JP4183059B2 - 高周波給電棒及びプラズマ処理装置 - Google Patents

高周波給電棒及びプラズマ処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば被処理体にプラズマ処理を施す際に電極に対して高周波電力を給電するために好適に用いられる高周波給電棒及びプラズマ処理装置に関し、更に詳しくは、冷却効率を高めることができる高周波給電棒及びプラズマ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
被処理体に対して例えばエッチング処理や成膜処理等のプラズマ処理を施す際にプラズマ処理装置が用いられる。プラズマ処理装置としては、例えば容量結合タイプと誘導結合タイプ等種々のタイプのものがある。
【0003】
容量結合タイプのプラズマ処理装置としては例えば平行平板型のものが広く用いられている。平行平板型プラズマ処理装置は、処理容器内に配設され且つウエハ等の被処理体の載置台を兼ねる下部電極と、この下部電極の上方に隙間を介して配設された上部電極とを備え、高真空下で上下いずれかの電極または両電極に整合器を介して高周波電力を印加し、処理容器内のプロセスガスからプラズマ発生させ、被処理体に対してエッチング等のプラズマ処理を施す。
【0004】
電極に対して高周波電力を給電する場合には例えば図3に示す高周波給電棒1が用いられている。この高周波給電棒1は例えば導電性材料によって中空状のパイプとして形成されている。この高周波給電棒1の外側には隙間を介してシールドパイプ2が配置され、シールドパイプ2によって高周波給電棒1を外部から遮蔽している。高周波給電棒1を介して電極に高周波電力を印加すると、給電棒1は高周波抵抗によって例えば180℃位まで昇温する。このため、図3に示すように、高周波給電棒1内の中空部を流路1Aとして冷媒(例えば、空気)を流し、高周波給電棒1を内側から冷却し、その過熱を防止している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ウエハ等の被処理体の大型化に伴って高周波電力のパワーが大きくなると、高周波抵抗も大きくなって高周波給電棒1の温度上昇が著しくなるため、従来の高周波給電棒1では冷却効率が悪く、空気による冷却が追いつかないため高周波給電棒1が過熱状態になる虞がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、冷却効率を高めて過熱状態を防止することができる高周波給電棒及びプラズマ処理装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の高周波給電棒は、被処理体を収容する処理容器内に設けられた電極に、高周波電源から高周波電力を給電するために用いられ、且つ、内部に冷媒の流路を有する高周波給電棒であって、上記冷媒による吸熱面積を拡張する吸熱面積拡張手段を上記流路内に備え、且つ、上記吸熱面積拡張手段は、上記流路内に突出する複数の突起によって構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の高周波給電棒は、請求項1に記載の発明において、上記吸熱面積拡張手段は、複数の流路によって形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項3に記載の高周波給電棒は、請求項1または請求項2に記載の発明において、上記突起は、上記流路の内壁から径方向に棒状に突出して形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の請求項4に記載の高周波給電棒は、請求項1または請求項2に記載の発明において、上記突起は、径方向にフィン状に形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の請求項5に記載のプラズマ処理装置は、被処理体を収容する処理容器と、上記処理容器内に設けられた電極と、上記処理容器の外側に設けられた高周波電源と、上記電極と上記高周波電源の間に設けられ且つ上記高周波電源からの高周波電力を上記電極に給電するための高周波給電棒と、を備え、上記被処理体にプラズマ処理を施すプラズマ処理装置であって、上記高周波給電棒は、内部に形成された冷媒の流路と、上記流路内で上記冷媒による吸熱面積を拡張する吸熱面積拡張手段と、を備え、且つ、上記吸熱面積拡張手段は、上記流路内に突出する複数の突起によって構成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項6に記載のプラズマ処理装置は、請求項5に記載の発明において、上記吸熱面積拡張手段は、複数の流路によって形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項7に記載のプラズマ処理装置は、請求項5または請求項6に記載の発明において、上記突起は、上記流路の内壁から径方向に棒状に突出して形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項8に記載のプラズマ処理装置は、請求項5または請求項6に記載の発明において、上記突起は、上記流路の内壁から径方向にフィン状に突出して形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図1、図2に示す実施形態に基づいて本発明を説明する。
本発明の高周波給電棒は例えば図1に示すプラズマ処理装置に適用することができる。このプラズマ処理装置10は、図1に示すように、所望の高真空度を保持することができる、表面がアルマイト加工され且つ電気的に接地された処理容器11と、この処理容器11内の底面中央に配設され且つ被処理体(例えば、ウエハ)Wを載置する載置台を兼ねる下部電極12と、この下部電極12と隙間を介して配設され且つ中空状に形成された上部電極13とを備え、平行平板型のプラズマ処理装置として構成されている。
【0013】
下部電極12には例えば800kHz〜100MHzの第1高周波電源14が整合器14Aを介して接続され、上部電極13には下部電極12よりも周波数の高い、例えば60MHzの第2高周波電源15が整合器15Aを介して接続されている。第1、第2高周波電源14、15はいずれも接地されている。また、上部電極13にはプロセスガスを供給するガス供給管16が接続されている。上部電極13の下面には多数の孔13Aが形成され、これらの孔13Aを介して処理容器11内全体にプロセスガスを均等に供給する。処理容器11の下部にはガス排気管17を介して排気装置(図示せず)が接続され、この排気装置を介して処理容器11内を真空排気して所望の真空度を維持する。尚、第1高周波電源を省略する場合には上部電極をグランドに接地する。
【0014】
下部電極12内には冷媒流路12Aが形成され、この冷媒流路12Aには冷媒を供給する冷媒流入管12B及び冷媒を排出する冷媒排出管12Cが接続されている。そして、冷媒が冷媒流路12Aを流通して下部電極12を所定温度まで冷却する。下部電極12上には絶縁性材料によって形成された静電チャック18が配置され、この静電チャック18内に介装された電極板18Aに直流電源18Bが接続されている。直流電源18Bから電極板18Aに高電圧を印加して静電チャック18表面に静電気を発生させてウエハWを静電吸着するようになっている。更に、下部電極12及び静電チャック18にはHeガス等の熱伝導性ガスが流通するガス流路19が形成され、このガス流路は静電チャック18表面の複数箇所で開口している。そして、ガス流路19からウエハWと静電チャック18間の細隙にHeガスを供給し、高真空下でのウエハWと静電チャック18間の熱伝導性を高めてウエハWを効率良く冷却するようにしてある。
【0015】
而して、下部電極12と整合器14Aは本実施形態の高周波給電棒20を介して接続され、この高周波給電棒20を介して第1高周波電源14からの高周波電力を下部電極12に給電する。また、上部電極13と整合器15A間にも高周波給電棒21が接続され、この高周波給電棒21を介して第2高周波電源15からの高周波電力を上部電極13に給電する。これらの高周波給電棒20、21は、例えば図2に示すように、シールドパイプ23、24によって外部から遮蔽されている。このシールドパイプ23、24は高周波給電棒20、21を外部から遮蔽すると共にグランド電位を取る働きをしている。
【0016】
本実施形態の高周波給電棒20、21は、図2に示すように、内部に冷媒(例えば、空気)Aの流れる流路20A、21Aを有する導電性棒によって形成され、しかも高周波給電棒20、21は、いずれも空気Aによる吸熱面積を拡張する面積拡張手段を有している。本実施形態における面積拡張手段は、いずれも流路20A、21A内で内壁から径方向に突出する複数のフィン状の突起20B、21Bとして軸方向に形成されている。以下では複数のフィン状の突起20B、21Bを纏めてフィン状突起20B、21Bと称する。このフィン状突起20B、21Bは、流路20A、21A内を流れる空気と接触する面積(吸熱面積)が従来の流路と比較して格段に大きいため、高周波給電棒20、21を内側から効率良く冷却することができ、ひいては高周波給電棒20、21の過熱を防止することができる。高周波電流は周波数が高くなるほど表皮効果が顕著になって高周波電流の殆どが高周波給電棒20、21の表面を流れるため、本実施形態では高周波給電棒20、21の外表面を円形状のままにし、フィン状突起20A、21Aを流路20A、20A内に突出させている。
【0017】
高周波給電棒20、21を作製する場合には、例えば厚板を切削加工することによって平板上にフィン状突起20B、21Bを設けた後、平板を丸めて中空棒を形成し、更に両端を溶接等によって接合することによって高周波給電棒20、21を作製することができる。
【0018】
次に、上記プラズマ処理装置10の動作について説明する。例えば、高真空下でウエハWを処理容器11内の下部電極12上に載置すると、高真空下であっても静電チャック18によってウエハWを静電吸着してウエハWを静電チャック18上に固定する。一方、ガス供給管16から処理容器11内にプロセスガスを供給すると共にガス排気管17から処理容器11内を排気し、処理容器11内を所定の真空度に維持する。この状態で第1、第2高周波電源14、15から整合器14A、15Aを介して高周波電力を上下の両電極12、13に印加し、上下両電極12、13間でプラズマを発生させると、このプラズマでウエハWをプラズマ処理する。このプラズマ処理によってウエハWの温度が上昇しても、下部電極12内の冷媒流路12Aを流れる冷媒によってウエハWの温度上昇を抑制し、ウエハWを所定の温度に維持することができる。この際、静電チャック18とウエハW間の細隙にはHeガス等の熱伝導性ガスを供給しているため、高真空下であってもウエハWを効率良く冷却することができる。
【0019】
一方、第1、第2高周波電源14、15から上下の両電極12、13に高周波電力を印加すると、それぞれの高周波電流が高周波給電棒20、21ぞれぞれの表面に沿って流れる。この際、各高周波給電棒20、21は高周波抵抗によって昇温するが、それぞれの流路20A、21Aには冷却用の空気が流れているため、各高周波給電棒20、21の昇温を抑制する。この際、各高周波給電棒20、21の流路20A、21A内にはフィン状突起20A、21Aが突出して形成されているため、空気による吸熱面積が大きく、今後高周波電力のパワーが大きくなっても高周波給電棒20、21を効率良く冷却することができ、それぞれの過熱を防止することができる。
【0020】
以上説明したように本実施形態によれば、高周波電極棒20、21内の流路20A、21A内に突出するフィン状突起20A、21Aを設けたため、空気による吸熱面積を大きく取ることができ、空気による冷却効率が格段に向上し、高周波電極棒20、21の過熱を防止することができる。特に、ウエハWが大口径化、高密度化して高周波電力のパワーが大きくなっても高周波給電棒20、21の過熱を防止することができ、プラズマ処理を円滑に実施することができる。
【0021】
尚、上記実施形態では本発明の面積拡張手段としてフィン状突起20B、21Bを設けた場合について説明したが、流路20A、21A内に突出する突起であれば、フィン状突起20B、21Bに制限されるものではない。例えば、棒(または針)状の突起やプリーツ状の突起が流路の全周面に渡って突出したものでも良い。また、複数の流路を蓮根の孔状に配列して形成したものであっても良い。また、複数の流路に突起を設けても良い。更に、高周波給電棒とシールドパイプの間に空気等の冷媒を流しても良い。また、冷媒も空気に限らず、必要に応じて適宜の冷媒を選択することができる。また、被処理体もウエハに制限されるものではない。本発明の高周波給電棒は平行平板型のプラズマ処理装置に限らず、高周波電力を用いる全てのプラズマ処理装置について適用することができる。また、一般的な高周波電力の給電棒についても適用することができる。要は、高周波給電棒の内部において冷媒による吸熱面積を拡張する手段であれば、特に制限されるものではない。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、被処理体が大型化してプラズマ処理時に被処理体に印加する高周波電力が大きくなっても、冷却効率を高めて過熱状態を防止することができる高周波給電棒及びプラズマ処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高周波給電棒を適用したプラズマ処理装置の一例を示す構成図である。
【図2】図1に示す高周波給電棒を示す断面図である。
【図3】従来の高周波給電棒の一部を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 プラズマ処理装置
12 下部電極
13 上部電極
14 第1高周波電源
15 第2高周波電源
20、21 高周波給電棒
20A、21A 流路
20B、21B フィン状突起(面積拡張手段)
W ウエハ(被処理体)

Claims (8)

  1. 被処理体を収容する処理容器内に設けられた電極に、高周波電源から高周波電力を給電するために用いられ、且つ、内部に冷媒の流路を有する高周波給電棒であって、上記冷媒による吸熱面積を拡張する吸熱面積拡張手段を上記流路内に備え、且つ、上記吸熱面積拡張手段は、上記流路内に突出する複数の突起によって構成されていることを特徴とする高周波給電棒。
  2. 上記吸熱面積拡張手段は、複数の流路によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の高周波給電棒。
  3. 上記突起は、上記流路の内壁から径方向に棒状に突出して形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高周波給電棒。
  4. 上記突起は、上記流路の内壁から径方向にフィン状に突出して形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高周波給電棒。
  5. 被処理体を収容する処理容器と、上記処理容器内に設けられた電極と、上記処理容器の外側に設けられた高周波電源と、上記電極と上記高周波電源の間に設けられ且つ上記高周波電源からの高周波電力を上記電極に給電するための高周波給電棒と、を備え、上記被処理体にプラズマ処理を施すプラズマ処理装置であって、上記高周波給電棒は、内部に形成された冷媒の流路と、上記流路内で上記冷媒による吸熱面積を拡張する吸熱面積拡張手段と、を備え、且つ、上記吸熱面積拡張手段は、上記流路内に突出する複数の突起によって構成されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  6. 上記吸熱面積拡張手段は、複数の流路によって形成されていることを特徴とする請求項5に記載のプラズマ処理装置。
  7. 上記突起は、上記流路の内壁から径方向に棒状に突出して形成されていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のプラズマ処理装置。
  8. 上記突起は、上記流路の内壁から径方向にフィン状に突出して形成されていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のプラズマ処理装置。
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