JP4187089B2 - ヒートパイプ式冷却器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば半導体素子などを冷却するヒートパイプ式冷却器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のヒートパイプ式冷却器として、例えば図8に示すように、受熱ブロック5に垂直に、冷媒4を封入したヒートパイプ2を挿入し、そのヒートパイプ2に冷却フィン1を挿入し、そのヒートパイプ2を受熱ブロック5側と冷却フィン1側とに分割してその間に絶縁用碍子(以下碍子と呼ぶ)3を挿入した構成の絶縁型ヒートパイプ式のものが考えられている。
【0003】
そして、この種のヒートパイプ式冷却器に使用している碍子3としては、内部が直線的な形状、または沿面距離を確保するためのひだを有する形状のものが考えられている。なお、寸法は内部圧力と要求される絶縁耐力で決定されているものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成のヒートパイプ式冷却器にあっては、冷媒4は環境問題も考慮し水などに移行しているが、その際碍子3の絶縁距離は、パーフロロカーボンなどの冷媒を用いたものに比べて、大きくとる必要があり、ひいては装置外形の小型化を阻むものとなっていた。
【0005】
また、ヒートパイプ式冷却器は、動作中は冷媒4の温度変化に伴い圧力変動もあるため、圧力変化に伴う絶縁距離を碍子3で確保すると大きな絶縁距離が必要となり、碍子のコストの増大や、外形の増大に繋がっていた。
【0006】
本発明は、このような点に着目して為されたもので、その目的とするところは、低コスト化、小型化が可能なヒートパイプ式冷却器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を解決するために、本発明に係るヒートパイプ式冷却器は、受熱ブロックに垂直に、冷媒を封入したヒートパイプを挿入し、ヒートパイプに冷却フィンを挿入し、ヒートパイプの受熱ブロック側と冷却フィン側との間に絶縁用碍子を挿入して絶縁型ヒートパイプを形成し、絶縁用碍子の内部に、凝縮液切り用ひだを一つまたは複数設けて凝縮液切り部を形成するとともに、受熱ブロック側ヒートパイプと冷却フィン側ヒートパイプとの間に所定の距離の絶縁部を形成したヒートパイプ式冷却器において、冷媒を絶縁用碍子の絶縁部における凝縮液切り部より下方の所定位置に到達するまで封入したことを特徴とする。
また、本発明に係るヒートパイプ式冷却器は、受熱ブロックに垂直に、冷媒を封入したヒートパイプを挿入し、ヒートパイプに冷却フィンを挿入し、ヒートパイプの受熱ブロック側と冷却フィン側との間に絶縁用碍子を挿入して絶縁型ヒートパイプを形成し、絶縁用碍子の内部に、凝縮液切り部を形成するとともに、受熱ブロック側のヒートパイプと冷却フィン側のヒートパイプとの間に所定の距離の絶縁部を形成したヒートパイプ式冷却器において、絶縁用碍子の内部に圧力調整用の球または弁を内蔵したことを特徴とする。
【0008】
このような構成の本発明によれば、絶縁用碍子のコストをあげることなく、ヒートパイプが動作していないときとヒートパイプが動作しているときの両方の絶縁を行うことができ、コストアップの抑制を図ったヒートパイプ式冷却器を実現することができる。
【0009】
また、本発明に係るヒートパイプ式冷却器は、ヒートパイプを受熱ブロック側ヒートパイプと放熱フィン側ヒートパイプの2つのヒートパイプから成るものとし、2つのヒートパイプのそれぞれに冷媒を封入するとともに、2つのヒートパイプを絶縁用碍子により機械的に接続し、絶縁用碍子の内部に熱伝導性を有する絶縁体を封入して熱的に接続を図る構成としたことを特徴とする。
【0010】
このような構成の本発明によれば、2つのヒートパイプは、水、真空部を介さず、機械的には絶縁用碍子で、熱的には熱伝導性を有した絶縁体にて接続され、その結果、水、真空部を介すことなく接続できるため、高電圧での使用が可能となり、また冷媒には絶縁性を有する必要が無くなるため、設計的な自由度も向上し各種冷媒を問わず、幅広いヒートパイプ式冷却器に適用が可能となる。
【0011】
また、本発明に係るヒートパイプ式冷却器は、受熱ブロックに垂直にヒートパイプを挿入し、ヒートパイプに冷却フィンを挿入し、ヒートパイプの受熱ブロック側と冷却フィン側との間に絶縁用碍子を挿入して絶縁型ヒートパイプを形成し、絶縁用碍子の中間部に仕切り部を設け、仕切り部で仕切られたヒートパイプの冷却フィン側の部分と受熱ブロック側の部分のそれぞれに冷媒を封入し、仕切り部で熱交換と絶縁を行うようにしたことを特徴とする。
【0012】
このような構成の本発明によれば、ヒートパイプの冷却フィン側の部分と受熱ブロック側の部分を、水、真空部を介さず、絶縁し、冷却することが可能となるため、高電圧での使用が可能となり、また冷媒には絶縁性を有する必要が無くなるため、設計的な自由度も向上し、真空部の絶縁を必要とせず、かつ冷媒の絶縁も必要ないため幅広いヒートパイプ式冷却器に適用が可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を説明するための参考例および本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0014】
(第1の参考例
図1は、本発明を説明するための第1の参考例に係るヒートパイプ式冷却器の主要部の構成を示したものである。
【0015】
この第1の参考例においては、図1に示すように、冷媒として水を封入したヒートパイプ2に絶縁用碍子(以下碍子と呼ぶ)3aを挿入した絶縁型ヒートパイプにおいて、碍子3a内部に、水切り部として、突出した環状の水切り用ひだ6を上方に設け、その下方は直線形状とし、受熱ブロック側のヒートパイプ2と冷却フィン側のヒートパイプ2との間に所定の距離の絶縁部8が形成されるように構成する。
【0016】
このような構成とすることにより、水切り用ひだ6により、凝縮した水滴は滴下するので、凝縮した水滴が繋がることによる絶縁の低下を回避することができる。また、受熱ブロック側のヒートパイプ2と冷却フィン側のヒートパイプ2との間の空隙の絶縁は一定の空間距離を有する絶縁部8によって行われる。
【0017】
すなわち、ヒートパイプが動作しているとき(冷媒である水が蒸気と凝縮液として行き来しているとき)は、水切り用ひだ6により絶縁を確保することができる。また、ヒートパイプが動作していないときは、高真空となる内部の、受熱ブロック側のヒートパイプ2と冷却フィン側のヒートパイプ2との間の空隙の絶縁を確保する必要があるが、この絶縁は一定の空間距離を有する絶縁部8により行われる。
【0018】
従って、この第1の参考例によれば、碍子のコストをあげることなく、ヒートパイプが動作していないときとヒートパイプが動作しているときの両方の絶縁を行うことができ、コストアップの抑制を図ったヒートパイプ式冷却器を提供できる。
【0019】
(第2の参考例
図2は、本発明を説明するための第2の参考例に係るヒートパイプ式冷却器の主要部の構成を示したものである。
【0020】
この第2の参考例は、第1の参考例の水切りを目的としたひだを複数設けたものである。すなわち、図2に示すように、碍子3aに、水切り部として、水切り用ひだ6を複数設けた構成としている。
【0021】
このような構成により、冷却性能により凝縮液の量が多い場合、水切り用ひだ6を多層化することにより、水切りが多段により行われ、より確実な水切りの効果が期待できる。
【0022】
(第の実施形態)
図3は、本発明の第の実施形態に係るヒートパイプ式冷却器の主要部の構成を示したものである。
【0023】
この第の実施形態は、図3に示すように、例えば水等からなる冷媒4が碍子3aの一部、すなわち絶縁部8に到達するまで充填された構成としている。
【0024】
このような構成とすれば、冷媒4が絶縁部8まで充填されているため、絶縁部8のうち冷媒4が充填されている部分は真空にはならなくなる。従って、この部分が真空にはならないため、絶縁部8の絶縁距離が短く済み、結果として小型のヒートパイプ式冷却器の提供が可能となる。
【0025】
(第の実施形態)
図4は、本発明の第の実施形態に係るヒートパイプ式冷却器の主要部の構成を示したものである。
【0026】
碍子3aの内部に、受け11aを設けるとともに、碍子3aの内部に、受け11aに填る大きさの圧力調整用の球11を入れる。球11は冷媒より比重が小さく、しかも冷媒の蒸気圧で浮き上がる質量としたものを用い、その材質は、絶縁距離等により、絶縁を要する場合は絶縁物にて構成するなど、その必要に応じ適宜選択するものとする。
【0027】
このような構成とすれば、ヒートパイプが動作していない間は、球11が自重で落下し、受け11aにより蒸気の通路を塞ぎ、絶縁部8の受け11から下の部分が高真空になることを防ぐ。また、ヒートパイプが動作している間は、受け11aが、凝縮した水滴の水切りの役割を果たすことになる。
【0028】
この第の実施形態によれば、ヒートパイプが動作していない間は球11が自重で落下しており、受け11aにより蒸気の通路を塞ぐため、絶縁部8が高真空になることを防ぐことができ、その結果、絶縁部8の絶縁距離は短縮することが可能となり、結果として小型のヒートパイプ式冷却器の供給が可能となる。
【0029】
(第の実施形態)
図5は、本発明の第の実施形態に係るヒートパイプ式冷却器の主要部の構成を示したものである。
【0030】
この第の実施形態は、第の実施形態の球11と同様の目的のために、図5に示すように、設定圧、または設定温度にて開閉する形状記憶合金等で作られた圧力調整用の弁12を設けた構成とする。すなわち、この弁12は、設定圧、または設定温度で閉じて蒸気の通路を塞ぎ、設定圧、または設定温度を越えると開いて蒸気を流通させるとともに、凝縮した水滴の水切りの役割を果たすものとする。
【0031】
このような構成とすれば、設定圧力、または設定温度以下で弁12が閉じ、蒸気の通路を塞ぎ、絶縁部8の弁12から下の部分が高真空になることを防ぐ。
【0032】
この第の実施形態によれば、設定圧力、または温度以下で弁12が閉じ、蒸気の通路を塞ぐため、絶縁部8が高真空になることを防ぐことができ、その結果、絶縁部8の絶縁距離は短縮することが可能となり、結果として小型のヒートパイプ式冷却器の提供が可能となる。
【0033】
(第の実施形態)
図6は、本発明の第の実施形態に係るヒートパイプ式冷却器の構成を示したものである。
【0034】
この第の実施形態は、図6に示すように、ヒートパイプを、内部にそれぞれ水等の冷媒4を封入した受熱ブロック側のヒートパイプ21と放熱フィン側のヒートパイプ22の2つのヒートパイプから成るものとし、この2つのヒートパイプ21、22を碍子3aにて機械的に、所定の絶縁距離を有した空間を有した形で接合し、碍子3aの内部に、熱伝導性を有する絶縁体10を封入し、熱的にも接続を図る構成とする。絶縁体10としては、例えばシリコンオイル、またはシリコングリスを用いることができる。
【0035】
このような構成とすれば、2つのヒートパイプ21、22は、水、真空部を介さず、機械的には碍子3aで、熱的には熱伝導性を有した絶縁体10にて接続され、受熱ブロック側ヒートパイプ21の熱は絶縁体10にて放熱フィン側ヒートパイプ22に伝導される。
【0036】
このように、この第の実施形態によれば、2つのヒートパイプ21、22は、水、真空部を介さず、機械的には碍子3aで、熱的には熱伝導性を有した絶縁体10にて接続され、その結果、水、真空部を介すことなく接続できるため、高電圧での使用が可能となり、また冷媒4には絶縁性を有する必要が無くなるため、設計的な自由度も向上し各種冷媒を問わず、幅広いヒートパイプ式冷却器に適用が可能となる。
【0037】
(第の実施形態)
図7は、本発明の第の実施形態に係るヒートパイプ式冷却器の構成を示したものである。
【0038】
この第の実施形態は、図7に示すように、ヒートパイプ2の受熱ブロック5側と冷却フィン4側との間に碍子3bを挿入して絶縁型ヒートパイプにおいて、碍子3bの内部に、熱交換性を向上させるひだを有した仕切り13を設け、仕切り13で、仕切られたヒートパイプ2の冷却フィン側の部分と受熱ブロック側の部分のそれぞれに冷媒4を封入した構成とする。この時、仕切り13は絶縁を有したものとし、厚さは貫層方向での絶縁耐力を有した厚さにすることは言うまでもない。なお、仕切り13の材質としては、例えばセラミック、または窒化アルミニウムとすることができる。また、仕切り13は、碍子3bと同じ材質として一体化して作ってもよいし、碍子3bとは別の材質としてもよい
【0039】
このような構成とすれば、電位を有している受熱ブロック側のヒートパイプ2の熱は仕切り13にて熱交換されて上方の冷却フィン側の部分の冷媒4に伝わり、その冷媒4は上方のヒートパイプ2と冷却フィン4にて外部と熱交換されて冷却される。
【0040】
このとき仕切り13は熱交換の効率を上げるため、ひだを有しているので損失が低減でき、かつ絶縁物にて構成されているので、ヒートパイプ2の冷却フィン側の部分と受熱ブロック側の部分を、水、真空部を介さず、絶縁し、冷却することが可能となるため、高電圧での使用が可能となり、また冷媒4には絶縁性を有する必要が無くなるため、設計的な自由度も向上し、真空部の絶縁を必要とせず、かつ冷媒の絶縁も必要ないため幅広いヒートパイプ式冷却器に適用が可能となる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、低コスト化、小型化を図ったヒートパイプ式冷却器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を説明するための第1の参考例の主要部の構成を示す断面図。
【図2】 本発明を説明するための第2の参考例の主要部の構成を示す断面図。
【図3】 本発明の第の実施形態の主要部の構成を示す断面図。
【図4】 本発明の第の実施形態の主要部の構成を示す断面図。
【図5】 本発明の第の実施形態の主要部の構成を示す断面図。
【図6】 本発明の第の実施形態の構成を示す断面図。
【図7】 本発明の第の実施形態の構成を示す断面図。
【図8】 従来考えられているヒートパイプ式冷却器の構成を示す断面図。
【符号の説明】
1…冷却フィン
2、21、22…ヒートパイプ
3、3a、3b…絶縁用碍子
4…冷媒
5…受熱ブロック
6…水切り用ひだ
8…絶縁部
10…絶縁体
11…球
11a…受け
12…弁
13…仕切り

Claims (5)

  1. 受熱ブロックに垂直に、冷媒を封入したヒートパイプを挿入し、前記ヒートパイプに冷却フィンを挿入し、前記ヒートパイプの受熱ブロック側と冷却フィン側との間に絶縁用碍子を挿入して絶縁型ヒートパイプを形成し、前記絶縁用碍子の内部に、凝縮液切り用ひだを一つまたは複数設けて凝縮液切り部を形成するとともに、受熱ブロック側のヒートパイプと冷却フィン側のヒートパイプとの間に所定の距離の絶縁部を形成したヒートパイプ式冷却器において、前記冷媒前記絶縁用碍子の絶縁部における前記凝縮液切り部より下方の所定位置に到達するまで封入したことを特徴とするヒートパイプ式冷却器。
  2. 受熱ブロックに垂直に、冷媒を封入したヒートパイプを挿入し、前記ヒートパイプに冷却フィンを挿入し、前記ヒートパイプの受熱ブロック側と冷却フィン側との間に絶縁用碍子を挿入して絶縁型ヒートパイプを形成し、前記絶縁用碍子の内部に、凝縮液切り部を形成するとともに、受熱ブロック側のヒートパイプと冷却フィン側のヒートパイプとの間に所定の距離の絶縁部を形成したヒートパイプ式冷却器において、前記絶縁用碍子の内部に圧力調整用の球を内蔵したことを特徴とするヒートパイプ式冷却器。
  3. 受熱ブロックに垂直に、冷媒を封入したヒートパイプを挿入し、前記ヒートパイプに冷却フィンを挿入し、前記ヒートパイプの受熱ブロック側と冷却フィン側との間に絶縁用碍子を挿入して絶縁型ヒートパイプを形成し、前記絶縁用碍子の内部に、凝縮液切り部を形成するとともに、受熱ブロック側のヒートパイプと冷却フィン側のヒートパイプとの間に所定の距離の絶縁部を形成したヒートパイプ式冷却器において、前記絶縁用碍子の内部に圧力調整用の弁を内蔵したことを特徴とするヒートパイプ式冷却器。
  4. ヒートパイプを受熱ブロック側ヒートパイプと放熱フィン側ヒートパイプの2つのヒートパイプから成るものとし、前記2つのヒートパイプのそれぞれに冷媒を封入するとともに、前記2つのヒートパイプを絶縁用碍子により機械的に接続し、前記絶縁用碍子の内部に熱伝導性を有する絶縁体を封入して熱的に接続を図る構成としたことを特徴とするヒートパイプ式冷却器。
  5. 受熱ブロックに垂直にヒートパイプを挿入し、前記ヒートパイプに冷却フィンを挿入し、前記ヒートパイプの受熱ブロック側と冷却フィン側との間に絶縁用碍子を挿入して絶縁型ヒートパイプを形成し、前記絶縁用碍子の中間部に仕切り部を設け、前記仕切り部で仕切られたヒートパイプの冷却フィン側の部分と受熱ブロック側の部分のそれぞれに冷媒を封入し、前記仕切り部で熱交換と絶縁を行うようにしたことを特徴とするヒートパイプ式冷却器。
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