JP4191441B2 - 車両構造体を含む複数構体からなる構造体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シングルスキンパネル(板状パネル)若しくはダブルスキンパネル(二面中空構造体)を用いて形成した側構体、床構体、屋根構体等を組み合わせた車両構造体を含む複数構体からなる構造体にかかり、特に摩擦撹拌接合により製造される構造体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄道車両構造において、特開平2−246863号において車両の左右の側構体、床構体、屋根構体等を長手方向に延在する長尺のダブルスキンパネル若しくはシングルスキンパネルを長手方向にのみ接合するだけで、前記側構体、床構体、屋根構体等が形成され、作業性の向上とともに、溶接ひずみの発生が少なくなり、歪取り、仕上げ作業の削減を図った技術が開示されている。
【0003】
一方、特表平7−505090号公報には、摩擦攪拌による固相接合方法として長尺材同士の新規な接合方法が開示されており、かかる接合方法は、加工物より実質的に硬い材質からなる回転ツ−ルを加工物の接合部に挿入し、回転ツ−ルを回転させながら移動することにより、回転ツ−ルと加工物との間に生じる摩擦熱による塑性流動によって加工物を接合する接合方法で、かかる摩擦接合法は、接合部材を固相状態で、回転ツ−ルを回転させながら移動しながら軟化させた固相部分を一体化しながら接合できるために、熱歪みがなく接合方向に対して実質的に無限に長い長尺材でもその長手方向に連続的に固相接合できる利点がある。さらに、回転ツ−ルと接合部材との摩擦熱による金属の塑性流動を利用した固相接合のため、接合部を溶融させることなく接合できる。また、加熱温度が低いため、接合後の変形が少ない。接合部は溶融されないため、欠陥が少ないなどの多くの利点がある。
【0004】
次に摩擦撹拌接合に使用される回転工具について説明する。摩擦撹拌接合は特表平7−505090に開示されているように、ブローブ型とボビンツール型の回転工具が存在し、プローブ型工具20は図8(A)に示すように、ショルダ部21とこのショルダ部21に備えられたプローブ22とを備えており、このショルダ部21は円形ショルダ面を有している。そして、複数の型材を突き合わせ、若しくは嵌合された状態の接合線上面より、前記回転工具を回転させて、プローブ21を被加工物の接合線に設けた不図示の孔に侵入させるとともに、被加工物21の接合線上で摺接回転する円形ショルダ面21によって被加工物に摩擦熱が付与されるとともに、プローブ22周囲が塑性流動化し、この状態で回転工具20を接合線に沿って移動させることにより、接合線周囲が塑性流動化しながら接合線に沿って2つの素材が圧力を受けながら撹拌混練され、プローブの後方側に移行する。この結果塑性流動した素材は後方側で摩擦熱を失って急速に冷却固化するので両パネル板は素材同士が混じり合って完全に一体化した状態で接合される。
またプローブ22に回転方向に対する逆ネジ22aを設けることにより下向きの塑性流動が出来、裏面側に巣や融合不良の欠陥の防止が出来る。
【0005】
しかしながらかかる接合方法では接合時に摩擦熱を発生させるために、回転工具を接合線側に押しつける必要があり、従ってこの反力に対処するために、裏当金が使用されている。この裏当金は被加工物の面板の裏面に密着させて設置するものであり、大きな加圧力を必要とする。
【0006】
かかる欠点を解消するために、図8(B)に示すように、ボビンツール10と呼ばれる回転工具が提案されている。
かかる工具は接合する金属板の表裏両面を挟持するように一定間隔を設けた一対のショルダ10A、10Bが設けられているとともに、該上下一対のショルダ10A、10B間にプローブ11が設けられているので、接合面の両面において摩擦発熱させることが出来、裏面側の融合不良が生じないのみならず、上下一対のショルダ10A、10B間で互いの反力を受けているために、裏当金が不要になる。
【0007】
さらに、かかる摩擦接合を利用して、鉄道車両等の大型構造物に用いられる長尺のダブルスキンパネルからなる中空型材を複数平行に配設したものを突き合わせ接合して構成摩擦撹拌接合による広幅の二面構造体(パネル)を形成する技術が特許第3152420号公報に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらかかる技術においては、前記側構体、床構体、屋根構体等の平面状の広幅パネルを製造する場合には有効であるが、車両構造体は、側構体、床構体、屋根構体いずれも必ずしも平面状ではなく、例えば前記側構体、床構体、屋根構体同士の接合もL形状若しくはR部を介して接合するものであるために、これらの接合部には摩擦撹拌接合のボビンツールでもプローブ型の回転ツールのいずれもその接合面に面接触にて当接出来ず、摩擦撹拌熱を印加できないために、実質的に接合させることが出来ない。
【0009】
本発明はかかる従来技術の欠点に鑑み、構体同士の接合が水平と垂直方向のように矩形状に折れ曲がった部を有する場合、又床構体のようにパネル本体両側に支持枠等を固設する場合、さらには屋根構体のように所定の曲率半径を持って形成する場合があり、このような場合でも摩擦撹拌接合の利点を生かしつつ、然も低い熱歪みで高強度の車両、構造体及びその製造方法を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、平行な2つの面板を有する広幅2面パネル状の構体からなる側構体、床構体、屋根構体の構体同士が直接若しくは側梁枠体等の補助型材を介して組み合わせ接合されてなる車両構造体を含む複数構体からなる構造体において、
前記床構体の端部に方形枠状の側梁型材が固設され、該側梁型材の上に側構体の面板方向に矩形状に角度変更させて前記側構体側に側構体と同一面幅で上端が自由端構成の突出部位を延在させるダブルスキンパネルからなる補助型材を固設し、該突出部位端と前記側構体の面板と面一になるように突き合わせ若しくは嵌合によって接合部位を形成し、前記接合部位裏面側に位置する、平行な2つの面板に挟まれ自由端から最初にリブが存在するまでを中空空間として形成するとともに、該接合部位がボビンツールによる摩擦撹拌接合により接合されていることを特徴とする。
【0011】
かかる発明によれば、摩擦撹拌接合により接合される部分は平面状若しくは曲率の大きいほぼ平面状部分であるために、摩擦撹拌接合が容易であり、一方、前記突出部位と1の構体端が同一の引き抜き若しくは押し出し型材により形成してもよい。
【0012】
突出部位はリブ等の反力を持たす構成が難しく且つ裏当て部材も取り付けにくいために、ボビンツールを用いることにより円滑に摩擦撹拌接合が可能となる。
【0013】
請求項3記載の発明は、平行な2つの面板を有する広幅2面パネル状の構体からなる側構体、床構体、屋根構体が直接若しくは側梁枠体等の補助型材を介して矩形状折曲部位若しくは曲率部を介して角度変更した部位(以下両者を含めて折曲部位という)の組み合わせからなる車両構造体を含む複数の構体からなる構造体であって、
前記1の構体と接合する他の構体の自由端側が前記1の構体と同一厚みで少なくとも2以上の曲率を有する二面構造体同士の接合により形成され且つ、該二面構造体の自由端側の平行な2つの面板に挟まれる内部空間を自由端から最初にリブが存在するまでを中空空間として形成し、該自由端がパネル中央側の曲率半径より大にして、該曲率広幅パネル自由端同士がボビンツールによる摩擦撹拌接合により接合されていることを特徴とする。
【0014】
かかる発明によれば曲率を有する二面構造体同士の接合する場合にその接合位置が実質的に平面状であるために、ショルダー面が密着され、確実に摩擦撹拌接合が可能となる。
この場合に、前記パネル自由端が、その内部にリブが存在しない構成とし、自由端同士が突き合わせ若しくは嵌合によって接合部位を形成いる場合は、裏当部材やリブ等の反力を持たせられないために、該接合部位の摩擦撹拌接合がボビンツールにより接合されている。
【0015】
(削除)
【0016】
更に、1の構体と接合する他の構体の一部が少なくとも2以上の曲率を有する二面構造体同士の接合により形成する際に、該二面構造体の自由端がパネル中央側の曲率半径より大であって且つそのパネル自由端が、その内部にリブが存在しない構成を有する1の構体と他の構体を用意し、該構体の曲率広幅パネル自由端同士を突き合わせ若しくは嵌合した後、該自由端同士を摩擦撹拌接合、特にボビンツールを用いて接合するのも本発明の特徴である。
請求項4記載の発明は前記請求項3に対応するもので、平行な2つの面板を有する広幅2面パネル状の構体からなる側構体、床構体、屋根構体が直接若しくは側梁枠体等の補助型材を介して矩形状折曲部位若しくは曲率部を介して角度変更した部位(以下両者を含めて折曲部位という)の組み合わせからなる車両構造体を含む複数構体からなる構造体の製造方法に係り、
1の構体と接合する他の構体の一部が少なくとも2以上の曲率を有する二面構造体同士の接合により形成する際に、該二面構造体の自由端がパネル中央側の曲率半径より大であって且つそのパネル自由端の平行な2つの面板に挟まれる内部空間を自由端から最初にリブが存在するまでを中空空間として形成した一対の構体を用意し、該一対の構体のパネル自由端同士を突き合わせ若しくは嵌合した後、該自由端同士をボビンツールによる摩擦撹拌接合により接合することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載される構成部品の寸法、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0018】
先ず本発明に適用される鉄道車両構造体を図3に基づいて説明する。
鉄道車両構造体の構体は、左右の側構体1、床構体2、屋根構体3及び前後面を塞ぐ妻構体(不図示)等の平面状若しくは大きな曲率を有する広幅パネル体の組み合わせからなる。
床構体2は、広幅のダブルスキンパネル25同士を上下面が面一状に接合するとともに、その両端側に方形枠状の側梁型材5が固設され、該側梁型材5上に側構体1と同一面幅で上端が自由端構成のダブルスキンパネルからなる補助型材を、左右の側構体1下面自由端(図7に示す自由端13a、13b)に向けて垂直方向に立設接合する。
側構体1は窓部型材15と腰部型材16等のダブルスキンパネル型材からなり、両者はいずれもダブルスキンパネルで形成され、その上下端は図7に示す自由端13a、13b構成となっている。
屋根構体3は、平面上の広幅のダブルスキンパネル35同士を接合して形成されているとともに、その両端にダブルスキンパネルからなる傾斜勾配パネル13Aが接合され、さらにダブルスキンパネルからなる垂直補助型材4を垂直に接合する。この結果補助型材4の下側自由端(図7に示す自由端13a、13)と側構体の自由端(図7に示す自由端13a、13b)は外面及び内面いずれも側構体の自由端と嵌合させることにより面一になるように構成している。
【0019】
次に前記構体を構成するダブルスキンパネルの自由端とその嵌合構成について図7に基づいて説明する。
図7(A)に示す如く、ダブルスキンパネルパネル13は上下二面の平行な面板とその面板間を連接する如く、ジグザグ三角形状に連設したリブ13cを有し、その三角リブ13cの両外側には垂直リブ13dを介して二面の自由端13a、13bが面板と平行且つ水平に延在している。そして一の自由端13aは面板と面一に延在され、他の自由端は13bは、一の自由端の内面側に嵌合すべく、一の面板肉厚より狭幅に形成され、両者13a、13bが嵌合するように構成されている。
そして図7(B)に示す如く、両ダブルスキンパネル13の接合に自由端面が自由端13a、13bの嵌合によって平面状であるために、摩擦撹拌接合が有利であるが、その接合は、図8(A)に示すようなプローブ型回転ツール20を用いる場合は、自由端の内部空間に回転工具を接合線側に押しつける反力となるべきリブが存在しないために、裏当金が必要となるが、この裏当金は被加工物の面板の裏面に密着させて設置するものであり、例え接合位置に沿って移動するにしても長尺材の場合に大きな製造上の負担となる。
【0020】
一方、図8(B)に示すようなボビンツール10を用いた場合は、接合するダブルスキンパネルの自由端の嵌合自由端13a、13bの表裏両面を上下一対のショルダ10A、10B間でプローブ11を介して挟持しているために、接合面の両面において摩擦発熱させることが出来、裏面側の融合不良が生じないのみならず、上下一対のショルダ10A、10B間で互いの反力を受けているために、裏当金が不要になるという効果を有するが、ボビンツールの下側ショルダーがスキンパネル自由端長手方向に移動可能にし、その自由端の嵌合部13a、13bが、その内部にリブ13c、13dが存在しない中空状であることが必要である。
【0021】
そしてこのように構成された例えば床構体2は、強度性維持を図るためとスカートの機能を図るためにその両側に図3に示したような側梁補助型材5を取り付ける必要がある。
しかしながら側梁補助型材5は略方形支持枠をなし、その高さを床構体を構成するダブルスキンパネル面厚wより大きい。このような場合はその接合角隅部にて摩擦撹拌接合が適用できない。
また支持枠5と側構体1間も面幅が一致していないために、摩擦撹拌接合が適用できない。
【0022】
そこで本発明は図1(C)に示すように、ダブルスキンパネル25、25を平面状に接合して床構体2を製造した後、床構体2の両端に固設される補助型材5(方形支持枠)の上面に側構体1のダブルスキンパネルの面幅と一致させたダブルスキンパネルからなる補助型材6を垂直に立設して接合する。
接合手段は外面側では、面一のために摩擦撹拌接合Mにより補助型材6を接合し、内面側では埋もれアーク溶接Aにて接合する。
この場合前記埋もれアーク溶接とは、アルゴン、ヘリウム若しくはこれらの混合ガスに1〜40体積%、好ましくは5〜20体積の窒素ガスを添加したシールドガス雰囲気中で、電極先端から母材表面までのアーク長さを2mm以下に維持してアークが母材内部にまで発生する溶接手段で、本出願人が平成13年7月2日に出願した整理番号(A00101858)に開示されているものである。
【0023】
そして前記補助型材6が垂直に固設された支持枠5を形成した後、床構体2の広幅パネル25と、角隅を埋もれアーク溶接Aにより又表面側を摩擦撹拌接合Mにより夫々接合して、床構体2を構成する。
【0024】
次に屋根構体の製造方法を説明する。
屋根構体3は、曲率を有する広幅のダブルスキンパネル35同士を接合する場合と、水平のダブルスキンパネルの両端に傾斜勾配を付けた場合がある。
しかしながら、曲率を有する広幅のダブルスキンパネル35同士を接合する場合において、その接合位置にある自由端同士も曲率を持っているために、摩擦撹拌接合が出来ない。この場合は図2(A)に示すように嵌合された自由端の嵌合自由端部35a、35aのみ平面状若しくは広幅パネルの曲率Rより大きな曲率にして、摩擦撹拌接合が出来る程度の自由端曲率R’を有する広幅パネルにするのがよい。
このように構成すれば自由端部35a、35aのみ平面状若しくは広幅パネルの曲率Rより大きな曲率R’になっているために、回転工具10のショルダー面10A、10Bが面板に密着して円滑に摩擦接合が可能である。
【0025】
その接合はそのダブルスキンパネル35の自由端部35a、35aが、その内部にリブが存在しない中空状であることから、図2(B)のように、ボビンツール10を用いるのがよい。
【0026】
一方両短傾斜勾配を付けた屋根構体3の場合は、図3に示したようなダブルスキンパネルからなる傾斜勾配パネル13aを埋もれアーク溶接により接合した後、さらにダブルスキンパネルからなる垂直補助型材4を垂直に接合する。この結果補助型材4の自由端と側構体1の自由端は外面及び内面いずれも嵌合させることにより面一になり、摩擦撹拌接合が容易となる。
【0027】
そして前記のように構成した屋根構体3と床構体2はいずれも側構体1と同一面板幅でその自由端が略垂直の同一方向に対面させることが出来るために、その自由端を互いに嵌合させれば、ボビンツール10のポータブルFSW装置ヘッドを用いて側構体の左右量側の対面位置より容易に摩擦接合が可能となる。
【0028】
図4及び図5は前記のように構成した構体を用いて、車両構造体を製造する装置で、床構体2を載置する架台41と、床構体2、側構体1及び屋根構体3を一体的に支持固定する固定治具42、43と、該固定治具42、43を側構体1より離接可能に揺動自在且つ位置決め可能に固定治具42、43に支持する門枠44、床構体2端部の支持枠5上垂直に立設した補助型材6の上面自由端と側構体1の下面自由端の嵌合位置の接合線と対面して左右両側に位置する一対の下側ポータブルFSW装置ヘッド47、屋根構体3端部の傾斜枠3a下面より垂下させた補助型材4の下面自由端と側構体1の上面自由端の嵌合位置の接合線と対面して左右両側に位置する一対の上側ポータブルFSW装置ヘッド46と、これらのFSW装置ヘッドを水平方向に移動させながら摩擦撹拌接合を行う移動支持レール装置48からなる。
【0029】
そして先ず屋根構体2及び床構体1は1つの構体、側構体1は5つのパネル体で形成し、床構体2を載置する架台41上に載置した後、下側固定治具42により固定する。
次に5つのパネル上側構体1を床構体2の左右に立設配置した後、屋根構体3を取付、最後に上側固定治具43にてこれらを一体的に固定する。
【0030】
次に側構体1の左右両側に位置する各一対の上側及び下側ポータブルFSW装置ヘッド46、47とを移動支持レール装置48の水平レールに沿って水平方向に移動させながら、先ず各構体の接合位置にあるダブルスキンパネルパネル自由端外面側の摩擦撹拌接合を行う(図4(A)参照)。この際固定治具43が干渉する場合は、その位置で固定治具43を干渉しないように外方に揺動させる。
次に図4(B)に示すように、移動レール装置48を内(中央)側に寄せ、各一対の上側及び下側ポータブルFSW装置ヘッド46、47を反転させて各構体のダブルスキンパネル自由端の内面側の摩擦撹拌接合を行う。
【0031】
かかる実施例によれば、側構体と対面する位置でポータブルFSW装置ヘッドとを移動支持レールに沿って水平方向に移動させるだけで簡単に車両構造体の製造が可能である。
【0032】
次の本発明が適用される鉄道車両構造体を図6に基づいて説明する。
鉄道車両構造体の構体は、左右の側構体1、床構体2、屋根構体3及び前後面を塞ぐ妻構体(不図示)等の平面状若しくは大きな曲率を有する広幅パネル体の組み合わせからなる。
床構体2は、広幅のダブルスキンパネル25同士を上下面が面一状に摩擦攪拌接合するとともに、その両端側に方形枠状の側梁補助型材5が埋もれアーク溶接により固設され、該側梁型材上に、左右の側構体1垂直方向に立設接合する。
側構体1は窓部型材15と腰部型材16及び広い曲率を有する上部型材17からなり、両者はいずれもダブルスキンパネルで形成され、その各パネル15〜17の表側の突き合わせ部(接合線)は面一であるので摩擦撹拌接合Mで接合される。一方、裏面側の各パネル15〜17の突き合わせ部(接合線)は窓部型材15が車内側に肉厚を持って形成されており、窓部型材15と他の型材16、17はその接合部がへ字形状の矩形状折曲されているために埋もれアーク溶接Aにて接合させている。
屋根構体3は、大きな曲率を有する広幅のダブルスキンパネル35同士を図2のように構成して自由端を面一状にして摩擦攪拌接合により接合して形成されている。
このような構成及び接合動作により前記実施例と同様な効果を得ることが出来る。
【0033】
【発明の効果】
以上記載のごとく本発明によれば、L形状若しくはR部を介して矩形状に折れ曲がった部分や曲率を有する部分においてもこれを効果的に回避して摩擦撹拌接合の利点を充分生かした高強度の車両構造体を得ることが出来る。
又本発明は車両構造体以外でも複数構体からなる構造体であれば住宅用構造体、飛行機、及びロケットにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基本構成図を示す概略図である。
【図2】 曲率を有する広幅のダブルスキンパネル同士を面一状に直接摩擦撹拌接合により接合させた概略図である。
【図3】 本発明により製造される車両構造体の全体断面図である。
【図4】 図3の車両構造体を製造するため装置で上段はダブルスキンパネルの外面側を接合する構成を示し、下段はダブルスキンパネルの内面側を接合する構成を示す。
【図5】 図4の車両構造体を製造するため装置の長手方向から見た図である。
【図6】 本発明に適用される車両構造体を示す断面斜視図である。
【図7】 本発明に使用されるダブルスキンパネル接合部の形状を示し、上段は接合前、下段はボビンツールにより接合している状態を示す。
【図8】 本発明による摩擦撹拌接合のプローブツールとボビンツールの基本構成図である。
【符号の説明】
1 側構体
2 床構体
3 屋根構体
4、5、6 補助型材
10 ボビンツール
13 ダブルスキンパネル
13a、13b 自由端
35a 自由端部
M 摩擦攪拌接合
Claims (4)
- 平行な2つの面板を有する広幅2面パネル状の構体からなる側構体、床構体、屋根構体の構体同士が直接若しくは側梁枠体等の補助型材を介して組み合わせ接合されてなる車両構造体を含む複数構体からなる構造体において、
前記床構体の端部に方形枠状の側梁型材が固設され、該側梁型材の上に側構体の面板方向に矩形状に角度変更させて前記側構体側に側構体と同一面幅で上端が自由端構成の突出部位を延在させるダブルスキンパネルからなる補助型材を固設し、該突出部位端と前記側構体の面板と面一になるように突き合わせ若しくは嵌合によって接合部位を形成し、前記接合部位裏面側に位置する、平行な2つの面板に挟まれ自由端から最初にリブが存在するまでを中空空間として形成するとともに、該接合部位がボビンツールによる摩擦撹拌接合により接合されていることを特徴とする構造体。 - 前記突出部位と1の構体端が同一の引き抜き若しくは押し出し型材により形成されている請求項1記載の構造体。
- 平行な2つの面板を有する広幅2面パネル状の構体からなる側構体、床構体、屋根構体が直接若しくは側梁枠体等の補助型材を介して矩形状折曲部位若しくは曲率部を介して角度変更した部位(以下両者を含めて折曲部位という)の組み合わせからなる車両構造体を含む複数の構体からなる構造体であって、
前記1の構体と接合する他の構体の自由端側が前記1の構体と同一厚みで少なくとも2以上の曲率を有する二面構造体同士の接合により形成され且つ、該二面構造体の自由端側の平行な2つの面板に挟まれる内部空間を自由端から最初にリブが存在するまでを中空空間として形成し、該自由端がパネル中央側の曲率半径より大にして、該曲率広幅パネル自由端同士がボビンツールによる摩擦撹拌接合により接合されていることを特徴とする構造体。 - 平行な2つの面板を有する広幅2面パネル状の構体からなる側構体、床構体、屋根構体が直接若しくは側梁枠体等の補助型材を介して矩形状折曲部位若しくは曲率部を介して角度変更した部位(以下両者を含めて折曲部位という)の組み合わせからなる車両構造体を含む複数構体からなる構造体の製造方法であって、
1の構体と接合する他の構体の一部が少なくとも2以上の曲率を有する二面構造体同士の接合により形成する際に、該二面構造体の自由端がパネル中央側の曲率半径より大であって且つそのパネル自由端の平行な2つの面板に挟まれる内部空間を自由端から最初にリブが存在するまでを中空空間として形成した一対の構体を用意し、該一対の構体のパネル自由端同士を突き合わせ若しくは嵌合した後、該自由端同士をボビンツールによる摩擦撹拌接合により接合することを特徴とする構造体の製造方法。
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