JP4184731B2 - 位置検出器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検出物の位置の変化に応じて出力を変化させる位置検出器に関し、特に外乱に強い位置検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
図15は、特願2002−066597号にかかる位置検出器(900)を示す構成図である。
この位置検出器(900)は、変位検出部(A)と、パルス出力部(B)と、タイミング回路(C)と、電圧変換部(D)と、出力変換部(70)とから構成される。
【0003】
変位検出部(A)は、コイル(1)と、導電体(2)または磁性体(3)とから構成される。
導電体(2)または磁性体(3)は、被検出物の位置の変化に応じてコイル(1)との重合部の長さpが変化するようにコイル(1)に対して配置される。
【0004】
パルス出力部(B)は、コンデンサ(4)と、反転出力コンパレータ(5)と、抵抗(6)とから構成される。
コンデンサ(4)の一方の極は反転出力コンパレータ(5)の入力側に接続され、他方の極は0V(ボルト)またはグランドに接続される。抵抗(6)は、コイル(1)と直列に接続される。コイル(1)と抵抗(6)の直列接続回路の一端は、反転出力コンパレータ(5)の入力側に接続される。そして、反転出力コンパレータ(5)の出力側は、タイミング回路(C)の入力側に接続される。
【0005】
反転出力コンパレータ(5)は、入力電圧(S1)が低電圧から上昇するときは、上昇時しきい値(VthH)までは「H]を出力し、上昇時しきい値(VthH)より上がると「L」を出力する。また、入力電圧が高電圧側から下降するときは、下降時しきい値(VthL)までは「L」を出力し、下降時しきい値(VthL)より下がると「H」を出力する。
【0006】
タイミング回路(C)は、発振器(7)と、フリップフロップ(52)と、バッファ(8)とから構成される。発振器(7)は、例えば100kHz程度のデューティ比1:1程度の矩形波を出力する。
【0007】
タイミング回路(C)のバッファ(8)の出力は、コイル(1)と抵抗(6)の直列接続回路の他端に接続される。
【0008】
電圧変換部(D)は、発振器(7)が出力するクロック(a)が「H」のときは出力を「H」にセットすると共にコンパレータ(5)の出力電圧(S2)の立上りエッジで出力を「L」にリセットする、つまり、クロック(a)の立上りエッジからクロック(a)が「L」になった後のコンパレータ(5)の出力電圧(S2)の立上りエッジまでの時間幅(t)の矩形波(m)を出力するフリップフロップ(63)と、矩形波(m)の単位時間当たりの面積に比例した電圧を出力する平滑回路(60)とから構成される。この構成は、デューティ−電圧変換回路として働く。
【0009】
出力変換部(70)は、電圧変換部(D)の出力電圧に応じた電圧または電流を出力するか、又は、電圧変換部(D)の出力電圧が予め指定した閾値より高いか低いかを判定してスイッチ出力を発生させる。
【0010】
さて、変位検出部(A)において、被検出物の位置の変化に応じて、コイル(1)と導電体(2)または磁性体(3)との重合部の長さ(p)が変化すると、コイル(1)のインダクタンスが変化する。すると、コンデンサ(4)の充放電の時定数が変化し、クロック(a)の立上りエッジから電圧(S2)の立上りエッジまでの時間幅(t)が変化する。ところが、発振器(7)のクロック(a)で充電開始タイミングが規制されているため、周期(T)は一定のままである。従って、デューティ(1周期内の「H」の時間幅の割合)が変化する。このため、電圧変換部(D)の出力電圧が変化し、出力変換部(70)の出力が変化する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記位置検出器(900)では、反転出力コンパレータ(5)の出力信号がタイミング回路(C)を介してコイル(1)にフィードバックされている。
このため、コイル(1)に加わる温度変動やノイズなどにより反転出力コンパレータ(5)の出力信号が変化すると、動作が不安定になる問題点があった。すなわち、外乱に弱い問題点があった。
そこで、本発明の目的は、外乱に強い位置検出器を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
第1の観点では、本発明は、被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化するように配置されたコイル(1)および導電体(2)または磁性体(3)と、コイル(1)と直列接続された抵抗(6)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の一端側に設置された発振回路(7)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の他端側に設置され発振回路(7)によりコイル(1)および抵抗(6)を介して充放電されるコンデンサ(4)と、コンデンサ(4)の充電電圧(e)が上昇時閾値VthHより高くなった時に「L」を出力し下降時閾値VthL(<VthH)より低くなった時に「H」を出力する反転出力コンパレータ回路(5)と、発振回路(7)の出力と反転出力コンパレータ回路(5)の出力の論理積を出力するAND回路(10)とを具備したことを特徴とする位置検出器(100)を提供する。
上記第1の観点による位置検出器(100)では、反転出力コンパレータ回路(5)の出力がコイル(1)にフィードバックされていない。このため、コイル(1)に温度変動やノイズなどが加わっても動作が不安定にならず、外乱に強くなる。
なお、被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化すると、コイル(1)のインダクタンスが変化するため、コンデンサ(4)の充放電特性が変化し、反転出力コンパレータ回路(5)の出力が変化し、AND回路(10)の出力パルスの時間幅が変化する。よって、被検出物の位置の変化を検出することが出来る。
【0013】
第2の観点では、本発明は、被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化するように配置されたコイル(1)および導電体(2)または磁性体(3)と、コイル(1)と直列接続された抵抗(6)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の一端側に設置された発振回路(7)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の他端側に設置され発振回路(7)によりコイル(1)および抵抗(6)を介して充放電されるコンデンサ(4)と、コンデンサ(4)の充電電圧(e)が上昇時閾値VthHより高くなった時に「H」を出力し下降時閾値VthL(<VthH)より低くなった時に「L」を出力するコンパレータ回路(5,9)と、発振回路(7)の出力とコンパレータ回路(5,9)の出力の論理積を出力するAND回路(10)とを具備したことを特徴とする位置検出器(100’)を提供する。
上記第2の観点による位置検出器(100’)では、コンパレータ回路(5,9)の出力がコイル(1)にフィードバックされていない。このため、コイル(1)に温度変動やノイズなどが加わっても動作が不安定にならず、外乱に強くなる。
なお、被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化すると、コイル(1)のインダクタンスが変化するため、コンデンサ(4)の充放電特性が変化し、コンパレータ回路(5,9)の出力が変化し、AND回路(10)の出力パルスの時間幅が変化する。よって、被検出物の位置の変化を検出することが出来る。
【0014】
第3の観点では、本発明は、被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化するように配置されたコイル(1)および導電体(2)または磁性体(3)と、コイル(1)と直列接続された抵抗(6)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の一端側に設置された発振回路(7)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の他端側に設置され発振回路(7)によりコイル(1)および抵抗(6)を介して充放電されるコンデンサ(4)と、コンデンサ(4)の充電電圧(e)が上昇時閾値VthHより高くなった時に「L」を出力し下降時閾値VthL(<VthH)より低くなった時に「H」を出力する反転出力コンパレータ回路(5)と、発振回路(7)の出力と反転出力コンパレータ回路(5)の出力の排他的論理和を出力する排他的OR回路(11)とを具備したことを特徴とする位置検出器(300)を提供する。
上記第3の観点による位置検出器(300)では、反転出力コンパレータ回路(5)の出力がコイル(1)にフィードバックされていない。このため、コイル(1)に温度変動やノイズなどが加わっても動作が不安定にならず、外乱に強くなる。
なお、被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化すると、コイル(1)のインダクタンスが変化するため、コンデンサ(4)の充放電特性が変化し、反転出力コンパレータ回路(5)の出力が変化し、排他的OR回路(11)の出力パルスの時間幅が変化する。よって、被検出物の位置の変化を検出することが出来る。
【0015】
第4の観点では、本発明は、被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化するように配置されたコイル(1)および導電体(2)または磁性体(3)と、コイル(1)と直列接続された抵抗(6)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の一端側に設置された発振回路(7)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の他端側に設置され発振回路(7)によりコイル(1)および抵抗(6)を介して充放電されるコンデンサ(4)と、コンデンサ(4)の充電電圧(e)が上昇時閾値VthHより高くなった時に「H」を出力し下降時閾値VthL(<VthH)より低くなった時に「L」を出力するコンパレータ回路(5,9)と、発振回路(7)の出力とコンパレータ回路(5,9)の出力の排他的論理和を出力する排他的OR回路(11)とを具備したことを特徴とする位置検出器(300’)を提供する。
上記第4の観点による位置検出器(300’)では、コンパレータ回路(5,9)の出力がコイル(1)にフィードバックされていない。このため、コイル(1)に温度変動やノイズなどが加わっても動作が不安定にならず、外乱に強くなる。
なお、被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化すると、コイル(1)のインダクタンスが変化するため、コンデンサ(4)の充放電特性が変化し、コンパレータ回路(5,9)の出力が変化し、排他的OR回路(11)の出力パルスの時間幅が変化する。よって、被検出物の位置の変化を検出することが出来る。
【0016】
第5の観点では、本発明は、被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化するように配置されたコイル(1)および導電体(2)または磁性体(3)と、コイル(1)と直列接続された抵抗(6)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の一端側に設置された発振回路(7)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の他端側に設置され発振回路(7)によりコイル(1)および抵抗(6)を介して充放電されるコンデンサ(4)と、コンデンサ(4)の充電電圧(e)が上昇時閾値VthHより高くなった時に「L」を出力し下降時閾値VthL(<VthH)より低くなった時に「H」を出力する反転出力コンパレータ回路(5)と、反転出力コンパレータ回路(5)の出力を遅延させる遅延回路(41)と、発振回路(7)の出力と遅延回路(41)の出力の位相差を出力する位相差検出回路(42)と、位相差を「0」にするように遅延回路(41)の遅延量を制御する遅延量制御回路(43)とを具備したことを特徴とする位置検出器(500)を提供する。
上記第5の観点による位置検出器(500)では、反転出力コンパレータ回路(5)の出力がコイル(1)にフィードバックされていない。このため、コイル(1)に温度変動やノイズなどが加わっても動作が不安定にならず、外乱に強くなる。
なお、被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化すると、コイル(1)のインダクタンスが変化するため、コンデンサ(4)の充放電特性が変化し、反転出力コンパレータ回路(5)の出力が変化し、遅延量制御回路(43)が制御する遅延量が変化する。よって、被検出物の位置の変化を検出することが出来る。
【0017】
第6の観点では、本発明は、被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化するように配置されたコイル(1)および導電体(2)または磁性体(3)と、コイル(1)と直列接続された抵抗(6)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の一端側に設置された発振回路(7)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の他端側に設置され発振回路(7)によりコイル(1)および抵抗(6)を介して充放電されるコンデンサ(4)と、コンデンサ(4)の充電電圧(e)が上昇時閾値VthHより高くなった時に「H」を出力し下降時閾値VthL(<VthH)より低くなった時に「L」を出力するコンパレータ回路(5’)と、コンパレータ回路(5’)の出力を遅延させる遅延回路(41)と、発振回路(7)の出力と遅延回路(41)の出力の位相差を出力する位相差検出回路(42)と、位相差を「0」にするように遅延回路(41)の遅延量を制御する遅延量制御回路(43)とを具備したことを特徴とする位置検出器(500’)を提供する。
上記第6の観点による位置検出器(500’)では、コンパレータ回路(5’)の出力がコイル(1)にフィードバックされていない。このため、コイル(1)に温度変動やノイズなどが加わっても動作が不安定にならず、外乱に強くなる。
なお、被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化すると、コイル(1)のインダクタンスが変化するため、コンデンサ(4)の充放電特性が変化し、コンパレータ回路(5’)の出力が変化し、遅延量制御回路(43)が制御する遅延量が変化する。よって、被検出物の位置の変化を検出することが出来る。
【0018】
第7の観点では、本発明は、被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化するように配置されたコイル(1)および導電体(2)または磁性体(3)と、コイル(1)と直列接続された抵抗(6)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の一端側に設置された発振回路(7)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の他端側に設置され発振回路(7)によりコイル(1)および抵抗(6)を介して充放電されるコンデンサ(4)と、コンデンサ(4)の充電電圧(e)が上昇時閾値VthHより高くなった時に「L」を出力し下降時閾値VthL(<VthH)より低くなった時に「H」を出力する反転出力コンパレータ回路(5)と、発振回路(7)の出力が反転出力コンパレータ回路(5)の出力より進んでいる場合はその位相差に応じた時間幅の第1パルス信号(Up)を出力し且つ発振回路(7)の出力と反転出力コンパレータ回路(5)の出力とが共に「L」になった時に短い時間幅の第2パルス信号(Dwn)を出力すると共に発振回路(7)の出力が反転出力コンパレータ回路(5)の出力より遅れている場合はその位相差に応じた時間幅の第2パルス信号(Dwn)を出力し且つ発振回路(7)の出力と反転出力コンパレータ回路(5)の出力とが共に「L」になった時に短い時間幅の第1パルス信号(Up)を出力する位相差比較器(50)と、第1パルス信号(Up)および第2パルス信号(Dwn)の一方で充電し他方で放電する充放電回路(80)とを具備したことを特徴とする位置検出器(600)を提供する。
上記第7の観点による位置検出器(600)では、反転出力コンパレータ回路(5)の出力がコイル(1)にフィードバックされていない。このため、コイル(1)に温度変動やノイズなどが加わっても動作が不安定にならず、外乱に強くなる。
なお、被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化すると、コイル(1)のインダクタンスが変化するため、コンデンサ(4)の充放電特性が変化し、反転出力コンパレータ回路(5)の出力が変化し、充放電回路(80)の充電電圧が変化する。よって、被検出物の位置の変化を検出することが出来る。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0020】
−第1の参考例−
図1は、第1の参考例にかかる位置検出器(100)を示す構成図である。
この位置検出器(100)は、被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化するように配置されたコイル(1)および導電体(2)または磁性体(3)と、コイル(1)と直列接続された抵抗(6)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の一端側に設置された発振回路(7)およびバッファ(8)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の他端側に設置され発振回路(7)およびバッファ(8)によりコイル(1)および抵抗(6)を介して充放電されるコンデンサ(4)と、コンデンサ(4)の充電電圧(e)が上昇時閾値VthHより高くなった時に「L」を出力し下降時閾値VthL(<VthH)より低くなった時に「H」を出力する反転出力コンパレータ回路(5)と、発振回路(7)の出力と反転出力コンパレータ回路(5)の出力の論理積を出力するAND回路(10)と、AND回路(10)の出力の単位時間当たりの面積に比例した電圧を出力する平滑回路(60)と、平滑回路(60)の出力電圧に応じた電圧または電流を出力するか又は平滑回路(60)の出力電圧が予め指定した閾値より高いか低いかを判定してスイッチ出力を発生させる出力変換部(70)とを具備している。
【0021】
導電体(2)または磁性体(3)は、被検出物の位置の変化に応じてコイル(1)との重合部の長さ(p)が変化するようにコイル(1)に対して配置される。
コイル(1)は、例えば外径0.071mmのエナメル被覆銅線を、内径2.3mm、長さ22mmで4層巻きとし、巻き数1240としたものである。また、コイル(1)は、例えば内径3mm、外径3.8mmのステンレス保護管に入れられる。
導電体(2)または磁性体(3)は、例えば内径4.5mm、外径6.5mmのアルミ管である。
【0022】
コンデンサ(4)は、例えば15000pF程度である。抵抗(6)は、例えば60Ω程度である。
【0023】
図2は、位置検出器(100)の各部の信号a,e,f,Maの波形図である。実線はコイル(1)のインダクタンスがL1と場合、破線はコイル(1)のインダクタンスがL2(>L1)の場合である。
【0024】
発振回路(7)の出力電圧aは、周期T,デューティ比0.5のパルス信号である。
【0025】
コンデンサ(4)の充電電圧eは、発振回路(7)の出力信号aが「H」の期間にバッファ(8)により充電されて上昇し、発振回路(7)の出力信号aが「L」の期間にバッファ(8)により放電されて下降する。充電電圧eの上昇勾配および下降勾配は、コイル(1)と抵抗(6)とコンデンサ(4)とによって決まる時定数に支配される。
【0026】
反転出力コンパレータ回路(5)の出力電圧fは、コンデンサ(4)の充電電圧eが上昇時閾値VthHまで上昇する間は「H」であり、上昇時閾値VthHに達すると「L」に反転し、コンデンサ(4)の充電電圧eが下降時閾値VthLまで下降する間は「L」であり、下降時閾値VthLに達すると「H」に反転する。
【0027】
AND回路(10)の出力電圧Maは、発振回路(7)の出力信号aの立上りで立ち上がり、反転出力コンパレータ回路(5)の出力電圧fの立下りで立ち下がるパルスとなる。
【0028】
さて、被検出物の位置の変化に応じてコイル(1)と導電体(2)または磁性体(3)との重合部の長さ(p)が増加(または減少)すると、コイル(1)のインダクタンスが例えばL1からL2に増加(またはL2からL1に減少)し、時定数が増加(または減少)する。すると、充電電圧eの上昇勾配および下降勾配が緩くなる(または急になる)ため、AND回路(10)の出力電圧Maの「H」の幅が例えばt1からt2に増加(またはt2からt1に減少)する。ただし、AND回路(10)の出力電圧Maの周期Tは一定である。よって、平滑回路(60)の出力電圧は上昇(または下降)するので、被検出物の位置の変化を検出できる。また、平滑回路(60)の出力電圧が閾値より高いか低いかを判定してスイッチ出力を発生させれば、閾値相当位置に対して被検出物がどちら側にあるかを表す判定信号が得られる。
【0029】
第1の参考例にかかる位置検出器(100)によれば、次の効果が得られる。
・励磁コイルおよび差動型の2個の検出コイルが要らず、1個のコイル(1)で済むため、小型化に適し、小型機器や設置スペースの少ないところでの使用に適する。
・反転出力コンパレータ回路(5)の出力がコイル(1)にフィードバックされていないため、コイル(1)に温度変動やノイズなどが加わっても動作が不安定にならず、外乱に強くなる。
・位置を検出できる周期が変動しない。つまり、一定の周期Tごとに位置を検出できる。
【0030】
−第2の参考例−
図3は、第2の参考例にかかる位置検出器(100’)を示す構成図である。
この位置検出器(100’)は、被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化するように配置されたコイル(1)および導電体(2)または磁性体(3)と、コイル(1)と直列接続された抵抗(6)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の一端側に設置された発振回路(7)およびバッファ(8)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の他端側に設置され発振回路(7)およびバッファ(8)によりコイル(1)および抵抗(6)を介して充放電されるコンデンサ(4)と、コンデンサ(4)の充電電圧(e)が上昇時閾値VthHより高くなった時に「L」を出力し下降時閾値VthL(<VthH)より低くなった時に「H」を出力する反転出力コンパレータ回路(5)と、反転出力コンパレータ回路(5)の出力を反転させるインバータ(9)と、発振回路(7)の出力とインバータ(9)の出力の論理積を出力するAND回路(10)と、AND回路(10)の出力の単位時間当たりの面積に比例した電圧を出力する平滑回路(60)と、平滑回路(60)の出力電圧に応じた電圧または電流を出力するか又は平滑回路(60)の出力電圧が予め指定した閾値より高いか低いかを判定してスイッチ出力を発生させる出力変換部(70)とを具備している。
【0031】
図4は、位置検出器(100’)の各部の信号a,e,f,g,Ma’の波形図である。実線はコイル(1)のインダクタンスがL1と場合、破線はコイル(1)のインダクタンスがL2(>L1)の場合である。
【0032】
発振回路(7)の出力電圧aは、周期T,デューティ比0.5のパルス信号である。
【0033】
コンデンサ(4)の充電電圧eは、発振回路(7)の出力信号aが「H」の期間にバッファ(8)により充電されて上昇し、発振回路(7)の出力信号aが「L」の期間にバッファ(8)により放電されて下降する。充電電圧eの上昇勾配および下降勾配は、コイル(1)と抵抗(6)とコンデンサ(4)とによって決まる時定数に支配される。
【0034】
反転出力コンパレータ回路(5)の出力電圧fは、コンデンサ(4)の充電電圧eが上昇時閾値VthHまで上昇する間は「H」であり、上昇時閾値VthHに達すると「L」に反転し、コンデンサ(4)の充電電圧eが下降時閾値VthLまで下降する間は「L」であり、下降時閾値VthLに達すると「H」に反転する。
インバータ(9)の出力電圧gは、反転出力コンパレータ回路(5)の出力電圧fを反転させたものである。
【0035】
AND回路(10)の出力電圧Ma’は、インバータ(9)の出力信号gの立上りで立ち上がり、発振回路(7)の出力電圧aの立下りで立ち下がるパルスとなる。
【0036】
さて、被検出物の位置の変化に応じてコイル(1)と導電体(2)または磁性体(3)との重合部の長さ(p)が増加(または減少)すると、コイル(1)のインダクタンスが例えばL1からL2に増加(またはL2からL1に減少)し、時定数が増加(または減少)する。すると、充電電圧eの上昇勾配および下降勾配が緩くなる(または急になる)ため、AND回路(10)の出力電圧Ma’の「H」の幅が例えばt1からt2に減少(またはt2からt1に増加)する。ただし、AND回路(10)の出力電圧Ma’の周期Tは一定である。よって、平滑回路(60)の出力電圧は下降(または上昇)するので、被検出物の位置の変化を検出できる。また、平滑回路(60)の出力電圧が閾値より高いか低いかを判定してスイッチ出力を発生させれば、閾値相当位置に対して被検出物がどちら側にあるかを表す判定信号が得られる。
【0037】
第2の参考例にかかる位置検出器(100’)によれば、次の効果が得られる。
・励磁コイルおよび差動型の2個の検出コイルが要らず、1個のコイル(1)で済むため、小型化に適し、小型機器や設置スペースの少ないところでの使用に適する。
・反転出力コンパレータ回路(5)の出力がコイル(1)にフィードバックされていない。このため、コイル(1)に温度変動やノイズなどが加わっても動作が不安定にならず、外乱に強くなる。
・位置を検出できる周期が変動しない。つまり、一定の周期Tごとに位置を検出できる。
【0038】
−第3の参考例−
図5は、第3の参考例にかかる位置検出器(300)を示す構成図である。
この位置検出器(300)は、被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化するように配置されたコイル(1)および導電体(2)または磁性体(3)と、コイル(1)と直列接続された抵抗(6)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の一端側に設置された発振回路(7)およびバッファ(8)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の他端側に設置され発振回路(7)およびバッファ(8)によりコイル(1)および抵抗(6)を介して充放電されるコンデンサ(4)と、コンデンサ(4)の充電電圧(e)が上昇時閾値VthHより高くなった時に「L」を出力し下降時閾値VthL(<VthH)より低くなった時に「H」を出力する反転出力コンパレータ回路(5)と、発振回路(7)の出力と反転出力コンパレータ回路(5)の出力の排他的論理和を出力する排他的OR回路(11)と、排他的OR回路(11)の出力の単位時間当たりの面積に比例した電圧を出力する平滑回路(60)と、平滑回路(60)の出力電圧に応じた電圧または電流を出力するか又は平滑回路(60)の出力電圧が予め指定した閾値より高いか低いかを判定してスイッチ出力を発生させる出力変換部(70)とを具備している。
【0039】
図6は、位置検出器(300)の各部の信号a,e,f,Mcの波形図である。実線はコイル(1)のインダクタンスがL1と場合、破線はコイル(1)のインダクタンスがL2(>L1)の場合である。
【0040】
発振回路(7)の出力電圧aは、周期T,デューティ比0.5のパルス信号である。
【0041】
コンデンサ(4)の充電電圧eは、発振回路(7)の出力信号aが「H」の期間にバッファ(8)により充電されて上昇し、発振回路(7)の出力信号aが「L」の期間にバッファ(8)により放電されて下降する。充電電圧eの上昇勾配および下降勾配は、コイル(1)と抵抗(6)とコンデンサ(4)とによって決まる時定数に支配される。
【0042】
反転出力コンパレータ回路(5)の出力電圧fは、コンデンサ(4)の充電電圧eが上昇時閾値VthHまで上昇する間は「H」であり、上昇時閾値VthHに達すると「L」に反転し、コンデンサ(4)の充電電圧eが下降時閾値VthLまで下降する間は「L」であり、下降時閾値VthLに達すると「H」に反転する。
【0043】
排他的OR回路(11)の出力電圧Mcは、発振回路(7)の出力電圧aおよび反転出力コンパレータ回路(5)の出力信号fの一方が「H」で他方が「L」の期間だけ「H」となるパルスとなる。
【0044】
さて、被検出物の位置の変化に応じてコイル(1)と導電体(2)または磁性体(3)との重合部の長さ(p)が増加(または減少)すると、コイル(1)のインダクタンスが例えばL1からL2に増加(またはL2からL1に減少)し、時定数が増加(または減少)する。すると、充電電圧eの上昇勾配および下降勾配が緩くなる(または急になる)ため、排他的OR回路(11)の出力電圧Mcの「H」の幅が例えばt1からt2に減少(またはt2からt1に増加)する。ただし、排他的OR回路(11)の出力電圧Mcの周期Tは一定である。よって、平滑回路(60)の出力電圧は下降(または上昇)するので、被検出物の位置の変化を検出できる。また、平滑回路(60)の出力電圧が閾値より高いか低いかを判定してスイッチ出力を発生させれば、閾値相当位置に対して被検出物がどちら側にあるかを表す判定信号が得られる。
【0045】
第3の参考例にかかる位置検出器(300)によれば、次の効果が得られる。
・励磁コイルおよび差動型の2個の検出コイルが要らず、1個のコイル(1)で済むため、小型化に適し、小型機器や設置スペースの少ないところでの使用に適する。
・反転出力コンパレータ回路(5)の出力がコイル(1)にフィードバックされていない。このため、コイル(1)に温度変動やノイズなどが加わっても動作が不安定にならず、外乱に強くなる。
・平滑回路(60)の出力電圧は、第1の参考例や第2の参考例よりも大きく変化する。
・位置を検出できる周期が変動しない。つまり、一定の周期Tごとに位置を検出できる。
【0046】
−第4の参考例−
図7は、第4の参考例にかかる位置検出器(300’)を示す構成図である。
この位置検出器(300’)は、被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化するように配置されたコイル(1)および導電体(2)または磁性体(3)と、コイル(1)と直列接続された抵抗(6)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の一端側に設置された発振回路(7)およびバッファ(8)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の他端側に設置され発振回路(7)およびバッファ(8)によりコイル(1)および抵抗(6)を介して充放電されるコンデンサ(4)と、コンデンサ(4)の充電電圧(e)が上昇時閾値VthHより高くなった時に「L」を出力し下降時閾値VthL(<VthH)より低くなった時に「H」を出力する反転出力コンパレータ回路(5)と、反転出力コンパレータ回路(5)の出力を反転させるインバータ(9)と、発振回路(7)の出力とインバータ(9)の出力の排他的論理和を出力する排他的OR回路(11)と、排他的OR回路(11)の出力の単位時間当たりの面積に比例した電圧を出力する平滑回路(60)と、平滑回路(60)の出力電圧に応じた電圧または電流を出力するか又は平滑回路(60)の出力電圧が予め指定した閾値より高いか低いかを判定してスイッチ出力を発生させる出力変換部(70)とを具備している。
【0047】
図8は、位置検出器(300’)の各部の信号a,e,f,g,Mc’の波形図である。実線はコイル(1)のインダクタンスがL1と場合、破線はコイル(1)のインダクタンスがL2(>L1)の場合である。
【0048】
発振回路(7)の出力電圧aは、周期T,デューティ比0.5のパルス信号である。
【0049】
コンデンサ(4)の充電電圧eは、発振回路(7)の出力信号aが「H」の期間にバッファ(8)により充電されて上昇し、発振回路(7)の出力信号aが「L」の期間にバッファ(8)により放電されて下降する。充電電圧eの上昇勾配および下降勾配は、コイル(1)と抵抗(6)とコンデンサ(4)とによって決まる時定数に支配される。
【0050】
反転出力コンパレータ回路(5)の出力電圧fは、コンデンサ(4)の充電電圧eが上昇時閾値VthHまで上昇する間は「H」であり、上昇時閾値VthHに達すると「L」に反転し、コンデンサ(4)の充電電圧eが下降時閾値VthLまで下降する間は「L」であり、下降時閾値VthLに達すると「H」に反転する。
インバータ(9)の出力電圧gは、反転出力コンパレータ回路(5)の出力電圧fを反転させたものである。
【0051】
排他的OR回路(11)の出力電圧Mc’は、発振回路(7)の出力電圧aおよびインバータ(9)の出力信号gの一方が「H」で他方が「L」の期間だけ「H」となるパルスとなる。
【0052】
さて、被検出物の位置の変化に応じてコイル(1)と導電体(2)または磁性体(3)との重合部の長さ(p)が増加(または減少)すると、コイル(1)のインダクタンスが例えばL1からL2に増加(またはL2からL1に減少)し、時定数が増加(または減少)する。すると、充電電圧eの上昇勾配および下降勾配が緩くなる(または急になる)ため、排他的OR回路(11)の出力電圧Mcの「H」の幅が例えばt1からt2に増加(またはt2からt1に減少)する。ただし、排他的OR回路(11)の出力電圧Mc’の周期Tは一定である。よって、平滑回路(60)の出力電圧は上昇(または下降)するので、被検出物の位置の変化を検出できる。また、平滑回路(60)の出力電圧が閾値より高いか低いかを判定してスイッチ出力を発生させれば、閾値相当位置に対して被検出物がどちら側にあるかを表す判定信号が得られる。
【0053】
第4の参考例にかかる位置検出器(300’)によれば、次の効果が得られる。
・励磁コイルおよび差動型の2個の検出コイルが要らず、1個のコイル(1)で済むため、小型化に適し、小型機器や設置スペースの少ないところでの使用に適する。
・反転出力コンパレータ回路(5)の出力がコイル(1)にフィードバックされていない。このため、コイル(1)に温度変動やノイズなどが加わっても動作が不安定にならず、外乱に強くなる。
・平滑回路(60)の出力電圧は、第1の実施形態や第2の実施形態よりも大きく変化する。
・位置を検出できる周期が変動しない。つまり、一定の周期Tごとに位置を検出できる。
【0054】
−第5の参考例−
図9は、第5の参考例にかかる位置検出器(500)を示す構成図である。
この位置検出器(500)は、被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化するように配置されたコイル(1)および導電体(2)または磁性体(3)と、コイル(1)と直列接続された抵抗(6)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の一端側に設置された発振回路(7)およびバッファ(8)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の他端側に設置され発振回路(7)およびバッファ(8)によりコイル(1)および抵抗(6)を介して充放電されるコンデンサ(4)と、コンデンサ(4)の充電電圧(e)が上昇時閾値VthHより高くなった時に「L」を出力し下降時閾値VthL(<VthH)より低くなった時に「H」を出力する反転出力コンパレータ回路(5)と、反転出力コンパレータ回路(5)の出力をデジタル値DDに応じた遅延量だけ遅延させる可変遅延線回路(41)と、発振回路(7)の出力と可変遅延線回路(41)の出力の位相差Δを出力する位相差検出回路(42)と、位相差Δを「0」にするように可変遅延線回路(41)の遅延量を制御するべくデジタル値DDを出力する遅延量制御回路(43)と、デジタル値DDに応じた電圧または電流を出力するか又はデジタル値が予め指定した閾値より高いか低いかを判定してスイッチ出力を発生させる出力変換部(90)とを具備している。
【0055】
可変遅延線回路(41)と位相差検出回路(42)と遅延量制御回路(43)とは、DLL(Delay Locked Loop)回路(40)を構成している。
【0056】
図10は、位置検出器(500)の各部の信号a,e,f,Fの波形図である。実線はコイル(1)のインダクタンスがL1と場合、破線はコイル(1)のインダクタンスがL2(>L1)の場合である。
【0057】
発振回路(7)の出力電圧aは、周期T,デューティ比0.5のパルス信号である。
【0058】
コンデンサ(4)の充電電圧eは、発振回路(7)の出力信号aが「H」の期間にバッファ(8)により充電されて上昇し、発振回路(7)の出力信号aが「L」の期間にバッファ(8)により放電されて下降する。充電電圧eの上昇勾配および下降勾配は、コイル(1)と抵抗(6)とコンデンサ(4)とによって決まる時定数に支配される。
【0059】
反転出力コンパレータ回路(5)の出力電圧fは、コンデンサ(4)の充電電圧eが上昇時閾値VthHまで上昇する間は「H」であり、上昇時閾値VthHに達すると「L」に反転し、コンデンサ(4)の充電電圧eが下降時閾値VthLまで下降する間は「L」であり、下降時閾値VthLに達すると「H」に反転する。
【0060】
可変遅延線回路(41)の出力電圧Fは、その立下りが発振回路(7)の出力信号aの立下りに同期するような遅延量だけ、反転出力コンパレータ回路(5)の出力電圧fを遅延したパルスとなる。
【0061】
さて、被検出物の位置の変化に応じてコイル(1)と導電体(2)または磁性体(3)との重合部の長さ(p)が増加(または減少)すると、コイル(1)のインダクタンスが例えばL1からL2に増加(またはL2からL1に減少)し、時定数が増加(または減少)する。すると、充電電圧eの上昇勾配および下降勾配が緩くなる(または急になる)ため、可変遅延線回路(41)での遅延量が例えばτ1からτ2に減少(またはτ2からτ1に増加)する。つまり、デジタル値DDが減少(または増加)するので、被検出物の位置の変化を検出できる。また、デジタル値DDが閾値より高いか低いかを判定してスイッチ出力を発生させれば、閾値相当位置に対して被検出物がどちら側にあるかを表す判定信号が得られる。
【0062】
第5の参考例にかかる位置検出器(500)によれば、次の効果が得られる。
・励磁コイルおよび差動型の2個の検出コイルが要らず、1個のコイル(1)で済むため、小型化に適し、小型機器や設置スペースの少ないところでの使用に適する。
・反転出力コンパレータ回路(5)の出力がコイル(1)にフィードバックされていない。このため、コイル(1)に温度変動やノイズなどが加わっても動作が不安定にならず、外乱に強くなる。
・デジタル値DDを直接出力できる。
・位置を検出できる周期が変動しない。つまり、一定の周期Tごとに位置を検出できる。
【0063】
−第6の参考例−
図11は、第6の参考例にかかる位置検出器(500’)を示す構成図である。
この位置検出器(500’)は、被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化するように配置されたコイル(1)および導電体(2)または磁性体(3)と、コイル(1)と直列接続された抵抗(6)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の一端側に設置された発振回路(7)およびバッファ(8)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の他端側に設置され発振回路(7)およびバッファ(8)によりコイル(1)および抵抗(6)を介して充放電されるコンデンサ(4)と、コンデンサ(4)の充電電圧(e)が上昇時閾値VthHより高くなった時に「H」を出力し下降時閾値VthL(<VthH)より低くなった時に「L」を出力する非反転出力コンパレータ回路(5’)と、非反転出力コンパレータ回路(5’)の出力をデジタル値DDに応じた遅延量だけ遅延させる可変遅延線回路(41)と、発振回路(7)の出力と可変遅延線回路(41)の出力の位相差Δを出力する位相差検出回路(42)と、位相差Δを「0」にするように可変遅延線回路(41)の遅延量を制御するべくデジタル値DDを出力する遅延量制御回路(43)と、デジタル値DDに応じた電圧または電流を出力するか又はデジタル値が予め指定した閾値より高いか低いかを判定してスイッチ出力を発生させる出力変換部(90)とを具備している。
【0064】
図12は、位置検出器(500’)の各部の信号a,e,g,Fの波形図である。実線はコイル(1)のインダクタンスがL1と場合、破線はコイル(1)のインダクタンスがL2(>L1)の場合である。
【0065】
発振回路(7)の出力電圧aは、周期T,デューティ比0.5のパルス信号である。
【0066】
コンデンサ(4)の充電電圧eは、発振回路(7)の出力信号aが「H」の期間にバッファ(8)により充電されて上昇し、発振回路(7)の出力信号aが「L」の期間にバッファ(8)により放電されて下降する。充電電圧eの上昇勾配および下降勾配は、コイル(1)と抵抗(6)とコンデンサ(4)とによって決まる時定数に支配される。
【0067】
非反転出力コンパレータ回路(5’)の出力電圧gは、コンデンサ(4)の充電電圧eが上昇時閾値VthHまで上昇する間は「L」であり、上昇時閾値VthHに達すると「H」に反転し、コンデンサ(4)の充電電圧eが下降時閾値VthLまで下降する間は「H」であり、下降時閾値VthLに達すると「L」に反転する。
【0068】
可変遅延線回路(41)の出力電圧Fは、その立上りが発振回路(7)の出力信号aの立上りに同期するような遅延量だけ、非反転出力コンパレータ回路(5’)の出力電圧gを遅延したパルスとなる。
【0069】
さて、被検出物の位置の変化に応じてコイル(1)と導電体(2)または磁性体(3)との重合部の長さ(p)が増加(または減少)すると、コイル(1)のインダクタンスが例えばL1からL2に増加(またはL2からL1に減少)し、時定数が増加(または減少)する。すると、充電電圧eの上昇勾配および下降勾配が緩くなる(または急になる)ため、可変遅延線回路(41)での遅延量が例えばτ1からτ2に減少(またはτ2からτ1に増加)する。つまり、デジタル値DDが減少(または増加)するので、被検出物の位置の変化を検出できる。また、デジタル値DDが閾値より高いか低いかを判定してスイッチ出力を発生させれば、閾値相当位置に対して被検出物がどちら側にあるかを表す判定信号が得られる。
【0070】
第6の参考例にかかる位置検出器(500’)によれば、次の効果が得られる。
・励磁コイルおよび差動型の2個の検出コイルが要らず、1個のコイル(1)で済むため、小型化に適し、小型機器や設置スペースの少ないところでの使用に適する。
・非反転出力コンパレータ回路(5’)の出力がコイル(1)にフィードバックされていない。このため、コイル(1)に温度変動やノイズなどが加わっても動作が不安定にならず、外乱に強くなる。
・デジタル値DDを直接出力できる。
・位置を検出できる周期が変動しない。つまり、一定の周期Tごとに位置を検出できる。
【0071】
−第1の実施形態−
図13は、第1の実施形態にかかる位置検出器(600)を示す構成図である。
この位置検出器(600)は、被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化するように配置されたコイル(1)および導電体(2)または磁性体(3)と、コイル(1)と直列接続された抵抗(6)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の一端側に設置された発振回路(7)およびバッファ(8)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の他端側に設置され発振回路(7)およびバッファ(8)によりコイル(1)および抵抗(6)を介して充放電されるコンデンサ(4)と、コンデンサ(4)の充電電圧(e)が上昇時閾値VthHより高くなった時に「L」を出力し下降時閾値VthL(<VthH)より低くなった時に「H」を出力する反転出力コンパレータ回路(5)と、発振回路(7)の出力の立下りが反転出力コンパレータ回路(5)の出力の立下りより進んでいる場合はその位相差に応じた時間幅の第1パルス信号(Up)を出力し且つ発振回路(7)の出力と反転出力コンパレータ回路(5)の出力とが共に「L」になった時に短い時間幅の第2パルス信号(Dwn)を出力すると共に発振回路(7)の出力の立下りが反転出力コンパレータ回路(5)の出力の立下りより遅れている場合はその位相差に応じた時間幅の第2パルス信号(Dwn)を出力し且つ発振回路(7)の出力と反転出力コンパレータ回路(5)の出力とが共に「L」になった時に短い時間幅の第1パルス信号(Up)を出力する位相差比較器(50)と、第1パルス信号(Up)でFET(83)および抵抗(84)を介してコンデンサ(85)を放電し第2パルス信号(Dwn)でFET(82)および抵抗(84)を介してコンデンサ(85)を充電する充放電回路(80)とを具備している。
【0072】
図14は、位置検出器(600)の各部の信号a,e,f,Up,Dwnの波形図である。実線はコイル(1)のインダクタンスがL1と場合、破線はコイル(1)のインダクタンスがL2(>L1)の場合である。
【0073】
発振回路(7)の出力電圧aは、周期T,デューティ比0.5のパルス信号である。
【0074】
コンデンサ(4)の充電電圧eは、発振回路(7)の出力信号aが「H」の期間にバッファ(8)により充電されて上昇し、発振回路(7)の出力信号aが「L」の期間にバッファ(8)により放電されて下降する。充電電圧eの上昇勾配および下降勾配は、コイル(1)と抵抗(6)とコンデンサ(4)とによって決まる時定数に支配される。
【0075】
反転出力コンパレータ回路(5)の出力電圧fは、コンデンサ(4)の充電電圧eが上昇時閾値VthHまで上昇する間は「H」であり、上昇時閾値VthHに達すると「L」に反転し、コンデンサ(4)の充電電圧eが下降時閾値VthLまで下降する間は「L」であり、下降時閾値VthLに達すると「H」に反転する。
【0076】
位相比較器(50)の第1パルス信号(Up)は、反転出力コンパレータ回路(5)の出力電圧fが「H」のときに発振回路(7)の出力信号aが立ち下がると「H」になり、反転出力コンパレータ回路(5)の出力電圧fも立ち下がると「L」に戻る。また、反転出力コンパレータ回路(5)の出力電圧fが「L」のときに発振回路(7)の出力信号aが立ち下がると短時間だけ「H」になる。
位相比較器(50)の第2パルス信号(Dwn)は、発振回路(7)の出力信号aが「H」のときに反転出力コンパレータ回路(5)の出力電圧fが立ち下がると「H」になり、発振回路(7)の出力信号aも立ち下がると「L」に戻る。また、発振回路(7)の出力信号aが「L」のときに反転出力コンパレータ回路(5)の出力電圧fが立ち下がると短時間だけ「H」になる。
なお、位相比較器(50)は、IC化されたものが市販されている。
【0077】
さて、被検出物の位置の変化に応じてコイル(1)と導電体(2)または磁性体(3)との重合部の長さ(p)が増加(または減少)すると、コイル(1)のインダクタンスが例えばL1からL2に増加(またはL2からL1に減少)し、時定数が増加(または減少)する。すると、充電電圧eの上昇勾配および下降勾配が緩くなる(または急になる)ため、例えば第1パルス信号(Up)による放電時間は変わらないが第2パルス信号(Dwn)による充電時間が例えばt1からt2に減少(またはt2からt1に増加)する。ただし、第1パルス信号(Up)および第2パルス信号(Dwn)の周期Tは一定である。よって、充放電回路(80)の出力電圧は下降(または増加)するので、被検出物の位置の変化を検出できる。また、充放電回路(80)の出力電圧が閾値より高いか低いかを判定してスイッチ出力を発生させれば、閾値相当位置に対して被検出物がどちら側にあるかを表す判定信号が得られる。
【0078】
第1の実施形態にかかる位置検出器(600)によれば、次の効果が得られる。
・励磁コイルおよび差動型の2個の検出コイルが要らず、1個のコイル(1)で済むため、小型化に適し、小型機器や設置スペースの少ないところでの使用に適する。
・反転出力コンパレータ回路(5)の出力がコイル(1)にフィードバックされていない。このため、コイル(1)に温度変動やノイズなどが加わっても動作が不安定にならず、外乱に強くなる。
・位置を検出できる周期が変動しない。つまり、一定の周期Tごとに位置を検出できる。
【0079】
【発明の効果】
本発明の位置検出器によれば、コンパレータ回路の出力がコイルにフィードバックされていないため、コイルに温度変動やノイズなどが加わっても動作が不安定にならず、外乱に強くなる。また、一定の周期ごとに位置を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の参考例に係る位置検出器の構成図である。
【図2】 第1の参考例に係る位置検出器における各部の信号を示す波形図である。
【図3】 第2の参考例に係る位置検出器の構成図である。
【図4】 第2の参考例に係る位置検出器における各部の信号を示す波形図である。
【図5】 第3の参考例に係る位置検出器の構成図である。
【図6】 第3の参考例に係る位置検出器における各部の信号を示す波形図である。
【図7】 第4の参考例に係る位置検出器の構成図である。
【図8】 第4の参考例に係る位置検出器における各部の信号を示す波形図である。
【図9】 第5の参考例に係る位置検出器の構成図である。
【図10】 第5の参考例に係る位置検出器における各部の信号を示す波形図である。
【図11】 第6の参考例に係る位置検出器の構成図である。
【図12】 第6の参考例に係る位置検出器における各部の信号を示す波形図である。
【図13】 第1の実施形態に係る位置検出器の構成図である。
【図14】 第1の実施形態に係る位置検出器における各部の信号を示す波形図である。
【図15】 特願2002−066597号に係る位置検出器の構成図である。
【符号の説明】
1 コイル
2 導電体
3 磁性体
4 コンデンサ
5 反転出力コンパレータ
6 抵抗
7 発振回路
8 バッファ
9 インバータ
10 AND回路
11 排他的OR回路
40 DLL回路
41 可変遅延線回路
42 位相差検出回路
43 遅延量制御回路
50 位相比較器
80 充放電回路
100,100’ 位置検出回路
300,300’ 位置検出回路
500,500’ 位置検出回路
600 位置検出回路
Claims (1)
- 被検出物の位置の変化に応じて重合部(p)の面積が変化するように配置されたコイル(1)および導電体(2)または磁性体(3)と、コイル(1)と直列接続された抵抗(6)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の一端側に設置された発振回路(7)と、コイル(1)および抵抗(6)の直列回路の他端側に設置され発振回路(7)によりコイル(1)および抵抗(6)を介して充放電されるコンデンサ(4)と、コンデンサ(4)の充電電圧(e)が上昇時閾値VthHより高くなった時に「L」を出力し下降時閾値VthL(<VthH)より低くなった時に「H」を出力する反転出力コンパレータ回路(5)と、発振回路(7)の出力が反転出力コンパレータ回路(5)の出力より進んでいる場合はその位相差に応じた時間幅の第1パルス信号(Up)を出力し且つ発振回路(7)の出力と反転出力コンパレータ回路(5)の出力とが共に「L」になった時に短い時間幅の第2パルス信号(Dwn)を出力すると共に発振回路(7)の出力が反転出力コンパレータ回路(5)の出力より遅れている場合はその位相差に応じた時間幅の第2パルス信号(Dwn)を出力し且つ発振回路(7)の出力と反転出力コンパレータ回路(5)の出力とが共に「L」になった時に短い時間幅の第1パルス信号(Up)を出力する位相差比較器(50)と、第1パルス信号(Up)および第2パルス信号(Dwn)の一方で充電し他方で放電する充放電回路(80)とを具備したことを特徴とする位置検出器(600)。
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