JP4186399B2 - ヒートポンプ式空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷暖房用空調装置の除霜運転に係わり、特にホットガスバイパス除霜方式を用いて室内等に温風を吹き出しながら除霜を行なう、過冷却熱交換器付きのヒートポンプ式空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空調装置の従来の除霜方法として、特公平7−99297号公報にも記載されているようなホットガスバイパス除霜方式があり、暖房運転モードのまま圧縮機で発生した高温冷媒の一部を室外用熱交換器に供給して、除霜を行なう方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術は、除霜に対して充分な熱量を供給するため、霜を溶かすために必要な潜熱以外にも顕熱として外気へ熱を放出して熱損失が大きい。
【0004】
近年、冷房時の冷凍サイクルを高効率とするために過冷却熱交換器を用い、この過冷却熱交換器を室外用熱交換器と一体構造とし、過冷却効率を上げるために冷却風の上流側に配置される。
【0005】
着霜が問題となる暖房時には、通常この過冷却熱交換器には冷媒は流れないが、一体となった室外用熱交換器に低温冷媒が流れて熱伝導で冷却されるため、実際には最も風上となる過冷却熱交換器部分の外表面から着霜が進行することとなる。
【0006】
これに対して、上記従来の除霜技術では室外用熱交換器に高温冷媒を供給するため、目的である過冷却熱交換器の外表面の霜を溶かすのに時間が掛かるという問題がある。この間、暖房運転モードのままとはいえ、冷媒の一部をバイパスさせることによる能力低下はあるため、除霜に長時間掛ると室内の快適性を損ねることにもなり兼ねない。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて成されたものであり、暖房運転を継続しながら過冷却熱交換器の除霜を効率的に行なえるヒートポンプ式空調装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、過冷却熱交換器(9)と並列接続され、暖房時の冷媒をレシーバ(5)に導く第1のバイパス回路(30)と、第1のバイパス回路(30)とレシーバ(5)との接続部と、過冷却熱交換器(9)との間に設けられ過冷却熱交換器(9)側へ通じる逆止弁(10)と、
圧縮機(1)の吐出側配管(1a)から分岐して、過冷却熱交換器(9)と逆止弁(10)との間の管路に接続した第2のバイパス回路(20)と、第2のバイパス回路(20)の流通を制御する制御弁(21)とを設け、制御手段(40)は、除霜運転中、制御弁(21)を開弁し、暖房運転を継続しながら第2のバイパス回路(20)より過冷却熱交換器(9)を通した冷媒と室内熱交換器(3)を通した冷媒とを合流させて、第1のバイパス回路(30)へ供給するようにしたことを特徴とする。
【0009】
これにより、除霜運転となっても暖房運転は継続したまま、圧縮機で発生した高温冷媒の一部は第2のバイパス回路から過冷却熱交換器に供給されるため、過冷却熱交換器の外表面に付いた霜を短時間で溶かすことができる。
【0010】
また、過冷却熱交換器を出た冷媒は、室内用熱交換器を出た冷媒と合流して室外用熱交換器を流れ、この時に過冷却熱交換器で霜を溶かした潜熱以外に顕熱として外気へ放熱した分は、風下に一体で配置された室外用熱交換器で再吸熱されるため、無駄に外気へ放熱することなく、効率よく過冷却熱交換器の除霜が行なえる。
【0011】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を、図面に基づき説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態における冷凍サイクルの構成図である。圧縮機1、四方弁2、室内熱交換器3、室内機用膨張弁4、レシーバ5、室外機用膨張弁6、室外熱交換器7、アキュームレータ8を図示の如く配管接続し、周知のヒートポンプ式の冷媒回路が形成されている。
【0014】
また、冷房時の冷凍サイクルを高効率とするための過冷却熱交換器9部分が室外熱交換器7と一体構造で形成されており、冷媒回路では室内機用膨張弁4とレシーバ5との間に接続されている。
【0015】
室内熱交換器3と室外熱交換器7には図示しないモータを連結したファンが取付けられており、先の過冷却熱交換器9部分は冷房時の過冷却効率を上げるため、一体となった室外熱交換器7の部分よりも冷却風上流側に配置されている。
【0016】
また、室内機用膨張弁4と過冷却熱交換器9との間の管路から第1のバイパス回路30が分岐され、他端は過冷却熱交換器9とレシーバ5との間の管路に接続(A部)されており、レシーバ5側に通じる逆止弁31を介在している。接続部Aと過冷却熱交換器9との間の管路には、過冷却熱交換器9側に通じる逆止弁10を介在している。
【0017】
これらバイパス回路30と逆止弁10、31との組み合わせにより、冷房運転時だけ過冷却熱交換器9に冷媒を流し、暖房運転時には第1のバイパス回路30を用いて過冷却熱交換器9をバイパスして冷媒を流すようになっている。
【0018】
また、圧縮機1の吐出管1aからホットガスバイパス回路としての第2のバイパス回路20が分岐され、吐出ガスの流通を制御する制御弁21を介在し、他端は過冷却熱交換器9と逆止弁10との間の管路に接続(B部)されている。
【0019】
室外熱交換器7の暖房時下流には流出冷媒温度を検出するセンサ22が設けられ、逆止弁31の下流にはホットガスバイパス時に過冷却熱交換器9からの流出冷媒温度を検出するセンサ32が設けられている。
【0020】
そして、上記ヒートポンプ式空調装置は、電子回路等からなる制御手段である制御装置40を有し、この制御装置40は、図示しない室内に設けられたコントローラ、図示しない外気温センサ、上記冷媒温度センサ22、32等からの情報を入力し、室内機および室外機を作動制御するようになっている。
【0021】
次に、上記ヒートポンプ式冷凍サイクルの各運転時の作動につき説明する。
【0022】
制御装置40は、ヒートポンプ式空調装置に電力供給されている時には、図示しないコントローラからの情報に基づいて、暖房運転時の制御処理、又は冷房運転時の制御処理のいずれかを実行する。
【0023】
まず、冷房運転時の作動について説明する。例えば外気温が低い時、図示しないコントローラの暖房スイッチがONされ、ON信号が制御装置40に入力されると、制御装置40は暖房運転時の制御処理を実行する。
【0024】
制御装置40は四方弁2を破線表示に切り換えることにより、冷媒は圧縮機1−四方弁2−室外熱交換器7−室外機用膨張弁6(解放)−レシーバ5−逆止弁10−過冷却熱交換器9−室外機用膨張弁4−室内熱交換器3−四方弁2−アキュームレータ8−圧縮機1と流れ、室外熱交換器7が凝縮器に、室内熱交換器3が蒸発器となり室内熱交換器3で循環空気を冷却し冷房の用に供する。
【0025】
次に、暖房運転時の作動について説明する。例えば外気温が高い時、図示しないコントローラの暖房スイッチがONされ、ON信号が制御装置40に入力されると、制御装置40は暖房運転時の制御処理を実行する。
【0026】
制御装置40は四方弁2を実線表示のように切り換えることにより、冷媒は圧縮機1−四方弁2−室内熱交換器3−室内機用膨張弁4(解放)−逆止弁31を含む第1のバイパス回路30−レシーバ5−室外機用膨張弁6−室外熱交換器7−四方弁2−アキュームレータ8−圧縮機1と流れ、室内熱交換器3が凝縮器として作用し、循環空気に放熱し、この空気を加熱し暖房の用に供する。
【0027】
冷媒自身は、室内熱交換器3での熱交換により冷却され凝縮し高圧の液状冷媒となり、次いで膨張弁4に流入する。膨張弁4を通過した高圧の液状冷媒はレシーバ5から室外機用膨張弁6に流入する。この膨張弁6で減圧され低圧化した液状冷媒が室外熱交換器7に流入し、室外熱交換器7が蒸発器として作用する。
【0028】
この熱交換器7を流通する外気の熱で蒸発し低圧のガス冷媒となり、四方弁2からアキュームレータ8を経て圧縮機1に戻る。この暖房運転時には制御弁21は閉弁し、第2のバイパス回路20を閉路している。
【0029】
外気温が低く湿度が高い場合に暖房運転を続けていて、室外熱交換器7の蒸発温度が0゜以下になると該熱交換器7は着霜が生じる条件となる。実際には過冷却熱交換器9が室外熱交換器7と一体構造となっており、過冷却効率を上げるために過冷却熱交換器9が冷却風の上流側に配置される。
【0030】
そのため、暖房時には過冷却熱交換器9には冷媒は流れないが、一体となった室外用熱交換器7に低温冷媒が流れて熱伝導で冷却されるため、最も風上となる過冷却熱交換器9部分の外表面から着霜が進行することとなる。
【0031】
着霜状態が進行すると、過冷却熱交換器9部分の通風量は低下し、増々霜量が増加し、その結果、暖房能力が低下し、室内温度が低下して、快適性が損なわれる。その為、適当な時期に霜量を溶かす除霜運転が必要となる。
【0032】
制御装置40は、暖房運転中の制御処理として、過冷却熱交換器9や室外熱交換器7を含む室外機の環境温度となる外気温度を図示しない外気温センサで検出し、設定温度より低くないかを判定し、設定温度より低い場合は除霜運転モードの制御処理を実行する。
【0033】
この除霜運転モードのフローを図2のフローチャートを用いて説明する。
【0034】
まず、ステップS1で、室外用熱交換器7から出てくる冷媒の温度を温度センサ22で検出して、この温度により除霜運転要否の判定を行なう。
【0035】
例えば、冷媒温度が0℃よりも高い状態であれば除霜運転は必要なしとするが、冷媒温度が0℃以下であることを検出する場合、過冷却熱交換器9や室外熱交換器7に霜が付く可能性があるとしてステップS2に進み除霜運転を行なう。具体的には、ステップS2で第2のバイパス回路20の制御弁21を開いて、過冷却熱交換器9に高温冷媒の一部を供給して暖める。
【0036】
次に、ステップS3で、過冷却熱交換器9から出てくる冷媒の温度を温度センサ31で検出して、この温度により除霜運転停止の判定を行なう。例えば、過冷却熱交換器9を通過した冷媒温度が10℃以上になるまで高温冷媒の供給を行い、10℃を超えたらステップS4に進み第2のバイパス回路20の制御弁21を閉じて、通常の運転状態に戻る。
【0037】
これらの作動は、室外の過冷却熱交換器9や室外熱交換器7に着霜する可能性のある暖房運転中に行なう。また、上記の除霜運転の要否の判定や停止の判定に用いた温度は、過冷却熱交換器9や室外熱交換器7の大きさ等により適時設定する。
【0038】
これにより、除霜運転となっても暖房運転は継続したまま、圧縮機1で発生した高温冷媒の一部は第2のバイパス回路20から過冷却熱交換器9に供給されるため、過冷却熱交換器9の外表面に付いた霜を短時間で溶かすことができる。
【0039】
また、過冷却熱交換器9で霜を溶かした潜熱以外に顕熱として外気へ放熱した分は、風下に一体で配置された室外用熱交換器7で再吸熱されるため、無駄に外気へ放熱することなく、効率よく過冷却熱交換器9の除霜が行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における冷凍サイクルの構成図である。
【図2】徐霜運転モードの処理を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1 圧縮機
1a 吐出側配管
2 四方弁
3 室内熱交換器
4 室内機用膨張弁
5 レシーバ
1 室外機用膨張弁
2 室外熱交換器
9 過冷却熱交換器
10 逆止弁
20 第2のバイパス回路
21 制御弁
30 第1のバイパス回路
40 制御装置(制御手段)
Claims (1)
- 圧縮機(1)、四方弁(2)、室内熱交換器(3)、室内機用膨張弁(4)、過冷却熱交換器(9)、レシーバ(5)、室外機用膨張弁(6)、及び室外熱交換器(7)を順次配管接続して形成された冷凍サイクルと、この冷凍サイクルを制御する制御手段(40)とを備え、前記四方弁(2)を切り換えることによって暖房運転と冷房運転を切り換えるヒートポンプ式空調装置において、
前記過冷却熱交換器(9)と並列接続され、暖房時の冷媒を前記レシーバ(5)に導く第1のバイパス回路(30)と、
前記第1のバイパス回路(30)と前記レシーバ(5)との接続部と、前記過冷却熱交換器(9)との間に設けられ前記過冷却熱交換器(9)側へ通じる逆止弁(10)と、
前記圧縮機(1)の吐出側配管(1a)から分岐して、前記過冷却熱交換器(9)と前記逆止弁(10)との間の管路に接続した第2のバイパス回路(20)と、
前記第2のバイパス回路(20)の流通を制御する制御弁(21)とを設け、前記制御手段(40)は、除霜運転中、前記制御弁(21)を開弁し、暖房運転を継続しながら前記第2のバイパス回路(20)より前記過冷却熱交換器(9)を通した冷媒と前記室内熱交換器(3)を通した冷媒とを合流させて、前記第1のバイパス回路(30)へ供給するようにしたことを特徴とするヒートポンプ式空調装置。
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