JP4190787B2 - 炭素質物質の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、炭素質物質の製造方法に関する。さらに詳しくは、ポリビニルアルコール系樹脂又はその成形体(以下、ポリビニルアルコールをPVAと略称する)を原料とした炭素質物質の製造方法に関する。本発明により得られる炭素質物質及び活性炭は、各種電極材料、断熱材料、吸着材料、防炎材料などに好適に使用される。
【0002】
炭素質物質は、さらに繊維形態とすることにより、炭素繊維や活性炭素繊維にも適用できる。炭素繊維は上記した断熱材料、防炎材料などに好適であり、活性炭素繊維は浄水、空気浄化、ガス吸着、水処理、溶剤回収、脱色、タバコフィルター、クリーンルーム用フィルター、血液浄化などの用途に好適である。また、二次電池用、電解コンデンサー用、電気二重層キャパシタ用などの電極材料としても有用である。
【0003】
【従来の技術】
これまで、PVA系樹脂又はその成形物を原料とした炭素質物質に関して多数報告がなされている。例えば、特公昭38−20353号公報には、PVA系樹脂又は繊維などの成形体を400℃以下の温度において酸化性雰囲気中にて加熱して炭素質物質を製造する方法が開示されている。そして、加熱工程に関しては、200℃〜240℃付近に熱分解温度があるため、その熱分解温度よりも低い温度において酸化性雰囲気下で熱処理することが好ましいと記載されており、具体的な実施例においても、200℃又は180℃にて加熱処理する例が示されている。
【0004】
しかしながら、このような加熱処理は、15時間以上と非常に長時間を要する処理であり、生産性が低いので、到底工業的に有利な方法であるとはいえない。一方、脱水素反応を進行させるにあたっては250℃〜400℃で熱処理することが効果的であることも記載されている。しかしながら、本発明者らがかかる点について詳細に検討を行なったところ、酸化性雰囲気下でこの温度領域にPVA系樹脂又はその成型物をいきなり投入すると、蓄熱などによる分解反応が加速され、燃焼してしまうという問題があることが判明した。
【0005】
特公昭40−9061号公報には、ビニルアルコールあるいはその誘導体を含有する高分子物繊維にハロゲンあるいはその化合物を作用させた後焼成して繊維状炭素材料を製造する方法が開示されている。そして、この製造方法には、収率向上及び機械的性質の向上効果があると記載されている。しかしながら、実施例からも明らかなように、かかる方法ではハロゲンの使用量が多く、ハロゲンを使用することによる装置対応の必要性に加え、熱処理する際のハロゲン化水素による装置の腐蝕が懸念され、工業化という観点から推奨できる方法ではない。
【0006】
特公昭45−31707号公報には、ビニルアルコール系繊維を塩酸ガスその他酸化性のない酸の蒸気を含む雰囲気中で100℃〜300℃までの間の温度で加熱し、その後、空気その他の酸化性雰囲気中で150℃〜300℃の間の温度で加熱し、さらにその後、非酸化性雰囲気中で300℃以上1000℃までの間の温度で加熱して得られる炭化質繊維とその製造方法が開示されている。そして、この方法によれば、収縮抑制・収率向上に効果があることが記載されている。しかしながら、工業化の観点からは、塩酸ガス雰囲気での熱処理の際の装置の腐蝕が懸念され、また、その後の酸化性雰囲気中での熱処理に関しても、実施例から明らかなように、200℃で3時間又は230℃で16時間と長時間を要し、生産性に優れたものとは言い難い。
【0007】
特開昭48−1423号公報には、ポリ塩化ビニル10〜35重量%とPVA90〜65重量%からなる合成繊維を空気中にて150℃〜235℃で5時間〜10時間予備酸化し、次いで窒素中にて250〜350℃で2〜5時間予備焼成し、さらに1200℃まで5〜7時間で炭素化する炭素繊維の製造方法が開示されている。この製造方法によれば、収縮抑制及び生産の短時間化に効果があることが記載されている。しかしながら、熱処理の際にポリ塩化ビニルから発生する塩酸ガスによる装置の腐蝕が懸念される。また、生産性という点に関しては、実施例からみる限り、合計の熱処理時間が10時間以上と長時間であり、到底合理的な生産方法であるとは言い難い。
【0008】
特開昭48−39724号公報には、平均重合度2000以上のPVA水溶液を苛性アルカリを主とする水溶液の凝固浴で湿式紡糸して得られる繊維を炭素化するPVA系炭素繊維の製造方法が開示されている。この製造方法によれば、強度及び可撓性に効果があると記載されているが、熱処理条件に関する記載は少なく、実施例に、空気中210℃以下の温度で長時間(5〜15時間)加熱することが記載されているのみである。したがって、生産性が低く、樹脂、紡糸方法などに限定があることに加え、苛性アルカリを主とする水溶液で凝固させるため、非常に危険であり、工業的観点からは推奨できる方法であるとはいえない。
【0009】
特開昭48−41041号公報には、塩化ビニリデン単独重合体又は塩化ビニリデン共重合体の水性エマルジョンとPVAとを混合紡糸して得た塩化ビニリデン成分が30重量%以上かつPVA成分が30重量%以上の繊維を炭素化するPVA系炭素繊維の製造法が開示されている。この製造法によれば、工程及び時間の短縮、並びに収率向上に効果があることが記載されているが、熱処理する際、ポリ塩化ビニリデンから発生する分解ガスである塩酸ガスによる装置の腐蝕が懸念される。また紡糸方法なども限定されており、工業的に有利な方法であるとは言い難い。
【0010】
特開昭48−41042号公報には、PVA系繊維に炭素−炭素二重結合を導入し、これに塩素又は/及び臭素を10重量%以上付加反応せしめた後、炭素化するPVA系炭素繊維の製法が開示されている。この方法によれば、工程及び時間の短縮、並びに収率向上に効果があることが記載されているが、ハロゲン化の工程が必要であり、これに対する装置対応が必要になる。さらに、熱処理の際のハロゲン化水素による装置の腐蝕が懸念され、装置対応に起因する製造コストが高くなる。したがって、この方法は工業的観点からみてかなり不利な方法である。
【0011】
特開昭49−13430号公報には、PVA系合成繊維を加熱して炭素質繊維を製造するに当り、PVA系繊維に予め誘電率10.0以下の疎水性有機溶剤で前処理を施す炭素質繊維の製造法が開示されている。この製造法によれば、柔軟な風合向上に効果があると記載されているが、有機溶剤での前処理工程が必要であり、そのための装置も必要である。熱処理条件に関しては、実施例でみる限り、5時間以上の熱処理を行なっており、生産性を考慮した場合、有利な方法であるとは言い難い。
【0012】
特開昭49−24987号公報には、硫酸水素ナトリウム及び硫酸水素カリウムの少なくとも1種を含有せしめたPVA系繊維又はその製品を220℃以下の温度において酸化性雰囲気にて加熱し、次いで非酸化性雰囲気で焼成するPVA系炭素製品の製造法が開示されている。そして、この製造法によれば、収率向上、可撓性、高強度、蓄熱防止などの効果があることが記載されている。しかしながら、実施例によると、不融化を220℃以下の温度で行っているため、不融化の反応速度が遅く、熱処理に長時間を要するためと考えられるが、熱処理に10時間以上の長時間を要するものであり、生産性を考慮した場合、現実的な生産方法であるとはいえない。
【0013】
特開昭50−35431号公報には、熱処理した高延伸、細繊度のPVA系合成繊維フィラメントを出発原料とし、脱水触媒の存在下に、無緊張で重量減が20〜35%になるよう加熱脱水処理を行ない、次いで、酸化性雰囲気中150〜200℃の温度で1〜5時間処理した後、緊張状態で酸素を含まない不活性ガス雰囲気中で炭素化又は黒鉛化処理する炭素繊維の製造法が開示されている。この方法によれば、生産の短時間化によるコストダウンに効果があることが記載されているが、熱処理した高延伸、細繊度のPVAに限定されているため適用範囲が狭い。また、脱水剤に関しては、塩酸ガス雰囲気のみで実施する例が実施例に記載されており、装置腐蝕が懸念される。また、その後の酸化処理に関しても1〜5時間必要であり、工業的に有利な方法であるとはいえない。
【0014】
特開昭50−52320号公報には、PVA系合成繊維フィラメントを出発原料として炭素繊維を製造するに際し、3〜20重量%の脱水触媒を添加したPVA系繊維フィラメントを無緊張下において、不活性ガス雰囲気中で20〜35%の重量減が生ずるよう加熱脱水処理を行ない、次いで酸化性雰囲気中150〜200℃の温度で1〜5時間処理した後、不活性ガス中で緊張下に加熱焼成し、炭素化又は黒鉛化処理を施す炭素繊維の製造法が開示されている。この方法は、低公害でかつ短時間な処理が可能であり、低コストでかつ高性能な炭素繊維の製造方法であると記載されているが、実施例によれば、20〜35%の重量減が生ずるように加熱脱水処理する工程に4時間程度を必要としている。また酸化処理に関して1〜5時間必要であり、短時間化という観点からはまだまだ不十分である。また、その後の熱処理に関しても昇温が必要であり、1000℃程度の高温にいきなり投入した場合、融解する問題がある。
【0015】
特開昭50−52321号公報には、PVA系合成繊維フィラメントを出発原料として炭素繊維を製造するに際し、3〜20重量%の脱水触媒を含有するPVA系合成繊維フィラメントを、酸化性雰囲気中、無緊張下で20〜35%の重量減が生ずるよう加熱した後、不活性ガス中で緊張下に加熱焼成し、炭素化又は黒鉛化処理を施す炭素繊維の製造法が開示されている。この方法は、低公害でかつ短時間での処理が可能であり、低コストでかつ高性能な炭素繊維の製造方法であると記載されている。しかしながら、実施例によれば、20〜35%の重量減が生ずるよう加熱脱水処理する工程に4〜8時間程度を必要としており、短時間化という観点からはまだまだ不十分である。また、その後の熱処理に関しても昇温が必要であり、1000℃程度の高温にいきなり投入した場合、融解する問題がある。
【0016】
特開昭51−38525号公報には、PVAを焼成して炭素繊維を製造するに当り、PVAを膨潤状態に維持し、放射線処理した後、焼成する炭素繊維の製造方法が開示されている。そして、この方法によれば、放射線処理による収率向上に効果があると記載されている。しかしながら、この方法によれば、熱処理時間に関しては従来の方法と大差なく長時間が必要である。しかも、安全面から放射線遮断設備が必須であるなど、工業的に有利な方法であるとは言い難い。
【0017】
特開昭53−37594号公報には、PVAに濃硫酸又は発煙硫酸を加えて加熱処理し、その生成物を賦活化する活性炭の製造方法が開示されている。そして、この方法は、優れた吸着量を持つ活性炭の製造方法であると記載されている。しかしながら、この方法によれば、濃硫酸を使用するため、設備対応が必須であり、実施例では原料に対して500重量%もの濃硫酸を使用するものであり、到底現実的な製造方法であるとは言い難い。
【0018】
特開昭53−45685号公報には、PVA及びその共重合体から選ばれる高分子化合物を、硫酸、発煙硫酸又は無水硫酸と接触させてこれら高分子化合物の硫酸処理物を得、次いで、該処理物を酸化性ガス又は不活性ガス中において熱処理を行なう活性炭の製造方法が開示されている。そして、この製造方法は、優れた吸着量を持つ活性炭の製造方法であると記載されている。しかしながら、この方法によれば、濃硫酸という極めて危険な試薬を大量に用いるため設備対応が必須となる。また、得られる活性炭の吸着性能の指標である比表面積400〜900m2/gは、一般的に使用される活性炭の比表面積1200〜2000m2/gと比較してみても大きいものとはいえず、吸着剤として決して高性能なものであるとは言い難い。
【0019】
特開昭53−114925号公報には、(1)脱水反応促進剤としてリン酸アンモニウム化合物を3〜15重量%添加して調製したPVA紡糸原糸を乾式紡糸して原料繊維を製造すること、(2)上記原料繊維に対する重量収率が65%〜85%となる迄上記原料繊維を180℃〜340℃の温度で加熱脱水処理すること、及び(3)上記脱水処理糸を、水蒸気を含む不活性ガスの雰囲気中600〜1000℃の温度で、上記原料繊維に対する重量収率が10〜35%となる迄賦活処理すること、よりなる活性炭素繊維の製造法が開示されている。この製造法によれば、低公害でかつ短時間な処理で、優れた吸着量を持つ活性炭素繊維が得られることが記載されている。
【0020】
しかしながら、この方法においては、紡糸処方として乾式紡糸法、脱水反応促進剤としてリン酸アンモニウム化合物が限定されており、また脱水剤の後添着では吸着性能に優れた活性炭素繊維を得ることができないことが示されており、かかる点で大きな制約がある。また、本発明者らがこの方法についてさらに詳細に検討したところ、急速賦活を行なうと融解すること、大量に仕込むと蓄熱することから、大量の仕込みができず、したがって生産性が低く、工業化の観点からはまだまだ不十分であることが判明した。
【0021】
特開昭59−187624号公報には、脱水剤を付着あるいは含有したPVA系繊維を、重量減少が35%以上になるまで加熱し、脱水と炭化反応を行って炭素質繊維を得る工程と、得られた炭素質繊維を800〜1200℃の温度かつ微量の酸素の存在下で高温急速賦活する工程とからなる活性炭繊維の製造方法が開示されている。そして、この方法は、吸着性能に優れた活性炭素繊維の製造方法であると記載されている。しかしながら、本発明者らが追試を行なったところ、大量に仕込んだ場合、蓄熱が起こるため大量に仕込むことができず、したがって生産性が低く、工業化の観点からはまだまだ不十分であることが判明した。
【0022】
特開昭61−47827号公報には、PVA系繊維を炭化せしめてなる中空状活性炭素繊維が開示されている。この繊維は、活性炭特有の吸着性と中空繊維壁の透過性を兼備えた特異な物性を示すことが記載されており、製造法に関しては脱水剤の添着方法と、400℃〜1000℃までを5分以内で乾留することがポイントであることが記載されている。しかしながら、乾留前の不融化条件に関しては、具体的な条件の記載がほとんどなく、黒色になるまで180℃〜300℃迄徐々に昇温して加熱する方法が記載されているのみである。そこで本発明者らが追試を行なったところ、大量に仕込むと蓄熱が起こり、大量に仕込むことができず、この方法においても生産性が低いことが判明した。
【0023】
以上、前述した公知の技術を簡潔にまとめると、(1)脱水促進剤として主に塩酸、硫酸系、リン酸系などの酸を使用し、酸化性雰囲気下で熱処理することにより炭素質物質を製造する方法(特公昭45−31707号公報、特開昭48−1423号公報、同48−39724号公報、同49−13430号公報、同49−24897号公報、同50−35431号公報、同50−52320号公報、同50−52321号公報、同51−38525号公報、同53−114925号公報、同59−187624号公報)と、(2)PVA樹脂をハロゲン化、スルホン化することにより酸化性雰囲気下での熱処理を必要とせず炭素質物質を製造する方法(特公昭40−9061号公報、特開昭48−41041号公報、同48−41042号公報、同53−37594号公報、同53−45685号公報)とに大別される。
【0024】
上記(1)の方法に関しては、さらに様々な角度から検討が行われており、改善されてきてはいるが、大量に仕込むと蓄熱し発火を起こすこと、脱水、酸化に長時間を要すること、脱水剤の使用量が多く、これらは腐蝕、最終製品中のコンタミになることなどの問題は依然として解決されておらず、工業化に向けた大きな課題として残されている。
【0025】
一方、(2)の方法では、ハロゲン化、スルホン化という設備対応が必須であり、極めて危険な工程が必要になること、又ハロゲン化に関しては熱処理工程の際、ハロゲン化水素が大量に生成するため装置腐蝕対応が必須であること、スルホン化に関しては亜硫酸ガスが大量に発生するため環境に好ましくなく、これらはいずれも到底現実的な方法であるとは言い難い。
【0026】
以上述べたように、これまでPVAを原料とした炭素質物質、炭素繊維、活性炭、活性炭素繊維に関して多数報告されているが、現在のところ工業化には至っていない。この大きな理由としては、工程が多く熱処理に長時間を要するため生産性が低く、製造コストが高くなることが考えられる。このように、PVA系樹脂又はその成形物を原料とした炭素質物質に関して多くの報告がなされているにも関わらず、工業的に有利な炭素質物質の製造方法は未だ確立されていないのが現状である。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、装置の腐蝕及び最終製品のコンタミを抑制することが可能で産業上有用な炭素質物質の製造方法を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、蓄熱を防止し、短時間で大量に製造することが可能な工業的に有利な炭素質物質の製造方法を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、装置の腐蝕、最終製品へのコンタミを抑制して炭素質物質を製造するには、脱水剤の種類及び量をコントロールすることが重要であること、蓄熱を防止し、短時間で大量に炭素質物質を製造するには、酸化性雰囲気下で熱処理時のガス流量、酸素濃度、熱処理温度及び熱処理時間をコントロールすることが重要であることを突き止め、本発明に至った。
【0029】
すなわち本発明は、硫酸アンモニウムを0.2重量%以上1重量%以下付着させたポリビニルアルコール系樹脂又はその成形物を原料とし、これを0.5容量%以上15容量%以下の酸素を含む雰囲気下で熱処理することを特徴とする炭素質物質の製造方法である。
【0030】
本発明の別の発明は、PVA系樹脂又はその成形物を原料とし、該原料を酸素を含む雰囲気下で、原料投入量あたりのガス流量が1Nm3/hr・kg以上のバッチ方式又は原料投入量あたりのガス流量が1Nm3/kg以上の連続方式により熱処理することを特徴とする炭素質物質の製造方法である。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明において、炭素質物質を製造するための原料として、PVA系樹脂又はその成形物が使用される。本発明で使用するPVA系樹脂は、通常のPVAの製造に使用されるポリ酢酸ビニル又はその共重合体をケン化して得られるものである。また、ピバリン酸ビニル、蟻酸ビニルのごとき側鎖の嵩高いビニルエステル若しくは極性の高いビニルエステル、又はt−ブチルビニルエーテルやトリメチルシリルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテルのごときビニルエーテルの単独重合体又は共重合体の分解によって得られるものでもよい。
【0034】
ここで、共重合体のコモノマー単位は、ケン化又は分解によってビニルアルコール単位を生成する単位とそれ以外の単位とに分けることができるが、後者のコモノマー単位は、主として変性を目的に共重合されるものであり、本発明の趣旨を損なわない範囲で使用される。このような単位としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸及びその塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸及びその塩、メタクリル酸メチル、メ夕クリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メ夕クリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メ夕クリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセ卜ンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩と4級塩、N−メチロールアクリルアミド及びその誘導体等のアクリルアミド誘導体、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、ジアセ卜ンメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩と4級塩、N−メチロールメタクリルアミド及びその誘導体等のメタクリルアミド誘導体、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類、酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物、マレイン酸及びその塩とエステル、イタコン酸及びその塩とエステル、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物、酢酸イソプロペニル等をあげることができる。
【0035】
PVA系樹脂のケン化度としては、70モル%以上のものが好ましく、さらには90〜99.99モル%のものが好ましい。ここで、ケン化度とは、酢酸ビニルの単独重合体又は共重合体中のケン化によりビニルアルコール単位に変換され得る単位に対する、ケン化後のビニルアルコール単位の割合であり、残基は酢酸ビニル単位である。 PVA系樹脂の重合度は、好ましくは1000以上であり、さらに好ましくは1700以上である。但し、重合度30000を超えるようなPVA系樹脂は一般的に製造が困難であり、工業的生産という観点からは必ずしも適したものとはいえない。
【0036】
まず、本発明の第1の発明である、脱水剤を0.2重量%以上1重量%以下付着させたPVA系樹脂又はその成形物を原料とし、これを熱処理することを特徴とする炭素質物質の製造方法について述べる。
【0037】
脱水剤を用いることはすでに公知であり、脱水剤の使用量に関しては特開昭50−52320号公報、50−52321号公報、53−114925号公報等には3%〜20%程度、特開昭59−187624号公報には2〜20%、特開昭49−13430号公報には1〜20%の使用量が好ましいことが記載されている。これらの脱水剤は、先に報告したように、炭素質物質を製造する際に分解して排ガス中に揮発し、装置の腐蝕の原因になる、もしくはコンタミとして残存し、製品に悪影響を及ぼすなどの問題があるためできるだけその使用量は少なくすべきであるが、これらの公報には、脱水剤使用量の削減という観点からは十分に検討されていない。
【0038】
そこで本発明者らは脱水剤の使用量削減について鋭意検討を重ねた結果、公知の技術では着目されていなかった添着条件、脱水触媒の選択が非常に重要であることを見出した。すなわち、脱水剤を0.2重量%以上1重量%以下で付着させたPVA系樹脂またはその成形物を原料として炭素質物質を製造すると、装置の腐蝕、最終製品へのコンタミを抑制することができることを新たに見出した。
【0039】
脱水剤としては、脱水反応を促進できるものとして、塩酸、硫酸、硫酸水素塩、硝酸、リン酸、リン酸水素塩、メタリン酸などの酸性が強い無機酸、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化チタンなどの強いルイス酸があるが、安全面や機械材質の点を考慮して本発明では硫酸アンモニウムが使用される。安全面や機械材質の点で問題がある場合には、アンモニア等の有機アミン類で中和したアンモニウム塩類の処理液を使用すればよい。かかるアンモニウム塩類の処理液で処理することにより、加熱時にアンモニアが飛散し、無機酸が出現し、有効に作用する。本発明の第1の発明において、脱水剤の使用量は0.2重量%以上1重量%以下で実施される。
【0040】
脱水時の温度、時間、ガス雰囲気、ガス流量については、脱水反応を促進できる条件であれば特に限定されない。これらは、脱水剤の種類、使用量により最適条件は異なるため一概に規定することはできないが、温度については融解点より高温で行うと融解が起こるので、低温で脱水反応を起こさせる方が好ましく、具体的には150℃〜250℃の温度範囲で使用するのが好ましい。時間については短時間で処理を終了する方が生産性を考慮すると好ましく、20秒〜2時間程度が好ましい。雰囲気については特に限定はされないが、空気中で蓄熱が観測される場合には、酸素濃度を減少させるか、不活性ガス雰囲気で行なうこともできる。
【0041】
脱水剤の付着条件は特に限定されるものではないが、表面からの含浸により付着させるよりも、脱水剤とPVA系樹脂を均一に混合した後に成形加工する方が均一に分散するという点で好ましい。また、表面からの含浸による方法で行なう場合、PVA系樹脂の成形の形態・高次構造も重要であり、チップ形状よりも微分形状、繊維に関しては繊度の太いものよりも細いもののほうが好ましく、結晶化度が低いものの方が内部までの均一含浸が容易であるという意味で好ましい。原料であるPVA系樹脂又はその成形体としては、PVA系繊維を使用するのが好ましい。
【0042】
熱処理工程に関しては、炭素化を行える条件であれば特に限定されず、通常400℃以下の温度で酸化性雰囲気下で処理することにより炭素化が達成される。但し、大量に製造する場合、酸化性雰囲気条件、温度条件によっては蓄熱するという別の問題が発生するため、蓄熱を防止するという観点からは以下に述べるような熱処理条件で行う方がより好ましい。
【0043】
原料投入量あたりのガス流量を1Nm3/hr・kg以上のバッチ方式又は原料投入量あたりのガス流量が1Nm3/hr・kg以上の連続方式により熱処理する場合、熱処理時の酸素の体積比、温度に関しては、炭素質物質に十分な架橋構造を導入でき、かつ畜熱が防止できればよく、このような熱処理条件としては、例えば、酸素の体積比が約21%である空気中で行なう際には210℃以下での熱処理条件を採用するのが好ましい。後述するように、酸素の体積比を減少させることにより、熱処理温度の高温にしても蓄熱を防止できることが本発明者らの検討で始めて明らかになっているが、この場合は、酸素の体積比が10%のときには280℃以下での熱処理条件を採用するのが好ましく、酸素の体積比が5%のときには330℃以下での熱処理条件を採用するのが好ましく、酸素の体積比が1%の際には400℃以下での熱処理条件を採用するのが好ましい。
【0044】
但し、PVA系樹脂は先に述べたように200℃〜240℃付近に融解点を持つため、いきなり高温で加熱処理すると融解してしまうので、一旦180℃〜200℃付近で酸化処理を行なった後に上記温度の中に投入するか、180℃〜200℃付近で保持し、酸化処理を行なった後に昇温形式で上記の温度まで加熱を行なうのが好ましい。
【0045】
熱処理時間に関しても、炭素質物質に十分な架橋構造を導入でき、かつ蓄熱が防止できれば特に限定されない。熱処理時間は、使用する酸素濃度、温度により異なるので一概に規定することはできないが、できるだけ短時間で処理することが生産性の観点からは好ましく、PVA樹脂から出発した場合、不融化処理までに30分間〜10時間の範囲で熱処理を行なうのが好ましい。30分以下で処理を完了させるためには高温・高酸素濃度で行なう必要があるが、かかる処方では蓄熱しやすく不適当であり、10時間以上熱処理を行なっても生産性が低く、現実的な方法ではない。
【0046】
本発明において、PVA系樹脂又はその成形体の形状は特に限定されず、使用される用途によって、粉末状、粒状、フィルム状、板状、繊維状、不織布状、ペーパー状、布状などがあり、適宜選択されるが、工業的に有用な炭素繊維又は活性炭素繊維を得るための好適な原料の観点から、繊維状、不織布状、ペーパー状、布状が好ましい。本発明においては、なかでもPVA系繊維が好ましい。
【0047】
PVA系繊維の製造方法については特に限定されないが、公知の湿式紡糸法、乾湿式紡糸法又は乾式紡糸法を採用することができる。湿式紡糸法とは、PVA系樹脂を有機溶媒に溶解して得られるポリマー溶液又はPVA系樹脂を水に溶解して得られる水溶液からなる紡糸原液を紡糸ノズルから直接固化浴に紡出する方式であり、乾湿式紡糸法とは、紡糸ノズルと凝固浴間に空気や不活性ガスなどの気体空間(エア−ギャップ)を設け、該気体中を特定の距離走行させ、次いで固化浴中へ紡出して行う紡糸方法である。走行させる距離は、用いる固化浴の性状によって一概に決められないが、通常1〜50m程度で実施される。
【0048】
紡糸ノズルを直接固化浴に接触させて紡出を行う湿式紡糸法は、ノズル孔ピッチを狭くしても繊維同士が膠着せずに紡糸できるため、多孔ノズルを用いた紡糸に適しており、一方、固化浴と紡糸ノズルの間にエアギャップを設け、紡糸ノズルから気体中を経由して紡出する乾湿式紡糸法の場合は、エアギャップ部での伸びが大きいことより高速紡糸に適している。また、乾式紡糸法とは、PVA系樹脂を水に溶解して得られる水溶液などからなる紡糸原液を紡糸ノズルから直接気体中に紡出するものであり、固化浴を必要としない紡糸方式である。目的や用途に応じて以上述べたような紡糸方式を適宜選択するのが好ましい。
【0049】
本発明の別の発明は、PVA系樹脂又はその成形物を原料とし、該原料を酸素を含む雰囲気下で、原料投入量あたりのガス流量が1Nm3/hr・kg以上のバッチ方式又は原料投入量あたりのガス流量が1Nm3/hr・kg以上の連続方式により熱処理することを特徴とする炭素質物質の製造方法である。
【0050】
400℃以下の温度において酸化性雰囲気下で熱処理を行なうことにより、PVA系樹脂を原料とした炭素製品を融解させずに製造することは、特公昭38−20353号公報に記載されているように、公知の技術である。しかしながら、PVA系樹脂は、ケン化度、共重合組成などにもよるが、通常200℃〜240℃付近に融解点を持つため、いきなり融解点以上の高温で処理すると融解してしまい、また分解反応が急激に進行してしまうため収率も低下する。したがって、PVA樹脂を融解点以下の温度、具体的には180〜200℃付近で酸化性雰囲気下で熱処理を行ない、不融化を達成するのが好ましいことも記載されているが、前述したように、非常に長時間(15時間以上)の熱処理が必要であり、工業化する際の支障となっている。
【0051】
そこでPVA樹脂の融解を抑制し、かつ短時間での処理を可能にするため脱水剤を使用し、PVA系樹脂の融解温度以下の温度で熱処理し、脱水反応を促進させることが考えられる。しかし、脱水剤を使用しても不融化のための酸化性雰囲気下での処理は必須であり、特公昭45−31707号公報、特開昭48−1423号公報、同49−24897号公報、同50−35431号公報、同50−52320号公報、同53−114925号公報等に、180℃〜340℃の範囲で酸化処理を行うことが開示されているが、酸化性雰囲気に関する詳細な検討はなされておらず、空気を用いる処方が開示されているだけである。まして、ガス流量に関しては実施例にも記載されていない。
【0052】
酸化性雰囲気下での熱処理は、一般的には酸化反応による架橋反応、脱水素反応の促進であると考えられており、不融化に効果があると報告されている。PVA樹脂に関しても同様の反応が進行し、不融化に寄与しているものと考えられる。そして、温度が高いほど反応が速く進行し、短時間で処理を終了させることができると考えられる。しかしながら、前述したように、400℃以上の温度では酸素による分解反応が加速されてしまい、収率が急激に低下するため180℃〜340℃の範囲で熱処理する条件が採用され、加熱時間に関しては180℃で10時間、340℃で30分程度が好ましいことが特開昭59−187624号公報に記載されている。したがって、以上のことから、短時間で処理するには高温で行えばよいことが示唆される。
【0053】
しかしながら、本発明者らが数100g規模のスケールで追試を行なったところ、蓄熱を生じ、発火することが判明した。蓄熱は、発熱量と放熱量のバランスが崩れ、発熱量が多いため温度が上昇し、その結果、発熱反応が加速され、さらに温度が上昇することが繰り返されて異常に温度が上昇する現象であり、発熱反応によく見られる現象であるが、発火を伴うことがあり、危険な現象である。
【0054】
酸素による酸化反応は発熱反応であるので、蓄熱現象が起りやすい。そして、加熱温度が高いほど反応が速くなるため起りやすく、また、仕込量が多いほど放熱しにくいため起りやすいと考えられる。本発明者らの追試では、蓄熱は加熱温度が高いほど、また、仕込量が多いほど起りやすい傾向にあった。そして、形状としては繊維状が最も蓄熱しやすい傾向にあった。
【0055】
公知の技術として、特開昭49−24897号公報に、蓄熱を防止するため220℃以下の低温で処理することが好ましいとの記載があるが、低温で処理すると非常に長時間の加熱を要するので現実的であるとは言い難い。なお、本発明者らの検討では、原料を大量に仕込んだ場合、220℃でも蓄熱は観測された。このことからも、公知技術として開示されている時間短縮のための高温処理処方では、大スケールの場合、蓄熱してしまうため実用化は実質上、不可能と考えられる。このように、酸素雰囲気下での熱処理において、蓄熱防止処方に関する検討はほとんどなされていない。
【0056】
そこで、本発明者らは、炭素質物質を大量にかつ短時間で製造する条件を見出すべく、公知の技術では着目されていなかったガス流量に着目して検討を行い、第2の発明を完成した。本発明において、バッチ方式を採用する場合、原料投入量あたりのガス流量は1Nm3/hr・kg以上で実施され、連続方式を採用する場合、原料投入量あたりのガス流量は1Nm3/hr・kg以上で実施される。
【0057】
このガス流量が畜熱を抑制し、かつ短時間で不融化を達成する上で非常に有効である理由は定かでないが、ガスを流すことにより常にフレッシュな雰囲気を維持することができ、酸素濃度が常に一定になり、そのため反応速度が安定し、不融化処理が短時間で終了し、かつガスを流すことにより放熱が促進されるため、畜熱防止にも効果があることが推測される。また、ガスを流すことにより、原料から発生すると考えられる水、アルデヒド類などの発生ガスの除去に効果があるため、製品の品位の向上に貢献する作用も有する。
【0058】
本発明におけるバッチ方式とは、反応容器に原料を仕込み、酸化反応を行ない、反応終了後冷却して取出す方式であり、粉末状の原料によく用いられる。また、連続方式とは、ある速度で原料を送り出し、酸化炉で一定時間滞留させる方式であり、繊維状の原料によく用いられる。どちらの方式で行なう場合もガス流量は非常に重要となる。
【0059】
バッチ方式の場合、原料投入量あたりのガス流量は1時間あたりの使用ガス量を原料投入量で割り算することにより算出することができる。原料投入量あたりのガス流量をあまり小さくすると、原料から発生するガスの除去が困難になり、酸素との接触が遮断されるためと考えられる酸化反応速度の急激な低下により、不融化処理に時間がかかり、また、大量に仕込んだ場合、不融化の進行具合に斑が生じやすくなる。また、ガス流量をあまり大きくしても、不融化処理に与える影響は少なく、設備が大掛かりになり、コストアップになるばかりであるので、原料投入量あたりのガス流量としては1〜500Nm3/hr・kgとするのが好ましく、5〜300Nm3/hr・kgとするのがさらに好ましい。排ガスはそのまま排気してもよいし、また含まれる不純物をトラップしながらガスを循環させて連続的に使用してもよい。
【0060】
連続方式の場合、原料投入量あたりのガス流量は1時間あたりの使用ガス量を1時間あたりの原料投入量で割り算することにより算出することができる。原料投入量あたりのガス流量は、上述と同じ理由により、原料投入量あたりのガス流量は1〜500Nm3/hr・kgとするのが好ましく、5〜300Nm3/hr・kgとするのがさらに好ましい。
【0061】
前述したように、酸素濃度の重要性については公知の技術では着目されていないが、酸素濃度は、蓄熱を防止しながら熱処理時間を短縮する上で非常に重要なファクターであり、本発明の第2の発明において、PVA系樹脂又はその成形物を原料とした炭素質物質を製造する際に、該原料を酸素濃度0.5容量%以上15容量%以下の酸素含有気体の雰囲気で熱処理すると蓄熱を防止することができ、短時間で大量の不融化処理が可能であり、好ましい。
【0062】
酸化処理を行なう目的は原料の不融化であり、できるだけ短時間で大量に行なうのが理想である。本発明者の検討結果では短時間で処理を行なうには高酸素濃度で高温処理するのが好ましいが、蓄熱しやすく、低酸素濃度で低温処理する場合、蓄熱回避は可能であるが長時間の処理が必要となる。したがって、短時間で大量の処理を行なうには、原料の仕込量、酸素濃度、熱処理温度、時間のバランスが重要であり、低酸素濃度の場合は高温処理が好ましく、高酸素濃度の場合は低温処理が好ましい。
【0063】
具体的な酸素濃度として、上述したように、0.5容量%以上15容量%以下の酸素含有気体の雰囲気が好ましく、さらに3容量%以上10容量%以下がより好ましい。上記酸素濃度が畜熱抑制効果を発現し、かつ不融化を達成する上で効果的である理由は定かではないが、酸素濃度が0.5容量%以下では酸化反応速度が非常に遅いため不融化処理が困難であり、また、酸素は反応に消費されるため、連続方式の場合、ガス導入部とガス排出部の濃度差が顕著になり、斑になりやすいことなどが想定され、逆に酸素濃度が15容量%以上になると不融化処理に貢献しない酸化反応や分解反応が進行し、蓄熱が顕著になることが考えられる。
【0064】
酸素濃度をコントロールする方法は特に限定されないが、空気と不活性ガスを混合させることによりコントロールするのが簡便であり好ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、水蒸気などが挙げられ、プロパンと空気の混合比を調節して燃焼させることにより生成する、酸素、窒素、二酸化炭素、水蒸気の混合ガスを使用することもできる。
【0065】
熱処理温度及び熱処理時間は、炭素質物質に十分な架橋構造を導入でき、かつ蓄熱が防止できれば特に限定されない。これらは、使用する酸素濃度により異なるので一概に規定することはできないが、上述した条件を適用することができ、高温で処理を行なうほど熱処理時間は短縮される。
【0066】
第2の発明において、さらに短時間で効率的に不融化を達成するには脱水剤を付着させたPVA系樹脂又はその成形物を原料として用いることが好ましい。脱水剤を付着させたPVA系樹脂又はその成形物を原料として用いること自体は、前述したように、公知であり、脱水剤を付着させたPVA系樹脂は融解点以下の温度で脱水反応が進行するため、脱水開始温度周辺で熱処理することにより容易に400℃までの不融化を達成することができる。したがって、脱水剤を付着させたPVA系樹脂を用いると、200℃付近での前処理を大幅に簡略化することができ、また効率的に脱水できるため収率も向上することが知られている。
【0067】
しかしながら、400℃以上の温度では融解が起こるため、酸素雰囲気下での不融化処理は必須であるが、先に記載したように蓄熱の問題があり、ガス流量もしくは酸素濃度のコントロールを組み合わせることにより、さらに蓄熱を抑制しながら、短時間で大量に不融化処理することが可能になる。脱水剤を使用する場合、酸化処理の諸条件、ガス流量、酸素濃度、温度に関しては、先に記載した条件を適用することができ、脱水処理を行なうことにより大幅に時間の短縮が可能になる。
【0068】
脱水剤の使用量に関しては、脱水反応を促進できる量であれば特に限定されない。脱水剤の使用量は、脱水剤の種類により最適量は異なるため一概に規定することはできないが、通常0.1重量%〜20重量%で使用することが多い。しかしながら、これらの脱水剤は炭素質物質を製造する際に、分解して排ガス中に揮発し装置腐蝕の原因になる、もしくはコンタミとして残存し製品に悪影響を及ぼすなどの問題があるためできるだけ使用量は低減させるのがよく、0.2重量%以上1重量%以下で実施するのが好ましい。脱水時の温度、時間、ガス雰囲気、ガス流量、付着条件は第1の発明で述べたと同様である。また、原料であるPVA系樹脂又はその成形体としては、PVA系繊維を使用するのが好ましい。
【0069】
次に、本発明の第3の発明について述べる。第3の発明は、PVA系樹脂又はその成形物を原料とし、該原料を0.5容量%以上15容量%以下の酸素含有気体中で熱処理することを特徴とする炭素質物質の製造方法である。前述したように、酸素濃度の重要性に関しては公知の技術では着目されていないが、蓄熱を防止しながら熱処理時間を短縮する上で非常に重要である。酸素濃度としては、0.5容量%以上15容量%以下が好ましく、さらに3容量%以上10容量%以下がより好ましい。酸素濃度のコントロール方法については、第2の発明で述べたとおりである。
【0070】
第3の発明において、さらに短時間で効率的に不融化を達成するには脱水剤を付着させたPVA系樹脂又はその成形物を原料として用いることが好ましい。 しかしながら、400℃以上の温度では融解が起こるため、酸素雰囲気下での不融化処理は必須であり、先に記載したように蓄熱の問題があり、ガス流量もしくは酸素濃度のコントロールを組み合わせることにより、蓄熱を抑制しながら、短時間で大量に不融化処理することが可能になる。使用する脱水剤は前述したものと同じであり、脱水剤の使用量は、0.1重量%以上20重量%以下が好ましく、0.2重量%以上1重量%以下がさらに好ましい。原料であるPVA系樹脂又はその成形体としては、PVA系繊維を使用するのが好ましい。
【0071】
以上述べた本発明の第1の発明、第2の発明及び第3の発明を組み合わせた形態は、PVAを使用した炭素質物質、及び後述する活性炭を製造する場合の最良の形態となる。すなわち、脱水剤を0.2重量%以上1重量%以下付着させたポリビニルアルコール系樹脂又はその成形物を原料とし、該原料を酸素を含む雰囲気下で、原料投入量あたりのガス流量が1Nm3/hr・kg以上のバッチ方式又は原料投入量あたりのガス流量が1Nm3/hr・kg以上の連続方式により、0.5容量%以上15容量%以下の酸素含有気体中で熱処理することにより炭素質物質を製造するのが最も好ましい方法である。
【0072】
第1の発明〜第3の発明による製造方法、又はこれらを組み合わせた最良の形態の製造方法で得られた本発明の第4の発明である炭素質物質は、それ自身でも各種電極材料、導電材料、断熱材料、吸着材料、防炎材料、帯電防止材料、耐熱材料、耐薬品材料等に好適に使用される。さらに該炭素材料を非酸化性ガスの雰囲気下で熱処理又は賦活処理することによって炭素繊維もしくは黒鉛材料、又は活性炭とすることもできる。
【0073】
本発明で得られた炭素質物質は、必要に応じてさらに熱処理が施される。上述した酸化性雰囲気下での熱処理後の熱処理に関しては、低温から段階的に昇温する方式と高温にいきなり投入する方式とに大別される。低温から段階的に昇温する形式は炭素繊維などの製造する際によく用いられ、雰囲気としては、窒素、アルゴンなどの不活性ガスの雰囲気が採用される。また、高温にいきなり投入する方式は、活性炭、活性炭素繊維などを製造する場合によく用いられ、雰囲気としては、水蒸気、炭酸ガス、微量の酸素などを含む活性ガスの雰囲気が採用される。工業的には、プロパンなどのLPGガスを燃焼させて生成する、水蒸気、炭酸ガスなどを利用する処方がよく用いられる。
【0074】
前述したように、PVA系繊維を使用して炭素質物資を製造する場合、得られる繊維状炭素質物質は非酸化性ガスの雰囲気下で熱処理することによって耐熱性、断熱性、導電性等に優れた炭素繊維とすることができる。熱処理条件は所望する炭素繊維の性能によって適宜選択されるが、通常は不活性雰囲気下1000℃〜1400℃にて処理される。さらに高温での熱処理、いわゆる黒鉛化処理を施すことによって、炭素繊維の引っ張り弾性率を著しく向上することもできる。黒鉛化処理条件は通常、不活性雰囲気下2000℃から3000℃で実施される。
【0075】
本発明における炭素質物質を適当な酸化性ガスの雰囲気下にて熱処理する、いわゆる賦活処理を施すことにより、本発明の第5の発明である活性炭を得ることができる。この場合、原料として粉末状のPVA系樹脂を使用すると粉末状活性炭を得ることができ、フィルム形状のPVA系樹脂を使用するとフィルム状活性炭を得ることができる。また、繊維状のPVA系樹脂を使用すると活性炭素繊維とすることができる。活性炭素繊維は、粒状又は粉末状の活性炭と比べてマクロ的な接触面積が著しく大きく、吸着速度が速い他、粉塵の発生がなく、また圧力損失が低い等の利点が多いため、例えば浄水器等などに有用である。この場合、繊維状のPVA系樹脂を成形し、原料を不織布状、ペーパー状、布状などとすることにより、それぞれ不織布状活性炭、ペーパー状活性炭、布状活性炭などが容易に得られる。
【0076】
賦活方法としては、効率的に比表面積を増やすことのできる条件であれば特に限定されず、一般的には、炭酸ガス、水蒸気、空気、窒素又はそれらの混合ガスの雰囲気中で所定の温度で実施される。賦活処理の温度、時間は所望する比表面積、雰囲気などにより適宜決定すればよい。例えば、水蒸気又は炭酸ガス雰囲気の場合には、通常500〜1200℃、好ましくは700℃〜1000℃で数分〜数時間賦活処理すればよく、プロパンガスの燃焼ガスを使用する場合は800〜1200℃で高温急速賦活することもできる。以下、本発明を実施例にてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0077】
【実施例】
参考例1
重合度1700、ケン化度99.9モル%のPVAを水に投入し、窒素ガス気流下80℃で攪拌溶解し、PVA濃度16重量%の紡糸原液を調製した。該紡糸原液を、孔径0.07mm、孔数24000の紡糸ノズル4錘を通して30重量%の硫酸ナトリウム水溶液よりなる40℃の固化浴中に紡出し、湿式紡糸した。得られたPVA繊維を同じ固化浴に1分間浸漬して2.5倍延伸し、20℃の35重量%硫酸ナトリウム水溶液に1分間浸漬し、90℃の飽和硫酸ナトリウム水溶液中で全延伸倍率が4.5倍となるよう延伸し、同じ浴に30秒間定長で浸漬した。
【0078】
次いで10℃の水で2分間流水洗して硫酸ナトリウムを洗滌除去した後、25℃、1重量%(硫酸アンモニウムと水の総量に占める硫酸の割合)の硫酸アンモニウム水溶液浴へ導いて1.5分滞留させ、PVA繊維表面及び内部に脱水剤である硫酸アンモニウムを含浸させた後、100℃の熱風で乾燥し、捲き取った。次いで、乾燥させたPVA繊維を170℃の第1炉、200℃の第2炉からなる熱風炉中で全延伸倍率が7倍となるよう熱延伸した。得られた糸篠の繊度は20万dtexであり、繊維中硫酸アンモニウムの含有量は0.6重量部%であった。
【0079】
参考例2
脱水剤の水溶液濃度を10重量%に変更した以外は参考例1と同様に紡糸を行ない、繊維中の硫酸アンモニウムの含有量が6.5重量%のPVA繊維を作製した。
【0080】
実施例1
参考例1で得られた繊維を5容量%の酸素含有混合気体中、ガス流量を40Nm3/kgとし、0.04g/dtexの張力をかけながら、220℃でトータル熱処理時間4分の脱水処理を施した。得られた脱水繊維は黒褐色であり、PVAを基準とした重量収率は76重量%であった。
【0081】
得られた脱水処理繊維を5容量%の酸素含有混合気体中、290℃、ガス流量40Nm3/kgとして50分熱処理(不融化処理)を行なうことで炭化処理を施した。得られた黒色炭素質繊維は非常にしなやかであり、重量収率は57重量%であった。
【0082】
次いで、黒色炭素質繊維を、プロパンの燃焼ガス(H2O、CO2が主成分)中、930℃で30分間急速賦活処理をした。賦活後、繊維を流水で洗浄し、乾燥して繊維状活性炭とした。原料繊維に対する重量収率は15重量%、窒素吸着量で測定したBET比表面積は1590m2/g、JIS K1474に準拠して測定したI2吸着量は1640mg/gであった。活性炭素繊維50mgを密封系のフラスコで完全燃焼させ、水溶液にトラップし、イオンクロマトで硫黄を測定したところ、硫黄元素換算で30ppm検出された。
【0083】
試験例1
原料を参考例2に変更した以外は実施例1と同様に行なった。繊維状活性炭の原料繊維に対する重量収率は16重量%、窒素吸着量で測定したBET比表面積は1600m2/g、JIS K1474に準拠して測定したI2吸着量は1690mg/gであった。活性炭素繊維50mgを密封系のフラスコで完全燃焼させ、水溶液にトラップしイオンクロマトで硫黄を測定したところ硫黄元素換算で540ppm検出された。
【0084】
実施例3、試験例2
原料繊維、炭化処理ガス流量の条件を表1のように変更した以外は実施例1と同様に行なった。結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
実施例5、比較例1
原料繊維、炭化処理のガス流量、酸素濃度、温度、時間の条件を表2のように変更した以外は実施例1と同様に行なった。結果を表2に示す。比較例1では不融化処理が十分でなく賦活処理時に融解してしまった。
【0087】
【表2】
【0088】
実施例6、比較例2
賦活処理方法をプロパンの燃焼ガス(H2O、CO2が主成分)中で300℃〜600℃まで20℃/分で昇温した後に930℃で30分間熱処理する昇温賦活方式に変更し、炭化処理の酸素濃度、温度、時間の条件を表3のように変更した以外は実施例1と同様に行なった。結果を表3に示す。比較例2では酸素濃度と熱処理温度のバランスが崩れたため蓄熱してしまった。
【0089】
【表3】
【0090】
【発明の効果】
本発明により、脱水剤を0.2重量%以上1重量%以下付着させたポリビニルアルコール系樹脂又はその成形物を原料とし、これを熱処理する炭素質物質の製造方法、ポリビニルアルコール系樹脂又はその成形物を原料とし、該原料を酸素を含む雰囲気下で、原料投入量あたりのガス流量が1Nm3/hr・kg以上のバッチ方式又は原料投入量あたりのガス流量が1Nm3/kg以上の連続方式により熱処理することを特徴とする炭素質物質の製造方法、及びポリビニルアルコール系樹脂又はその成形物を原料とし、該原料を0.5容量%以上15容量%以下の酸素含有気体中で熱処理することを特徴とする炭素質物質の製造方法を提供することができる。これらの製造方法により得られた炭素質物質及び該炭素質物質を賦活して得られる活性炭は、各種電極材料、導電材料、断熱材料、吸着材料、防炎材料、帯電防止材料、耐熱材料、耐薬品材料等に好適に使用される。
Claims (2)
- 硫酸アンモニウムを0.2重量%以上1重量%以下付着させたポリビニルアルコール系樹脂又はその成形物を原料とし、これを0.5容量%以上15容量%以下の酸素を含む雰囲気下で熱処理することを特徴とする炭素質物質の製造方法。
- 該原料がポリビニルアルコール系繊維である請求項1記載の炭素質物質の製造方法。
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