JP4183462B2 - 電動ヒンジ装置及びこれを用いた携帯電話機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動により駆動する電動ヒンジ装置及びこれを用いた携帯電話機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電動折りたたみ式携帯電話機として、例えば、特許文献1が知られている。この携帯電話機は図22に示すように、ディスプレイ側ボディ140の蝶番部141に歯車142を設け、電動モーター145に歯車144を取り付け、その歯車144が上記歯車142と噛み合うように電動モーター145を携帯電話機に組み込み、携帯電話機の側面には、開閉スイッチ146および誤動作防止スイッチ147を設けたものである。
【0003】
【特許文献1】
実用新案登録第3079820号公報
【0004】
この携帯電話機によれば、片手での操作が可能になって操作性が向上し、また、誤動作防止スイッチ147の操作により、不用意な開閉を防ぐことができるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
さて、上記電動の携帯電話機では、電動で開閉している途中に手動で無理に開閉しようとすると、モータの減速ギアが噛合ったままであるため、ギアが破損してしまうおそれがある。またこの携帯電話機は、手動による開閉が併用できないため便利性に欠けるという問題がある。
【0006】
また一般に、携帯電話機の蓋部が閉塞した状態及び全開した状態ではヒンジ機構が係合して蓋部を固定する構成が採用されるが、この状態から蓋部を開閉する場合、上記係合を解くために一時的に強いトルクが必要となりこの対策が問題となっている。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、操作性に優れかつ開閉が安定して行える電動ヒンジ装置及びこれを用いた携帯電話機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上の技術的課題を解決するため、本発明は、図1及び図2等に示すように、第1筐体部41と第2筐体部43とを回動可能に連結するヒンジ機構部6、及び電動の駆動部9を有する電動ヒンジ装置において、上記ヒンジ機構部は、手動で開閉時に上記第2筐体部43を上記第1筐体部41に対して、開閉途中の所定の角度で停止可能に構成されたことである。
【0009】
また、本発明に係る電動ヒンジ装置は、上記所定の角度が90°以上である構成である。
【0010】
本発明は、図1及び図2等に示すように、第1筐体部41と第2筐体部43とを回動可能に連結するヒンジ機構部6、及び電動の駆動部9を有する電動ヒンジ装置において、上記ヒンジ機構部は、上記第1筐体部に固定される第1ヒンジ部16と、この第1ヒンジ部に対して回動可能であり、かつ上記駆動部の回動運動が摩擦力により伝達されて上記第2筐体部を開閉駆動する第2ヒンジ部18,14と、を有する構成である。
【0011】
また、本発明は、第1筐体部41と第2筐体部43とを回動可能に連結するヒンジ機構部6、及び電動の駆動部9を有する電動ヒンジ装置において、上記ヒンジ機構部は、上記第1筐体部に固定される第1ヒンジ部16と、この第1ヒンジ部に対して回動可能であり、かつ上記第2筐体部を開閉駆動し、所定の回動位置において、第1ヒンジ部との付勢力を伴う係合により回動が規制される第2ヒンジ部18,14と、上記駆動部の回動運動を摩擦力により上記第2ヒンジ部に接続するクラッチ部10と、を有する構成である。
【0012】
また、本発明は、第1筐体部41と第2筐体部43とを回動可能に連結するヒンジ機構部6、及び電動の駆動部9を有する電動ヒンジ装置において、上記ヒンジ機構部は、上記第1筐体部に固定される第1ヒンジ部16と、この第1ヒンジ部に対して回動可能であり、かつ上記第2筐体部を開閉駆動し、所定の開閉位置において、第1ヒンジ部との付勢手段の付勢力を伴う係合により回動が規制される第2ヒンジ部18,14と、上記駆動部の回動運動を摩擦力により上記第2ヒンジ部に接続するクラッチ部10と、上記駆動部の回動運動を直線運動に変換し、上記付勢手段の付勢力に抗して上記第1ヒンジ部と上記第2ヒンジ部との係合を解除するリフト部8と、を有する構成である。
【0013】
また、本発明は、第1筐体部41と第2筐体部43とを回動可能に連結するヒンジ機構部6、及び電動の駆動部9を有する電動ヒンジ装置において、上記ヒンジ機構部は、上記第1筐体部に固定される第1ヒンジ部16と、この第1ヒンジ部に対して回動可能であり、かつ上記第2筐体部を開閉駆動し、所定の開閉位置において、第1ヒンジ部との付勢手段26の付勢力を伴う係合凸部と係合凹部同士の係合により回動が規制される第2ヒンジ部14と、上記第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部を回動可能に支持するとともに、上記駆動部の回動運動を伝達する軸体12と、上記軸体の回動運動を摩擦力により上記第2ヒンジ部に接続するクラッチ部10と、上記軸体の回動運動を直線運動に変換し、上記付勢手段の付勢力に抗して上記係合凸部と係合凹部同士を引き離して上記第1ヒンジ部と第2ヒンジ部との係合を解除するリフト部8と、を有する構成である。
【0014】
また、本発明は、第1筐体部41と第2筐体部43とを回動可能に連結するヒンジ機構部6、及び電動のモーターとその回転速度を減速するギア機構部4が設けられた駆動部9を有する電動ヒンジ装置において、上記ヒンジ機構部は、上記第1筐体部に固定される第1ヒンジ部16と、この第1ヒンジ部に対して回動可能であり、かつ上記第2筐体部を開閉駆動し、所定の開閉位置において、第1ヒンジ部との付勢手段の付勢力を伴う係合凸部と係合凹部同士の係合により回動が規制される第2ヒンジ部18,14と、上記第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部を回動可能に支持するとともに、上記駆動部の回動運動を伝達する軸体12と、上記軸体の一端部に取付けられ軸体と一体に回動する第1のトルクプレート24、及び上記第2ヒンジ部に接続され、上記付勢手段によりこの第1のトルクプレートに滑り可能に当接する第2のトルクプレート25を有し、上記軸体の回動運動を摩擦力により上記第2ヒンジ部に接続するクラッチ部10と、上記軸体の回動運動を直線運動に変換し、上記付勢手段の付勢力に抗して上記係合凸部と係合凹部同士を引き離して上記第1ヒンジ部と第2ヒンジ部との係合を解除するリフト部8と、を有する構成である。
【0015】
本発明に係る電動ヒンジ装置の上記第2ヒンジ部16,14は、上記軸体を挿通するとともに上記付勢手段26を収納し、上記第2のトルクプレート25と係合して一体に回動する筒体16及びこの筒体とともに回動し軸方向に移動可能なキャッチ14からなる構成である。
【0016】
本発明に係る電動ヒンジ装置の上記第1ヒンジ部18は、一対の係合凹部69を有し上記付勢手段により一対の係合凸部62を有する上記キャッチ14に圧接され、このキャッチの回動により上記係合凸部62が上記係合凹部69へ侵入し係合するディスク18からなる構成である。
【0017】
本発明に係る電動ヒンジ装置の上記リフト部8は、上記軸体12とともに回動する環状プレート30、この環状プレートに保持された球体32が、当該球体と当接する下部の谷部から斜面を経由して頂部の位置へと移動することで持ち上げられ、上記キャッチ14の係合凸部62を上記ディスク16の係合凹部69から引き離すリング体28を有する構成である。
【0018】
本発明に係る電動ヒンジ装置の上記クラッチ部10は、次第に径が拡大する外周面を有する円環状の第1のトルクプレート24、及び上記外周面に当接し、次第に内径が拡大するラッパ状の内周面を有する第2のトルクプレート25を具備する構成である。
【0019】
本発明に係る電動ヒンジ装置の上記ギア機構部4は、上記モーターの回転速度を減速する平歯車及び遊星歯車を有する構成である。
【0020】
本発明に係る電動ヒンジ装置は、上記ヒンジ機構部6に対し、コの字状に屈曲させて上記駆動部9を上記第1筐体部41に配置した構成である。
【0021】
本発明に係る携帯電話機は、操作キーを有する第1筐体部41と表示部を有する第2筐体部43とを具備し、これら第1筐体部41と第2筐体部43とを連結し、操作スイッチにより第2筐体部43を開又は閉駆動する上記何れかに記載の電動ヒンジ装置を有する構成である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電動ヒンジ装置およびこれを用いた携帯電話機の実施の形態を図面に基づいて説明する。上記携帯電話機1は、図1及び図21に示すように、操作キー40等を有し第1筐体部としての本体部41、及び液晶表示部42等を有し第2筐体部としての蓋体部43の各筐体からなる。この携帯電話機1には、蓋体部43を開閉駆動する電動ヒンジ装置3と、支軸として蓋体部43を開閉可能に支持する補助ヒンジ装置5が用いられている。本体部41には、蓋体部43の開閉を操作する操作スイッチ44が設けられている。
【0023】
上記本体部41には、蓋体部43と交差する部位に第1の筒部112、第2の筒部118、及び第3の筒部116が形成され、一方上記蓋体部43には、上記筒部112と筒部118との間に第4の筒部110が、また上記筒部118と筒部116との間に第5の筒部114が形成され、これらは直線状に配置されている。
【0024】
電動ヒンジ装置3は図1に示すように、ヒンジ機構部6と、モーター2及び減速のためのギア機構部4からなる電動の駆動部9とを有している。また、補助ヒンジ装置5は、軸体124、この軸体124を回動可能に挿通する筒体120、軸体124と嵌合し軸体124と一体に回動するディスク122、及び補助ヒンジ装置5を筐体の第5の筒部114に係止させるフック128を有している。
【0025】
上記電動ヒンジ装置3を駆動するモーター2は、携帯電話機1に内蔵される電池で稼動する直流モーター2であり、このモーター2は極性により回転方向が正転逆転する。ギア機構部4は、複数の平歯車106及び遊星歯車108を用いて、回転速度を減速する。このギア機構部4についても、回転方向は正転逆転いずれも可能であり、出力軸46はモーター2の回転方向に従い正転逆転する。
【0026】
図2(a)(b)(c)に示すように、上記ヒンジ機構部6は、ギア機構部4に駆動されて回動する軸体12を基に、開閉の機構が設けられたヒンジ部7、このヒンジ部7の回動を補助するリフト部8、及びモーター2の駆動力を蓋体部43に伝達する際の調整手段としてのクラッチ部10を有している。
【0027】
図2乃至図4に示すように、クラッチ部10は、第1のトルクプレート24及び第2のトルクプレート25を有し、軸体12の回動運動をヒンジ部7の筒体16に伝達する。上記ヒンジ部7は、クラッチ部10から回動力が伝達される筒体16、付勢手段としてのコイルバネ26、キャッチ14、ディスク18、ストッパ51、フック56、カバーキャップ57を有する。
【0028】
ここで上記ヒンジ部7は、第1ヒンジ部として蓋体部43と連結して蓋体部43を開閉駆動する上記筒体16、及び、第2ヒンジ部として本体部41と一体に連結される上記ディスク18により、ヒンジの回動機構を構成する。
【0029】
リフト部8は、軸体12と直結された受座38、ベアリングとしてのリテーナ36、4個一組の鋼球34、環状プレート30、2個一組の鋼球32、及び上記ヒンジ部7のキャッチ14をリフトアップするリング体28を有する。
【0030】
上記軸体12、キャッチ14、ディスク18、リング体28、環状プレート30、リテーナ36、受座38、ストッパ51はステンレス鋼(SUS)などの金属材からなっている。第1のトルクプレート24、第2のトルクプレート25は快削鋼(SUM)、またコイルバネ26は鋼材からなる。筒体16、フック56、カバーキャップ57はPOM、ABS等の合成樹脂製からなる。
【0031】
ここで電動ヒンジ装置3の各構成部材について説明する。軸体12は図5に示すように、軸部50の一端側にギア機構部4の出力軸46と嵌合して駆動力が伝達される嵌合穴55を有する連結部48が形成されている。この連結部48の側面には平坦な係合面49が形成され、端部には径が拡大した頭部53が形成されている。軸部50の端部側の略半分の部位には、断面が円形状の第1軸部52が形成され、連結部48側の部位には断面がより大径の円形状の第2軸部54が形成されている。
【0032】
筒体16は図6に示すように、一端側には中心部に貫通孔72が設けられた底部73が形成され、他端側は開放口74が形成された筒状の容器である。この底部73の上下には、クラッチ部10の第2のトルクプレート25が嵌合係止される嵌合部71が形成されている。この開放口の上下の部位には、それぞれ軸方向に平行状に切り込んだ嵌合凹部75が設けられている。また、筒体16の筒外周には、軸方向に平行な係合溝部77が形成されている。
【0033】
ストッパ51は図3に示すように、中央に貫通孔が設けられた円板部の周囲4箇所から突起片102が同一方向に屈曲形成され、各突起片102の先端部には係止部104が形成された部材である。
【0034】
図7に示すように、上記クラッチ部10の第1のトルクプレート24の外形は、上部をカットした円錐体のように次第に径が拡大する形状である。このため第1のトルクプレート24は、テーパ状に傾斜した外周面58を有し、また中心部には軸方向に貫通孔97が形成された円環状の部材である。この貫通孔97の左右の内面には嵌合のための平坦部99が形成されている。
【0035】
第2のトルクプレート25は図8に示すように、全体が一端から他端に向けて次第に内径が拡大する内周面59を有するラッパ状の筒部材である。第2のトルクプレート25の一端部には嵌合凸部100が、また外周の左右部には溝部98がそれぞれ形成されている。第2のトルクプレート25の内周面59は、上記第1のトルクプレート24の外周面58とは同一形状に形成され、このため外周面58と内周面59とは全体が均一に当接し、押圧により所定の摩擦力が維持される。
【0036】
このようにトルクプレートの外周面58と内周面59とをテーパ面としたのは、接触面積を広く確保して十分な摩擦力を得るとともに表面の消耗を低減させるためである。このクラッチ部10のトルクプレートの外周面58と内周面59との間には、常にコイルバネ26の付勢力が作用して所定の摩擦力が発生する。なお、トルクプレートの外周面58及び内周面59の一方又は両方に凹凸部を形成することで摩擦力の調整、増強を図ることができる。
【0037】
図9に示すように、キャッチ14は板片を断面コの字状に屈曲した形状であり、基板部の中央には円弧状(円形の一部)の孔61及びこの孔61の左右部を外向きに切り欠き形成した嵌合凹部64が形成され、この孔61の上下の部位にそれぞれ外向きに突出した半球状の係合凸部62が形成され、これら2つの係合凸部62は、キャッチ14の回転中心に対して対称な位置に配置されている。また、直角に屈曲した上下の部位には係合部63が形成されている。
【0038】
ディスク18は図10に示すように、円板状の基部の中心部に円形の孔66が形成され、基部の左右部位にそれぞれ嵌合凸部67が設けられている。また円板の表面部には環状に浅い溝状の案内路68が形成され、この案内路68の上下部位にはそれぞれ係合凹部69がディスク18の中心に対して対称な位置に配置されている。
【0039】
この係合凹部69は、凹球面の一部をなす浅い穴でありこの球面の曲率半径は、キャッチ14の係合凸部62の凸球面の半径より大きく形成されている。また、係合凹部69の中央部の半径R1に対して、その周囲部の半径R2をより小径に形成してキャッチ14の係合凸部62の侵入に勢いを持たせるようにし、また係合凹部69の周囲部は丸み(半径R3)をつけて係合凸部62の侵入を滑らかにしている。
【0040】
図4に示すようにフック56は、基板の中心部には孔78が設けられ、基板から外向きに径が拡大した係止部79が形成されている。カバーキャップ57は、基板の内側に係止溝80が設けられ、外側はキャップ状の部材である。このカバーキャップ57は、上記係止溝80をフック56の係止部79に嵌め込んで固定する。
【0041】
上記リフト部8を構成するリング体28は図11に示すように、円筒状の部材であり、筒の上端の左右部に軸方向に突出する嵌合凸部84が形成され、下端部には等間隔に4箇所の頂部86が、また各頂部86間の4箇所には谷部87が形成され、これら頂部86と谷部87間には斜面85が形成されている。頂部86は半径Rの丸みを持ち、また谷部87の底は平坦に形成されている。
【0042】
環状プレート30は図12に示すように円環状をなし、この左右部にはそれぞれ保持部89が内側に突出形成され、この保持部89の中央部には鋼球32を保持する凹部90が形成されている。また、環状プレート30の左右部から下向きそれぞれ係合凸部91が突出形成されている。この実施形態では、2個の鋼球32を用いる形態を採っているが、より強度を高めるために4個の鋼球32を用いる形態をとることができる。この場合には、環状プレート30の保持部89を等間隔に4箇所設けて、各凹部90にそれぞれ鋼球32を配置し、各鋼球32が上記リング体の28の斜面85を移動する構成とする。
【0043】
リテーナ36は図4に示すように、中空の円板状部材であり、内側の周囲部には等間隔に4箇所の切欠凹部92が形成されている。このリテーナ36は、上記各切欠凹部92にそれぞれ鋼球34がはめ込まれ、ベアリングとして機能する。図13に示す受座38は、中央に円形の孔96が形成された円板状の部材であり、孔96の向かい合う辺の外側近傍には、それぞれ円弧状の係合溝部93が形成されている。この孔96の周囲部には、等間隔に4箇所小さな凸部88が形成されている。また、受座38の表面部には、円環状の壁部94によって円形の窪み部95が形成されている。
【0044】
電動の駆動部9は図14に示すように、モーター2と、このモーター2の回転速度を複数の平歯車106及び遊星歯車108によって減速するギア機構部4とで構成される。この減速により、携帯電話機1の蓋体部43を開閉するための十分なトルクが得られる。ギア機構部4は、回転力をヒンジ機構部6に伝達する出力軸46を有している。この駆動部9は、バンド部47により携帯電話機1の筐体の本体部41に固定される。
【0045】
ここで、図2乃至図4及び図15に基づき、上記ヒンジ機構部6の形態について説明する。図15に示すように、第1のトルクプレート24は軸体12に挿通され、その平坦部99が軸体12の係合面49と係合し軸体12と一体に回動する。第2のトルクプレート25は、筒体16と嵌合して一体に回動し、この第2のトルクプレート25の内周面59と第1のトルクプレート24の外周面58とが当接した状態で、クラッチ部10が構成される。
【0046】
組み立てに際しては、第2のトルクプレート25と筒体16との間にストッパ51を挟んで、第2のトルクプレート25の嵌合凸部100を筒体16の嵌合部71に嵌合させ、これらを軸体12の第2軸部54に挿通させる。ストッパ51は、中央の貫通孔の左右2箇所の切欠凹部が、第2のトルクプレート25の嵌合凸部100に係合して固定される。筒体16は、第2のトルクプレート25との係合により、常に第2のトルクプレート25と一体に回動する。
【0047】
さらに、軸体12にコイルバネ26及びキャッチ14を挿通させ、同時に筒体16にコイルバネ26を収納する。そして、コイルバネ26の一端部を筒体16の底部73に、他端部をキャッチ14に当接させた状態で、キャッチ14の係合部63を筒体16の嵌合凹部75に嵌合させる。この嵌合凹部75は一定幅に切り欠かれており、キャッチ14は軸方向に移動自在である。次に、第1軸部52に挿通されたキャッチ14に押し当てる状態で、第1軸部52にディスク18を挿通する。
【0048】
このヒンジ部7は、コイルバネ26によりキャッチ14が常にディスク18方向に付勢され、ディスク18に対するキャッチ14の回動に伴い、キャッチ14の係合凸部62がディスク18の係合凹部69への侵入及び脱出を繰り返すカム機構を形成する。
【0049】
リフト部8の組立てでは、受座38の窪み部95にリテーナ36をはめ込み、このリテーナ36の切欠凹部92に鋼球34を介在させ、これに鋼球32を凹部90に保持した環状プレート30を内挿する。そして、この環状プレート30の鋼球34の上部にリング体28を配置し、このリング体28を先頭に、軸体12の第1軸部52に各部材を挿通する。このとき、受座38は、その孔96が第1軸部52に圧入して軸体12に固定され、このため、受座38は軸体12と直結して常に軸体12と一体に回動する。
【0050】
このリフト部8では、環状プレート30に保持された鋼球32が、上記リング体28の斜面85に当接し、環状プレート30の回動に伴いこの斜面85に沿って移動する。一方、リテーナ36に設けた鋼球34が、受座38とディスク18の各面に当接し、転がりを生じる。最後に、フック56を軸体12の端部に嵌め込みこの端部をかしめてフック56を固定する。これで、ヒンジ機構部6の組立てが完了する。
【0051】
この状態で、ヒンジ機構部6は、コイルバネ26の一端部はキャッチ14に、他端部は筒体16の底部73に当接し、このコイルバネ26の付勢力により、キャッチ14はディスク18を押圧し、筒体16はこれと係合する第2のトルクプレート25を押圧して、その内周面59は第1のトルクプレート24の外周面58に圧接される。この第2のトルクプレート25の内周面59と、第1のトルクプレート24の外周面58との圧接により、面58,59同士の間に所定の摩擦力が発生しクラッチ部10として機能する。このクラッチ部10は、通常時は摩擦力により第1のトルクプレート24と第2のトルクプレート25とは一体に回動するが、両者間に所定以上のトルクが加わった場合には滑りが発生して一方のみが回動することになる。
【0052】
上記電動ヒンジ装置3及び補助ヒンジ装置5は図1に示すように、本体部41と蓋体部43との間に装備される。電動ヒンジ装置3のヒンジ機構部6は、第1の筒部112と第4の筒部110とにわたって内装され、ストッパ51が第4の筒部110の端部に係止して固定される。このとき、ヒンジ機構部6の筒体16は第4の筒部110と嵌合して固定され両者は一体に回動する。また、ヒンジ機構部6のディスク18は、その嵌合凸部67が第1の筒部112に軸方向と平行に形成された溝部と嵌合して固定される。
【0053】
電動ヒンジ装置3のモーター2は本体部41に装備され、ギア機構部4は本体部41から第2の筒部118にかけて装備される。このギア機構部4の出力軸46は、軸体12の嵌合穴55に嵌入して軸体12に動力を伝達する。こうして、上記ヒンジ機構部6に対し、コの字状に屈曲させて上記ギア機構部4及びモーター2からなる駆動部9を第2の筒部118及び本体部41に配置する。このように、電動ヒンジ装置3の全体をコの字状の形態に配置したことで、本体部41と蓋体部43との連結部位(第2の筒部118、第5の筒部114)に空間部が生み出せ、両者間を電気的に接続するケーブル(フレキシブルプリント板等)の実装スペースが確保できる。
【0054】
一方、補助ヒンジ装置5は、第3の筒部116と第5の筒部114とにわたって内装され、フック128が第5の筒部114に係止して固定される。そして、補助ヒンジ装置5の筒体120は第3の筒部116と嵌合して一体化する。また、補助ヒンジ装置5のディスク122及びフック128は第5の筒部114と嵌合して一体に回動する。この補助ヒンジ装置5は、蓋体部43の開閉の支軸として機能する。
【0055】
ここで、電動ヒンジ装置3の基本機能について説明する。この電動ヒンジ装置3は筒体16が第1ヒンジ部を、またディスク18が第2ヒンジ部を形成し、これらがヒンジ機構部6の開閉の作用部として機能する。この筒体16は携帯電話機の蓋体部43と連結される一方、ディスク18は本体部41と連結して固定され、筒体16の回動により蓋体部43を開閉駆動する。したがってクラッチ部10を介してギア機構部4からの駆動力が筒体16に伝達されると、筒体16が回動して蓋体部43が自動的に開閉する。
【0056】
手動で蓋体部43を開閉した場合には、これとともに筒体16及び第2のトルクプレート25が回動するが、この場合には軸体12は固定状態であるため、クラッチ部10の第1のトルクプレート24と第2のトルクプレート25との間に滑りが発生し、軸体12は停止したままである。
【0057】
上記筒体16が回動した場合、図16に示すように、筒体16と一体に回動するキャッチ14の係合凸部62が、コイルバネ26の付勢力に抗してディスク18の係合凹部69から抜け出し案内路68を移動する。そして、上記係合凸部62が、ディスク18の他の係合凹部69に侵入したとき、キャッチ14の回動が規制される。この場合、蓋体部43が閉状態、或いは開状態(180°以内、たとえば160°)において、図16(b)に示すように、キャッチ14の係合凸部62は係合凹部69内への侵入途中の状態となるように構成されている。この状態では、コイルバネ26による付勢力が作用し、蓋体部43の閉状態、及び開状態が固く維持される。
【0058】
ここで、リフト部8について説明する。図17(a)に示すように、電動(自動)により携帯電話機の蓋体部43が閉状態にある場合には、ディスク18の係合凹部69にキャッチ14の係合凸部62がはまり込み、コイルバネ26の付勢力により係合状態が維持される。この状態では、リング体28は低い位置(鋼球32が谷部87に位置)にある。このとき、蓋体部43を開駆動するためには、上記キャッチ14を回動させてその係合凸部62をディスク18の係合凹部69から抜け出させる必要があり、このため回動初期時には大きなトルクが必要となる。
【0059】
これに対して上記リフト部8は、キャッチ14の回動とともに、キャッチ14をディスク18から引き離す方向に移動させ、これによりヒンジ機構部6の駆動を安定かつ滑らかに行わせる。リフト部8は、受座38及び環状プレート30の回動により、2個の鋼球32の上に載置されたリング体28を持ち上げて回動運動を直線運動に変換するカム機能を有する。
【0060】
図18(a)(b)(c)は、リフト部8の動作を説明したものである。先ず、開操作による軸体12の回動により、受座38及びこれと嵌合する環状プレート30が回動する。このとき、環状プレート30の回動とともに、環状プレート30に保持された鋼球32は、リング体28下部の谷部87から斜面85を経由して頂部86へと移動する。この斜面85は図18(c)に示すように、環状プレート30の回動する面に対して角度α°の傾斜面を形成しており、この鋼球32自体は平面的に移動するだけであるから、この鋼球32の上部に位置するリング体28が持ち上げられる。
【0061】
図17(b)に示すようにリング体28の持ち上げにより、このリング体28と係合するキャッチ14がディスク18から引き離され、キャッチ14の係合凸部62が係合凹部69から浮き上がる。この状態では、リング体28は高い位置(鋼球32が頂部86に位置)にある。
【0062】
上記キャッチ14の移動(引き離し)により、キャッチ14を付勢するコイルバネ26が圧縮され、これがコイルバネ26の他端部の付勢力を増大させる。これにより筒体16及び第2のトルクプレート25がさらに押圧され、この第2のトルクプレート25の内周面59が第1のトルクプレート24の外周面58を強く圧接して摩擦力が増し、クラッチ部10におけるトルク伝達力が増大する。そして、第1のトルクプレート24から第2のトルクプレート25に伝達された回動力は、筒体16を介してキャッチ14へと伝達され、キャッチ14を強い力で回し、ディスク18の係合凹部69からのキャッチ14の係合凸部62の抜け出しに勢いを加える、という相乗効果を発揮する。
【0063】
上記キャッチ14の引き離しによる係合凸部62の離脱移動、及びクラッチ部10の摩擦力により伝達された筒体16、キャッチ14の回動移動は同時並行的に行われ、これによりキャッチ14の係合凸部62が迅速かつ滑らかに係合凹部69から抜け出る。この場合、上記係合凸部62と係合凹部69との間には、無理な摩擦が生じないので部品の消耗が防止され、耐久性に優れることにもなる。そして、キャッチ14の係合凸部62は、ディスク18の案内路68を移動し他の係合凹部69へ至る。この間、筒体16の回動に伴い蓋体部43は開移動する。
【0064】
蓋体部43は手動で開閉することも可能であり、図17(c)は、手動により蓋体部43を全開した状態を示している。このとき、リング体28は低い位置(鋼球32は谷部87に位置)にある。手動で蓋体部43を開操作する場合には、これとともに筒体16及び第2のトルクプレート25が回動するが、第1のトルクプレート24との間に滑りが発生し、軸体12は停止したままである。手動操作の途中、蓋体部43の開移動を停止すれば、蓋体部43はその位置で保持固定される。
【0065】
一方、筒体16と一体に回動するキャッチ14は、その係合凸部62が、コイルバネ26に抗してディスク18の係合凹部69から抜け出し案内路68を移動する。そして、上記係合凸部62は、ディスク18の他の係合凹部69に侵入し、蓋体部43の回動が所定のストッパ機構により停止され、蓋体部43が手動により全開状態となる。
【0066】
図19(a)は、携帯電話機の蓋体部43が自動による全開状態を示すものであり、このときには、ディスク18の係合凹部69にキャッチ14の係合凸部62がはまり込み、これにコイルバネ26による付勢力により係合状態が維持されている。この状態では、リング体28は低い位置(鋼球32が谷部87に位置)にある。このとき、閉操作により軸体12は開操作時とは逆方向に回動して蓋体部43を閉移動させるが、ここでの各機構部の基本的動作は上記開操作のときと同様である。
【0067】
この場合、閉操作による軸体12の回動(逆方向)により、図19(b)に示すようにリング体28が持ち上げられ、このリング体28と係合するキャッチ14がディスク18から引き離され、キャッチ14の係合凸部62が係合凹部69から浮き上がる。この状態では、リング体28は高い位置(鋼球32が頂部86に位置)にある。上記キャッチ14の引き離しにより、キャッチ14の係合凸部62が迅速かつ滑らかに係合凹部69から抜け出る。そして、キャッチ14の係合凸部62は、ディスク18の案内路68を移動し元の係合凹部69へ至る。図19(c)は、手動により蓋体部43を閉じた状態を示すものである。このとき、リング体28は低い位置(鋼球32が谷部87に位置)にある。
【0068】
上記リテーナ36及び鋼球34を用いたベアリング機構は、軸体12とともに回動する受座38及び環状プレート30と、軸体12とはフリーの関係にあるディスク18との間に介在し、鋼球34が転動して両者の動きを調整する。これは図20に示すように、受座38とディスク18との間に鋼球34を介在させることで、受座38の回動がディスク18に伝達されないようにしている。
【0069】
さて、図21に示すように、上記電動ヒンジ装置3及び補助ヒンジ装置5を装備した携帯電話機1は、操作スイッチ44の他、蓋体部43の開閉状態を検知するセンサー、タイマー等を有し、本体部41内に設けられた制御回路により、開閉の制御が行われる。
【0070】
ここで、電動ヒンジ装置3を用いた携帯電話機1の開閉操作について説明する。この電動ヒンジ装置3は、モーター2の駆動力による自動開閉が原則であるが、手動による蓋体部43の開閉も可能である。先ず、携帯電話機1の蓋体部43が閉状態の場合、使用者が操作スイッチ44を開操作すれば、モーター2が回転しこれをギア機構部4において減速し、出力軸46を介して軸体12を回動駆動する。
【0071】
この軸体12の回動により、上記リフト部8が駆動され、キャッチ14をディスク18から引き離す一方、軸体12の回動はクラッチ部10を介して筒体16、キャッチ14に伝達され筒体16及びキャッチ14を回動させ、ヒンジ機構部6の係合ロック状態を解除するとともに蓋体部43を開方向に展開する。そして、筒体16と一体に回動するキャッチ14の係合凸部62が、コイルバネ26の付勢力に抗してディスク18の係合凹部69から抜け出し案内路68を移動する。
【0072】
蓋体部43が所定の角度(例えば160°)に達すると、キャッチ14の係合凸部62がディスク18の他の係合凹部69に侵入する一方、蓋体部43の回動が所定のストッパ機構(本体部41の所定の部位への当接)により停止され、これと同時にセンサーが蓋体部43の開状態を検知し、制御回路がモーター2への電源供給を停止し、蓋体部43の自動開動作を終了する。
【0073】
なお、蓋体部43が自動開動作途中に、例えば手動で蓋体部43の展開を停止させたような場合には、クラッチ部10が機能して第1のトルクプレート24と第2のトルクプレート25との間に滑り発生し、クラッチ部10の接続が切れた状態となる。この時、軸体12は回るが筒体16は停止の状態となり、ギア機構部4に対する過剰な負担を無くして歯車等の破損を防止する。
【0074】
開状態の蓋体部43を閉じる場合には、使用者が操作スイッチ44を閉操作する。この時、モーター2が回転(開時とは逆回転)し、ギア機構部4、リフト部8を駆動してキャッチ14をディスク18から引き離す一方、軸体12の回動はクラッチ部10を介して筒体16及びキャッチ14を回動させ、係合ロック状態を解除するとともに蓋体部43を閉方向に回動する。このときの各機構部の基本的動作は上記開時と同様である。そして、蓋体部43が閉塞すると、キャッチ14の係合凸部62がディスク18の元の係合凹部69に侵入し、同時にセンサーが蓋体部43が閉状態を検知し、制御部がモーター2への電源供給を停止して蓋体部43の閉動作を終了する。
【0075】
携帯電話機1の蓋体部43の手動開閉は、上記クラッチ部10の介在により可能となるものである。手動で蓋体部43を開操作する場合には、蓋体部43とともに筒体16及び第2のトルクプレート25が回動するが、この第2のトルクプレート25と第1のトルクプレート24との間に滑りが発生し、軸体12は停止したままである。手動操作の途中、蓋体部43の開閉移動を停止すれば、蓋体部43は所望する角度位置で保持固定される。このフリーストップ機能により、例えば、使用者は見やすい角度に蓋体部43をセットし、テーブル等に携帯電話機1を置いたまま片手で操作キー40のボタン操作をすることができる。特に、本体部41に対して蓋体部43の角度が90°以上の位置で停止可能である点が角度的に有用である。このため、使用者は上記フリーストップ機能と電動開閉機能を選択的に利用することができ便利である。
【0076】
一方、筒体16と一体に回動するキャッチ14の係合凸部62が、コイルバネ26に抗してディスク18の係合凹部69から抜け出し案内路68を移動する。そして、上記係合凸部62は、ディスク18の他の係合凹部69に侵入し、蓋体部43の回動が所定のストッパ機構により停止され、蓋体部43は開状態を維持する。手動で蓋体部43を閉操作することもでき、この場合の各機構部の動作は、上記開操作の場合と同様である。
【0077】
従って上記実施の形態によれば、携帯電話機の開閉が片手でのスイッチ操作のみで自動的に行え操作性が向上する。また、携帯電話機の蓋体部が全開あるいは閉塞した状態においては、ヒンジ機構が係合固定した状態にあるが、リフト部の作用により上記係合が容易に解除されて動作が安定し、かつキャッチとディスクとの間に無理な摩擦が生じないので部品の消耗が防止され、耐久性に優れる。また、電動で開閉している途中に手動で無理に開閉しようとすると、クラッチ部の作用によりギア機構部の歯車等の破損が防止できる。さらに、手動でも携帯電話機の開閉が行えるという利便性がある。なお、上記電動ヒンジ装置3は、携帯電話機以外の携帯電子機器或いは開閉形の電子機器等にも適用することができる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る電動ヒンジ装置によれば、第1筐体部と第2筐体部とを回動可能に連結するヒンジ機構部及び駆動部を有し、ヒンジ機構部は、手動で開閉時に第2筐体部を第1筐体部に対して、開閉途中の所定の角度で停止可能に構成したから、使用者は見やすい角度に第2筐体部をセットすることができ、このようなフリーストップ機能と電動開閉機能とを選択的に利用することができるという効果がある。
【0079】
本発明に係る電動ヒンジ装置によれば、第1筐体部と第2筐体部とを回動可能に連結するヒンジ機構部及び駆動部を有し、ヒンジ機構部は、第1筐体部に固定される第1ヒンジ部、摩擦力により第2筐体部を開閉駆動する第2ヒンジ部を有する構成を採用したから、第2筐体部の開閉が自動的に行え操作性が向上するとともに、開閉の外力が加えられても滑りにより駆動部の部品の破損が防止できるという効果がある。また、係合により回動が規制される第2ヒンジ部を有することとしたから、第2筐体部の開閉状態が好適に維持されるという効果がある。
【0080】
本発明に係る電動ヒンジ装置によれば、ヒンジ機構部は、第1筐体部に固定される第1ヒンジ部軸体、第2筐体部を開閉駆動する第2ヒンジ部、クラッチ部、及び第1ヒンジ部と第2ヒンジ部との係合を解除するリフト部を有する構成を採用したから、第2筐体部の開閉が自動的に行え操作性が向上するとともに、リフト部の作用により係合が容易に解除されて動作が安定しかつ耐久性に優れ、また外力が加えられても駆動部の破損が防止できるという効果がある。
【0081】
本発明に係る電動ヒンジ装置によれば、第2ヒンジ部を筒体で構成したから、第2筐体部との結合が好適に行え、また、第1ヒンジ部をディスクで構成したから、第1筐体部との結合が好適に行え、筐体へのヒンジ部の固定が容易に行えるという効果がある。
【0082】
また、本発明に係る電動ヒンジ装置によれば、クラッチ部の第1のトルクプレートは傾斜した外周面を有し、第2のトルクプレートはラッパ状の内周面を有する構成としたから、接触面積が広くなって十分な摩擦力が確保できるとともに表面の消耗が低減できるという効果がある。
【0083】
本発明に係る電動ヒンジ装置によれば、リフト部は、キャッチをディスクから引き離す構成としたから、係合が容易に解除されて動作が安定し、かつ凹面部と凸面部との間の磨耗が低減され耐久性に優れるという効果がある。
【0084】
本発明に係る電動ヒンジ装置によれば、ヒンジ機構部に対し、コの字状に屈曲させて駆動部を第1筐体部に配置したから、第2筐体部と第1筐体部との連結部位に空間部が生み出せ、電気ケーブルの実装スペースが確保できるという効果がある。
【0085】
本発明に係る携帯電話機によれば、操作スイッチにより第2筐体部を開又は閉駆動する上記電動ヒンジ装置を有する構成を採用したから、携帯電話機の筐体部の開閉が自動的に行え操作性が向上するとともに、リフト部の作用により係合が容易に解除されて動作が安定しかつ耐久性に優れ、また外力が加わっても駆動部の部品の破損が防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係り、携帯電話機に装備した電動ヒンジ装置を示す図である。
【図2】実施の形態に係り、(a)は電動ヒンジ装置の断面図、(b)は正面図、(c)は側面図を示す。
【図3】実施の形態に係る電動ヒンジ装置のクラッチ部の分解斜視図である。
【図4】実施の形態に係る電動ヒンジ装置のヒンジ部及びリフト部の分解斜視図である。
【図5】ヒンジ機構部の軸体を示す図である。
【図6】ヒンジ機構部の筒体に係り、(a)は左側面図を、(b)は正面図を、(c)は右側面図を、(d)はAA断面図を示す。
【図7】ヒンジ機構部の第1のトルクプレートに係り、(a)は側面図を、(b)はBB断面図を、(c)は他の側面図を示す。
【図8】ヒンジ機構部の第2のトルクプレートに係り、(a)は側面図を、(b)はCC断面図を、(c)は他の側面図を、(d)はDD断面図を示す。
【図9】ヒンジ機構部のキャッチに係り、(a)は側面図を、(b)はEE断面図を、(c)は他の側面図を示す。
【図10】ヒンジ機構部のディスクに係り、(a)は側面図を、(b)はFF断面図を、(c)は他の側面図を、(d)はGG断面図を示す。
【図11】ヒンジ機構部のリング体に係り、(a)は左側面図を、(b)は正面図を、(c)は右側面図を、(d)はリング体を平面状に表した図を示す。
【図12】ヒンジ機構部の環状プレートに係り、(a)は左側面図を、(b)は正面図を、(c)は右側面図を示す。
【図13】ヒンジ機構部の受座に係り、(a)は正面図を、(b)はHH断面図を、(c)は右側面図を、(d)はII断面図を示す。
【図14】電動ヒンジ装置のモーター及びギア機構部を示す図である。
【図15】ヒンジ機構部のクラッチ部の分解図である。
【図16】ヒンジ機構部に係り、(a)はディスクを、(b)はディスクとキャッチの関係を示す図である。
【図17】ヒンジ機構部のリフト部の説明図であり、(a)は電動での全閉状態(リフト低位置)、(b)はリフト高位置、(c)は手動での全開状態(リフト低位置)を示す図である。
【図18】ヒンジ機構部のリフト部の動作説明図であり、(a)はリフト低位置の状態、(b)は鋼球とリング体との関係、(c)はリング体の斜面を移動する鋼球を示す図である。
【図19】ヒンジ機構部のリフト部の説明図であり、(a)は電動での全開状態(リフト低位置)、(b)はリフト高位置、(c)は手動での全閉状態(リフト低位置)を示す図である。
【図20】ヒンジ機構部の受座、鋼球及びディスクの関係を示す図である。
【図21】本発明の実施の形態に係り、電動ヒンジ装置を装備した携帯電話機の、(a)は側面図を、(b)は正面図を示す。
【図22】従来例に係る電動折りたたみ式携帯電話機を示す図である。
【符号の説明】
2 モーター
3 電動ヒンジ装置
4 ギア機構部
6 ヒンジ機構部
7 ヒンジ部
8 リフト部
9 駆動部
10 クラッチ部
12 軸体
14 第2ヒンジ部(キャッチ)
16 第2ヒンジ部(筒体)
18 第1ヒンジ部(ディスク)
24 第1のトルクプレート
25 第2のトルクプレート
26 付勢手段(コイルバネ)
28 リング体
30 環状プレート
38 受座
41 第1筐体部(本体部)
43 第2筐体部(蓋体部)
62 係合凸部
69 係合凹部
Claims (10)
- 第1筐体部と第2筐体部とを回動可能に連結するヒンジ機構部、及び電動の駆動部を有する電動ヒンジ装置において、
上記ヒンジ機構部は、
上記第1筐体部に固定される第1ヒンジ部と、
この第1ヒンジ部に対して回動可能であり、かつ上記第2筐体部を開閉駆動し、所定の開閉位置において、第1ヒンジ部との付勢手段の付勢力を伴う係合により回動が規制される第2ヒンジ部と、
上記駆動部の回動運動を摩擦力により上記第2ヒンジ部に接続するクラッチ部と、
上記駆動部の回動運動を直線運動に変換し、上記付勢手段の付勢力に抗して上記第1ヒンジ部と上記第2ヒンジ部との係合を解除するリフト部と、を有することを特徴とする電動ヒンジ装置。 - 第1筐体部と第2筐体部とを回動可能に連結するヒンジ機構部、及び電動の駆動部を有する電動ヒンジ装置において、
上記ヒンジ機構部は、
上記第1筐体部に固定される第1ヒンジ部と、
この第1ヒンジ部に対して回動可能であり、かつ上記第2筐体部を開閉駆動し、所定の開閉位置において、第1ヒンジ部との付勢手段の付勢力を伴う係合凸部と係合凹部同士の係合により回動が規制される第2ヒンジ部と、
上記第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部を回動可能に支持するとともに、上記駆動部の回動運動を伝達する軸体と、
上記軸体の回動運動を摩擦力により上記第2ヒンジ部に接続するクラッチ部と、
上記軸体の回動運動を直線運動に変換し、上記付勢手段の付勢力に抗して上記係合凸部と係合凹部同士を引き離して上記第1ヒンジ部と第2ヒンジ部との係合を解除するリフト部と、を有することを特徴とする電動ヒンジ装置。 - 第1筐体部と第2筐体部とを回動可能に連結するヒンジ機構部、及び電動のモーターとその回転速度を減速するギア機構部が設けられた駆動部を有する電動ヒンジ装置において、
上記ヒンジ機構部は、
上記第1筐体部に固定される第1ヒンジ部と、
この第1ヒンジ部に対して回動可能であり、かつ上記第2筐体部を開閉駆動し、所定の開閉位置において、第1ヒンジ部との付勢手段の付勢力を伴う係合凸部と係合凹部同士の係合により回動が規制される第2ヒンジ部と、
上記第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部を回動可能に支持するとともに、上記駆動部の回動運動を伝達する軸体と、
上記軸体の一端部に取付けられ軸体と一体に回動する第1のトルクプレート、及び上記第2ヒンジ部に接続され、上記付勢手段によりこの第1のトルクプレートに滑り可能に当接する第2のトルクプレートを有し、上記軸体の回動運動を摩擦力により上記第2ヒンジ部に接続するクラッチ部と、
上記軸体の回動運動を直線運動に変換し、上記付勢手段の付勢力に抗して上記係合凸部と係合凹部同士を引き離して上記第1ヒンジ部と第2ヒンジ部との係合を解除するリフト部と、を有することを特徴とする電動ヒンジ装置。 - 上記第2ヒンジ部は、上記軸体を挿通するとともに上記付勢手段を収納し、上記第2のトルクプレートと係合して一体に回動する筒体及びこの筒体とともに回動し軸方向に移動可能なキャッチからなることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の電動ヒンジ装置。
- 上記第1ヒンジ部は、一対の係合凹部を有し上記付勢手段により一対の係合凸部を有する上記キャッチに圧接され、このキャッチの回動により上記係合凸部が上記係合凹部へ侵入し係合するディスクからなることを特徴とする請求項4に記載の電動ヒンジ装置。
- 上記リフト部は、上記軸体とともに回動する環状プレート、この環状プレートに保持された球体が、当該球体と当接する下部の谷部から斜面を経由して頂部の位置へと移動することで持ち上げられ、上記キャッチの係合凸部を上記ディスクの係合凹部から引き離すリング体を有することを特徴とする請求項5に記載の電動ヒンジ装置。
- 上記クラッチ部は、次第に径が拡大する外周面を有する円環状の第1のトルクプレート、及び上記外周面に当接し、次第に内径が拡大するラッパ状の内周面を有する第2のトルクプレートを具備することを特徴とする請求項3乃至請求項6の何れかに記載の電動ヒンジ装置。
- 上記ギア機構部は、上記モーターの回転速度を減速する平歯車及び遊星歯車を有することを特徴とする請求項3乃至請求項7の何れかに記載の電動ヒンジ装置
- 上記ヒンジ機構部に対し、コの字状に屈曲させて上記駆動部を上記第1筐体部に配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の電動ヒンジ装置。
- 操作キーを有する第1筐体部と表示部を有する第2筐体部とを具備し、これら第1筐体部と第2筐体部とを連結し、操作スイッチにより第2筐体部を開又は閉駆動する請求項1乃至請求項9の何れかに記載の電動ヒンジ装置を有することを特徴とする携帯電話機。
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