JP4190761B2 - 地中埋設ケーブルの防蟻方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、地中に埋設する各種ケーブルに対する防蟻技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
電力供給用(送電用)をはじめとする各種ケーブルは、高所のみならず地中にも埋設されている。ケーブルの合成樹脂製等の被覆材は、シロアリに食害され、そのために、ショート等が発生すると停電事故を引き起こすことになる。このため、ケーブルをシロアリの食害から保護することが求められている。
【0003】
過去において、食害対策としては、クロルデン等の熱に安定な有機塩素系防蟻剤をケーブル被覆材に練りこむことで対応してきたが、環境汚染および人体への影響から有機塩素系防蟻剤の使用が禁止になった。そこで、近年では、有機リン系などの他の有機系化合物からなる防蟻剤を、ケーブル内に充填する砂などの無機系骨材に混ぜ込むことにより食害対策としている。
【0004】
しかしながら、有機系薬剤は、時間の経過に伴う分解や、あるいはトラフ内が高温化する場合などによる薬剤の揮発などにより、効果が低下することが知られている。したがって、定期的かつ継続的なメインテナンスが必要とされていた。
また、ポリアミド系などの食害され難い被覆材を用いても、シロアリによる食害を回避することはできなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、地中埋設ケーブルの防蟻対策として、より確実でかつ長期にわたって有効な防蟻技術を提供することを、その目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した従来の問題点に鑑み、分解や揮発などしない無機系の薬剤を地中埋設ケーブルの防蟻用に利用することを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明によれば、以下の手段が提供される。
(1)地中埋設ケーブルの防蟻方法であって、ケーブルが敷設されるトラフ内に、水溶性ホウ素系化合物の水溶液、水難溶性ホウ素系化合物の懸濁液、および水難溶化ホウ素系化合物の懸濁液のうちのいずれか1種あるいは2種以上と、粒径が1.0mm以上3.0mm以下の粒子状の無機系骨材とを混合して、無機系骨材の表面にホウ素系化合物が付着した充てん用防蟻材を供給する、方法。
(2)地中埋設ケーブル用トラフの充てん用防蟻材であって、粒径が1.0mm以上3.0mm以下の粒子状無機系骨材の表面に、ホウ酸換算で水溶性ホウ素系化合物では1 wt% 以上10 wt% 以下、水難溶性ホウ素系化合物及び/又は水難溶化ホウ素系化合物では5 wt% 以上50 wt% 以下のホウ素系化合物が付着された防蟻材。
(3)地中埋設ケーブルの防蟻方法であって 多孔質あるいはメッシュ状のシート状担体の表面に、水溶性ホウ素系化合物および/または水難溶性ホウ素系化合物を、なんら他の材料で被覆されることなくシロアリが直接接触可能に露出された状態で付着させたシートを、ケーブルの周囲に付与した状態でケーブルを埋設する、方法。
(4)前記シート状担体の表面に付着されたホウ素系化合物の付着部分よりも内側に、水難溶性ホウ素系化合物および/または難溶化された水溶性ホウ素系化合物が、前記シート状担体の表面に付着されたホウ素系化合物を接着するための接着剤中に含有された状態で付着されている、(3)に記載の方法。
【0007】
上記(1)〜()の発明によると、ホウ素系化合物が付着した無機系骨材がトラフ内に充てんされている。ホウ素系化合物は、分解及び揮発のおそれがなく、長期にわたって確実に防蟻効果を発揮する。ホウ素系化合物が付着した無機系骨材をシロアリがかじったり、あるいはそれに体部が接触することにより、このシロアリに対して殺傷効果がある。同時に、このシロアリを媒体として水溶性ホウ素系化合物が他のシロアリにも伝播される。これにより、広範囲にケーブルに対する防蟻作用が発揮される。
【0008】
上記()及び()の発明によると、シートに付着されたホウ素系化合物をシロアリがかじったり、あるいはそれに体部が接触することにより、上記(1)〜()の発明と同様の作用によりケーブルに対する防蟻作用が発揮される。ホウ素系化合物が付着したシートをケーブルの周囲に付与しておくため、ケーブル近傍において確実に防蟻作用が発揮される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の防蟻技術は、ホウ素系化合物を有効成分として、無機系骨材やシートに付着させ、このような防蟻材をトラフ内のケーブル周囲に配置することにより、ケーブルに対する防蟻作用を発現させるものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
まず、ホウ素系化合物が付着された無機系骨材を含有する防蟻材、およびこの防蟻材を用いた防蟻方法について説明する。
この技術において使用できる無機系骨材は、特に限定しないで、砂、粘土、砂利、岩石破砕物、コンクリート破砕物等の廃棄物等を例示することができる。好ましくは、粒径が2mm前後、具体的には約1.0mm〜約3.0mmの粒子状の無機系骨材を使用する。このサイズであると、シロアリがかじったりしやすいサイズであるとともに、これらの粒子間に形成される間隙が、シロアリの通過を妨げないが簡単には通過しない程度であるため、粒子表面にホウ素系化合物が付着されていた場合に、シロアリの体表にホウ素系化合物が付着しやすい。1.0mmを下回るとシロアリが口器でつかみ、除去することでシロアリが通り抜けてしまい、3.0mmを上回ると骨材の隙間をシロアリが通り抜けてしまう危険性が大きいからである。
【0011】
無機系骨材に付着されているホウ素系化合物は、特に限定しないでホウ素を含有する、各種無機化合物を使用できる。例えば、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸アミン塩等の水溶性ホウ酸塩等の水溶性ホウ素系化合物の他、ホウ酸カルシウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸銅等の水難溶性ホウ酸塩等の水難溶性ホウ素系化合物を使用できる。
また、水溶性のホウ素系化合物を樹脂等と複合化して難溶化したものも使用できる。このような難溶化物としては、例えば、耐水性のある有機高分子と複合化して粒子とすることが好ましい。この複合粒子では、好ましくは、水溶性ホウ素系化合物の少なくとも一部が表面に露出されている。
複合化する有機高分子としては、例えば、メタクリル系樹脂、ウレタン樹脂と複合化することができる。複合化は、例えば、ホウ酸等の水溶性ホウ素系化合物と1種あるいは2種以上のメタクリルレート系モノマーとを懸濁重合させることが好ましい。触媒は通常のメタクリル樹脂の懸濁重合に使用するものを使用できる。例えば、過酸化ベンゾイル等である。懸濁重合法によれば、ホウ素系化合物をマイクロカプセル化することができる。
なお、懸濁重合時には、ホウ酸等の水溶性ホウ素系化合物は、ヒドロキシアパタイトおよび/またはゼラチンを含む保護コロイド溶液中に溶解した状態とすることが好ましい。
【0012】
ホウ酸等の水溶性ホウ素系化合物をメチルメタクリレートモノマーと懸濁重合して、水溶性ホウ素系化合物と有機性高分子との複合化粒子(マイクロカプセル化粒子)を製造する一例について説明する。
乳鉢で十分すりつぶしたホウ酸10〜50gを、保護コロイド溶液(ヒドロキシアパタイト懸濁液(65g/l)300ml及びゼラチン20gとモノマー(MMA 90mol%:n−BMA 10mol%)10〜150gとともに、懸濁重合装置(耐圧ガラス製)に入れ、これに触媒として過酸化ベンゾイル(0.5%)を加えて、50〜70℃で、2時間あるいは100℃で30分間反応させ、ホウ酸含有マイクロカプセルを調製する。
なお、懸濁重合装置には、ホウ酸を過飽和状態にまで溶解したホウ酸水溶液を入れ、700rpmの速度で攪拌しながら反応させた。調製したマイクロカプセルは水で十分に洗浄した後、ろ紙を用いてろ過し乾燥器で乾燥する。
本発明のホウ素系化合物には、これらのうち1種あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0013】
ホウ素系化合物を無機系骨材表面に付着させる方法は、特に限定しないが、ホウ素系化合物の溶液等を無機系骨材に付与し、混合等する方法を採用することができる。溶媒は、必要に応じて乾燥により蒸発させるが、溶媒の残留量上及び特性上トラフ内に存在しても問題がない場合には、乾燥することなくそのまま防蟻材とすることができる。
ホウ素系化合物は、溶液あるいは懸濁液とすることで骨材に付与することができる。水溶性ホウ素系化合物は、水溶液とすることができる。したがって、容易に無機系骨材表面に付着させることができる。また、水溶液の場合、乾燥工程を省略しても問題がないため、乾燥工程を省略して容易に製造することができる。さらに、施工現場で調製することも容易である。
例えば、ホウ酸を使用する場合、ホウ酸40gを60〜70℃に加温したモノエタノールアミン:水混液(混合比(容量)17:43)に溶解することにより、ホウ酸水溶液を調製することができる。
水難溶性ホウ素系化合物の場合あるいは水難溶化水溶性ホウ素系化合物の場合には、水性の懸濁液あるいは有機溶剤による溶液等とすることができる。水難溶性ホウ素系化合物は、施工後に、雨水などによってトラフ内から有効成分が流出しない点において好ましい。
【0014】
ホウ素系化合物は、ホウ酸換算で、前記無機系骨材に、ホウ酸換算で水溶性ホウ素系化合物では1wt%以上10wt%以下、水難溶性ホウ素系化合物及び/又は水難溶化ホウ素系化合物では5wt%以上50wt%以下のホウ素系化合物を含有することが好ましい。水溶性ホウ素系化合物の場合、1wt%未満であると、有効な防蟻効果が得られにくくなり、10wt%を超えると環境汚染への危険性が高くなるからである。水難溶性ホウ素系化合物及び/又は水難溶化ホウ素系化合物の場合、5wt%未満であると、有効な防蟻効果が得られにくくなり、50wt%を超えると環境汚染への危険性が高くなるからである。好ましくは、20wt%〜30wt%である。
【0015】
次に、このような防蟻材を使用して、地中埋設ケーブルに対して防蟻施工を実施する工程について説明する。
まず、地中の所定箇所にトラフ(断面U字状の溝部材)を施工し、次いで、このトラフ内にケーブルを敷設する。
ここで、上記ホウ素系化合物の1種あるいは2種以上を含む水溶液、懸濁液を、例えば平均粒径が約1.0mm〜約3.0mmの範囲に制御された砂やコンクリート破砕物に付与して、よく混合して、液全体を骨材全体に行き渡らせるようにする。なお、溶液におけるホウ素系化合物の濃度は、ホウ酸換算で4wt%以上であることが好ましく、8wt%以上であることがより好ましい。また、上限は12wt%以下であることが好ましい。
また、無機系骨材に対するホウ素系化合物の溶液あるいは懸濁液の混合量は、無機系骨材1m3あたり、20〜25リットルであることが好ましい。
これにより、液中のホウ素系化合物が骨材表面に付与される。必要に応じて乾燥を実施することにより本発明の防蟻材を得る。この防蟻材を、ケーブルの敷設されたトラフ内に充てんするようにする。
【0016】
また、ケーブルの敷設されたトラフ内に、無機系骨材を予め充てんしておき、トラフ内の無機系骨材に対して、上記したホウ素系化合物の溶液あるいは懸濁液を付与し、トラフ内で混合するようにしてもよい。
【0017】
防蟻薬剤として、水溶性ホウ素系化合物を利用する場合には、トラフへの雨水の流入に伴って水溶性ホウ素系化合物が流出しないように、トラフの開口部を不透水性のシート体で覆う措置を実施することが好ましい。そして、このシート体覆うようにトラフの蓋をすることが好ましい。
【0018】
このように、トラフ内に、ホウ素系化合物を付着した無機系骨材を供給し、充てんすることにより、トラフ内のケーブルに対して確実にかつ安定的に防蟻作用を発揮させることができる。さらに、無機系骨材の粒径を選択することにより、シロアリが無機系骨材をかじったり、接触したりすることによる、直接の殺傷効果の他、生息域にいる他のシロアリにもホウ素系化合物が伝播されることになり、生息域においても殺傷効果を発揮させることができるようになる。
さらに、水難溶性あるいは水難溶化ホウ素系化合物を付着させた場合には、雨水等によるトラフ外への流出のおそれを回避することができるため、より確実にかつ長期にわたる防蟻効果の発現が期待できる。
【0019】
次に、ホウ素系化合物を付着させたシートをケーブルの周囲に配置することにより、ケーブルに対して防蟻する方法及びそれに使用する防蟻シートについて説明する。
この方法において使用する防蟻シートは、シート状の担体に、ホウ素系化合物が付着されて構成されている。
担体の種類は、特に問わないが、ケーブルに対する被覆性を考慮すると、緻密な材料からなるシート体であることが好ましく、また、シロアリの食害を受け難い材料からなるシート体であることが好ましい。また、好ましくは、担体は多孔質あるいはメッシュ状体である。ホウ素系化合物を付着領域を確保できるとともに、通水性および通気性が確保できるからである。例えば、ガラス繊維やセラミックス繊維からなるメッシュ状体を使用することができる。
【0020】
担体に付着するホウ素系化合物は、無機系骨材表面に付着するのと同様の化合物を採用することができる。各種化合物は、1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの化合物は、いずれも粒子状として固体状態でシート状担体に付与されていることが好ましい。
【0021】
水難溶性ホウ素系化合物を含む粒子は、通常、難溶性ホウ素系化合物のみからなる粒子であるが、この化合物粒子とバインダー成分等他の成分を含んだ複合形態の粒子であってもよい。バインダー等のホウ素系化合物以外の成分の種類によって、ホウ素系化合物の溶出性や粒子の形態変化等を制御することができる。例えば、複合化成分が水溶性成分であると、水と接触して粒子が崩壊しやすくなり、水難溶性ホウ素系化合物が防除対象に接触されやすくなる。このためには、部分的に水難溶性ホウ素系化合物が予め表面に露出されるような複合形態とすることも好ましい。
【0022】
一方、水溶性ホウ素系化合物を含有する粒子は、そのままでシート状担体に付着されていてもよいが、水に難溶化された粒子の状態で付着されていてもよい。水溶性ホウ素系化合物の水に対する難溶化は、上述したとおりである。
【0023】
ホウ素系化合物粒子は、粒子形態を特に限定しない。例えば、略球状、不定形状、繊維状等とすることができる。好ましくは、略球形状である。
なお、粒子の大きさは、具体的には、粒子の最大寸法が5μm〜50μmであることが好ましい。粒子が略球形の場合には、直径が5μm〜50μmであることが好ましい。
【0024】
このような担体に対して、前記粒子は、粒子の表面がなんら他の材料(例えば、接着等で)被覆されることなく、シロアリが直接接触可能に露出された状態で付着されていることが好ましい。このようにすると、シロアリが化合物粒子を食べ易いからである。
例えば、担体の最表面に一定の厚みを有する粒子層に形成することができる。付着形態は、特に限定しないが、担体全面をおおよそ被うように設けることが好ましい。例えば、担体表面をおおよそ隠蔽するような各種形態のスポット状、ライン状、格子状等とすることができる。
【0025】
本発明の防蟻材にあっては、好ましくは、前記粒子の付着部分よりも内側に、水難溶性ホウ素系化合物及び/又は水溶性ホウ素系化合物が付着されている。例えば、これらの化合物粉末は、上記ホウ素系化合物含有粒子を接着するための接着剤中に含有されている。水溶性ホウ素系化合物等が別途付着等されていても、接着剤によりコーティングされることにより、溶出が抑制される一方、接着剤がシロアリにより食された時点で防蟻性能を発揮することができる。また、ホウ素系化合物が担体内部にも担持されていれば、担持量が増大する点で好ましい。
【0026】
担体の表面に、化合物粒子を付着させるには、担体に接着剤等を塗布して接着性を付与した後、その担体表面に化合物粒子を接触させるようにすることが好ましい。このようにして付着されると、化合物粒子が担体表面において露出されるからである。
また、接着剤中にホウ素系化合物を含有させている場合には、この接着剤を担体に付与後、接着性を発揮している間(典型的には半乾燥状態)に、化合物粒子を付与するようにすることが好ましい。このような接着剤としては、例えば、アクリルエマルジョン、ニトリルゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等を使用できる。
【0027】
担体の表面積あたりの化合物粒子の付与量は、ホウ素系化合物として50〜200g/m2であることが好ましい。50g/m2未満であると、防蟻効果が十分に発揮されず、また、200g/m2を超えると、溶出量が大きくなり、環境負荷が大きくなる場合があるからである。より好ましくは、70〜120g/m2であり、最も好ましくは、約100g/m2である。なお、担体の表面積とは、担体の外形の表面積であって、化合物が全体として(但しスポット状等であってもよい)付与されている領域の面積をいう。
また、担体内部にもホウ素系化合物を担持させる場合には、全体として、15g/m2〜30g/m2であることが好ましい。
【0028】
シート状防蟻材の製造するために採用できる工程を以下に例示する。
ガラス繊維メッシュ体に、ホウ酸カルシウム粉末、ホウ酸−PVA(ポリビニルアルコール)反応物粉末、ホウ酸マイクロカプセル等のホウ素系化合物含有粒子を、全体の10〜20wt%の割合となるように、アクリルエマルジョン、ニトリルゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョンなどの合成樹脂接着剤を塗布して、半乾燥した状態とする。この半乾燥状態、すなわち、接着性を有している表面に、粉末あるいは粒子状の上記各種ホウ素系化合物含有粒子を直接散布し、乾燥させる。後から散布したホウ素系化合物含有粒子は、接着剤により被覆されないで粒子自体の表面が露出されるような状態とする。
【0029】
次に、このような防蟻シートを用いて、地中埋設ケーブルを防蟻施工する工程について説明する。
まず、地中の所定箇所にトラフ(断面U字状の溝部材)を施工する。次いで、このトラフ内に敷設しようとするケーブルの周囲を上記防蟻シートで巻いて接着剤等で固定する。このようにしたケーブルをトラフ内の所定位置に敷設する。さらに、トラフ内には、土壌を充てんする。なお、このとき、土壌に替えて、上記した無機系骨材からなる充てん用防蟻材を充てんすることもできる。
【0030】
このとき、防蟻シートに使用したホウ素系化合物が水溶性ホウ素系化合物である場合には、トラフへの雨水の流入等によるホウ素系化合物の流出を防止するために、トラフの開口部を不透水性のシートで覆い、この上を蓋で固定するようにすることが好ましい。
【0031】
この防蟻シートを用いる方法では、特に、ケーブル周囲において確実に防蟻効果を発現させることができる。ケーブルは、担持体であるシートと防蟻薬剤との双方によって保護されている。特に、水難溶性ホウ素系化合物や水難溶化ホウ素系化合物が付着された防蟻シートを用いることにより、より確実に防蟻効果を発現させることができる。
【0032】
以上説明したように、本発明の各種の態様によれば、ホウ素系化合物の防蟻作用によって、トラフ内および/または敷設されるケーブル近傍において、確実かつ長期的に防蟻効果を発揮させることができる。
ホウ素系化合物をトラフ内にまた、ホウ素系化合物のトラフ外への漏出は、トラフ自体の構造や水難溶性ホウ素系化合物や難溶化水溶性ホウ素系化合物を使用することにより容易に防止することができる。
【0033】
【実施例】
ホウ酸塩(ホウ酸アミン塩)の4wt%、8wt%濃度(それぞれホウ酸換算で)の水溶液を調製し、これを、社団法人日本木材保存協会規格第13号 1992「土壌処理用防蟻剤の防蟻効力試験方法及び性能基準」の2.試料に記載の試料として、3.試験に規定される3.1室内試験を実施した。すなわち、3.1.1試験方法に従って、無処理乾燥土壌、上記試料を用いて供試処理土壌を調製するとともに、供試処理土壌に対しては耐候操作を実施した。さらに、供試無処理乾燥土壌も調製した。
これらの供試処理土壌(耐候操作あり、なし)及び供試無処理土壌につき、図1に示す、試験容器のガラス円筒の一方に含水率約25%に調整した無処理土壌約60g、他方にアカマツ砕片約3gをいれ、ガラス管の中央透明部に、供試土壌を充てんして、ガラス円筒に連結した。無処理土壌を入れたガラス円筒に所定のイエシロアリを投入して、供試土壌への穿孔度を観察した。
なお、穿孔度0:供試土壌への穿孔が全く認められない、1:穿孔距離1cm未満、2:穿孔距離2cm未満、3:穿孔距離3cm未満、4:穿孔距離4cm未満、5:穿孔距離4cm以上である。
結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0004190761
【0035】
表1に示すように、無処理供試土壌においては一日で穿孔度が5に達したのに対し、4wt%及び8wt%濃度水溶液を試料として処理供試土壌においては、耐候操作の有無にかかわらず、それぞれ平均して約2日及び約3日かかった。しかしながら、処理土壌を穿孔したシロアリは、アカマツを全く食害しておらず、試験終了時には全て死亡していた。
【0036】
この試験結果から、シロアリは処理土壌を穿孔中に死亡するかあるいは穿孔しても食害できないほど障害を生じており、そのまま死亡してしまったと認められた。すなわち、この結果は、ケーブルが敷設されたトラフ内の土壌に本処理液を施した場合、処理砂中をシロアリ穿孔・侵入する可能性はあるが、ケーブルを食害できないことを示している。
したがって、本処理液及び処理方法は、トラフ内のケーブル処理に有効であることがわかった。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、地中埋設ケーブルの防蟻対策として、より確実でかつ長期にわたって有効な防蟻技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における試験容器及び試験状態の構成を示す図である。

Claims (4)

  1. 地中埋設ケーブルの防蟻方法であって、
    ケーブルが敷設されるトラフ内に、水溶性ホウ素系化合物の水溶液、水難溶性ホウ素系化合物の懸濁液、および水難溶化ホウ素系化合物の懸濁液のうちのいずれか1種あるいは2種以上と、粒径が1.0mm以上3.0mm以下の粒子状の無機系骨材とを混合して、無機系骨材の表面にホウ素系化合物が付着した充てん用防蟻材を供給する、方法。
  2. 地中埋設ケーブル用トラフの充てん用防蟻材であって、
    粒径が1.0mm以上3.0mm以下の粒子状無機系骨材の表面に、ホウ酸換算で水溶性ホウ素系化合物では1 wt% 以上10 wt% 以下、水難溶性ホウ素系化合物及び/又は水難溶化ホウ素系化合物では5 wt% 以上50 wt% 以下のホウ素系化合物が付着された防蟻材。
  3. 地中埋設ケーブルの防蟻方法であって、
    多孔質あるいはメッシュ状のシート状担体の表面に、水溶性ホウ素系化合物および/または水難溶性ホウ素系化合物を、なんら他の材料で被覆されることなくシロアリが直接接触可能に露出された状態で付着させたシートを、ケーブルの周囲に付与した状態でケーブルを埋設する、方法。
  4. 前記シート状担体の表面に付着されたホウ素系化合物の付着部分よりも内側に、水難溶性ホウ素系化合物および/または難溶化された水溶性ホウ素系化合物が、前記シート状担体の表面に付着されたホウ素系化合物を接着するための接着剤中に含有された状態で付着されている、請求項3に記載の方法。
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