端に近い領域である。
さて、図3は本願に係る3要素構造の駆動伝動構造をこの領域で採用した場合の出力を示し、図13は4要素構造の駆動伝動構造をこの領域で採用して場合の出力を示している。
図3及び図13の結果を比較すると、第一及び第二の電動機出力の走行速度の上昇に伴う変化割合(両電動機の出力差の増加割合)は、図13の方が大きく、4要素構造のほうが不利であることが判る。
本発明の目的は、モータ・ジェネレータを小さくしながら、変速ショックを無くしつつ、エネルギー回収効率を高くすることができるハイブリッド駆動装置を得ることにある。
上記の目的を達成するための、
エンジンからの駆動力を受け入れる入力軸、第一及び第二の電動機、遊星歯車装置及び駆動出力を出力する出力軸を備え、
前記遊星歯車装置が有する1つの遊星歯車を成す第1の回転要素、第2の回転要素及び第3の回転要素の3つの回転要素に関して、前記入力軸の回転が前記第1の回転要素に伝動され、前記第一の電動機の回転が前記第2の回転要素に伝動され、前記第二の電動機の回転が前記第3の回転要素に伝動されるハイブリッド駆動装置の特徴構成は、
エンジンの回転数を制御可能なジェネレータとして機能するエンジン制御用電動機を、前記第一の電動機と第二の電動機との間で切り換え可能に構成し、
前記第一の電動機が前記エンジン制御用電動機として機能する場合には前記第3の回転要素の回転が減速されて前記出力軸に伝動される駆動伝動状態と、前記第3の回転要素の回転が直結状態で前記出力軸に伝動される駆動伝動状態と、を備え、前記第二の電動機が前記エンジン制御用電動機として機能する場合には前記第2の回転要素の回転が直結状態で前記出力軸に伝動される駆動伝動状態を備えることにある。
この構成のハイブリッド駆動装置にあっては、2つ備えられる電動機のそれぞれが、エンジンの回転数を制御可能なエンジン制御用電動機として働く駆動伝動状態が実現する。このようにエンジン制御用電動機として働く電動機は、エンジンからの駆動力を受け入れる遊星歯車装置において、所謂、エンジン駆動力の反力受けとしての役割を果たすこととなるが、2つの電動機を選択的にエンジン制御用に働かせるようにするとともに、第一の電動機がエンジン制御用電動機として機能する場合には、第3の回転要素の回転が減速されて出力軸に伝動される駆動伝動状態と、第3の回転要素の回転が直結状態で出力軸に伝動される駆動伝動状態と、を備え、第二の電動機がエンジン制御用電動機として機能する場合には、第2の回転要素の回転が直結状態で出力軸に伝動される駆動伝動状態を備えることで、ハイブリッド駆動装置が受け持つべき走行速度範囲に渡って、実現できる駆動伝動系統の選択性を増加させることができ、比較的、コンパクトな構成で、無段且つエネルギー回収効率の高い駆動伝動状態を実現できる。
さて、上記の構成において、
複数の摩擦係合要素を備え、前記複数の摩擦係合要素の係合・係合解除に伴って、エンジンからの駆動力の少なくとも一部が前記出力軸に異なった伝動系統を経て伝動される複数のモードを実現可能に構成され、
前記複数のモード間で、前記エンジン制御用電動機として働く電動機の切り換えがなされることが好ましい。
この構成にあっては、複数の摩擦係合要素の係合・係合解除に従って、異なった駆動伝動に係る複数のモードを実現できる。
さらに、上記構成において、
前記エンジン制御用電動機として働く電動機とは異なるに電動機が、駆動出力補助用電動機として働き、
前記駆動出力補助用電動機のロータと一体に回転する軸が、前記出力軸に直結される駆動伝動状態を備えることが好ましい。
本願に係るハイブリッド駆動装置では、2つ備えられる電動機の一方の電動機がエンジン制御用電動機として、他方の電動機が駆動力補助用電動機として働くこととなるが、この駆動力補助用電動機の出力を直接出力軸に伝動できることとなり、比較的簡単な構造を採用しながら、効率のよい駆動伝動を実現できる。
さて、複数の摩擦係合要素を備え、前記複数の摩擦係合要素の係合・係合解除に伴って、エンジンからの駆動力の少なくとも一部が前記出力軸に異なった伝動系統を経て伝動される複数のモードを実現可能に構成され、
第一のモードで、前記入力軸の回転が前記第1の回転要素に伝動され、エンジンからの駆動力の反力受けとして働く前記第一の電動機の回転が前記第2の回転要素に伝動され、前記第3の回転要素の回転が前記出力軸に伝動されるとともに、前記第二の電動機の回転が当該第3の回転要素に伝動される3要素構造の駆動伝動構造を構成し、
前記第一のモードとは異なる第二のモードで、前記入力軸の回転が前記第1の回転要素に伝動され、エンジンからの駆動力の反力受けとして働く前記第二の電動機の回転が前記第3の回転要素に伝動され、前記第2の回転要素の回転が前記出力軸に伝動されるとともに、前記第一の電動機の回転が当該第2の回転要素に伝動される3要素構造の駆動伝動構造を構成することが好ましい。
この構成のハイブリッド駆動装置の場合、摩擦係合要素の係合・係合解除に伴って実現する異なったモード全てにおいて、3要素構造で駆動伝動を行う。このようにすると、例えば、2つの電動機の一方がモータとして、他方がジェネレータとして働きながら、回生を行う状態にあっても、エネルギー回収効率の悪化を、4要素構造での駆動伝動に比較して低下できる。

このような3要素構造の駆動伝動を行うにあたって、
前記第二のモードは、前記3要素構造の駆動伝動構造で得られる駆動回転を、直接前記出力軸に伝動する第一の3要素直結モードを備え、
前記第一のモードは、前記3要素構造の駆動伝動構造で得られる駆動回転を、減速して前記出力軸に伝動する3要素減速モードと、前記第一の3要素直結モードとは異なった減速比で伝動する第二の3要素直結モードと、を備えることが好ましい。
この場合、同一の3要素構造での駆動伝動状態を実現しながら、減速モードと2つの直結モードとを設けることで、広い範囲に渡って、適切な減速状態を実現できる。
さて、この構成においては、減速比が大きい側から、前記3要素減速モード、前記第一の3要素直結モード及び前記第二の3要素直結モードを備えた構成とできる。
この構成を採用しておくと、従来、問題であった、高車速・低駆動力領域(ネガティブハイブリッド領域)を対象として、独自の3要素直結モードでの駆動伝動を実現することができるようになり、伝達効率の低下を招くことがない駆動伝動を行える。
これまで説明してきたハイブリッド駆動装置は、
前記遊星歯車を第一の遊星歯車とするとともに、前記遊星歯車装置はさらに第二の遊星歯車を備え、前記摩擦係合要素として、第一及び第二のクラッチとブレーキとを備えて実現できる。この構成では、2つの遊星歯車及びクラッチと、ブレーキの組み合わせにより、本願の目的を達成できるハイブリッド駆動装置を得ることができる。

具体的には、
前記第二の遊星歯車及び前記摩擦係合要素により、
前記第一の遊星歯車に関し、前記第一の電動機の回転が伝動される回転要素が、前記入力軸の回転が伝動される回転要素に対する反力受けとして働き、前記第二の電動機の回転が伝動される回転要素の回転を、前記出力軸に伝動するモードと、
前記第一の遊星歯車に関し、前記第二の電動機の回転が伝動される回転要素が、前記入力軸の回転が伝動される回転要素に対する反力受けとして働き、前記第一の電動機の回転が伝動される回転要素の回転を、前記出力軸に伝動するモードとの間で、伝動系統を切換える切換機構が形成される構成としておけばよい。
一方、前記遊星歯車を第一の遊星歯車とするとともに、前記遊星歯車装置はさらに第二及び第三の遊星歯車を備え、前記摩擦係合要素として、第一及び第二のクラッチとブレーキとを備えて構成できる。
この構成では、3つの遊星歯車及び2つのクラッチと、ブレーキの組み合わせにより、本願の目的を達成できるハイブリッド駆動装置を得ることができる。

具体的には、
前記第一の遊星歯車を成す3つの回転要素に関して、前記入力軸、前記第一の電動機及び前記第二の遊星歯車を介して伝動される第二の電動機の回転が、それぞれ別個の回転要素に伝動され、
前記第二の遊星歯車、前記第三の遊星歯車及び前記摩擦係合要素により、
前記第一の遊星歯車を成す3つの回転要素に関し、前記第一の電動機の回転が伝動される回転要素が、前記入力軸の回転が伝動される回転要素に対する反力受けとして働き、前記第二の電動機の回転が伝動される回転要素の回転を、前記出力軸に伝動するモードと、
前記第一の遊星歯車を成す3つの回転要素に関し、前記第二の電動機の回転が伝動される回転要素が、前記入力軸の回転が伝動される回転要素に対する反力受けとして働き、前記第一の電動機の回転が伝動される回転要素の回転を、前記出力軸に伝動するモードとの間で、伝動系統を切換える切換機構が形成される構成としておけばよい。
さらに、複数の摩擦係合要素を備え、異なったモード間に渡るモード切替え操作において、係合・係合解除状態が切り換わる摩擦係合要素に関して、係合する回転要素の回転数が同速であることを条件として係合.係合解除状態の変更を行うことが好ましい。
このように構成することにより、モード切替え時にショックを発生することはない。
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
本願においては、発明者らが、2プラネタリ構造と呼ぶ構造と、3プラネタリ構造と呼ぶ構造を紹介する。図1から8までが前者に関するものであり、図9から12までが後者に関係する。
図1は、本願に係るハイブリッド駆動装置Mの駆動伝達系統を示すスケルトン図である。ハイブリッド駆動装置Mは、図上、左側に備えられるエンジンEからの駆動力を入力軸Iで受け取り、駆動伝動の後、右側の出力軸Oより出力する。
同図に示されるように、このハイブリッド駆動装置Mは、二つの電動機(第一及び第二の電動機MG1,MG2)を備えるとともに、エンジンEからの入力軸Iおよび電動機MG1,MG2が常に連結される遊星歯車装置、三つの摩擦係合要素(第一及び第二のクラッチC1,C2と、ブレーキB1)と遊星歯車装置を含む変速機を備えて構成されている。また、ハイブリッド駆動装置Mは、これら電動機MG1,MG2、遊星歯車装置、変速切換機構(モード切換を行い、特定のモードにおいては変速も行う)を同軸に配置して構成されている。この変速切換機構は、変速を伴わない場合、単なる切換機構として働く。
第一、第二の電動機
前記第一及び第二の電動機MG1,MG2は、ケーシングCに備えられるステータstと、これに対して回転自在なロータrtとを備えて構成されており、それぞれ、蓄電装置Bに電気的に接続されており、電動機MGがモータとして働く状態では、この蓄電装置B、もしくは、ジェネレータとして働く他方の電動機MGから電力の供給を受けて働き、ジェネレータとして働く状態では、この蓄電装置Bに蓄電、もしくはモータとして働く他方の電動機MGに電力を供給できるように構成されている。
制御装置
ハイブリッド駆動装置Mに対しては、この駆動装置Mの動作を制御する制御装置CPUが備えられており、この制御装置CPUは、前記第一及び第二の電動機MG1,MG2に対して、その速度制御を行う。この制御装置CPUには、アクセルペダル、ブレーキペダルの操作情報、エンジンの回転数情報、さらには、入力軸I及び出力軸Oの回転数情報等が入るように構成されており、これら入力してくる情報から、運転者の操作から所定のシーケンスに従って、加速すべきか減速すべきかの判断を行うとともに、この判断に伴って、エンジンEの状態を監視、所望の加速度又は限速度を与えるのに必要なハイブリッド駆動装置Mの出力回転数を決定する。
実際上は、目標となる走行速度に対して、入力軸Iの回転数と出力軸Oの回転数との関係を参照し、第一及び第二の電動機MG1,MG2の回転数を適切なものとすべく制御指令を発するとともに、摩擦係合要素C1,C2,B1の係合・係合解除が必要な場合、これら摩擦係合要素に対する制御指令を出力する。
駆動装置本体
図1に示すように、入力軸Iと出力軸Oとの間に、第一の中間軸M1を備えて構成されている。前記入力軸Iと第一の中間軸M1との間には、ダンパーDが介挿されている。
駆動装置Mには、2つの遊星歯車が設けられているが、これら遊星歯車を、入力軸I側から順に、第一及び第二の遊星歯車P1,P2と呼ぶ。図示するように、第一の遊星歯車P1はダブルピニオンタイプにものであり、第二の遊星歯車P2はシングルピニオンタイプのものである。
前記第一の遊星歯車P1に関しては、そのリングギヤrに第一の中間軸M1を介してエンジン回転が伝動されるように構成されており、そのキャリア軸caには第一の電動機MG1のロータ回転が伝動されるように構成されている。さらに、この回転は、第二の中間軸M2を介して、第一のクラッチC1の一方の要素に伝動される。
第二の電動機MG2のロータ回転は、接続軸S2に入るように構成されており、この軸S2には、第一の遊星歯車P1のサンギヤs、第二の遊星歯車P2のサンギヤsが設けられている。また、第二のクラッチC2を介して、その回転を出力軸Oに出力可能に構成されている。
第二の遊星歯車P2に関して説明すると、リングギヤrは、ブレーキB1を介してグランドに固定可能に構成されている。そのキャリア軸caは出力軸Oと一体回転する構成が採用されるとともに、その上手側で第二のクラッチC2を介して接続軸S2と一体回転可能に構成されている。
さらに、第一のクラッチC1は、第二の中間軸M2と出力軸Oとの係合・係合解除を実現する。
この構成では、大型の機器である電動機をエンジン側に配設し、小型の変速機を出力軸側に配置することとなるため、ハイブリッド駆動装置全体の小型化が可能であり、既存の車に適用し易い。
以上が、本願に係るハイブリッド駆動装置Mの構成であるが、以下、その動作をモードとともに、速度線図を示す図2、速度、電動機トルク、電動機出力を示す図3に従って説明する。
本願に係るハイブリッド駆動装置Mには、第一モード、第二モード、第三モードの3つのモードが設定される。
ここで、第一モードは低速域に対応するものであり、図2、図3において「Lo」として示している。第二モードは、中速域に対応するものであり、図2、図3において「Mid」として示している。第三モードは、高速域に対応するものであり、図2、図3において「Hi」として示している。
各モードにおける摩擦係合要素の係合・係合解除
各モードにおける各摩擦係合要素C1,C2,B1の係合(ON)・係合解除(OFF)は、以下に示す表1の状態で行う。
Figure 0004200452
各モードに於ける伝動状態は以下のようになる。
第一モード
このモードにおいては、第一クラッチC1が係合解除、ブレーキB1が係合、第二クラッチC2が係合解除の状態に維持される。
このモードでは、第一クラッチC1が係合解除状態に維持されるため、入力軸Iから出力軸Oへの伝動は、第一の遊星歯車P1及び第二の遊星歯車P2によって決まる。即ち、ダンパーDを介して第一の中間軸M1に伝動されるエンジン回転は、第一の遊星歯車P1において、そのサンギヤsの回転として接続軸S1を介して第二の遊星歯車P2のサンギヤsに伝動され、第二の遊星歯車P2で減速されて、さらに出力軸Oに伝動される。
この時、第一の遊星歯車P1において、この第一の電動機MG1がエンジンの反力受けとして働く。
従って、この駆動伝動状態は、先に説明した3要素構造の駆動伝動状態に当り、第一の遊星歯車P1からの駆動回転をさらに、減速して出力軸Oに伝動していることとなる。そこで、図2には第一モード3要素(Lo)と記載している。
さて、図2に示す速度線図上で、このモードにおける各装置の状態を説明する。この速度線図の縦線は、図上左側からそれぞれ、第二の電動機MG2(図上MG2と記載)、第一の中間軸M1(図上ENGと記載)、接続軸S1(図上MG1と記載)及び出力軸O(図上OUTと記載)及び、ブレーキB1を介してグランドに固定されることがある回転要素(図上gと記載)を示すものであり、その高さ位置で回転数を示している。図上、上側が高く、横軸以下の域で負の値を取ることとなる。この図では、車速をv1、v2、v3、v3、v5、v6で示すとともに、この車速における各回転要素の速度を、速度線上の●で示している。以下の説明において、「vで示す速度(回転要素の記号)」とは、「その車速v(例えばv1)における回転要素(例えばMG2)の速度の●点」を意味する。
第一モードにあっては、上段の図に示すように、第一の遊星歯車P1に関して、v1で示す速度(MG2,ENG,MG1)を繋ぐ速度線によってMG2の速度、すなわち、接続軸S1の速度が決まる。さらに、第二の遊星歯車P2に関してv1で示す速度(MG2,OUT,g)を繋ぐ速度線によってOUTで得られる速度として、出力軸Oの速度が決まる。従って、車速v1におけるMG1、ENG、MG2、出力軸の回転速度は図の通りである。
この状態から、走行速度の上昇に伴って、矢印で示すように、MG1側が低下し、MG2側が上昇する運転状態を行う。この状態を図上v2として示している。OUTで得られる速度に関して、車速v2の場合がv1の場合に対して上昇していることが判る。
図3は、本願に係るハイブリッド駆動装置Mにおける、速度、電動機トルク及び電動機出力の関係を示す図である。
図上、左端に示す縦軸に対して、右側に2本の細い縦線を示しているが、これが、本願における第一モードと第二モードとの切り換え速度、さらに第二モードと第三モードとの切り換え速度に対応している。
また、図3に示す符号の記載は、第一モードに関する記載を「3Lo」と、第二モードに関する記載を「3Mid」と、第三モードに関する記載を「3Hi」としている。第一の中間軸M1、第一の電動機MG1、第二の電動機MG2及び出力軸Oの記載は、図13に示すものと同様としている。
さて、低速域をカバーする第一モードにあっては、エンジンEから駆動力が伝動される入力軸回転は一定に維持されるとともに、第二の電動機MG2の回転は、速度の増加に伴って上昇され、第一の電動機MG1の回転が低下する。 下段に示す出力を参照すると、第二の電動機MG2は主にはモータとしての働きをし、第一の電動機MG1は、主にジェネレータとして働くことが判る。
それぞれの電動機における出力は、この第一モードにおいては、その絶対値において制限された範囲内に収まっていることが判る。
第二モード
このモードにおいては、第一クラッチC1が係合、ブレーキB1が係合解除、第二クラッチC2が係合解除に維持される。この第一クラッチC1の係合は、第二の中間軸M2と出力軸Oとが同速状態で行われる。
このモードでは、第一クラッチC1が係合状態に、さらにブレーキB1が係合解除に維持されるため、入力軸Iから出力軸Oへの伝動は、第一の遊星歯車P1によって決まり、第二の中間軸M2の回転が直結状態で、そのまま出力軸Oに伝動される。即ち、ダンパーDを介して中間軸M1に伝動されるエンジン回転は、第一の遊星歯車P1で分配され第二の中間軸M2を介して、そのまま出力軸Oに伝動される。
この時、第一の遊星歯車P1において、第二の電動機MG2のロータrtの回転が、そのサンギヤsに入力されるため、第二の電動機MG2がエンジンの反力受けとして働く。
従って、この伝動状態も、3要素構造の伝動状態に当り、第一の遊星歯車P1を介して直接、出力軸Oに伝動していることとなる。そこで、図2には第二モード3要素(Mid)と記載している。
さて、図2に示す速度線図上で、このモードにおける各装置の状態を説明する。このモードにおける動作は、同図中段に示されており、同図上、v2からv4で示す速度を、それぞれ繋ぐ速度線で説明される。
第二モードにあっては、中段の図に示すように、第一の遊星歯車P1に関して、v2で示す速度(MG2,ENG、MG1(OUT))を繋ぐ速度線によって、OUTで得られる速度として、出力軸Oの速度が決まる。
この状態から、走行速度の上昇に伴って、矢印で示すように、ENGの速度を支点として、MG2側が下降し、MG1側が上昇する運転状態を行う(v2、v3、v4への移行)。結果、最終的に、全てが同速となる運転状態(v4で示す)が実現する。
一方、図3に示すように速度、電動機トルク及び電動機出力は変化する。
この中速域をカバーする第二モードにあっても、エンジンEから駆動力が伝動される入力軸回転は一定に維持されるとともに、第二の電動機MG2の回転は、速度の増加に伴って下降され、第一の電動機MG1の回転が増加する。ここで、図3の下段に示されるように、第一の電動機MG1はモータとしの働き、第二の電動機MG2は、ジェネレータとしての働いていることが判る。
それぞれの電動機における出力は、この第二モードにおいても、その絶対値において制限された範囲内に収まっている。
第三モード
このモードにおいては、第一クラッチC1が係合解除、ブレーキB1が係合解除、第二クラッチC2が係合状態に維持される。この第二クラッチC2の係合は、第二の遊星歯車P2の複数の回転要素が同速状態で行われる。
このモードでは、第二クラッチC2が係合状態に、他の摩擦係合要素C1,B1が係合解除に維持されるため、第二の遊星歯車P2は固定状態となり、出力軸Oと接続軸S2とは一体回転する。従って、この状態では、第一の遊星歯車P1のサンギヤsの回転が直結状態で、出力軸Oに伝動されることとなる。結果、ダンパーDを介して第一の遊星歯車P1のリングギヤrに伝わる回転は、第一の遊星歯車P1で分配されてサンギヤsに導かれ、そのまま出力軸Oに伝動される。
この時も、第一の遊星歯車P1において、第一の電動機MG1のロータrtが、そのキャリア軸ctに伝動されるため、この第一の電動機MG1がエンジンの反力受けとして働く。
従って、この伝動状態は、先に説明した3要素構造の伝動状態に当り、第一の遊星歯車P1を介して取り出せる出力を、そのまま出力軸Oに伝えていることとなる。そこで、図2には第三モード3要素(Hi)と記載している。
さて、図2に示す速度線図上で、このモードにおける各装置の状態を説明する。このモードにおける動作は、同図下段に示されており、同図上、v4からv6で示す速度をそれぞれ繋ぐ速度線で説明される。
第三モードにあっては、下段の図に示すように、第一の遊星歯車P1に関して、v4、v5、v6で示す速度(MG2,ENG,MG1)を繋ぐ速度線によって、接続軸S1で得られる速度が得られるとともに、同じく、v4、v5、v6で示す速度(MG2,ENG,OUT)を繋ぐ速度線によって出力軸Oの速度が決まる。
この状態から、走行速度の上昇に伴って、矢印で示すように、ENGの速度を支点として、MG1側が下降し、MG2側が上昇する運転状態を行う(v4、v5、v6への移行)。そして、このようにして得られた接続軸S2の回転をそのまま出力する運転状態が実現する。
一方、図3に示すように、速度、電動機トルク及び電動機出力は変化する。
この高速域をカバーする第三モードにあっても、エンジンEから駆動力が伝動される入力軸回転は一定に維持されるとともに、第二の電動機MG2の回転は、速度の増加に伴って上昇され、第一の電動機MG1の回転が下降する。ここで、図3の下段に示されるように、第二の電動機MG2は主にはモータからジェネレータとしの働きをし、第一の電動機MG1は、ジェネレータからモータとしての働きに移行していることが判る。
それぞれの電動機におけるモータの出力は、この第三モードにおいても、その絶対値において制限された範囲内に収まっている。
推進力
上述の本願に係るハイブリッド駆動装置Mを使用した場合の、各モードにおいて得られる推進力を図4に示した。同図は、横軸に車速を、縦軸に推進力を示したものである。
同図において、車速の上昇に伴って単調減少しているのが走行に必要な推進力である。また、この線上に、v1、v2、v3、v3、v5、v6として、図2で、その速度線図において特定した速度を示した。
同図に、第一モード、第二モード、第三モードでそれぞれカバーされる領域を示した。
本願に示すハイブリッド駆動装置Mを使用することにより、エンジンをその最も効率のよい回転数で働かせながら、充分な余裕を持って、良好な変速走行を行えることが判る。
この構造では、第一の遊星歯車P1を成す3つの回転要素(リングギヤr、キャリア軸ca、サンギヤs)に関して、入力軸Iの回転がリングギヤrに、第一の電動機MG1の回転がキャリア軸caに、第二の電動機MG2の回転がサンギヤs、それぞれ別個に伝動され、
第二の遊星歯車P2及び摩擦係合要素C1,C2,B1により、
第一の遊星歯車P1に関し、第一の電動機MG1の回転が伝動される回転要素が、入力軸Iの回転が伝動される回転要素に対する反力受けとして働き、第二の電動機MG2の回転が伝動される回転要素の回転を、出力軸Oに伝動するモード(第一モードと第三モード)と、
第一の遊星歯車P1に関し、第二の電動機MG2の回転が伝動される回転要素が、入力軸Iの回転が伝動される回転要素に対する反力受けとして働き、第一の電動機MG1の回転が伝動される回転要素の回転を、出力軸Oに伝動するモード(第二モード)との間で、伝動系統を切換える切換機構が形成されている。
以上に示したのが、本願において2プラネタリ構成の一例であるが、以下、この構成の別実施の形態に関して説明する。
別実施の形態
この構成に係るハイブリッド駆動装置は、以上説明してきたように、二つの電動機MG1,MG2を備える。そして、駆動伝動系統から見て、入力軸Iと出力軸Oとの間に、2つの遊星歯車P1,P2と三つの摩擦係合要素C1,C2,B1を備えて構成される。
その動作モードとして、低速域に対する減速3要素構造で駆動回転を得る第一モードと、中速域に対する3要素構造で得られる駆動回転をそのまま伝動する第二モードと、高速域に対する3要素構造で得られる駆動回転をそのまま伝動する第三モードとを実現可能にしている。
以下に示す4の別形態例は、それぞれ、上記の技術構造を踏襲するものであり、摩擦係合要素として、上記したと同様に、二つのクラッチ(第一クラッチC1及び第二クラッチC2)と一のブレーキB1を備える。そして、これらの係合・係合解除の切り換えは、表1で説明したと同様な切り換え形態で、第一から第三モードを実現する。また、対応する速度線図も図2と同様となる。遊星歯車の呼びは、入力軸I側から出力軸O側に向かって配設される順に従って、第一及び第二の遊星歯車P1,P2と呼ぶ。
以下に説明する、図5、6、7,8において、図1に示すハイブリッド駆動装置に対応する機器に関して同様の符号を付した。
以下、それぞれの別実施の形態における配置構成に関して説明する。
別実施の形態 1
図5に示す例は、図1に示したのとは反対に、図上、右側に入力軸Iを左側寄りに出力軸Oを備えた例である。入力軸Iの回転はダンパーDを介して第一中間軸M1に取り込まれるように構成されており、これは、第一の遊星歯車P1のキャリア軸caと一体回転する構成が採用されている。一方、第一の遊星歯車P1のサンギヤsは、第一の電動機MG1のロータrtに直結されているとともに、第一のクラッチC1を介して、この回転を出力軸Oに取り出し可能に構成されている。
第一遊星歯車P1のリングギヤrは、接続軸S1を介して第二の遊星歯車P2のキャリア軸caと一体回転可能とされており、その上手側で第二の電動機MG2のロータrtと一体回転するように構成されている。この接続軸S1の回転は第二のクラッチC2により出力軸Oに伝動可能とされている。
また、第二の遊星歯車P2のリングギヤrは、出力軸Oと一体回転する構成が採用されており、そのサンギヤsは、ブレーキB1を介してグランドに固定可能とされている。
従って、この構成では、ブレーキB1が係合される第一モードでは、第一の電動機MG1をエンジンの反力受けとする状態で、第一の遊星歯車P1で分配されて接続軸S1に伝動される回転が、第二の遊星歯車P2で減速されて、出力軸Oに伝動される。
一方、第一のクラッチC1が係合される第二モードでは、第二の電動機MG2をエンジンの反力受けとする状態で、第一の遊星歯車P1で分配されて第二の中間軸M2に伝動される回転が、直接、出力軸Oに伝動される。
第二のクラッチC2が係合される第三モードでは、第一の電動機MG1をエンジンの反力受けとする状態で、第一の遊星歯車P1で分配されて接続軸S1に伝動される回転が、直接、出力軸Oに伝動される。
この構成では、第一及び第二の電動機MG1,MG2を両端に配設するため、耐振性が良好で、固定を剛な両端側で行える。
別実施の形態 2
図6に示す例は、図1に示したのと同様に、図上、左側に入力軸Iを右側に出力軸Oを備えた例である。入力軸Iの回転はダンパーDを介して第一中間軸M1に取り込まれるように構成されており、これは、第一の遊星歯車P1のリングギヤrと一体回転する構成が採用されている。一方、第一の遊星歯車P1のサンギヤsは接続軸S1に設けられ、これが第一の電動機MG1のロータrtに直結されているとともに、その回転が、第一のクラッチC1を介して出力軸Oに伝動可能に構成されている。
第一遊星歯車P1のキャリア軸caは、第二の電動機MG2のロータrtと一体回転するように構成されるとともに、その伝動下手側で、第二の遊星歯車P2のサンギヤsと一体回転するとともに、第二のクラッチC2を介して出力軸Oに回転を伝動可能に構成されている。
第二の遊星歯車P2のリングギヤrは、ブレーキB1を介してグランドに固定可能に構成されている。
従って、この構成では、ブレーキB1が係合される第一モードでは、第一の電動機MG1をエンジンの反力受けとする状態で、第一の遊星歯車P1で分配されて第二の中間軸M2に伝動される回転が、第二の遊星歯車P2で減速されて、出力軸Oに伝動される。
一方、第一のクラッチC1が係合される第二モードでは、第二の電動機MG2をエンジンの反力受けとする状態で、第一の遊星歯車P1で分配されて接続軸S1に伝動される回転が、直接、出力軸Oに伝動される。
第二のクラッチC2が係合される第三モードでは、第一の電動機MG1をエンジンの反力受けとする状態で、第一の遊星歯車P1で分配されて第二の中間軸M2に伝動される回転が、直接、出力軸Oに伝動される。
この構成では、ハイブリッド駆動装置を、幅の短いものとできる。
さらに、ハイブリッド駆動装置を、FR(フロントエンジン、リヤドライブ)タイプの自動車に搭載する場合、車体の前後方向に前側から順にエンジンE、ハイブリッド駆動装置M、プロペラシャフト(図外)が整列されて配置される。すなわち、エンジンEのクランク軸(図外)、ハイブリッド駆動装置Mの入力軸I及び出力軸O、プロペラシャフトがほぼ同一軸線上に配置されることになる。このハイブリッド駆動装置Mにおいては、ケーシングCの内側に、エンジン制御用電動機MG、駆動出力補助用電動機MG、駆動分配用の遊星歯車装置P、変速機構が軸方向に整列して収納した際の組み付け性を向上させるため、ケーシングCを前後方向に分割した複数の分割ケースを接合する必要がある。
一方、ユニットのシリーズ化やハイブリッド駆動装置Mの車体に対する搭載性を考慮すると、ハイブリッド駆動装置Mが搭載される車両や組み合わされるエンジンEの仕様に応じて、適切な2つの電動機MGを配置することが、コストパフォーマンスの面から好ましい。
しかしながら、従来型のハイブリッド駆動装置Mでは、ケーシングCが複数に分割されるため、ケーシングCの軸心にズレが生じることがある。それにより、特にエンジン制御用電動機MG、駆動出力補助用電動機MGのそれぞれのロータrtの支持精度が低下し、軸の振れ回りによる振動が発生する虞がある。また、第1及び第2の電動機MG1,MG2をそれぞれ異なるケーシングCに収納するため、2個の電動機MGに応じて、それぞれケーシングCを新設することが必要となり、ハイブリッド駆動装置MのFR化に際し、上記ユニットのシリーズ化等には不利となっていた。
そこで、第一の電動機MG1と第二の電動機MG2を、この別実施例に示すように隣接して配置することにより、これら電動機MGを収納するケーシングCを一体化し、もって先に説明した課題を良好に解決できる。
別実施の形態 3
図7に示す例は、図1に示したのと同様に、図上、左側に入力軸Iを右側に出力軸Oを備えた例である。入力軸Iの回転はダンパーDを介して第一の中間軸M1に取り込まれるように構成されており、これは、第一の遊星歯車P1のリングギヤrと一体回転する構成が採用されている。一方、第一の遊星歯車P1のサンギヤsは接続軸S1に設けられ、これが第二の電動機MG2のロータrtに直結されているとともに、第二のクラッチC2を介して、この回転を出力軸Oに伝動可能に構成されている。この接続軸S1の回転は、第二の遊星歯車P2のサンギヤsの回転ともなる。
第一の遊星歯車P1のキャリア軸caは、第一の電動機MG1のロータrtと一体回転するように構成されるとともに、その伝動下手側で、第一のクラッチC1を介して回転を、出力軸Oに伝動可能に構成されている。
第二の遊星歯車P2のリングギヤrは、ブレーキB1を介してグランドに固定可能に構成されている。
従って、この構成では、ブレーキB1が係合される第一モードでは、第一の電動機MG1をエンジンの反力受けとする状態で、第一の遊星歯車P1で分配されて接続軸S1に伝動される回転が、第二の遊星歯車P2で減速されて、出力軸Oに伝動される。
一方、第一のクラッチC1が係合される第二モードでは、第二の電動機MG2をエンジンの反力受けとする状態で、第一の遊星歯車P1で分配されて第二の中間軸M2に伝動される回転が、直接、出力軸Oに伝動される。
第二のクラッチC2が係合される第三モードでは、第一の電動機MG1をエンジンの反力受けとする状態で、第一の遊星歯車P1で分配されて接続軸S1に伝動される回転が、直接、出力軸Oに伝動される。
この構成にあっても、両電動機MG1,MG2を内側に備えることで、別実施形態2と同様のことが言える。
別実施の形態 4
図8に示す例は、図1に示したのと逆に、図上、右側に入力軸Iを左側寄りに出力軸Oを備えた例である。入力軸Iの回転はダンパーDを介して第一の中間軸M1に取り込まれるように構成されており、これは、第一の遊星歯車P1のキャリア軸caと一体回転する構成が採用されている。一方、第一の遊星歯車P1のサンギヤsは接続軸S1に設けられ、これが第二の電動機MG2のロータrtに直結されているとともに、第二のクラッチC2を介して、この回転を出力軸Oに伝動可能に構成されている。この接続軸S1の回転は、第二の遊星歯車P2のリングギヤrの回転ともなる。
第一の遊星歯車P1のリングギヤrは第二の中間軸M2と一体回転可能とされ、この軸M2が第一の電動機MG1のロータrtと一体回転するように構成されるとともに、第一のクラッチC1を介して回転を、出力軸Oに伝動可能に構成されている。
第二の遊星歯車P2のキャリア軸caは、ブレーキB1を介してグランドに固定可能に構成されている。
従って、この構成では、ブレーキB1が係合される第一モードでは、第一の電動機MG1をエンジンの反力受けとする状態で、第一の遊星歯車P1で分配されて接続軸S1に伝動される回転が、第二の遊星歯車P2で減速されて、出力軸Oに伝動される。
一方、第一のクラッチC1が係合される第二モードでは、第二の電動機MG2をエンジンの反力受けとする状態で、第一の遊星歯車P1で分配されて第二の中間軸M2に伝動される回転が、直接、出力軸Oに伝動される。
第二のクラッチC2が係合される第三モードでは、第一の電動機MG1をエンジンの反力受けとして、接続軸S2に伝動される回転が、直接、出力軸Oに伝動される。
この構成の場合は、別実施形態1と同様に、耐振性及び堅牢度において優れたものとできる。
以上が、本願が2プラネタリ構造と呼ぶ伝動構造であるが、以下、3プラネタリ構造と呼ぶ構成に関して説明する。
この構成の特徴は、これまで説明してきた例にあっては、ダブルピニオンタイプの遊星歯車を採用してきたのに対して、シングルピニオンタイプの遊星歯車を一対設けたことにある。
この構成に係るハイブリッド駆動装置においても、二つの電動機MG1,MG2を備える。そして、入力軸Iと出力軸Oとの間に、3つの遊星歯車P1,P2、P3と三つの摩擦係合要素C1,C2,B1を備える。P2、P3および三つの摩擦係合要素C1,C2,B1が変速切換機構(切換機構の一種)に相当する。
その動作モードとしても、低速域に対する減速3要素構造で駆動回転を得る第一モードと、中速域に対する3要素構造で得られる駆動回転をそのまま出力する第二モードと、高速域に対する3要素構造で得られる駆動回転をそのまま出力する第三モードとを実現可能にしている。
この構成の例を図9に示した。この構成でも、摩擦係合要素の係合・係合解除の切り換えは、表1で説明したと同様な切り換え形態で、第一から第三モードを実現する。
速度線図は図10となり、図4に対応する図が図11である。
遊星歯車の呼びは、入力軸I側から出力軸O側に向かって配設される順に従って、第一、第二及び第三の遊星歯車P1,P2、P3と呼ぶ。
図9に示すように、第一の遊星歯車P1のキャリア軸caは、第一の電動機MG1のロータrtと一体に回転する構成とされるとともに、ダンパーDを介して第一の中間軸M1を介して伝動されるエンジン回転は、リングギヤrに伝動され、このキャリア軸caの回転が、第二の中間軸M2を介して第一のクラッチC1により出力軸Oに取り出し可能に構成されている。
第一の遊星歯車P1のサンギヤsは第一の接続軸S1に設けられ、この回転は、第二のクラッチC2を介して出力軸Oに出力可能に構成されている。さらに、この第一の接続軸S1の回転は、第二の遊星歯車P2のリングギヤrの回転として、さらには、第三の遊星歯車P3のキャリア軸caの回転となるように伝動される。
出力軸Oは、第二の遊星歯車P2のキャリア軸caとさらに第三の遊星歯車P3のリングギヤrと一体回転するように構成されている。第二の遊星歯車P2のサンギヤsはブレーキB1を介してグランドに固定可能とされている。一方、第三の遊星歯車P3のサンギヤsは、第二の電動機MG2のロータrtと一体回転するように構成されている。
従って、この構成では、ブレーキB1が係合される第一モードでは、第一の電動機MG1をエンジンの反力受けとする状態で、第一の遊星歯車P1で分配されて接続軸S1に伝動される回転が、第二の遊星歯車P2で減速されて、出力軸Oに伝動される。また、第二の電動機MG2の回転は減速されて出力軸Oに伝動される。
一方、第一のクラッチC1が係合される第二モードでは、第二の電動機MG2をエンジンの反力受けとする状態で、第一の遊星歯車P1で分配されて第二の中間軸M2に伝動される回転が、直接、出力軸Oに伝動される。
第二のクラッチC2が係合される第三モードでは、第一の電動機MG1をエンジンの反力受けとして、接続軸S1に伝動される回転が、直接、出力軸Oに伝動される。
さらに詳細に、図10,11を使用して説明する。
第一モード
図10に示す速度線図上で、このモードにおける各装置の状態を説明する。
この速度線図の縦線は、図上左側からそれぞれ、第二の電動機MG2(図上MG2と記載)、第一の遊星歯車P1の出力要素(図上outと記載)、第一の遊星歯車P1のリングギヤr(図上ENGと記載)、第一の電動機及び出力軸(図上MG1・OUTと記載)及びブレーキB1を介してグランドに固定されることがある回転要素(図上gと記載)を示すものであり、その高さ位置で回転数を示している。図上、上側が高く、横軸以下の域で負の値を取ることとなる。
第一モードにあっては、上段の図に示すように、第一の遊星歯車P1に関して、v1で示す速度(out,ENG,MG1)を繋ぐ速度線によってoutで得られる速度として、接続軸S1の速度が決まる。さらに、第二の遊星歯車P2に関してv1で示す速度(MG2,OUT,g)を繋ぐ速度線によってOUTで得られる速度として、出力軸Oの速度が決まる。
この状態から、走行速度の上昇に伴って、矢印で示すように、MG1側が低下し、MG2側が上昇する運転状態を行う。この状態の速度を図上v2,v3として示している。OUTで得られる速度がv1に対して順次上昇していることが判る。
第二モード
図10に示す速度線図上で、このモードにおける各装置の状態を説明する。
このモードにおける動作は、同図中段に示されており、同図上、v3からv5で示す速度を、それぞれ繋ぐ速度線で説明される。
第二モードにあっては、中段の図に示すように、第一の遊星歯車P1に関して、v3で示す速度(MG2,ENG、MG1(OUT))を繋ぐ速度線によって、OUTで得られる速度として、出力軸Oの速度が決まる。
この状態から、走行速度の上昇に伴って、矢印で示すように、ENGの速度を支点として、MG2側が下降し、MG1側が上昇する運転状態を行う(v3、v4、v5への移行)。結果、最終的に、全てが同速となる運転状態(v5で示す)が実現する。
第三モード
図10に示す速度線図上で、このモードにおける各装置の状態を説明する。
このモードにおける動作は、同図下段に示されており、同図上、v5からv7で示す速度を、それぞれ繋ぐ速度線で説明される。
第三モードにあっては、下段の図に示すように、第一の遊星歯車P1に関して、v5、v6、v7で示す速度(out,ENG,MG1)を繋ぐ速度線によって、outで得られる速度が第一の遊星歯車P1の出力要素で得られるとともに、同じく、v5、v6、v7で示す速度(MG2,out,OUT)を繋ぐ速度線によって出力軸Oの速度が決まる。
この状態から、走行速度の上昇に伴って、矢印で示すように、ENGの速度を支点として、MG1側が下降し、MG2側であるoutが上昇する運転状態を行う(v5、v6、v7への移行)。そして、このようにして得られた回転をそのまま出力する運転状態が実現する。
推進力
上述の本願に係るハイブリッド駆動装置Mを使用した場合の、各モードにおいて得られる推進力を図11に示した。同図は、横軸に車速を縦軸に、推進力を示したものである。
同図において、車速の上昇に伴って単調減少しているのが走行に必要な推進力である。また、この線上に、v1、v2、v3、v3、v5、v6,v7として、図10で、その速度線図において特定した速度を示した。
同図に、第一モード、第二モード、第三モードでそれぞれカバーされる領域を示した。
本願に示すハイブリッド駆動装置Mを使用することにより、エンジンをその最も効率のよい回転数で働かせながら、充分な余裕を持って、良好な変速走行を行えることが判る。
以上説明したように、この構成では、3つの遊星歯車P1,P2,P3を備えるとともに、摩擦係合要素として、第一及び第二のクラッチC1,C2とブレーキB1とを備えている。
そして、複数の伝動系を得るのに、1つの遊星歯車P1を成す3つの回転要素(リングギヤr、キャリア軸ca、サンギヤs)に関して、入力軸Iの回転がリングギヤrに、第一の電動機MG1の回転がキャリア軸caにそれぞれ伝動され、第二の電動機MG2の回転が他の遊星歯車P3と接続軸S1を介してサンギヤsに伝動される。
ここで、他の遊星歯車P3のリングギヤrは出力軸Oを介して第一クラッチC1で、1つの遊星歯車P1のキャリア軸caにその回転を伝動可能に構成され、他の遊星歯車P3のキャリア軸caは、1つの遊星歯車P1のサンギヤsに直結され、一方、他の遊星歯車P3のリングギヤrは出力軸Oを介して第二クラッチC2で、1つの遊星歯車P1のサンギヤsに、その回転を伝動可能に構成されている。
そして、他の遊星歯車P3、残余の遊星歯車P2及び摩擦係合要素C1,C2,B1により、
1つの遊星歯車P1を成す3つの回転要素に関し、第一の電動機MG1の回転が伝動される回転要素が、入力軸Iの回転が伝動される回転要素に対する反力受けとして働き、第二の電動機MG2の回転が伝動される回転要素の回転を、出力軸Oに伝動するモード(第一モード及び第三モード)と、
1つの遊星歯車P1を成す3つの回転要素に関し、第二の電動機MG2の回転が伝動される回転要素が、入力軸Iの回転が伝動される回転要素に対する反力受けとして働き、第一の電動機MG1の回転が伝動される回転要素の回転を、出力軸Oに伝動するモード(第二モード)との間で、伝動系統を切換える切換機構が形成されている。
別実施の形態 5
図12に示す例は、図9に示したのとは逆に、図上、右側に入力軸Iを左側寄りに出力軸Oを備えた例である。入力軸Iの回転はダンパーDを介して第一の中間軸M1に取り込まれるように構成されており、これは、第一の遊星歯車P1のキャリア軸caと一体回転する構成が採用されている。一方、第一の遊星歯車P1のサンギヤsは、接続軸S1を介して第二の遊星歯車P2のキャリア軸ca及び第三の遊星歯車P3のサンギヤsと一体に回転するように構成されている。さらにこの接続軸S1は、第二のクラッチC2を介して出力軸Oにその回転を伝動可能とされている。
一方、第一の遊星歯車P1のリングギヤrは、第一の電動機MG1のロータrtと一体回転可能に構成されるとともに第二の中間軸M2を介して、第一のクラッチC1を介して、その回転を出力軸Oに伝動可能に構成されている。第二の遊星歯車P2のサンギヤsは第二の電動機MG2のロータrtと一体回転する構成が採用されるとともに、そのリングギヤrは出力軸Oと一体回転する。
第三の遊星歯車P3のリングギヤrは、ブレーキB1を介してグランドに固定可能に構成されるとともに、そのキャリア軸caは出力軸Oと一体回転する構成が採用されている。
従って、この構成では、ブレーキB1が係合される第一モードでは、第一の電動機MG1をエンジンの反力受けとする状態で、第一の遊星歯車P1で分配されて接続軸S1に伝動される回転が、第三の遊星歯車P3で減速されて、そのまま出力軸Oに伝動される。
一方、第一のクラッチC1が係合される第二モードでは、第二の電動機MG2をエンジンの反力受けとする状態で、第一の遊星歯車P1で分配されて第二の中間軸M2に伝動される回転が、直接、出力軸Oに伝動される。
第二のクラッチC2が係合される第三モードでは、第一の電動機MG1をエンジンの反力受けとする状態で、第一の遊星歯車P1で分配されて接続軸S1に伝動される回転が、直接、出力軸Oに伝動される。
モータ・ジェネレータを小さくしながら、変速ショックを無くし、つつ、エネルギー回収効率を高くすることができるハイブリッド駆動装置を得ることができた。
本願に係るハイブリッド駆動装置の伝動系統を示すスケルトン図 図1に示すハイブリッド駆動装置の速度線図 図1に示すハイブリッド駆動装置の速度、トルク、ハワーの関係を示す図 各モードにおける推進力の状態を示す図 2プラネタリ構造の別実施形態を示す図 2プラネタリ構造の別実施形態を示す図 2プラネタリ構造の別実施形態を示す図 2プラネタリ構造の別実施形態を示す図 本願に係る3プラネタリ構造の伝動系統のスケルトン図 図9に示す実施形態の速度線図 図9に示す実施形態の各モードにおける推進力の状態を示す図 3プラネタリ構造の別実施形態を示す図 特許文献2のハイブリッド駆動装置の速度、トルク、ハワーの関係を示す図 3要素構造及び4要素構造での伝動形態を示す図
符号の説明
B1 ブレーキ
C1 第一クラッチ
C2 第二クラッチ
CPU 制御手段
D ダンパー
E エンジン
I 入力軸
M1 中間軸(第一の中間軸)
M2 第二の中間軸
MG1 第一の電動機
MG2 第二の電動機
O 出力軸
P1 第一の遊星歯車
P2 第二の遊星歯車
P3 第三の遊星歯車
S1 接続軸

Claims (11)

  1. エンジンからの駆動力を受け入れる入力軸、第一及び第二の電動機、遊星歯車装置及び駆動出力を出力する出力軸を備え、
    前記遊星歯車装置が有する1つの遊星歯車を成す第1の回転要素、第2の回転要素及び第3の回転要素の3つの回転要素に関して、前記入力軸の回転が前記第1の回転要素に伝動され、前記第一の電動機の回転が前記第2の回転要素に伝動され、前記第二の電動機の回転が前記第3の回転要素に伝動されるハイブリッド駆動装置であって、
    エンジンの回転数を制御可能なジェネレータとして機能するエンジン制御用電動機を、前記第一の電動機と第二の電動機との間で切り換え可能に構成し、
    前記第一の電動機が前記エンジン制御用電動機として機能する場合には前記第3の回転要素の回転が減速されて前記出力軸に伝動される駆動伝動状態と、前記第3の回転要素の回転が直結状態で前記出力軸に伝動される駆動伝動状態と、を備え、前記第二の電動機が前記エンジン制御用電動機として機能する場合には前記第2の回転要素の回転が直結状態で前記出力軸に伝動される駆動伝動状態を備えることを特徴とするハイブリッド駆動装置。
  2. 複数の摩擦係合要素を備え、前記複数の摩擦係合要素の係合・係合解除に伴って、エンジンからの駆動力の少なくとも一部が前記出力軸に異なった伝動系統を経て伝動される複数のモードを実現可能に構成され、
    前記複数のモード間で、前記エンジン制御用電動機として働く電動機の切り換えがなされることを特徴とする請求項1記載のハイブリッド駆動装置。
  3. 前記エンジン制御用電動機として働く電動機とは異なる電動機が、前記出力軸に駆動力を伝動する駆動出力補助用電動機として働き、
    前記駆動出力補助用電動機のロータと一体に回転する軸が、前記出力軸に直結される駆動伝動状態を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のハイブリッド駆動装置。
  4. 複数の摩擦係合要素を備え、前記複数の摩擦係合要素の係合・係合解除に伴って、エンジンからの駆動力の少なくとも一部が前記出力軸に異なった伝動系統を経て伝動される複数のモードを実現可能に構成され、
    第一のモードで、前記入力軸の回転が前記第1の回転要素に伝動され、エンジンからの駆動力の反力受けとして働く前記第一の電動機の回転が前記第2の回転要素に伝動され、前記第3の回転要素の回転が前記出力軸に伝動されるとともに、前記第二の電動機の回転が当該第3の回転要素に伝動される3要素構造の駆動伝動構造を構成し、
    前記第一のモードとは異なる第二のモードで、前記入力軸の回転が前記第1の回転要素に伝動され、エンジンからの駆動力の反力受けとして働く前記第二の電動機の回転が前記第3の回転要素に伝動され、前記第2の回転要素の回転が前記出力軸に伝動されるとともに、前記第一の電動機の回転が当該第2の回転要素に伝動される3要素構造の駆動伝動構造を構成することを特徴とする請求項1記載のハイブリッド駆動装置。
  5. 前記第二のモードは、前記3要素構造の駆動伝動構造で得られる駆動回転を、直接前記出力軸に伝動する第一の3要素直結モードを備え、
    前記第一のモードは、前記3要素構造の駆動伝動構造で得られる駆動回転を、減速して前記出力軸に伝動する3要素減速モードと、前記第一の3要素直結モードとは異なった減速比で伝動する第二の3要素直結モードと、を備えたことを特徴とする請求項4記載のハイブリッド駆動装置。
  6. 減速比が大きい側から、前記3要素減速モード、前記第一の3要素直結モード及び前記第二の3要素直結モードを備えたことを特徴とする請求項記載のハイブリッド駆動装置。
  7. 前記遊星歯車を第一の遊星歯車とするとともに、前記遊星歯車装置はさらに第二の遊星歯車を備え、
    前記摩擦係合要素として、第一及び第二のクラッチとブレーキを備えたことを特徴とする請求項1〜の何れか1項記載のハイブリッド駆動装置。
  8. 前記第二の遊星歯車及び前記摩擦係合要素により、
    前記第一の遊星歯車に関し、前記第一の電動機の回転が伝動される回転要素が、前記入力軸の回転が伝動される回転要素に対する反力受けとして働き、前記第二の電動機の回転が伝動される回転要素の回転を、前記出力軸に伝動するモードと、
    前記第一の遊星歯車に関し、前記第二の電動機の回転が伝動される回転要素が、前記入力軸の回転が伝動される回転要素に対する反力受けとして働き、前記第一の電動機の回転が伝動される回転要素の回転を、前記出力軸に伝動するモードとの間で、伝動系統を切換える切換機構が形成されることを特徴とする請求項記載のハイブリッド駆動装置。
  9. 前記遊星歯車を第一の遊星歯車とするとともに、前記遊星歯車装置はさらに第二及び第三の遊星歯車を備え、
    前記摩擦係合要素として、第一及び第二のクラッチとブレーキとを備えたことを特徴とする請求項1〜の何れか1項記載のハイブリッド駆動装置。
  10. 前記第一の遊星歯車を成す3つの回転要素に関して、前記入力軸、前記第一の電動機及び前記第二の遊星歯車を介して伝動される第二の電動機の回転が、それぞれ別個の回転要素に伝動され、
    前記第二の遊星歯車、前記第三の遊星歯車及び前記摩擦係合要素により、
    前記第一の遊星歯車を成す3つの回転要素に関し、前記第一の電動機の回転が伝動される回転要素が、前記入力軸の回転が伝動される回転要素に対する反力受けとして働き、前記第二の電動機の回転が伝動される回転要素の回転を、前記出力軸に伝動するモードと、
    前記第一の遊星歯車を成す3つの回転要素に関し、前記第二の電動機の回転が伝動される回転要素が、前記入力軸の回転が伝動される回転要素に対する反力受けとして働き、前記第一の電動機の回転が伝動される回転要素の回転を、前記出力軸に伝動するモードとの間で、伝動系統を切換える切換機構が形成されることを特徴とする請求項記載のハイブリッド駆動装置。
  11. 異なったモード間に渡るモード切り換え操作で係合・係合解除状態が切り換る前記摩擦係合要素に関して、係合する回転要素の回転数が同速であることを条件として係合・係合解除状態の変更を行うことを特徴とする請求項2又は4記載のハイブリッド駆動装置。
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