JP4190050B2 - 粘性流体用スクリュポンプおよびその運転制御方法 - Google Patents

粘性流体用スクリュポンプおよびその運転制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘性流体もしくはこれに準ずる流体を輸送するのに適した粘性流体用スクリュポンプおよびその運転制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
今日、粘性流体の輸送用ポンプとしては、(1)メルトフィード式押出機〔カスケード型押出機:特公昭55−9290号公報〕、(2)タンデム型押出機の第2押出機〔工業調査会発行「プラスチック」1997年5月号第31図〕、(3)ギヤポンプ〔工業調査会発行「プラスチック」1997年10月号191頁等〕、(4)兵神装備(株)製のモーノポンプ(回転容積型の一軸偏心ねじポンプ)、(5)メルトホッパを有するカスケード型押出機〔工業調査会発行「プラスチック」1997年3月号第20図〕等が提案され、実施されている。
【0003】
また、今日においては、溶融樹脂の供給を飢餓状態で行うように構成したスターブドメルトフィード式(以下、単にスターブドフィード式という)のスクリュポンプも知られている。
【0004】
しかるに、前記スターブドフィード式スクリュポンプは、図9に示す構成からなる。
【0005】
そして、このスターブドフィード式スクリュポンプの特性は次の通りである。
【0006】
すなわち、前記スクリュポンプSPによる粘性流体の輸送量(TダイDT からの吐出量)は、推進流量と圧力流量の和で表わされる。簡単化するために、スクリュSの溝深さhを一定とすれば、充満長XのスクリュポンプSPの輸送量Qは、次式で示される。
【0007】
【数2】
Figure 0004190050
但し、α=1.28D2 h、
r=46.1/Dh3
ここで、αは推進流定数、Nはスクリュ速度、pはスクリュ先端圧力、μは流体粘度、rは圧力流抵抗定数、Dはスクリュ径をそれぞれ示す。
【0008】
前記式(1) は、上流側からの供給量が一定であれば、ポンプ内部の流体の充満長Xは不変であることを示している。しかし、供給量が一定ということはあり得ないため、前記充満長Xは絶えず変動する。例えば、供給量が増えると、充満長Xは長く(大きく)なる。
【0009】
従って、前述したスターブドフィード式スクリュポンプの特性を要約すれば、次の通りである。
【0010】
(a)充満長Xの変化量dXが小さい程、スクリュポンプからの輸送量Qは安定と見做される。この点で、充満部の後端でのスクリュ流路の横断面積Aは大きい程有利である(変化量dXは横断面積Aに比例する)。
【0011】
(b)充満長Xが変化しても、スクリュポンプからの輸送量Qが充満長Xの変化に鈍感(微分係数dQ/dXが小さい)であれば、スクリュポンプによる輸送プロセスは安定である。この点については、経験的に充満長Xが長い程有利であることが分かっている(充満長Xの変化率は充満長Xの大きさに逆比例する)。
【0012】
そこで、本発明者はスクリュポンプの特性について鋭意研究を重ねた結果、例えば「物質収支」の概念に基づく解析を行って、次のような明確な結論を得た。
【0013】
すなわち、図9のスクリュポンプにおいて、微小時間dtでの上流側からの供給量Qi と下流側への輸送量Qとの差(Qi −Q)dtを想定する。この量の差は、流路の横断面積Aのスクリュポンプ中に溜まり、充満長をdX変化させるから、次式が導かれる。
【0014】
【数3】
Figure 0004190050
ここで、XとQとを関連付けるために、微分係数dX/dtを次のように分解する。
【0015】
【数4】
Figure 0004190050
ここで、R=dX/dQ=(dQ/dX)-1を「輸送抵抗」と称する。従って、前記関係から次式が導かれる。
【0016】
【数5】
Figure 0004190050
ここで、前記Qi 、Qを次のように表わす。
【0017】
【数6】
Figure 0004190050
前記式(4) 、(5) から次の微分方程式が導かれる。
【0018】
【数7】
Figure 0004190050
前記式(6) は、自動制御理論において扱われる「1次遅れ要素」の特性方程式と同一である。従って、前記スターブドフィードされるスクリュポンプの輸送特性は、「1次遅れ要素」でモデリングし得ることを突き止めた。しかるに、「1次遅れ要素」は、入力(スクリュポンプの場合、供給量)の変動を減衰して安定化し、出力(スクリュポンプの場合、輸送量)する機能を有する。「1次遅れ要素」の特性は、時定数τによって一義的に表わされる。そこで、前記スクリュポンプによる輸送プロセスの時定数は、次の通りである。
【0019】
τ=RA … (7)
複雑な変動波形も、振幅と周波数の異なる複数の三角関数の和(フーリエ級数)で表わされることが分かっている。このため、供給量の変動qi を振幅ai 、周波数fの正弦波で表わせば、次の通りである。
【0020】
qi =ai ・sin(2πft) … (8)
前記式(8) を前記式(6) に適用すると、スクリュポンプからの輸送量の変動成分qは、次式で表わされる。
【0021】
【数8】
Figure 0004190050
前記式(9) によれば、輸送量の変動成分qは振幅がai /≒〔1+(2πfτ)2 〕、周波数fの正弦波で表わされる。輸送量と供給量の変動振幅の比は、サージファクタFs と称される。また、スクリュポンプからの輸送量は、サージファクタFs の値が小さいほど安定化される。すなわち、輸送プロセスの変動の減衰能は、サージファクタFs に逆比例する。
【0022】
【数9】
Figure 0004190050
前記式(10)によれば、前記式(7) で表わされる時定数τの値が大きいプロセスほど安定である。また、前記式(10)は、周波数fの高い(周期の短い)変動成分ほど減衰され易いことを明示している。この特性も、高速フーリエ変換器による実測結果と正確に一致することが確認された(図10参照)。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、従来における粘性流体用スクリュポンプの代表的なものとしては、図9に示すような、スターブドフィードされるタンデム型押出機用スクリュポンプである(但し、ギヤポンプはないものとする)。このスクリュポンプの主機能は、溶融混練用の第1押出機側から供給される粘性流体の流量変動の減衰と、次工程への輸送である。
【0024】
このスターブドフィード式スクリュポンプの変動の減衰能は、粘性流体の充満長を延ばすことによって強化することができる(図11参照)。これは、充満長の延長によって、流路の横断面積Aと輸送抵抗R(結局、時定数τ)の値が増えるからである。しかし、その上限値は高くない。また、充満長の延長は、スクリュポンプの有効長の延長に伴うコスト高、ベントアップあるいは流体の温度上昇等の問題を招来する。
【0025】
前述した解析結果に基づく数値シミュレーションの妥当性は、図10および図11を初めとする幾つかの実験データによって実証することができる。また、前記解析あるいは数値シミュレーション結果は、生産機械での定性的な傾向とも一致していることが確認された。
【0026】
また、スターブドフィード式スクリュポンプの変動の減衰能に係わる前記弱点は、その下流側にギヤポンプを導入することによって改善される(図9参照)。すなわち、ギヤポンプの導入は、充満長の短縮を可能とすると共に、減衰能を数段向上させることができる。充満長が短縮されるのは、それがギヤポンプ速度の加減によって、自在に制御可能となるからである。一方、減衰能が向上するのは、ギヤポンプの導入によって輸送抵抗Rの値が大幅に増大するからである。
【0027】
しかし、このようなギヤポンプアシスト型スクリュポンプは、設備費が高くなると共に、ギヤの噛み合い部や軸受が損傷し易く、歯数×回転数を周波数とするギヤポンプ特有の脈動を発生する等の問題点がある。
【0028】
そこで、本発明者は、鋭意研究並びに試作を重ねると共に、前記従来のスターブドフィード式スクリュポンプの性能の向上を図るべく検討を行った結果、スクリュポンプの変動減衰能を増強するための手段としては、スクリュ流路の横断面積Aを拡張すべきことであることを突き止めた。
【0029】
しかるに、前記横断面積の自在な拡張は、充満部の後端がスクリュポンプ中にある限り不可能である。そこで、本発明者は、前記充満部の後端位置がスクリュポンプの外にあってもよいものとの観点から、スクリュポンプの入口に変動沈静室を鉛直状に接続配置し、この変動沈静室の上流側から供給される粘性流体を、前記沈静室内へ流下・貯留させるように構成することによって、粘性流体の表面積すなわち前記横断面積Aをスクリュサイズに拘束されることなく、自在に設定可能となることが判った。
【0030】
なお、この場合、粘性流体は、前記変動沈静室の内壁による粘性抵抗を受けるため、その自然流下量には上限が存在することになる。また、前記変動沈静室を有するスクリュポンプの輸送抵抗Rの値は、予想以上に大きくなることも確認され、スクリュポンプの性能向上のための寄与率は、前記面積よりも輸送抵抗の方が大きいものとなることが判った。
【0031】
さらに、前記変動沈静室内の粘性流体表面上での物質収支の概念から、従来のスターブドフィード式スクリュポンプの場合と同様の基礎方程式が導かれる。従って、本発明のスクリュポンプをベースとする粘性流体用輸送プロセスの動特性も、1次遅れ要素で表わされる。この1次遅れ要素の共通点は、変動の減衰能が時定数τだけによって定められ、この時定数τの増大は減衰能を向上させる反面、条件変更に要する時間が延長されると言う犠牲を伴う。
【0032】
しかるに、本発明のスクリュポンプにおいては、従来のスターブドフィード式での充満長Xに相当する役目を、前記変動沈静室内の粘性流体の貯留レベルYが果たすことになる。すなわち、上流から供給される粘性流体の変動は、前記貯留レベルYの変動となって吸収ないし沈静化される。
【0033】
そして、本発明のスクリュポンプをベースとする粘性流体用輸送プロセスでの輸送抵抗Rは、次式で求められる。
【0034】
【数10】
Figure 0004190050
但し、αs :スクリュの推進流定数(≒1.28Ds 2 h)
Rs :圧力流抵抗定数(≒46.1L/Ds h3
Ns :スクリュ速度
Rd :ダイ抵抗定数
Q:スクリュポンプの輸送量(cm3 /s)
μ:流体の粘度(kgf−s/cm2
γ:流体の比重量(kg/cm3
Qm :内径Dc の変動沈静室内の最大自然流下量
なお、前記変動沈静室内の最大自然流下量Qm は、次式で表わされる。
【0035】
【数11】
Figure 0004190050
【0036】
このようにして、本発明に係るスクリュポンプの最大の要点は、レベル変動dYに起因するスクリュポンプ入口圧力の変化量dpi が小さいことであり、この結果dQ/dY(輸送抵抗Rの逆数)の値が極小になることである。但し、前記式(11)で明らかなように、輸送抵抗Rの値は、流体粘度μの低下に伴って減少するものであるから、本発明に係るスクリュポンプは、低粘性流体の変動の減衰および輸送には適していないことが理解される。
【0037】
従って、本発明の目的は、前述した従来技術におけるスクリュポンプの問題点を解消すると共に、コンパクトな構成により、特に流量変動の減衰能がギヤポンプアシスト型スターブドフィード式スクリュポンプ以上に高く、しかもギヤポンプのような2次的な脈動が生じることのない、信頼性および安定性ならびに経済性に優れた粘性流体用ポンプおよびその運転制御方法を提供することにある。
【0038】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明に係る粘性流体用スクリュポンプは、粘性流体を輸送するためのスクリュポンプにおいて、スクリュの一端側に設けた粘性流体の供給口に、前記スクリュに対しほぼ垂直方向に起立する変動沈静室を設ける粘性流体用スクリュポンプにおいて、変動沈静室内の底部における流体圧力または流体レベルを、電気信号として検出し、この検出信号に基づいてスクリュポンプの上流側の粘性流体供給装置の制御操作を行い、前記変動沈静室内の流体レベルを常に一定に保持するように構成してなる
【0039】
この場合、前記変動沈静室内に供給される粘性流体は、変動沈静室内に部分的に充満し、スクリュへの供給は全て自然流下によって行うように構成する。
【0043】
また、前記スクリュの一部または全部のフライト頂部を、ナイフエッジ状に構成すれば好適である。
【0044】
一方、前記構成からなる粘性流体用スクリュポンプの運転制御において、前記粘性流体の輸送量を変更するに際しては、スクリュポンプの上流側における粘性流体の供給量の設定変更と連動させて、スクリュポンプの回転速度を前記供給量の変更比率と同一比率変更するように設定すれば有効である。
【0045】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る粘性流体用スクリュポンプの実施例につき、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0046】
図1は、本発明に係る粘性流体用スクリュポンプの一実施例の概略構成ならびに運転制御系統を示す説明図である。すなわち、図1において、参照符号10は外周部に適宜ヒータ11を備えたバレルを示し、このバレル10の内部にスクリュ12が挿通配置されている。このスクリュ12は、その一端部において、これを回転駆動するためのスクリュ駆動モータ14が適宜減速機16を介して結合されている。また、前記スクリュ12の先端側におけるバレル10の先端部は、短管部18を介してTダイ20が結合され、所定幅の樹脂シートまたは樹脂フィルムを連続的に押出し成形するように構成されている。なお、前記バレル10の他端部側、すなわち前記スクリュ12の上流側には、粘性流体供給口22が設けられる。
【0047】
しかるに、本実施例において、前記粘性流体供給口22には、所定量の粘性流体VFを貯留してその落差(静水圧)によってバレル10へ粘性流体を自然流下させて供給することができる管状の変動沈静室24を、前記バレル10の軸方向に対しほぼ直角に交差して立設するように接続配置する。
【0048】
このように構成されたスクリュポンプを駆動するに際し、スクリュ駆動モータ14の出力は、減速機16を経てスクリュ12へ伝達される。定常運転中のスクリュ速度は、原則として一定に保たれる。このため、定常運転中は、前記スクリュ駆動モータ14を制御するモータ制御器26に対し、スイッチ28をオフ状態にすることによって、制御装置30からの制御指令の伝達が遮断される。
【0049】
一方、スクリュポンプの粘性流体供給口22における流体圧力pi は、例えば1kgf/cm2 程度のフルスケールを有する圧力計32によって検出し、この検出信号を信号フィルタ34へ入力する。この信号フィルタ34の役割は、測定検出された圧力検出信号中に含まれる短〜中周期成分あるいはノイズを除去するローパスフィルタとしての機能を有する。そして、除去されるべき周期のしきい値は、条件によって異なるが、例えば非晶質ポリエステル樹脂(A−PET)からなるシートの押出成形の場合には、数分〜十分程度が適当である。
【0050】
このようにして平滑化されたスクリュポンプの粘性流体供給口22における流体圧力pi の測定信号は、基準レベル設定器36で設定された基準レベルと比較器38で比較され、その偏差が取り出される。そして、この偏差信号は、制御装置30に入力されて、これを解消するために必要な操作量が算定される。従って、この制御装置30に対しては、スクリュポンプの適正な輸送量に関するデータを設定した輸送量設定器40が接続される。
【0051】
このようにして前記制御装置30において算定された操作量は、スクリュポンプの上流側の粘性流体の供給量を調整する制御信号として出力される。この場合、前記制御信号は、変動沈静室24に対して粘性流体を供給する粘性流体供給装置42を制御する供給装置制御器44に対してフィードバックされ、粘性流体の供給量の設定値の修正を行って、前記変動沈静室24内の粘性流体のレベルYを常に一定範囲内に保持し得るように制御する。
【0052】
また、スクリュポンプにおいて、スクリュ12の先端の流体圧力pは、粘度が一定であれば、輸送量と下流側の流動抵抗の兼ね合いによって定めることができる。このため、前記スクリュポンプのスクリュ12の先端側に適宜圧力計46を設ける。そこで、例えば、スクリュポンプの下流側に流体用フィルタ(図示せず)を設ける場合、スクリュ12の先端の流体圧力は、前記フィルタの目詰まりの進行に伴って漸増し、この結果スクリュポンプの輸送量は漸減する。従って、前記フィルタの目詰まりの過程で、輸送量を一定に保持する手段として、スクリュポンプの下流側に圧力調節弁(図示せず)を設けてこれを徐々に開放する方法、あるいはスクリュ速度Ns を漸増する方法が考えられる。なお、本実施例のように、スクリュ速度一定の原則からは、前者の方法が好ましい。
【0053】
次に、前記構成からなる本実施例に係る粘性流体用スクリュポンプの特性、すなわち粘性流体の流量変動の減衰能について、それぞれ実験例に基づいて説明する。
【0054】
まず、図1に示す粘性流体用スクリュポンプを次のように条件設定した。
【0055】
スクリュポンプの仕様
・スクリュ12の直径Ds :115mm
・スクリュ12のリード :115mm
・有効長L :4×Ds
・溝深さh :7.5mm(一定)
・スクリュフライト形状 :ナイフエッジ状
変動沈静室24の仕様
・内径115mm×高さ2.0mの円管
・沈静室24内の流体レベルYは1mに設定
その他の設定条件
・粘性流体として比重1.17、平均粘度2200poiseの非晶質ポリエステル樹脂(A−PET)の溶融体を使用
・Tダイとしてリップ幅を1.3mに設定したものを使用
・スクリュポンプの平均輸送量Qを390kg/hに設定
・粘性流体の供給量の変動を±3〜10%程度に設定
・スクリュ先端部の圧力pを130kgf/cm2 に設定
【0056】
実験例1
前記条件設定に基づくスクリュポンプにおいて、粘性流体の供給量のみをステップ状に0.1%増やした場合の輸送プロセスの応答特性を測定した結果、図2に示すような特性が得られた。図2おいては、スクリュポンプの輸送量Q、変動沈静室24内の流体レベルYおよびスクリュ12先端の流体圧力Pが時間と共に、指数曲線を描いて漸増することを示している。
【0057】
この結果から、本実施例によるスクリュポンプの動特性は、1次遅れ要素に属することが認められる。また、輸送プロセスの時定数は、約6000分(100時間)であり、新しい平衡状態に入るまでに要する時間は、前記時定数の約5倍に達することが明示されている。
【0058】
このように、本発明に係る粘性流体用スクリュポンプにおいて、流量変動の減衰能が高いのは、輸送プロセスの時定数の値が桁違いに大きくなるためである。この時定数の大きさは、輸送プロセスの“熱し難く冷め難い”度合いを表わす。従って、輸送量等の運転条件の変更を単純に行うと、新しい平衡状態に落ち着くまでに、長時間が費やされることになる。
【0059】
実験例2(本発明の運転制御方法)
条件変更に時間が掛り過ぎるという前記実験例1の問題を解決するため、粘性流体の供給量とスクリュ速度を、同時に、同率で変更するものである。従って、この場合、図1に示すスクリュポンプにおいてモータ制御器26に対して接続される制御信号ラインに設けたスイッチ28は、オン状態とされる。
【0060】
すなわち、本実験例2においては、粘性流体の供給量とスクリュ速度とを、同時に、10%増大させた場合の輸送プロセスの応答特性を測定した結果、図3に示すような特性が得られた。
【0061】
この結果から、変動沈静室24内の流体レベルYは、僅かに変化するが、輸送量Qとスクリュ12先端の流体圧力Pは、ほぼ瞬時に、新しい平衡状態に落ち着くことが確認された。なお、実際の輸送プロセスにおいては、微調整が必要となるため、瞬時とはいかなくても、5分以内となるものと思料される。
【0062】
実験例3
前記実験例1と同じ条件設定とし、上流側からの粘性流体の供給量変動成分を片振幅を18kg/h(±4.6%)、周期を120秒の正弦波とした場合における、輸送プロセスでの流量変動の減衰についての応答特性を測定した結果、図4に示すような特性が得られた。
【0063】
この結果、変動沈静室24内の流体レベルYを1mに確保するためのスクリュ12の速度は106.4rpm、プロセスの時定数は6020分、サージファクタの値は約0.000053(供給量の変動振幅を0.0053%に低減)になることが確認された。輸送量Qの変動は限りなく零に近付くことが確認された。
【0064】
また、前記図4に示す結果によれば、±18kg/h、周期120秒の粘性流体の供給量の変動は、まず変動沈静室24内の流体レベルYを約±8mm上下させる。この±8mmの流体レベルYの変化によって生じるスクリュポンプの入口の圧力変化量(スクリュポンプ前後の圧力差の変化量)は、粘性抵抗の影響を無視しても、±γΔY=±0.001kgf/cm2 弱に過ぎない。そして、スクリュポンプでの圧力流量を定める圧力勾配の変化率(圧力差の変化率)は、さらに2桁以上小さくなる。これが、本発明に係る粘性流体用スクリュポンプによって、粘性流体の供給量の変動が激減される理由である。
【0065】
因みに、このような驚異的な粘性流体の流量変動に対する減衰能は、例えば一般的なタンデム型押出機用スクリュポンプ(スクリュ径115mm×有効長20Ds )の下流側に、圧力差が100kgf/cm2 での特定条件容積効率が99.9%という超精密ギヤポンプを導入し、充満長が17.5Ds で運転した時の前記減衰能(サージファクタFs =0.00018)〔図5参照〕を大幅に凌ぐものである。なお、特定条件容積効率が99.9%というのは、前記ギヤポンプの前後での圧力差が100kgf/cm2 の時に、歯車の側面隙間を通る圧力流量が0.1%であることを意味し、このような超精密ギヤポンプは、現状の技術では入手が困難な高レベルのものである。
【0066】
実験例4
前記実験例3の場合、スクリュ速度は106.4rpmで、変動沈静室24内の流体レベルYは1mであった。そこで、この状態で前記スクリュ速度を0.1rpm増速すると、スクリュポンプの状態は、やがて図6に示すようになる。すなわち、図6において、スクリュポンプは、変動沈静室24内の流体レベルYが零となり、その充満長Xが約4Ds となることを示している。
【0067】
この場合における輸送プロセスでの流量変動の減衰についての応答特性を測定した結果、図7に示すような特性が得られた。図7に示す結果から、流量変動の減衰能はほぼ零であり、これは流量変動の減衰モードが変動沈静室24内での流体レベル方式からスクリュ12上での充満長方式に変わったためである。このように、前記変動沈静室24内での流体レベルYが零となる点を境とする特性の激変は驚異的である。
【0068】
実験例5
前記実験例4の図6に示す状態のスクリュポンプの下流側に、前記図5に示される特性を有する超精密ギヤポンプを導入する。この場合における輸送プロセスでの流量変動の減衰についての応答特性を測定した結果、図8に示すような特性が得られた。図8に示す結果から、流量変動の減衰能は320倍に増強された。しかし、図4に示す特性を有する本発明に基づく実験例3のスクリュポンプの減衰能に比べれば、約1/40に過ぎない。また、図5に示す一般的なタンデム型押出機用スクリュポンプの減衰能に比べて、同一の超精密ギヤポンプを使用しているにも拘らず、減衰能が1桁低いのは、スクリュポンプ側の条件(有効長)が劣るからである。
【0069】
なお、本発明において、スクリュポンプのスクリュ12の直径Ds は、次式で算定される値の1.2倍以上に設定し、スクリュ12の有効長さLは、その直径Ds の8倍以内に設定することが有効であることが確認された。
【0070】
【数13】
Figure 0004190050
但し、Q:スクリュポンプの輸送量(cm3 /s)
μ:流体の粘度(kgf−s/cm2
γ:流体の比重量(kg/cm3
【0071】
以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は前記実施例に限定されることなく、本発明の精神を逸脱しない範囲内において多くの設計変更が可能である。
【0072】
【発明の効果】
前述したように、本発明に係る粘性流体用スクリュポンプにおいては、粘性流体を輸送するためのスクリュポンプにおいて、スクリュの一端側に設けた粘性流体の供給口に、前記スクリュに対しほぼ垂直方向に起立する変動沈静室を設けた構成とすることにより、コンパクトな構成により、特に変動の減衰能がギヤポンプアシスト型スターブドフィード式スクリュポンプ以上に高く、しかもギヤポンプのような2次的な脈動が生じることのない、信頼性および安定性ならびに経済性に優れたものを得ることができる。
【0073】
また、本発明に係る粘性流体用スクリュポンプにおいては、粘性流体の輸送量を変更するに際して、スクリュポンプの上流側における粘性流体の供給量の設定変更と連動させて、スクリュポンプの回転速度を前記供給量の変更比率と同一比率変更するように、前記粘性流体用スクリュポンプの運転制御を行うことにより、供給量の変更に伴う所要時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る粘性流体用スクリュポンプの一実施例を示す概略構成の断面とその運転制御系統とを示す説明図である。
【図2】本発明に係る粘性流体用スクリュポンプにおいて供給量をステップ状に変更(0.1%増)した場合の輸送プロセスのステップ応答特性線図である。
【図3】本発明に係る粘性流体用スクリュポンプにおいて供給量とスクリュ速度をステップ状に同時・同率変更(10%増)した場合の輸送プロセスのステップ応答特性線図である。
【図4】本発明に係る粘性流体用スクリュポンプにおける供給量変動成分に対する輸送プロセスの減衰能特性線図である。
【図5】一般的なタンデム型スクリュポンプに超精密ギヤポンプを導入した場合における供給量変動成分に対する輸送プロセスの減衰能特性線図である。
【図6】スクリュ速度を増速した場合の本発明に係る粘性流体用スクリュポンプの概略構成断面図である。
【図7】図6に示す粘性流体用スクリュポンプにおける供給量変動成分に対する輸送プロセスの減衰能特性線図である。
【図8】図6に示す粘性流体用スクリュポンプに超精密ギヤポンプを導入した場合における供給量変動成分に対する輸送プロセスの減衰能特性線図である。
【図9】従来のタンデム型押出機の第2押出機として適用されるギヤポンプアシスト型スターブドフィード式スクリュポンプの概略構成断面図である。
【図10】従来のスターブドフィード式スクリュポンプを適用したベント押出機におけるスクリュ先端の流体圧力の変動特性を高速フーリエ変換器で分析した場合の圧力の原波形図および周波数スペクトル図である。
【図11】従来のスターブドフィード式スクリュポンプを適用したベント押出機におけるサージファクタと充満長との関係を示す特性線図である。
【符号の説明】
10 バレル
11 ヒータ
12 スクリュ
14 スクリュ駆動モータ
16 減速機
18 短管部
20 Tダイ
22 粘性流体供給口
24 変動沈静室
26 モータ制御器
28 スイッチ
30 制御装置
32 圧力計
34 信号フィルタ
36 基準レベル設定器
38 比較器
40 輸送量設定器
42 粘性流体供給装置
44 供給装置制御器
46 圧力計

Claims (4)

  1. 粘性流体を輸送するためのスクリュポンプにおいて、スクリュの一端側に設けた粘性流体の供給口に、前記スクリュに対しほぼ垂直方向に起立する変動沈静室を設ける粘性流体用スクリュポンプにおいて、
    変動沈静室内の底部における流体圧力または流体レベルを、電気信号として検出し、この検出信号に基づいてスクリュポンプの上流側の粘性流体供給装置の制御操作を行い、前記変動沈静室内の流体レベルを常に一定に保持するように構成してなる粘性流体用スクリュポンプ。
  2. 変動沈静室内に供給される粘性流体は、変動沈静室内に部分的に充満し、スクリュへの供給は全て自然流下によって行うように構成してなる請求項1記載の粘性流体用スクリュポンプ。
  3. スクリュの一部または全部のフライト頂部が、ナイフエッジ状に構成してなる請求項1記載の粘性流体用スクリュポンプ。
  4. スクリュの一端側に設けた粘性流体の供給口に、前記スクリュに対しほぼ垂直方向に起立する変動沈静室を設けてなる粘性流体を輸送するためのスクリュポンプにおいて、
    粘性流体の輸送量を変更するに際して、スクリュポンプの上流側における粘性流体の供給量の設定変更と連動させて、スクリュポンプの回転速度を前記供給量の変更比率と同一比率変更することを特徴とする粘性流体用スクリュポンプの運転制御方法。
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