JP4197414B2 - 荷崩れ防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラックやコンテナ等の荷物運搬車両、鉄道車両に設けられる荷物収納スペース内に荷物を収納して運搬する際に、荷物の荷崩れを防止するための荷崩れ防止装置に関し、特に空缶荷物を輸送する際に適した荷崩れ防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
空缶荷物は、開口部又は軸心が上下向きになった空缶の多数を縦横長方形になるようにパレットの上に並べ、更に空缶同士を上下方向に積み重ね、全体として荷物収納スペースの天井に届くぐらいの直方体にし、パレットを含めて熱収縮フィルムでラッピングして形成される。
【0003】
このような空缶荷物のトラック輸送に際しては、荷台の床面に設置されたローラコンベアを利用して荷台の奥行き方向に向かってパレットを搬入する。つぎに、パレット上の空缶集合体の周囲に発泡板等のクッション材を配置する。パレットの搬入とクッション材の配置という作業を繰り返して荷台が一杯になると、荷台入口から奥行き方向に空缶荷物の全体を押し込むためのラッシングベルトを締めつけて荷崩れ防止を図っていた。
【0004】
しかしながら、一つのパレットを搬入する毎に、クッション材を配置するという作業が必要であり、荷物の搬入・搬出に時間がかかる。また、空缶荷物の搬送時には上記クッション材が必須となるため、空荷の場合にはクッション材を整列してトラック荷台の適所に固定しておく必要がある等のようにクッション材の整理整頓にも時間がかかる。さらに、クッション材の配置やラッシングベルトの締付に際しては、空缶をへこませないように熟練した技能が必要になる。また、クッション材をトラック荷台の適所に固定しているので、帰り荷を積み込む荷台の収納スペースが少なくなる。
【0005】
一方、荷台側壁および中央に長尺筒状体を配置し、長尺筒状体に空気を供給して膨らませ、空缶荷物を固定するものがある(例えば、特許文献1参照。)。しかし、長尺筒状体をそのままで使用すると、空缶集合体は側面からの力で容易に変形するため、使用することができない。
【0006】
また、空缶荷物の上下方向の大きな強度を利用し、荷台の天井に膨張体を配置して空缶荷物を固定するものがある(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、このように荷台の天井から空缶荷物を押さえつけて固定することはできるが、横方向から空缶荷物を固定することはできない。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−53230号公報 (第4頁、第2図)
【特許文献2】
特開平10―297352号公報 (第3−4頁、第1−3図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述のような状況を鑑みなされたものであり、荷物の強度に関係なく荷物をいためず、余分なクッション材を積み込まずに済み、短時間で荷物の固定作業を行える荷崩れ防止装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の荷崩れ防止装置は、荷物収納スペース内の天井から吊り下げられ、前記荷物収納スペース内に配置された荷物間の隙間に配置され、エア供給およびエア排気する配管部材が接続されるエア給排口を有し、内部にエア供給すると一定の巾に膨張し前記隙間を埋めるとともに、前記荷物を面で押さえて固定するエアパネルと、前記エアパネルを前記荷物収納スペースの前記天井から吊り下げる吊下手段と、前記エアパネルの下側を前記荷物収納スペースの底面に固定する固定ベルトと、を備えている。そして、前記エアパネルが、前記吊下手段と前記固定ベルトとで前記面の面内方向であって水平方向及び垂直方向に対して斜め方向に引っ張るようにして保持されてなるものである。
【0010】
このような構成によると、荷物収納スペース内に収納される荷物を天井から吊下げられたエアパネル内にエア供給することによって、一定の巾に膨張して荷物の隙間を埋めるとともに、そのエアパネルの表面は略平坦であるため、荷物に余分な力をかけずに荷崩れを防止することができる。また、エアパネルは、エア供給すると膨張し、エア排気すると縮小するので、荷物の搬入出時等で邪魔にならず、荷物の固定および解除を容易に行うことができる。つまり、搬入時は、エアを供給せずに荷物を搬入し、そして輸送前にエアパネル内にエア供給するだけで荷物を荷崩れしないように固定することができる。また、搬出時にエアパネルからエア排気して荷物の固定を解除することができる。また、エアパネルの下側を固定ベルトで荷物収納スペースの床面に固定されていることによって、エアパネルが輸送時に上下に振れず一定の場所に留まる。従って、荷物にエアパネルによる余分な衝撃を与えず輸送することができる。また、エアパネルを吊下手段と固定ベルトとで斜め方向に引張るようにして保持することによって、奥行き方向に隣り合うエアパネルの吊下手段同士と固定手段同士との一端部を固定する天井固定部と床面固定部とを共用することができると共に、エアパネルに奥行き方向の張力を与えることができる。従って、エアパネルに皺を生じさせず、荷物を略平坦な表面で固定することができる。
【0011】
請求項2に記載の荷崩れ防止装置は、請求項1において、前記エアパネルは、前記天井の巾方向の略中央から吊り下げられるものである。
【0012】
このような構成によると、荷物収納スペース内の奥行き方向に2列に並べた荷物同士の隙間に天井から吊下げられたエアパネルを配置させることができる。従って、エアパネル内にエア供給することによって、一定の巾に膨張して荷物同士の隙間を埋めるとともに、そのエアパネルの表面は略平坦であるため、荷物に余分な力をかけずに荷崩れを防止することができる。
【0015】
請求項3に記載の荷崩れ防止装置は、請求項1または2において、前記吊下手段は、伸縮性を有するベルトであるものである。
【0016】
このような構成によると、エアパネルを伸縮性のあるベルトで吊下げることによって、荷物輸送時に荷物収納スペースの天井から伝わる振動を吸収することができる。従って、荷物にエアパネルによる余分な衝撃を与えず輸送することができる。
【0019】
請求項4に記載の荷崩れ防止装置は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、前記エア給排口は、前記配管部材との取付けを着脱式とするものである。
【0020】
このような構成によると、エアパネルのエア給排口とエアが流通する配管部材との取付けを容易にできる。従って、エアパネルの設置や収納時等の作業性が向上する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る荷崩れ防止装置の実施の形態例について、図1乃至図7に基づいて以下に説明する。
【0022】
図1は、トラック荷物収納スペースに適用された本発明に係る荷崩れ防止装置の機器配置を示す概略斜視図である。図1に示すように、荷崩れ防止装置1は、トラックの荷物収納スペース2の天井3の巾方向の略中央から吊下げられ、荷物収納スペース2の底面である荷台の床面4に配置された荷物5の隙間に配置され、エア供給およびエア排気する配管部材18が接続されるエア給排口6と内部の圧力を検知する圧力検知取出し口7を有するエアパネル8と、エアパネル8を荷物収納スペース2の天井3から吊下げる吊下手段9と、エアパネル8を荷台の床面4に固定する固定ベルト10と、空気が流通する主配管部材11と、圧力検知する圧力スイッチ12と、開閉弁としての電動弁13と、送風機または圧縮機の一例であるブロア14と、制御手段としてのコントロールボックス15からなっている。
【0023】
また、荷崩れ防止装置1が適用されたトラックの荷物収納スペース2では、図2に示すように両側面の上部20・20および両側面側の天井21・21が天井3の中央に形成された長尺支持部材23の長手方向の略中心軸を基準として破線で示すように回動して開く。また、両側面の下部22・22も破線で示すように回動して開く。このように両側面上部20・20および両側面側の天井21・21が回動して開くウイングタイプのトラックでは、天井3に回転支点が存在するため、長尺支持部材23が形成されており、本実施の形態例ではその長尺支持部材23を利用して荷崩れ防止装置1をセットし適用しているが、特に限定するものではない。例えば、荷物収納スペース2の後方扉が開くタイプでも後述する引掛部材35を直接、天井に取付けるか、長尺支持部材23を設けて引掛部材35を取付けることで適用可能となる。また、コンテナや鉄道車両等の荷物収納スペースでも同様にして適用可能である。
【0024】
図1に示すようにトラックの荷物収納スペース2の天井3に形成された長尺支持部材23にエアパネル8を奥行き方向に順次吊り下げ、各エアパネル8を床面4で固定ベルト10により固定する。このエアパネル8には、荷物と接する両表面8a・8a上部の角部に垂直方向に吊下手段9が設けられており、両表面8a・8a下部の角部には、固定ベルト10が設けられている。そして、表面8aの中央上部には、内部にエア供給およびエア排気する配管部材18が接続されるエア給排口6が設けられている。なお、エアパネル8内のエア圧力を検知する圧力取出し口7は、荷物収納スペース2の奥側に配置されるエアパネル8にのみ設けられている。
【0025】
このエアパネル8は、図1に示すよう荷物5の搬入量に応じて奥行き方向に所定間隔で設置され、エアパネル8を1枚にするか、複数枚にするのかは適宜決めれば良く、荷物5同士の隙間に存在すれば特に限定するものではない。また、材質や構造についても特に限定されるものではなく、例えば、特開2002−104580号公報に記載されているような織布の表面に樹脂コーティング、もしくは合成樹脂からなる表面材が固着された相対向する織布同士を全面に分散配置された多数本の中糸で連結して織布体を形成し、周面材によって織布体の4端面を被覆した立体織物を好適に使用することができる。また、実用新案登録第2563715号公報に記載されているような2枚の相対向する織布を所定間隔で複数のリブによって連結した構造であるエアバックも適用可能である。また、このようなエアパネルの荷物が接する表面にクッション材を貼り付けても良く、クッション材を貼り付けることで、より柔らかく荷物を押さえることができる。
【0026】
次いで、図3は本発明に係る荷崩れ防止装置を示す説明図であり、図3に示すように吊下手段9はエアパネル8の表面8aの上部の角部に垂直方向に設けられている。この吊下手段9は、図4、5に示すようにフック状でベルト端部9cと連結するリング部9dが形成された取付金具9bと、伸縮性のあるゴムベルトからなるベルト9aと、で構成されている。リング部9dにベルト9aを挿入して折り返し、リング部9eを形成する。そして、折り返したベルト9aを基のベルト9aに接着または縫い合わせてベルト9aと取付金具9bとが連結する。また、ベルト9aの他端部9fは、エアパネル8の両表面8a・8a上部の角部に接着材等により貼り付けて接続されている。なお、吊下手段9は、1つのエアパネル8に対して両表面8a・8a上部の各角部にそれぞれ1つずつ設けられている。
【0027】
また、吊下手段9のベルト9aは、ゴムベルトに限定するものではなく、バネ等の伸縮性があるものであれば適用することができる。例えば、金属製のバネの端部に取付金具と接続するためのベルト状の繋ぎ材を設け、他端部にエアパネルと接続するための繋ぎ材を設けることで前述した吊下手段9と同等のものが得られ適用することができる。
【0028】
このようにエアパネル8を伸縮性のあるベルト9aで吊下げることによって、荷物5輸送時に荷物収納スペース2の天井3から伝わる振動を吸収することができる。従って、荷物5にエアパネル8による余分な衝撃を与えず輸送することができる。
【0029】
前述した固定ベルト10は、取付金具10bと、その取付金具10bからエアパネル8の両表面8a・8a下部で垂直方向に設けられ、伸縮しない織布からなるベルト10aと、で構成されている。この固定ベルト10の取付金具10bは、図6に示すように前述した吊下手段9の取付金具9bと同様のものである。この取付金具10bに形成されているリング部10dにベルト10aが挿通され、図7に示すようにリング部10eを形成するために、ベルト10a同士が接着又は縫い合わせで一部貼り合わされている。そして、エアパネル8の両表面8a・8a下部の角部にベルト10aの両端部が接着材等により貼り付けて接続されている。
【0030】
このようにエアパネル8の下側を固定ベルト10で荷物収納スペース2の床面4に固定されていることによって、エアパネル8が輸送時に上下に振れず一定の場所に留まる。従って、荷物5にエアパネル8による余分な衝撃を与えず輸送することができる。
【0031】
前述したエアパネル8内にエア供給およびエア排気する配管は、以下の通りである。図3に示すようにエアパネル8のエア給排口6は、長尺支持部材23の下面23aに沿って配置された主配管部材11からT接続金具17によって分岐された配管部材18と接続されている。これらの配管部材18と接続されるエア給排口6は、着脱式であるためエアが流通する配管部材18との取付けを容易に出来る。従って、エアパネル8の設置や収納時の作業性が向上する。
【0032】
そして、主配管部材11は、荷物収納スペース2の奥側でL接続金具16で下向きに主配管部材11が配管され、図1に示すように荷台の床下をはうようにしてトラックの荷台の略中央部まで延長している。この主配管部材11に電動弁13およびブロア14を順に接続している。
【0033】
コントロールボックス15には、図1に示すように圧力スイッチ12と、供給−切−排気の3接点を有するトグルスイッチ15aとが設けられている。圧力スイッチ12はエアパネル8内の空気の圧力を検知するものであり、荷物収納スペース2の奥側に配置されているエアパネル8の圧力取出し口7に、図3に示すように接続金具19を介して圧力検知用配管材30が接続され主配管部材11と同様に荷台の床下をはうようにしてトラックの後方まで延長し圧力スイッチ12に戻される。また、コントロールボックス15は、図1に示すように配線F1によりバッテリー等の車載電源からの電力が導入され、配線F2を経てブロア14のモータ31を駆動し、配線F3を経て電動弁13を駆動する。配線F4は荷崩れ防止装置1の作動状況を知らせるための運転席確認ランプに対する配線である。
【0034】
ブロア14は、吐出口32と吸入口33を有するケーシング内に羽根車を納めたものであり、羽根車はモータ31で回転駆動される。電動弁13からの配管は吐出口32に接続され、吸入口33は大気開放されている。ただし、モータ31の回転を正逆に切り換えると、羽根車の回転方向も正逆に切り換わり、吸入口33から大気を吸い込んだり吐出したりする。
【0035】
このブロア14のタイプとしては、圧力を0.03kgf/cm2〜0.15kgf/cm2まで上げることができるもので、羽根の作用で生じる過流により通過空気の圧力を増加させるターボ型の送風機または圧縮機を用いることが好ましく、例えば、リングブロー(富士電機株式会社製)や、クランツブロア(株式会社高木鉄工所製)などがある。また、ブロア14は、車載電源で作動する。車載電源は、通常24Vの直流であり、プラスまたはマイナスの接続形態を変えるだけで、正転又は逆転に切り換えられる。
【0036】
また、図4、5に示すように長尺支持部材23には、前述した吊下手段9の取付金具9bを引っ掛ける引掛部材35が設けられた天井固定部34が形成されている。この引掛部材35は、凹形状で側面に取付金具9bのフックが引掛けられるようにU形状に切りかかれた切欠き部35aが形成されている。そして、四角断面の長尺支持部材23の側面に取付金具9bのフックが入る隙間を設けて下面23aに溶接で取付けられている。
【0037】
また、図6、7に示すように荷台の床面4には、固定ベルト10の取付金具10bのフックを引掛ける床引掛部材36が設けられた床面固定部37が形成されている。この床引掛部材36は、床面4から出っ張らないように設置されており、対向する両内側面36a・36aを繋ぐように丸棒36bが設けられている。この丸棒36bに固定ベルト10の取付金具10bのフックを引掛けエアパネル8を固定する。
【0038】
図2に示されるように、トラックの荷物収納スペース2は両側面24・24と天井3と荷台である床面4とで囲まれた長方形の箱になっており、床面4にはローラコンベヤ25が奥行き方向に延在するように設置されており、このローラコンベヤ25の上を荷物5が移動する。また、トラックの両側面上部20・20には、クッション材26がそれぞれ設けられている。
【0039】
また、荷物5はパレット27の上に空缶28を上下に積み重ねて空缶集合体29にし、パレット27と空缶集合体29を熱収縮フィルム38でラッピングしたものである。この荷物5が2列で収納されると荷物5同士の間に隙間が生じる。この隙間にエアパネル8を長尺支持部材23から吊下手段9を介して吊下げ、エアパネル8の下部の固定ベルト10で床面4に固定して設置し、エアパネル8内にエア供給し一定巾に膨張させるとともに荷物5同士の隙間を埋め、荷物5の側面をエアパネル8の面で押さえて、荷物5をエアパネル8とクッション材26とで挟持固定する。また、荷物5が搬入される前にエアパネル8は設置されている。
【0040】
このエアパネル8内にエア供給することによって、一定の巾に膨張して荷物5同士の隙間を埋めるとともに、エアパネル8と荷物5とが接するエアパネル8の表面8aは、略平坦であるため、荷物5に余分な力をかけず荷崩れを防止することができる。
【0041】
次に、荷崩れ防止装置1の搬入、搬出時のエア供給およびエア排気に関する作動について以下に説明する。
【0042】
コントロールボックス15のトグルスイッチ15aを「供給」にする。すると電動弁13が開き、ブロア14が正転運転する。ブロア14の吸入口33より吸入された空気は、吐出口32、電動弁13、主配管部材11、を経てエアパネル8にエア供給される。エア供給とともに、荷物5の隙間に配置されたエアパネル8が膨張する。
【0043】
そして、圧力スイッチ12の予め設定された上限設定圧力に達すると電動弁13が閉じるとともに、ブロア14の回転駆動が停止する。するとエアパネル8の内部に圧力空気が閉じ込められ、エアパネル8が一定巾に膨張して略平坦な表面8aで荷物5の側面を押さえ、荷物5をクッション材26とで挟持固定する。
【0044】
そして、輸送時等でエアパネル8、配管部材および配管部材の接続部等から僅かな漏れで徐々に圧力が低下し、圧力スイッチ12の下限設定圧力になると、ブロア14が正転駆動されると同時に電動弁13が開く。そして短時間のブロア14の駆動で再び上限設定圧力に達すると、電動弁13が閉じるとともに、ブロア14の回転駆動が停止する。この状態を繰り返すことにより長時間にわたってエアパネル8内の圧力が上限設定圧力と下限設定圧力との間に保たれ、荷物5の挟持固定が維持される。
【0045】
次に、トラックの荷物収納スペース2から荷物5を搬出する場合は、トグルスイッチ15aを「排気」にする。すると電動弁13が開き、ブロア14が逆転駆動される。また、コントロールボックス15内のタイマが逆転駆動の時間計測を開始する。それを越える時間の間ブロア14が逆転駆動すると、エアパネル8内は負圧となり完全に扁平な状態になる。そして、タイマがタイムアップすると、電動弁13を閉じると同時にブロア14の逆転駆動が停止される。電動弁13を閉じることで完全な扁平状態が維持される。
【0046】
なお、トグルスイッチ15aの「切」は搬出作業が終了した場合、「供給」、「排気」動作を一時中断したい場合に使用する。この状態では、電動弁13が閉じるとともに、ブロア14の回転駆動が停止する。
【0047】
このようにエアパネル8は、エア供給すると膨張し、エア排気すると縮小するので、荷物5の搬入出時等で邪魔にならず、荷物5の固定および解除を容易に行うことができる。つまり、搬入時は、エアを供給せずに荷物5を搬入し、そして輸送前にエアパネル8内にエア供給するだけで荷物5を荷崩れしないように固定することができる。また、搬出時にエアパネル8からエア排気して荷物5の固定を解除することができる。
【0048】
次に、本発明に係る荷崩れ防止装置の他の実施形態例を図8を参照しつつ説明する。図8に示す荷崩れ防止装置40と前述した荷崩れ防止装置1の異なる点について以下に説明する。なお、前述した荷崩れ防止装置1と同様のものは同符号で示し、説明を省略する。
【0049】
この荷崩れ防止装置40は、エアパネル8の荷物5と接する面である両表面8a・8a上部の角部に吊下手段41および固定ベルト42が設けられており、前述した吊下手段9と固定ベルト10と同様の材質、形状である。この吊下手段41と固定ベルト42は、図8に示すような斜め方向になるようにエアパネル8に貼り付け接続されている。
【0050】
つまり、隣り合うエアパネル8が存在する側に位置する吊下手段41は、前述した取付金具9bと同様の形状をした取付金具41bのリング部41dで吊下手段41同士を連結している。また、隣り合うエアパネル8が存在しない側に位置する吊下手段41は、取付金具41bのリング部41dに単独で連結している。この取付金具41bのリング部41dと吊下手段41との連結は、前述の吊下手段9と同様である。
【0051】
そして、長尺支持部材23に設けられる引掛部材45は、前述した引掛部材35と同様のもので配置される位置が異なるだけである。つまり、隣り合うエアパネル8が存在する側では、エアパネル8の荷物5と接する両表面8a・8aの垂直方向の中心軸同士の略中間位置に設けられている。また、隣り合うエアパネル8が存在しない側では、その中心軸同士の略中間位置までの距離と同距離で中心軸を対称とした位置に引掛部材45が設けられている。このようにして吊下手段41の端部を固定する天井固定部43が形成される。
【0052】
前述した固定ベルト42も吊下手段41と同様に隣り合うエアパネル8が存在する側の固定ベルト42は、前述した取付金具10bと同様の形状をした取付金具42bのリング部42dで固定ベルト42同士を連結している。また、隣り合うエアパネル8が存在しない側の固定ベルト42は、吊下手段41と同様に取付金具42bのリング部42dに単独で連結している。この取付金具42bのリング部42dと固定ベルト42との連結は、前述の固定ベルト10と同様である。
【0053】
そして、荷台の床面4に設けられ、固定ベルト42の取付金具42bのフックを引掛ける床引掛部材46は、前述した床引掛部材36と同様のものであり、配置される位置が異なるだけである。つまり、床引掛部材46は引掛部材45と対向する位置に形成されている。このようにして、固定ベルト42の端部を固定する床面固定部44が形成される。
【0054】
以上のようにエアパネル8の吊下手段41と固定ベルト42とを斜め方向に有し、エアパネル8を吊下手段41と固定ベルト42とで斜め方向に引張るようにして保持することによって、奥行き方向に隣り合うエアパネル8の吊下手段41同士と固定ベルト42同士との一端部を固定する天井固定部43と床面固定部44とを共用することができると共に、エアパネル8に奥行き方向の張力を与えることができる。従って、エアパネル8に皺を生じさせず、荷物を略平坦な表面8aで固定することができる。
【0055】
以上説明したような荷崩れ防止装置を使用することで、荷物収納スペース2内に余分なクッション材を積み込まずに済み、短時間で荷物5の固定作業を行うことができる。また、エアパネル8の表面8aが略平坦な面であるため、荷物5の強度に関係なく荷物5をいためず、且つ荷物5に余分な力をかけずに荷崩れを防止することができる。
【0056】
【発明の効果】
請求項1の発明によると、荷物収納スペース内に収納される荷物を天井から吊下げられたエアパネル内にエア供給することによって、一定の巾に膨張して荷物の隙間を埋めるとともに、そのエアパネルの表面は略平坦であるため、荷物に余分な力をかけずに荷崩れを防止することができる。また、エアパネルは、エア供給すると膨張し、エア排気すると縮小するので、荷物の搬入出時等で邪魔にならず、荷物の固定および解除を容易に行うことができる。つまり、搬入時は、エアを供給せずに荷物を搬入し、そして輸送前にエアパネル内にエア供給するだけで荷物を荷崩れしないように固定することができる。また、搬出時にエアパネルからエア排気して荷物の固定を解除することができる。また、エアパネルの下側を固定ベルトで荷物収納スペースの床面に固定されていることによって、エアパネルが輸送時に上下に振れず一定の場所に留まる。従って、荷物にエアパネルによる余分な衝撃を与えず輸送することができる。また、エアパネルを吊下手段と固定ベルトとで斜め方向に引張るようにして保持することによって、奥行き方向に隣り合うエアパネルの吊下手段同士と固定手段同士との一端部を固定する天井固定部と床面固定部とを共用することができると共に、エアパネルに奥行き方向の張力を与えることができる。従って、エアパネルに皺を生じさせず、荷物を略平坦な表面で固定することができる。
【0057】
請求項2の発明によると、荷物収納スペース内の奥行き方向に2列に並べた荷物同士の隙間に天井から吊下げられたエアパネルを配置させることができる。従って、エアパネル内にエア供給することによって、一定の巾に膨張して荷物同士の隙間を埋めるとともに、そのエアパネルの表面は略平坦であるため、荷物に余分な力をかけずに荷崩れを防止することができる。
【0059】
請求項3の発明によると、エアパネルを伸縮性のあるベルトで吊下げることによって、荷物輸送時に荷物収納スペースの天井から伝わる振動を吸収することができる。従って、荷物にエアパネルによる余分な衝撃を与えず輸送することができる。
【0061】
請求項4の発明によると、エアパネルのエア給排口とエアが流通する配管部材との取付けを容易にできる。従って、エアパネルの設置や収納時等の作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラック荷物収納スペースに適用された本発明に係る荷崩れ防止装置の機器配置を示す概略斜視図である。
【図2】トラックの後方扉を開いた状態を示す説明図である。
【図3】本発明に係る荷崩れ防止装置を示す説明図である。
【図4】図3におけるA部拡大図である。
【図5】図3におけるB部拡大図である。
【図6】図3におけるC部拡大図である。
【図7】図3におけるD部拡大図である。
【図8】本発明に係る荷崩れ防止装置の他の実施の形態例を示す説明図である。
【符号の説明】
1、40 荷崩れ防止装置
2 荷物収納スペース
3 天井
4 床面
5 荷物
6 エア給排口
8 エアパネル
8a 表面
9、41 吊下手段
10、42 固定ベルト
18 配管部材
Claims (4)
- 荷物収納スペース(2)内の天井(3)から吊り下げられ、前記荷物収納スペース(2)内に配置された荷物(5)間の隙間に配置され、エア供給およびエア排気する配管部材(18)が接続されるエア給排口(6)を有し、内部にエア供給すると一定の巾に膨張し前記隙間を埋めるとともに、前記荷物(5)を面(8a)で押さえて固定するエアパネル(8)と、
前記エアパネル(8)を前記荷物収納スペース(2)の前記天井(3)から吊り下げる吊下手段(41)と、
前記エアパネル(8)の下側を前記荷物収納スペース(2)の底面(4)に固定する固定ベルト(42)と、を備えており、
前記エアパネル(8)が、前記吊下手段(41)と前記固定ベルト(42)とで前記面(8a)の面内方向であって水平方向及び垂直方向に対して斜め方向に引っ張るようにして保持されていることを特徴とする荷崩れ防止装置。 - 前記エアパネル(8)は、前記天井(3)の巾方向の略中央から吊り下げられることを特徴とする請求項1に記載の荷崩れ防止装置。
- 前記吊下手段(41)は、伸縮性を有するベルトであることを特徴とする請求項1または2に記載の荷崩れ防止装置。
- 前記エア給排口(6)は、前記配管部材(18)との取付けを着脱式とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の荷崩れ防止装置。
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