JP4190841B2 - 光コネクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光コネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバ同士の接続に使用される光コネクタの一例を説明する。従来の光コネクタは、少なくとも光ファイバ(光ファイバテープ心線)が挿通固定されたフェルールと、そのフェルールが収容されるハウジングと、前記フェルールの後方端面から外側に突出する光ファイバ上に配置されたスプリング、ストッパー及びブーツを備えている。この種の光コネクタでは、フェルールと相手方光コネクタのフェルールとを突き合せ接続させると、前記スプリングがフェルールを相手方フェルール側に押圧して押し付ける構造となっている(例えば、特許文献1〜3参照)。ここで、突き合せ接続完了後におけるフェルールの接続端面は、9.8N前後の力で相手方フェルールの接続端面に押し付けられることがJIS規格によって求められている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−160972号公報
【特許文献2】
特開平10−307234号公報
【特許文献3】
特開2002−202434号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、端面研磨によって生じるフェルール長のバラツキを考慮し、突き合せ接続完了後は9.8N前後のバネ圧縮荷重を発揮し、且つ圧縮長はかなりの幅を有するスプリングが使用されていた。即ち、バネ定数の低いスプリングが使用されていた。従って、フェルールの接続端面は、相手方フェルールの接続端面に突き合された瞬間に相当程度強い衝撃を受けることになり、接続端面が破損したり、繰り返し着脱における耐久性が劣る。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は前記課題を解決することにある。具体的には、フェルールの接続端面が破損する虞が無く、繰り返し着脱における耐久性も高い光コネクタを提供することを目的とする。
【0006】
本発明の光コネクタは、光ファイバが挿通固定されたフェルールの先端端面が相手方フェルールの先端端面に突き合せ接続され、フェルールはその後方に設けられたスプリングによって後方から相手方フェルール側へ押圧される光コネクタであって
前記スプリングは、両端に比べて中央部の巻きが緩やかなスプリング、又は巻きが緩やかなスプリングと巻きが密であるスプリングとが直列配置されたものであり、それらスプリングは、前記フェルールとその背後に配置されたストッパーとの間に配置され、前記フェルールが前記相手方フェルールに突き合わされる前は、前記フェルールと前記ストッパーとの間に圧縮されて6.5N以下のバネ圧縮荷重を発揮し、前記フェルールが前記相手方フェルールに突き合わされはじめる圧縮初期はバネ圧縮荷重が緩やかに増加するが、前記突き合せの進行により一定の圧縮長を超えると急峻に増加し、突き合わせ接続完了後は圧縮長のバラツキの範囲内において9.8±2Nのバネ圧縮荷重を発揮する、バネ定数を有することを特徴とする光コネクタである。
【0007】
本発明の光コネクタに用いるスプリングは、上記のように、フェルールが相手方フェルールに突き合わされる前は、前記フェルールと前記ストッパーとの間に圧縮されて6.5 N 以下のバネ圧縮荷重を発揮し、突き合せ直後はスムーズにストッパー側へ圧縮されて緩やかにバネ圧縮荷重を上昇させ、突き合わせの進行に伴ってさらに圧縮されて一定の圧縮長を超えると急峻な変化をしめすものである。
【0008】
本発明の光コネクタの他の一つは、スプリングが、両端に比べて中央部の巻きが緩やかなスプリング、又は巻きが緩やかなスプリングと巻きが密であるスプリングとが直列配置されたものであり、それらスプリングはフェルールが相手方フェルールに突き合されはじめる圧縮初期はバネ圧縮荷重が緩やかに増加するが、前記突き合せの進行により一定の圧縮長を超えると急峻に増加するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
以下、本発明の光コネクタの一実施例を詳細に説明する。ここに示す光コネクタは、図1に示すように、光ファイバ(多心ファイバテープ)1が挿通固定されたフェルール2と、そのフェルール2が収容されるハウジング3と、前記フェルール2の後方端面4から外側に延びた光ファイバ1上に配置されたスプリング5、ストッパー6及びブーツ7を備え、これら構成部品が図2のように組み合わされている。
【0010】
図1に示すように、前記フェルール2はファイバ心線が挿通されるファイバ挿通孔8が横一列に複数配列された多心のフェルールであり、配列方向両端のファイバ挿通孔8の外側には接続時にガイドピンが挿入されるガイドピン孔9が形成されている。光ファイバ1は、該フェルール2の後方端面4に開口された差込み口(図示しない)から該フェルール2内に挿入され、その先端において露出している各ファイバ心線が前記ファイバ挿通孔8に夫々挿通され、それらファイバ心線の先端面が該フェルール2の接続端面10に露出している。
【0011】
図2に示すように、前記ハウジング3内に収容されたフェルール2は、その鍔部前面11がハウジング3内の位置決め部12に当接し、図中の矢印a方向へはスライド可能であるが、矢印b方向へはスライド不可能な状態とされている。
【0012】
図1に示すように、前記ストッパー6にはフェルール2の差込み口から外側に延びた光ファイバ1が貫通され、その光ファイバ1を挟んで対向する位置に一対のアーム13が突設され、各アーム13の外側面には係止爪14が形成されている。このストッパー6は、図2に示すように、ハウジング3内に収容されたフェルール2の後方から同ハウジング3内に挿入され、係止爪14がハウジング3の内面に形成された係止受部15に係止して矢印b方向への移動が規制されている。そして、スプリング5は矢印a方向へスライド可能なフェルール2の背後に配置されたダミーのピンホルダー16と、同方向への移動が規制されたストッパー6との間に7.2mmまで圧縮された状態で配置されている。ここで、このスプリング5の自然長は8.0mmであり、前記7.2mmまで圧縮された状態では6.5N以下のバネ圧縮荷重を発揮するバネ定数を有する。即ち、相手方フェルールに接続される前のフェルール2は、6.5N以下の押圧力で図中の矢印b方向へ押圧されている。
【0013】
図3に、図2に示す光コネクタ20同士を突き合せ接続させた状態を示す。図3に示す状態(突き合せ接続完了後)では、図2に示す状態(突き合せ接続前)に比べて、フェルール2がストッパー6に接近し、スプリング5が6.5mm前後まで圧縮される。ここで、スプリング5は6.5mm前後まで圧縮されると、9.8±2Nのバネ圧縮荷重を発揮するバネ定数を有する。即ち、突き合せ接続完了後のフェルール2は、9.8±2Nの押圧力で相手方フェルールに押し付けられる。
【0014】
次に、図2に示す光コネクタ20を図3に示すように突き合せ接続させる工程を説明する。ここでは説明の便宜上、図3右側の光コネクタ20を光コネクタ20a、これが備えるフェルール2をフェルール2aと呼び、左側の光コネクタ20を相手方光コネクタ20b、これが備えるフェルール2を相手方フェルール2bと呼ぶ。
【0015】
まず、図3に示す筒状のアダプタ30の長手方向両外側から該アダプタ30内に光コネクタ20a及び相手方光コネクタ20bを挿入し、両フェルール2a、2bの接続端面10同士を突き合せる。これ以降の両光コネクタ20a及び20bの動作は共通なので、以下では光コネクタ20aの動作を中心に説明する。
【0016】
アダプタ30内に挿入された光コネクタ20aをさらに該アダプタ30内に押し込む。すると、相手方フェルール2bに突き当たっているフェルール2はスプリング5による押圧に抗して図中の矢印方向へ後退し、7.2mmまで圧縮されているスプリング5をさらに圧縮する。ここで、圧縮される前(フェルール2aが相手方フェルール2bに突き当たる前)のスプリング5のバネ圧縮荷重は6.5N以下であるので、相手方フェルール2bに突き当たったフェルール2はスムーズに矢印方向へ後退を始め、突き合せ時に接続端面その他が大きな衝撃を受けることはない。
【0017】
その後、光コネクタ20aをさらにアダプタ30内に押し込んで、ハウジング3の外周面に突設されている係止部31(図2参照)をアダプタ30の内面に形成されている係止受部32に嵌合させる。これによって、光コネクタ20a(フェルール2a)と相手方光コネクタ20b(相手方フェルール2b)との突き合せ接続が完了する。この状態まで光コネクタ20aをアダプタ30内に押し込むと、フェルール2aはさらに図中の矢印方向へ後退し、最終的にスプリング5を6.5mm前後まで圧縮する。この結果、突き合せ接続完了後のフェルール2aの接続端面10は、9.8±2Nの押圧力で相手方フェルール2bの接続端面10に押し付けられることになる。図4にスプリング5の長さとバネ圧縮荷重との関係を表すグラフを示す。
【0018】
尚、フェルール2aのガイドピン孔9には、相手方フェルール2bのガイドピン孔9を貫通し、該フェルール2bの接続端面10から突出したガイドピン33の先端が挿入されている。また、ガイドピン33の後端は、相手方フェルール2bの後方端面4から外側に突出しており、その突出した後端はピンホルダー16によって保持されている。
【0019】
(実施形態2)
前記スプリングは、フェルールの突き合せ接続完了時に予想される圧縮長のバラツキの範囲内において9.8±2Nのバネ圧縮荷重を発揮し、且つフェルールの突き合せ前には6.5N以下のバネ圧縮荷重を発揮し得るバネ定数を有するものであれば、その形状、構造、素材、巻き数、自然長等は限定されない。また、全体として発揮されるバネ圧縮荷重が前記数値範囲内にあれば、2以上のスプリングを用いることもできる。
【0020】
スプリングの一例を図5(a)に示す。ここに示すスプリングは両端に比べて中央部の巻きを緩やかにしたものである。従って、圧縮初期はバネ圧縮荷重が緩やかな変化を示すが、一定の圧縮長を超えると急峻な変化を示す。即ち、フェルールが相手方フェルールに突き合された瞬間からしばらくの間はバネ圧縮荷重が緩やかに増加し、突き合せ接続完了後は十分なバネ圧縮荷重を発揮する。図5(b)に図5(a)のスプリングの長さとバネ圧縮荷重との関係を表すグラフを示す。
【0021】
スプリングの他例を図6(a)(b)に示す。これらのスプリングは圧縮荷重が弱いスプリングと強いスプリングを直列に配置したものであり、全体としてのバネ圧縮荷重は図5(a)に示すスプリングと同様の変化を示す。
【0022】
【発明の効果】
本発明の光コネクタによれば、フェルールは相手方フェルールに突き合わされる前は6.5N以下の力で相手方フェルール側に押圧され、突き合せ接続完了後は9.8±2Nの力で相手方フェルールに押圧される。従って、相手方フェルールとの突き合わせ時にフェルールの接続端面が大きな衝撃を受けることがなく、該端面における傷の発生が抑制され、繰り返し着脱における耐久性も向上する。しかも、突き合せ接続完了後はフェルールがJIS規格を満足する力で相手方フェルールに押し付けられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光コネクタの一例を示す分解斜視図。
【図2】 本発明の光コネクタの構造を示す断面図。
【図3】 本発明の光コネクタの接続状態における断面図。
【図4】 図1〜図3に示すスプリングの圧縮長とバネ圧縮荷重との関係を示す図。
【図5】 (a)はスプリングの一例を示す平面図、(b)は(a)のスプリングの圧縮長とバネ圧縮荷重との関係を示す図。
【図6】 (a)(b)はスプリングの異なる例を示す平面図。
【符号の説明】
1 光ファイバ
2、2a フェルール
2b 相手方フェルール
3 ハウジング
4 フェルールの後方端面
5 スプリング
6 ストッパー
7 ブーツ
8 フェルールのファイバ挿通孔
9 フェルールのガイドピン孔
10 フェルールの接続端面
11 フェルールの鍔部前面
12 ハウジングの位置決め部
13 ストッパーのアーム
14 アームの係止爪
15 ハウジングの係止受部
16 ピンホルダー
20、20a 光コネクタ
20b 相手方光コネクタ
30 アダプタ
31 ハウジングの係止部
32 アダプタの係止受部
33 ガイドピン

Claims (1)

  1. 光ファイバが挿通固定されたフェルールの先端端面が相手方フェルールの先端端面に突き合せ接続され、フェルールはその後方に設けられたスプリングによって後方から相手方フェルール側へ押圧される光コネクタであって、
    前記スプリング、両端に比べて中央部の巻きが緩やかなスプリング、又は巻きが緩やかなスプリングと巻きが密であるスプリングとが直列配置されたものであり、それらスプリングは、前記フェルールとその背後に配置されたストッパーとの間に配置され、前記フェルールが前記相手方フェルールに突き合わされる前は、前記フェルールと前記ストッパーとの間に圧縮されて6.5 N 以下のバネ圧縮荷重を発揮し、前記フェルールが前記相手方フェルールに突き合わされはじめる圧縮初期はバネ圧縮荷重が緩やかに増加するが、前記突き合せの進行により一定の圧縮長を超えると急峻に増加し、突き合わせ接続完了後は圧縮長のバラツキの範囲内において9.8±2 N のバネ圧縮荷重を発揮する、バネ定数を有していることを特徴とする光コネクタ。
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