JP3850319B2 - 車両用半導体冷却装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用半導体冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車両の構成について、図を参照し説明する。図11は、電車の構成図である。電車の車両1の底面には、筐体2が吊り下げられている。筐体2の内部に車両用半導体冷却装置3が設置されている。
従来の車両用半導体冷却装置について、図を参照し詳細に説明する。図12は、従来の車両用半導体冷却装置の断面図である。図13は、従来の車両用半導体冷却装置の断面図である。車両用半導体冷却装置3は、半導体素子4(GTO)の発する熱を受ける銅製の冷却ブロック5,銅製のヒートパイプ6,銅製の放熱板7,冷媒8である水から構成されている。
このように構成された車両用半導体冷却装置において、冷却ブロック5は所定の角度をもって、電力変換装置3内に設置されている。半導体素子4は、冷却ブロック5にコンパウンドを介してねじ止めされている。銅製のヒートパイプ6は、冷却ブロック5に埋め込まれている。ヒートパイプ6には、放熱板7が係合している。ヒートパイプ6の内部には、冷媒8が封入されている。
冷却ブロック5は、熱伝導の良い銅を材料とし、直方体の部材である。ヒートパイプ6は、熱伝導性の良い銅を材料とし、中空状ではあるがヒートパイプ6の両端は閉じられている棒である。放熱板7は、熱伝導性の良い銅を材料とし、薄板を長方形に加工したものである。
【0003】
このように構成された車両用半導体冷却装置3において、半導体素子4が駆動するさいには、必ず熱が発生する。半導体素子4から発生される熱は、冷却ブロック5を介して、ヒートパイプ6に封入された冷媒8に伝わる。冷媒8に、半導体素子4の発する熱が伝熱され、液体から気体への相変化を起こす。気体となった冷媒8は、ヒートパイプ6内を上昇する。冷媒8は、ヒートパイプ6,放熱板7を介して空気と熱交換を行い、冷媒8は気体から液体へ相変化する。液体化した冷媒8は、ヒートパイプ6内を下降していく。ヒートパイプ6内を下降した冷媒8は、半導体素子4の発生する熱により再び気化して、
ヒートパイプ内を上昇する。このように車両用半導体冷却装置では、冷媒8の相変化を利用し半導体の冷却に利用している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし従来の車両用半導体冷却装置を使用し、冷却効率を更に上げようとした場合、装置自体を大きくさせるという方法しかない。そのため、近年の電力変換装置の大容量化に伴ない冷却効率の向上を求められたときに、装置を置くスペースの限られる鉄道車両用には、対応することができなかった。
そこで、本発明の目的は、装置の小型化を実現することと冷却効率の良い車両用半導体冷却装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に基づく車両用半導体冷却装置は、車両の底面に吊り下げられた筐体と、前記筐体内に設置され、電力を変換する半導体素子の発する熱を受ける受熱ブロックと、この受熱ブロックに埋め込まれている複数のヒートパイプと、この複数のヒートパイプの長手方向受熱ブロック側と係合する第一の放熱フィンと、前記複数のヒートパイプの長手方向反受熱ブロック側と係合し第一の放熱フィンより板厚の厚い第2の放熱フィンとを備えることを特徴とする。
本発明に基づく車両用半導体冷却装置は、車両の底面に吊り下げられた筐体と、前記筐体内に設置され、電力を変換する半導体素子の発する熱を受ける受熱ブロックと、この受熱ブロックの長手方向両端に埋め込まれている複数の第1の放熱フィンと、前記半導体素子の近傍の前記受熱ブロックの長手方向中央部分に埋め込まれ、前記複数の第1の放熱フィンより板厚の厚い複数の第2の放熱フィンとを備えることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本発明に基づく第1の実施の形態の車両用半導体冷却装置について、図を参照し詳細に説明する。図1は、本発明に基づく第1の実施の形態の車両用半導体冷却装置の断面図である。図2は、本発明に基づく第2の実施の形態の車両用半導体冷却装置の断面図である。なお、図12及び図13に記載のものと構造上同一のものについては、同符号を付して説明を省略する。
本発明に基づく第1の実施の形態の車両用半導体冷却装置3は、冷却ブロック5,ヒートパイプ6,第1の放熱板7,冷媒8,第2の放熱板9により構成されている。
このように構成された車両用半導体冷却装置において、第1の放熱板7は、ヒートパイプ6の軸方向の軸中央部と冷却ブロック5との間のヒートパイプ6に等間隔で設置されている。第2の放熱板9は、ヒートパイプ6の軸方向の軸中央部から軸先端部の間のヒートパイプ6に、等間隔で係合している。
このように構成された車両用半導体冷却装置において、第2の放熱板9の材料は銅である。第2の放熱板9の板厚は、第1の放熱板7より厚い。
このように構成された車両用半導体冷却装置において、半導体素子4が駆動すると、半導体素子4の温度上昇が起こる。半導体素子の発生する熱が冷却ブロック5に伝熱される。冷却ブロック5に伝熱された熱は、冷却ブロック5からヒートパイプ6に伝熱される。ヒートパイプ6に伝熱された熱により、ヒートパイプ6内の冷媒8が気化する。気化した冷媒8は、ヒートパイプ6の軸方向、放熱板7側に移動する。ヒートパイプ6の軸方向放熱板7側に移動した冷媒8は、第1の放熱板7と第2の放熱板9により冷却され、液化しヒートパイプ6の軸方向冷却ブロック5側に移動する。ヒートパイプ6の軸方向冷却ブロック5側に移動した冷媒8は、冷却ブロック5から伝わった熱により気化する。
【0007】
このように構成された車両用半導体冷却装置では、冷媒4の相変化を利用し半導体素子4の冷却に利用している。
このように構成された車両用半導体冷却装置では、ヒートパイプ6の軸方向の軸中央部分から軸先端部(第2の放熱板側)の間の空間は、車体のカバーなど風をさえぎるものが少ないため走行風がよくあたる。それに対して、ヒートパイプ6の軸方向の軸中央部分から冷却ブロック側の間の空間には、車体のカバーや他の機器のカバーなどが筐体3の前後に存在するため、走行風がさえぎられる。本実施形態の車両用半導体冷却装置では、ヒートパイプ6の軸方向の軸中央部分から軸先端部の間に板厚の厚い第2の放熱板を設置しているため、走行風を有効に利用し冷却効率を上げることが出来る。また、ヒートパイプ6の軸方向の軸中央部分から冷却ブロック5側の間のヒートパイプ6には、従来の放熱板と同じ板厚の第1の放熱板7を設置し、車両用半導体冷却装置の軽量化をはかっている。
このように構成された車両用半導体冷却装置では、ヒートパイプ6の中で、走行風の当たりやすい部分には、冷却効率の良い第2の放熱板9を設置し、あまり走行風の当たらない部分には、重量の軽い第2の放熱板7を設置している。そのため、従来の車両用半導体冷却装置よりも高い冷却効率を実現できる。
【0008】
(第2の実施の形態)
本発明に基づく第2の実施形態の車両用半導体冷却装置について、図を参照し詳細に説明する。図3は、本発明に基づく第2の実施形態の車両用半導体冷却装置の断面図である。図4は、本発明に基づく第2の実施形態の車両用半導体冷却装置の断面図である。なお、図1及び図2に記載のものと構造上同一のものは、同符号を付して説明を省略する。
本発明に基づく第2の実施形態の車両用半導体冷却装置は、冷却ブロック5,第1の放熱板7,第2の放熱板9により構成されている。
このように構成された車両用半導体冷却装置において、半導体素子4は、冷却ブロック5とコンパウンドを介してねじ止めされる。第2の放熱板9は、冷却ブロック5の長手方向中央部分と係合する。第1の放熱板7は、冷却ブロック5の中央部分を除いた部分に均等に配列され、冷却ブロック5と係合する。
このように構成された車両用半導体冷却装置において、板厚の厚い第2の放熱板9を冷却ブロック5の長手方向中央部分に配置した。また、冷却ブロック5の長手方向中央部分の裏面には、半導体素子4が実装されている。
このように構成された車両用半導体冷却装置において、半導体素子4の近傍に、冷却効率の良い第2の放熱板9を配置しているため、半導体素子4を効率よく冷却できる。そのため本実施形態の車両用半導体冷却装置は、従来の車両用半導体冷却装置より冷却効率がよい。
【0009】
このように構成された車両用半導体冷却装置において、冷媒を使用していないために、寒冷地でも使用できる。また、冷媒を使用していないためにメンテナンス周期の延長を期待することが出来る。
本実施形態の車両用半導体冷却装置では、第1の放熱板と第2の放熱板という2種類の放熱板を使用しているが、板厚の違う放熱板を三種類使用し、ヒートパイプ軸方向の位置により変えることも考えられるため、本発明では放熱板の種類を2種類に限定はしない。
また、本実施形態の車両用半導体冷却装置では、放熱板の長手方向が地面に対して略垂直になるように、車両用半導体冷却装置を設置したが、これを90度回転させ、放熱板の長手方向が地面と略平行になるように設置してもよい。
(第3の実施の形態)
本発明に基づく第3の実施の形態の車両用半導体冷却装置について、図を参照して詳細に説明する。図5は、本発明に基づく第3の実施形態の車両用半導体冷却装置の断面図である。図6は、本発明に基づく第3の実施形態の車両用半導体冷却装置の断面図である。なお図3及び図4に記載のものと構造上同様なものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0010】
本実施形態の車両用半導体冷却装置は、冷却ブロック5,放熱板7,放熱板9により構成されている。
このように構成された車両用半導体冷却装置において、冷却ブロック5の長手方向の中央部分に設けられた第2の放熱板9のピッチ(隣り合う放熱板9の距離)が、第1の放熱板7のピッチにくらべ大きくなっている。
このように構成された車両用半導体冷却装置において、第2の放熱板9のピッチのほうが、第1の放熱板7のピッチより大きくなっているため、送風抵抗も小さくなる。送風抵抗が小さくなるので、走行風は第2の放熱板9の間を流れやすくなる。走行風が、第2の放熱板9の間を流れやすくなるので、冷却効率も向上する。
このように構成された車両用半導体冷却装置において、冷媒を使用していないために、寒冷地でも使用できる。また、冷媒を使用していないためにメンテナンス周期の延長を期待することが出来る。
(第4の実施形態)
本発明に基づく第4の実施形態の車両用半導体冷却装置について、図を参照し詳細に説明する。図7は、本発明に基づく第4の実施形態の車両用半導体冷却装置の断面図である。図8は、本発明に基づく第4の実施形態の車両用半導体冷却装置の断面図である。図9は、本発明に基づく第4の実施形態の車両用半導体冷却装置の断面図である。図10は、本発明に基づく第4の実施形態の車両用半導体冷却装置の断面図である。なお、図5及び図6に記載のものと構造上同一のものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0011】
本発明に基づく第4の実施形態の車両用半導体冷却装置は、冷却ブロック5,放熱フィン9,放熱フィン10により構成されている。
放熱フィン10は、冷却ブロック5の長手方向の両端部に複数設置されている。放熱フィン10に挟まれるように、冷却ブロックの長手方向の中央部には放熱フィン9が複数設置されている。
このように構成された車両用半導体冷却装置において、放熱フィン10と本発明に基づく第1の実施形態の車両用半導体冷却装置における放熱フィン7と板厚や材料は等しい。しかし放熱フィン10の長手方向の長さは、放熱フィン7の長手方向の長さより短くなっている。
このように構成された車両用半導体冷却装置において、半導体素子4の設置されている冷却ブロックの長手方向の中央部に長さが長く板厚が厚い放熱フィン9が設置されている。そのため、半導体素子4が発生する熱は、放熱フィン10よりも放熱フィン9に伝熱しやすいという現象が起こる。伝熱量が多い部分に、長さが長く板厚が厚い放熱フィン9を配置しているので、本実施形態の車両用半導体冷却装置は、従来の車両用半導体冷却装置よりも冷却効率がよい。
本実施形態の車両用半導体冷却装置では、冷却ブロックの長手方向の中央部分に、長い放熱フィン9を配置したが、放熱板9と放熱板10を交互に配置する(図9及び図10参照)ことも本実施形態の車両用半導体冷却装置から容易に考えることができる。そのため、本実施形態の車両用半導体冷却装置では、放熱板9と放熱板10の配置について限定はしない。また、放熱板の種類も2種類に限定はしない。
【0012】
このように構成された車両用半導体冷却装置において、冷媒を使用していないために、寒冷地でも使用できる。また、冷媒を使用していないためにメンテナンス周期の延長を期待することが出来る。
また、本発明に基づく第1,第2,第3,第4の実施形態の車両用半導体冷却装置では、冷却ブロック,ヒートパイプ,放熱板の材料として銅を使用していたが、アルミニウムなどの材料も使用可能なため本発明の車両用半導体冷却装置では、材料を限定はしない。
また本発明に基づく第1,第2,第3,第4の実施形態の車両用半導体冷却装置では、冷媒として水を使用しているが、フロリナードなども考えられるため冷媒の種類については限定しない。
【0013】
【発明の効果】
本発明に基づく車両用半導体冷却装置により、冷却器全体の冷却効率をあげ小型でも冷却効率の良い車両用半導体冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく第1の実施形態の車両用半導体冷却装置の断面図である。
【図2】本発明に基づく第1の実施形態の車両用半導体冷却装置の断面図である。
【図3】本発明に基づく第2の実施形態の車両用半導体冷却装置の断面図である。
【図4】本発明に基づく第2の実施形態の車両用半導体冷却装置の断面図である。
【図5】本発明に基づく第3の実施形態の車両用半導体冷却装置の断面図である。
【図6】本発明に基づく第3の実施形態の車両用半導体冷却装置の断面図である。
【図7】本発明に基づく第4の実施形態の車両用半導体冷却装置の断面図である。
【図8】本発明に基づく第4の実施形態の車両用半導体冷却装置の断面図である。
【図9】本発明に基づく第4の実施形態の車両用半導体冷却装置の断面図である。
【図10】本発明に基づく第4の実施形態の車両用半導体冷却装置の断面図である。
【図11】電車の構成図。
【図12】従来の車両用半導体冷却装置の断面図である。
【図13】従来の車両用半導体冷却装置の断面図である。
【符号の説明】
1・・・車両
2・・・筐体
3・・・車両用半導体冷却装置
4・・・半導体素子
5・・・冷却ブロック
6・・・ヒートパイプ
7・・・第1の放熱板
8・・・冷媒
9・・・第2の放熱板

Claims (3)

  1. 車両の底面に吊り下げられた筐体と、
    前記筐体内に設置され、電力を変換する半導体素子の発する熱を受ける受熱ブロックと、
    この受熱ブロックに埋め込まれている複数のヒートパイプと、
    この複数のヒートパイプの長手方向受熱ブロック側と係合する第一の放熱フィンと、
    前記複数のヒートパイプの長手方向反受熱ブロック側と係合し第一の放熱フィンより板厚の厚い第2の放熱フィンと、
    を備えることを特徴とする車両用半導体冷却装置。
  2. 車両の底面に吊り下げられた筐体と、
    前記筐体内に設置され、電力を変換する半導体素子の発する熱を受ける受熱ブロックと、
    この受熱ブロックの長手方向両端に埋め込まれている複数の第1の放熱フィンと、
    前記半導体素子の近傍の前記受熱ブロックの長手方向中央部分に埋め込まれ、前記複数の第1の放熱フィンより板厚の厚い複数の第2の放熱フィンと、
    を備えることを特徴とする車両用半導体冷却装置。
  3. 前記請求項2記載の車両用半導体冷却装置において、
    前記第2の放熱フィンは、前記第1の放熱フィンよりも長いことを特徴とする車両用半導体冷却装置。
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