JP4186482B2 - アリル化合物のエポキシ化触媒及びこれを使用するエポキシ化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アリル化合物のエポキシ化触媒及び、アリル化合物を原料としたエポキシ化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ化合物の製造方法として、エピクロロヒドリンと酢酸との縮合反応によるグリシジルアセテートの製造方法のように、クロロヒドリン法やエピクロロヒドリンとの重縮合で得る方法が従来から知られている。(Synthesis、第12巻、第1019項(1986))。
この方法は、塩素やアルカリを大量に使用するエネルギー消費量の高い製造プロセスであるのみならず、大量の塩酸や無機塩を排出する環境負荷の高い製造プロセスでもある。
また、エピクロロヒドリンの縮合反応によって得られたエポキシ化合物中には、副反応によって有機塩素化合物が副反応生成物として含まれるが、分離精製しても完全に除去するのが困難であった。そのため、特に、電気・電子分野に用いる場合には、微量含まれる有機塩素化合物の存在が大きな問題になっていた。
【0003】
前記のような問題を回避するために、近年では、有機ハイドロパーオキサイドを用いるエポキシ化の方法により、エポキシ化合物の製造が行われている。
例えば、バナジウム、モリブテン、タングステン、チタン、ニオブ、ジルコニウム、テルル及びウランの各化合物の中から選ばれた触媒の存在下、有機ハイドロパーオキサイドとオレフィン系化合物とから相当するエポキシ化合物を製造する方法がある(米国特許第3350422号明細書)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述の金属触媒を用いた有機ハイドロパーオキサイドによるエポキシ化の方法は、エポキシ化の対象化合物がいずれも電子供与性置換基を有する不飽和化合物、例えば通常のオレフィン類などの場合のみに適用され得る。しかしながら、電子吸引性置換基を有する不飽和化合物に対する有機ハイドロパーオキサイドによるエポキシ化反応は、それに比べ著しく反応性が劣るため、反応速度及びエポキシ化合物の選択率が著しく低下する性質を有している。
例えば、アリルクロライド類、アリルエステル類、シアヌル酸又はイソシアヌル酸のアリルエステル類及びアリルエーテル類のような電子吸引性置換基を有する不飽和化合物は二重結合の反応性が著しく低下しているだけでなく、相当するエポキシ化合物の反応性も高くなって、副反応を起こし易いため、高選択率及び高収率で目的とするエポキシ化合物を得ることは非常に難しい。
本発明の目的は、アリル化合物を原料としてエポキシ化合物を高選択率及び高収率で製造できるエポキシ化触媒、及びその触媒を用いるエポキシ化合物の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明を以下に記す。
(1)担体がチタニアであり、前周期4、5、6族遷移金属酸化物の少なくとも1種以上を主触媒とし、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化ランタン、酸化セリウム又は酸化亜鉛である塩基性金属酸化物を助触媒として構成され、かつ、先ず担体であるチタニアに硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム、硝酸ランタン、硝酸セリウム、硝酸亜鉛、リチウムアセチルアセトネート、ナトリウムアセチルアセトネート、カリウムアセチルアセトネート、ベリリウムアセチルアセトネート、マグネシウムアセチルアセトネート、ストロンチウムアセチルアセトネート、バリウムアセチルアセトネート、ランタンアセチルアセトネート、セリウムアセチルアセトネート又は亜鉛アセチルアセトネートである塩基性金属又は塩基性金属化合物を担持した後に、前周期4、5、6族遷移金属又は前周期4、5、6族遷移金属化合物を担持し、加焼処理を行うことにより製造されるアリル化合物のエポキシ化触媒。
(2)塩基性金属酸化物が、酸化マグネシウムである前記(1)のアリル化合物のエポキシ化触媒。
【0006】
(3)前周期4、5、6族遷移金属酸化物が酸化モリブテンである、前記(1)〜(2)のいずれか1つのアリル化合物のエポキシ化触媒。
(4)アリル化合物と有機ハイドロパーオキサイドとを前記(1)〜(3)のいずれか1つのエポキシ化触媒存在下で反応させることを特徴とするエポキシ化合物の製造方法。
(5)有機ハイドロパーオキサイドが、t−ブチルハイドロパーオキサイドである前記(4)のエポキシ化合物の製造方法。
(6)アリル化合物が、アリルハライド、アリルエステル又はアリルエーテルである前記(4)又は(5)のエポキシ化合物の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のアリル化合物のエポキシ化触媒は、1種以上の前周期4、5、6族遷移金属酸化物を主触媒とし1種以上の塩基性金属酸化物を助触媒として構成され、かつ、先ず担体に塩基性金属又は塩基性金属化合物を担持した後に、前周期4、5、6族遷移金属又は前周期4、5、6族遷移金属化合物を担持し、加焼処理を行うことにより製造される触媒である。
【0008】
本発明において担体としては、反応により生成したエポキシ化合物への担体自身による影響を考慮すると、チタニアである。担体の表面積は0.5〜35m2/gが好ましい。0.5m2/g未満の場合はエポキシ化反応時に転化率が低下する。35m2/gを超えるとエポキシ化反応時の選択率低下が顕著になる。
【0009】
主触媒として担持される前周期4、5、6族遷移金属酸化物は、酸化チタン、酸化ジルコニア、酸化クロム、酸化バナジウム、酸化モリブテン、酸化タングステンが好ましいが、エポキシ化反応における選択率の面から、より好ましくは酸化モリブテンである。
主触媒の担持量は、担体に対して0.3〜20重量%が好ましい。担持量が20重量%を超えると生成エポキシ化物の収量への利点はほとんど認められない。また、0.3重量%未満の場合は生成するエポキシ化物の収量が低下する。
【0010】
助触媒として担持される塩基性金属酸化物は、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム等、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化亜鉛その他が使用できる。しかし本発明での使用に好ましい助触媒は酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムのアルカリ土類金属酸化物である。さらに好ましくは酸化マグネシウムである。助触媒の担持量は担体に対して1〜20重量%の範囲が好ましい。より好ましくは5〜15重量%である。1重量%未満の場合は、助触媒添加効果は認められず、20重量%以上の場合は生成するエポキシ化物の収量が低下する。
【0011】
本発明の触媒は、無機化合物からなる担体に、先ず、助触媒の塩基性金属成分又はこれを含む塩基性金属化合物を担持した後に、主触媒の前周期4、5、6族金属成分又はこれを含む前周期4、5、6族金属化合物を担持し、空気中又は酸素雰囲気下で加焼処理することにより製造される触媒である。主触媒の金属成分又はこれを含む金属化合物と、助触媒の金属成分又はこれを含む金属化合物を担体に同時に担持して製造した触媒を使用すると、助触媒の効果がほとんど認められず、エポキシ化物の収量が低下する。
【0012】
触媒の担持には通常の含浸法を用いて調整するが、担体の種類によってはイオン交換法等も用いてもかまわない。含浸法による具体的な触媒製造方法の例としては、まず、助触媒の出発原料を含浸溶媒に溶かし担体をこれに浸漬し、蒸発乾固させ、助触媒の中間体を担体上に乾固する。80〜100℃で12〜24時間の乾燥処理を行った後、主触媒の出発原料である4、5、6族遷移金属化合物を溶かした溶液に、先の助触媒の中間体を担持した担体を浸漬し、蒸発乾固させることで、さらに主触媒の中間体をも乾固する。80〜100℃で12〜24時間の乾燥処理を行った後、空気中又は酸素雰囲気下、500〜1000℃で、1〜3時間の加焼処理を行うことで、担持した助触媒及び主触媒の中間体が酸化物となりエポキシ化触媒が得られる。
【0013】
含浸溶媒としては、触媒の原料である金属塩を溶解させうる任意の溶剤を使用できる。一般に、水溶液が好ましいが有機溶媒例えばアルコールなども使用できる。
主触媒の出発原料となる前周期4、5、6族金属化合物としては、一般に、硝酸チタン、硝酸ジルコニウム、硝酸クロムなどの硝酸塩、クロム酸アンモニウム、バナジン酸アンモニウム、モリブテン酸アンモニウム、タングステン酸アンモニウムなどのアンモニウム塩など水溶性金属塩が挙げられるが、含浸溶媒として有機溶媒を用いる場合は、酸化チタンアセチルアセトネート、ジルコニウムアセチルアセトネート、クロムアセチルアセトネート、酸化バナジウムアセチルアセトネート、酸化モリブテンアセチルアセトネートなどのアセチルアセトネート塩などが挙げられる。
【0014】
助触媒の出発原料となる塩基性金属化合物としては、一般に、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム、硝酸ランタン、硝酸セリウム、硝酸亜鉛の硝酸塩など水溶性金属塩が挙げられるが、含浸溶媒として有機溶媒を用いる場合は、リチウムアセチルアセトネート、ナトリウムアセチルアセトネート、カリウムアセチルアセトネート、ベリリウムアセチルアセトネート、マグネシウムアセチルアセトネート、ストロンチウムアセチルアセトネート、バリウムアセチルアセトネート、ランタンアセチルアセトネート、セリウムアセチルアセトネート、亜鉛アセチルアセトネートなどのアセチルアセトネート塩などが挙げられる。
【0015】
本発明において、前述のエポキシ化触媒存在下に、アリル化合物と有機ハイドロパーオキサイドとを反応させることによりエポキシ化合物を製造できる。
本発明に用いられるアリル化合物は、通常のオレフィン類に加え、ハロゲン基、アルコキシ基、カルボキシル基、シアヌル酸基、イソシアヌル酸基などの電子吸引性置換基を有する不飽和化合物である。
具体的には、プロピレン、ブテンなどのオレフィン;アリルクロライド、アリルブロマイドなどのアリルハライド;アリルエチルエーテル、アリルプロピルエーテル、アリルブチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、アリルフェニルエーテル、ジアリルエーテル、ジエチレングリコールビスアリルエーテルなどのアリルエーテル;アリルアセテート、アリルブチラート、アリルヘキサノエート、アリルカプロエート、アリルクロルアセテート、アリルメタクリレート、ジアリルマレート、ジアリルスクシネート、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルトリメレテート、1,3,5−トリアリルベンゼンカルボン酸などのカルボン酸のアリルエステル;トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートなどのシアヌル酸又はイソシアヌル酸のアリルエステル;アリルメチルカーボネート、ジアリルカーボネートなどのアリルカーボネートなどが挙げられる。オレフィンを除き、これらの電子吸引性置換基を有する不飽和化合物は、不飽和基についてエポキシ化の反応性は低下しており、一方で生成するエポキシ化合物は反応性が比較的高くなるので副反応を起こし易い。
【0016】
本発明によって製造されるエポキシ化合物とは、オレフィンのエポキシ化合物に加え、ハロゲン原子、アルコキシ基、カルボキシル基、シアヌル酸基、イソシアヌル酸基などの電子吸引性置換基を有するエポキシ化合物である。
具体的には、プロピレンオキサイド、ブテンオキサイドなどのオレフィンのエポキシ化合物;エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンなどのハロゲン化ヒドリン類;グリシジルエチルエーテル、グリシジルプロピルエーテル、グリシジルブチルエーテル、ジグリシジルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、ジエチレングリコールビスグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル類;グリシジルアセテート、グリシジルブチラート、グリシジルヘキサノエート、グリシジルカプロエート、グリシジルクロルアセテート、グリシジルメタクリレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルテレフタレート、ジグリシジルイソフタレート、トリグリシジルトリメリテート、1,3,5−トリグリシジルベンゼンカルボン酸などのカルボン酸のグリシジルエステル;トリグリシジルシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレートなどのシアヌル酸又はイソシアヌル酸のグリシジルエステル類;グリシジルメチルカーボネート、ジグリシジルカーボネートなどのグリシジルカーボネート類などが挙げられる。
【0017】
本発明に用いられる有機ハイドロパーオキサイドは、R1OOHで表される化合物である。ここで、R1はアルキル基又はアラルキル基であり、炭素数1〜12、好ましくは2〜10である。
具体的には、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−アミルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、エチルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンモノハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンジハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。
これらの中で好ましい有機ハイドロパーオキサイドは、相当するアルコールの沸点が低く、エポキシ化反応後の分離精製が容易な点から、イソブタンの空気酸化反応生成物であるt―ブチルハイドロパーオキサイドである。
これらの有機ハイドロパーオキサイドは、オレフィン類又は第三級アルコール類の過酸化水素酸化、又は第二級水素及び第三級水素の少なくとも1種を有する炭化水素類の酸素酸化によって製造される。
【0018】
本発明において、有機ハイドロパーオキサイドには製造時に原料として用いられるオレフィン類、第三級アルコール類、炭化水素類及び有機ハイドロパーオキサイドから副生するアルコール類が含まれてもよい。例えば、t−ブタノール及びイソブタンを含むt−ブチルハイドロパーオキサイド、クミルアルコール及びクメンを含むクメンハイドロパーオキサイド、α−フェニルエチルアルコール及びエチルベンゼンを含むエチルベンゼンハイドロパーオキサイド等が利用できる。さらに、これを公知の濃縮方法や精製方法によって処理したものである高純度の有機ハイドロパーオキサイドであってもかまわない。
【0019】
アリル化合物の使用量は特に限定しないが、有機ハイドロパーオキサイドに対して通常0.8〜60モル倍量使用される。アリル化合物の使用量が、有機ハイドロパーオキサイドに対して0.8モル倍量未満の場合、エポキシ化合物の収率が著しく低くなる傾向がある。また、60モル倍量を超えて使用してもエポキシ化合物収率への影響はほとんど認められないが、未反応アリル化合物の回収のための経済性が損なわれる傾向にある。
【0020】
触媒の使用量は、アリル化合物と有機ハイドロパーオキサイドの仕込み比により異なるが、通常は有機ハイドロパーオキサイドに対して0.1〜70重量%である。0.1重量%未満では反応が遅くなるため、長時間反応させることと副反応が増え、エポキシ化合物の収率が下がり、そして70重量%を超えると副反応が増加し選択率が低下する傾向にある。
本発明において、エポキシ化の反応は無溶媒でも実施できるが、ベンゼン、クロロベンゼンのような芳香族炭化水素溶剤;オクタン、デカンのような脂肪族炭化水素溶剤;アルコール類、エーテル類のような不活性な公知の溶媒で希釈し実施することがより好ましい。
【0021】
また有機ハイドロパーオキサイドとして、t−ブチルハイドロパーオキサイドを用いた場合、エポキシ化反応により比較的沸点の低いt−ブタノールが副生する。この場合、反応液組成を単純化でき、留出除去の容易な点からt−ブタノールが好ましい希釈溶媒となる。
エポキシ化反応時の温度は、通常50〜120℃であり、より好ましくは80〜110℃である。50℃未満では反応速度が遅いため反応時間が長くなり、そして120℃を超えると有機ハイドロパーオキサイド自身の分解が生じ、また、エポキシ基の開環反応などの副反応によりエポキシ化合物の選択性が低下する傾向にある。
エポキシ化反応の時間については、有機ハイドロパーオキサイド及びアリル化合物の濃度、反応温度、担持触媒の使用量によって最適条件は変化するが、通常は0.5〜10時間、好ましくは2〜5時間である。
反応方法は、回分式の反応や、複数の反応釜を有する多段式の連続反応など任意の公知の形式によって行うことができる。
【0022】
このようにして得られた反応液には、エポキシ化合物及び未反応アリル化合物、使用した反応溶媒、未反応有機ハイドロパーオキサイド及び相当するアルコール、エポキシ化触媒として用いた担持触媒、並びに副反応生成物が含まれているが、蒸留などの公知の手法によって生成分離あるいは回収再利用することができる。
【0023】
本エポキシ化反応は、ハロゲンを用いないため、エネルギー消費量や廃棄物の少なく環境への不可の少ないプロセスである。さらに得られるエポキシ化合物は、塩素系溶剤の安定剤、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂の希釈剤、ポリエーテル及びグリコールなどの各種化学品の中間体として有用な化合物であり、特に、エポキシ化反応の際に有機塩素を含む副生成物が生成しないため、電気・電子分野用途に好ましい。
【0024】
【発明の効果】
本発明のエポキシ化触媒は、電子吸引性置換基を有する不飽和化合物であるアリル化合物と有機ハイドロパーオキサイドとの反応に用いられ、高選択率及び高収率で、エポキシ化合物を得ることができる。
本発明のエポキシ化合物の製造方法は、有機塩素化合物を含まず、高選択率及び高収率で、エポキシ化合物を製造することができる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を実施例、比較例及び参考例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例等に限定されるものではない。なお、例中、TBHPは、t−ブチルハイドロパーオキサイドの略記号である。
また、TBHPの転化率、エポキシ化合物の選択率及び収率は、内部標準物質を用いたガスクロマトグラフィー(以下GCと略記)法を使用し、下記の式に基づいて求めた。
【0026】
TBHP転化率(%)=(消費されたTBHPのモル数)÷(仕込みTBHPのモル数)×100…式(1)
【0027】
エポキシ化合物選択率(%)=(生成したエポキシ化合物のモル数)÷(消費されたTBHPのモル数)×100…式(2)
【0028】
エポキシ化合物収率(%)=(生成したエポキシ化合物のモル数)÷(仕込みのTBHPのモル数)×100…式(3)
【0029】
実施例1
触媒の調整とエポキシ化合物の製造
チタニア(高純度化学(株)製、比表面積23m2/g)10gを、チタニアに対する酸化マグネシウムの量が5重量%になるように調整した硝酸マグネシウム6水和物の水溶液200mlに浸漬させ、攪拌しながらエバポレーターを用いて蒸発乾固を行った。得られたマグネシウム担持チタニアは、空気中において80℃で24時間乾燥した。乾燥後のマグネシウム担持チタニアを、チタニアに対する酸化モリブテン量が5重量%になるように調整したモリブテン酸アンモニウム4水和物の水溶液200mlに含浸させ、同様に攪拌しながらエバポレーターを用いて蒸発乾固を行った後、空気中において80℃で24時間乾燥した。乾燥後、空気中において550℃で3時間焼成して触媒(MoO3−MgO/TiO2系; MoO3/TiO2:5重量%、MgO/TiO2:5重量%)を得た。
次に、得られた触媒1.0g(TBHPに対して66.5重量%)、アリルアセテート93.0g(0.9289モル、TBHPに対して55.6倍モル)及びTBHP/ベンゼン溶液(TBHP50重量%、ベンゼン50重量%)3.0gを攪拌装置を備えた500mlのステンレス製オートクレーブに秤りいれた。その後、当該オートクレーブを110℃のオイルバスに漬けて3時間かけてエポキシ化反応を行った後、冷却して反応を止めた。反応液のGC分析からもとめたTBHP転化率、グリシジルアセテート選択率、グリシジルアセテート収率を表1に示す。
【0030】
実施例2〜5
エポキシ化反応における反応時間を表1に示すとおりにした以外は実施例1と同様に触媒を調整し、アリルアセテートのエポキシ化反応を行った。その結果を表1に示す。
実施例6〜8
触媒調整時に、酸化マグネシウムの担持量を表1に示すとおりにした以外は実施例1と同様に触媒を調整し、アリルアセテートのエポキシ化反応を行った。その結果を表1に示す。
比較例1〜3
チタニアに対する酸化モリブテンの量が5重量%になるように調整したモリブテン酸アンモニウム4水和物の水溶液200mlに含浸させ、同様に攪拌しながら95℃で過熱による蒸発乾固を行った後、空気中において80℃で24時間乾燥した。乾燥後、空気中において550℃で3時間焼成して触媒(MoO3/TiO2系触媒:5重量%)を得た。
次に、得られた触媒1.0g(TBHPに対して66 .5重量%)を用い、エポキシ化反応における反応時間を表2に示すとおりにした以外は実施例1と同様にアリルアセテートのエポキシ化反応を行った。その結果を表2に示す。
【0031】
比較例4
チタニアに対する酸化モリブテンの量が5重量%、酸化マグネシウムの量が5重量%になるように調整したモリブテン酸アンモニウム4水和物と硝酸マグネシウム6水和物を同時に溶かした水溶液200mlに含浸させ、同様に攪拌しながら95℃で過熱による蒸発乾固を行った後、空気中において80℃で24時間乾燥した。乾燥後、空気中において550℃で3時間焼成して触媒(MoO3−MgO混合/TiO2系触媒;MoO3/TiO2:5重量%、MgO/TiO2:5重量%)を得た。
次に、得られた触媒1.0g(TBHPに対して66.5重量%)、アリルアセテート93.0g(0.9289モル、TBHPに対して55.6倍モル)及びTBHP/ベンゼン溶液(TBHP50重量%、ベンゼン50重量%)3.0gを攪拌装置を備えた500mlのステンレス製オートクレーブに秤いれた。その後、当該オートクレーブを110℃のオイルバスに漬けて3時間かけてエポキシ化反応を行った後、冷却して反応を止めた。反応液のGC分析からもとめたTBHP転化率、グリシジルアセテート選択率、グリシジルアセテート収率を表2に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
*;MoO3とMgOを同時にTiO2に含浸し担持した触媒。
【0035】
本発明のエポキシ化触媒を用いると、電子吸引性置換基を有する不飽和化合物であるアリル化合物と有機ハイドロパーオキサイドとを反応原料として高選択率及び高収率で、エポキシ化合物を製造することができることがわかる
本発明において、主触媒と助触媒を同時に担持しても高選択率性及び高収率性の触媒を製造することはできず、主触媒のみを担持した触媒と同程度の触媒能を示すにとどまることがわかる(実施例1と比較例3、4との対比)。
Claims (6)
- 担体がチタニアであり、前周期4、5、6族遷移金属酸化物の少なくとも1種を主触媒とし、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化ランタン、酸化セリウム又は酸化亜鉛である塩基性金属酸化物を助触媒として構成され、かつ、先ず担体であるチタニアに硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム、硝酸ランタン、硝酸セリウム、硝酸亜鉛、リチウムアセチルアセトネート、ナトリウムアセチルアセトネート、カリウムアセチルアセトネート、ベリリウムアセチルアセトネート、マグネシウムアセチルアセトネート、ストロンチウムアセチルアセトネート、バリウムアセチルアセトネート、ランタンアセチルアセトネート、セリウムアセチルアセトネート又は亜鉛アセチルアセトネートである塩基性金属又は塩基性金属化合物を担持した後に、前周期4、5、6族遷移金属又は前周期4、5、6族遷移金属化合物を担持し、加焼処理を行うことにより製造されるアリル化合物のエポキシ化触媒。
- 塩基性金属酸化物が、酸化マグネシウムである請求項1に記載のアリル化合物のエポキシ化触媒。
- 前周期4、5、6族遷移金属酸化物が酸化モリブテンである請求項1又は2に記載のアリル化合物のエポキシ化触媒。
- アリル化合物と有機ハイドロパーオキサイドとを請求項1〜3のいずれか1項に記載のエポキシ化触媒存在下で反応させることを特徴とするエポキシ化合物の製造方法。
- 有機ハイドロパーオキサイドが、t−ブチルハイドロパーオキサイドである請求項4に記載のエポキシ化合物の製造方法。
- アリル化合物が、アリルハライド、アリルエステル又はアリルエーテルである請求項4又は5に記載のエポキシ化合物の製造方法。
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