JP4181697B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などを利用した記録方法に用いられる画像形成方法に関するものである。詳しくは、複写機、プリンター、ファクシミリ、プロッター等に利用し得る画像記録装置に用いられる画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては米国特許第2,297,691号明細書、特公昭42−23910号公報及び特公昭43−24748号公報等に記載されている如く多数の方法が知られている。一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に静電荷潜像を形成し、次いで該静電荷潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙の如き転写材に中間転写体を介して、又は介さずにトナー画像を転写した後、加熱、加圧、加熱加圧或いは溶剤蒸気などにより定着し、定着画像を得るものである。また、トナー画像を転写する工程を有する場合には、通常、感光体上の残余のトナーを除去するための工程が設けられる。
【0003】
近年、プリンターやファクシミリでは画像形成装置部分の小型化やカラー化が著しく、非磁性トナーを用いた現像装置が種々提案され、実用化されている。これらの画像形成装置に対しては高解像度への要求も高まっており、例えば、当初、200〜300dpi(dot per inch)であった解像度が400〜1200dpi、更には2400dpiとなりつつある。また、複写機についても、デジタル化による高機能化が進み、やはり高解像度・高精細の現像方法が強く要求されつつある。
【0004】
これに対し、高解像度・高精細の画像形成を達成するためにトナーの微粒径化が行われているが、トナー担持体上に上記の如き非磁性トナーの薄層を均一に形成することが困難となってきており、トナーの帯電が不均一となったりトナー担持体やトナー規制部材の表面にトナーの固着を生じる場合がある。
【0005】
この様な状況下、トナー担持体上へのトナーの薄層形成手段に関する技術開発は必須となっており、これらに対していくつかの方策が提案されている。
【0006】
例えば、特公昭51−36070号公報ではトナー層厚規制部材をトナー担持体に当接させてトナーを順次帯電させていく方法、特開昭62−99772号公報ではトナー層厚規制部材の材質をトナーの構成材料に関して摩擦帯電列で遠い材料で構成する方法が提案されている。しかし、これらの方法ではトナーの帯電量をある程度高めることが可能ではあるが、トナー層厚にムラを生じると帯電状態が不均一になる等の問題を有していた。
【0007】
また、特開平6−130790号公報ではトナー帯電部材に電圧を印加する方法が記載されている。この方法ではトナーの帯電量を著しく高めることが可能であるが、本発明者等が検討したところ、帯電したトナーが凝集体として挙動し易く、高解像度・高精細の画像を形成するには更なる改善が望まれていた。
【0008】
ところで、当該技術分野において、トナーの帯電性を改善するために荷電制御剤を用いることが広く知られており、特開昭63−33755号公報、特開平2−190869号公報、特開平2−230163号公報及び特開平4−347863号公報ではサリチル酸やその誘導体によりトナーの荷電制御を行う方法が開示されている。
【0009】
また、特開平3−84558号公報では、トナー粒子表面の荷電制御用染料の染料濃度を特定したトナーに関する技術が開示されている。
【0010】
しかしながら、上記に挙げたようなトナーは何れもトナー担持体上でのトナーの薄層形成や帯電付与に対しては考慮されておらず、トナーを含めた画像形成装置のシステム設計について包括した統括的対応について未だ十分なものはない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、係る従来技術の問題点を解決し、高解像度・高精細の画像形成が可能な画像形成方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも(a)静電潜像を担持するための像担持体を帯電する帯電工程;(b)帯電された像担持体に像露光によって静電潜像を形成する露光工程;(c)該静電潜像を現像装置が有しているトナーによって現像し、トナー像を形成する現像工程;及び(d)該像担持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体を介して、又は、介さずに転写材に転写する転写工程;を有する画像形成方法において、
該現像装置は、トナー帯電手段とトナー規制部材を有しており、
該トナー帯電手段は、トナーを担持するトナー担持体にトナーを介して接触もしくは近接して配置され、トナーと同極性の放電開始電圧以上のバイアス電圧を印加する弾性部材であり、
該トナー規制部材は、該トナー帯電手段に対してトナー担持体の回転方向の上流側に、該トナー担持体にトナーを介して接触もしくは近接して配置され、
該トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックス成分、荷電制御剤及びオキシカルボン酸を含有するトナー粒子を有しており、
該オキシカルボン酸が、後述の式(1)で示される化合物であり、
該トナー1g中からメタノールにより抽出されるオキシカルボン酸の重量をA(g)、0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液により抽出されるオキシカルボン酸の重量をB(g)とした時、
Figure 0004181697
を満足することを特徴とする画像形成方法に関する。
【0013】
本発明者等は、上記に鑑み、鋭意検討の結果、トナーを担持するトナー担持体にトナーを介してもしくは近接して配設した弾性部材にトナーと同極性の放電開始電圧以上のバイアス電圧を印加するトナー帯電手段を現像装置に設け、尚且つ、トナー中のオキシカルボン酸の含有量と存在状態を特定することにより、トナー担持体上に均一なトナーの薄層形成と良好な帯電付与がなされ、高解像度・高精細の画像形成が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明の画像形成方法を添付図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は本発明の画像形成方法の実施例の一例であって、プロセスカートリッジを有する画像形成装置の断面図である。
【0017】
図1において、潜像担持体としての感光体ドラム1は、矢印Aの方向に回転し、帯電ローラ2によって一様に帯電される。次いで、画像信号に応じて照射されるレーザー光3により感光体ドラム1は露光され、静電潜像が形成される。
【0018】
感光体ドラム1上の静電潜像は、プロセスカートリッジとして画像形成装置から着脱可能である現像装置4を感光体ドラム1に対して近接配置し、例えば反転現像方法によって現像され、トナー像として可視化される。
【0019】
感光体ドラム1上のトナー像は、転写ローラ9によって転写材としての記録材13に転写され、記録材13上に転写されたトナー像は加熱加圧定着装置12により定着される。
【0020】
転写されずに感光体ドラム1上に残存した転写残余のトナーは、クリーニングブレード10により掻き取られ、廃トナー容器11に回収され、クリーニングされた感光体ドラム1は再度帯電され、以後同様に画像形成が繰り返される。
【0021】
図2は現像装置4の拡大図である。現像装置4は、一成分現像剤としてのトナー8を収容した現像容器14内の長手方向に延在する開口部に、現像剤担持体としての現像スリーブ5を有しており、感光体ドラム1と対向配置され、感光体ドラム1上の静電潜像を現像して可視化するようになっている。
【0022】
図中、現像スリーブ5は、現像容器14の開口部にて右略半周面を現像容器14内に突入し、左略半周面を現像容器14外に露出して横設されている。現像容器14の外に露出している面は、左方に位置する感光体ドラム1に微小間隔を有して対向している。
【0023】
現像スリーブ5は矢印Bの方向に回転駆動され、その表面には、トナー8との摺擦確率を高めることでトナー8の効率良い摩擦帯電と良好なトナー搬送を行うための適度な凹凸を有する。現像スリーブ5としては、例えば直径16mmのアルミニウム製スリーブ表面にガラスビーズ(#600)による定形ブラスト処理を施すことで表面粗さ(Rz)が約3μmとしたものが用いられ、感光体ドラム1との間隙が300μmとなるように対向配置され、感光体ドラム1の周速50mm/秒に対して現像スリーブ5は周速80mm/秒で回転駆動するように設定される。
【0024】
また、現像スリーブ5の両端部には、トナー漏れを防止するための端部シール部材(不図示)が現像容器開口部に設けられ、現像スリーブ5の両端部をシールしている。
【0025】
現像スリーブ5の上方位置には、トナー規制部材である弾性ブレード7として、例えばウレタンやシリコーン等のゴム材料、バネ弾性を有するSUSやリン青銅等の金属薄板、又はそれらを基体として現像スリーブ5への当接面側にゴム材料を接着したもの等がブレード支持板金15によって支持され、弾性ブレード7の自由端側を現像スリーブ5の回転方向の上流側に向け、その先端近傍が現像スリーブ5の表面に当接されるよう設けられている。例えば弾性ブレード7は、厚さ1.0mmの板状のウレタンゴムをブレード支持板金15に接着した構成になっており、現像スリーブ5に対する当接圧は25〜35g/cmに設定される。
【0026】
なお、本発明において「当接圧」とは、摩擦係数が既知の金属薄板を3枚重ねて当接部に挿入し、その中央の1枚を引き抜く際の引っ張り荷重をバネばかり等で測定し、その値から算出される当接荷重のことである。
【0027】
弾性ローラ6は、弾性ブレード7と現像スリーブ5の当接部よりも現像スリーブ5の回転方向の上流側に当接配置され、かつ回転可能に支持されている。弾性ローラ6の構造としては、発泡骨格状スポンジ構造や芯金上にレーヨンやナイロン等の繊維を植毛したファーブラシ構造のものが現像スリーブ5へのトナー8の供給及び未現像トナーの剥ぎ取りの点から好ましい。例えば芯金上にポリウレタンフォームを設けた直径12mmの弾性ローラ6が用いられ、現像スリーブ5に対して当接幅が1〜8mmとなるように配設され、また、現像スリーブ5に対してその当接部において相対速度を持たせることが好ましく、例えば当接幅を6mmに設定し、弾性ローラ6の周速は現像動作時に50mm/秒(したがって現像スリーブ5との相対速度は130mm/秒)となるように駆動手段(不図示)により所定タイミングで回転駆動される。
【0028】
弾性ブレード7は、現像スリーブ5との当接部から弾性ブレード7の自由端の先端までの距離NEが弾性ブレード7の中央部から両端部に向かうにしたがって連続的に短くなるように構成されており、更にその両端部では弾性ブレード7の先端位置が現像スリーブ5との当接部内にあるように設定される。つまり、現像スリーブ5の表面上に形成されるトナー層の層厚は、弾性ブレード7と現像スリーブ5との当接部から弾性ブレード7の自由端の先端までの距離NEが短くなるほど薄くすることができるので、弾性ローラ6によりトナーの供給と未現像トナーの剥ぎ取りが困難となり易い現像スリーブ5の両端部でのトナーへの規制力を高めることができる。
【0029】
画像形成の際には撹拌部材16が矢印Cの方向、また弾性ローラ6が矢印Dの方向に回転駆動することによって、現像容器14内のトナー8は現像スリーブ5の近傍まで運ばれる。更に現像スリーブ5と弾性ローラ6との当接部で摺擦されることによって、摩擦帯電を受けながら現像スリーブ5の表面上に塗布され、現像スリーブ5が矢印Bの方向に回転するに伴い、弾性ブレード7の圧接下に送り込まれ、規制力を受けることによって現像スリーブ5の表面上にトナー8の薄層が、例えば層厚が10〜20μm、トナー塗布量が0.3〜1.0mg/cm2、トナーの帯電電荷量が−20〜−60μC/gとなるように形成される。
【0030】
本発明の画像形成方法では、現像スリーブ5上に形成されたトナー8の薄層をより均一に帯電させ、トナー粒子の粉体特性を良好なものとするために、トナー帯電手段として現像スリーブ5上に形成されたトナー8の薄層全域にトナー帯電ローラ20を当接し、バイアス印加手段(不図示)によってバイアス電圧を印加し、放電を発生することによりトナー8を更に帯電させることを特徴とする。
【0031】
トナー帯電ローラ20は、例えばNBR製のゴムローラであり、押圧部材21による現像スリーブ5の表面への当接圧は100〜200gfである。
【0032】
この時、トナー帯電ローラ20から受ける当接圧によりトナー層中のトナー粒子は適度に充填されるので、極めて均一なトナー層に整えられる。更に、トナー帯電ローラ20の空間放電により電荷付与を受けることによって、各々のトナー粒子は迅速に帯電するため、粒子間に生じる静電反発により凝集体を生じることなく、粒子単位で挙動することが可能となり現像特性が著しく向上する。
【0033】
特に本発明においては、後述するオキシカルボン酸の含有状態を特定したトナーを用いているため、特に低電位潜像や微小スポット潜像に対する現像特性が格段に改善される。
【0034】
トナー帯電ローラ20には、例えばバイアス印加手段18によって現像スリーブ5に印加される直流を重畳した交流バイアス電圧(現像ACバイアス)から分岐した図3に示すような等価回路によりバイアス電圧を印加する。
【0035】
トナー引き戻しバイアスの印加時に現像スリーブ5とトナー帯電ローラ20の電位差が生じるようC1とC2の容量を調整することによって、現像スリーブ5上のトナー8はトナー帯電ローラ20より電荷付与を受けることができる。例えば、現像スリーブ5とトナー帯電ローラ20の電位差(ΔV)が1200V以上、好ましくは1500V程度となるように設定するとトナーの帯電性が安定し、使用環境や多数枚プリント時に受ける負荷の影響が著しく軽減される。図4に、現像スリーブ5とトナー帯電ローラ20に印加されるバイアス電圧の波形の一例を示す。
【0036】
トナーへの電荷付与の様子を簡略に説明するために、106Ωの電気抵抗を呈するトナー帯電ローラ20にバイアス電圧を印加した際の現像スリーブ上のトナー層の表面電位の変化の様子を図5に示す。トナー層はバイアス電圧を印加しない状態(0V)においても弾性ブレード7によって摩擦帯電を受けるため、約−20Vの表面電位を持つ。この摩擦帯電による表面電位の変化分を除外すると、図中に点線で示したようにトナー帯電ローラ20に対する印加電圧に応じてトナーの表面電位が増加していくことがわかる。この時、トナー層との放電開始電圧は約−600Vであり、下記のパッシェンの法則から導かれる近似式である下記の(式1)と(式2)から求められる空間放電の開始電圧とほぼ一致する。このことから、トナーの帯電が弾性ブレード7による摩擦帯電に加え、トナー帯電ローラ20へのバイアス電圧の印加により生じる空間放電による電荷付与によることが説明される。
【0037】
【数2】
Figure 0004181697
【0038】
一方、トナー帯電ローラ20の回転駆動は、現像スリーブ5と従動、又は同周速であることが好ましく、トナー帯電ローラ20と現像スリーブ5の回転駆動に周速差が生じるとトナーの塗布状態が不均一になったり、トナー粒子の表面劣化による帯電不良を生じるため、画像濃度ムラや画像カブリを生じたり、画像形成装置内へのトナーの飛散等の原因になる。
【0039】
ところで、トナー帯電ローラ20は、現像スリーブ5と弾性ブレード7の当接部であるトナー塗布部全域、更には現像スリーブ5表面上のトナー塗布部から非塗布部にまで当接部が確実に及ぶように配設されるのが好ましい。トナー帯電ローラ20の当接部がトナー塗布部のみでは、前記の如くトナーの流動性が高まっているため、トナー帯電ローラ20はスリップ等を生じ、安定した従動回転が得られない。
【0040】
但し、トナー帯電ローラ20を現像スリーブ5上のトナー塗布部から非塗布部にまで当接部が及ぶように配設した場合、トナー帯電ローラ20の電気抵抗が107Ω以下であるとトナーの非塗布部から電流が流れ込み、トナー帯電ローラ20へのバイアス電圧が放電開始電圧に達しないため、トナーへの電荷付与が行われないことがある。また、トナー帯電ローラ20の電気抵抗が1012Ω以上の場合にもトナーに電荷付与することは困難であると共に、前記の如き現像ACバイアスを分岐してトナー帯電ローラ20のバイアス電圧を得るような構成では放電開始電圧が大き過ぎて適当ではない。従って、トナー帯電ローラ20の電気抵抗は108〜1011Ωの範囲であることが好ましい。
【0041】
なお、トナー帯電ローラ20が当接する現像スリーブのトナーの非塗布部に誘電層を有する場合や現像スリーブ全体の抵抗が高い場合には、トナー帯電ローラ20の電気抵抗の適性範囲の下限値が広がることは言うまでもない。
【0042】
トナー帯電ローラの電気抵抗は以下の方法で測定する。即ち、図6に示すように、直径16mmのアルミニウム製ローラ22とトナー帯電ローラ20を当接荷重170gfで当接させ、該アルミニウム製ローラ22を2rpsで回転させる。次にトナー帯電ローラ20に400Vの直流電圧V1を印加する。アース側に可変抵抗Rを配置し、トナー帯電ローラ20に応じて該可変抵抗Rの電気抵抗値を調整しながらその両端の電圧V2を測定し、電流値を算出することによってトナー帯電ローラ20の電気抵抗を求める。
【0043】
トナー帯電ローラによって電荷付与された現像スリーブ5上のトナー層は、一様に感光体ドラム1との対向部である現像部へ搬送され、バイアス印加手段18によって現像スリーブ5に印加された直流を重畳した交流電圧(現像ACバイアス)によって、感光体ドラム1上の静電潜像をトナー像として現像する。
【0044】
ところで、一般にオキシカルボン酸を含有するトナーを用いた場合、トナー中から感光体ドラムの表面に移行したオキシカルボン酸が空気中の水分を吸着して低抵抗化したり、更にはトナー帯電ローラによる空間放電の影響を受けることによって感光体ドラムの表面劣化を促進したりするため、感光体ドラム上の静電潜像に影響を与えることがある。特に、この様な現象は高温高湿環境下で画像形成を行った場合に発生し易い傾向にある。そのため、感光体ドラム1の表面には離型性を付与することが好ましく、例えば感光体ドラム1の表面の水に対する接触角は85度以上であることが好ましい。より好ましくは、感光体ドラム表面の水に対する接触角は90度以上である。感光体ドラムの表面が高い接触角を有することは、感光体ドラムの表面が高い離型性を有することを示す。なお、感光体ドラムの表面の接触角の測定には純水を使用し、「接触角計CA−DS型」(協和界面科学社製)を用いて行った。
【0045】
現像部において現像されなかった未現像トナーは、現像スリーブ5の回転駆動と共に現像スリーブ5の下部より回収される。この回収部分には可撓性のシートからなるシール部材17が設けられ、未現像トナーの現像容器14内への通過を許容するとともに、現像容器14内のトナー8が現像スリーブ5の下部から漏出するのを防止する。
【0046】
現像容器14内に回収された未現像トナーは、弾性ローラによって現像スリーブ5上から剥ぎ取られると共に、現像スリーブ5上には弾性ローラ6の回転駆動によって新たなトナーが供給され、以後同様に画像形成が繰り返し実施される。
【0047】
本発明に係る現像装置では、前述の如きトナー帯電手段がトナー規制部材の役割を兼ねることが可能であり、トナー規制部材を省略することが可能である。図7に、トナー帯電手段としてトナー帯電ローラを具備し、トナー規制部材である弾性ブレードを省略した現像装置の一例を示す。トナー帯電ローラ220は、現像スリーブ25上に形成されるトナー塗布部から非塗布部まで当該部が及ぶように配設されている。
【0048】
本発明に係る現像装置には磁性一成分トナーを用いることも可能である。図8に磁性一成分トナーを用いた現像装置の一例を示す。
【0049】
図8において、感光体ドラム1は矢印の方向に回転し、帯電手段によって、例えば感光体ドラム1の表面電位(Vd)が約−600Vに均一帯電される。次いで、画像信号に応じて照射されるレーザー光により、画像部分に相当する露光部の感光体ドラム1の表面電位(VL)は約−100Vになり、静電潜像が形成される。この感光体ドラム1に形成された静電潜像は、現像装置34によって反転現像方法によって現像され、トナー像として可視化される。
【0050】
一方、現像容器内のトナー38は、撹拌部材316が矢印Cの方向に回転することによって現像スリーブ35の付近に送られた後、マグネットロール322が形成する磁界の作用で現像スリーブ35の表面に供給されて、現像スリーブ35が矢印の方向に回転するに伴い、弾性ブレード37の圧接下に送り込まれ、電荷付与と層厚規制を受けることによって現像スリーブ35上にトナー38の薄層が、例えば層厚が10〜20μm、トナー塗布量が0.8〜2.0mg/cm2、トナーの帯電電荷量が−5〜−10μC/gとなるように形成される。
【0051】
現像スリーブ35としては、例えば直径16mmの非磁性アルミニウム製スリーブ表面に導電性粒子を含有する樹脂層でコートした表面粗さ(Ra)が約1μmとしたものが用いられ、感光体ドラム1との間隙が300μmとなるように対向配置され、感光体ドラム1の周速に対して100〜140%の周速で回転駆動する。現像スリーブ35内にはマグネットロール322が固定配置され、マグネットロール322の一つの磁極を感光体ドラム1と対向配置し、その磁極の現像スリーブ35上での径方向磁束密度のピーク値が750〜950Gとなるようにする。これによって現像領域でトナーの穂を形成すると共に逆帯電トナーをスリーブ方向に引き戻すことができる。現像スリーブ35には、バイアス印加手段318によって直流に交流を重畳した交互電圧、例えば直流成分:Vdc=−500V、交流成分:矩形波Vpp=1600V,f=1800Hzを重畳した現像バイアスを感光体ドラム1との間に現像電界を形成し、感光体ドラム1に形成された静電潜像の反転現像が行われる。
【0052】
図1では、着脱可能な現像装置(図2、図7及び図8)からなるプロセスカートリッジを有する画像形成装置として用いたが、現像装置を画像形成装置本体内に固定し、トナーのみを補給するような構成のものとして用いてもよく、また、現像装置、感光ドラム、クリーニング装置、廃トナー収容容器、帯電装置等を適宜組み合わせプロセスカートリッジとして用いても良い。
【0053】
次に、像担持体上に形成されたトナー像を転写材としての中間転写体に第1の転写を行い、更に該中間転写体上に転写されたトナー像を記録材に第2の転写を行う画像形成方法を図10の模式図を用いて説明する。
【0054】
図10において、像担持体としての感光体ドラム51に対向して接触回転する一次帯電ブラシローラ52により感光体ドラム51上に表面電位を持たせ、露光手段53により静電潜像を形成する。静電潜像は、接触現像方式の現像器54、55、56及び57中のマゼンタトナー、シアントナー、イエロートナー及びブラックトナーの4色のトナーによって現像され、フルカラーのトナー画像が得られる。
【0055】
一次帯電ブラシローラ52は、例えばナイロン繊維にカーボンブラックを分散させて抵抗調整した繊維の太さが6デニール、ブラシの繊維の長さが3mm、ブラシ密度が10万本/cm2のブラシ状ローラであり、感光体ドラムの回転に対して120%の周速で逆方向に接触回転させ、バイアス印加手段(不図示)により少なくとも直流バイアスが印加される。
【0056】
現像工程時には各色の現像器54、55、56及び57のいずれか1つが感光体ドラム51に移動して現像が行われトナー像が形成される。感光体ドラム51上のトナー像は中間転写体58上に転写され、この第1の転写後に感光体ドラム51上の転写残余のトナーはクリーニングされ、現像器は再度元の位置に移動する。この一連の動作が各現像器毎に順次繰り返されることにより多重トナー像が形成される。
【0057】
第2の転写後に中間転写体58上に残留している転写残余のトナーに帯電装置(不図示)によって感光体ドラム51と逆極性の電荷を付与し、該転写残余のトナーを感光体ドラム51に静電的に再転写させることにより中間転写体58の表面がクリーニングされ、更に感光体ドラム51上に再転写された該転写残余のトナーをブラックトナーを有する現像器を作動させ、回収させることにより感光体ドラム51の表面もクリーニングされる。以後同様な工程が繰り返し実施される。
【0058】
中間転写体58にはドラム状のものが用いられ、外周面に保持部材を張設し、支持部材59上に導電付与部材、例えばカーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ、炭化ケイ素又は酸化チタン等を分散させた硬度が10〜50度(JIS K−6301)である弾性層60を有する。また、中間転写体にはベルト状のものを用いることができ、この場合、転写材への転写部分での上記の如き硬度を呈するような弾性層を有するものが好ましい。
【0059】
感光体ドラム51から中間転写体58への第1の転写に際しては、バイアス印加手段66により中間転写体58の支持部材59に直流バイアスが印加され、トナー像の転写が行われる。
【0060】
中間転写体58上の多重トナー像は、転写ローラ61によって転写材としての記録材S上に一括して第2の転写が行われる。
【0061】
記録材S上に転写されたトナー像は、加熱体67を内蔵した定着ローラ68と加圧ローラ69を配した加熱加圧定着手段70により定着される。
【0062】
上述したように、本発明に係る画像形成方法では、トナーを担持するトナー担持体にトナーを介して接触もしくは近接して配設した弾性部材に、トナーと同極性の放電開始電圧以上のバイアス電圧を印加するトナー帯電手段として、例えばトナー帯電ローラを設けることにより、トナーが弾性ブレードを通過後、トナー帯電ローラによって更に電荷付与が行われる。特に、後述するようにトナー中のオキシカルボン酸の含有量と存在状態を特定したトナーを用いることによって、トナーの帯電電荷量を高く維持し、現像スリーブの如きトナー担持体上でのトナーの塗布状態を均一で良好なものとすることが可能となり、高解像度・高精細な画像形成を行うことができる。
【0063】
また、本発明の画像形成方法では、前述の如き中間転写体上に転写されたトナー像を記録材に第2の転写を用いるような場合においても、トナー中のオキシカルボン酸の含有量と存在状態を特定したトナーを用いることによって、転写工程の影響を最小限に抑え、高品位なフルカラー画像を得ることができる。
【0064】
本発明の画像形成方法における特徴の一つは、オキシカルボン酸の含有状態を特定したトナーを用いることである。
【0065】
本発明に係るトナーは、少なくとも、結着樹脂、着色剤、ワックス成分及びオキシカルボン酸を含有し、
該トナー1g中からメタノールにより抽出されるオキシカルボン酸の重量をA(g)、0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液から抽出されるオキシカルボン酸の重量をB(g)とした時、
Figure 0004181697
を満足するようにオキシカルボン酸の含有状態が特定される。
【0066】
本発明者らは、鋭意検討の結果、上記の如きトナー帯電手段を具備した現像装置を用いた画像形成方法に、オキシカルボン酸の含有状態を特定したトナーを用いることによって、高解像度・高精細の画像形成がなされると共に、多数枚のプリントアウト時においても画像劣化を軽減し得ることを見出した。
【0067】
本発明に係るトナーは、オキシカルボン酸の含有状態を特定することで良好な摩擦帯電量を得ることができる。また、上記の如きトナー帯電手段に良好に応答するので、高解像度・高精細な画像形成を長期にわたって安定して実現することが可能となった。
【0068】
これらの理由については必ずしも明らかではないが、本発明者らの知見によれば、本発明に用いられるオキシカルボン酸がトナー粒子に逆電荷を保持しにくくしていることに加えて、トナー中への含有状態を特定したことにより、迅速で均一な帯電特性を付与することが可能となり、帯電極性制御と帯電量制御がより確実に且つ均一になされるためと考えられる。また、上述の如きトナー帯電手段による空間放電に対しても迅速に電荷付与の授受が行われ、各々のトナー粒子は迅速に帯電するので、トナー粒子間に生じる静電反発によって凝集体を生じることなく、粒子単位で挙動することが可能となり、現像スリーブの如きトナー担持体上でのトナーの塗布状態を相乗的に良化することが可能となったものと考えられる。
【0069】
即ち、トナー1g中からメタノールによって抽出されるオキシカルボン酸の重量A(g)(以下「オキシカルボン酸量A」と称す)は、トナー粒子の表面及びメタノールの浸透可能な表面層近傍に存在するオキシカルボン酸の存在量であり、また、0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液によって抽出されるオキシカルボン酸の重量B(g)(以下「オキシカルボン酸量B」と称す)は、トナー粒子の表面に存在するオキシカルボン酸の存在量であって、これらの比であるA/Bの値を1.05〜3.00とすることにより、トナー粒子に適度な帯電量を付与することができる。
【0070】
また、オキシカルボン酸量Bを0.10×10-3〜3.50×10-3とすることにより、トナーの帯電速度が良好な状態となる。
【0071】
更に、オキシカルボン酸量Aとオキシカルボン酸量Bが、A≦(3/4)B+1の関係を満たす時、多数枚のプリントアウト時においても画像劣化を軽減することができる。
【0072】
本発明において、トナー1g中からメタノールによって抽出されるオキシカルボン酸の重量Aと、0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液によって抽出されるオキシカルボン酸の重量Bは、以下の方法で測定した。
【0073】
メタノールと分散剤としてコンタミノン0.04gを加えた0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液を別々の容器に50ml用意し、それぞれの中にトナー1gを秤量して加え、スターラーを用いて50rpmで撹拌し、均一に分散させる。3時間分散処理を行った後、メンブランフィルター(ポアサイズ:0.45μm)を用いて濾過し、得られた濾液の吸光度を測定する。吸光度は280〜350nmの範囲に1つ現れるピークの最大値とベースラインとの差で定義する。得られた結果から、所定の検量線を用いてトナー中のオキシカルボン酸量Aとオキシカルボン酸量Bを算出した。
【0074】
本発明に係るオキシカルボン酸としては、公知のものを用いることが可能であるが、帯電付与能力の観点から下記式(1)や(2)で示される化合物が好ましく用いられる。
【0075】
【化4】
Figure 0004181697
[上記式(1)中、(A)は下記の群より選ばれ、X1は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、アンモニウム又は脂肪族アンモニウムを示す。]
【0076】
【化5】
Figure 0004181697
【0077】
【化6】
Figure 0004181697
[上記式(2)中、X2は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、アンモニウム、又は脂肪族アンモニウムを示し、R4は、C1〜C22のアルキル基又はアルケニル基、アリール基を示し、R5は、水素原子、C1〜C22のアルキル基又はアルケニル基、アリール基、アルコキシ基を示す。]
【0078】
上記式(1)や式(2)で示されるオキシカルボン酸の中でも、本発明に好ましく用いられるものとしては、芳香族環を有するオキシカルボン酸であり、モノアルキル芳香族オキシカルボン酸、又はジアルキル芳香族オキシカルボン酸が挙げられる。特に、サリチル酸、ジtert−ブチルサリチル酸や5−tert−オクチルサリチル酸に代表されるアルキルサリチル酸、ヒドロキシナフトエ酸、ベンジル酸等はトナー表面への固定化が容易であるため、本発明に好ましく用いられる。
【0079】
以下に代表的な具体化合物例を列挙する。
【0080】
【化7】
Figure 0004181697
【0081】
【化8】
Figure 0004181697
【0082】
【化9】
Figure 0004181697
【0083】
【化10】
Figure 0004181697
【0084】
【化11】
Figure 0004181697
【0085】
本発明のトナーでは、フロー式粒子像測定装置で計測されるトナーの個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて、該トナーの円相当個数平均径D1(μm)が2〜10μmであり、且つ、該トナーの平均円形度が0.920〜0.995で、円形度標準偏差が0.040未満となるようにトナーの粒子形状を精密に制御することにより、現像性と転写性をバランス良く改善することができる。
【0086】
トナーの円相当個数平均径D1(μm)を2〜10μmと小粒径化することにより、画像の輪郭部分、特に文字画像やラインパターンの現像での再現性が良好なものとなる。しかし、一般にトナー粒子を小粒径化すると必然的に微小粒子のトナーの存在率が高くなるため、トナーを均一に帯電させることが困難となり画像カブリを生じるばかりか、画像形成装置とのマッチングにも支障を招いていた。
【0087】
そこで、本発明に係るトナーは、トナー中のオキシカルボン酸の含有状態を特定しているので、円形度標準偏差が0.040未満、好ましくは0.035未満とすることにより、トナー担持体上にトナーの薄層を形成する際に、トナー帯電量を適切なものとすることが可能となり、前述の如き問題を大幅に改善されると共に、低電位潜像に対する現像能力も格段に向上する。特に上記の如き傾向は、デジタル方式の微小スポット潜像を現像する場合や中間転写体を用い多数回の転写を行うフルカラーの画像形成の際に非常に有効で、画像形成装置とのマッチングも良好なものとなる。
【0088】
本発明に係るトナーは、上記のように粒度分布や形状分布に優れるため、トナー薄層中のトナー粒子と空気の割合が非常に安定する。その結果、前記式(2)中のトナー層の比誘電率(Kt)が安定し、トナー帯電ローラの如きトナー帯電手段の空間放電によるトナーへの電荷付与を均一に行うことができる。
【0089】
本発明におけるトナーの円相当径、円形度及びそれらの頻度分布とは、トナー粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではフロー式粒子像測定装置「FPIA−1000型」(東亜医用電子社製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出した。
【0090】
【数3】
Figure 0004181697
【0091】
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
【0092】
本発明における円形度はトナーの凹凸の度合いを示す指標であり、トナーが完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
【0093】
本発明において、トナーの個数基準の粒径頻度分布の平均値を意味する円相当個数平均径D1(μm)と粒径標準偏差SDdは、粒度分布の分割点iでの粒径(中心値)をdi、頻度をfiとすると次式から算出される。
【0094】
【数4】
Figure 0004181697
【0095】
Figure 0004181697
【0096】
【数5】
Figure 0004181697
【0097】
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02gを加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機「UH−50型」(エスエムテー社製)に振動子として5φのチタン合金チップを装着したものを用い、5分間分散処理を用い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。
【0098】
トナーの形状測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、トナーの円相当径や円形度頻度分布等を求める。
【0099】
本発明に係るワックス成分は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたトナーの断層面観察において、該ワックス成分が結着樹脂と相溶しない状態で、実質的に球状及び/又は紡錘形で島状に分散されていることが好ましい。
【0100】
本発明において、上記の如きワックス成分の分散状態は以下の様に定義される。すなわち、前述のフロー式粒子像測定装置で測定されるトナーの重量基準の粒径頻度分布の平均値を意味する円相当重量平均径D4(μm)に対し、D4×0.9以上であり、D4×1.1以下の長径を有するトナーの断層面を20ケ所選び出す。そして、選び出した各トナーの断層面の長径Rと、長径Rであるトナーの断層面中に存在しているワックス成分に起因する相分離構造の中で、最も大きいものの長径rを計測し、r/Rの相加平均値(r/R)stを求める。得られたr/Rの相加平均値(r/R)stが0.05≦(r/R)st≦0.95を満たす分散状態にある場合、ワックス成分が結着樹脂と相溶しない状態で、実質的に球形及び/又は紡錘形で島状の分散状態を有しているものとする。
【0101】
上記のr/Rの相加平均値(r/R)stが、0.05≦(r/R)st≦0.95を満たす様にワックス成分を分散させることにより、前記の如きオキシカルボン酸を効率良くトナー表面に局在化させることができるので、トナーの帯電性の安定化に寄与することができる。また、ワックス成分をトナー粒子中に内包化させることでトナー表面の劣化や画像形成装置への汚染等を防止することができるので、オキシカルボン酸をトナー粒子表面近傍に固定化した効果を持続させることができる。更に、r/Rの相加平均値(r/R)stが、0.25≦(r/R)st≦0.90を満たす分散状態にある場合、良好な帯電性が維持され、ドット再現に優れたトナー画像を長期にわたって形成し得ることが可能となるので好ましい。また、加熱時にはワックス成分が効率良く作用するため、低温定着性と耐オフセット性も良好なものとなる。
【0102】
トナーの断層面を観察する方法としては、用いるワックス成分と外殻を構成する樹脂の結晶相と非晶相の微細構造の相違を利用して、重金属により一方の成分の電子密度を高めて材料間のコントラストを付ける電子染色法を用いることが好ましい。具体的には、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を十分に分散させた後、40℃の雰囲気温度の中で2日間硬化させ、得られた硬化物を四酸化ルテニウム(RuO4)、また、必要により四酸化オスミウム(OsO4)を併用して電子染色を施した後、ダイヤモンドナイフを備えたウルトラミクロトームを用いて薄片状のサンプルを切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてトナーの断面層形態を観察する。
【0103】
代表的な一例を図11の(a)と(b)に示す。後述の実施例で得られたトナー粒子は、ワックス成分が結着樹脂で内包化されていることが観察された。
【0104】
本発明に用いられるワックス成分としては、「ASTM D3418−82」に準じて測定されたDSC曲線における吸熱極大ピーク温度(融点)が30〜120℃、より好ましくは40〜90℃の範囲にある化合物が好ましい。ワックス成分の極大ピーク値(融点)が30℃未満であるとワックス成分の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が弱くなり好ましくない。ワックス成分の極大ピーク値(融点)が120℃を超えると定着温度が高くなり、定着画像表面を適度に平滑化させることが困難となり混色性低下の点から好ましくない。
【0105】
更に重合方法によりトナー粒子を得る場合においては、水系媒体中で造粒・重合を行うため、吸熱極大ピーク値(融点)が高いと主に造粒中に離型剤が析出してくるので好ましくない。
【0106】
ワックス成分の吸熱極大ピーク温度(融点)の測定には、例えば「DSC−7」(パーキンエルマー社製)を用いる。装置検出部の温度補正にはイリジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはイリジウムの融解熱を用いる。測定に際しては、測定サンプルをアルミニウム製パンに入れたものと、対照用にアルミニウム製パンのみのもの(空パン)をセットし、20〜180℃の測定領域を昇温速度10℃/minで測定を行う。
【0107】
本発明において使用し得るワックス成分としては、具体的には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス及びそれらの誘導体等が挙げられ、誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含まれる。また、高級脂肪族アルコール等のアルコール;ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸或いはその化合物;酸アミド、エステル、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物ワックス、動物ワックスが挙げられる。これらは単独、もしくは併用して用いることができる。
【0108】
これらの中でも、ポリオレフィン、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス、石油系ワックス、高級アルコール、若しくは、高級エステルを使用した場合に、現像性や転写性の改善効果が更に高くなる。また、これらのワックス成分は、結着樹脂100重量部に対して1〜30重量部使用するのが好ましい。
【0109】
本発明に用いられるトナーの結着樹脂としては、一般的に用いられているスチレン−(メタ)アクリル共重合体,ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,スチレン−ブタジエン共重合体が挙げられる。重合法により直接トナー粒子を得る方法においては、それらを形成するための単量体が用いられる。具体的にはスチレン;o−(m−,p−)メチルスチレン,m−(p−)エチルスチレンの如きスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)アクリル酸ステアリル,(メタ)アクリル酸ベヘニル,(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル,(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル,(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルの如き(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン,イソプレン,シクロヘキセン,(メタ)アクリロニトリル,アクリル酸アミドの如きエン系単量体が好ましく用いられる。これらは、単独、または、一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−P139〜192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が、40〜75℃を示すように単量体を適宜混合して用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合にはトナーの保存安定性や耐久安定性の面から問題が生じやすく、一方75℃を超える場合はトナーの定着点の上昇をもたらす。
【0110】
さらに、本発明においては、トナー粒子の機械的強度を高めるために結着樹脂の合成時に架橋剤を用いることが好ましい。
【0111】
本発明のトナーに用いられる架橋剤としては、2官能の架橋剤として、ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、 ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA日本化薬)、及び上記のジアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
【0112】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシ、ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及びトリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0113】
これらの架橋剤は、他のビニル系単量体100重量部に対して、好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部であることが良い。
【0114】
本発明に係るトナーは、上記の結着樹脂とポリエステル、ポリカーボネート等の極性を有する樹脂を併用することができる。中でも下記一般式(I)で示される繰り返し単位を分子構造中に有するポリカーボネート系樹脂を併用することが好ましく、トナーの帯電特性が向上し画像カブリや飛び散りが改善されると共に、ドット再現性に優れる高品位な画像を得ることができる。また、トナーに適度な機械的強度を付与することが可能となり、画像形成装置とのマッチングが良化するばかりか、前述の如きトナーの乾燥処理や球形化処理に対してもトナー劣化の影響を最小限とすることができるので、画像形成装置とのマッチングが向上する。
【0115】
【化12】
Figure 0004181697
〔式中、Rは有機基を示す。〕
【0116】
上記一般式(I)は様々な構造のものがあるが、例えば2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法又は溶融法で反応せしめて製造されるあらゆる公知のポリカーボネートを使用することができ、一例を挙げれば下記一般式(II)
【0117】
【化13】
Figure 0004181697
〔式中、R2は、水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族置換基であり、このR2が複数の場合、それらは同一であってもよいし、異なっていてもよく、mは、0〜4の数である。Zは、単結合、脂肪族炭化水素基、芳香族置換基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−CO−結合で表わされる結合などを示す。〕で表わされる構造の繰返し単位を有する重合体などが挙げられる。
【0118】
このポリカーボネート樹脂は、様々なものを充当することができるが、通常は一般式(III)〜(V)
【0119】
【化14】
Figure 0004181697
【0120】
【化15】
Figure 0004181697
【0121】
【化16】
Figure 0004181697
(式中、R2、m及びZは、前記と同じである。)で表わされる二価フェノールとホスゲンまたは炭酸エステル化合物などのカーボネート前駆体とを反応させることによって容易に製造することができる。すなわち、例えば、塩化メチレンなどの溶媒中において、公知の酸受容体や分子量調節剤の存在下、二価フェノールとホスゲンのようなカーボネート前駆体との反応により、あるいは二価フェノールとジフェニルカーボネートのようなカーボネート前駆体とのエステル交換反応によって製造される。
【0122】
上記一般式(III)〜(V)で表わされる二価フェノールとしては様々なものがあり、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称:ビスフェノールA〕をはじめ、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−イソプロピルフェニル)メタン;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1−ナフチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;2−メチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;1−エチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン;4−メチル−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン;4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン;1,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカンなどのジヒドロキシアリールアルカン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのジヒドロキシアリールスルホン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン;3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンなどのジヒドロキシアリールケトン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニルスルフィド;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィドなどのジヒドロキシアリールスルフィド類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドなどのジヒドロキシアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒロキシジフェニルなどのジヒドロキシジフェニル類、ヒドロキノン;ゾルシノール;メチルヒドロキノンなどのジヒドロキシベンゼン類、1,5−ジヒドロキシナフタレン;2,6−ジヒドロキシナフタレンなどのジヒドロキシナフタレン類などが挙げられる。これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0123】
また、炭酸エステル化合物としては、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネートやジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネートが挙げられる。
【0124】
そして、本発明で使用されるポリカーボネート系樹脂は、これらの二価フェノールの1種を用いたホモポリマーであってもよく、また2種以上を用いたコポリマーであってもよく、もしくはブレンド物であってもよい。さらに、多官能性芳香族化合物を上記二価フェノール及び/又はカーボネート前駆体と反応させて得られる熱可塑性ランダム分岐ポリカーボネート樹脂であってもよい。
【0125】
また、ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度や粘弾性を調節するために、二価フェノールの一部をエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、水素添加ビスフェノールAおよびその誘導体、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール等に置き換えた形の変性ポリカーボネート系樹脂も好適に使用される。この場合、単純に二価フェノール類の一部と置き換えて前記した方法により製造することも可能であるが、他の製造方法の一例として、二価フェノールと脂肪族あるいは芳香族のビスクロロホルメートとをピリジンを触媒としてメチレンクロライド溶媒中で反応させる方法などが例示されるが、もちろんその他の製造方法による合成も可能である。
【0126】
さらに、本発明においてはポリカーボネート系樹脂として、上述したポリカーボネートとポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリシアノアリールエーテル、ポリアリーレンスルフィドなどとのブロック共重合体やアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、スチレン系モノマー等をグラフトしたグラフト変性共重合体の使用も可能である。
【0127】
本発明において用いられるポリカーボネート系樹脂の分子量は特に制限されないが、GPCにおいて測定したピーク分子量が1000〜500000の範囲にあるものが好ましく、さらに好ましくは2000〜100000である。ピーク分子量が1000よりも低いと帯電特性に悪影響がでる場合があり、500000よりも高いと溶融粘度が高くなりすぎ、定着性に問題を生じる場合がある。また、本発明において使用されるポリカーボネート系樹脂を製造するに際し、適当な分子量調節剤、粘弾性改善のための分岐剤、反応を促進するための触媒等必要に応じて使用することができる。
【0128】
本発明で使用されるポリカーボネート系樹脂の含有量は特に制限されないが、全結着樹脂100重量部に対して通常0.1〜50重量部、好ましくは0.2〜40重量部、さらに好ましくは0.5〜30重量部である。0.1重量部未満の場合には、添加効果が発現されず、また、50重量部を超えるとトナーの帯電性や定着性や画像形成装置とのマッチングに問題を生じる様になる。
【0129】
また、これらはそれぞれ一種類の重合体に限定されるわけではなく、例えばポリカーボネート系樹脂を同時に二種以上用いることや、ビニル系重合体を二種以上用いることが可能であり、さらに全く種類の異なる重合体、例えば反応性の無いポリエステル、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアルキルビニルエーテル、ポリアルキルビニルケトン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリルエステル、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン等様々な重合体を必要に応じてバインダー樹脂に添加することができる。
【0130】
本発明に用いられる着色剤は、以下に示すイエロー着色剤,マゼンタ着色剤及びシアン着色剤が挙げられ、黒色着色剤としてカーボンブラック,磁性体または以下に示すイエロー着色剤/マゼンタ着色剤/シアン着色剤を混合して黒色に調色されたものが利用される。
【0131】
本発明に用いられるカーボンブラックの粒径は25〜80nmであることが好ましい。
【0132】
カーボンブラックの粒径に関しては、25nmよりも小さいと、一次粒径が微細なため、十分な分散が得られにくく、使いこなすのが困難である。
【0133】
80nmよりも大きい場合には、良好に分散してもトナーとしての着色力の不足から、低濃度の画像しか得られない、或いはトナー消費量が増大する等の不都合が生ずる。
【0134】
カーボンブラックの粒径に関しては、粒径が35〜70nmであることがより好ましく、転写残トナーの帯電部材による帯電極性及び帯電量を制御がより確実に且つ均一になされ、トナーの帯電量の安定性及びトナー着色力の面でもより有利である。
【0135】
本発明におけるトナー中のカーボンブラックの粒径は、透過型電子顕微鏡で拡大した写真を撮影して測定することができる。
【0136】
本発明に用いられるカーボンブラックのDBP吸油量は40〜150ml/100gであることが望ましい。
【0137】
DBP吸油量が40ml/100g未満のストラクチャーの短いカーボンブラックではトナーの帯電量が低くなりすぎ易く、150ml/100gを超えると強固な長ストラクチャーのためカーボンブラックの微細な分散が得られにくい。
【0138】
DBP吸油量の測定は、「ASTM D2414−79」に準拠して行う。
【0139】
本発明に用いられるカーボンブラックは、窒素吸着比表面積が100m2/g以下、揮発分が2%以下であることが望ましい。この本発明に係わるカーボンブラックは、通常トナーに多く用いられているものよりも比表面積が小さく、揮発分も少ない。
【0140】
比表面積が小さく、揮発分の少ないカーボンブラックは、重合阻害性の官能基が少ないことから、重合阻害性が低い利点があり、トナー中でのカーボンブラックの均一な分散にも有利である。
【0141】
窒素吸着比表面積に関しては、100m2/gよりも大きくなると重合阻害性を生じ易くなる。また、揮発分が2%を超えるカーボンブラックは、表面に重合阻害性の官能基が多数存在するため使用に適さない。
【0142】
窒素吸着比表面積の測定は、「ASTM D3037−78」に準拠して行う。
【0143】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168、180等が好適に用いられる。
【0144】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アンスラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
【0145】
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アンスラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用できる。
【0146】
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相,彩度,明度,耐候性,OHP透明性,トナー粒子中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、樹脂成分100重量部に対し1〜20重量部使用するのが好ましい。
【0147】
黒色着色剤として磁性体を用いた場合には、他の着色剤と異なり、樹脂100重量部に対し40〜150重量部使用するのが好ましい。
【0148】
本発明に係るトナーには、前記のオキシカルボン酸と共に公知の荷電制御剤を併用することができ、特に帯電スピードが速く、且つ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。更に、トナー粒子を直接重合法を用いる場合には、重合阻害性が無く水系分散媒体への可溶化物の無い荷電制御剤が好ましい。具体的化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物;スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物;アゾ染料系化合物;ホウ素化合物;尿素化合物;ケイ素化合物;カリークスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤として、四級アンモニウム塩;該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物等が挙げられる。
【0149】
しかしながら、本発明において荷電制御剤の添加は必須ではなく、非磁性一成分ブレードコーティング現像方法を用いた場合においては、ブレード部材やスリーブ部材との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー粒子中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
【0150】
本発明のトナーに無機微粉体を添加することは、現像性、転写性、帯電安定性、流動性及び耐久性向上のために好ましい実施形態である。該無機微粉体としては公知のものが使用可能であるが、特にシリカ,アルミナ,チタニアあるいはその複酸化物の中から選ばれることが好ましい。更には、シリカであることがより好ましい。例えば、かかるシリカは硅素ハロゲン化物やアルコキシドの蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ及びアルコキシド,水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O,SO 2−等の製造残渣の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム,塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物を硅素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
【0151】
本発明に用いられる無機微粉体は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、特に50〜400m2/gの範囲のものが良好な結果を与え、トナー100重量部に対してシリカ微粉末0.1〜8重量部、好ましくは0.5〜5重量部、さらに好ましくは1.0を超えて3.0重量部まで使用するのが特に良い。
【0152】
また、本発明に用いられる無機微粉体は、必要に応じ、疎水化,帯電性制御等の目的でシリコーンワニス,各種変性シリコーンワニス,シリコーンオイル,各種変性シリコーンオイル,シランカップリング剤,官能基を有するシランカップリング剤,その他有機硅素化合物,有機チタン化合物等の処理剤で、あるいは、種々の処理剤で併用して処理されていることも可能であり好ましい。
【0153】
比表面積はBET法に従って、「比表面積測定装置オートソーブ1」(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出した。
【0154】
高い帯電量を維持し、低消費量及び高転写率を達成するためには、無機微粉体は少なくともシリコーンオイルで処理されることがさらに好ましい。
【0155】
本発明のトナーにおいては、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばテフロン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤;ケーキング防止剤、あるいは例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末等の導電性付与剤、また、逆極性の有機微粒子及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0156】
本発明に係るトナーを製造する方法としては、結着樹脂、着色剤、ワックス成分等を加圧ニーダー等により溶融混練した後、冷却した混練物を所望のトナー粒径に微粉砕し、更に微粉砕物を分級して粒度分布を調整してトナーにする粉砕法;特公昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報及び特開昭59−61842号公報に記載されている懸濁重合法を用いて直接トナーを製造する方法;特公昭56−13945号公報等に記載のディスク又は多流体ノズルを用いて溶融混練物を空気中に霧化して球状トナーを製造する方法;及びソープフリー重合法に代表される乳化重合法等、公知の方法を用いることが可能であるが、重合性ビニル系単量体の重合反応時の水系分散媒体中のpHを制御しながら懸濁重合法によりオキシカルボン酸の含有状態を特定したトナーを製造することが好ましい。
【0157】
具体的には、少なくとも重合性ビニル系単量体、着色剤、ワックス成分、重合開始剤、及び、オキシカルボン酸を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中に分散して該重合性単量体組成物の粒子を生成した後、水系分散媒体中のpHを4.5〜8.5に保持しながら該重合性単量体組成物の粒子中の重合性ビニル単量体の重合転化率を10%以上に高めた後、該水系分散媒体中のpHを9〜13に再調整して、重合転化率を更に高めることによって製造する。
【0158】
即ち、水系媒体中のpHを4.5〜8.5に保持しながら重合性ビニル単量体の重合転化率を10%以上に高める第1反応工程によりオキシカルボン酸がトナー粒子中に内包化する。そして、重合転化率が10%を超えたところで水系分散媒体のpHを9〜13に再調整して、更に重合反応を進行させる第2反応工程により、トナー中に内包化したオキシカルボン酸をトナー粒子の表面近傍まで引き出すと同時に、表面に存在する過剰なオキシカルボン酸をアルカリ雰囲気下で溶解除去することができる。
【0159】
これにより、オキシカルボン酸をトナー粒子の表面近傍に良好な状態で固定化することが可能となり、得られるトナーの帯電特性が非常に良好なものとなる。また、微小粒径の粒子の副生を招くことなく、トナー粒子の粒度分布と形状分布を所望のものにコントロールすることもできるので、帯電特性が相乗的に改善されるとともに画像形成装置へのマッチングを極めて良好なものとすることができる。特に、第1反応工程の水系媒体のpHを4.5〜8.5に保持することによりオキシカルボン酸の内包性が更に高まるので、上記の如き改善効果が一層良好なものとなる。
【0160】
なお、本発明において、重合性ビニル系単量体の「重合転化率」とは、前記重合性単量体組成物に用いられる重合性ビニル系単量体の総重量(W1)を基準として、未反応の重合性ビニル系単量体の総重量(W2)を定量することにより下記の式から求められる。
【0161】
【数6】
Figure 0004181697
【0162】
また、未反応の重合性ビニル系単量体は、反応容器からサンプリングした直後に、重合停止剤や冷メタノール等を採取サンプルに添加して重合反応を停止させ、▲1▼熱天秤等により加熱時の重量減少量として測定する熱重量測定(TG)を用いる方法、▲2▼ガスクロマトグラフィー(GC)を用いる方法等の公知の方法を適用することにより定量することができる。これらの中でもGCを用いる方法は、特に有効な方法である。
【0163】
本発明に係る前記の如きトナーの製造方法において、前記第1反応工程と第2反応工程における重合条件は、トナー1g中からメタノールによって抽出されるオキシカルボン酸の重量A(g)と、0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液によって抽出されるオキシカルボン酸の重量B(g)が、
Figure 0004181697
の関係を満足するように、第1反応工程と第2反応工程の切り替え時の重合転化率と水系分散媒体のpHにより調整される。
【0164】
即ち、第1反応工程を重合転化率が低い状況で切り上げた場合や高めのpH雰囲気下で重合を進行させた場合、トナー中へのオキシカルボン酸の内包性が悪くなるため、トナー表面のオキシカルボン酸量Bが少なくなる。第1反応工程では、pHを4.5〜8.5に保持しながら重合性ビニル系単量体の重合転化率を10%以上に高めることによってトナー表面のオキシカルボン酸量Bを所定の範囲に制御することができるが、水系分散媒体のpHが8.5を超えるとオキシカルボン酸量Bが0.10×10-3未満となったり、トナー粒径より細かい微小粒径の粒子の副生を招く。また、水系分散媒体のpHを4.5未満にすると反応容器や配管等の腐食が著しくなったり、用いることのできる分散剤が制限されることから好ましくない。
【0165】
上記の方法によって得られたトナーは、トナー中からメタノールによって抽出されるオキシカルボン酸量Aと0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液によって抽出されるオキシカルボン酸量Bが上記の如き関係を満足するので、トナーの帯電状態が非常に良好なものとなる。
【0166】
【実施例】
以下、具体的実施例によって本発明を説明するが、本発明はなんらこれらに限定されるものではない。
【0167】
(トナーの製造例1)
高速撹拌装置クレアミックス(エムテクニック社製)を具備した2リットル用4つ口フラスコ中に、イオン交換水700gと0.1mol/リットル−Na3PO4水溶液800gを投入し、高速撹拌装置の回転数を15000rpmに設定し、65℃に加温せしめた。ここに1.0mol/リットル−CaCl2水溶液70重量部を添加し、微小な難水溶性分散安定剤Ca3(PO42を含む水系分散媒体を調製した。更に希塩酸により水系分散媒体のpHが4.7になるように再調製した。
【0168】
一方、分散質として、
・スチレン単量体 83重量部
・n−ブチルアクリレート単量体 17重量部
・ジビニルベンゼン単量体 0.2重量部
・カーボンブラック(DBP吸油量=70ml/100g) 5重量部
・ポリカーボネート樹脂(ピーク分子量=7000) 5重量部
・荷電制御剤(サリチル酸のジルコニウム錯体) 2重量部
・前記オキシカルボン酸(1−A) 0.5重量部
・高級アルコールワックス(融点=70℃) 7重量部
からなる混合物をアトライター(三井金属社製)を用い3時間分散させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3重量部を添加し、重合性単量体組成物を調製した。
【0169】
次に、前記水系分散媒体中に該重合性単量体組成物を投入し、内温70℃のN2雰囲気下で、高速撹拌装置の回転数を15000rpmに維持しつつ、15分間撹拌し、該重合性単量体組成物を造粒した。その後、撹拌装置をパドル撹拌羽根を具備したものに換え、80rpmで撹拌しながら同温度に保持し、重合性ビニル系単量体の重合転化率が85%に達したところで第1反応工程を終了した。これに0.1mol/リットルのNaOH水溶液を添加して水系分散媒体のpHを11に変更した。更に反応温度を80℃に昇温し、重合転化率がほぼ100%になったところで第2反応工程を終了し、重合工程を終了した。
【0170】
重合終了後、加熱減圧下で残存モノマーを留去し、次いで、冷却後に希塩酸を添加して難水溶性分散剤を溶解せしめた。更に水洗浄を数回繰り返した後、円錘型リボン乾燥機(大川原製作所製)を用い、乾燥処理を行い、重合体粒子(A)を得た。
【0171】
上記重合体粒子(A)100重量部と疎水性オイル処理シリカ微粉体(BET;200m2/g)2重量部をヘンシェルミキサー(三井金属社製)で乾式混合してトナー(A)とた。
【0172】
該トナー(A)1g中からメタノールによって抽出されるオシキカルボン酸の重量Aは1.55mgで、0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液によって抽出されるオシキカルボン酸の重量Bは1.22mgで、A/Bの値は1.27で、(3/4)B+1の値は1.92あった。
【0173】
また、円相当個数平均径は4.7μmで、円形度頻度分布における平均円形度は0.986、円形度標準偏差は0.019で、円形度0.95未満のトナー粒子数は2.0個数%であった。
【0174】
また、トナー(A)中のワックス成分の分散状態をTEMで観察したところ、図11(a)の模式図の様に結着樹脂中に実質的に球状を呈して分散しており、前記(r/R)stの値は0.34であった。
【0175】
(トナーの製造例2〜5)
着色剤、オシキカルボン酸、及びワックス成分の種類と添加量を変更すると共に、第1反応工程の水系分散媒体のpHと終了時の重合転化率(反応工程の切り替え時の重合転化率)、及び第2反応工程の水系分散媒体のpHを変更する以外は、前記トナーの製造例1と同様にして重合体粒子(B)〜(E)を得た後、本発明のトナー(B)〜(E)を調製した。
【0176】
それぞれの製造例における着色剤、オシキカルボン酸、及びワックス成分の種類と添加量、第1/第2反応工程の水系分散媒体のpHと反応工程の切り替え時の重合転化率、及び、トナー(B)〜(E)の諸性状を表1にまとめて示した。
【0177】
(比較用トナーの製造例1、2)
オキシカルボン酸とワックス成分の種類と添加量を変更すると共に、水系分散媒体のpHを終始一定に保持しながら重合工程を完了した以外は、前記トナーの製造例1と同様にして比較用重合体粒子(a)と(b)を得た後、比較用トナー(a)と(b)を調製した。
【0178】
それぞれの比較製造例におけるオシキカルボン酸とワックス成分の種類と添加量、第1/第2反応工程の水系分散媒体のpHと反応工程の切り替え時の重合転化率、及び、比較用トナー(a)と(b)の諸性状を表1にまとめて示した。
【0179】
【表1】
Figure 0004181697
【0180】
(感光体ドラムの製造例1)
直径24mmのアルミニウムシリンダーを基体とし、次に示すような構成の層を順次浸漬塗布により積層して、感光体ドラム(1)を作製した。
【0181】
(1)導電性被覆層:酸化錫及び酸化チタンの粉未をフェノール樹脂に分散したものを主体とする(膜厚=15μm)。
【0182】
(2)下引き層:変性ナイロン及び共重合ナイロンを主体とする(膜厚=0.6μm)。
【0183】
(3)電荷発生層:長波長域に吸収を持つアゾ顔料をブチラール樹脂に分散したものを主体とする(膜厚=0.6μm)。
【0184】
(4)電荷輸送層:ホール搬送性トリフェニルアミン化合物をポリカーボネート樹脂(オストワルド粘度法による分子量=2万)に8:10の重量比で溶解したものを主体とし、さらにポリ4フッ化エチレン粉体(粒径=0.2μm)を総固形分に対して10重量%添加し、均一に分散した(膜厚25μm)。
【0185】
得られた感光体ドラム(1)の表面の水に対する接触角は95度であった。
【0186】
(感光体ドラムの製造例2)
電荷輸送層にポリ4フッ化エチレン粉体を添加しなかったことを除いては、感光体ドラムの製造例1と同様にして膜厚25μmの電荷輸送層を形成し、感光体ドラム(2)を作製した。得られた感光体ドラム(2)の表面の水に対する接触角は79度であった。
【0187】
<実施例1>
市販のレーザービームプリンターを改造して、図1に示す画像形成装置と図2に示す非磁性一成分ジャンピング現像用の現像装置を用意した。この時、該画像形成装置は前述の具体例に従ってプロセス条件を設定した。
【0188】
また、現像スリーブとトナー帯電ローラに印加したバイアス電圧は以下の通りである。
Figure 0004181697
【0189】
なお、トナー帯電ローラには、電気抵抗が108ΩであるNBR製のゴムローラを用い、現像スリーブとトナー帯電ローラに印加されるバイアスには位相差を生じないように設定した。この時、図4中のΔVに相当の電位差は−1200Vであり、トナー帯電ローラの放電開始電圧(−700V)以上であった。
【0190】
この画像形成装置には感光体ドラム(1)を用い、前記トナー(A)を逐次補給しながら5000枚分のプリントアウトテストを高温高湿下で行い、得られたプリントアウト画像を評価した。得られたプリントアウト画像は、表2に示すように、画像濃度、画像濃度一様性、画像カブリ、ドット再現性に優れるものであった。
【0191】
<実施例2>
感光体ドラムとして感光体ドラム(2)を使用する以外は実施例1と同様にして評価した。得られたプリントアウト画像の評価結果を表2に示す。
【0192】
<実施例3>
トナーとしてトナー(B)を使用する以外は実施例1と同様にして評価した。評価結果を表2に示すように、概ね良好なプリントアウト画像を得た。
【0193】
<比較例1、2>
感光体ドラムとして感光体ドラム(2)を使用し、トナーとして比較用トナー(a)と(b)を各々用いる以外は実施例1と同様に評価した。評価結果を表2に示すように、トナー中のオキシカルボン酸の含有量と存在状態の特定の状態に制御していないため、良好なプリントアウト画像を得られなかった。
【0194】
<実施例4>
市販のフルカラー複写機を改造して、図10に示す画像形成装置と図2に示す非磁性一成分ジャンピング現像用の現像装置を用意した。この時、該画像形成装置は前述の具体例に従ってプロセス条件を設定した。
【0195】
また、現像スリーブとトナー帯電ローラに印加したバイアス電圧は以下の通りである。
Figure 0004181697
【0196】
なお、トナー帯電ローラには、電気抵抗が108ΩであるNBR製のゴムローラを用い、現像スリーブとトナー帯電ローラに印加されるバイアスには位相差を生じないように設定した。この時、図4中のΔVに相当の電位差は−1600Vであり、トナー帯電ローラの放電開始電圧(−700V)以上であった。
【0197】
この画像形成装置には前記トナー(A)を逐次補給しながら単色モードにより5000枚分のプリントアウトテストを高温高湿下で行い、得られたプリントアウト画像を評価した。得られたプリントアウト画像は、表2に示すように、画像濃度、画像濃度一様性、画像カブリ、ドット再現性に優れるものであった。
【0198】
<実施例5〜7>
トナーとしてトナー(C)〜(E)を使用する以外は実施例4と同様にして評価した。評価結果を表2に示すように、概ね良好なプリントアウト画像を得た。
【0199】
<比較例3、4>
感光体ドラムとして感光体ドラム(2)を使用し、トナーとして比較用トナー(a)と(b)を各々用いる以外は実施例4と同様に評価した。結果は表2に示すように、トナー中のオキシカルボン酸の含有量と存在状態の特定の状態に制御していないため、良好なプリントアウト画像を得られなかった。
【0200】
<実施例8>
トナー(A)、(C)〜(E)を用い、フルカラーモードによりグラフィック画像3000枚分をプリントアウトする以外は実施例4と同様にして評価した。得られたプリントアウト画像は、画像濃度、画像カブリに優れ、画像濃度ムラや色再現ムラのない良好なフルカラー画像であった。
【0201】
【表2】
Figure 0004181697
【0202】
(評価方法)
上記の実施例及び比較例中に記載の評価項目の説明とその評価基準について述べる。
【0203】
(1)画像濃度
通常の複写機用普通紙(75g/m2)に一辺が5mmの正方形のベタ黒画像をプリントアウトし、「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。
【0204】
A:1.40以上
B:1.30以上、1.40未満
C:1.00以上、1.30未満
D:1.00未満
【0205】
(2)画像濃度一様性
ベタ画像を連続して2枚プリントアウトした後、2枚目のベタ画像上に生じた画像濃度の濃淡差を測定し、評価した。
【0206】
A:0.05未満
B:0.05以上、0.10未満
C:0.10以上、0.30未満
D:0.30以上
【0207】
(3)画像カブリ
ベタ白画像形成時の感光体上の転写残余のトナーをマイラーテープによってテーピングして剥ぎ取り、それを紙上に貼ったものの反射濃度を「マクベス反射濃度計 RD918」で測定する。得られた反射濃度から、マイラーテープをそのまま紙上に貼った時の反射濃度を差し引いた数値を用いて評価した。数値が小さいほど、画像カブリが抑制されていることになる。
【0208】
A:0.03未満
B:0.03以上、0.07未満
C:0.07以上、0.15未満
D:0.15以上
【0209】
(4)ドット再現性
潜像電界によって電界が閉じ易く、再現しにくい図12に示すような微小径(30μm)の孤立ドットパターンの画像をプリントアウトし、そのドット再現性を評価した。
【0210】
A:100個中の欠損が5個以下
B:100個中の欠損が6〜10個
C:100個中の欠損が10〜20個
D:100個中の欠損が21個以上
【0211】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の画像形成方法によれば、トナーを担持するトナー担持体にトナーを介して接触もしくは近接して配設した弾性部材に、トナーと同極性の放電開始電圧以上のバイアス電圧を印加するトナー帯電手段を現像装置に設け、尚且つ、トナー中のオキシカルボン酸の含有量と存在状態を特定することにより、トナー担持体上に均一なトナーの薄層形成と良好な帯電付与がなされ、高解像度・高精細の画像形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法の一例として、プロセスカートリッジを有する画像形成装置の模式図である。
【図2】トナー帯電手段を具備した非磁性一成分現像用の現像装置の拡大横断図である。
【図3】本発明に係るトナー帯電ローラにバイアス電圧を印加するための等価回路の一例を示す説明図である。
【図4】現像スリーブ如きトナー担持体とトナー帯電手段としてのトナー帯電ローラに印加されるバイアス電圧の波形の一例を示す説明図である。
【図5】トナー帯電ローラの空間放電によるトナーへの電荷付与の様子を示す説明図である。
【図6】トナー帯電ローラの如きトナー帯電部材としての弾性部材の電気抵抗を測定するための測定装置の概略的説明図である。
【図7】トナー規制部材を兼ねたトナー帯電手段を具備した非磁性一成分現像用の現像装置の拡大横断図である。
【図8】トナー帯電手段を具備した非磁性一成分現像用の現像装置の拡大横断図である。
【図9】従来の非磁性一成分現像用の現像装置の拡大横断図である。
【図10】本発明の画像形成方法の更に他の例として、中間転写体を用いた画像形成装置の模式図である。
【図11】ワックス成分を内包化しているトナー粒子の断面の一例を示す模式図である。
【図12】解像度を評価するための孤立ドットパターンの説明図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム(静電潜像担持体)
2 帯電ローラ
3 レーザー光
4 現像装置
5 現像スリーブ(トナー担持体)
6 弾性ローラ
7 弾性ブレード(トナー規制部材)
8 トナー
9 転写ローラ
13 記録材(転写材)
20 トナー帯電ローラ(トナー帯電手段)
21 押圧部材

Claims (7)

  1. 少なくとも(a)静電潜像を担持するための像担持体を帯電する帯電工程;(b)帯電された像担持体に像露光によって静電潜像を形成する露光工程;(c)該静電潜像を現像装置が有しているトナーによって現像し、トナー像を形成する現像工程;及び(d)該像担持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体を介して、又は、介さずに転写材に転写する転写工程;を有する画像形成方法において、
    該現像装置は、トナー帯電手段とトナー規制部材を有しており、
    該トナー帯電手段は、トナーを担持するトナー担持体にトナーを介して接触もしくは近接して配置され、トナーと同極性の放電開始電圧以上のバイアス電圧を印加する弾性部材であり、
    該トナー規制部材は、該トナー帯電手段に対してトナー担持体の回転方向の上流側に、該トナー担持体にトナーを介して接触もしくは近接して配置され、
    該トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックス成分、荷電制御剤及びオキシカルボン酸を含有するトナー粒子を有しており、
    該オキシカルボン酸が、下記式(1)で示される化合物であり、
    Figure 0004181697
    [上記式(1)中、(A)は下記の構造を示し、X1は、水素原子を示す。]
    Figure 0004181697
    該トナー1g中からメタノールにより抽出されるオキシカルボン酸の重量をA(g)、0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液により抽出されるオキシカルボン酸の重量をB(g)とした時、
    Figure 0004181697
    を満足することを特徴とする画像形成方法。
  2. トナー1g中からメタノールにより抽出されるオキシカルボン酸の重量A(g)と0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液により抽出されるオキシカルボン酸の重量B(g)が、
    Figure 0004181697
    を満足することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記弾性部材はローラ形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
  4. 該像担持体は電子写真感光体からなり、該感光体表面は85度以上の水に対する接触角を有していることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の画像形成方法。
  5. フロー式粒子像測定装置で計測されるトナーの個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて、該トナーの円相当個数平均径D1(μm)が2〜10μmであり、且つ、該トナーの平均円形度が0.920〜0.995で、円形度標準偏差が0.040未満であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の画像形成方法。
  6. 透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたトナー粒子の断層面観察において、
    (1)フロー式粒子像測定装置で測定されるトナーの重量基準の円相当重量平均径D4(μm)に対し、0.9≦R/D4≦1.1の関係を満たす長径R(μm)を呈するトナー粒子の断層面を20箇所選び出し、
    (2)選び出したトナー粒子の断層面中に存在するワックス成分に起因する相分離構造のうち、最も大きいものの長径rをそれぞれ計測し、
    (3)求められたr/Rの相加平均値(r/R)stが、
    0.05≦(r/R)st≦0.95
    を満たすように、該ワックス成分が結着樹脂中に実質的に球状及び/又は紡錘形の島状に分散されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の画像形成方法。
  7. 前記r/Rの相加平均値(r/R)stが、
    0.25≦(r/R)st≦0.90
    を満たすように該ワックス成分が結着樹脂中に実質的に球状及び/又は紡錘形の島状に分散されていることを特徴とする請求項に記載の画像形成方法。
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