JP4183947B2 - 空気調和機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、空気調和機の制御装置は、図示しないが、圧縮機を駆動するモータに流れる電流を検出するカレントランスとこのカレントランスからの出力を受けるマイクロコンピュータとを備える。このマイクロコンピュータに格納された過電流保護手段としてのソフトウエアによって、上記カレントランスの出力に基づいて上記モータの回転速度、膨張弁の開度、室内ファンの回転速度、室外ファンの回転速度のうちの一つまたは複数を制御して、モータに過電流が流れないようにしている。さらに、上記空気調和機の制御装置は、上記ソフトウエアの暴走、つまりソフトウエアが制御不能になったときでも、上記モータに過電流が流れないようにするために、上記空気調和機の外部にブレーカを設置したり、あるいは、上記空気調和機の内部に電流ヒューズを内蔵している。これにより、上記ソフトウエアが制御不能になった場合でも、上記ブレーカや上記電流ヒューズが動作して、上記空気調和機のモータに過電流が流れるのを防止して、上記空気調和機のモータの破損を防止している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の空気調和機の制御装置では、空気調和機の外部のブレーカによって過電流保護をする場合には、現地工事にて適正な仕様のブレーカが設置されていないと、ソフトウエアでの制御が不能になった場合に、上記空気調和機のモータに対する過電流保護ができないという問題があった。
【0004】
また、上記空気調和機の内部の電流ヒューズによって過電流保護をする場合には、規定電流値が60(A)程度の大きな電流ヒューズを選定しなければならないため、空気調和機のコストが高くなるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ソフトウエアからなる過電流保護手段の制御不能時でも空気調和機のモータの過電流保護を確実かつ安価に行うことができる空気調和機の制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の空気調和機の制御装置は、
圧縮機を駆動するモータに流れる電流を検出する電流センサからの出力に基づいて、ソフトウエアからなる過電流保護手段によって上記モータの過電流を防止する空気調和機の制御装置において、
上記電流センサからの出力と基準値とを比較して、上記モータの過電流を防止するための信号を出力する比較回路を含むと共に、電気部品により構成された過電流防止回路を備え、
上記過電流防止回路は、
上記比較回路からの上記信号を受けて、その信号を遅延して出力する遅延回路と、上記遅延回路からの出力を自己保持する自己保持回路と、
上記自己保持回路からの出力を受けるインバータと、
第1入力端子および第2入力端子を有し、上記インバータからの出力が上記第1入力端子に入力されるアンドゲートと
を有し、
上記電流センサからの信号に基づいて、上記アンドゲートの上記第2入力端子に信号を出力するとともに、上記過電流保護手段を有するマイクロコンピュータを備えることを特徴としている。
【0007】
本明細書では、電気部品とは、トランジスタ、キャパシタンスや抵抗等の電子部品をも含む概念である。
【0008】
上記構成の空気調和機の制御装置によれば、上記圧縮機を駆動するモータに流れる電流は、電流センサによって検出される。上記電流センサからの出力に基づいて、上記ソフトウエアからなる過電流保護手段は、例えば、上記モータの回転速度や発停、膨張弁の開度、室内ファンの回転速度、室外ファンの回転速度等のうちの一つまたは複数を制御して、上記モータに過負荷がかからないようにして過電流が流れないようにする。
【0009】
一方、上記電気部品により構成される上記比較回路は、上記電流センサの出力を受けて、上記電流センサからの出力と基準値とを比較して、上記モータの過電流を防止するための信号を出力する。
【0010】
このように、本請求項1の発明の空気調和機の制御装置は、上記モータに過電流が生じないように上記モータの回転速度等を制御するソフトウエアからなる過電流保護手段の他に、上記モータの過電流を防止するための信号を出力する比較回路を含むと共に、上記電気部品から構成された過電流防止回路を備えているので、上記ソフトウエアからなる過電流保護手段が制御不能となっても、ソフトウエアによらずに空気調和機のモータの過電流の保護を確実にでき、また、高価で大容量のブレーカやヒューズを用いる必要もない。したがって、本請求項1の発明の空気調和機の制御装置は、空気調和機のモータの過電流の保護を確実かつ安価に行うことができる。
【0011】
【0012】
また、請求項1の発明の空気調和機の制御装置によれば、上記比較回路から出力されるモータの過電流を防止するための信号は、上記遅延回路によって遅延して出力される。上記遅延回路によって、上記比較回路からの上記信号が遅延している間は、上記ソフトウエアからなる過電流保護手段による過電流防止の制御が行われる。つまり、上記遅延回路により、上記比較回路からの信号が所定時間遅延されている間は、上記電気部品からなる上記過電流防止回路による過電流の防止の制御よりも、上記ソフトウエアからなる過電流保護手段による過電流の防止の制御が優先的に行われることになって、通常の円滑な過電流防止制御が行われることになる。一方、上記所定時間が経過した後は、上記過電流防止回路による過電流防止の制御が行われることになる。
【0013】
【0014】
また、請求項1の発明の空気調和機の制御装置によれば、上記遅延回路から送られたモータの過電流を防止するための信号は、上記自己保持回路によって自己保持される。したがって、制御におけるハンチングの発生を防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0016】
図1に示すように、本実施の形態の空気調和機の制御装置は、図示しない圧縮機を駆動するモータに流れる電流を検出する電流センサの一例としてのカレントトランス1と、電流−電圧変換器5と、マイクロコンピュータ20と、過電流防止回路10と、上記モータの駆動を制御するスイッチング回路からなる圧縮機駆動回路30とを備える。
【0017】
上記電流−電圧変換器5は、カレントトランス1から出力された電流を表す信号を電圧信号に変換して出力する。上記マイクロコンピュータ20は、従来例と同じソフトウエアからなる過電流保護手段を備えている。この過電流保護手段は、電流−電圧変換器5から受けた信号が、所定の各レベル以上の場合に、冷媒回路における圧縮機の回転速度や発停、膨張弁の開度、室内ファン室外ファンの回転速度等を制御して、圧縮機を駆動するモータに過電流が流れないようにしている。特に、上記電流−電圧変換器5からの信号が、所定のレベル以上の場合には、モータを停止するための、ローレベル信号Lをアンドゲート30に出力する。このソフトウエアからなる過電流保護手段は、周知なので詳しい説明は省略する。
【0018】
一方、上記過電流防止回路10は、電気部品、具体的にはトランジスタ等によって構成されていて、比較回路である比較器11と、遅延回路12と、自己保持回路13と、ナット回路であるインバータ14と、アンドゲート15とからなる。
【0019】
上記比較器11には、電流−電圧変換器5からの出力が入力される。上記比較器11は、上記電流−電圧変換器5の出力と予め定められた基準値とを比較して、電流−電圧変換器5からの出力が基準値のレベル以上のときには、ハイレベル信号Hを遅延回路12に出力する。一方、上記電流−電圧変換器5からの出力が所定基準値のレベル未満のときには、ローレベル信号Lを遅延回路12に出力する。上記遅延回路12は、マイクロコンピュータ20の過電流保護手段の機能を過電流防止回路10の機能よりも所定時間の間優先させるために、上記比較器11からの信号を上記所定時間遅延させて、自己保持回路13に出力する。この自己保持回路13は、入力された信号を自己保持して、インバータ14を介して、アンドゲート15の一方の入力端子に入力する。
【0020】
上記アンドゲート15の他方の入力端子には、上記マイクロコンピュータ20が電流−電圧変換器5から上記所定レベル以上の信号を受けた場合には、上記ソフトウエアからなる過電流保護手段によって、ローレベル信号Lを入力する一方、上記マイクロコンピュータ20が電流−電圧変換器5から上記所定レベル未満の信号を受けた場合には、上記ソフトウエアからなる過電流保護手段によって、ハイレベル信号Hを入力する。アンドゲート15からの出力は、圧縮機駆動回路30に入力される。
【0021】
上記構成の空気調和機の制御装置において、今、上記圧縮機を駆動するモータに流れる電流値のレベルが、通常のレベルであるとする。そうすると、上記カレントトランス1は、この通常レベルの電流値を検出する。この通常レベルの電流値を表す信号は、電流−電圧変換器5を介して、電圧信号に変換されてマイクロコンピュータ20に入力される。上記マイクロコンピュータ20においては、マイクロコンピュータ20のソフトウエアからなる過電流保護手段が上記電圧信号に基づいて、上記モータに流れる電流値が通常レベルであることを認識して、過電流防止のための制御を行わないことを表す記号を膨張弁、室外ファン、室内ファンに出力すると共に、ハイレベル信号Hをアンドゲート15の上記他方の端子に出力する。
【0022】
一方、上記過電流防止回路10の比較器11には、電流−電圧変換器5から上記モータに流れる電流値が通常のレベルであることを表す電圧信号が入力される。上記比較器11は、この電圧信号と基準値とを比較して、この電圧信号が基準値よりも低いことを表わす、ローレベル信号Lを出力する。この比較器11から出力されたローレベル信号Lは、遅延回路12および自己保持回路13を介して、インバータ14に入力され、インバータ14によりハイレベル信号Hに反転されて、アンドゲート15の一方の端子に入力される。上記アンドゲート15は、マイクロコンピュータ20からのハイレベル信号Hと上記インバータ14からのハイレベル信号Hの論理積を取って、ハイレベル信号Hを圧縮機駆動回路30に出力する。上記圧縮機駆動回路30は、上記ハイレベル信号Hによって、図示しないスイッチング回路を閉成したままで、過電流防止制御を行わない。尚、上記圧縮機駆動回路30がインバータ(変換装置)である場合は、インバータに通常の運転を行わせる。
【0023】
次に、上記カレントトランス1が検出した電流値レベルが所定値以上になったとする。そうすると、上記カレントトランス1からの信号が、電流−電圧変換器5を介して、マイクロコンピュータ20に入力されて、ソフトウエアからなる過電流保護手段が動作して、膨張弁の開度、室内ファンの回転速度、室外ファンの回転速度等を制御する信号を出力する。そして、この状態が一定時間続いたときは、つまり上記所定以上の電流値のレベルが一定時間持続すると、ローレベル信号Lをアンドゲート15の上記他方の端子に出力する。そうすると、上記圧縮機駆動回路30にアンドゲート15を介してローレベル信号Lが入力されて、圧縮機駆動回路30は、過電流を防止するように動作をする。具体的には、図示しないスイッチング回路を開成して、モータへの電流の供給を遮断する。また、上記圧縮機駆動回路30がインバータである場合、上記モータの回転速度を低くしたり、停止する制御を行う。
【0024】
一方、カレントトランス1から電流−電圧変換器5を介して、上記モータに流れる電流値レベルが所定以上であることを表す電圧信号が、上記電気部品により構成される過電流防止回路10の比較回路11にも入力される。上記比較器11は、この電圧信号と基準値とを比較して、ハイレベル信号Hを出力する。比較器11によって出力されたハイレベル信号Hは、遅延回路12に入力されて所定時間遅延される。ここで、遅延回路12からハイレベル信号Hが出力する前に出力されたローレベル信号Lは、自己保持回路13とインバータ14を介してハイレベル信号Hとしてアンドゲート15の一方の端子に入力されている。したがって、上記遅延回路12の所定の遅延時間が経過するまでは、マイクロコンピュータ20からのハイレベル信号Hまたはローレベル信号Lが、アンドゲート15を介して圧縮機駆動回路30に出力されるので、マイクロコンピュータ20のソフトウエアからなる過電流保護手段による制御が、電気部品から構成された過電流防止回路10による過電流の制御よりも優先することになる。したがって、上記モータの発停を少なくすることが可能である。
【0025】
一方、上記遅延回路12に入力したハイレベル信号Hは、所定時間遅延された後、遅延回路12から出力され、自己保持回路13によって自己保持される。このハイレベル信号Hは、インバータ14によって反転されて、ローレベル信号Lとなって、ローレベル信号Lがアンドゲート15の一方の端子に出力される。上記圧縮機駆動回路30に上記インバータ14からローレベル信号Lが入力すると、マイクロコンピュータ20からの信号レベルの如何に拘わらず、圧縮機駆動回路30に、ローレベル信号Lが入力されて、強制的に過電流を防止するように動作する。すなわち、スイッチング回路を開成し、あるいは、インバータの運転を停止する。このように、上記遅延回路12によって、設定された所定の遅延時間が経過した後には、マイクロコンピュータ20から出力される信号レベルの如何に関係なく、アンドゲート15の一方の端子にローレベル信号Lが入力され、圧縮機駆動回路30にローレベル信号Lが出力されてモータの運転が停止される。したがって、マイクロコンピュータ20のソフトウエアからなる過電流保護手段が、暴走、すなわち制御不能になってマイクロコンピュータ20からハイレベル信号Hが入力されても、電気部品により構成された過電流防止回路10によって、確実に過電流を防止できて、圧縮器を駆動するモータの保護を確実にすることができる。
【0026】
また、この実施の形態の空気調和器の制御装置では、マイクロコンピュータ20のソフトウエアからなる過電流保護手段の他に、電気部品により構成された過電流防止回路10を備えているので、大容量で高価なヒューズやブレーカを用いる必要がない。したがって、圧縮機を駆動するモータの過電流を安価にかつ確実に防止することができる。
【0027】
また、上記過電流防止回路10は、自己保持回路13を有しているので、比較回路11から遅延回路12を介して供給される過電流を防止するための信号を自己保持して、圧縮機駆動回路30のハンチングを防止できて、圧縮機駆動回路30の損傷を防止することができる。尚、上記自己保持回路13は、リセット信号が入力されると、自己保持が解除される。
【0028】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1の発明の空気調和機の制御装置は、圧縮機を駆動するモータに流れる電流を検出する電流センサからの出力に基づいて、上記モータに流れる過電流を防止するソフトウエアからなる過電流保護手段と、上記電流センサからの出力と基準値とを比較して、上記モータの過電流を防止するための信号を出力する比較回路を含む電気部品からなる過電流防止回路とを備えているので、高価で大容量のブレーカやヒューズを用いる必要がなく、また、上記ソフトウエアからなる過電流保護手段が制御不能となっても、上記比較回路を含む電気部品からなる過電流防止回路で圧縮機のモータの過電流の保護を確実に行うことができる。したがって、上記モータの過電流の保護を確実かつ安価に行うことができる。
【0029】
また、請求項1の発明の空気調和機の制御装置は、過電流防止回路に、過電流を防止するための信号を遅延して出力する遅延回路を設けているので、上記過電流を防止するための信号が遅延している間は、上記過電流防止回路による過電流の防止の制御よりも上記ソフトウエアからなる過電流保護手段による過電流の防止の制御を優先して行うことができる。したがって、モータの発停を少なくすることができる。
【0030】
また、請求項1の発明の空気調和機の制御装置は、過電流を防止するための信号を自己保持する自己保持回路を備えているので、ハンチングの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の空気調和機の制御装置の実施の形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 カレントトランス、
5 電流−電圧変換器、
10 過電流防止回路、
11 比較器、
12 遅延回路、
13 自己保持回路、
14 インバータ、
15 アンドゲート、
20 マイクロコンピュータ、
30 圧縮機駆動回路。
Claims (1)
- 圧縮機を駆動するモータに流れる電流を検出する電流センサからの出力に基づいて、ソフトウエアからなる過電流保護手段によって上記モータの過電流を防止する空気調和機の制御装置において、
上記電流センサからの出力と基準値とを比較して、上記モータの過電流を防止するための信号を出力する比較回路を含むと共に、電気部品により構成された過電流防止回路を備え、
上記過電流防止回路は、
上記比較回路からの上記信号を受けて、その信号を遅延して出力する遅延回路と、上記遅延回路からの出力を自己保持する自己保持回路と、
上記自己保持回路からの出力を受けるインバータと、
第1入力端子および第2入力端子を有し、上記インバータからの出力が上記第1入力端子に入力されるアンドゲートと
を有し、
上記電流センサからの信号に基づいて、上記アンドゲートの上記第2入力端子に信号を出力するとともに、上記過電流保護手段を有するマイクロコンピュータを備えることを特徴とする空気調和機の制御装置。
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