JP4185475B2 - 自動車用ナックルおよびその製造方法 - Google Patents

自動車用ナックルおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4185475B2
JP4185475B2 JP2004183521A JP2004183521A JP4185475B2 JP 4185475 B2 JP4185475 B2 JP 4185475B2 JP 2004183521 A JP2004183521 A JP 2004183521A JP 2004183521 A JP2004183521 A JP 2004183521A JP 4185475 B2 JP4185475 B2 JP 4185475B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
knuckle
temperature
automobile
time
casting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2004183521A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006007802A (ja
Inventor
良昭 梅原
恵介 伴
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissin Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Nissin Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissin Kogyo Co Ltd filed Critical Nissin Kogyo Co Ltd
Priority to JP2004183521A priority Critical patent/JP4185475B2/ja
Publication of JP2006007802A publication Critical patent/JP2006007802A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4185475B2 publication Critical patent/JP4185475B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、自動車用ナックルおよびその製造方法に関する。
自動車用ナックルは、車輪を支持するベアリングとサスペンションとを連結する部品であり、適度な剛性と強度を兼ね備える必要がある。また、自動車用ナックルには、ベアリングを圧入などにより保持させるため、長期間の使用によるへたりにも耐えうる必要がある。
その一方で、近年の車両の高効率化の要請からは、自動車用ナックルも軽量化を求められ、一部の車種ではアルミニウム(またはその合金)を材料として用いたものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−090034号公報(段落0017)
しかしながら、これまで、自動車用ナックルにとっての必要な強度などの材料的要件は十分に検討されておらず、不必要にコストをかけたり、性能にばらつきを生じていたりしていた。
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、十分な性能を備えた自動車用ナックルおよびその製造方法を提供することを課題とする。
発明の自動車用ナックルは、鋳造により製造された、アルミニウムまたはその合金からなる自動車用ナックルであって、各構成部分において、DAS(Dendrite Arm Spacing)II値の平均が、10〜34μmであることが望ましい
このような微細組織の材料により自動車用ナックルを構成することで、強度と靱性を兼ね備え、より高い信頼性を備えることができる。
前記した自動車用ナックルは、前記各構成部分において、平均引張強さが260MPa以上であり、平均耐力が170MPa以上であり、かつ平均伸びが8%以上であることが望ましい。これまでの自動車用ナックルは、その一部において引張強さが260MPa、耐力が170MPa、または伸びが8%の特性を有するものは存在したが、構成部分のすべてにおいて平均してこれらの特性をすべて満たすものはなかった。本発明では、構成部分のすべての平均でこの特性を満足することにより、今までにない強度・信頼性を備えた自動車用ナックルとすることができる。
そして、前記した鋳造の方法としては、重力鋳造方法または低圧鋳造方法を用いるのが好ましい。特に、湯周りを良くするため、還元鋳造方法を用いるのが望ましい。
本発明の自動車用ナックルを鋳造により製造する方法は、自動車用ナックルを形成するキャビティに溶湯を注入し、前記キャビティに注入された溶湯を180〜2200℃/分で冷却することを特徴とする。
このように、急速冷却を行うことで、組織を微細化でき、自動車用ナックルに十分な性能を得ることができる。
前記課題を解決する本発明は、自動車用ナックルを鋳造により製造する自動車用ナックルの製造方法であって、前記自動車用ナックルを形成するナックル本体と、このナックル本体のうち車輪の支持部品を収容するベアリング支持部に連続するライザー部とをキャビティとして形成し、前記キャビティに溶湯を注入し、前記ナックル本体に相当する部分の平均凝固速度を、前記ライザー部の平均凝固速度より高くして、前記溶湯を冷却することを有することを特徴とする。
このように、ナックル本体の平均凝固速度をライザー部のそれより高くすることで、押湯を有効に作用させ、緻密な組織を得ることができる。
また、前記ナックル本体に相当する部分の平均凝固速度を180〜2200℃/分とし、前記ライザー部の平均凝固速度を180℃/分未満とするのが望ましい。
さらに、前記した溶湯として、アルミニウムまたはその合金を使用するのが望ましい。これにより、自動車用ナックルの軽量化を図ることができる。
特に、これらの鋳造方法は重力鋳造方法または低圧鋳造方法であるのが望ましく、その際、還元鋳造方法を用いるとなお望ましい。
本発明の自動車用ナックルによれば、必要十分な強度を確保でき、信頼性を向上することができる。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は、自動車用ナックルの外観斜視図である。
図1に示すように、実施形態に係る自動車用ナックル1は、車輪の支持部品であるボールベアリング8を圧入または締結などにより支持するベアリング支持部2と、自動車のサスペンションにそれぞれ締結される複数の取付ボス3と、ベアリング支持部2と取付ボス3とを連結する複数のナックルアーム4とを有して構成されている。ベアリング支持部2には、ボールベアリング8が嵌合される嵌合穴2aが形成されている。自動車用ナックル1は、好ましくはアルミニウムまたはその合金からなり、各構成部分において、平均引張強さが260MPa以上であり、平均耐力が170MPa以上であり、かつ平均伸びが8%以上である。ここでの平均とは、一つの自動車用ナックル1について、複数のナックルアーム4の部分や、ベアリング支持部2の部分から、複数の引張試験片を切り出して、この複数の引張試験片についてそれぞれ引張強さ、耐力、伸びを求め、算術平均をとったものである。
自動車用ナックル1をアルミニウムまたはその合金から製造したときには、望ましくはDASII値の平均が、10〜34μmである。この平均も、自動車用ナックル1の複数箇所の組織についてDASII値を測定し、それを算術平均して求めたものである。
このような材料特質を有する自動車用ナックル1は、今までにない耐久性、耐へたり性などを有する。特に、平均引張強さが260MPa以上であり、平均耐力が170MPa以上であることにより、良好な耐久性、耐へたり性を実現することができる。
また、平均伸びが8%以上であることにより、破壊時に十分にエネルギーを吸収して、衝撃吸収力を確保することができる。
また、DASII値が34μm以下であることにより、強度と靱性を兼ね備えた自動車用ナックル1とすることができる。
このような自動車用ナックル1は重力鋳造方法または低圧鋳造方法により製造するのが望ましい。特に、重力鋳造方法または低圧鋳造方法において、冷却速度を速く、かつ制御された冷却を行うことで、前記したような優れた特性の自動車用ナックル1を製造することができる。このような速い冷却速度を実現するため、湯周りを良好にすることができる還元鋳造方法を用いるのがさらに望ましい。
次に、自動車用ナックル1の製造方法について説明する。
図2は、本発明の自動車用ナックルを製造するための鋳型の模式断面図である。図2に示すように、鋳型10は、アルミニウム溶湯を用いて重力鋳造法により自動車用ナックル1を鋳造するための型である。鋳型10は、自動車用ナックル1の形状を象ったキャビティ11と、キャビティ11に通じるとともに鋳型10の上面10aに開口する湯口13とが形成されている。キャビティ11においては、溶湯が注湯されることにより鋳物製品12が形成される。鋳物製品12は、ベアリング支持部2に相当する部分(以下、単に「ベアリング支持部2」という。)、取付ボス3に相当する部分、ナックルアーム4に相当する部分(以下、単に「ナックルアーム4」という。)を有し、ベアリング支持部2を上側にした向きでキャビティ11が形成されている。キャビティ11の表面は、その全体、または部位毎に、所望の冷却速度にするため、適宜に選択された塗型が設けられている。
また、ベアリング支持部2の上には、当該位置に連続してライザー部15が上方に向けて設けられ、ライザー部15の上方には鋳型10の上面10aに押湯口15aが開口している。ライザー部15は、冷却速度(凝固速度)を遅くするため、適宜断熱塗型、断熱コーティング処理などがなされる。または、ライザー部15の型の部分を、断熱性の高いセラミックにより形成してもよい。鋳物製品12のベアリング支持部2の中には、前記した嵌合穴2aの下穴12aが形成される。
鋳型10には、所望の箇所に複数、本実施形態においては2箇所に冷却流路16,17が設けられている。冷却流路16,17には、冷却水供給系18で所定温度に冷却された冷却水などの冷却媒体が自動流量調節バルブ16a,17aを介して供給される。
冷却流路16,17は、鋳型10のキャビティ11のうち、冷却が必要とされる箇所を十分に冷却できるように配設されている。例えば、図2においては、ナックルアーム4の付近に冷却流路16が配設され、ライザー部15の付近に冷却流路17が配設されている。また、各冷却流路16,17に対応してキャビティ11の表面近くには、温度検出手段としての熱電対19,20がそれぞれ配置されている。
熱電対19,20の出力は、CPUとメモリを有する制御手段21により、例えば0.1秒ごとに検出される。制御手段21は、予め設定されてメモリに記憶させたプログラムに基づいて自動流量調節バルブ16a,17aを制御して、鋳型10に流通する冷却水の流量を調節することができる。
次に、図3を参照しながら鋳型10の温度制御方法について説明する。図3は、実施形態にかかる自動車用ナックルの鋳造における時間と温度の関係を示すグラフである。図3においては、熱電対19、20によって検出されたライザー部15およびナックルアーム4を規定するキャビティ面の温度であり、この検出温度に基づいて制御手段21によって自動流量調節バルブ16a,17aを制御することで、冷却流路16,17を流通する冷却水の流量を調節して得られたものである。図3のグラフのうち、実線は、熱電対19にについて設定したナックルアーム4の冷却曲線であり、破線は、熱電対20について設定したライザー部15の冷却曲線である。
ここでは、注湯開始時点Aから、次のサイクルの注湯開始時点Aまでの間を鋳造加工の1サイクルとしている。
制御手段21に記憶されたプログラムには、1サイクルの経過時間によって変化する制御目標値である設定温度が、鋳型10にテスト鋳造したときの実際の温度変化に基づいて設定されている。本実施形態における設定温度は、ライザー部15については、注湯開始時点Aから最高温度到達時点Bまでを一定値である設定温度32(温度T2)と、最高温度到達時点Bから湯口凝固時点C2(湯口及び押湯口が凝固する時点、温度T3が凝固点である)までの温度−時間目標特性31と、湯口凝固時点C2から次のサイクルの注湯開始時点Aまでの温度−時間目標特性30とを連続させた制御グラフからなり、制御手段21のメモリに記憶されている。
また、ナックルアーム4については、設定温度は、注湯開始時点Aから最高温度到達時点Bまでを一定値である設定温度32(温度T2)と、最高温度到達時点Bから凝固点(温度T3)以下の温度T4まで急速に下降し、ナックルアーム凝固時点C1までの温度−時間目標特性33と、ナックルアーム凝固時点C1から温度−時間目標特性30へ緩やかに下降するようにつながる温度−時間目標特性34と、温度−時間目標特性30とを連続させた制御グラフからなり、制御手段21のメモリに記憶されている。
すなわち、ナックルアーム4を含む自動車用ナックル1となる部分は、注湯後急速に冷却されるのに対し、ライザー部15は、凝固点(温度T3)まで緩やかに冷却されるように設定されている。
また、制御手段21に記憶されたプログラムは、メモリに記憶された設定温度に対して、熱電対19,20の検出温度(鋳型10の温度)が高ければ、自動流量調節バルブ16a,17aを開放して鋳型10に冷却水を流通させ、鋳型10の熱電対20の検出温度が低ければ、自動流量調節バルブ16a,17aを閉鎖して鋳型10への冷却水の流通を止めるようにプログラムされている。
制御手段21のプログラムに基づいて制御された鋳型10は、図3に示すように、注湯開始時点Aの温度T1から急激に上昇して最高温度到達時点B付近において設定温度32(温度T2)に基づいて制御される。そして、ライザー部15の温度は、その後、湯口凝固時点C2の温度T3に向けて緩やかに下降し、さらに設定温度32から連続する温度−時間目標特性31に基づいて制御される。そして、温度−時間目標特性31に連続して湯口凝固時点C2から次のサイクルの注湯開始時点Aの温度T1に向けて急速冷却する温度−時間目標特性30に基づいて制御される。
一方、ナックルアーム4の温度は、最高温度到達時点B付近から温度−時間目標特性33にしたがいナックルアーム凝固時点C1の温度T4に向けて急速に下降し、さらに温度T4から温度−時間目標特性34にしたがい、温度−時間目標特性30へ向けて緩やかに下降する。
なお、重力鋳造法において重要である注湯開始時点Aの温度T1は、各サイクルとも常に一定の最適注湯温度となるように制御されている。
本実施形態においては、最高温度到達時点Bからナックルアーム凝固時点C1までの温度−時間目標特性33を比較的緩やかな冷却特性としたい場合には、塗型の選択次第で冷却水を流通させないテスト鋳造の実測値とほとんど同じにできるため、B−C1間においては、冷却水を通水させずに所望の冷却速度を得ることができる。また、B−C1間の冷却速度を比較的急峻な冷却特性としたい場合には、塗型を設けないとともに、必要に応じ自動流量調節バルブ16aを開放して冷却水を冷却流路16に流通させることにより所望の冷却速度を得ることができる。
これに対し、ライザー部15の冷却速度は遅く、温度−時間目標特性31の冷却速度は、180℃/分以下に設定されている。ライザー部15の冷却速度は、より望ましくは100℃/分以下である。
さらに、制御手段21に記憶されたプログラムは、熱電対19,20によって検出された鋳型10の温度が設定温度に対して高すぎたり、低すぎたりしていないかを監視する温度監視領域が設定されている。
本実施形態の温度監視領域は、A−B間、B−C1間、B−C2間、C1−D間、C2−A間のそれぞれに対応して第1監視領域51、第2監視領域52、第3監視領域53、第4監視領域54、第5監視領域55に分割されている。
第1監視領域51においては、鋳型10の温度が急激に上昇することと、この領域においては、ほとんど冷却水を流通させる制御を行わないため、設定温度32(最高温度到達時点Bの温度T2)よりも少し高い温度を一定の上限温度51aとし、最適注湯開始温度である温度T1よりも少し低い温度を一定の下限温度51bとしている。
第2監視領域52においては、設定温度である温度−時間目標特性33にしたがって変化する上限温度−時間特性52aと下限温度−時間特性52bが設定されている。上限温度−時間特性52aと下限温度−時間特性52bは、温度−時間目標特性33に対して平行に設定されている。この第2監視領域52においては、温度−時間目標特性33が温度T4まで急速に冷却するように設定されているため、鋳型10の実際の温度にも比較的バラツキが大きくなる(つまり、温度−時間目標特性33に対する実際値との偏差が大きい)ので、上限温度−時間特性52aと下限温度−時間特性52bは、設定温度の温度−時間目標特性33を中心に対称で比較的広い幅の温度監視領域に設定されている。
第3監視領域53においては、設定温度である温度−時間目標特性31にしたがって変化する上限温度−時間特性53aと下限温度−時間特性53bが設定されている。上限温度−時間特性53aと下限温度−時間特性53bは、温度−時間目標特性31に対して平行に設定されている。この第3監視領域53においては、温度のバラツキが小さいため、上限温度−時間特性53aと下限温度−時間特性53bは、設定温度の温度−時間目標特性31を中心に対称で比較的狭い幅の温度監視領域に設定されている。
第4監視領域54においては、設定温度である温度−時間目標特性34にしたがって変化する上限温度−時間特性54aと下限温度−時間特性54bが設定されている。上限温度−時間特性54aと下限温度−時間特性54bは、温度−時間目標特性34に対して平行に設定されている。この第4監視領域54においては、温度のバラツキが小さいため、上限温度−時間特性54aと下限温度−時間特性54bは、設定温度の温度−時間目標特性34を中心に対称で比較的狭い幅の温度監視領域に設定されている。
第5監視領域55は、設定温度である温度−時間目標特性30にしたがって変化する上限温度−時間特性55aと下限温度−時間特性55bが設定されている。この第5監視領域55においては、温度−時間目標特性30がC2−A間で最適注湯開始温度である温度T1まで急速に冷却するように設定されているため、鋳型10の実際の温度にも比較的バラツキが大きくなる(つまり、温度−時間目標特性30に対する実際値との偏差が大きい)ので、上限温度−時間特性55aと下限温度−時間特性55bは、設定温度の温度−時間目標特性30を中心に対称で比較的広い幅の温度監視領域に設定されている。
このような監視領域51〜55の間で各部の温度が制御されることにより、鋳物製品12は、全体に安定した材質特性を有する品質となる。特に、ナックルアーム4を含む自動車用ナックル1となる部分とライザー部15とで、冷却速度(凝固速度)に差がありライザー部15の方が遅れて凝固するため、押湯を有効に作用させることができる。特に、鋳型10は、ベアリング支持部2を上側に向けたキャビティ11を形成し、そのベアリング支持部2の上に連続してライザー部15を設けたので、材料の収縮に伴いベアリング支持部2、ナックルアーム4を介し、比較的均等に自動車用ナックル1の全体へ押湯を送ることができ、品質が安定する。
以上のようにして鋳造された鋳物製品12は、図4(a)に示すように、製品部12Aとライザー部15とに切断され、図4(b)に示すように、嵌合穴2a、およびその他の部分を機械加工して自動車用ナックル1となる。
このようにして製造された自動車用ナックル1は、材料としてA356合金のアルミニウム合金を使用すると、凝固速度に応じ図5のような材料特性を有する。図5は、横軸に凝固速度をとり、これに対応させて、伸び、DASII値を横軸に示し、さらに縦軸に強度をとって引張強さと耐力をグラフで表示したものである。
図5に示すように、引張強さは、凝固速度が180℃/分以上の場合に十分な破壊時の強度を有し、耐力も凝固速度180℃/分以上の場合に、圧入部や締付け部において十分な強度を有する。
また、凝固速度が180℃/分以上の場合に、DASII値が32μmより小さくなり、微細組織により高い強度と靱性を得ることができる。
したがって、前記した製造方法により製造された本発明の自動車用ナックル1は、必要十分な強度を確保でき、車輪を支持するボールベアリング8(図1参照)を圧入しても十分な耐久性を得ることができる。また、伸びが8%以上あることから、破壊時には十分にエネルギーを吸収することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されず、適宜変更して実施することが可能である。
例えば、前記実施の形態では、冷却媒体を冷却水としたが、効率よく鋳型を温調できるものであれば一般的に用いられる各種温調流体を用いることができる。また、前記実施の形態では、自動流量調節バルブを開放、閉鎖していわばON−OFF制御によって冷却水を制御したが、自動流量調節バルブによって流量を複数段階で調節することにより、メモリに記憶されたプログラムに従いスムーズに温度制御することも可能である。
さらに、前記実施の形態では、説明の容易のため、2つの冷却流路と熱電対を用いた冷却回路であったが、冷却流路の数は特に限定されるものではない。
また、実施形態の製造方法においては、アルミニウム合金により自動車用ナックルを構成したが、必ずしもこれに限られず、アルミニウムや、鋼材を採用した場合にも、微細組織を有し、強度および靱性を備えた自動車用ナックルとすることもできる。
また、急速凝固による製造方法は、断熱塗型での水冷凝固コントロール、断熱塗型なしでの鋳造、金属コーティングなどによるシボ加工、還元鋳造法などを利用することができる。還元鋳造法は、キャビティ内に還元性ガス、例えば、アルミニウムより還元性が高いマグネシウムのガスを導入することにより、アルミニウムの表面の酸化を防止し、湯周りを向上させた鋳造方法である。還元鋳造方法の詳細については、例えば特許第3422969号公報に記載されている。
実施形態で説明した自動車用ナックルの製造方法にしたがって凝固コントロールしながら自動車用ナックルを鋳造し、各部の材料特性を測定した。
鋳造時には、ライザー部の凝固速度を90℃/分とし、その他のナックル本体の部分の凝固速度を300℃/分とした。鋳造に使用した材料は、アルミニウム合金であり、その組成は、A35Cであった。
この鋳造により、図6(a)に示すような形状の自動車用ナックルを得て、ナックルアームまたはベアリング支持部から試験片を切り出した(図6(a)に示した符号S1〜S7参照)。
1個の自動車用ナックルから、10個の試験片を得て、引張強さ、耐力、伸びを測定した。これらの測定結果をプロットしたのが図6(b)および図6(c)である。
図6(b)に示すように、すべての試験片において、引張強さが280MPa以上となり、伸びが8%以上となった。
また、図6(c)に示すように、すべての試験片において、耐力が170MPa以上となった。
自動車用ナックルの外観斜視図である。 本発明の自動車用ナックルを製造するための鋳型の模式断面図である。 実施形態にかかる自動車用ナックルの鋳造における時間と温度の関係を示すグラフである。 鋳物製品の後加工工程を示す図であり、(a)はライザー部の分割工程、(b)は機械加工工程を示す。 凝固速度と材料特性の関係を示すグラフである。 実施例を説明する図であり、(a)は試験片を切り出した位置を示す図、(b)は引張強度と伸びの関係を示す図、(c)は耐力と伸びの関係を示す図である。
符号の説明
1 自動車用ナックル
2 ベアリング支持部
3 取付ボス
4 ナックルアーム
8 ボールベアリング
10 鋳型
11 キャビティ
12 鋳物製品
15 ライザー部
16 冷却流路
17 冷却流路

Claims (6)

  1. 自動車用ナックルを鋳造により製造する自動車用ナックルの製造方法であって、
    前記自動車用ナックルを形成するナックル本体と、このナックル本体のうち車輪の支持部品を収容するベアリング支持部に連続するライザー部とをキャビティとして形成し、
    前記キャビティに溶湯を注入し、
    前記ナックル本体に相当する部分の平均凝固速度を、前記ライザー部の平均凝固速度より高くして、前記溶湯を冷却することを特徴とする自動車用ナックルの製造方法。
  2. 前記ナックル本体に相当する部分の平均凝固速度を180〜2200℃/分とし、前記ライザー部の平均凝固速度を180℃/分未満とすることを特徴とする請求項に記載の自動車用ナックルの製造方法。
  3. 前記溶湯として、アルミニウムまたはその合金を使用することを特徴とする請求項1または請求項に記載の自動車用ナックルの製造方法。
  4. 前記鋳造の方法は、重力鋳造方法または低圧鋳造方法であることを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の自動車用ナックルの製造方法。
  5. 前記鋳造の方法は、還元鋳造方法であることを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の自動車用ナックルの製造方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の自動車用ナックルの製造方法により製造された自動車用ナックルであって、
    前記ライザー部を切除してなることを特徴とする自動車用ナックル。
JP2004183521A 2004-06-22 2004-06-22 自動車用ナックルおよびその製造方法 Active JP4185475B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004183521A JP4185475B2 (ja) 2004-06-22 2004-06-22 自動車用ナックルおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004183521A JP4185475B2 (ja) 2004-06-22 2004-06-22 自動車用ナックルおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006007802A JP2006007802A (ja) 2006-01-12
JP4185475B2 true JP4185475B2 (ja) 2008-11-26

Family

ID=35775540

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004183521A Active JP4185475B2 (ja) 2004-06-22 2004-06-22 自動車用ナックルおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4185475B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102990040A (zh) * 2011-09-07 2013-03-27 利优比株式会社 转向节的倾动式重力铸造法

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4814677B2 (ja) 2006-03-31 2011-11-16 株式会社荏原製作所 基板保持装置および研磨装置
JP5175905B2 (ja) * 2010-08-31 2013-04-03 トヨタ自動車株式会社 軽合金の鋳造方法
JP2014042917A (ja) * 2012-08-24 2014-03-13 Showa Denko Kk 鋳物製品の製造方法
JP2014076450A (ja) * 2012-10-09 2014-05-01 Ryobi Ltd ナックル用重力鋳造装置及び重力鋳造法
CN113118417A (zh) * 2021-03-29 2021-07-16 中信戴卡股份有限公司 一种铸造铝合金轮毂的温控辅助系统
JP2023086220A (ja) * 2021-12-10 2023-06-22 本田金属技術株式会社 ナックル鋳物及びナックル

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102990040A (zh) * 2011-09-07 2013-03-27 利优比株式会社 转向节的倾动式重力铸造法
CN102990040B (zh) * 2011-09-07 2015-09-09 利优比株式会社 转向节的倾动式重力铸造法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006007802A (ja) 2006-01-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7100672B2 (en) Device for cooling die casting metallic pattern
JP4185475B2 (ja) 自動車用ナックルおよびその製造方法
JP2002205501A (ja) 車両用軽合金ホイール
JP2008525698A (ja) 埋め込まれた通路を有する部材、特にターボ機械の熱ガスコンポーネント
JP4518012B2 (ja) 金型の冷却構造および冷却方法
US4589930A (en) Casting metal mold and method of producing the same
US8985188B2 (en) Core pin for casting
CN202427895U (zh) 一种重力浇铸型腔模
JP5136176B2 (ja) アルミニウム合金成形品の製造方法およびその金型
US20080257517A1 (en) Mold assembly for use in a liquid metal cooled directional solidification furnace
JP2006051507A (ja) 自動車用ナックルおよびその製造方法
JPH11104799A (ja) 軽金属合金射出成形用金型構造及び該金属を用いた軽金属合金部品の成形方法
JP4273316B2 (ja) サスペンションメンバーおよびその製造方法
JP4273963B2 (ja) ダイカスト用金型およびダイカスト鋳造方法
JP2981957B2 (ja) 金型温度制御方法及び装置
JP2976788B2 (ja) ロードホイールにおける鍛造用ディスク素材の鋳造方法および鋳造装置
JP4521135B2 (ja) 自動車用ホイールの鋳造装置
JP2595329B2 (ja) 薄肉鋳造製サスペンション用ア―ムの製造法
JP2002192328A (ja) 球状黒鉛鋳鉄鋳物の製造方法
JP2799449B2 (ja) 車両用ホイールの鋳型構造
JP4091808B2 (ja) 車両用ホイール向け鋳造用金型
JP2989721B2 (ja) 冷却孔を有する鋳造品およびその鋳造方法
JPH08103859A (ja) 半溶融金属の成形方法
CN214640178U (zh) 一种轿车发动机支架压铸模具的冷却结构
JP2004090064A (ja) ダイカスト金型温度制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060718

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080415

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080530

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080826

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080905

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110912

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4185475

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120912

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130912

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250