JP4186020B2 - 生検針の支持装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、CTガイド下経皮針生検(病理組織学的診断のために、CTの画像を見ながら患者の皮膚面より生検針を刺し入れて、体内の病変部の組織の一部を採取する技術)において使用される生検針の支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CTガイド下経皮針生検においては、まず、CTにより患者の病変部を含む断層画像を撮影し、この画像によって病変位置を特定し、生検針の刺入位置、刺入方向、刺入深度を決定し、次いで、患者の皮膚面より生検針を刺し入れることにより、目的とする病変部の一部が採取される。この生検時の生検針の刺入方向を決定するための支持装置が特許文献1に記載されている。
【0003】
この生検針の支持装置(41)は、図4に示すように、患者の体表面(44)に固定することができ、患者の体表面(44)より少し離れた位置にCTで描出される平行線状の格子(42)を設け、これと体表面(44)の生検針刺入位置を結ぶことにより、生検針(43)の刺入方向を定めることができるものである。
【0004】
【特許文献1】
登録実用新案第3036970号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の生検針の支持装置では、刺入方向は、選択される格子によって決定されるので、格子の間隔が粗いと刺入方向を任意の値に設定することができないという問題があり、格子の間隔を密にすることは、製造上難しいばかりでなく、強度的にも問題があった。
【0006】
この発明の目的は、生検針の刺入方向を任意に設定することができ、しかも取扱いが簡単でコンパクトな生検針の支持装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明による生検針の支持装置は、CTガイド下経皮針生検における生検針を支持して位置決めを行う生検針の支持装置であって、リング状のベースと、ベース面に平行な軸回りに回転可能にベースに支持された半円状回転アームと、回転アームに設けられた周方向にのびる案内孔に周方向移動可能に取り付けられた針保持体とを備えており、針保持体は、外周に雄ねじ部が設けられた針挿通筒と、針挿通筒の上端部に設けられたフランジ部と、針挿通筒の雄ねじ部に下端側からねじ合わされている雌ねじ部材とを有しており、フランジ部が案内孔の縁部で受けられた状態で雌ねじ部材が締め付けられることによって、針保持体が案内孔の周方向所定位置に固定されていることを特徴とするものである。
【0008】
この発明の生検針の支持装置によると、リング状のベースを体表面に固定した後、回転アームを回転させながら、針保持体を案内孔に沿って移動させることにより、針保持体に保持された生検針の刺入方向を任意に設定することができる。
【0009】
針保持体は、外周に雄ねじ部が設けられた針挿通筒と、針挿通筒の上端部に設けられたフランジ部と、針挿通筒の雄ねじ部に下端側からねじ合わされている雌ねじ部材とを有しており、フランジ部が案内孔の縁部で受けられた状態で雌ねじ部材が締め付けられることによって、針保持体が案内孔の周方向所定位置に固定されていることにより、針保持体の案内孔方向の移動および固定を容易に行うことができる。
【0010】
針挿通筒は、上端部内周に設けられた雌ねじ部およびこの下端に連なる先細りのテーパ部を有しており、針保持体は、針挿通筒の雌ねじ部にねじ合わされている雄ねじ部材およびこの下端に設けられた縮径可能な針保持部を有しており、雄ねじ部材を締め付けることによって針保持部が針挿通筒のテーパ部内に押し込まれて生検針が針保持部に保持されることが好ましい。このようにすると、針保持体を回転アームに固定するためのねじと針を針保持体に保持させるためのねじとが同軸になり、針保持体したがって支持装置全体をコンパクトにすることができる。
【0011】
回転アームは、両端部に円柱状軸部を有し、ベースに、各軸部を回転可能に保持する略C字状の軸受部が設けられており、各軸受部は、弾性力を有しかつ摩擦力によって軸部を保持していることがある。このようにすると、回転アームを摩擦力に抗して移動させるだけで、任意の位置にこれを固定することができ、回転アームの移動および停止の操作を極めて容易に行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。以下の説明において、図1および図2の左右を左右といい、図1および図3の上下を上下というものとする。
【0013】
図1から図3までに示すように、この発明の生検針の支持装置(1)は、患者の体表面に固定される略円形のウレタンゴム製リング状ベース(2)と、ベース(2)面に平行な左右方向の軸の回りに回転可能にベース(2)に支持されたポリカーボネート製半円状回転アーム(3)と、回転アーム(3)に設けられた周方向にのびる案内孔(4)に周方向移動可能に取り付けられたポリカーボネート製針保持体(5)とを備えている。
【0014】
回転アーム(3)の両端部には、左右方向の軸を有する円柱状軸部(6)が設けられている。ベース(2)は、左右に若干長い外形を有し、その左右端部には、回転アーム(3)の軸部(6)を回転可能に支持する軸受部(7)が設けられている。これにより、回転アーム(3)は、その周方向がベース(2)を赤道とした球面の子午線となるように、ベース(2)に取り付けられている。
【0015】
軸受部(7)は、回転アーム(3)の軸部(6)の径よりもわずかに小さい内径を有する上向きに開口した略C字状に形成されている。したがって、軸受部(7)に軸部(6)が嵌め入れられた状態では、軸受部(7)は、径が小さくなる方向の弾性力を有しており、また、回転アーム(3)自体も弾性を有し、軸部(6)の周縁の垂直面が軸受部(7)の垂直側面に軸方向から当接することにより軸受部(7)に対して軸方向(左右方向)の弾性力を及ぼしていることから、これらの径方向および軸方向の弾性力と摩擦力とによって、回転アーム(3)を任意の位置で停止させることができる。回転アーム(3)は、各図に示した状態すなわち回転アーム(3)の頂部が球面の極に位置している状態から、左右方向の軸の回りに時計回りおよび反時計回りに約45°ずつ回転可能とされている。
【0016】
針保持体(5)は、外周に雄ねじ部(12)が設けられかつ上端部内周に雌ねじ部(13)が設けられている針挿通筒(11)と、針挿通筒(11)の上端部に設けられかつ回転アーム(3)の外周に沿う形状とされたフランジ部(14)と、針挿通筒(11)の雄ねじ部(12)に下端側からねじ合わされている雌ねじ部材(15)と、針挿通筒(11)の雌ねじ部(13)にねじ合わされている雄ねじ部材(16)と、雄ねじ部材(16)の下端部に設けられたテーパ状ですり割り付きの針保持部(17)と、雌ねじ部(13)の下端に連なる先細りのテーパ部(18)とを有している。
【0017】
生検針(N)の上端部を針保持部(17)内に挿入して、雄ねじ部材(16)を締め付けると、針保持部(17)が針挿通筒(11)のテーパ部(18)内に押し込まれ、これにより、針保持部(17)が縮径され、生検針(N)が針保持部(17)に保持される。針保持体(5)の軸方向したがって生検針(N)の方向は、回転アーム(3)の周方向に直交するようになされており、針保持体(5)は、この直交状態をほぼ保持したままで案内孔(4)に沿って移動させられる。
【0018】
針保持体(5)は、フランジ部(14)が回転アーム(3)の案内孔(4)の縁部で受けられた状態で雌ねじ部材(15)が締め付けられることによって、案内孔(4)の周方向所定位置に固定されている。回転アーム(3)の案内孔(4)は、回転アーム(3)の頂部を基準にして、左右各端部側に同じ長さだけ伸ばされており、その長さは、角度にして約45°とされている。したがって、針保持体(5)は、回転アーム(3)の周方向に沿って案内孔(4)の範囲内で左右に移動自在とされ、かつ、任意の位置で固定可能とされている。なお、図2に示すように、針保持体(5)の位置を角度で示す位置表示部(8)が回転アーム(3)の案内孔(4)の縁部に沿って設けられている。
【0019】
上記の生検針の支持装置(1)により生検針(N)の刺入方向を設定する際には、ベース(2)を体表面に固定した後、生検針(N)の方向を確認しながら、回転アーム(3)を回転させるとともに、針保持体(5)を案内孔(4)に沿って移動させればよい。回転アーム(3)の軸部(6)とベース(2)の軸受部(7)との間および針保持体(5)のフランジ部(14)と回転アーム(3)との間には、それぞれ摩擦力が作用しており、手を離すと、回転アーム(3)および針保持体(5)は、その位置で停止する。これらの摩擦力は小さいものであり、回転アーム(3)および針保持体(5)の移動の妨げになるものではなく、いずれも片手で容易に移動させることができる。そして、最終的には、回転アーム(3)が停止している状態で針保持体(5)の位置を微調整し、雌ねじ部材(15)を締め付けることにより、針保持体(5)が位置決めされ、針保持体(5)に保持された生検針(N)の刺入方向が簡単かつ適切に設定される。
【0020】
【発明の効果】
この発明の生検針の支持装置によると、リング状のベースを体表面に固定した後、回転アームを回転させながら、針保持体を案内孔に沿って移動させることより、生検針刺し入れ時の刺入方向を任意に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による生検針の支持装置の実施形態を示す一部を切り欠いた正面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】図2のIII-III線に沿う断面図である。
【図4】従来の生検針の支持装置の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
(1) 生検針の支持装置
(2) ベース
(3) 回転アーム
(4) 案内孔
(5) 針保持体
(6) 軸部
(7) 軸受部
(11) 針挿通筒
(12) 雄ねじ部
(13) 雌ねじ部
(14) フランジ部
(15) 雌ねじ部材
(16) 雄ねじ部材
(17) 針保持部
(18) テーパ部

Claims (3)

  1. CTガイド下経皮針生検における生検針を支持して位置決めを行う生検針の支持装置であって、リング状のベースと、ベース面に平行な軸回りに回転可能にベースに支持された半円状回転アームと、回転アームに設けられた周方向にのびる案内孔に周方向移動可能に取り付けられた針保持体とを備えており、針保持体は、外周に雄ねじ部が設けられた針挿通筒と、針挿通筒の上端部に設けられたフランジ部と、針挿通筒の雄ねじ部に下端側からねじ合わされている雌ねじ部材とを有しており、フランジ部が案内孔の縁部で受けられた状態で雌ねじ部材が締め付けられることによって、針保持体が案内孔の周方向所定位置に固定されていることを特徴とする生検針の支持装置。
  2. 針挿通筒は、上端部内周に設けられた雌ねじ部およびこの下端に連なる先細りのテーパ部を有しており、針保持体は、針挿通筒の雌ねじ部にねじ合わされている雄ねじ部材およびこの下端に設けられた縮径可能な針保持部を有しており、雄ねじ部材を締め付けることによって針保持部が針挿通筒のテーパ部内に押し込まれて生検針が針保持部に保持されることを特徴とする請求項記載の生検針の支持装置。
  3. 回転アームは、両端部に円柱状軸部を有し、ベースに、各軸部を回転可能に保持する略C字状の軸受部が設けられており、各軸受部は、弾性力を有しかつ摩擦力によって軸部を保持していることを特徴とする請求項1または記載の生検針の支持装置。
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