JP3969076B2 - 光コネクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバを他の光ファイバや光部品と接続する際に用いる光コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
光伝送路上では、光ファイバ同士や光ファイバと光部品とを接続する必要が生じる。接続方法は種々あるが、光ファイバの端部をコネクタ化して接続することが一般的に行われている。このような光コネクタの一例として、米国特許6116790号や特表2000−515986号公報などに記載のものなどが知られている。これらの公報に記載の多心光コネクタを図5〜図8に示す。
【0003】
この多心光コネクタ1は、光ファイバFの端部を保持して相手側光部品(ここではもう一つの光コネクタ1)との位置決めを行うフェルール2と、このフェルール2を内部に収納して相手側光部品と互いに係止し合うための係止手段を備えたハウジング3とを有している。ここでは、係止手段は、一対の係止爪4である。相手側の多心光コネクタ1は後述するガイドピン5の有無以外は全く同一のものであり、上下を反転させることによって互いの係止爪4が係止するようになっている。フェルール2同士の位置決めは、フェルール2の接続端面に穿孔された一対のガイド孔と、このガイド孔に挿入されるガイドピン5とからなる位置決め手段によって行われる。
【0004】
図5〜図7にかけては、一対の多心光コネクタ1同士を接続させる過程が示されている。この一対の多心光コネクタ1同士の接続は、アダプタ6の内部で行われる。アダプタ6は、同一形態の部品を上下反転させて一体化した筒状の部品である。まず、このアダプタ6に一方の多心光コネクタ1(図5中右方)を嵌めておき、これに対向するように他方の多心光コネクタ1を嵌めることによって、一対の多心光コネクタ1同士が接続される。
【0005】
このような光コネクタ1におけるフェルール2は、ハウジング3内である程度スライド可能に収納され、かつ、ハウジング内でバネ8などの弾性体によって前方に付勢されている。また、光ファイバFの先端は、図8に示されるように、フェルール2の接続端面から1〜3μm程度突き出されている。このため、相手側光部品(例えば、相手側光コネクタ1の光ファイバF)の光ファイバに対して接触するように押し付けられ、いわゆるPC(Physical Contact)接続が行われるようになっている。PC接続によって、フレネル反射による接続損失の発生と反射戻り光を抑えている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した光コネクタ1においては、フェルール2とハウジング3との干渉、特に、フェルール2の前端面(接続端面)周縁のエッジとハウジング3との干渉によってハウジング3(又はフェルール2)が削れてゴミが発生する可能性がある。フェルール2の材料はエポキシ樹脂やPPSなどが一般的で、ハウジング3やアダプタ6の材料はPBTやPPSが一般的であり、フェルール2の方が硬質である場合が多い。このため、フェルール2のエッジでハウジング3やアダプタ6の表面が削られ、ゴミ(樹脂カス)が発生する。
【0007】
光コネクタ1を相手側部品に接続させる際にこのようなゴミが発生して10μm程度の大きさの異物が接続端面の間に入り込んでしまうと、これが障害となって上述したPC接続が正常に行われなくなって良好な接続特性を得られなくなってしまう。また、フェルール2やハウジング3などには、形状安定性向上などのためにガラス製の充填材(ガラスフィラ)を15〜80%含有させることも一般的である。上述したような樹脂カスが発生するような状況では、この含有されていたフィラも脱落する可能性がある。
【0008】
このようなフィラが光ファイバFの端面間に入り込めば、光ファイバFの端面自体を傷つけてしまい、ゴミを除去しても良好な接続特性が得られなくなってしまうおそれがある。さらに、フィラがフェルール2の接続端面間に入り込むことでフェルール2の表面を削り取り、更なるゴミの発生要因となる可能性がある。代表的なPBTに含まれるフィラの大きさは、直径が10〜15μm、長さが0.2〜0.4mm程度である。
【0009】
また、図9及び図10に示されるような、別のタイプの光コネクタであるMT-RJコネクタ100では、プラグハウジング101にスリット102を形成させると共に、接続時に用いるアダプタ103の内部に突起104(図10参照)を設け、突起104により一対のMT-RJプラグ内のフェルール105の大まかな位置決めを行っている。このようなMT-RJコネクタ100においては、上述したようなフェルールとハウジングとの接触以外にも、スリット102内に挿入されたアダプタ103の突起104とフェルール105との接触によってもゴミが発生する可能性があった。
【0010】
従って、本発明の目的は、フェルールと周辺部品との接触によるゴミ発生およびコネクタ端面間への入りこみを抑止し、良好な接続特性を得ることのできる光コネクタを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の光コネクタは、光ファイバの端部を収納位置決めする光ファイバ挿入穴および相手側光部品と互いに位置決めし合うための位置決め手段として少なくとも2つのガイドピン挿入穴を有するフェルールと、フェルールを収納するハウジングと、ハウジング内に収納されてフェルールを前方に付勢する弾性体と、相手側光部品と互いに係止し合うための係止手段とを備えており、フェルールの前部における最外周面には、前方に向けて断面積が小さくなるような段差部が設けられており、段差部の表面には曲面が形成されていることを特徴としている。
【0013】
請求項に記載の光コネクタは、請求項1に記載の発明において、段差部に形成された曲面の曲率半径が0.1mm〜0.7mmであることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の光コネクタの実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1及び図2は参考例を示している。図1は、アダプタ6を用いて一対の光コネクタ1を接続するときの断面図である。図2は、そのフェルール2部分を拡大して示した断面図である。以下、説明を容易にするため、光コネクタ1に光ファイバFを収納させたときに光ファイバFの端部延長方向を前方、これと反対方向を後方として説明する。
【0015】
参考例である光コネクタ1は、前述したタイプの多心光コネクタである。この光コネクタ1は、光ファイバFの先端を収納したフェルール2と、このフェルール2を内部に収納すると共に係止手段を有するハウジング3とを備えている。フェルール2は、JIS C 5981に規定された多心コネクタフェルールである。このフェルール2を内部に収納するハウジング3は、その上下に相手側光部品(ここでは他方の光コネクタ1)と互いに係止し合う係止手段となる一対の係止爪4を有している。ハウジング3の内部には、フェルール2の直ぐ後方に位置する押圧部材7と、この押圧部材のさらに後方に配置された弾性体としてのスプリング8とが収納されている。
【0016】
そして、ハウジング3の後方には、スプリングストッパ9が挿入嵌合されている。スプリングストッパ9をハウジング3の後方に嵌合させることによって、フェルール2は押圧部材7を介してスプリング8によって前方に付勢される。ただし、フェルール2は、その後部の段差がハウジング3内の段差と当接して、ハウジング3の前方から飛び出ないようにされている。さらに、ハウジング3及びスプリングストッパ9のさらに外方には、スリーブ10が取り付けられている。スリーブ10は、光コネクタ1を取り扱う際に持つ部分となり、ハウジング3に対して所定量スライド可能となるように取り付けられている。
【0017】
なお、ハウジング3の外面には、アダプタ6の内面側に形成された係止片11と係止する係止突起12も形成されている。この係止片11と係止突起12との間の係止は、上述したスリーブ10をコネクタ後方にスライドさせることで外れるようになっている。即ち、アダプタ6の内部に光コネクタ1を押し込めば係止片11と係止突起12とが係止され、光コネクタ1がアダプタ6から自然に脱落することはなくなる。しかし、スリーブ10を持ってアダプタ6から光コネクタ1を後方に引き抜けば、スリーブ10はスライドしつつ係止片11と係止突起12との係止を外すので、光コネクタ1をアダプタ6から外すことができる。
【0018】
そして、一対の光コネクタ1同士を接続する際には、従来例として図5〜図7に基づいて説明したような手順で、アダプタ6の両側から光コネクタ1を挿入させる。接続時には、一対の光コネクタ1の係止爪4同士が係止し合う(図7と同等の状態)。このとき、各光コネクタ1の係止突起12は、アダプタ6内部の係止片11とそれぞれ係止し合う。さらに、このとき、一対のフェルール2同士は、通常のMTフェルール同様、ガイド孔とガイドピン5によって位置合わせが行われる。接続後、フェルール2同士はスプリング8によって互いに押し付け合い、確実にPC接続される。
【0019】
フェルール2の前部最外周面の最も前方寄りに位置している部分(参考例では、接続端面の外周縁部)は、ハウジング3などの周辺部品と接触して樹脂カスを最も発生させ易い部分である。この接続端面の外周縁部が曲面とされている(テーパー面でも良い)。この曲面は、接続端面の外周縁部の全周にかけて形成されている。この部分に曲面を設けることによって、フェルール2によってハウジング3などの周辺部品の表面を削り取りにくくして樹脂カスの発生を抑止することができ、さらにコネクタ端面位置から後方にずらすことにより、端面間に入りこむ可能性を低減できるため、良好な接続特性を得ることができる。
【0020】
ここで、フェルール2の前部最外周面の最も前方寄りに位置している部分を曲面を形成した場合、その曲面の曲率半径は0.1mm〜0.7mmの範囲内とされるのが好ましい。この曲率半径が0.1mm未満であると、曲面としての効果が薄れ、フェルール2とハウジング3などの周辺部品との接触によるゴミ(樹脂カス)の発生を効果的に抑止することができなくなってしまう。一方、この曲率半径が0.7mmを超えるようであると、段差部13の大きさが大きくなってガイドピン5を挿入するガイド孔に接続端面の周縁部が迫り、安定した接続が行えなくなる可能性がある。また、この曲率半径が0.7mmを超えるようであると、曲面自体がガイド孔に迫り、安定した接続が行えなくなる可能性がある。
【0021】
図3及び図4に、本発明の実施形態を示す。本実施形態の光コネクタ1は、上述した第一実施形態における段差部13が形成されていないものであり、その他の部分は参考例のものと同様である。このため、ここでは、参考例と同一又は同等の部分に関しては同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0022】
本実施形態の光コネクタ1においては、図4に示されるように、フェルール2の前部に段差部13が形成されている。この段差部13は、フェルール2の全周にかけて形成されている。段差部13は、フェルール2の(光ファイバFの延設方向に対して直角な断面における)断面積が先端側で小さくなるように形成されている。そして、この段差部13は、フェルール2の前部最外周面の最も前方寄りに位置しており、その表面が曲面として形成されている(テーパー面でも良い)。本実施形態では、この曲面の曲率半径が0.1mm〜0.7mmの範囲内とされている。
【0023】
特に、本実施形態では、上述したような段差部13を形成してこの部分がフェルール2の前部最外周面の最も前方寄りに位置している部分となるようにし、この段差部13の表面を曲面としている。相手側光部品と当接させるフェルール2の接続端面は、通常光コネクタの製造過程で研磨が行われるため、フェルール2に対して曲面やテーパー面を形成するのは、フェルール2を樹脂成形する際に同時に形成させてしまうのが、製造上最も好ましい。後から研削や研磨によって曲面やテーパー面を形成させることも可能であるが製造工程も増えるので、フェルール2の樹脂成形時に曲面やテーパー面を形成させたい。
【0024】
しかし、当初から接続端面の周縁部に曲面やテーパー面を形成させておくと、接続端面を研磨する場合には曲面やテーパー面の形状が変わってしまい、適切な効果が得られなくなることが懸念される。このため、このように、段差部13を形成させ、この部分に曲面やテーパー面を形成させることによって、光コネクタの製造を容易にすることができると共に、フェルール2によって周辺部品を削って樹脂カスが発生するのを抑止することができる。また、本実施形態によれば、万一ゴミが発生した場合も、接触部をフェルール端面から後方にずらしているため、コネクタ端面間に入り込む確率を低減できる。
【0025】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、光コネクタの形態は上述した実施形態のものに限定されず、MPOコネクタ(JIS C 5982)やMT-RJコネクタなどに対しても適用可能である。従来技術に関する説明時に述べたように、MT-RJコネクタなどでは、フェルールとアダプタとの接触による樹脂カス発生の懸念が強い。ただし、本発明の光コネクタは、その光接続に関して必ずアダプタが必要であると言うことではなく、アダプタを必要としない光コネクタに対しても適用可能である。また、上述したように、フェルールが樹脂成形によって製造される場合、曲面やテーパー面はフェルールの樹脂成形時に一体的に形成されるのが好ましいが、後から研削や研磨によって曲面やテーパー面を形成させても良い。
【0026】
【発明の効果】
本発明の光コネクタによれば、光コネクタの接続時にハウジングとフェルールとの接触によるゴミの発生およびコネクタ端面へのゴミの入りこみを抑止し、フェルールや光ファイバの損傷を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例である光コネクタの断面図である。
【図2】 図1の光コネクタのフェルール部分の拡大断面図である。
【図3】 本実施形態の光コネクタの断面図である。
【図4】 図3の光コネクタのフェルール部分の拡大断面図である。
【図5】 従来の光コネクタの断面図(接続作業初期状態)である。
【図6】 従来の光コネクタの断面図(接続作業中期状態)である。
【図7】 従来の光コネクタの断面図(接続作業完了状態)である。
【図8】 PC接続される一対のフェルール端面を示す側面図である。
【図9】 MT-RJコネクタ及びアダプタの外観を示す斜視図である。
【図10】 アダプタの内部を示す正面図である。
【符号の説明】
1…光コネクタ、2…フェルール、3…ハウジング、4…係止爪、5…ガイドピン、6…アダプタ、7…押圧部材、8…スプリング、9…スプリングストッパ、10…スリーブ、11…係止片、12…係止突起、13…段差部、F…光ファイバ。

Claims (2)

  1. 光ファイバの端部に取り付けられて前記光ファイバの端部をコネクタ化する光コネクタにおいて、
    光ファイバの端部を収納位置決めする光ファイバ挿入穴および相手側光部品と互いに位置決めし合うための位置決め手段として少なくとも2つのガイドピン挿入穴を有するフェルールと、
    前記フェルールを収納するハウジングと、
    前記ハウジング内に収納されて前記フェルールを前方に付勢する弾性体と、
    相手側光部品と互いに係止し合うための係止手段とを備えており、
    前記フェルールの前部における最外周面には、前方に向けて断面積が小さくなるような段差部が設けられており、
    前記段差部の表面には曲面が形成されていることを特徴とする光コネクタ。
  2. 前記段差部に形成された前記曲面の曲率半径が 0.1mm 0.7mm であることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ。
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