JP4185631B2 - 半導体受光素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体受光素子の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体受光素子(以下、単に「受光素子」ともいう)は、pn接合・ショットキー接合などによる光起電力効果や、半導体結晶自体の光伝導効果などを利用し、受光対象光の受光を電気出力として取り出す半導体素子である。
【0003】
図6(a)に例示する受光素子は、pn接合によって光を検出するタイプの従来の素子であって、n型層21とp型層22とによってpn接合が形成され、p型層22の上面には入射側電極(p電極)32が設けられ、n型層21にはn電極31が設けられた構造となっている。321は入射側電極32の一部であってボンディングのための電極部分である。該受光素子に逆バイアス電圧を印加した状態で、受光対象光Lが入射側電極32を通過して受光層であるpn接合部分に達すると、光起電力効果によって両電極間に電流が生じる。この信号によって受光の事実を知ることができるのである。
【0004】
図6(a)のような受光素子において、受光対象光Lを受光層へ入射させるための入射側電極32の態様として、直線的な帯状の導体を、図6(b)に示すようなクシ状・ストライプ状や、図6(c)に示すような格子状に組み合わせたパターンとして形成する態様が知られている。このように入射側電極をクシ形電極、格子状電極とすることによって、受光対象光は、電極に遮られていない部分(図6中の33など)から素子内に入射できるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、本発明者等が、上記のクシ形電極、格子状電極のように直線的な帯状の導体を組み合わせたパターンとして構成された入射側電極について、受光対象光の入射の状態を研究したところ、このような態様の電極では、電極自体が偏光子や回折格子となり、入射光の偏光に関して電極面での反射率に異方性が生じていることがわかった。このような受光素子をレーザー光の受光に用いた場合、偏光に対して受光素子の角度を変える(光軸と直交する面内または光軸と平行な面内で受光素子を回転的に変位させる)と、前記電極の異方性のために角度によって受光感度に差が出てしまい問題となる。
【0006】
また、入射側電極の異方性によって、反射量の大きい偏光が生じ、これがレーザー装置への戻り光となると、その光がレーザー光と干渉を起こし、レーザー発振の不安定の原因となる。あるいは光学系への戻り光と本来のレーザー光とが干渉して縞状の強度分布を示した横モードになってしまう。
【0007】
本発明の課題は、上記問題を解決し、受光対象光の偏光に対する異方性が抑制された入射側電極を有する受光素子を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体受光素子は、次の特徴を有するものである。
(1)半導体結晶からなる受光層と、該受光層へ受光対象光が入射するための入射面に形成された入射側電極とを少なくとも有する半導体受光素子であって、該入射側電極には、受光対象光が素子内に入射し得るよう、ドット状の開口が複数集合した状態として設けられ、該開口が、受光対象光の偏光に対して異方性を実質的に生じさせない開口形状、および/または、受光対象光の偏光に対して異方性を実質的に生じさせない配置パターンとして、形成されたものであることを特徴とする半導体受光素子。
【0009】
(2)開口の形状が、円形状または楕円形状である上記(1)記載の半導体受光素子。
【0010】
(3)入射側電極が、透光性を有するものである上記(1)記載の半導体受光素子。
【0011】
(4)開口内に、入射側電極よりも透光性を有する電極が形成されている上記(1)記載の半導体受光素子。
【0012】
(5)当該半導体受光素子が、光検出のための構造として、pn接合部を有するものである上記(1)記載の半導体受光素子。
【0013】
(6)当該半導体受光素子が、光検出のための構造として、入射側電極とその直下の半導体結晶層とによるショットキー接合部を有するものであり、前記入射側電極直下の半導体結晶層が受光層である上記(1)記載の半導体受光素子。
【0014】
【作用】
受光によって発生したキャリアをより効率良く捕集するという点からは、入射側電極は、より細かい網目状に張りめぐらされた態様となるのが好ましい。即ち、開口に着目すれば、大きな開口を数個設けるような態様よりも、微小な開口を多数密集させて設ける態様が好ましいことになる。しかし、細かい網目状とした入射側電極が、入射光の波長のオーダーに近づくことで偏光子や回折格子となって問題となることは、上記課題の説明において本発明者等が指摘したとおりである。これに対して、開口に次のような形成条件を与えることによって、残された入射側電極が細かい網目状となっても、該入射側電極に発生する上記光学的な問題を抑制することができる。
【0015】
本発明による受光素子では、入射側電極にドット状の開口を複数集合した態様として設け、該開口を通して受光対象光が素子内に入射し得る構成とし、この開口を、少なくとも次の(A)、(B)の一方を満足するように形成する。これによって、偏光に対する入射側電極の異方性が抑制される。
(A)開口を、受光対象光の偏光に対して異方性を実質的に生じさせない開口形状にて形成する。この場合、開口領域と電極領域との境界線に着目しており、開口形状に条件を与えることで、電極部分が偏光子や回折格子となることを抑制するものである。
(B)開口を、受光対象光の偏光に対して異方性を実質的に生じさせない配置パターンにて形成する。この場合、開口形成によって残された電極の形成パターンや、開口間の電極幅などの電極寸法に着目しており、開口の配置に条件を与えることで、電極部分が偏光子や回折格子となることを抑制するものである。
【0016】
例えば、円形の開口のように、上記(A)を満足すれば、開口の形状に起因して、入射側電極全体としては偏光に対する異方性を示し難いものとなる。
また、上記(B)を満足すれば、たとえ正方形の開口のように、個々の開口の形状が、その形状に固有の偏光に対する異方性を生じるものであっても、開口同士が異方性を相殺するような配置パターンとされているために、入射側電極全体として偏光に対する異方性を示し難いものとなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の受光素子は、図1(a)に構造の一例を示すように、半導体結晶層からなり受光層2を含む積層体Sと、入射側電極P2とを少なくとも有するものである。同図に例示した受光素子は、pn接合によって光を検出するタイプの素子である。また、同図に例示した受光素子は、GaN系の半導体材料を用いた素子の例であって、GaN系結晶層からなる積層体Sが、サファイア基板B1上にバッファ層B2を介して形成されており、n型GaN系結晶層1、低バンドギャップのGaN系結晶層(受光層)2、p型GaN系結晶層3とによってダブルヘテロ接合構造が形成された構造となっている。層3、層2は一部を上方から除去されて、n型層1が部分的に露出しており、露出したn型層1の上面にはn電極P1が設けられている。同図の例では、層3の上面が入射面(即ち、受光対象光Lが受光層に向かって入射する、当該素子の結晶層の上面)であって、この面に入射側電極(p電極)P2が設けられた構造となっている。入射側電極P2の一部には、ボンディング用電極P21が形成されている。
【0018】
本発明の受光素子の最も重要な特徴は、入射側電極にある。図1(b)に示すように、入射側電極P2には、開口hが複数集合した態様として設けられ、該開口内には半導体結晶層が露出しており、受光対象光Lが素子内に入射し得る構造となっている。ここで、該開口は、上記(A)、(B)の条件のうちの少なくとも一方を満足するように形成されていることが重要である。
【0019】
入射側電極に設けられるドット状の開口は、面積や数に限定はないが、受光によって発生したキャリアをより効率良く捕集するという点から、入射側電極が細かい網目状に張りめぐらされた態様となるのが好ましい。従って、大きな開口を数個設けるような態様よりも、微小な開口を多数密集させて設ける態様が好ましい。このような点から、本発明でいうドット状とは、1つの開口の面積の点では、該面積が、10000μm2 程度以下のもの、好ましくは100μm2 以下のものを指す。個々の開口の面積の下限は、光の入射の妨げにならない程度以上、または製造技術上限界とされる程度以上の大きさであればよいが、実使用上また製造技術上の点からは0.01μm2 程度以上が適当である。
また、開口の形状の点では、図6(b)のクシ形電極の電極間部分にみられるような、長くて幅の狭い帯状の開口形状は、ドット状の概念には含まない。このような長くて幅の狭い帯状の開口形状の場合には、面積は前記条件を満たすとして、その寸法を「長さ」と「幅」で表すものとして、長さに対する幅の割合が33%程度以上となるような開口形状を、ドット状の概念に含める。
【0020】
また、上記範囲を越えるような長くて幅の狭い帯状の開口であっても、渦巻き状態や細密に蛇行した状態となって、前記ドット状の概念に含まれる形状の領域内に収まっているようなものは、ドット状の概念に含める。ドット状の開口が複数集合し、隣合った開口同士が互いに微小な部分で連通して1つになっているような態様は、実質的に、ドット状の開口が複数集合した状態とみなす。
【0021】
開口の面積の合計は、入射側電極の外周形状で定められる面積の、30%〜90%、特に50%〜80%が好ましく、面積の合計が、この範囲となるように開口の数を決定すればよい。開口の面積の合計が上記範囲を下回れば、入射する光の量が少な過ぎて好ましい感度が得られなくなる。逆に、開口の面積の合計が上記範囲を上回れば、電極の導体部分が細くなり過ぎて、発生した光起電流を好ましく集めらず、感度が低くなる。従って、開口の数は、複数であればよいが、これら開口の個々の面積に関する条件や開口の面積の合計に関する条件を満足し、感度が最良となるように開口数を確保すればよい。一例として、入射側電極に、直径2μmの円形の開口を設ける場合、開口数は1mm×1mm当たり5万個〜10万個程度となるよう決定することが好ましい。
【0022】
次に、開口が上記(A)の条件を満足する場合について説明する。この場合、個々の開口の形状自体を、受光対象光の偏光に対する異方性を実質的に生じさせない形状とする。そのような形状としては、図2(a)に示す円形、図2(b)に示す楕円形など、直線部分を含まない曲線だけで構成された形状が好ましく、特に円形は、異方性がより少なく好ましい形状である。また、正方形や長方形は辺の方向が2種類しかないために、偏光子や回折格子となり易い形状であり、整列配置させると格子状電極となるので、上記(A)の条件だけを満足する場合については、排除しなければならない。しかし、三角形、いびつな四角形やそれ以上の多角形や異形など、直線を含む形状でも辺の方向が3種類以上あるものは使用可能であり、特に、辺の方向の種類が多くなれば、円に近い作用が得られるので好ましい。
【0023】
開口の形状を円形とする場合、その直径は、上記開口面積の範囲とするのが好ましいが、実使用上では、直径0.1μm〜100μm程度が好ましい値である。各開口の形状や面積は、異方性が実質的に生じない形状であれば必ずしも全て同一である必要はない。例えば、開口の形状を円形とする場合でも、大小が入り混じった態様でもよく、また、円形、楕円形などの互いに異なる形状が、大小を含めてランダムに入り混じった態様でもよい。
【0024】
開口の形状が、円形のように、偏光に対して異方性を実質的に生じさせない形状であったとしても、例えば図1(b)のようなマトリクス状の配置パターンや、図2(a)、(b)のような最密状の配置パターンなどでは、配置パターンが微細で極めて規則正しいこと自体のために、残された電極パターンが回折格子として作用し全体として微小な異方性を示す可能性もある。そのような微小な異方性を問題とする場合には、図2(c)のように、楕円の長軸方向を交互に変える配置パターンや、さらには、規則性の無いランダムな配置パターンとするのがよい。このような配置のランダム性に上記の形状のランダム性を加え、配置パターン面でも形状面でも、異方性が生じるような規則性を一切排除した態様としてもよい。
【0025】
次に、開口が上記(B)の条件を満足する場合について説明する。この場合、個々の開口の形状が、正方形、長方形のように、受光対象光の偏光に対して異方性を生じさせる形状であっても、開口の配置の仕方によって、全体として、異方性が実質的に生じない配置パターンとする。例えば、正方形の開口であれば、従来の格子状電極に見られるような整列した配置とはせず、開口毎にランダムに向きを変え、各開口の辺の方向が全て異なるように配置する等である。加えて、各開口の位置もランダムにしてよい。この配置によって、個々の開口では、受光対象光の偏光に対して異方性が生じているが、開口同士が互いに異なる異方性を示すために、全体としては異方性が実質的に生じない。従って、上記(B)の条件を満足する場合には、開口形状は、正方形や長方形を含めて、あらゆる形状であってよい。
【0026】
当該受光素子の光検出のメカニズムに関する構造は、限定されず、pin構造を含むpn接合タイプ、入射側電極とその直下の半導体結晶層とによってショットキー接合を構成したタイプ、その他、入射側電極の特徴を有し本発明の目的を達成し得るものならば、どのような構造であってもよく、従来公知の構造を参照してもよい。
【0027】
光検出のメカニズムに関する構造が、pn接合やショットキー接合を用いるものである場合、空乏層が出来ている領域及びその近傍が、光起電流に係るキャリアを発生させる層、即ち、受光層となる。pin構造ではi層が、pn接合タイプでは接合界面に形成される空乏層が受光層である。またショットキー接合タイプでは半導体と入射側電極との界面の半導体側内部に形成される空乏層が受光層である。pin構造に於いてi層はそのバンドギャップがp、n層のバンドギャップ以下であることが望ましい。
【0028】
pn接合タイプの場合、その接合構造は、ダブルヘテロ接合、(シングルヘテロ接合、ホモ接合のいずれでもよい。積層構造中においては、n型層、p型層は上側に位置してもよい。
【0029】
受光素子の材料系、即ち、半導体結晶からなる積層構造を構成するのに用いられる半導体材料は、公知のものであってよく、例えば、AlGaAs、InGaAs、GaAs、GaP、GaAsPなどのGaAs系、GaP系や、ZnSe系、Si系、Ina Gab Alc N(0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1、a+b+c=1)で示されるGaN系などが挙げられる。これらの材料系のなかでも、GaN系は、上記ショットキー接合タイプの受光素子において、入射側電極の直下に形成される空乏層の厚みが他の材料系に比べて大きく取り難いという問題がある。そのため、他の材料系、他の受光メカニズムの素子に比べて、入射側電極の形成パターンを細かい網目状パターンとする必要がある。従って、GaN系の材料を用いたショットキー接合タイプの受光素子において、本発明の有用性は最も顕著となる。
【0030】
半導体結晶層を成長させる方法は、HVPE、MOCVD、MBE法などがよく、良好な結晶を得る点ではMOCVD、MBE法が好ましい。
【0031】
入射面を有する半導体結晶層(以下「入射側表面層」ともいう)の厚みは特に限定されないが、電極材拡散による素子寿命低下を起こさない程度がよく、膜形成に長時間を要しない点からも、0.1μm〜5μm程度の範囲が好ましい。
【0032】
また、入射側表面層の厚みは、その深層に受光層がある場合には、該受光層へ届く光の量を多くする点では薄い程良い。一方、ショットキー接合タイプなど、入射側表面層が受光層となるような場合には、該入射側表面層の厚みは、逆バイアス電圧をかけない状態での該入射側表面層に形成される空乏層の厚み以上の厚みとするのが好ましい。この場合の空乏層の厚みWは次式で表される。
W=(2εS /q・ND (Vbi−V))1/2
εS は半導体基板の誘電率、qは電気素量≒1.6×10-19 C、ND はキャリア濃度、Vbiは内部電位、Vはバイアス電圧である。
【0033】
例えば、GaN系受光素子で、ショットキー接合タイプのものを構成する場合、入射側表面層をGaN結晶層として、そのキャリア濃度を1×1017cm-3とし、入射側電極の材料をNiとすると、バイアス電圧V=0〔V〕のとき、W=0.13μmである。したがって無バイアスで使用する場合は、入射側表面層の厚みを0.13μm以上とするのがよい。また同条件でバイアスV=−5〔V〕で使用する場合は、W=0.26μmとなり、表面層厚みを0.26μm以上とするのがよい。
【0034】
入射側電極を、受光対象光に対して透光性を有するように形成し、該電極を通しても受光対象光を取り入れることができる態様としてもよい。
【0035】
また、図3に示すように、入射側電極P2を十分な導電性を有する電極とし、開口h内に露出した入射側表面層3上に、入射側電極P2よりも透光性を有する電極P22を加える態様としてもよい。具体的には、入射側電極P2を不透明な厚い電極とし、電極P22を薄い透明電極とする態様である。入射側電極P2と電極P22とは接続しておく。この態様により、開口内の直下で発生した電流を、透光性を有する電極P22で受けた後、速やかに入射側電極P2に集めることができ、応答速度、感度が向上する。
【0036】
【実施例】
実施例1
本実施例では、本発明による受光素子の一例として、pn接合タイプのGaN系受光素子を実際に製作し、評価した。素子構造は、図1に概略的に示すとおりである。
【0037】
図1に示すように、結晶基板B1としてはC面サファイア基板を用いた。まずこのサファイア基板をMOCVD装置内に配置し、水素雰囲気下で1100℃まで昇温し、サーマルエッチングを行った。その後窒素雰囲気に切り替え、温度を500℃まで下げ、原料ガスとしてトリメチルガリウム(以下TMG)、アンモニアを流し、GaN低温バッファー層B2を成長させた。
【0038】
続いて、温度を1000℃に昇温し、原料としてTMG、アンモニアを、ドーパントとしてシランを流し、厚さ3μmのn型GaN層1を成長させた。
次に、トリメチルインジュウム(TMI)、TMG、アンモニア、シランを流し、前記GaN層上に、In0.2 Ga0.8 N受光層2を成長させた。
次に、TMG、アンモニア、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を流し、p型GaN層を0.5μm形成した。その後雰囲気ガスを窒素に切り換え室温まで徐冷し、積層構造体を得た。
【0039】
得られた積層構造体に対して、ドライエッチングによりp型層3と受光層2の一部を除去し、n型層1を露出させ、n型オーミック電極P1を形成した。
【0040】
次に、入射側表面層上に、入射側電極P2としてオーミック電極を形成し、図1(b)に示すように、該電極P2に円形の開口hをマトリクス状の配置パターンとして形成した。開口の直径は、1μm、直交する行列の2方向の開口の各中心間ピッチは共に2μm、開口の総数は60000個とした。さらに、ボンディング用の電極部分P21を形成して、GaN系受光素子を得た。
【0041】
この受光素子を、ステム台にマウントし、波長360nm以下のレーザー光に対する感度測定を行ったところ、最大1A/Wのものが得られた。本実施例と同様の素子構造で、従来のクシ形電極を有するものと、感度を比較した結果、従来のものでは、レーザーの偏光方向とクシ形電極の長手方向の組み合わせによっては感度変化が見られ、また反射光との干渉によるレーザー光強度の変動が発生したが、本実施例による受光素子では素子の方向による感度変化も、レーザー光強度の変動も無かった。
【0042】
実施例2
本実施例では、本発明による受光素子の一例として、ショットキー接合タイプのGaN系受光素子を実際に製作し、評価した。素子構造は、図4に概略的に示すとおりであって、入射側電極P2をショットキー電極とし、該電極P2とこれに対向するオーミック電極P1とが、同じ入射側表面層4上に形成された構造である。
【0043】
C面サファイア基板B1、GaN低温バッファー層B2、n型GaN層1の成長は、実施例1と同様である。その上にTMG、アンモニア、ドーパントとしてのシランを流し、キャリヤ濃度2×1017cm-3のGaN層4を0.3μm成長させた。
【0044】
得られたサンプルの入射側表面層4上にn型オーミック電極P1を、図4(a)に示すように、L字状の領域に形成した。
次に入射側表面層4上の残された領域に、ショットキー電極P2を形成し、該電極に円形の開口hをマトリクス状の配置パターンとして形成した。開口の直径、直交する行列の2方向の開口の各中心間ピッチは、上記実施例1と同様である。開口の総数は60000個とした。さらに、ボンディング用の電極部分P21を形成して、ショットキータイプのGaN系受光素子を得た。
【0045】
この素子をステム台にマウントし、波長360nm以下のレーザー光に対する感度測定を行ったところ、最大10A/Wのものが得られた。また実施例1の素子と同様、素子の方向による感度変化も、レーザー光強度の変動も無かった。
【0046】
実施例3
本実施例では、ショットキー接合タイプの素子として、実施例2とは異なる構造のものを実際に製作し、評価した。素子構造は、図5に概略的に示すとおりであって、入射側電極P2をショットキー電極とし、該電極P2に対向するオーミック電極P1は、部分的に露出させたn型層1上に形成された構造である。
【0047】
C面サファイア基板B1、GaN低温バッファー層B2、n型GaN層1の成長は、実施例1と同様である。その上にTMG、アンモニア、ドーパントとしてのシランを流し、キャリヤ濃度1×1017cm-3のGaN層5を0.3μm成長させ、積層構造体を得た。
【0048】
得られた積層構造体に対して、ドライエッチングによりGaN層5をの一部を除去し、n型層1を露出させ、n型オーミック電極P1を形成した。
【0049】
次に、入射側表面層上に、入射側電極P2としてショットキー電極P2を形成し、図5(b)に示すように、該電極に円形の開口hをマトリクス状の配置パターンとして形成した。開口の使用は実施例1と同様である。さらに、ボンディング用の電極部分P21を形成して、ショットキータイプのGaN系受光素子を得た。
【0050】
この素子をステム台にマウントし、波長360nm以下のレーザー光に対する感度測定を行ったところ、10A/Wのものが得られた。また、実施例1の素子と同様、素子の方向による感度変化も、レーザー光強度の変動も無かった。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明の受光素子は、入射側電極の開口に係る特徴によって、受光対象光の偏光に対して異方性が抑制されている。これによって、本発明者等が問題とした、電極自体が偏光子や回折格子となって受光感度に差が出るという問題や、受光対象光の光源に逆上ってレーザー発振を不安定にさせるという問題を解消するものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の受光素子の一例を示す模式図である。図1(a)は素子を側方から見た図である。電極P1と電極P2との段差を理解し易いように、その向こう側に見える電極P2の部分を、外形線を本体部分から切り離して描いている。この描写法は図5、図6も同様である。図1(b)は、図1(a)の上面図である。
【図2】本発明における入射側電極の開口の例を示す図であって、入射側電極を部分的に取り出した図である。
【図3】本発明における入射側電極の他の態様を示す図である。
【図4】本発明の実施例2において製作した受光素子を示す模式図である。図4(a)は素子を側方から見た図であり、図4(b)は、図4(a)の上面図である。
【図5】本発明の実施例3において製作した受光素子を示す模式図である。図5(a)は素子を側方から見た図であり、図5(b)は、図5(a)の上面図である。
【図6】従来の受光素子の一例を示す模式図である。図6(a)は素子を側方から見た図である。図6(b)、(c)は、図6(a)の素子を上方から見た図であって、各々、従来の電極パターンを例示した図である。
【符号の説明】
1 n型層
2 受光層
h 開口
P2 入射側電極
L 受光対象光
Claims (6)
- 半導体結晶からなる受光層と、該受光層へ受光対象光が入射するための入射面に形成された入射側電極とを少なくとも有する半導体受光素子であって、該入射側電極には、受光対象光が素子内に入射し得るよう、ドット状の開口が複数集合した状態として設けられ、
該開口が、受光対象光の偏光に対して異方性を実質的に生じさせない開口形状、および/または、受光対象光の偏光に対して異方性を実質的に生じさせない配置パターンとして、形成されたものであることを特徴とする半導体受光素子。 - 開口の形状が、円形状または楕円形状である請求項1記載の半導体受光素子。
- 入射側電極が、透光性を有するものである請求項1記載の半導体受光素子。
- 開口内に、入射側電極よりも透光性を有する電極が形成されている請求項1記載の半導体受光素子。
- 当該半導体受光素子が、光検出のための構造として、pn接合部を有するものである請求項1記載の半導体受光素子。
- 当該半導体受光素子が、光検出のための構造として、入射側電極とその直下の半導体結晶層とによるショットキー接合部を有するものであり、前記入射側電極直下の半導体結晶層が受光層である請求項1記載の半導体受光素子。
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