JP4183322B2 - 大内行灯 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は大内行灯に関し、さらに詳しくは、大内行灯の架台部の組立構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に大内行灯は、段付円板状の台板に3本の脚の上端部を嵌込み、この台板の上面側に2本の支柱の下端部を嵌込み、支柱の上部に取手を取付ける形式の架台を用いている。火袋は取手取付前に下部を台板に取付け、上部を支柱に掛止させて架台に組込む。そして行灯の使用期間後は、各部を分解して各部品の形で保管される。
【0003】
ところが上記の脚と台板の取付構造は、脚の上端部に突設した小角柱状の突起を、台板の下面に削設した角穴に嵌脱させるものであり、上記突起は脚と一体の木製のものであり、角穴も台板の木材の削設面で構成されているので、突起と角穴の嵌脱を繰返しているうちに各表面部が塑性変形して、突起と角穴の嵌合がゆるくなり、脚が傾いて行灯が傾いたり、各脚の上下中間部に嵌込んで各脚を連結している三角枠体の連結具が脱落したり、さらには脚が台板から脱落して架台の組立が不能となるなどの問題点があった。
【0004】
また同様に支柱と台板の取付構造も、支柱の下端部に形成した木製の小角柱状の突起を、台板の上面に削設した角穴に嵌脱させるものであるので、上記と同様に嵌脱の繰返しにより変形して、支柱が台板に直立しなくなったり、取手を把持して持上げるときに支柱が台板部から脱けてしまい、火袋に過大な引張力がかかり破損するなどの問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は上記の問題点を解決しようとするもので、脚と台板の嵌合部の変形が少なく、長期にわたって脚と台板の適正な嵌合状態を維持できる耐久性に富む大内行灯を提供することを目的とする。
【0006】
また請求項2記載の発明は上記の目的に加えて、支柱と台板の嵌合部の変形が少なく、長期にわたって支柱と台板の適正な嵌合状態を維持できる耐久性に富む大内行灯を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、脚の上端部を嵌込んだ台板に火袋の下部を取付け、前記台板に下端部を嵌込んだ支柱に前記火袋の上部を掛止させるようにした大内行灯において、前記脚の上端部に、プラスチック製の角筒状のカバーで表面部を被覆した突起を設け、前記台板の下面側に、角穴を有するプラスチック製のブッシュを嵌着し、前記カバーの頂板部に、上向きに突出するピンを固設するとともに、前記ブッシュの底板部に、前記ピンが嵌合する穴を設け、前記突起を前記ブッシュの角穴に嵌脱させることにより前記台板と前記脚の組立・分解をおこなうようにしたことを特徴とする。
【0008】
この発明において「上」側および「下」側とは、大内行灯の使用状態における上側および下側を指すものである。
【0009】
このように脚の突起の表面部および台板の角穴の表面部はいずれもプラスチック製であるので、これら表面部が木製である従来のものに比べて、突起と角穴の嵌脱の繰返しによる各表面部の塑性変形量は少なく、当初の適正なしめ代を有する嵌合状態を長期間にわたって維持できる。
【0010】
また請求項2記載の発明は、脚の上端部を嵌込んだ台板に火袋の下部を取付け、前記台板に下端部を嵌込んだ支柱に前記火袋の上部を掛止させるようにした大内行灯において、前記脚の上端部に、プラスチック製の角筒状のカバーで表面部を被覆した突起を設け、前記台板の下面側に、角穴を有するプラスチック製のブッシュを嵌着し、前記カバーの頂板部に、上向きに突出するピンを固設するとともに、前記ブッシュの底板部に、前記ピンが嵌合する穴を設け、前記支柱の下端部に、プラスチック製の角筒状の下部カバーで表面側を被覆した下部突起を設け、前記台板の上面側に、角穴を有するプラスチック製の支柱用ブッシュを嵌着し、前記突起を前記ブッシュの角穴に嵌脱させることにより前記台板と前記脚の組立・分解をおこなうとともに、前記下部突起を前記支柱用ブッシュの角穴に嵌脱させることにより前記台板と前記支柱の組立・分解をおこなうようにしたことを特徴とする。
【0011】
このように請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同じ脚の突起と台板の角穴の嵌合構造を有するので請求項1記載の発明と同じ作用が得られるのに加えて、支柱の下部突起の表面部および台板の支柱用ブッシュの角穴の表面部もプラスチック製であるので、これら支柱嵌合部の表面部が木製である従来のものに比べて、下部突起と下部ブッシュの角穴の嵌脱の繰返しによる各表面部の塑性変形量が少なく、支柱と台板も、当初の適正なしめ代を有する嵌合状態を長期にわたって維持できる。
【0012】
この発明において、脚の突起の表面部の角筒状のカバー、ブッシュ、支柱の突起の表面部の角筒状のカバー、支柱用ブッシュ等を構成するプラスチックとしては、たとえばABS樹脂、ポリアミド系樹脂(ナイロン)、ポリエステルなどの各種の軟質〜半硬質プラスチックを用いることができ、特にABS樹脂は耐摩耗性および他材料に対する接着性がすぐれている点で好ましい。
【0013】
この発明においては、前記カバーの側面および前記ブッシュの角穴の側面は、平面状としてもよいが、請求項5または6記載の発明のように、前記カバーの側面部または前記ブッシュの角穴の側面部に、上下方向に延びる突条を設けた構成とすれば、両側面部の全面が互いに密着して前記突起の角穴への嵌脱が困難となるということがなく、またこの嵌脱の際に突条間のすきまから角穴に空気が自由に出入りできるので、前記突起の角穴への嵌脱を円滑におこなうことができ、好ましい。
【0014】
この発明においては、前記カバーの頂板部に、上向きに突出するピンを固設するとともに、前記ブッシュの底板部に、前記ピンが嵌合する穴を設けた構成としたので、脚の下端部に過大な力がかかった場合やカバーの上端部付近が摩耗した場合などにおいても、ピンと穴の嵌合により脚の大きな傾斜が抑制される。
【0015】
また前記下部カバーの側面および前記支柱用ブッシュの角穴の側面は、平板状としてもよいが、請求項3または4記載の発明のように、前記下部カバーの側面部または前記支柱用ブッシュの角穴の側面部に、上下方向に延びる突条を設けた構成とすれば、両側面部の全面が互いに密着して前記下部突起の支柱用ブッシュの角穴への嵌脱が困難となるということがなく、またこの嵌脱の際に突条間のすきまから角穴に空気が自由に出入りできるので、前記下部突起の支柱用ブッシュの角穴への嵌脱を円滑におこなうことができ、好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下図1〜図8によりこの発明の実施の形態の一例を説明する。図1において、1は大内行灯で、架台2と火袋3と照明器具4とから成り、架台2は、つば付円板状の台板11の下側に脚12を、上側に支柱13をそれぞれ嵌込んで組立て、火袋3の取付後に支柱13の上部に取手14を嵌込んで組み立てる構造のものであり、通電により発光するろうそく形の照明器具4は台板11上に取付けられる。15は、3本の脚12の上下中間部に穿設した長穴12aに先端部を嵌脱されて各脚を連結する、三角枠体状の連結具である。
【0017】
火袋3は、略球殻上に巻付成形した竹ヒゴなどの細線材21(図2参照)の外周に絹や和紙などの透光素材22を貼付けて成る火袋本体23の上下端部に、上部化粧輪24と下部化粧輪25を取付けて成る。そしてこの火袋3の架台2への取付時には、下部化粧輪25を台板11のつば部より上側の外周部に嵌合させ、台板11に立設した軸16のまわりに回動させた爪片17(図2および図8参照)により下部化粧輪25部の抜け止めを施し、上部化粧輪24に取付けた吊り紐26,26を支柱13,13の側部に突設したピン18,18に引掛けて火袋伸長状態での保持をおこなうものである。
【0018】
脚12の上端部には、図2〜図4に示すように、木製の脚12と一体の四角柱状の脚本体突起部31に、プラスチック製(この例では半硬質ABS樹脂製)の角筒状のカバー32を被せて接着剤により接着して成る突起30を設けてある。カバー32は、四角筒部33の上端に頂板34を連設し、四角筒部33の側面部には、上下方向に延びる複数本(この例では1面あたり3本)の突条35を設けるとともに、四角筒部33に連設した頂板34に上向きに突出するピン36を設け、各部は射出成形により一体成形されている。
【0019】
一方この脚12の取付部として、台板11の下面側には、図2および図5に示すように、角穴41を有する3個のプラスチック製(この例では半硬質ABS樹脂製)のブッシュ40が、台板11に削設した穴42に嵌込まれ接着剤により接着されている。ブッシュ40は、四角筒部43の下端につば板44を、上端に底板45を一体に設け、脚取付時に前記カバー32の頂板34と対向する底板45の中央部には、前記ピン36が嵌合する穴46を設け、各部は射出成形により一体に成形されている。なお図5において11aは照明器具4取付用の貫通穴、11bは同じく凹穴である。
【0020】
そして上記ブッシュ40とカバー32とは、突起30の角穴41への嵌込時にしまり嵌めとしての嵌合状態が得られるように、角穴41の対辺間寸法に対しカバー32の外形寸法(突条頂面間寸法)が所定のしめ代分(各部を構成するプラスチック材の弾性等にもよるが、この例では対辺間寸法12.5mmの角穴に対して10〜20μm)だけ大きくなるように、成形されている。
【0021】
また支柱13の下端部には、図6および図7に示すように、木製の支柱13と一体の四角柱状の支柱本体突起部51に、プラスチック製の角筒状の下部カバー52を被せて接着剤により接着して成る下部突起50を設けてある。この下部カバー52としては、この例では前記の脚用のカバー32と同一品を用いているので、同一部分に同一符号を付して図示し、その詳細な説明は省略する。
【0022】
この支柱13の嵌込取付部として、台板11の上面側には、図6および図8に示すように、角穴61を有する2個のプラスチック製の支柱用ブッシュ60が、台板11に削設した穴62に嵌込まれ接着剤により接着されている。この支柱用ブッシュ60としては、この例では前記の脚用のブッシュ40と同一品を用いているので、同一部分に同一符号を付して図示し、その詳細な説明は省略する。
【0023】
上記構成の大内行灯1の架台2部を組立てるには、台板11を底面側を上向きにして床面上などに置き、脚12の突起30を台板11のブッシュ40の角穴41に嵌込む。3本の脚12を台板11に嵌込んだら、各脚の上下中間部の長穴12aに、三角枠状の連結具15の先端部を嵌込んで各脚を連結する。次にこの部分組立品を上下反転させ、台板11の支柱用ブッシュ60の角穴61に、支柱13の下部突起50を嵌込んで、2本の支柱13を立てる。
【0024】
その後、照明器具4や火袋3の取付け、取手14の支柱13への取付けなどをおこなえばよい。また行灯使用後は、上記と逆の手順で各部を分解し、支柱13の下部突起50は角穴61から引抜き、脚12の突起30は角穴41から引抜けばよい。
【0025】
脚12の突起30および台板11の角穴41の各表面部は、いずれもプラスチック製なので、従来の木製のものに比べて、突起30と角穴41の嵌脱の繰返しによる各表面部の塑性変形量は少なく、当初のしめ代は急激には減少しないので、長期にわたって脚12と台板11の適正な嵌合状態が維持される。
【0026】
また支柱13の下部突起50および台板11の角穴61の各表面部も、プラスチック製なので、従来の木製のものに比べて、下部突起50と角穴61の嵌脱の繰返しによる各表面部の塑性変形量は少なく、当初のしめ代は急激には減少しないので、長期にわたって支柱13と台板11の適正な嵌合状態が維持される。
【0027】
また上記の突起30の角穴41への嵌脱時、および下部突起50の角穴61への嵌脱時においては、カバー32および下部カバー52の側面部に上下方向に延びる突条35を設けてあるので、突起と角穴の側面部の全面が互いに密着して突起の角穴への嵌脱が困難となるということがなく、またこの嵌脱の際に突条間のすきまから空気が自由に出入りできるので、突起と角穴の嵌脱を円滑におこなうことができる。
【0028】
この発明は上記の例に限定されるものではなく、たとえばつば板44を省略するなど、カバー32、下部カバー52、ブッシュ40、支柱用ブッシュ60などの具体的形状や材質は、上記以外のものとしてもよい。また上記の例では、カバー32(および下部カバー52)の表面部に突条35を設けたが、図9に示すように、ブッシュ40の角穴41(および支柱用ブッシュ60の角穴61)の側面部に、上下方向に延びる突条35を設ける構成としてもよい。なお図中、図4および図5と同一または部分には同一符号を付してある。また角穴41,61の隅部などに通気用の溝を設けたりする場合は、突条35の付設は省略してもよい。
【0029】
また上記の例では、脚12用のカバー32およびブッシュ40と、支柱13用の下部カバー52および支柱用ブッシュ60は、同一部品を用いたので、部品が共通化され低コスト化をはかれるという利点を有するものであるが、これらを必要強度などに応じて別部品を用いるようにしてもよい。
【0030】
また支柱13が直棒状であるのに対して、脚12は一般に湾曲していて突起30部に対して脚下端部は外方へ偏心した位置にあるため、突起30部には大きな曲げモーメントがかかりやすく、これによってカバー32およびブッシュ40の圧接部が局部的に弾性変形して脚12が傾き、連結具15が脱落したりしやすいが、上記の例ではカバー32の頂板部に固設したピン36がブッシュ40の底板部の穴46に嵌合して脚12の大きな傾斜を抑制するという長所を有するものであるが、直棒状で上記のような大きな曲げモーメントがかかりにくい支柱13に対しては、本発明の下部突起50と支柱用ブッシュ60による嵌脱構造は省略してもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、脚の突起の表面部および台板の角穴の表面部はいずれもプラスチック製であるので、これら表面部が木製である従来のものに比べて、突起と角穴の嵌脱の繰返しによる各表面部の塑性変形量は少なく、脚と台板の嵌合部の変形が少なく、長期にわたって脚と台板の適正な嵌合状態を維持できる耐久性に富む大内行灯が得られるとともに、カバーの頂板部に上向きに突出するピンを固設するとともにブッシュの底板部にピンが嵌合する穴を設けたので、ピンと穴の嵌合により脚の大きな傾斜が抑制される。
【0032】
また上記の効果に加えて、請求項2記載の発明によれば、支柱の下部突起の表面部および台板の支柱用ブッシュの角穴の表面部もプラスチック製であるので、これら支柱嵌合部の表面部が木製である従来のものに比べて、下部突起と角穴の嵌脱の繰返しによる各表面部の塑性変形量が少なく、支柱と台板の嵌合部の変形が少なく、長期にわたって支柱と台板の適正な嵌合状態を維持できる耐久性に富む大内行灯が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の一例を示す大内行灯の一部切欠正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図2における脚12の上部正面図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】図1における台板11の底面図である。
【図6】図1のC部拡大断面図である。
【図7】図6における支柱13の下部正面図である。
【図8】図1における台板11の平面図である。
【図9】この発明の実施の形態の他の例を示す台板11の部分拡大底面図である。
【符号の説明】
1…大内行灯、3…火袋、11…台板、12…脚、13…支柱、30…突起、31…脚本体突起部、32…カバー、34…頂板、35…突条、36…ピン、40…ブッシュ、41…角穴、45…底板、46…穴、50…下部突起、51…支柱本体突起部、52…下部カバー、60…支柱用ブッシュ、61…角穴、62…穴。
Claims (6)
- 脚の上端部を嵌込んだ台板に火袋の下部を取付け、前記台板に下端部を嵌込んだ支柱に前記火袋の上部を掛止させるようにした大内行灯において、前記脚の上端部に、プラスチック製の角筒状のカバーで表面部を被覆した突起を設け、前記台板の下面側に、角穴を有するプラスチック製のブッシュを嵌着し、前記カバーの頂板部に、上向きに突出するピンを固設するとともに、前記ブッシュの底板部に、前記ピンが嵌合する穴を設け、前記突起を前記ブッシュの角穴に嵌脱させることにより前記台板と前記脚の組立・分解をおこなうようにしたことを特徴とする大内行灯。
- 脚の上端部を嵌込んだ台板に火袋の下部を取付け、前記台板に下端部を嵌込んだ支柱に前記火袋の上部を掛止させるようにした大内行灯において、前記脚の上端部に、プラスチック製の角筒状のカバーで表面部を被覆した突起を設け、前記台板の下面側に、角穴を有するプラスチック製のブッシュを嵌着し、前記カバーの頂板部に、上向きに突出するピンを固設するとともに、前記ブッシュの底板部に、前記ピンが嵌合する穴を設け、前記支柱の下端部に、プラスチック製の角筒状の下部カバーで表面側を被覆した下部突起を設け、前記台板の上面側に、角穴を有するプラスチック製の支柱用ブッシュを嵌着し、前記突起を前記ブッシュの角穴に嵌脱させることにより前記台板と前記脚の組立・分解をおこなうとともに、前記下部突起を前記支柱用ブッシュの角穴に嵌脱させることにより前記台板と前記支柱の組立・分解をおこなうようにしたことを特徴とする大内行灯。
- 前記下部カバーの側面部に、上下方向に延びる突条を設けた請求項2記載の大内行灯。
- 前記支柱用ブッシュの角穴の側面部に、上下方向に延びる突条を設けた請求項2記載の大内行灯。
- 前記カバーの側面部に、上下方向に延びる突条を設けた請求項1または2または3または4記載の大内行灯。
- 前記ブッシュの角穴の側面部に、上下方向に延びる突条を設けた請求項1または2または3または4記載の大内行灯。
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