JP4197808B2 - 電極の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に、少なくとも1つの尖端又はエッジを有する導電性の少なくとも1つの突起を備えた表面構造を製造する、電極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような方法は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4422049号明細書によりすでに公知である。その際、異方性又は等方性エッチング方法によって、シリコン基板上にまず3次元表面構造が製造され、この表面構造は、互いに隣接して並べた配置された多数の角錐又は円錐形の突起を有し、これらの突起は、それぞれ1つの尖端を有する。それから基板は、ポリマー溶液に浸され、又はポリマー溶液は、基板上に散布され、又は注ぎかけられる。その際、突起の尖端においてフィルム引裂きが行なわれ、このフィルム引裂きは、突起を有する表面構造が溶媒の蒸気にさらされることによって管理される。フィルム引裂きによって、尖端がかなりの程度までポリマー溶液から露出したままであるが、一方尖端を囲む突起の表面範囲が、硬化の後に電気的に絶縁する層を形成するポリマー溶液によって覆われていることを達成するようにする。しかしながら公知の方法は、フィルム引裂きが統計的な過程であり、この過程が基板の個々の突起において常に同じに経過するとは限らないので、実際には問題があるとわかった。とくに表面構造の個々の突起においてポリマー溶液の異なった流動特性が生じることがある。さらにポリマー溶液が溶媒を含み、この溶媒が、ラッカ層の硬化の際に釈放されることは、不都合である。ラッカ層は、有毒物質を含むことがあり、このことは、この方法によって製造された電極を、有毒物質にきわめて敏感に反応する生きた生物学的な細胞の検査のために利用しようとするとき、とくに不利である。したがってそれにより細胞に影響を及ぼし、したがって測定誤りを生じることがある。角錐又は円錐形の突起の間にある中間空間内に配置されたラッカ層によって、突起の高さが、すなわちもっとも大幅に突出した突起の位置ともっとも大幅に戻されたこれに隣接するラッカ層の位置との間の間隔が減少することは、さらに不都合である。突起の尖端にある電極範囲は、それにより例えば電極尖端によってこれを検査するために、細胞膜を通って細胞の内部にそれほど良好に位置決めすることができない。電極尖端は、検査すべき別の軟らかい材料内にも粗悪にしか差込むことができない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
それ故に本発明の課題は、尖端又はエッジの範囲に残るラッカ層を回避して、電気的に絶縁する表面範囲によって囲まれた導電性の尖端又はエッジをその表面に有するマイクロ電極が製造できる、初めに挙げたような方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この課題の解決策は、次のようになっている。すなわち基板の表面に取付けられるべき尖端又はエッジに密に隣接して口を開いている供給通路を基板に持込み、この供給通路を通して、電磁及び/又は粒子ビームを照射すると、導電性物質、とくに金属を析出する尖端又はエッジの所で出る化学品を供給し、かつ尖端又はエッジの所で導電性物質を析出させるために化学品に、尖端又はエッジの範囲において、電磁及び/又は粒子ビームを照射する。
【0005】
尖端又はエッジは、例えば異方性エッチング、ラッカ層のアンダエッチング又は基板表面に隣接して配置されたマスクにある開口を通した基板表面の蒸着のような、従来の構造化方法によって製造することができる。供給通路を通って化学品は、有利には基板の尖端又はエッジの範囲に到達するので、電磁及び/又は粒子ビームの支援によって化学品から析出された導電性材料は、有利にはここに堆積する。その際、電磁及び/又は粒子ビームとは、化学品にエネルギーを供給するビーム、例えば光、赤外線又は紫外線ビーム、X線のような光学ビーム、又は例えばアルファ、ベータ又はガンマ線のような粒子ビームのことである。
【0006】
目的に合うように尖端又はエッジの範囲において出る化学品の供給速度は、これが導電性物質の総合的な遮断期間の間に尖端又はエッジの範囲に配置されるように選択される。それにより尖端又はエッジの範囲外に導電性物質が場合によっては堆積することが避けられる。したがってこの方法によって製造された電極は、尖端又はエッジの範囲にあるその表面の部分においてだけ導電性だが、一方その他の表面範囲は、電気的に絶縁されている。このことは、例えば基板として電気的な絶縁体を利用し、又は電極材料の遮断の前に導電性基板に絶縁する表面層を備えることによって、達成することができる。したがって全体として電極層を囲むラッカマスクを避け、電気信号の位置的に分解された測定を可能にするマイクロ電極尖端又はエッジを備えた部分的に導電性の電極が得られる。電極は、電極の表面に堆積された生物学的な細胞の検査又は処置にとくに適している。供給通路は、例えばレーザ穴あけ又はプラズマエッチングによって基板にあけることができる。場合によっては尖端又はエッジから離れた方の基板の裏側から供給通路侵入を行なうことができる。そのため例えば基板の裏側にエッチングに耐えるマスクを取付けることができる。
【0007】
方法に有利な構成は、次のことを考慮している。すなわち供給通路を通して尖端又はエッジの範囲に、電磁及び/又は粒子ビームを照射する。そのために例えば尖端又はエッジから離れた方の供給通路の端部において、供給通路にレーザビームを入力結合することができる。光学ビームは、それにより簡単に尖端又はエッジに位置決めすることができる。電磁及び/又は粒子ビームは、供給通路内にある化学品を貫通するので、導電性物質は、供給通路内においても析出し、かつその壁に堆積することができる。この時、供給通路の壁は、電極尖端又はエッジへの導電性結合を形成する。この方法によって製造された電極において、この結合導体を介して例えば電極尖端に電圧を加えることができ、かつ電極尖端から測定信号を取出すことができる。しかし有利なように供給通路の壁に取付けられた導電性物質は、中空電極も形成し、この中空電極は、基板の表面平面においてその寸法に比較して比較的大きな表面積を有する。それ故にこの方法によって製造された電極は、高い場所分解能にもかかわらず、検査又は処置すべき媒体に対して良好な電気的接触を可能にする。
【0008】
前記の課題は、次のようにしても解決することができる。すなわち導電性材料から表面構造を製造し、尖端又はエッジの範囲においてこの材料上に、少なくとも1つの導電性電極層をめっきし、かつ/又は静電粉末コーティングによって塗付け、かつ続いて尖端又はエッジにある電極層を囲む基板の表面範囲を、化学反応によって絶縁層に変換し、又はこのようなものを備える。
【0009】
本発明は、次のような知識を利用する。すなわち基板又はその表面範囲に電圧を加えた際に、尖端又はエッジの範囲にとくに大きな電界が生じる。それ故にめっきすべき又は静電粉末コーティングによって塗付けるべき電極材料は、有利には基板の尖端又はエッジの範囲に堆積するが、一方基板の残りの表面範囲は、電極材料のないままなので、ここに、電極材料とは異なった基板材料が配置されている。化学的な処理によって、基板材料を有する表面範囲は、絶縁層に変換され、又はこのようなものを備え、それにより電極表面は、この時、なお電極層の範囲においてだけ導電性。その際、化学的な処理は、化学反応が基板材料においてだけ行なわれるが、一方電極層がかなりの程度まで化学的に不変であるように選択される。したがって有利なように、電極層を囲むラッカマスクの取付けは省略することができる。
【0010】
方法の1つの構成は、次のことを考慮している。すなわち尖端又はエッジの範囲の外においても基板上に、導電性電極層を取付け、かつその後、尖端又はエッジの範囲に残った残りの範囲を除いて電極層を取り除くまで、電極層の表面においてエッチングにより電極材料を除去する。したがって場合によっては尖端又はエッジの範囲の外において基板に取付けられた電極材料は、エッチングによって再び基板の表面から除去される。尖端又はエッジの範囲における電極層は、ここにおける大きな電界強度のために一層大きな厚さでめっきされ又はコーティングされるので、尖端又はエッジに、この時に電極尖端を形成する残りの範囲が残る。それ故に電極材料のめっき又は静電コーティングは、さらに大きな電流強度で、したがってさらに迅速に行なうことができる。尖端又はエッジ範囲の外に取付けられる電極材料のエッチングは、例えばエッチング浴において又はエッチング材料の蒸着又は散布によって行なうことができる。しかし乾式エッチング法、例えば反応性イオンエッチングも適用できる。
【0011】
電極層のために、基板材料よりも酸化に耐える材料を選択し、かつ電極層を囲む基板の表面範囲の酸化によって絶縁層を製造すると、とくに有利である。そのために基板は、例えば酸素を含む雰囲気の熱作用にさらすことができる。基板の酸化によって、基板の表面に電気的に良好に絶縁する層が生じる。
【0012】
別の可能性は、電極層のために、基板材料よりも窒化に耐える材料を選択し、かつ電極層を囲む基板の表面範囲の窒化によって絶縁層を製造することにある。窒化は、例えば窒素を含む雰囲気における基板の熱処理によって行なうことができる。
【0013】
電極層を囲む基板の表面範囲の陽極酸化によって絶縁層を製造すると、とくに有利である。そのために例えば電極層を有する基板の範囲は、尖端又はエッジの範囲に残る残りの範囲を除いて電極層を取付けるために電極層をエッチングする電解質内に配置することができる。続いて電解質は、電極層の残った残りの範囲を囲む基板の表面範囲の陽極酸化のために、陽極酸化を行なう別の電解質に交換され、かつ基板と電解質との間に電圧がかけられる。電解質として例えば硫酸、過酸化水素、しゅう酸又はクロム酸が利用できる。
【0014】
本発明の有利な構成は、表面構造を製造する際に、基板上に少なくとも1つの導電性のコーティングを取付け、このコーティングを、表面構造の表面に配置することを考慮している。この時、基板材料として良好に構造化可能な材料が利用でき、この材料は、場合によっては不導体であってもよい。コーティング材料は、化学的に良好に電気的絶縁体に変換可能なように選択される。基板のコーティングの前に、この上に表面構造を取付けると、コーティング材料としてむしろ、それ自体全く又は粗悪にしか構造化することができない材料を利用することができる。
【0015】
本発明の有利な構成において次のことが考慮されている。すなわち基板に、基板の表面に取付けるべき尖端又はエッジに密に隣接して口を開いている供給通路を持込み、少なくとも尖端又はエッジを有する範囲を備えた基板を、めっきすべき電極材料のイオンを全く又はわずかな濃度でしか持たない第1の電解質に配置し、供給通路を通して、尖端又はエッジにおいて出る取付けるべきイオンを有する第2の電解質を供給し、かつ尖端又はエッジに電極層をめっきするために、基板と第2の電解質との間に電圧をかける。したがってめっきすべき電極材料のイオンを含む電解質は、供給通路を通って意図的に尖端又はエッジを有する基板の表面範囲に導かれ、それによりこの表面範囲の外にある基板の表面範囲における電極材料の堆積は回避される。導電性の基板において、尖端又はエッジの範囲における以外に、供給通路の壁にも電極材料が堆積するので、これは、電極尖端又はエッジへの導電性結合を形成する。
【0016】
有利には尖端又はエッジから離れた方の通路端部から出発して尖端又はエッジの範囲に配置された開口に向かって、有利には開口に隣接してその横断面積が減少するように、供給通路が基板に持込まれる。それにより供給通路は、製造技術的に一層良好に製造することができる。その際、供給通路は、場合によっては尖端又はエッジに配置されたその開口の範囲に、オフセット又は段を有し、これは、大きな横断面を有する通路区間と開口を有する小さな横断面の通路区間への間の移行部を形成する。例えば広げられた通路横断面の通して、さらに電極層を取付けた際に場合によっては生じる反応生成物が、一層良好に放出できる。
【0017】
本発明の有利な望ましい構成において、基板として半導体材料が利用される。場合によってはこの時、電極の製造の際に、同じく半導体材料内に測定又は評価電子装置を統合することができる。半導体材料として例えばシリコンが利用でき、シリコンは、酸化によって良好に電気的に絶縁する不活性化層を備えることができる。
【0018】
尖端又はエッジの範囲に貴金属を取付けると、とくに有利である。この時、電極尖端又はエッジは、とくに耐食性であり、かつ基板材料に絶縁層を取付ける化学的な処理の際に、化学的に中性の特性を有する。さらに本方法によって製造された電極は、例えば塩を含む溶液のような化学的に攻撃的な媒体の検査に一層良好に適している。まず基板上の大きな面積に貴金属層を取付け、かつ続いて尖端又はエッジ範囲外にある貴金属層の範囲を再び除去するために、尖端又はエッジの範囲にマスクを取付ける方法と比較して、本方法は、マスクの製造及びエッチングのために利用される製造装置の貴金属による汚染が回避されるという利点を有する。製造装置のこのような汚染は、とりわけマスク技術により電極層の下にある層において基板にCMOS半導体を統合しようとする電極において不都合である。なぜならすでに貴金属によるきわめてわずかな汚染が、CMOS半導体の及びとくにそのゲート酸化物の動作能力を害することがあるからである。すなわちマスク技術のために必要な製造装置は、手間がかかりかつ高価なので、通常CMOS構成要素を含む下側の層の製造のために、表面に近い層のためと同じ製造装置が利用される。それに反して本方法において、化学品から導電性物質のメッキコーティング、静電粉末コーティング及び/又はビーム支援された析出によって貴金属電極層を取付けるために、分離した製造装置が利用でき、これらの製造装置は、著しく望ましいコストで準備することができる。
【0019】
基板の表面において電気的に絶縁する材料に凹所を持込み、この凹所内に導電性材料、とくに金属を持込み、続いて導電性材料が、基板表面に突出する尖端又はエッジを形成するまで、導電性材料を囲む絶縁する材料の範囲をエッチングにより除去し、かつその後、尖端又はエッジ上に少なくとも1つの導電性の電極層をめっきし、かつ/又は静電粉末コーティングによって塗付けることによって、表面構造が製造される。それにより尖端又はエッジを有する表面構造を、もっぱらCMOS半導体の製造において通常の製造プロセスを利用して製造することが可能である。有利なように表面構造の製造のために考慮された方法ステップのほとんどは、CMOS半導体の表面に近い層にある導体路の製造のためにも同時に利用することができるので、これらは、表面構造とともに1つの作業過程において製造することができる。それにより電極の基板内に簡単にCMOS構成要素を統合することができる。これらは、例えば測定増幅器又は評価装置の一部であることができ、かつ/又は尖端又はエッジにある電極の活性電極範囲を電圧源に接続することができる半導体回路を含むことができる。
【0020】
電極層を取付けた後に、改めて凹所に持込まれた導電性材料を囲む絶縁材料の範囲を、エッチングにより除去し、かつ導電性材料のそれにより露出した表面範囲を、続いて化学反応によって絶縁層に変換し、又はこのようなものを備えると、とくに有利である。この時、導電性の電極層は、基板の表面に対して間隔を置いて、その表面において電気的に絶縁された突起の自由端に配置されている。したがって総合的に点電極が得られ、それにより例えば生物学的な細胞において、細胞の内部にある細胞電位を細胞膜を通して位置分解して測定することができる。その際、電気的に絶縁された突起は、細胞膜を貫通し、かつ電極層は、細胞膜に対して絶縁されて細胞の内部に配置されている。
【0021】
本発明の構成は、基板に持込まれた凹所を、導電性材料によって完全に満たすことを考慮している。それによりとくにコンパクトな電極突起が得られる。
【0022】
別の構成において、基板に持込まれた凹所は、導電性材料によって覆われ、とくにコーティングによって覆われる。それにより電極を中空電極として構成することが可能である。
【0023】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面により詳細に説明する。
【0024】
全て1で示される電極の製造方法において、基板2の表面に、例えば異方性エッチングにより、ラッカ層のアンダエッチングにより又は基板表面に隣接して配置されたマスクにある開口を通した基板表面の蒸着によって、構造化方法により3次元的な表面構造が製造される。
【0025】
表面構造は、例えば円錐又は角錐形の突起を有し、この突起は、もっとも大幅に突出したその自由端範囲に、鋭い尖端3又は鋭いエッジ4を有する。図3ないし3による方法において基板2は、導電性材料、例えばシリコンからなる。基板2は、ウエーハの形をしており、このウエーハは、表面に多数の尖端3を有し、これらの尖端のうち図3にはわかりやすくするためにそれぞれ1つだけが示されている。
【0026】
基板2の表面から突出した尖端3上に、金属電極層がめっきされる。そのために基板は、電解質6に浸され、この電解質は、めっきすべき金属のイオンを含んでいる。電解質6内に、さらに犠牲電極7が配置されており、この犠牲電極は、少なくともその表面にめっきすべき金属を有する。その際、犠牲電極7は、有利には基板2の尖端3が犠牲電極7の方に向くように、電解質6内に位置決めされている。それから基板2は、電圧源のマイナス極に、かつ犠牲電極7は、プラス極に接続される。それにより電解質6内に電界が生じ、この電界は、基板2の尖端3の範囲に、その最大電界強度を有する。電界内において、電解質に含まれるめっきすべき金属の陽イオンが、基板2に向かって動き、かつ有利には尖端3の範囲において基板に堆積する。なぜならここにおいて電界強度がもっとも大きいからである。その際、尖端3の範囲に金属電極層5(図2)が生じるが、一方基板2の残りの表面は、金属材料が残らない。場合によっては尖端3の範囲の外側において基板2の表面に生じる薄い金属層は、場合によってはそれに続くエッチング過程によって除去することができる。
【0027】
電極層5を取付けた後に、電解質6は、陽極酸化に適した別の電解質に交換される。さらに電圧源は極性反転され、すなわちプラス極が、電解質6内にある基板2に、かつマイナス極が、犠牲電極7に接続される。それにより基板2は、電極層5を囲むその表面の範囲において陽極酸化される。それにより基板の表面に、良好に電気的に絶縁する酸化物層が生じ、例えばシリコンからなる基板2においてシリコン酸化物、又はアルミニウムからなる基板においてアルミニウム酸化物の層が生じる。電極層5は、基板よりも貴重な材料からなり、例えば貴金属からなり、かつそれ故に基板2の陽極酸化の際に不変である。したがって全体として尖端3の範囲において部分的に導通しかつ電極層を囲む表面範囲において電気的に絶縁する電極1が得られる。
【0028】
図3から明らかなように、電極層5は、導電性の基板2に接続されているので、例えば電極層5に加えられる測定信号は、簡単に基板2から取出すことができる。相応して基板2を介して電極層5に電圧を供給することができる。電極1は、例えば基板2に堆積された細胞養殖における場所を分解した測定のために利用することができる。
【0029】
図4ないし6による方法において、基板2上に従来の構造化方法によって表面構造が製造され、この表面構造は、ほぼ円錐形の又は角錐形の突起を有する。続いて突起から離れた方の基板2の裏側から(図4において下)、供給通路9が持込まれ、この供給通路は、もっとも大幅に突出した突起の位置にある開口に通じている。開口範囲において供給通路9は、リング状の鋭いエッジ4によって囲まれている。図4からとくに良好に明らかなように、供給通路9は、大きい横断面積を有する第1の通路区間、及び小さい横断面積を有する第2の通路区間を有し、第2の通路区間は、エッジ4に配置された開口を形成している。両方の通路区間は、段部10によって互いに結合されており、この段部は、エッジ4の近くに配置されている。通路区間の相違した横断面積によって、供給通路9は、製造技術的に一層良好に製造することができる。供給通路9は、それ自体周知の方法によって、例えばレーザ穴あけ又はトレンチエッチングによって基板2に持込むことができる。
【0030】
供給通路9を通して、エッジ4において出る化学品が供給され、この化学品は、電磁ビームを照射した際に金属を析出する。化学品の供給の間に、エッジ4から離れた方の供給通路9の端部においてレーザビームが入力結合され、このレーザビームは、供給通路9を通ってエッジ4にまで到達する。それによりエッジ4においてかつ供給通路9の内壁において、供給通路9を通して供給された化学品から金属が析出され、この金属は、エッジ4の範囲においてかつ供給通路の内壁において堆積し、かつ中空電極の電極層5を形成する。
【0031】
その後、導電性の基板2においてエッジ4にある電極範囲を囲む基板2の表面範囲は、化学反応によって電気的に絶縁する層8に変換される。この方法ステップは、電気的に絶縁する材料からなる基板2において省略される。
【0032】
図8による方法において基板2は、前記のように構造化され、かつ供給通路9を備える。それから基板2は、第2の電解質11内に配置され、この電解質は、電極としてめっきすべき金属のイオンを全く又は低い濃度でしか持たない。供給通路9を通して、エッジ4において出るメッキすべきイオンを有する第2の電解質が供給される。図8において、エッジ4から離れた方の供給通路9の端部が、供給導管によって電解質を有する供給容器に結合されていることが、はっきりと認めることができる。供給導管12内にポンプ13が接続されており、このポンプは、供給通路9を通してゆっくりとエッジ4に電解質6を送る。図7による実施例におけるように、基板2は、めっき電圧源のマイナス極に、かつ電解質6に接触する犠牲電極7は、プラス電極に接続されている。それにより供給通路9の内壁に、かつエッジ4の範囲において、基板2上に金属がメッキされる。ポンプ13の容積流は、エッジ4において供給通路9から出る電解質が大体において消費されているので、金属材料がエッジ4の範囲に析出するがこれに続く円錐又は角錐形の基板2の表面には析出しないように選定される。電極層のめっきの後に、この範囲は、めっき電圧源の極性反転によって陽極酸化される。その際、基板の表面に電気的に絶縁する層8(図6)が生じる。
【0033】
図9ないし13に示した実施例において、導電性の基板層14上に電気的に絶縁する材料15からなる層が取付けられる。続いてこの材料15に基板2の表面から凹所16が持込まれ、この凹所は、導電性の基板層14にまで絶縁材料15を貫通している(図9)。周知の方法によって凹所16内に導電性材料17が持込まれ、例えばタングステン又はアルミニウムが持込まれる。図10からとくに良好にわかるように、絶縁材料15内において導電性材料17は、通過案内部を形成している。
【0034】
この時、基板2上に不活性化層18が取付けられ、この不活性化層は、電気的に絶縁する材料15及び凹所16内にある導電性材料17を覆っている。続いて不活性化層上に、エッチング媒体に化学的に耐えるフォトマスク19が取付けられ、このフォトマスクは、導電性材料17の範囲に中断部を有する。それからフォトマスク19の中断部の後にある不活性化層18の範囲、及びその後にありかつ導電性材料17を囲む絶縁材料15の範囲は、エッチングによって除去される。図11からとくに良好にわかるように、導電性材料17は、基板2の表面から突出したエッジ4を形成する。
【0035】
続いてエッジ4の範囲に、貴金属、例えば金又は白金からなる導電性電極層がメッキされる。続いてメッキされた電極層5と基板層14との間にありかつ導電性材料17を囲む電気的に絶縁する材料15の別の範囲は、エッチングによって除去される。その際、前のエッチングプロセスの際と同じフォトマスク19が利用される。この別のエッチングプロセスによって露出した導電性材料17の表面範囲は、陽極酸化によって絶縁層8に変換される。さらにフォトマスク19は除去される(図13)。
【0036】
それにより全体として電極1が生じ、この電極は、その表面に電気的に絶縁された突起を有し、この突起は、その自由端に電極層5を有する。その際、電極層5は、導電性材料17を介して、同様に導電性基板層14に接続されている。この層を介して例えば電極層に電圧を加えることができ、又は電極層5から測定信号を取出すことができる。
【0037】
なお電気的に絶縁する材料15は、大体において基板表面に対して並行に延びた複数の層を有することもでき、これらの層は、導電性材料17を露出するために1つの又は互いに順に行なわれる複数のエッチングステップによって一部の範囲において除去されることを述べておく。それにより電極突起の空いた長さは拡大することができる。
【0038】
したがって要約すれば、次のことがわかった:電極1を製造する方法において、従来の構造化方法によって基板2上に、導電性の表面構造が製造され、この表面構造は、少なくとも1つの尖端3又はエッジ4を有する。尖端3又はエッジ4の範囲において基板2上に、電極層5がメッキされ、かつ/又は静電粉末コーティングによって塗付けられる。続いて尖端3又はエッジにある電極層を囲む基板2の表面範囲は、化学反応によって絶縁層8に変換される。電極層5は、尖端3又はエッジの範囲に化学品を露出し、この化学品が電磁及び/又は粒子ビームを照射すると、導電性物質を分泌することによって取付けてもよい。この時、この化学品は、尖端3又はエッジの範囲において電磁又は粒子ビームによって作用を受ける。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋭い尖端を有する角錐形の突起を備えた表面構造を有する導電性基板の側面図である。
【図2】突起の尖端に電極層をメッキした後の図1に示す装置の横断面図である。
【図3】電極層を囲む基板の表面に近い範囲を酸化した後の図2に示す電極の横断面図である。
【図4】図1に類似の図であるが、基板に破線で示す供給通路が持込まれており、その開口が鋭い縁によって囲まれているところを示す図である。
【図5】突起のエッジに電極層を光によって支援されて取付けた後の図4に示す基板の図である。
【図6】電極を囲む基板の表面範囲を酸化した後の図5に示す電極の横断面図である。
【図7】基板の尖端又はエッジの範囲に金属電極層をメッキする装置の横断面図である。
【図8】基板の尖端又はエッジの範囲に金属電極層をメッキする装置の横断面図である。
【図9】凹所が貫通する電気的に絶縁する層を有する基板の横断面図である。
【図10】凹所内に導電性材料を持込んだ後の図9に示す基板の図である。
【図11】導電性材料を囲む電気的に絶縁する層の範囲をエッチング除去した後の図10に示す基板の図である。
【図12】導電性材料の尖端に電極層をメッキした後の図11に示す基板の図である。
【図13】電極層に続く導電性材料の表面範囲を陽極酸化した後の図12に示す基板の図である。
【符号の説明】
1 電極、 2 基板、 3 尖端、 4 エッジ、 5 電極層、 6 電解質、 8 絶縁層、 9 供給通路、 11 電解質

Claims (16)

  1. 基板(2)上に少なくとも1つの尖端(3)又はエッジ(4)を有する表面構造が製造されている電極(1)の製造方法において、基板の表面に取付けられるべき尖端(3)又はエッジ(4)に密に隣接して口を開いている供給通路(9)を基板(2)に導入し、この供給通路(9)を通して、電磁及び/又は粒子ビームを照射すると、導電性物質を析出する、尖端(3)又はエッジ(4)の所で出る化学品を供給し、かつ尖端又はエッジの所で導電性物質を析出させるために化学品に、尖端(3)又はエッジ(4)の範囲において、電磁及び/又は粒子ビームを照射することを特徴とする、電極(1)の製造方法。
  2. 供給通路(9)を通して尖端(3)又はエッジ(4)の範囲に、電磁及び/又は粒子ビームを照射する、請求項1に記載の方法。
  3. 基板(2)上に少なくとも1つの尖端(3)又はエッジ(4)を有する表面構造が製造されている電極(1)の製造方法において、導電性材料から表面構造を製造し、尖端(3)又はエッジ(4)の範囲においてこの材料上に、少なくとも1つの導電性電極層(5)をめっきし、かつ/又は静電粉末コーティングによって施与し、かつ続いて尖端(3)又はエッジ(4)にある電極層(5)を囲む基板(2)の表面範囲を、化学反応によって絶縁層(8)に変換し、又は絶縁層(8)を備えさせることを特徴とする、電極(1)の製造方法。
  4. 尖端(3)又はエッジ(4)の範囲の外においても基板上に、導電性電極層(5)を取付け、かつその後、尖端(3)又はエッジ(4)の範囲に残る残りの範囲を除いて電極層(5)を取り除くまで、電極層(5)の表面においてエッチングにより電極材料を除去する、請求項1ないし3までのいずれか1項に記載の方法。
  5. 電極層(5)のために、基板材料よりも酸化に耐える材料を選択し、かつ電極層(5)を囲む基板(2)の表面範囲の酸化によって絶縁層(8)を製造する、請求項3又は4記載の方法。
  6. 電極層(5)のために、基板材料よりも窒化に耐える材料を選択し、かつ電極層(5)を囲む基板(2)の表面範囲の窒化によって絶縁層(8)を製造する、請求項ないし5までのいずれか1項に記載の方法。
  7. 電極層(5)を囲む基板(2)の表面範囲の陽極酸化によって絶縁層(8)を製造する、請求項ないし6までのいずれか1項に記載の方法。
  8. 表面構造を製造する際に、基板(2)上に少なくとも1つの導電性コーティングを取付け、その際このコーティングを、表面構造の表面に配置する、請求項1ないし7までのいずれか1項に記載の方法。
  9. 基板(2)の表面に取付けられるべき尖端(3)又はエッジ(4)に密に隣接して口を開いている供給通路(9)を基板(2)に導入し、少なくとも尖端(3)又はエッジ(4)を有する範囲を備えた基板(2)を、めっきすべき電極材料(5)のイオンを全く又はわずかな濃度でしか持たない第1の電解質(11)に配置し、供給通路(9)を通して、尖端(3)又はエッジ(4)の所で出る第2の、取付けるべきイオンを有する電解質(6)を供給し、かつ尖端(3)又はエッジ(4)に電極層(5)をめっきするために、基板(2)と第2の電解質(6)との間に電圧をかける、請求項1ないし8までのいずれか1項に記載の方法。
  10. 尖端(3)又はエッジ(4)から離れた方の通路端部から出発して尖端(3)又はエッジ(4)の範囲に配置された開口に向かってその横断面積が減少するように、供給通路(9)を基板(2)に導入する、請求項1ないし9までのいずれか1項に記載の方法。
  11. 基板(2)として半導体材料を利用する、請求項1ないし10までのいずれか1項に記載の方法。
  12. 尖端(3)又はエッジ(4)の範囲に貴金属を取付ける、請求項1ないし11までのいずれか1項に記載の方法。
  13. 基板の表面において電気的絶縁材料に凹所を導入し、この凹所内に導電性材料を導入し、続いて導電性材料が、基板表面に突出する尖端(3)又はエッジ(4)を形成するまで、導電性材料を囲む絶縁する材料の範囲をエッチングにより除去し、かつその後、尖端(3)又はエッジ(4)上に少なくとも1つの導電性電極層(5)をめっきし、かつ/又は静電粉末コーティングによって塗付けることによって、表面構造を製造する、請求項1ないし12までのいずれか1項に記載の方法。
  14. 電極層(5)を取付けた後に、改めて凹所に導入された導電性材料を囲む絶縁材料の範囲を、エッチングにより除去し、かつ導電性材料のそれにより露出した表面範囲を、続いて化学反応によって絶縁層(8)に変換し、又は絶縁層(8)を備える、請求項13に記載の方法。
  15. 基板(2)に導入された凹所を、導電性材料によって完全に満たす、請求項13又は4に記載の方法。
  16. 基板(2)に導入された凹所を、導電性材料によって覆う、請求項1ないし15までのいずれか1項に記載の方法。
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