JP4192571B2 - 巻線型コモンモードチョークコイルおよびその製造方法 - Google Patents

巻線型コモンモードチョークコイルおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、信号伝送線を巻回形成して成る巻線型コモンモードチョークコイルおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
図5(a)には巻線型コモンモードチョークコイルの一例が模式的な斜視図により示され、図5(b)には図5(a)のA−A部分の模式的な断面図が示されている。この巻線型コモンモードチョークコイル25は、磁芯26と、当該磁芯26の両端部にそれぞれ形成された鍔部27a,27bと、対を成す2本の信号伝送線28a,28bとを有して構成されている。
【0003】
この巻線型コモンモードチョークコイル25を製造する際には、例えば、図6(a)に示すような鍔部27a,27bと一体的に作製された磁芯26を用意し、図6(b)に示すように、ノズル29から1対の信号伝送線28a,28bを繰り出しながら、磁芯26の周面に1対の信号伝送線28a,28bを巻回していく。このとき、2本の信号伝送線28a,28bは、磁芯26の中心軸方向に沿って並んだ状態で、図6(c)に示されるように、鍔部27a側から鍔部27b側に向けて磁芯26に単層に巻き上げていく。図5(c)には、鍔部27b側から信号伝送線28a,28bの巻回状態を見た図が模式的に示されている。なお、上記のように磁芯に信号伝送線をバネのように巻き上げていく巻き方をソレノイド巻きと呼ぶことがある。
【0004】
図5の例では、鍔部27aには、複数の信号伝送線接続用電極30が設けられており、信号伝送線28a,28bの各々の両端はそれぞれ別々の信号伝送線接続用電極30に接続されている。また、鍔部27aには、それら信号伝送線接続用電極30をそれぞれ個別に外部と接続させるための外部接続用電極31が形成されている。信号伝送線28a,28bは、外部接続用電極31と信号接続用電極30を介して外部の回路に接続することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−186034号公報
【特許文献2】
特開平11−251159号公報
【特許文献3】
実開平5−53231号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、巻線型コモンモードチョークコイルの性能を高めるためには、コモンモードに対しては高いインピーダンスを示し、ノーマルモードに対しては低いインピーダンスを示すことが望ましい。このことを考慮して、巻線型コモンモードチョークコイル25では、前記したように、2本の信号伝送線28a,28bを磁芯26の中心軸方向に沿って並んだ状態で磁芯26に単層に巻き上げている。これにより、信号伝送線28a,28bのそれぞれの巻回により形成されるコイル間の結合を高めることができ、また、それら信号伝送線28a,28b間の浮遊分布容量の削減を図ることができて、コモンモードに対して高いインピーダンスを持ち、かつ、ノーマルモードに対して低いインピーダンスを持つことができる。
【0007】
しかしながら、この巻線型コモンモードチョークコイル25では、対を成す信号伝送線28a,28bを下側の鍔部27aから上側の鍔部27bに向けて巻き上げていく構成のために、更にコモンモードのインピーダンスを高めるべく信号伝送線28a,28bの巻回数を増加すると、その巻回数の増加の分だけ、磁芯26の長さを長くしなければならない。つまり、巻線型コモンモードチョークコイル25の高さが高くなってしまうという問題がある。
【0008】
また、巻線型コモンモードチョークコイル25の高さが規制されている場合には、必然的に、信号伝送線28a,28bの巻回数が制限されてしまい、巻線型コモンモードチョークコイル25の性能の向上が難しいという問題が生じる。なお、巻線型コモンモードチョークコイル25の高さが規制されている場合であっても、信号伝送線28a,28bの線の太さを細くすることで、信号伝送線28a,28bの巻回数を増加できるが、この場合には、信号伝送線28a,28bの細径化に起因して信号伝送線28a,28bの直流抵抗が大きくなり、通電電流量が減少してしまうという問題が生じる。
【0009】
この発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、性能が良く、しかも、低背化が容易な巻線型コモンモードチョークコイルおよびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は次に示す構成をもって前記課題を解決するための手段としている。すなわち、この発明の巻線型コモンモードチョークコイルは、磁芯に信号伝送線を巻回形成して成る巻線型コモンモードチョークコイルにおいて、ほぼ同じ太さを持つ複数の信号伝送線から成る1組の信号伝送線が磁芯の中心軸に沿う方向に並んだ状態で、磁芯を中心とした同心円状に重ね巻きされて巻き半径が渦巻き状に拡径しており、前記磁芯の両端部には、それぞれ、磁芯から略直交方向に張り出した鍔部が形成され、それら鍔部の互いに対向し合う一方側の内側平坦面に前記信号伝送線が当接し位置規制されて磁芯に重ね巻きされており、磁芯の両端部にそれぞれ設けられた鍔部の内側平坦面間の間隔は、前記1組の複数の信号伝送線の並設の幅に信号伝送線1本分の直径を加算した長さとほぼ等しいことを特徴としている。
【0011】
また、この発明の巻線型コモンモードチョークコイルの製造方法は、ほぼ同じ太さを持つ複数の信号伝送線から成る1組の信号伝送線が磁芯を中心とした同心円状に重ね巻きされて巻き半径が渦巻き状に拡径している構成を持つ巻線型コモンモードチョークコイルの製造方法であって、磁芯の両端部にはそれぞれ磁芯から略直交方向に張り出した鍔部を設け、それら鍔部にそれぞれ形成された互いに対向し合う内側平坦面間の間隔を、前記1組の複数の信号伝送線の並設の幅に信号伝送線1本分の直径を加算した長さとほぼ等しくしておき、組を成す複数の信号伝送線を磁芯に巻回する際には、まず、それら複数の信号伝送線を磁芯の一端側の鍔部の内側平坦面に沿わせた平面整列状態で1組の信号伝送線を鍔部の内側平坦面上に沿わせながら磁芯の周面に巻き始め、磁芯の周面をほぼ半周以上巻回したときに、その複数の信号伝送線の整列の向きを磁芯の周面に沿う周面整列方向に変えて巻き残りの部分を磁芯の他端側の鍔部の内側平坦面に沿って重ね巻きし、この周面整列の信号伝送線は、平面整列の巻き始め側の信号伝送線と、前記他端側の鍔部の内側平坦面とによって巻回位置が規制されていることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明に係る実施形態例を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1(a)には本発明に係る巻線型コモンモードチョークコイルの一実施形態例が模式的な斜視図により示され、図1(b)には図1(a)のA−A部分の断面図が模式的に示されている。
【0014】
この実施形態例の巻線型コモンモードチョークコイル1は、例えばフェライト磁性体材料から成る磁芯2と、この磁芯2の両端部にそれぞれ一体的に設けられている鍔部3a,3bと、磁芯2に巻回形成される対を成す2本の信号伝送線(例えば金属導体線)4a,4bとを有して構成されている。
【0015】
図1(c)には鍔部3b側から見た信号伝送線4a,4bの巻回状態が模式的に示されている。図1(b)、(c)に示されるように、この巻線型コモンモードチョークコイル1では、対を成す2本の信号伝送線4a,4bは、磁芯2の中心軸Oに沿う方向に隙間無く整列配置した状態で、磁芯2を中心とした同心円状に重ね巻きされており、信号伝送線4a,4bの巻き半径は渦巻き状に拡径している。なお、このような磁芯への線の巻き方をスパイラル巻きと呼ぶことがある。
【0016】
この実施形態例では、信号伝送線4a,4bは太さがほぼ等しく、同じ材料により構成されている。鍔部3a,3bは磁芯2から略直交方向に張り出しており、当該鍔部3a,3bには互いに対向し合う内側平坦面8a,8bが形成されている。それら内側平坦面8a,8b間の間隔Hは、信号伝送線3本分の太さとほぼ等しくなっている。換言すれば、内側平坦面間の間隔Hは、信号伝送線4a,4bを磁芯2の中心軸Oに沿う方向に隙間無く並べた長さ(信号伝送線4a,4bの並設の幅)に信号伝送線1本分の太さ(直径)を加算した長さとなっている。
【0017】
また、この実施形態例では、重ね巻きされた信号伝送線4a,4bは、鍔部3bの内側平坦面8bに当接しながら磁芯2に重ね巻きされており、その鍔部3bにより信号伝送線4a,4bの配置位置が規制されている。
【0018】
さらに、この実施形態例では、鍔部3aには、底部となる部分に、信号伝送線4a,4bのそれぞれの両端に個別に対応する複数の信号伝送線接続用電極5が設けられており、信号伝送線4a,4bの各々の両端はそれぞれ対応する信号伝送線接続用電極5に接続されている。また、鍔部3aには、それら信号伝送線接続用電極5をそれぞれ別々に外部と接続させるための複数の外部接続用電極6が設けられている。信号伝送線4a,4bは、外部接続用電極6と信号伝送線接続用電極5を介して外部の例えば回路と接続することができる。
【0019】
この実施形態例では、上記のように、磁芯2に信号伝送線4a,4bを渦巻き状に重ね巻きしたので、従来のように信号伝送線を磁芯に単層に巻き上げる場合に比べて、格段に、巻線型コモンモードチョークコイル1を低背化することができる。また、巻線型コモンモードチョークコイル1の高さおよび信号伝送線4a,4bの太さを変化させずに、信号伝送線4a,4bの巻回数を増加することができる。このため、信号伝送線4a,4bを太径化し、かつ、巻回数を増加することによって、コモンモードに対するインピーダンスを高くしながら、信号伝送線4a,4bの直流抵抗値を下げることが可能となる。そのように、直流抵抗値を下げることができることによって、信号伝送線4a,4bの発熱を抑制することができるので、信号伝送線4a,4bに流す通電量を増加することができる。
【0020】
このため、具体的には、例えば、コモンモードのインピーダンスが1000Ωである巻線型コモンモードチョークコイルが必要な場合に、従来では、直流抵抗に起因した発熱によって許容電流量の上限値は、例えば1.5アンペアであったのに対して、この実施形態例の特有な構成を備えることによって、許容電流量の上限値を例えば2.0アンペアに上昇させることができる。また、例えば、基準の通電電流量が2アンペアとした場合に、従来では、コモンモードのインピーダンスが例えば350Ωである巻線型コモンモードチョークコイルしか提供できなかったのに対して、この実施形態例の特有な構成を備えることによって、コモンモードのインピーダンスが例えば1000Ωというように高コモンモードインピーダンスを持つ巻線型コモンモードチョークコイルを提供することが可能となる。
【0021】
ところで、巻線型コモンモードチョークコイルに用いられる信号伝送線は丸線であり、その丸線の信号伝送線を渦巻き状に重ね巻きすることは、信号伝送線の周面が曲面であることに起因して非常に難しい。このため、製造効率や歩留まりが大幅に悪化することが懸念される上に、複数の信号伝送線を渦巻き状に重ね巻きすると信号伝送線間の分布容量が増大するという弊害があることが広く知られていることから、信号伝送線を磁芯に渦巻き状に重ね巻きして巻線型コモンモードチョークコイルを作製することは、今まで、考えられないことであった。
【0022】
しかし、本発明者は、巻線型コモンモードチョークコイルへの強い低背化の要求に応えるべく研究開発を行っているうちに、信号伝送線の渦巻き状の重ね巻きによって、信号伝送線間の分布容量増大の弊害が大きく現れる高周波領域では特性は若干落ちるものの、それ以外の周波数領域では、コモンモードに対するインピーダンスの向上や、ノーマルモードに対するインピーダンスの低下や、信号伝送線の通電量の大電流化などの性能向上が非常に大きいことを見出した。このことは、図3や図4の本発明者の実験結果にも示されている。
【0023】
その本発明者が行った実験では、信号伝送線を渦巻き状に重ね巻きした本実施形態例の構成を持つ巻線型コモンモードチョークコイルと、信号伝送線を単層に巻き上げた従来の構成を持つ巻線型コモンモードチョークコイルとの2種類の巻線型コモンモードチョークコイルを用意し、各種毎にそれぞれ、コモンモードに対するインピーダンスと、ノーマルモードに対するインピーダンスとの周波数特性を調べた。その結果が、図3および図4に示されている。なお、それら2種類の巻線型コモンモードチョークコイルにおいて、信号伝送線の巻き方以外の条件はほぼ等しくなっている。
【0024】
図3および図4において、図3の実線AZc,AZnと点線BZc,BZnと図4の実線DZc,DZnは、それぞれ、この実施形態例の構成を持つ巻線型コモンモードチョークコイルに関するものであり、実線AZcは4アンペアの電流の通電に対するコモンモードのインピーダンスを表し、実線AZnは4アンペアの電流の通電に対するノーマルモードのインピーダンスを表す。また、点線BZcは5アンペアの電流の通電に対するコモンモードのインピーダンスを表し、点線BZnは5アンペアの電流の通電に対するノーマルモードのインピーダンスを表す。さらに、実線DZcは2アンペアの電流の通電に対するコモンモードのインピーダンスを表し、実線DZnは2アンペアの電流の通電に対するノーマルモードのインピーダンスを表す。
【0025】
図3の点線CZc,CZnと図4の点線EZc,EZnは、それぞれ、従来の巻線型コモンモードチョークコイルに関するものであり、点線CZcは5アンペアの電流の通電に対するコモンモードのインピーダンスを表し、点線CZnは5アンペアの電流の通電に対するノーマルモードのインピーダンスを表す。また、点線EZcは2アンペアの電流の通電に対するコモンモードのインピーダンスを表し、点線EZnは2アンペアの電流の通電に対するノーマルモードのインピーダンスを表す。
【0026】
図3における実線AZc,AZn、点線BZc,BZnと、点線CZc,CZnとの比較や、図4における実線DZc,DZnと、点線EZc,EZnとの比較からも明らかなように、信号伝送線を渦巻き状に重ね巻きすることによって、巻線型コモンモードチョークコイルの低背化が図れるだけでなく、信号伝送線4a,4b間の分布容量の増大が大きな弊害となる高周波領域を除いた周波数領域では、高コモンモードインピーダンスおよび低ノーマルモードインピーダンスの大幅な電気的性能の向上を得ることができる。つまり、この実施形態例の巻線型コモンモードチョークコイル1は、例えば、直流電源ライン等の、直流や低周波側の信号が通電する回路部分に組み込むことにより、最良の性能を発揮することができる。
【0027】
本発明者は、信号伝送線の渦巻き状の重ね巻きの難しさを次に示すような製造手法によって克服している。ここでは、図1に示す巻線型コモンモードチョークコイル1を利用して、本発明者が考え出した製造工程の一例を説明する。
【0028】
例えば、図2(a)に示すような鍔部3a,3bが一体的に形成された磁芯2を用意する。前記したように、それら鍔部3a,3bは互いに対向し合って磁芯2に略直交する内側平坦面8a,8bを有し、それら内側平坦面8a,8b間の間隔Hは、磁芯2に巻回する信号伝送線の巻回層の総数に1を加算した数の信号伝送線の太さの合計値とほぼ等しくなっている。つまり、ここでは、内側平坦面8a,8b間の間隔Hは、信号伝送線4a(4b)の3本分の太さとほぼ等しくなっている。
【0029】
まず、図2(b)に示されるように、信号伝送線4a,4bを鍔部3aの内側平坦面8a上に沿わせて整列配置し、その平面整列状態で信号伝送線4a,4bを内側平坦面8a上に沿わせながら磁芯2の周面に巻き始める。そして、磁芯2をほぼ半周程度巻回したところで、信号伝送線4a,4bの整列の向きを磁芯2の周面に沿う方向(周面整列方向)に変える。
【0030】
信号伝送線4a,4bの整列の向きを周面整列方向に変えた後には、図2(c)に示されるように、巻き残りの部分を鍔部3bの内側平坦面8bに沿わせながら磁芯2を中心とした同心円状に重ね巻きしていく。このとき、その周面整列の信号伝送線4a,4bは、平面整列の巻き始め側の信号伝送線4a,4bと、鍔部3bの内側平坦面8bとによって挟み込まれて巻回位置が規制されており、巻き崩れを防止しながら、対を成す信号伝送線4a,4bを整然と渦巻き状に重ね巻きすることができる。
【0031】
以上のような本発明者が考え出した信号伝送線4a,4bの巻き方によって、この実施形態例の巻線型コモンモードチョークコイルを容易に実現することができるものである。
【0032】
なお、この発明はこの実施形態例に限定されるものではなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、この実施形態例では、信号伝送線4a,4bは、断面形状が円形状の丸線であったが、例えば、近年、断面が長方形状や正方形状である四角線等の丸線以外の線が出てきており、そのような丸線以外の形態の線を信号伝送線として利用してもよい。四角線等の平らな周面を有する線を信号伝送線4a,4bとして用いる場合には、磁芯2に信号伝送線4a,4bを渦巻き状に重ね巻きすることが容易となり、作業効率の向上を図ることができる。
【0033】
また、この実施形態例の巻線型コモンモードチョークコイル1は、対を成す2本の信号伝送線4a,4bが磁芯2に巻回形成されている2線式のものであったが、巻線型コモンモードチョークコイルには、例えば、3線式や、4線式や、2線2対式や、2線4対式等の様々な種類がある。3線式とは、3本の線を1組として磁芯2に巻回するタイプのものであり、4線式とは、4本の線を1組として磁芯2に巻回するタイプのものである。2線2対式とは、2本の線を1組とし、その2本の線の組が2組同じ磁芯2に当該磁芯2の中心軸方向に並設されているものである。同様に2線4対式とは、2本の線の組が4組同じ磁芯2に当該磁芯2の中心軸方向に並設されているものである。
【0034】
この発明は、そのような様々なタイプの巻線型コモンモードチョークコイルのうち、ほぼ同じ太さを持つ複数の信号伝送線から成る1組の信号伝送線を重ね巻きしたものに適用することができるものである。例えば、3線式や4線式のものにあっては、組を成す3本あるいは4本の信号伝送線を磁芯2の中心軸方向に沿う方向に隙間無く並べた状態で、磁芯を中心とした同心円状に重ね巻きして巻線型コモンモードチョークコイル1を構成する。
【0035】
【発明の効果】
この発明によれば、ほぼ同じ太さを持つ複数の信号伝送線から成る1組の信号伝送線が磁芯を中心として同心円状に重ね巻きされて信号伝送線の巻き半径が渦巻き状に拡径している構成とした。このため、従来のような複数の信号伝送線を磁芯の周面に単層に巻き上げていく構成に比べて、巻線型コモンモードチョークコイルを飛躍的に低背化することができる。
【0036】
しかも、巻線型コモンモードチョークコイルの高さや信号伝送線の太さを変化させることなく、信号伝送線の巻回数を増加させることができるので、巻線型コモンモードチョークコイルの低背を維持したまま、信号伝送線の巻回数を増加させてコモンモードに対するインピーダンスを高くすることができる。
【0037】
また、信号伝送線を太くしても、巻線型コモンモードチョークコイルの背高化を小さく抑えることができるので、巻線型コモンモードチョークコイルの低背化と高コモンモードインピーダンスをほぼ保ちつつ、信号伝送線を太くして信号伝送線の直流抵抗値を下げることができる。このため、直流抵抗に起因した信号伝送線の発熱量を小さく抑制することができ、これにより、信号伝送線の通電量を多くすることが可能である。
【0038】
さらに、信号伝送線に通電する信号が高周波になると、信号伝送線間の分布容量が増大し当該分布容量の弊害によりインピーダンス特性などが若干悪くなってしまうが、高周波以外の周波数領域では、信号伝送線間の分布容量を小さく抑制することができて、ノーマルモードに対するインピーダンスを低減させることができる。
【0039】
上記のように、組を成す複数の信号伝送線を磁芯に渦巻き状に重ね巻きすることによって、巻線型コモンモードチョークコイルの大幅な低背化を図ることができる上に、高コモンモードインピーダンスおよび低ノーマルモードインピーダンスを得ることができ、さらに、大電流化を図ることができるという画期的な電気的特性を持つことができるという優れた効果を奏することができる。
【0040】
た、この発明においては、磁芯の両端部にそれぞれ鍔部が設けられており、信号伝送線はそれら鍔部のうちの一方側に配置位置が規制されているので、信号伝送線の巻き崩れを回避することができる。さらに、磁芯の両端部にそれぞれ設けられた鍔部の一方側に信号伝送線接続用電極と外部接続用電極が形成されているものにあっては、外部の回路との接続を容易に行うことができることになる。
【0041】
さらに、この発明によれば、磁芯の両端部に設けられた鍔部の内側平坦面間の間隔は、1組の複数の信号伝送線の並設の幅に信号伝送線1本分の直径を加算した長さとほぼ等しい構成を備えており、この発明の巻線型コモンモードチョークコイルの製造方法を利用して、巻線型コモンモードチョークコイルを製造することができるので、複数の信号伝送線を簡単に巻き崩れなく、整然と磁芯を中心とした同心円状に渦巻き状に重ね巻きすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る巻線型コモンモードチョークコイルの一実施形態例を説明するための図である。
【図2】本発明に係る巻線型コモンモードチョークコイルの製造工程例を説明するための図である。
【図3】本発明者の実験により得られた巻線型コモンモードチョークコイルの電気特性の一例を示すグラフである。
【図4】図3と同様に、本発明者の実験により得られた巻線型コモンモードチョークコイルの電気特性の一例を示すグラフである。
【図5】巻線型コモンモードチョークコイルの一従来例を説明するための図である。
【図6】従来の巻線型コモンモードチョークコイルの一製造工程例を説明するための図である。
【符号の説明】
1 巻線型コモンモードチョークコイル
2 磁芯
3a,3b 鍔部
4a,4b 信号伝送線
5 信号伝送線接続用電極
6 外部接続用電極

Claims (4)

  1. 磁芯に信号伝送線を巻回形成して成る巻線型コモンモードチョークコイルにおいて、ほぼ同じ太さを持つ複数の信号伝送線から成る1組の信号伝送線が磁芯の中心軸に沿う方向に並んだ状態で、磁芯を中心とした同心円状に重ね巻きされて巻き半径が渦巻き状に拡径しており、前記磁芯の両端部には、それぞれ、磁芯から略直交方向に張り出した鍔部が形成され、それら鍔部の互いに対向し合う一方側の内側平坦面に前記信号伝送線が当接し位置規制されて磁芯に重ね巻きされており、磁芯の両端部にそれぞれ設けられた鍔部の内側平坦面間の間隔は、前記1組の複数の信号伝送線の並設の幅に信号伝送線1本分の直径を加算した長さとほぼ等しいことを特徴とする巻線型コモンモードチョークコイル。
  2. 磁芯の両端部のそれぞれに形成された鍔部のうちの一方側には、重ね巻きの各信号伝送線のそれぞれの両端が個別に接続する複数の信号伝送線接続用電極が設けられると共に、それら信号伝送線接続用電極をそれぞれ別々に外部と接続させるための複数の外部接続用電極が設けられていることを特徴とする請求項記載の巻線型コモンモードチョークコイル。
  3. 磁芯はフェライト磁性体材料により構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の巻線型コモンモードチョークコイル。
  4. ほぼ同じ太さを持つ複数の信号伝送線から成る1組の信号伝送線が磁芯を中心とした同心円状に重ね巻きされて巻き半径が渦巻き状に拡径している構成を持つ巻線型コモンモードチョークコイルの製造方法であって、磁芯の両端部にはそれぞれ磁芯から略直交方向に張り出した鍔部を設け、それら鍔部にそれぞれ形成された互いに対向し合う内側平坦面間の間隔を、前記1組の複数の信号伝送線の並設の幅に信号伝送線1本分の直径を加算した長さとほぼ等しくしておき、組を成す複数の信号伝送線を磁芯に巻回する際には、まず、それら複数の信号伝送線を磁芯の一端側の鍔部の内側平坦面に沿わせた平面整列状態で1組の信号伝送線を鍔部の内側平坦面上に沿わせながら磁芯の周面に巻き始め、磁芯の周面をほぼ半周以上巻回したときに、その複数の信号伝送線の整列の向きを磁芯の周面に沿う周面整列方向に変えて巻き残りの部分を磁芯の他端側の鍔部の内側平坦面に沿って重ね巻きし、この周面整列の信号伝送線は、平面整列の巻き始め側の信号伝送線と、前記他端側の鍔部の内側平坦面とによって巻回位置が規制されていることを特徴とする巻線型コモンモードチョークコイルの製造方法。
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