JP4193378B2 - 画像ファイル生成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像データと該画像データの画像処理に用いられる画像処理制御データとを含む画像ファイルを生成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディジタルスチルカメラが普及している。ディジタルスチルカメラは、電荷結合素子(CCD)などの光に反応する半導体素子を用いて画像を電気信号に変換し、ディジタルデータとして磁気ディスクや半導体メモリに記憶する。ディジタルスチルカメラは、通常、液晶ディスプレイを搭載しているため、撮影者は、撮影した画像をその場で確認したり、気に入らない画像を削除できる。また、ディジタルスチルカメラで撮影した画像データは、汎用のパーソナルコンピュータのモニタや、プリンタなどの画像出力装置を用いて出力することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ディジタルスチルカメラは、そのメーカや機種によって生成される画像の明るさや色合いが異なる場合がある。また、画像出力装置の機種によっても出力される画像の明るさや色合いが異なる場合がある。このため、撮影者が意図する画像と実際に画像出力装置で出力される画像との間にずれが生じることが多かった。
【0004】
しかも、撮影者の嗜好は様々である。ディジタルスチルカメラ、プリンタ等のメーカが、理想的な色再現が行われるように機器の設定を行ったとしても、それが必ずしもユーザの嗜好に沿うものではない場合があった。このような場合、ユーザは、プリンタ等の画像出力環境やユーザの嗜好に応じて個々に画像データを加工しなければなかった。そして、この作業は非常に煩雑であった。更に、画像データを加工した場合、加工前の画像データに戻すことは困難だった。従って、加工前のデータは必要な場合には、別ファイルとして保存しておく必要があった。
【0005】
ここでは、ディジタルスチルカメラを例にとって説明したが、類似の課題はディジタルビデオカメラやスキャナなどの画像データ生成装置においても同様に生じ得る。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、画像データの作成者の嗜好に応じた画像を柔軟に出力する技術を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明では、以下の構成を採用した。
本発明の第1の画像ファイル生成装置は、
画像データと該画像データの画像処理に用いられる画像処理制御データとを含む画像ファイルを生成する画像ファイル生成装置であって
記画像処理制御データを入力する画像処理制御データ入力部と、
前記画像処理制御データの補正データを入力する補正データ入力部と、
前記画像データと前記画像処理制御データと前記補正データとを一体的に備える画像ファイルを生成する画像ファイル生成部と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
本発明の画像ファイル生成装置は、画像データと画像処理制御データと画像処理制御データの補正データとを含む画像ファイルを生成する。例えば、Exif形式の画像ファイルは、画像データを格納する領域と付属データを格納する領域とを備えている。かかる形式では、付属データを格納する領域に画像処理制御データとその補正データとを格納することができる。ここで、「画像処理制御データ」とは、画像処理装置が画像データに対して施す画像処理を制御するデータである。画像処理装置は、画像ファイルに含まれる画像処理制御データや補正データを解析することによって、画像処理に用いるパラメータを自動的に設定し、画像データに対して画像処理を施すことができる。このパラメータには、「コントラスト」、「明るさ」、「カラーバランス」、「彩度」、「シャープネス」、「ガンマ値」、「ターゲット色空間」などが含まれる。「ターゲット色空間」とは、例えば、sRGB色空間やNTSC色空間等、画像データの生成時に使用された色空間に応じて画像処理時に使用される色空間を特定するパラメータである。
【0009】
上記各パラメータを有する画像処理制御データは、予めメーカによって用意される。この画像処理制御データは、メーカの意図に沿った画像処理を画像データに対して施すためのものであるため、任意に編集されることは好ましくない。本発明では、画像処理制御データと、ユーザが任意に設定可能な画像処理制御データの補正データを用意し、これらと画像データとを一体的に備える画像ファイルを生成する。画像処理制御データと補正データとを任意に組み合わせることによって、画像処理制御データを利用可能な画像処理装置で画像データに対して柔軟に画像処理を施し、画像出力装置で出力することができる。更に、画像処理制御データと補正データとを識別可能に画像ファイルを生成するので、画像ファイル生成後の取り扱いの自由度が高い。例えば、後から画像ファイルに含まれる補正データを変更したり削除したりすることを可能にすることができる。補正データを削除することにより、画像処理の内容を、予め用意された画像処理制御データを用いた処理内容に容易に戻すことができる。なお、補正データは、画像処理制御データを補正するデータであるので、例えば、画像処理制御データに加えるデータであってもよいし、掛け合わせるデータであってもよい。
【0010】
本発明の第2の画像ファイル生成装置は、
画像データと該画像データの画像処理に用いられる画像処理制御データとを含む画像ファイルを生成する画像ファイル生成装置であって、
前記画像データと前記画像処理制御データとを含む原画像ファイルを入力する画像ファイル入力部と、
前記画像処理制御データの補正データを入力する補正データ入力部と、
前記画像データと前記画像処理制御データと前記補正データとを一体的に備える画像ファイルを生成する画像ファイル生成部と、
を備えることを要旨とする。
【0011】
こうすることによって、既に生成された画像データと画像処理制御データとを含む原画像ファイルに、後から補正データを追加することができる。この結果、上述した本発明の第1の画像ファイル生成装置と同様にして柔軟な画像出力が可能になる。
【0012】
本発明の画像ファイル生成装置において、
更に、前記補正データを編集する補正データ編集部を備え、
前記画像ファイル生成部は、前記画像データと前記画像処理制御データと前記編集された補正データとを一体的に備える画像ファイルを生成するようにしてもよい。
【0013】
こうすることによって、補正データを任意に編集し、より柔軟に設定することができる。
【0014】
また、本発明の画像ファイル生成装置において、
更に、前記補正データを予め記憶する補正データ記憶部を備え、
前記補正データ入力部は、前記補正データ記憶部から前記補正データを入力するようにすることができる。
【0015】
こうすることによって、頻繁に使用する補正データを補正データ記憶部に記憶しておき、必要に応じて読み出して使用することができる。予め記憶する補正データは、複数用意することが好ましい。こうすれば、複数の補正データを適宜使い分けることができる。
【0016】
また、本発明の画像ファイル生成装置において、
前記補正データ入力部は、前記補正データを記録媒体または通信を介して入力するようにしてもよい。
【0017】
こうすることによって、画像ファイル生成装置は、補正データを画像ファイル生成装置外から取り込むことができる。画像ファイル生成装置の外部には、画像ファイル生成装置のメモリ容量に依存せずに多様な補正データを記憶することが可能である。従って、ユーザは、外部に記憶してある多様な補正データの中から好みに合ったものを必要に応じて画像ファイル生成装置に入力し、利用することができる。例えば、ディジタルスチルカメラメーカがインターネット上のWebページで多種多様な画像処理制御データの補正データのセットを提供し、ユーザが自分の好みに合ったセットをダウンロードしてディジタルスチルカメラに組み込む方法を採ることができる。また、ユーザは、他のユーザが設定した補正データを利用することもできる。更に、補正データの変更によって出力される画像がどのように変化するのかを実験できるシミュレータを用意し、実験で得られた補正データを画像ファイル生成装置に供給することもできる。つまり、補正データ設定の利便性を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の画像ファイル生成装置において、
更に、前記画像処理制御データを編集して編集画像処理制御データを生成する画像処理制御データ編集部と、
該編集画像処理制御データと前記画像処理制御データに基づいて、両者の関係を示す補正データを生成する補正データ生成部と、を備え、
前記補正データ入力部は、前記補正データ生成部で生成された補正データを入力するようにしてもよい。
【0019】
こうすることによって、画像処理制御データの補正データを画像ファイル生成装置の内部で生成し、利用することができる。
【0020】
本発明は、上述した画像ファイル生成装置の他、画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理装置の態様で構成することもできる。この態様は、上述の画像ファイル生成装置とサブコンビネーションの関係に相当する。
即ち、本発明の画像処理装置は、
画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理装置であって、
前記画像データと該画像データの画像処理に用いられる画像処理制御データと該画像処理制御データの補正データとを含む画像ファイルを入力する画像ファイル入力部と、
前記画像データに対して、前記画像処理制御データと前記補正データとを用いて所定の画像処理を施す画像処理部と、
を備えることを要旨とする。
【0021】
こうすることによって、上述した本発明の画像ファイル生成装置で生成された画像ファイルを取得したときに、画像処理制御データとその補正データとを用いて、画像データに対して画像処理を実行することができる。
【0022】
なお、本発明の画像処理装置において、上述した画像ファイル生成装置と同様に、補正データを追加したり、編集したりして画像処理を行うように構成することも可能である。また、画像ファイルに含まれる補正データをキャンセルして画像処理を実行するようにしてもよい。
【0023】
本発明は、上述の画像ファイル生成装置、画像処理装置としての構成の他、画像ファイルの生成方法、画像処理方法の発明として構成することもできる。また、これらを実現するコンピュータプログラム、およびそのプログラムを記録した記録媒体、そのプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号など種々の態様で実現することが可能である。なお、それぞれの態様において、先に示した種々の付加的要素を適用することが可能である。
【0024】
本発明をコンピュータプログラムまたはそのプログラムを記録した記録媒体等として構成する場合には、画像ファイル生成装置、画像処理装置を駆動するプログラム全体として構成するものとしてもよいし、本発明の機能を果たす部分のみを構成するものとしてもよい。また、記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置などコンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき以下の順序で説明する。
A.画像出力システムの構成:
B.画像ファイル生成装置:
C.画像ファイルの構成:
D.画像ファイルの生成:
E.第2実施例の画像ファイル生成装置:
F.第3実施例の画像ファイル生成装置:
G.画像出力装置:
H.画像出力装置における画像処理:
I.その他の実施例:
【0026】
A.画像出力システムの構成:
図1は、一実施例としての画像出力システム10の概略構成を示す説明図である。本実施例の画像出力システム10は、画像ファイル生成装置としてのディジタルスチルカメラ12と、画像処理装置および画像出力装置としてカラープリンタ20とから構成される。
【0027】
ディジタルスチルカメラ12は、種々の撮影条件や出力制御データPIMを設定できる。撮影条件とは、シャッタースピードや、露出や、絞りなど、画像データの取得条件を意味する。出力制御データPIMとは、カラープリンタ20での画像処理を含む印刷処理を制御するためのデータであり、プリントコマンドや画像処理に用いる画像処理制御データを含む。ディジタルスチルカメラ12は、ユーザに設定された撮影条件で撮影(画像データ生成)を行い、画像データと出力制御データPIMとを一体的に備える画像ファイルを生成する。生成した画像ファイルはメモリカードMCに格納される。
【0028】
カラープリンタ20は、画像処理機能を有している。カラープリンタ20は、メモリカードMCを介して、あるいは、図示しないケーブルを介して画像ファイルを入力し、画像ファイルに含まれる出力制御データPIMを解析する。出力制御データPIMには、画像処理制御データが含まれるので、これを取得して画像データに対して画像処理を施す。そして印刷を実行する。
【0029】
以上のように、本実施例の画像出力システム10では、ディジタルスチルカメラ12側からカラープリンタ20の印刷処理を制御して、ディジタルスチルカメラ(撮影者)の意図を反映した印刷を行うことができる。ディジタルスチルカメラ、画像ファイル、カラープリンタについての詳細は後述する。
【0030】
画像出力システム10は、種々の態様を採ることができる。図2は、画像出力システム10のバリエーションを示す説明図である。画像出力システム10は、図1に示したディジタルスチルカメラ12とカラープリンタ20の他に、画像処理機能を内蔵したパーソナルコンピュータPCやサーバSV、画像出力装置としてのモニタ14を含むことができる。これらは、ケーブルCVあるいは無線通信で、直接あるいはネットワークを介して接続され、データのやり取りを行う。画像ファイル生成装置としてスキャナやデジタルビデオカメラを接続することも可能である。
【0031】
B.画像ファイル生成装置:
図3は、本発明の第1実施例の画像ファイル生成装置としてのディジタルスチルカメラ12の機能ブロックを示す説明図である。ディジタルスチルカメラ12は、画像データを生成する画像データ生成部12aと、画像処理制御データ記憶部12cから画像処理制御データを入力する画像処理制御データ入力部12bと、補正データ記憶部12eから画像処理制御データの補正データを入力する補正データ入力部12dと、画像ファイルを生成する画像ファイル生成部12fとを備えている。
【0032】
本実施例では、画像処理制御データ記憶部12cは、ディジタルスチルカメラ12のメーカが予め用意した画像処理制御データを記憶している。補正データ記憶部12eは、ユーザが設定した補正データを記憶している。
【0033】
なお、画像処理制御データ入力部12bは、画像処理制御データ記憶部12cの他に、画像処理制御データを記憶している外部記憶装置(パーソナルコンピュータPCのハードディスクやサーバSV)や記録媒体からも画像処理制御データを取得することができる。取得した画像処理制御データは、画像処理制御データ記憶部12cに記憶することができる。補正データ入力部12dについても同様である。
【0034】
画像ファイル生成部12fは、画像データと画像処理制御データと補正データとを所定のフォーマットで格納した画像ファイルを生成する。画像処理制御データと補正データとは識別・分離可能な状態で格納される。
【0035】
図4は、ディジタルスチルカメラ12の概略構成を示すブロック図である。ディジタルスチルカメラ12は、光の情報をディジタルデバイス(CCDや光電子倍増管)に結像させることにより画像を取得するカメラである。ディジタルスチルカメラ12は、光情報を収集するためのCCD等を備える光学回路121と、光学回路121を制御して画像を取得するための画像取得回路122と、取得したディジタル画像を加工処理するための画像処理回路123と、CPU、ROM、RAMを備えると共に各回路を制御する制御回路124とを備えている。
【0036】
ディジタルスチルカメラ12は、取得した画像をディジタルデータとして記憶装置としてのメモリカードMCに保存する。ディジタルスチルカメラ12における画像データの保存形式としては、JPEG形式が一般的であるが、この他にもTIFF形式、GIF形式、BMP形式等の保存形式が用いられ得る。
【0037】
ディジタルスチルカメラ12は、また、撮影モードや、補正データを含む画像処理制御データの各種設定を行うための選択・決定ボタン126や、撮影画像をプレビューしたり、各種設定画面を表示するための液晶ディスプレイ127を備えている。「撮影モード」とは、種々の撮影シーンに応じて設定された画像取得条件のパラメータのセットである。このパラメータには、露出時間、ホワイトバランス、絞り、シャッタースピード、レンズの焦点距離等が含まれる。ユーザが撮影モードを選択することによって、自動的に各パラメータ値が設定される。「画像処理制御データ」とは、コントラスト、明るさ、カラーバランス等の画像出力に関するデータであり、カラープリンタ20での画像処理に用いられるデータである。本実施例では、複数組の画像処理制御データが撮影モードに対応して用意されている。
【0038】
図5は、画像処理制御データのパラメータとその設定内容を示す説明図である。本実施例では、図示するように、11種類の撮影シーンに応じたプリセットが予め用意されている。プリセットには、「コントラスト」、「明るさ」、「カラーバランス」、「彩度」、「シャープネス」、「記憶色」、「ノイズ除去」の7種類のパラメータが含まれている。これらは、ディジタルスチルカメラ12のメーカが用意した設定である。
【0039】
本実施例の画像出力システム10に用いられるディジタルスチルカメラ12は、選択・決定ボタン126を用いて設定された画像処理制御データおよび補正データと画像データとを一体的に備える画像ファイルを生成してメモリカードMCに格納する。なお、画像ファイルには、先に示した画像処理制御データの他に、ディジタルスチルカメラ12のガンマ値、ターゲット色空間や、撮影時に設定された露出時間、ホワイトバランス、絞り、シャッタースピード、レンズの焦点距離等の撮影条件も含まれる。各撮影モードに適用されるパラメータ、およびパラメータ値等はディジタルスチルカメラ12の制御回路124内のROMに保有されている。
【0040】
C.画像ファイルの構成:
図6は、画像ファイル100の構成の一例を概念的に示す説明図である。画像ファイル100は、ディジタルスチルカメラ用画像ファイルフォーマット規格(Exif)に従ったファイル構造を有している。Exifファイルの仕様は、(社)電子情報技術産業協会(JEITA)によって定められている。
【0041】
画像ファイル100は、画像データを格納する画像データ格納領域101と、格納されている画像データに関する各種付属情報を格納する付属情報格納領域102とを備えている。画像データ格納領域101には、画像データがJPEG形式で格納される。付属情報格納領域には、付属情報がTIFF形式で格納される。付属情報格納領域102は、MakerNoteデータ格納領域103を備えている。MakerNoteデータ格納領域103は、ディジタルスチルカメラ12のメーカに開放されている未定義領域である。本実施例における画像処理制御データは、MakerNoteデータ格納領域103に格納されている。なお、当業者にとって周知であるように、Exif形式のファイルでは、各データを特定するためにタグが用いられており、MakerNoteデータ格納領域103に格納されているデータに対してはタグ名としてMakerNoteが割り当てられ、MakerNoteタグと呼ばれている。
【0042】
本実施例では、画像ファイル100は、Exif形式のファイルであるものとして説明するが、これに限られない。画像データと画像処理制御データとを利用できる形式で一体的に備える構造を採ればよい。
【0043】
図7は、画像ファイル100の詳細な階層構造を示す説明図である。図7(a)は、MakerNoteデータ格納領域103のデータ構造を示している。図7(b)は、MakerNoteデータ格納領域103内に定義されているPrintMatchingデータ格納領域104を示している。PrintMatchingデータが画像処理制御データに相当する。
【0044】
画像ファイル100のMakerNoteデータ格納領域103もまた、タグによって格納されているデータを識別できる構成を備えており、画像処理制御データにはPrintMatchingのタグが割り当てられている。MakerNoteデータ格納領域103の各タグは、MakerNoteデータ格納領域103のトップアドレスからのオフセット値でポインタにより指定される。MakerNoteデータ格納領域103には、トップアドレスにメーカー名(6バイト)、続いて予約領域(2バイト)、ローカルタグのエントリ数(2バイト)、各ローカルタグオフセット(12バイト)の情報が格納されている。メーカー名の後には、文字終端列を示す0x00の終端コードが付されている。
【0045】
PrintMatchingデータ格納領域104には、PrintMatchingパラメータが格納されていることを示すPrintMatching識別子や、指定されているパラメータ数を示すパラメータ指定数や、予めパラメータ毎に割り振られているパラメータ番号を指定(識別)する値が格納されるパラメータ番号や、指定されたパラメータ番号のパラメータの設定値が格納されているパラメータ設定値の情報などが格納されている。パラメータ番号は、例えば、2バイトの領域に格納される情報であり、パラメータ設定値は、4バイトの領域に格納される情報である。画像出力装置側では、このPrintMatchingタグを指標として画像処理制御データ(各パラメータ値)を取得することができる。
【0046】
図8は、MakerNoteデータ格納領域103に格納されるデータの一例を概念的に示す説明図である。図示するように、MakerNoteデータ格納領域103には、ガンマ値、色空間、コントラスト、明るさ、カラーバランス、彩度などの予めメーカが用意した画像処理制御データと、ユーザが設定したコントラスト、明るさ、カラーバランスなどの補正データとを関連付けて格納することができる。例えば、「コントラスト」については、画像処理制御データとして「やや軟調」が、その補正データ(補正量)として「+1」が格納される。なお、「やや軟調」や「+1」という記述は概念的なものであり、実際には、これらに対応する数値が格納される。例えば、「やや軟調」に対応する数値としては、予め設定された基準値が用意されている場合には、基準値からの補正量を表す数値を格納するようにしてもよい。
【0047】
D.画像ファイルの生成:
図9は、第1実施例のディジタルスチルカメラ12における画像ファイル100の生成工程を示すフローチャートである。撮影者は、撮影に先立って撮影モードおよび補正データを用いるか否かを設定する(ステップS100)。撮影モードの設定は、選択・設定ボタン126を操作して、液晶ディスプレイ127上に表示される既定の撮影モードの中からユーザが選択することにより実行する(ステップS110、S130)。撮影モードの設定では、「ポートレート」、「風景」、「スポーツ」などの予め用意された各撮影シーンに適した露出、ホワイトバランス、シャッタースピード、絞り値など、撮影される画像データ自体に影響を与えるパラメータを自動設定することができる。撮影モードに関わらずディジタルスチルカメラ12が撮影時に自動設定する「フルオートモード」や、撮影者が好みに応じて設定する「マニュアルモード」も用意されている。この撮影モードの設定を行うと、図5に示した画像処理制御データのプリセットが自動的に選択される。ここで、特に設定を行わない場合には、ディジタルスチルカメラ12に用意されたデフォルト値が設定される(ステップS120)。次に、補正データを用いるか否かを選択・設定ボタン126を操作することにより行う(ステップS140)。補正データを用いる旨の入力をした場合には、画像ファイルの生成時にメモリから読み出されて利用されるように設定される(ステップ170)。
【0048】
制御回路124は、撮影要求、例えば、シャッターボタンの押し下げに応じて、撮影条件(撮影モード)から自動的に設定されるパラメータ値を用いて画像データを生成する(ステップS150、S180)。ステップS140において、補正データを用いない旨の入力をした場合には、制御回路124は、設定された撮影モードおよび画像処理制御データの各パラメータを参照して、画像データ、画像処理制御データを含む画像ファイル100を生成する(ステップS160)。一方、ステップS140において、補正データを用いる旨の入力をした場合には、制御回路124は、MakerNoteデータ格納領域103に画像処理制御データと補正データとを関連付けて格納した画像ファイルを生成する(ステップS190)。最後に、制御回路124は、生成された画像ファイル100をメモリカードMCに格納して画像ファイル100の生成工程を終了する。
【0049】
以上の工程によって、メモリカードMCに格納されている画像ファイル100には、撮影者が設定した補正データを含む画像処理制御データを格納することができる。既存の画像処理制御データは、一般的な条件を基に設定されたデータであるから、必ずしも全てのユーザにとって満足のいくパラメータ値がプリセットされているとは限らないが、本実施例によれば、各ユーザの好みに合わせて補正データを付加することができるので、ユーザの嗜好に応じた画像処理を実行させ、出力させることができる。また、補正データは、画像処理制御データと識別可能に格納されるので、後から補正データを無効にすることによって、画像処理の内容を、予め用意された画像処理制御データを用いた処理内容に容易に戻すことができる。
【0050】
なお、本実施例では、撮影モードの設定に応じて画像処理制御データが設定されるものとしたが、図7に示したプリセットを撮影モードに関わらず画像処理モードと対応付けて記憶しておき、撮影モードと画像処理モードとを別々に設定できるようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施例では、1回の撮影(1つの画像ファイル生成)について示したが、ステップS100における撮影モードおよび補正データの使用の設定は、変更あるいはリセットされるまで有効にしても構わない。
【0052】
E.第2実施例の画像ファイル生成装置:
第1実施例のディジタルスチルカメラ12では、補正データ記憶部12eに予め記憶されている補正データを用いて画像ファイルを生成したが、補正データを生成して利用するようにしてもよい。
【0053】
図10は、第2実施例の画像ファイル生成装置としてのディジタルスチルカメラ12Aの機能ブロックを示す説明図である。ディジタルスチルカメラ12Aは、図3に示したディジタルスチルカメラ12の補正データ記憶部12eの代わりに、画像処理制御データ編集部12Adと、補正データ生成部12Aeとを備えている。この他は、ディジタルスチルカメラ12と同じである。
【0054】
画像処理制御データ編集部12Adは、画像処理制御データ入力部12aに入力された画像処理制御データをユーザの操作によって編集して編集画像処理制御データを一時的に生成する。
【0055】
補正データ生成部12Aeは、画像処理制御データと編集画像処理制御データとに基づいて補正データを生成する。例えば、両者の差をとることによって補正データを生成することができる。補正データ入力部12dは、補正データ生成部12Aeで生成された補正データを入力する。
【0056】
図11は、第2実施例のディジタルスチルカメラ12Aにおける画像ファイル100の生成工程を示すフローチャートである。ステップS140において、補正データを用いる旨の入力をした場合に、画像処理制御データの編集を行い(ステップS172)、補正データを生成する(ステップS174)こと以外は、図9に示した第1実施例における生成工程と同じである。
【0057】
このような第2実施例の画像ファイル生成装置によっても第1実施例の画像ファイル生成装置と同様に画像データと画像処理制御データと補正データとを含む画像ファイルを生成することができる。
【0058】
F.第3実施例の画像ファイル生成装置:
第1および第2実施例では、撮影時に画像処理制御データと補正データとを含む画像ファイルを生成したが、画像ファイルを生成後、つまり、撮影後に補正データを追加したり、削除したり、変更するようにしてもよい。
【0059】
図12は、第3実施例の画像ファイル生成装置としてのディジタルスチルカメラ12Bの機能ブロックを示す説明図である。ディジタルスチルカメラ12Bは、既に生成された画像データと画像処理データとを含む原画像ファイルを入力する画像ファイル入力部12Baと、補正データ記憶部12eから補正データを入力する補正データ入力部12dと、補正データを編集する補正データ編集部12Bbと、画像ファイル生成部12fとを備える。
【0060】
補正データ編集部12Bbは、補正データ入力部12dに入力された補正データをユーザの操作によって編集することができる。また、原画像ファイルに既に補正データが含まれる場合に、その補正データを編集することもできる。
【0061】
図13は、第3実施例のディジタルスチルカメラ12Bにおける画像ファイル100の生成工程を示すフローチャートである。まず、制御回路124は、画像ファイルを入力する(ステップS200)。このとき、入力された画像ファイルが補正データを含むものであるか否かは不明であるので、補正データを含むか否かを解析して判断する(ステップS210)。
【0062】
画像ファイルが補正データを含むものであれば、その補正データをキャンセルするか否かを判断する(ステップS230)。例えば、ディジタルスチルカメラ12に補正データのON/OFFを入力する入力部を設け、その入力値によって判断することができる。補正データをキャンセルする場合には、画像ファイルの補正データを削除し(ステップS270)、画像データと画像処理制御データとを含む画像ファイルを生成して(ステップS280)、画像ファイル生成処理を終了する。ステップS230において、補正データをキャンセルしない場合には、既存の補正データを変更するか否かを判断する(ステップS240)。既存の補正データを変更しない場合は、そのまま終了する。既存の補正データを変更する場合には、新たな補正データを設定し(ステップS250)、画像データと画像処理制御データと新たな補正データとを関連付けて格納した画像ファイルを生成する(ステップS260)。ステップS250における新たな補正データの設定では、補正データ記憶部12eに記憶されている補正データを用いるようにしてもよいし、補正データ編集部12Bbで編集した補正データを用いるようにしてもよい。新たな補正データは、既存の補正データに上書きされる。そして、画像ファイル生成処理を終了する。
【0063】
ステップS210において、画像ファイルが補正データを含まないものであれば、補正データを追加するか否かを判断する(ステップS220)。補正データを追加しなければ、そのまま終了する。補正データを追加する場合には、補正データを設定し(ステップS250)、画像処理制御データと補正データとを関連付けて格納した画像ファイルを生成する。
【0064】
このような第3実施例の画像ファイル生成装置によれば、既に生成された画像ファイルに対して、補正データを用いるか否かを設定して柔軟に画像ファイルを生成することができる。即ち、画像ファイルに既に補正データが含まれている場合に、補正データを無効にしたり、変更したりすることができる。また、画像ファイルに補正データが含まれていない場合に補正データを追加することもできる。
【0065】
なお、本実施例では、ディジタルスチルカメラ12B上で画像ファイルの生成処理を行ったが、画像データを生成する処理を伴わないことから、例えば、同様の機能を有するパーソナルコンピュータPC上で同様の処理を行うものとしてもよい。
【0066】
また、本発明の画像ファイル生成装置の一例として上記第1ないし第3実施例を示したが、これらの要部を任意に組み合わせて画像ファイル生成装置を構成することができる。例えば、第1実施例の画像ファイル生成装置において、第3実施例で示した補正データ編集部を設けるようにしてもよい。第3実施例の画像ファイル生成装置において、画像処理制御データ編集部および補正データ生成部を設けるようにしてもよい。また、後述する画像出力装置側で補正データの追加、削除、変更を行うようにしてもよい。
【0067】
G.画像出力装置:
画像出力装置としてのカラープリンタ20の概略について説明する。カラープリンタ20は、カラー画像の出力が可能なプリンタであり、例えば、シアン(C)、ライトシアン(薄いシアン、LC)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(薄いマゼンタ、LM)、イエロー(Y)、ダークイエロ(暗いイエロ、DY)ブラック(K)の7色の色インクを印刷媒体上に噴射してドットパターンを形成することによって画像を形成するインクジェット方式のプリンタである。カラートナーを印刷媒体上に転写・定着させて画像を形成する電子写真方式のプリンタなど種々のプリンタを適用してもよい。
【0068】
カラープリンタ20の制御回路22は、メモリカードスロット24に装着されるメモリカードMCから画像ファイル100を読み出し、画像処理制御データを解析し、解析した画像処理制御データに基づいて画像データに対して後述する画像処理を施す。そして、印刷を実行する。
【0069】
H.画像出力装置における画像処理:
図14は、画像出力装置としてのカラープリンタ20における画像出力処理ルーチンを示すフローチャートである。カラープリンタ20の制御回路22内のCPUは、メモリカードスロット24にメモリカードMCが差し込まれると、メモリカードMCから画像ファイル100を読み出し、読み出した画像ファイル100をRAMに一時的に格納する(ステップS300)。そして、読み出した画像ファイル100のヘッダを解析し(ステップS310)、画像処理制御データおよび補正データを検索する(ステップS320)。
【0070】
CPUは、画像処理制御データと補正データとを発見した場合は、その画像処理制御データと補正データとを取得する(ステップS330)。そして、取得した画像処理制御データと補正データとを合成する(ステップS340)。そして、画像処理制御データと補正データとに基づいて画像データに対して画像処理を施す(ステップS350)。画像処理制御データのみを発見した場合には、その画像処理制御データを取得し(ステップS360)、これに基づいて画像データに対して画像処理を施す(ステップS370)。画像処理制御データおよび補正データを発見しなかった場合は、カラープリンタ20が予め保有しているパラメータ値をROMから取得して、画像データに対して通常の画像処理を施す(ステップS380)。
【0071】
CPUは、画像データに対して所定の画像処理を施すと、処理した画像データをプリントアウト(ステップS390)して本処理ルーチンを終了する。
【0072】
図15は、ステップS370における画像処理制御データに基づいた画像処理の流れを示すフローチャートである。画像ファイル100に含まれる画像処理制御データを用いた処理には2重線を付した。なお、ステップS350における画像処理制御データおよび補正データに基づいた画像処理も同様の流れで行われる。
【0073】
カラープリンタ20のCPUは、読み出した画像ファイル100から画像データを取り出す(ステップS400)。ディジタルスチルカメラ12は、既述のように画像データをJPEG形式のファイルとして保存しており、JPEGファイルでは、圧縮率を高くするためにYCbCr色空間を用いて画像データを保存している。
【0074】
CPUは、YCbCr色空間に基づく画像データをsRGB色空間に基づく画像データに変換するための第1のマトリクス演算を実行する(ステップS410)。
【0075】
CPUは、こうして得られたsRGB色空間に基づく画像データに対して、ガンマ補正、並びに、第2のマトリクス演算を実行する(ステップS420)。ガンマ補正を実行する際には、CPUは画像処理制御データからディジタルスチルカメラ12側のガンマ値を取得し、取得したガンマ値を用いて画像データに対してガンマ変換処理を実行する。第2のマトリクス演算は、sRGB色空間をXYZ色空間に変換するための演算処理である。本実施例において用いられる画像ファイル100は、画像データ生成時における色空間情報を含むことができるので、画像ファイル100が色空間情報を含んでいる場合には、CPUは、第2のマトリクス演算を実行するに際して、色空間情報を参照し、画像データ生成時における色空間に対応するマトリクスを用いてマトリクス演算を実行する。
【0076】
第2のマトリクス演算の実行後に得られる画像データの色空間はXYZ色空間である。従来は、プリンタまたはコンピュータにおける画像処理に際して用いられる色空間はsRGBに固定されており、ディジタルスチルカメラ12の有する色空間を有効に活用することができなかった。これに対して、本実施例では、画像ファイル100に色空間情報が含まれている場合には、色空間情報に対応して第2のマトリクス演算に用いられるマトリクスを変更するプリンタ(プリンタドライバ)を用いている。従って、ディジタルスチルカメラ12の有する色空間を有効に活用して、所望の色再現を実現することができる。
【0077】
CPUは、画像処理制御データに基づく画質調整を実行するために、画像データの色空間をXYZ色空間からwRGB色空間へ変換するための第3のマトリクス演算および逆ガンマ補正を実行する(ステップS430)。なお、wRGB色空間はsRGB色空間よりも広い範囲で任意に設定された色空間である。逆ガンマ補正を実行する際には、CPUはROMからカラープリンタ20側のデフォルトのガンマ値を取得し、取得したガンマ値の逆数を用いて画像データに対して逆ガンマ変換処理を実行する。第3のマトリクス演算を実行する場合には、CPUはROMからwRGB色空間への変換に対応するマトリクスを用いてマトリクス演算を実行する。
【0078】
第3のマトリクス演算実行後に得られる画像データの色空間はwRGB色空間である。このwRGB色空間は既述のように、sRGB色空間よりも広い色空間であり、ディジタルスチルカメラ12によって生成可能な色空間に対応している。
【0079】
次に、CPUは、画像画質の自動調整処理を実行する(ステップS440)。本実施例における画質自動調整処理では、画像ファイル100に含まれている画像処理制御データの各パラメータ値(補正データを含む)を取得し、これらを用いて画質の自動調整が実行される。
【0080】
CPUは、自動画質調整処理を終了すると、印刷のためのwRGB色変換処理およびハーフトーン処理を実行する(ステップS450)。wRGB色変換処理では、CPUは、ROM内に格納されているwRGB色空間に対応したCMYK色空間への変換用ルックアップテーブル(LUT)を参照し、画像データの色空間をwRGB色空間からCMYK色空間へ変更する。即ち、R・G・Bの階調値からなる画像データをカラープリンタ20で使用する、例えば、C・M・Y・K・LC・LM・DYの各7色の階調値のデータに変換する。
【0081】
ハーフトーン処理では、色変換済みの画像データを受け取って、階調数変換処理を行う。本実施例においては、色変換後の画像データは各色毎に256階調幅を持つデータとして表現されている。これに対し、本実施例のカラープリンタ20では、「ドットを形成する」あるいは「ドットを形成しない」のいずれかの状態しか採り得ず、局所的には2階調しか表現し得ない。そこで、256階調を有する画像データを、カラープリンタ20が表現可能な2階調で表現された画像データに変換する。この2値化処理の代表的な方法として、誤差拡散法と呼ばれる方法と組織的ディザ法と呼ばれる方法とがある。
【0082】
カラープリンタ20では、色変換処理に先立って、画像データの解像度が印刷解像度よりも低い場合は、線形補間を行って隣接画像データ間に新たなデータを生成し、逆に印刷解像度よりも高い場合は、一定の割合でデータを間引くことによって、画像データの解像度を印刷解像度に変換する解像度変換処理を実行する。また、カラープリンタ20は、ドットの形成有無を表す形式に変換された画像データを、カラープリンタ20に転送すべき順序に並べ替えるインターレス処理を実行する。
【0083】
以上、本実施例のカラープリンタ20によれば、先に説明したディジタルスチルカメラによって生成された画像ファイル100の画像データに所望の画像処理を施して出力することができる。
【0084】
また、本実施例におけるカラープリンタ20によれば、画像ファイル内に含まれる画像処理制御データを用いて画像データの画質を自動調整することができる。更に、ユーザによって恣意的に画像データの画質調整条件が設定されている場合には、恣意的に設定された補正データを反映して画質自動調整が実行されるので、恣意的な出力画質調整条件が設定され、ユーザの意図を反映することができないという、従来の画質自動調整機能における問題を解決することができる。
【0085】
また、画像ファイルに含まれている画像処理制御データおよび補正データを用いて自動的に画質を調整することができるので、フォトレタッチアプリケーションまたはプリンタドライバ上で画質調整を行うことなく、手軽にユーザの撮影意図を反映した、高品質の印刷結果を得ることができる。
【0086】
なお、上記実施例では、自動的に画質調整処理を実行する例について説明しているが、カラープリンタ20の操作パネル上に画質自動調整ボタンを備え、この画質自動調整ボタンによって画質自動調整が選択されている場合にだけ、上記実施例の画質自動調整処理を実行するようにしても良い。
【0087】
I.その他の実施例:
上記実施例では、パーソナルコンピュータPCを介することなく、カラープリンタ20において全ての画像処理を実行し、生成された画像データに従って、ドットパターンが印刷媒体上に形成されるが、画像処理の全て、または、一部をコンピュータ上、あるいは、ネットワークを介したサーバSV上で実行するようにしても良い。パーソナルコンピュータPC上で実行されるには、コンピュータのハードディスク等にインストールされている、レタッチアプリケーション、プリンタドライバといった画像データ処理アプリケーション(プログラム)に図15を参照して説明した画像処理機能を持たせることによって実現される。ディジタルスチルカメラ12にて生成された画像ファイル100は、ケーブルを介して、あるいは、メモリカードMCを介してコンピュータに対して提供される。コンピュータ上では、ユーザの操作によってアプリケーションが起動され、画像ファイル100の読み込み、画像処理制御データの解析、画像データの変換、調整が実行される。あるいは、メモリカードMCの差込を検知することによって、またあるいは、ケーブルの差込を検知することによって、アプリケーションが自動的に起動し、画像ファイルの読み込み、画像処理制御データの解析、画像データの変換、調整が自動的になされても良い。
【0088】
また、サーバSV上で画像処理が実行される場合にも、図15を参照した画像処理機能を実行するアプリケーションをサーバSVのハードディスク等に格納しておき、画像ファイル100を受信したときには、画像処理制御データによって指定される画像処理を実行し、画像処理を終えた画像ファイル100または画像データを送信元のパーソナルコンピュータPCまたは出力先のカラープリンタ20に送信するようにしても良い。例えば、ディジタルスチルカメラ12に無線通信機能を持たせておき、ディジタルスチルカメラ12からサーバSVに対して出力先のグローバルIPアドレスを含む画像ファイルを直接送信し、サーバSVから出力先のグローバルIPアドレスの割り当てられているカラープリンタ20に対して画像処理を終えた画像ファイル100または画像データを送信することによって、コンピュータレスの印刷を実現することができる。
【0089】
更に、画質自動調整を実行するパラメータ値を選択できるようにしても良い。例えば、カラープリンタ20にパラメータの選択ボタン、あるいは、被写体に応じて所定のパラメータの組み合わせた撮影モードパラメータの選択ボタンを備え、これら選択ボタンによって画質自動調整を実行するパラメータを選択しても良い。また、画質自動調整がパーソナルコンピュータ上で実行される場合には、プリンタドライバまたはレタッチアプリケーションのユーザーインタフェース上にて画質自動調整を実行するパラメータが選択されても良い。
【0090】
上記実施例では、共に出力装置としてカラープリンタ20を用いているが、出力装置にはCRT、LCD、プロジェクタ等の表示装置を用いることもできる。この場合には、出力装置としての表示装置によって、例えば、図14、図15等を用いて説明した画像処理を実行する画像処理プログラム(ディスプレイドライバ)が実行される。あるいは、CRT等がコンピュータの表示装置として機能する場合には、コンピュータ側にて画像処理プログラムが実行される。ただし、最終的に出力される画像データは、CMYK色空間ではなくRGB色空間を有している。
【0091】
この場合には、カラープリンタ20を介した印刷結果に画像データ生成時のユーザの嗜好を反映できたのと同様にして、CRT等の表示装置における表示結果に画像データ生成時のユーザの嗜好を反映することができる。
【0092】
本実施例において用いた画像ファイル100を、ディジタルテレビジョン放送の所定のフレーム(シーン)をキャプチャする際の画像ファイルとして用いても良い。ディジタルテレビジョン放送における画像データもYCbCr色空間に基づくデータであるから、ディジタルスチルカメラ12の場合と同様に本発明を適用することができる。具体的には、キャプチャの指示されたシーンを画像データとして取り込み、取り込んだ画像データに対応する画像処理制御データを設定して、画像データと画像処理制御データとを含む画像ファイル100を生成する。この結果、画像データの出力時には、ディジタルテレビジョン放送における色と同様に、彩度の高い画像を出力することができる。
【0093】
以上、実施例に基づき本発明に係る画像ファイル生成装置、画像出力装置、画像出力システム、プログラムを説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0094】
上記実施例では、画像処理制御データとして、ガンマ値、色空間、明るさ、シャープネスといったパラメータを用いているが、どのパラメータを画像処理制御データとして用いるかは任意の決定事項である。
【0095】
また、図8の表に例示した各パラメータの値は、あくまでも例示に過ぎず、この値によって本願に係る発明が制限されることはない。また、図15の画像処理におけるマトリクスの値は、特に例示はしなかったが、ターゲットとする色空間、あるいは、カラープリンタ20において利用可能な色空間等によって適宜変更され得ることはいうまでもない。また、マトリクスの各要素も出力される画像に影響を与える画像処理制御データの1つであるから、マトリクスの補正データを利用できるようにしてもよい。
【0096】
上記実施例では、画像ファイル生成装置としてディジタルスチルカメラ12を用いて説明したが、この他にもスキャナ、ディジタルビデオカメラ等が用いられ得る。スキャナを用いる場合には、画像ファイル100の取り込みデータ情報の指定はコンピュータPC上で実行されても良く、あるいは、スキャナ上に情報設定用に予め設定情報が割り当てられているプリセットボタン、任意設定のための表示画面および設定用ボタンを備えておき、スキャナ単独で実行可能にしてもよい。
【0097】
上記実施例では、画像ファイル100の具体例としてExif形式のファイルを例にとって説明したが、本発明に係る画像ファイルの形式はこれに限られない。即ち、画像データ生成装置において生成された画像データと、画像データの出力条件を記述する画像処理制御データとが含まれている画像ファイルであれば良い。このようなファイルであれば、出力装置において印刷毎に画像処理条件を設定する必要なく、直ちに指定された画像処理条件に基づいて画像処理を実行し、画像ファイル生成装置において生成された画像データの画質を、適切に自動調整して出力装置から出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像出力システム10の概略構成を示す説明図である。
【図2】画像出力システム10のバリエーションを示す説明図である。
【図3】第1実施例の画像ファイル生成装置としてのディジタルスチルカメラ12の機能ブロックを示す説明図である。
【図4】ディジタルスチルカメラ12の概略構成を示すブロック図である。
【図5】画像処理制御データのパラメータとその設定内容を示す説明図である。
【図6】画像ファイル100の構成の一例を概念的に示す説明図である。
【図7】画像ファイル100の詳細な階層構造を示す説明図である。
【図8】 MakerNoteデータ格納領域103に格納されるデータの一例を概念的に示す説明図である。
【図9】第1実施例のディジタルスチルカメラ12における画像ファイル100の生成工程を示すフローチャートである。
【図10】第2実施例の画像ファイル生成装置としてのディジタルスチルカメラ12Aの機能ブロックを示す説明図である。
【図11】第2実施例のディジタルスチルカメラ12Aにおける画像ファイル100の生成工程を示すフローチャートである。
【図12】第3実施例の画像ファイル生成装置としてのディジタルスチルカメラ12Bの機能ブロックを示す説明図である。
【図13】第3実施例のディジタルスチルカメラ12Bにおける画像ファイル100の生成工程を示すフローチャートである。
【図14】画像出力装置としてのカラープリンタ20における画像処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図15】画像処理制御データに基づいた画像処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…画像出力システム
12…ディジタルスチルカメラ
12a…画像データ生成部
12b…第1の画像処理制御データ記憶部
12c…第2の画像処理制御データ記憶部
12d…画像処理制御データ取得部
12e…判断部
12f…画像ファイル生成部
12Ad…画像処理制御データ編集部
12Ae…補正データ生成部
12Ba…画像ファイル入力部
12Bb…補正データ編集部
121…光学回路
122…画像取得回路
123…画像処理回路
124…制御回路
126…選択・決定ボタン
127…液晶ディスプレイ
14…ディスプレイ
20…カラープリンタ
22…制御回路
24…メモリカードスロット
100…画像ファイル(Exifファイル)
101…画像データ格納領域
102…付属情報格納領域
103…MakerNoteデータ格納領域
104…PrintMatchingデータ格納領域

Claims (1)

  1. 画像データと該画像データの画像処理に用いられる画像処理制御データとを含む画像ファイルを生成する画像ファイル生成装置であって、
    前記画像処理制御データを入力する画像処理制御データ入力部と、
    該画像処理制御データを編集して編集画像処理制御データを生成する画像処理制御データ編集部と、
    該編集画像処理制御データと前記画像処理制御データに基づいて、両者の関係を示す補正データを生成する補正データ生成部と、
    前記画像データと前記画像処理制御データと前記補正データとを一体的に備える画像ファイルを生成する画像ファイル生成部と、
    を備える画像ファイル生成装置。
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