JP4196227B2 - 核酸またはタンパク質抽出用シリカ粒子組成物 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、水溶液中に安定に分散させ得るシリカ粒子組成物に関し、さらに詳しくは、比較的高濃度の塩溶液および/または高濃度の糖類溶液中に懸濁させたシリカ粒子組成物に関し、さらに、該組成物の試薬容器から反応容器となる試験管、マイクロチューブまたはプレート等への分注方法ならびに該組成物を含有する核酸またはタンパク質抽出用試薬キットおよび核酸またはタンパク質抽出法に関する。
本発明の組成物は、例えばシリカ粒子への核酸の結合を利用して核酸を単離するような核酸抽出試薬を用いた自動核酸抽出装置にも応用し得る。
【0002】
【従来の技術】
近年、分子生物学の分野において、生体試料よりデオキシリボ核酸(DNA)やリボ核酸(RNA)などを分離して、これらを解析する研究が盛んに行われている。生体試料よりDNAやRNAを分離するにあたり、様々な方法が考案されてきたが、その中でもシリカなどの粒子表面に物理的または特異的にDNAやRNAなどの核酸を結合(吸着)させる方法 (特開平 2-289596 号公報など) が、その簡便さから盛んに使用されるようになりつつある。一方、シリカ粒子など比重の重い粒子は水溶液中では分散性が悪く、該粒子を試薬容器からマイクロチューブ等へ分注する操作は、特に煩雑とならざるをえない状況にある。
【0003】
これらの操作を自動化するにあたり、磁性体粒子を磁力を用いて分離する方法が考案されている(特表平 4-501959 号公報、特表平 5-504095 号公報、特開平8-32027 号公報など)が、特にシリカと超常磁性金属酸化物などの複合体粒子を用いた場合、通常のシリカ粒子に比べて重く、分散性が低いため、分注操作はさらに煩雑なものにならざるを得ない。したがって、従来の技術、すなわち、水に懸濁された磁性シリカ粒子を試薬容器からマイクロチューブ等へ分注する場合、該粒子水溶液を激しく攪拌した後、粒子が分散している短時間に分注を完了しなければならない。また、そのようにして分注した溶液は濃度にムラができやすく、分注の順番により粒子の濃度が異なることが多いため、特に定量的な解析には向かないものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、比重の重いシリカ粒子を長時間、水溶液中に分散させておくことが、該粒子の試薬容器から反応容器への分注の簡便さ、また、分注精度の点からも強く望まれていた。特に、自動分注機を用いてシリカと超常磁性金属酸化物などの複合体粒子を反応容器となる試験管、マイクロチューブまたはプレート等へ分注するに当たっては最大の命題であった。すなわち、本発明の目的は、水溶液中に高度に分散させうるシリカ粒子組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは比重の重いシリカ粒子を、水溶液中に分散させるにあたり、水溶液の組成およびその濃度に着目し、種々の検討を行った。その結果、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化リチウム、酢酸アンモニウムなどの塩および/またはサッカロース、ソルビトールなどの糖類を高濃度で含む溶液が、比重の重いシリカ粒子を比較的長い時間、分散状態にしておくことが可能であることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明はシリカ粒子が、少なくとも0.5Mである無機塩または有機塩の塩溶液および/または少なくとも40(w/v) %である単糖類、多糖類または糖アルコールである糖類溶液に懸濁されていることを特徴とする核酸またはタンパク質抽出用シリカ粒子組成物である。
【0007】
また、本発明は分注器具または分注機器を用いて、上記シリカ粒子組成物を試薬容器から反応容器へ分注することを特徴とするシリカ粒子溶液を分注する方法である。
【0008】
さらに、本発明は上記シリカ粒子組成物、吸着用試薬、洗浄用試薬および溶出用試薬を含有する核酸またはタンパク質抽出用試薬キットである。
【0009】
本発明はタンパク質および核酸を含む細胞を上記シリカ粒子組成物および吸着用試薬と混合して、該細胞からタンパク質および核酸を取り出し、該シリカ粒子に核酸またはタンパク質を結合させて、残余の成分と分離させ、該シリカ粒子を洗浄した後、該シリカ粒子に結合した核酸またはタンパク質を溶出させることを特徴とする核酸またはタンパク質抽出法である。
【0010】
【発明の実施態様】
本発明において、シリカ粒子とはシリカを含む粒子であって、例えば二酸化珪素結晶、他の珪素酸化物、例えば珪藻土、ガラス粉末、化学修飾シリカ、シリカと超常磁性金属酸化物などの複合体がある。
【0011】
これらの成分より構成されるシリカ粒子としては、四三酸化鉄粒子を含有する磁性シリカ粒子が例示できる。これらの粒子は水よりも比重が重く、一般に比重1.0〜1.8であり、水に懸濁すると沈降し、容器の底に固いペレットを形成する性質があり、長い間、水溶液中に懸濁状態にしておくことが一般的に困難なものである。特に、分子生物学の分野で用いられている核酸吸着などに使用されている粒子は、直径が約0.1〜100μm程度のものが多く、それらの多くはこのような性質を有している。
【0012】
本発明におけるシリカ粒子組成物は、このような性質を有するシリカ粒子を高度に水溶液中に分散させたものである。また、この技術は、ラテックス粒子、金属粒子および修飾金属粒子などのシリカ粒子以外の粒子に応用可能であることも容易に予想できる。
【0013】
超常磁性金属酸化物としては、四三酸化鉄などが例示される。シリカと該超常磁性金属酸化物との複合体は、例えば、四三酸化鉄をテトラエトキシシランのアルコール溶液に添加し、超音波分散させながら、四三酸化鉄の表面にシリカを沈着させる。このようにして得られた分散液に、ケイ酸ナトリウムを加え、有機溶媒および界面活性剤 (ソルビタンモノステアレートのトルエン溶液) を加えて乳化し、W/O 型エマルジョンを形成させる。この乳濁液を硫酸アンモニウム水溶液に添加し、充分攪拌させる。その後、濾過分離、水洗、アルコール沈殿を行ない、乾燥させることにより、所望の球状シリカ粒子が得られる。
【0014】
シリカと該超常磁性金属酸化物との複合体の一例としては、▲1▼超常磁性酸化鉄を含む磁性粒子であって、▲2▼その比表面積が100〜800m2 /gであり、▲3▼上記酸化鉄がシリカで被覆されており、▲4▼さらに、微小シリカ粒子で構成される無機多孔性壁物質で複合されており、▲5▼上記酸化鉄の重量が10〜60wt%であり、▲6▼磁性シリカ粒子の表面積孔直径が0.1〜60nmであり、▲7▼磁性シリカ粒子の細孔容積が0.01〜1.5ml/gであり、そして、▲8▼磁性シリカ粒子の粒子径が0.1〜100、好ましくは0.5〜15μmである粒子が挙げられる。
【0015】
このようなシリカと該超常磁性金属酸化物との複合体としては、鈴木油脂製の磁性シリカ粒子(粒径1〜10μm、四三酸化鉄粒子30%(w/v) 含有、比表面積280m2 /g、表面細孔直径2〜6nm、細孔容積0.025ml/g)が例示される。
【0016】
本発明にて用いられる塩溶液とは、無機塩溶液または有機塩溶液であり、無機塩溶液としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはアンモニアのハロゲン化物またはチオシアン酸塩を含む溶液があり、例えば塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化マグネシウム、チオシアン酸ナトリウムの水溶液が包含される。有機塩溶液としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニアの酢酸塩を含む溶液があり、例えば酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸マグネシウムの水溶液が包含される。これらを組み合わせて用いても良い。その濃度は少なくとも0.5M、好ましくは3〜10Mの高濃度にて使用する。0.5M未満であると、シリカ粒子の分散性が低下し、分注精度が低下する。
【0017】
上記溶液は他の成分、例えば緩衝液、キレート剤または界面活性剤などを含有していても良い。
【0018】
本発明にて用いられる糖類溶液とは、単糖類、多糖類または糖アルコールの溶液であり、例えばグルコース、ガラクトース、フルクトースなどの単糖類、サッカロース、マルトース、ラクトースなどの二糖類およびソルビトール、マンニトール、ガラクチトールなどの糖アルコール類が含まれる。これらを組み合わせても良い。
本発明では糖類の濃度が少なくとも40(w/v) %、好ましくは50〜60(w/v) %である。40(w/v) %未満であると、シリカ粒子の分散性が低下し、十分に分散されず満足いく分注精度を得ることが難しくなる傾向にある。
上記溶液は他の成分、例えば防腐剤、緩衝液、キレート剤または界面活性剤などを含有しても良い。
【0019】
シリカ粒子の水溶液中での分散性は、溶液中に溶解している物質の種類及び濃度が重要であり、その効果は、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化マグネシウムおよび酢酸アンモニウムなどの塩、またはサッカロース、ソルビトールなどの糖類に高い傾向が認められる。これら以外の塩類および糖類においても同様な効果が期待される。本発明では塩溶液に糖類が溶解されていてもよい。
【0020】
該シリカ粒子を試薬容器から反応容器となるマイクロチューブ等へ自動分注する分野では、一般的には懸濁したシリカ粒子を約5分間以内に分注する操作が主体となるため、少なくとも5分間以内での粒子の分散性が重要となる。本発明のシリカ粒子組成物を用いた場合、シリカ粒子を水に懸濁した場合に比べ、5分間以内での粒子の分散性は飛躍的に向上し、分注の精度が上昇することが明らかとなり、この方法を応用した自動分注システムの構築も可能である。
また、本発明のシリカ粒子組成物を用いると、5分間以後の粒子の分散性も蒸留水に懸濁した場合に比べ、飛躍的に向上していることも確認されており、沈殿した粒子の再懸濁も容易になるものと思われる。
【0021】
長期保存における溶液の腐敗という面から考えると、シリカ粒子の懸濁には、塩類の溶液が好ましい。一方、糖類溶液を用いる場合は、防腐剤を添加することが好ましい。また、塩溶液としては、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウムなどの塩溶液が好ましい。また、塩結晶の析出などのことも考えると、特に塩化リチウムが最も結晶が生じにくく、優れている。
【0022】
本発明を実施するに当たり、上記無機塩または有機塩の塩溶液および/または単糖類、多糖類または糖アルコールの糖類溶液を核酸吸着等の反応系に持ち込むことによって、該反応系が阻害されないように、溶液の種類を選択することが好ましい。特に、核酸等をシリカ粒子に吸着させるような場合、反応系に持ち込んだイオンの種類や濃度により、その選択性や許容力などに影響が及ばないような溶液を選択する必要がある。
【0023】
本発明によるシリカ粒子組成物は、比重の重いシリカなどの粒子を比較的長時間にわたって、水溶液中に分散状態に保つことができ、粒子の試薬容器から反応容器となる試験管、マイクロチューブおよびプレート等への分注(特に自動分注機)を用いた分注を容易にする。本発明のシリカ粒子組成物は、シリカ粒子への核酸の吸着を利用した核酸の抽出装置などへ使用される。また、シリカ粒子を利用した様々な用途、例えば化粧材料、塗料、接着などの分野への応用も可能である。
【0024】
本発明の一実施態様としては、シリカと超常時性金属酸化物などとの複合粒子(磁性シリカ粒子:直径1〜10μm)を約0.5〜5Mの塩化ナトリウムまたは塩化リチウムに懸濁した組成物がある。該組成物を使用することにより、安定した粒子懸濁液の供給および磁性シリカ粒子の自動分注が可能となるため、核酸の自動抽出機などに応用可能である。
【0025】
また、本発明はシリカ粒子組成物を分注器具または分注機器を用いて、試薬容器から反応容器となる試験管、マイクロチューブまたはプレート等へ分注する。分注器具としては、メスピペット、マイクロピペッターおよびシリンジなどが考えられる。分注機器としては、シリンダーを用いたピペットタイプの分注機およびポンプを用いた加圧式分注機などが考えれられる。また、分注方法としては、懸濁された溶液をシリンダーを介してチップ内に吸入し分注する方法および管を通してポンプ等の圧力を利用してノズルより押し出し分注する方法などが考えられる。
【0026】
さらに、本発明の核酸またはタンパク質抽出用試薬キットは上記シリカ粒子組成物、さらに核酸またはタンパク質を容易に吸着させるための吸着用試薬、粒子に吸着した非特異的成分を洗浄する洗浄用試薬および粒子表面から核酸またはタンパク質を溶出するための溶出用試薬を含む。吸着用試薬としては、例えば、グアニジン塩、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、(イソ)チオシアン酸ナトリウム、尿素またはこれらの混合物などのカオトロピック試薬などが例示される。また、吸着用試薬は、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液などの緩衝剤、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTA)などのキレート剤および/またはエタノールなどの有機溶媒を含有していてもよい。洗浄用試薬は上記トロピックス物質またはエタノールなどの有機溶媒を含有していてもよい。洗浄用試薬は、上記緩衝剤および/またはキレート剤を含有していてもよい。粒子表面から核酸またはタンパク質を溶出する溶出用試薬には、低塩濃度緩衝液、水などを使用する。吸着液、洗浄液および溶出液の成分は、上記以外に用途によって様々な組成を選択することができる。
【0027】
また、核酸またはタンパク質を抽出するには、該試薬キットに含まれる試薬を定められた順序で混合、分離および加温等の操作を行う必要がある。
例えば、タンパク質および核酸を含む細胞を上記シリカ粒子組成物および核酸またはタンパク質吸着用試薬と混合して、該細胞からタンパク質および核酸を取り出し、該シリカ粒子にタンパク質または核酸を結合させて、残余の成分と分離させ、該シリカ粒子を洗浄した後、該シリカ粒子に結合した核酸またはタンパク質を溶出させることにより、核酸またはタンパク質を抽出する。
抽出された核酸は、公知の核酸増幅法を用いて増幅した後、公知の検出法にて検出することができる。本発明の核酸またはタンパク質抽出法は、研究用または臨床診断用の核酸またはタンパク質の調製に適用できる。
【0028】
【実施例】
以下に、本発明を実施例より、具体的に説明する。
実施例1 粒子沈降試験
(1)磁性シリカ粒子懸濁液の調製
磁性シリカ粒子(粒径1〜10μm 、四三酸化鉄粒子30%(w/v) 含有、比表面積280m2 /g、表面細孔直径2〜6nm、細孔容積0.025ml/g:鈴木油脂製)0.4gを下記表1に示される化合物を含む溶液1mlを入れたマイクロチューブの中にて懸濁してシリカ粒子懸濁液を調製した。
以下の試薬の調製に用いた試薬は、ナカライテスク社製のものを使用し、水は蒸留水を用いた。
【0029】
(2)沈降試験
(1)にて調製した、磁性シリカ粒子懸濁液それぞれを収容するマイクロチューブを転倒混和して完全に懸濁し、1mlシリンジ(テルモ社製:SS−01T)にて1mlの目盛りまで吸引した。その後、シリンジを試験管立てに固定し、5分後に溶液と磁性シリカ粒子との界面を高さ、すなわち、粒子が何mlのラインまで沈降したかを測定した。測定は2度行い、平均した界面の高さを0分の界面の高さで割ったものを分散率とした。その結果を下記表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1から明らかなように、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化リチウム、塩化アンモニウム、塩化マグネシウムなどの塩溶液またはサッカロース、ソルビトールなどの糖類の溶液に、高い粒子分散効果が認められた。これら溶液においては、蒸留水懸濁液が5分後に70%まで界面が下降したのに対して、90%以上の界面が保たれていた。この傾向は、これら溶液濃度が濃いほど顕著であり、5Mの塩化ナトリウム溶液、ヨウ化ナトリウム溶液、塩化リチウム溶液、塩化アンモニウム溶液および2Mの塩化マグネシウム溶液においては、0.95以上の分散率が得られることが分かった。
【0032】
塩の濃度については塩化リチウムにおいては、0.5M以上にて顕著であり、0.5Mにおいても、明らかに比重の高い2Mの塩化カリウム溶液よりも分散性が高いことがわかった。また、糖類溶液の濃度についてはサッカロースにおいて、40%(w/v)以上の濃度において顕著であった。これらのことから、粒子の分散性を高める効果は、溶液中に溶解している物質の種類およびその濃度に大きく左右されることが明らかとなった。
【0033】
また、5分より後の粒子の分散率を5Mの塩化リチウム溶液、蒸留水について比較したところ、30分後においても顕著な差がみられ、蒸留水懸濁液においては分散率が0.4以下であったのに対し、5M塩化リチウム懸濁液においては0.6以上であった(図1)。
【0034】
実施例2 分注試験
(1)粒子懸濁液の調製
実施例1と同様な方法に従い、磁性シリカ粒子懸濁液(5M塩化リチウム溶液、蒸留水)を2ml調製した。
【0035】
2.5ml容量のコンビチップ(エッペンドルフ社製)を装着した連続分注ピペット(エッペンドルフ社製)に(1)にて、既に調製してある5M塩化リチウムおよび蒸留水の磁性シリカ粒子懸濁液を1.2ml吸引し、あらかじめ秤量したマイクロチューブに50μlづつ、5秒毎に19本連続分注を行った。分注する際、分注機は床面に対して垂直になるように行った。分注終了後、分注量がほぼ正確であることを確認し、分注されたマイクロチューブを秤量し、あらかじめ秤量しておいた値を差し引いて分注された粒子溶液の重量を算出した。
【0036】
その結果を図2に示す。図2から明らかなように、5M塩化リチウムに懸濁した磁性シリカ粒子を分注したものは、蒸留水に懸濁したものに比べ、安定した数値が得られることが分かった。塩化リチウム懸濁液と蒸留水懸濁液の分注重量のCV(%)(標準偏差/平均値×100)はそれぞれ0.94%及び、3.26%であった。このばらつきは、分注された懸濁液中に含まれる磁性粒子の濃度に起因していると推察される。
【0037】
蒸留水懸濁液を連続分注した場合、最初から13番目までの分注において、その分注された液の重量が徐々に増加し、13番目以降、徐々に減少する傾向がみられた。この現象は、実施例1の結果からも容易に予測可能であり、時間を経るに従って、粒子懸濁液に濃度勾配が生じていたことが予想される。よって、本発明の方法を用いることにより、均一なシリカ懸濁液を連続的に分注することが可能になることが示された。
【0038】
【発明の効果】
本発明により、比重の重いシリカ粒子を水溶液中に分散させておくことが容易に可能となる。また、本発明のシリカ粒子組成物は、自動分注器を利用した核酸抽出装置などに応用可能である。この方法を核酸またはタンパク質の精製に応用することにより、従来法に比べ、再現性のある確実な抽出結果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁性シリカ粒子懸濁液の分散率と放置時間との関係を示す図である。
【図2】磁性シリカ粒子懸濁液を連続分注した時の、分注重量の変化を示す図である。
Claims (5)
- 比重が1.0〜1.8であって、粒径が0.1〜100μmである、四三酸化鉄粒子を含有する磁性シリカ粒子が、
少なくとも40(w/v)%であるサッカロース溶液またはソルビトール溶液、ならびに、
少なくとも40(w/v)%であるグリセリン溶液、
よりなる群から選択された1種以上の溶液に懸濁されていることを特徴とする核酸またはタンパク質抽出用シリカ粒子組成物。 - 分注器具または分注機器を用いて、請求項1記載のシリカ粒子組成物を試薬容器から反応容器へ分注することを特徴とするシリカ粒子溶液を分注する方法。
- 請求項1記載のシリカ粒子組成物、吸着用試薬、洗浄用試薬および溶出用試薬を含有する核酸またはタンパク質抽出用試薬キット。
- 吸着用試薬が、カオトロピックス試薬、緩衝液および必要により有機溶媒を含有する請求項3記載の核酸またはタンパク質抽出用試薬キット。
- タンパク質および核酸を含む細胞を請求項1記載のシリカ粒子組成物および吸着用試薬と混合して、該細胞からタンパク質および核酸を取り出し、該シリカ粒子に核酸またはタンパク質を結合させて、残余の成分と分離させ、該シリカ粒子を洗浄した後、該シリカ粒子に結合した核酸またはタンパク質を溶出させることを特徴とする核酸またはタンパク質抽出法。
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