JP4180311B2 - スクリーン印刷装置、スクリーン印刷方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクリーンマスク(スクリーン版)により被印刷物に印刷を行なうスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法に係り、特に、インクに相当するペースト状物体を嵩高く被印刷物に付着させるのに適するスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
微細な構造物を物体面上に形成するためスクリーン印刷を応用する技術が種々の場面で用いられている。図7は、スクリーン印刷を用いて、配線板または金属箔上に微細構造物としての導電バンプを形成する方法を模式的に説明する図である。なお、このような方法で印刷・形成される導電バンプは、尖りを有するので半硬化状態の絶縁板(プリプレグ)を貫通しやすくその貫通により絶縁板間の層間接続体として使用することができるものである。
【0003】
図示するように、配線板または金属箔78に対向しかつ離間してスクリーンマスク75を配置させる。スクリーンマスク75は、スクリーンマスク張設部73、74に張設されている。また、スクリーンマスク75は、導電性ペースト76を配線板または金属箔78に移動転写し付着させるための吐出孔75a、75b、75c、75d、75e、…を備えている。
【0004】
スキージ71は、線状にスクリーンマスク75を押し下げ、スクリーンマスク75と配線板または金属箔78とが当接するようにする。この状態で、スキージ71は、図上右から左に移動(当接線状と垂直方向に移動)するが、その際にスキージ71の前方に接してスクリーンマスク75上に導電性ペースト76が存在するようにしておく。
【0005】
このような状態でのスキージ71の動きにより、導電性ペースト76は、スキージ71の直下近くではその一部が吐出孔75bに充填される。吐出孔75bに充填された導電性ペースト76は、スキージ71が移動しスクリーンマスク75が配線板または金属箔78から隔離し始めると、粘着力または表面張力により一部は配線板または金属箔78に引っ張られ、一部は吐出孔75b(75c)に残留するように引っ張られる。
【0006】
スクリーンマスク75と配線板または金属箔78との距離がさらに離間すると、一部が吐出孔75c(75d、75e)に残り、配線板または金属箔78に引っ張られた部分は分断されて先が尖った形状で配線板または金属箔78に付着する。
【0007】
この先の尖った形状の導電性ペースト(先の尖った形状の導電性ペーストを以下では導電バンプ77という)を乾燥させて硬化し、半硬化状態の絶縁板(プリプレグ)を貫通させて層間接続体にすることができる。このようなスクリーン印刷による層間接続体は細かいピッチで形成することができ、配線板として要求される微細パターン化に応えるものとして用いられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような導電バンプ77の形成は、絶縁板を貫通するためある程度の高さが必要である。また、配線板で必要とされる狭ピッチ化がさらに進むと、高さを維持したままで底面積に対して相対的に高さが高い形状、いわゆる高アスペクト比の形状に形成される必要がある。
【0009】
このような将来的観点でスクリーン印刷による導電バンプ形成をみてみると、高アスペクト比化に一定の限界がある。これは、上記のように、導電バンプの形成高さは、スクリーンマスク75と配線板または金属箔78との距離が離間したときに、導電性ペースト76が配線板または金属箔78に粘着して引っ張られる量によって決まるからである。
【0010】
したがって、単純には、吐出孔75a(75b、75c、75d、75e)の容積を増して吐出孔75a等に充填される導電性ペースト76の量を増加させればよいので、例えば、スクリーンマスク75の厚さを厚くすることが考えられる。しかしながら、このようにしても吐出孔75a等に引っ張られ残留する量も多くなり、配線板または金属箔78に付着する量として単純に増加しない。
【0011】
また、別の方法として、現状では、十分な高さの導電バンプを形成するのに、上記のようなスキージ操作を同一被印刷物(配線板または金属箔78)に対して繰り返し、少しずつ導電性ペーストを積み上げる方法も採られている。例えば200μm程度の高さの導電バンプを形成するには2回から4回に分けて導電性ペーストを積み上げる方法を採り得る。
【0012】
しかし、この方法を維持すると、導電性ペーストを1回印刷するたび、乾燥工程、位置合わせ工程、およびスキージ工程を繰り返し行なわなければならず、工数が増大して生産コストを押上げるという問題がある。
【0013】
本発明は、上記した状況を考慮してなされたもので、スクリーンマスクにより被印刷物に印刷を行なうスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法において、インクに相当するペースト状物体を嵩高く被印刷物に付着させることが可能なスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係るスクリーン印刷装置は、吐出孔が穿設されたスクリーンマスクと、前記スクリーンマスクに当接して該スクリーンマスクを被印刷物に線状に押し付け、かつ、該スクリーンマスクを前記被印刷物に押し付けつつ該スクリーンマスク上を進行することにより前記吐出孔に第1のペーストを充填する第1のスキージと、前記第1のスキージが前記スクリーンマスク上を進行する方向後部に設けられ、前記第1のスキージより前記被印刷物に垂直の方向に後退して位置し、かつ、前記第1のスキージの前記進行により前記被印刷物から前記スクリーンが隔離して前記第1のペーストの一端が前記被印刷物に粘着し引っ張られることにより生じる前記吐出孔の余地空間に第2のペーストを供給する第2のスキージとを具備することを特徴とする。
【0015】
すなわち、第1のスキージによってスクリーンマスクの吐出孔にペーストを充填し、第1のスキージが移動してスクリーンマスクが被印刷物からわずかに隔離したときに、第2のスキージが移動してきて上記吐出孔にペーストを追加供給することができる構成である。スクリーンマスクがわずかに隔離したときには、吐出孔に充填されたペーストは一部が被印刷物に粘着し引っ張られている状態であり、吐出孔には余地空間が存在する。
【0016】
そこで、その余地空間に第2のスキージによってペーストを追加供給する。これにより、第2のスキージが移動してスクリーンマスクがさらに被印刷物から離間したときに、被印刷物の側に粘着し分断されるペースト量が増加する。したがって、インクに相当するペースト状物体を嵩高く被印刷物に付着させることが可能になる。
【0018】
第1、第2のスキージの材質としては、ウレタン樹脂のような樹脂、金属、金属に樹脂をコーティングしたものなどを利用することができる。また、スキージは、印刷に供用して経時的に摩耗するので装置として交換可能に構成してもよい。
【0019】
第1のスキージに対して第2のスキージを後退させる寸法は、ペーストの粘度、表面張力、スクリーンマスクの厚さ、材質、吐出孔の寸法などを考慮の上、嵩高く導電バンプを形成する効果が適切に発揮されるように設計することができる。例えば、10μmから500μm程度にすることができる。
【0020】
第1のスキージと第2のスキージとの進行方向の距離は、上記の後退寸法や、第2のスキージの前方に十分な量のペーストを留めるための空間を確保することなどを考慮し、設計することができる。例えば、1mmから100mm程度にすることができる。
【0021】
第1のスキージの印刷面に対する角度、第2のスキージの印刷面に対する角度は、それぞれ、スクリーンマスクが両スキージによって押し下げられ変形した状態で吐出孔にペーストが充填または追加供給され易くなるよう考慮の上、設計することができる。例えば、それぞれ60度から85度程度にすることができる。
【0022】
第1および第2のスキージが印刷面を移動する速度は、ペーストの粘度、表面張力、スクリーンマスクの厚さ、材質、吐出孔の寸法などを考慮の上、スクリーンマスクの吐出孔にペーストが充填または追加供給されやすく、かつスクリーンマスクが被印刷物から離れるときに嵩高く導電バンプを形成する効果が適切に発揮されるように設計することができる。例えば、0.3cm/sから30cm/s程度にすることができる。
【0023】
また、本発明に係るスクリーン印刷方法は、スクリーンマスクが被印刷物に接するように前記スクリーンマスクに第1のスキージを当接して前記スクリーンマスクに穿設された吐出孔に第1のペーストを充填するステップと、前記第1のペーストの一端が前記被印刷物に粘着し引っ張られるように、前記第1のペーストを有する前記スクリーンマスクを前記被印刷物から隔離し、前記吐出孔に余地空間を作るステップと、前記隔離されたスクリーンマスクに第2のスキージを当接して前記吐出孔の前記余地空間に第2のペーストを供給するステップと、前記第1、第2のペーストを有する前記スクリーンマスクを前記被印刷物からさらに隔離するステップとを具備することを特徴とする。
【0024】
すなわち、第1のスキージによってスクリーンマスクの吐出孔にペーストを充填し、第1のスキージが移動してスクリーンマスクが被印刷物からわずかに隔離したときに、第2のスキージが移動してきて上記吐出孔にペーストを追加供給するものである。スクリーンマスクがわずかに隔離したときには、吐出孔に充填されたペーストは一部が被印刷物に粘着し引っ張られている状態であり、吐出孔には余地空間が存在する。
【0025】
そこで、その余地空間に第2のスキージによってペーストを追加供給する。これにより、第2のスキージが移動してスクリーンマスクがさらに被印刷物から離間したときに、被印刷物の側に粘着し分断されるペースト量が増加する。したがって、インクに相当するペースト状物体を嵩高く被印刷物に付着させることが可能になる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態としてのスクリーン印刷装置は、前記スクリーンマスクの前記吐出孔が、独立した点状の吐出孔である。この場合には、スクリーンマスクに穿設される吐出孔が、それぞれ独立して点状に存在する。ここで「独立し」とは、吐出孔を通り抜けて被印刷物に付着するペーストが互いに分離するように吐出孔が設けられることを意味する。例えば、多層配線板の層間接続体としての導電バンプを形成するための吐出孔がこれに該当する。
【0027】
また、本発明の実施態様としてのスクリーン印刷装置は、前記スクリーンマスクの前記吐出孔が、メッシュ状に形成されている。この場合には、スクリーンマスクに設けられるメッシュ(網点)が吐出孔として機能し、吐出孔を通り抜けて被印刷物に付着するペーストが、吐出孔ごとに分離しない場合が含まれる。「吐出孔ごとに分離しない」ということから、べたパターンやある種のパターンの印刷としてペーストを嵩高く形成するものである。例えば、配線板へのソルダーレジストの付着・形成や、プラズマディスプレー用の基板に形成するガス隔壁としてのペーストの付着・形成などに利用できる。
【0028】
なお、上記それぞれで、スクリーンマスクは、その材料としてアルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、銅、真ちゅうなどを用いることができる。厚さは、50μmから500μm程度のものを用いることができる。
【0029】
また、本発明の実施態様としてのスクリーン印刷装置は、前記第1のスキージに対向して設けられ、前記被印刷物を載置可能な印刷台と、前記印刷台の上方に互いに対向して設けられ、スクリーンマスクを張設するための1対のスクリーンマスク張設部とをさらに具備し、前記1対のスクリーンマスク張設部は、少なくともその一方が、前記第1のスキージが前記印刷面を進行するにつれて前記印刷台からの距離が変化する。
【0030】
スクリーンマスク張設部を移動させることにより、スクリーンマスクが被印刷物から離れる角度を、スキージの位置移動によっても一定に保つことができるようになる。したがって、被印刷物の場所によらず一定の安定したペーストの付着を実現することができる。
【0031】
被印刷物には、リジッドまたはフレキシブルな配線板基材、金属箔(銅箔)、ガラス板、セラミック板などを用いることができる。
【0032】
また、本発明の実施態様としてのスクリーン印刷装置は、前記第2のスキージに接続して設けられ、前記第2のスキージの前記後退の寸法を調整する後退量調整機構をさらに具備する。第2のスキージの後退寸法を調整可能とすることにより印刷装置として汎用性を持たせるものである。
【0033】
また、本発明の実施態様としてのスクリーン印刷装置は、前記第2のスキージに接続して設けられ、前記被印刷物に対する前記第2のスキージの角度を調整する角度調整機構をさらに具備する。これも、印刷装置として汎用性を持たせるものであり同様の趣旨である。
【0034】
また、本発明の実施態様としてのスクリーン印刷装置は、前記第2のスキージに接続して設けられ、前記第1のスキージの進行方向における前記第1のスキージと前記第2のスキージとの離間距離を調整するスキージ間隔調整機構をさらに具備する。これも、印刷装置として汎用性を持たせるものであり同様の趣旨である。
【0035】
また、本発明の実施態様としてのスクリーン印刷装置は、前記第1のスキージに接続して設けられ、前記被印刷物に対する前記第1のスキージの加圧力を調整する加圧力調整機構をさらに具備する。これも、印刷装置として汎用性を持たせるものであり同様の趣旨である。
【0036】
また、本発明の実施態様としてのスクリーン印刷装置は、前記第1のスキージに接続して設けられ、前記第1のスキージの印刷時の進行速度を調整する速度調整機構をさらに具備する。これも、印刷装置として汎用性を持たせるものであり同様の趣旨である。
【0037】
以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るスクリーン印刷装置の構成を示し作用を説明するための模式図である。
【0038】
図1に示すように、このスクリーン装置は、被印刷物たる配線板基材18主面上に導電バンプ17を形成するものである。構成を述べるに、配線板基材18主面にスクリーンマスク15の片面が対向するようにある程度離間して配置される。スクリーンマスク15は、配線板基材18面から距離をもって配設され互いに対向して位置するスクリーンマスク張設部13、14によって端部が保持されて張設される。配線板基材18とスクリーンマスク15との配置間隔は、例えば1mmから3mm程度にする。
【0039】
スクリーンマスク15には、ペーストを吐出させるための吐出孔15a、15b、15c、15d、15e、…(直径は例えば50μmから500μm程度)が穿設されている。張設されたスクリーンマスク15は、図示するように垂直方向に対して傾きをもった第1のスキージ11、第2のスキージ12により配線板基材18方向に押し下げられて、配線板基材18に線状に(すなわち紙面に垂直方向の線状に)当接される。ここで、第2のスキージ12は、第1のスキージ11に比較して、印刷面に垂直の方向にやや後退している。その後退寸法についてはすでに説明したように設定できる。
【0040】
第1のスキージ11および第2のスキージ12は、その相対的位置が保たれつつスクリーンマスク15を押し下げたまま紙面右から左方向に(すなわち傾いたスキージの上方をスキージの下方が追いかける方向に)スキージ移動系(図示せず)により移動する。第1のスキージ11に対する第2のスキージ12の相対的位置には、上記の、印刷面に垂直方向の後退寸法のほか、第1のスキージ11に対する第2のスキージ12の倒れ角度、第1のスキージ11と第2のスキージ12との間隔がある。これらの相対的位置についてもすでに説明したように設定できる。
【0041】
第1のスキージ11および第2のスキージ12の図上右から左への進行に際しては、それらの進行方向前方のスクリーンマスク15上に導電性ペースト16a、16bがそれぞれ位置するようにする。導電性ペースト16a、16bには、例えばペースト状樹脂の中に金属粒(銀、金、銅、半田など)を分散させ、加えて揮発性の溶剤を混合させたものを用いる。
【0042】
次に、作用を述べるに、上記のようなスキージ11、12の動きにより、導電性ペースト16aは、第1のスキージ11の直下近くではその一部が吐出孔15bに充填される。吐出孔15bに充填された導電性ペースト16aは、第1のスキージ11が移動しスクリーンマスク15が配線板基材18から隔離し始めると、粘着力または表面張力により一部は配線板基材18に引っ張られ、一部は吐出孔15bに残留するように引っ張られる。これにより、吐出孔15bには図示するように余地空間が現れる。
【0043】
このように余地空間が現れた状態で、第2のスキージ12が導電性ペースト16bを伴って移動してくるので、吐出孔15b(15c)には導電性ペースト16bが追加供給される。そして、第2のスキージ12がさらに移動すると、スクリーンマスク15と配線板基材18との距離がさらに離間し、一部が吐出孔15c(15d、15e)に残り、配線板基材18に引っ張られた部分が分断されて先が尖った形状で配線板基材18に付着する(導電バンプ17)。
【0044】
このように、本実施形態のスクリーン印刷装置では、第2のスキージにより導電性ペースト16bが追加供給される分だけ、導電バンプ17を高く形成することができる。また、この追加供給される分についてさらに説明すると、第1のスキージ11と第2のスキージ12との相対位置関係がそれらの移動にかかわらず一定であるため、第1のスキージ11の当接位置からのスクリーンマスク15の離間角度が、配線板基材18の印刷位置によらず一定になる(図2参照:離間角度はθで示されている)。このため、印刷面内で形状均一性のより高いの導電バンプ17を形成することができる。
【0045】
この高アスペクトで均一性の高い導電バンプ17が形成された配線板基材18について例えば百数十℃で乾燥を行ない、導電バンプ17を硬化する。硬化された導電バンプ17を有する配線板基材18を、半硬化状態の絶縁板(プリプレグ)と積層プレスして導電バンプ17によりプリプレグを貫通させて層間接続体にすることができる。このような層間接続体は高アスペクト化により接続信頼性が向上しており、配線板として要求される微細パターン化に応えるものとして用いることができる。また、用いるプリプレグとして材料の選択肢を広げることもできるので、コストや生産性を改善できる。
【0046】
なお、導電バンプ17をさらに高アスペクトに形成するためは、導電バンプ17を乾燥・硬化させ、同一パターンのスクリーンマスクを用いて導電性ペーストを複数回印刷する方法を採り得ることは当然である。
【0047】
図3は、図1に示したスクリーン印刷装置で用いたスクリーンマスク15を平面図で示すものである。図3に示すように、吐出孔15a等の配置は、生産される配線板としてのレイアウトに従う位置であり、この場合には、吐出孔15a等により形成される導電バンプはそれぞれ独立している。本実施形態は、このように、吐出孔により形成される微小構造物がそれぞれ独立している場合に好適である。
【0048】
図4は、図1に示したスクリーン印刷装置で用いたスクリーンマスク15に代えて同装置において用いることができるスクリーンマスク15Aの平面図を示すものである。このスクリーンマスク15Aは、基本構造としてメッシュ21になっているものであり、構造自体としてはスクリーンマスクとして一般的なものである。メッシュの密度としては、例えば1インチあたり150本から350本、開口率として50%から60%程度のものを想定することできる。
【0049】
このようなメッシュ構造のスクリーンマスク15Aを図1に示したスクリーン印刷装置に用いると、すでに説明したのとほぼ同様の作用によりインクに相当するペーストを嵩高く被印刷物に付着させることができる。しがたって、嵩高いペースト状物体の付着工程に供して効率的な生産を行なうことができる。この場合には、メッシュから吐出されるペーストはそれぞれ独立ではなく互いに接触して領域化し被印刷面に付着し得る。
【0050】
このようなペースト状物体の付着として、図4に示すスクリーンマスク13Aは、配線基板の表面にソルダーレジストを形成するためのものである。メッシュ21の領域では、スキージ11、12の移動により吐出孔から絶縁性でペースト状のソルダーレジストが吐出される。また、メッシュ21を塞ぐように配置された例えば樹脂22が存在する場所においては、ソルダーレジストが吐出されない。これにより、樹脂22に相当する被印刷面が半田を受け付ける領域となる。
【0051】
このように、本実施形態は、吐出孔により形成される微小構造物がそれぞれ独立していない場合にも好適である。なお、このような形態は、スクリーン印刷をパターンの付着・形成に用いている各種周知の場合に応用できる。
【0052】
次に、図1に示したものとは異なる本発明の実施形態について図5を参照して説明する。図5は、本発明の他の実施形態に係るスクリーン印刷装置の構成を示し作用を説明するための模式図である。図5において、すでに説明した要素には同一番号を付しその説明を省略する。
【0053】
この実施形態は、スキージ11、12の印刷時移動に伴いスクリーンマスク張設部14の高さ位置を徐々に変えるように構成するものである。このため、印刷台44内に備えられる張設部移動機構41の駆動により駆動軸43が上下方向に移動し、駆動軸43に接続して設けられたスクリーンマスク張設部14の高さ位置が変化する。張設部移動機構41は、制御部42によりその駆動が制御される。
【0054】
このような構成によると、第2のスキージ12の進行方向後ろ側に張られるスクリーンマスク15の第2のスキージ12との角度φを、スキージ11、12の移動にかかわらず一定に保つことができる。すなわち、スクリーンマスク張設部14を何ら動かさない場合には、角度φは、スキージ11、12が初期位置にあるときに最大になっており、スキージ11、12が進行するにつれて徐々に小さくなる。そこで、スクリーンマスク張設部14の高さ位置を、スキージ11、12が進行するにつれて高くするように、張設部移動機構41を制御部42により制御するものである。
【0055】
このような角度φの一定化により、被印刷物たる配線板基材18の各場所において導電バンプ17の形成条件を均一化することができる。これは、角度φが、導電性ペースト16a、16bが配線板基材18に引っ張られて分断される位置(第2のスキージ12からの位置)を規定するからである。よって、これにより、導電バンプ17の形成形状が配線板基材18の各場所において、より揃えられる。したがって、配線板としてさらに接続信頼性が向上し、コストや生産性を改善できる。
【0056】
なお、この実施形態における、被印刷物の各場所におけるペースト付着条件の一定化の効果は、スクリーンマスクとして図4に示したようなメッシュを有するものを用いる場合にも発揮される。
【0057】
また、上記の説明では、スキージ進行方向後ろ側のスクリーンマスク張設部14の高さ位置を変化させる場合を述べたが、これに加えて、前側のスクリーンマスク張設部13の高さ位置も変えられるように構成してもよい。これは、後ろ側のスクリーンマスク張設部14の高さ位置のみ変化させると、スクリーンマスク15の張力が増減するのでスキージ11、12の下方向の加圧力の維持に影響が出るからである。したがって、スクリーンマスク張設部13と14とは、互いに反対方向に移動するように位置変化させる。
【0058】
あるいは、スキージ進行方向後ろ側のスクリーンマスク張設部14の高さ位置のみを変化させる構成の場合には、スクリーンマスク張設部14の移動軌跡が、スクリーンマスク15の張力を一定化するように曲線(高くなるほどスクリーンマスク15の側に変位する)となるようにしてもよい。
【0059】
次に、図1、4に示したものとは異なる本発明の実施形態について図6を参照して説明する。図6は、本発明のさらに他の実施形態に係るスクリーン印刷装置の構成を示す模式図である。図6において、すでに説明した要素には同一番号を付しその説明を省略する。
【0060】
この実施形態は、第1のスキージ11について被印刷物への加圧力および印刷時の進行速度を調整可能に構成し、第2のスキージ12について第1のスキージ11との相対的位置関係を調整可能に構成するものである。このような調整を可能とすることにより、スクリーン印刷装置として各種の印刷に適用する汎用性を持たせることができる。
【0061】
このため、スキージ11を下方向に押し下げるスキージ加圧系53が設けられ、これが制御部54により制御される。また、スキージ11を横方向に移動させるスキージ移動系55が設けられ、これが制御部64により制御される。
【0062】
さらに、第1のスキージ11が取りつけられたスキージ取り付け部材51には、第2のスキージ12が設けられ、第2のスキージ12の相対的位置を調整する第2スキージ調整系52がスキージ取り付け部材51に設けられる。第2スキージ調整系52は制御部54により制御される。
【0063】
ここで、第2のスキージ12の相対的位置には、第1のスキージ11に沿う下方向をz、第1のスキージ11の印刷面との接触線状に平行な方向をy、xy平面に垂直な方向をxとする図示するような座標系において、z方向、x方向、y軸回りのθy方向の3つが主として挙げられる。この理由はすでに説明した通り、嵩高いバンプ等形成に特に関係するからである。
【0064】
このような構成を有することにより、ペーストの粘度、表面張力、スクリーンマスクの厚さ、材質、吐出孔の寸法などに応じて上記の調整により適切な設定により印刷を行なうことができる。
【0065】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、第1のスキージと、第1のスキージが印刷面を進行する方向後部に設けられた、第1のスキージより印刷面に垂直の方向に後退して位置する第2のスキージとにより、第1のスキージによってスクリーンマスクの吐出孔にペーストを充填し、第1のスキージが移動してスクリーンマスクが被印刷物からわずかに隔離したときに、第2のスキージが移動してきて上記吐出孔にペーストを追加供給することができる。よって、第2のスキージが移動してスクリーンマスクがさらに被印刷物から離間したときに、被印刷物の側に粘着し分断されるペースト量が増加する。したがって、インクに相当するペースト状物体を嵩高く被印刷物に付着させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るスクリーン印刷装置の構成を示し作用を説明するための模式図。
【図2】本発明の一実施形態に係るスクリーン印刷装置の作用の説明図。
【図3】図1に示したスクリーン印刷装置で用いたスクリーンマスク15の平面図。
【図4】図1に示したスクリーン印刷装置で用いたスクリーンマスク15に代えて同装置において用いることができるスクリーンマスク15Aの平面図。
【図5】本発明の他の実施形態に係るスクリーン印刷装置の構成を示し作用を説明するための模式図。
【図6】本発明のさらに他の実施形態に係るスクリーン印刷装置の構成を示す模式図。
【図7】スクリーン印刷を用いて配線板または金属箔上に微細構造物としての導電バンプを形成する方法を模式的に説明する図(従来図)。
【符号の説明】
11…第1のスキージ 12…第2のスキージ 13、14…スクリーンマスク張設部 15、15A…スクリーンマスク 15a、15b、15、15c、15d、15e…吐出孔 16a、16b…導電性ペースト 17…導電バンプ18…配線板基材 21…メッシュ 22…樹脂 41…張設部移動機構 42…制御部 43…駆動軸 44…印刷台 51…スキージ取り付け部材 52…第2スキージ調整系 53…スキージ加圧系 54…制御部 55…スキージ移動系
Claims (10)
- 吐出孔が穿設されたスクリーンマスクと、
前記スクリーンマスクに当接して該スクリーンマスクを被印刷物に線状に押し付け、かつ、該スクリーンマスクを前記被印刷物に押し付けつつ該スクリーンマスク上を進行することにより前記吐出孔に第1のペーストを充填する第1のスキージと、
前記第1のスキージが前記スクリーンマスク上を進行する方向後部に設けられ、前記第1のスキージより前記被印刷物に垂直の方向に後退して位置し、かつ、前記第1のスキージの前記進行により前記被印刷物から前記スクリーンが隔離して前記第1のペーストの一端が前記被印刷物に粘着し引っ張られることにより生じる前記吐出孔の余地空間に第2のペーストを供給する第2のスキージと
を具備することを特徴とするスクリーン印刷装置。 - 前記スクリーンマスクの前記吐出孔が、独立した点状の吐出孔であることを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
- 前記スクリーンマスクの前記吐出孔が、メッシュ状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
- 前記第1のスキージに対向して設けられ、前記被印刷物を載置可能な印刷台と、
前記印刷台の上方に互いに対向して設けられ、スクリーンマスクを張設するための1対のスクリーンマスク張設部とをさらに具備し、
前記1対のスクリーンマスク張設部は、少なくともその一方が、前記第1のスキージが前記印刷面を進行するにつれて前記印刷台からの距離が変化すること
を特徴とすることを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。 - 前記第2のスキージに接続して設けられ、前記第2のスキージの前記後退の寸法を調整する後退量調整機構をさらに具備することを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
- 前記第2のスキージに接続して設けられ、前記被印刷物に対する前記第2のスキージの角度を調整する角度調整機構をさらに具備することを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
- 前記第2のスキージに接続して設けられ、前記第1のスキージの進行方向における前記第1のスキージと前記第2のスキージとの離間距離を調整するスキージ間隔調整機構をさらに具備することを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
- 前記第1のスキージに接続して設けられ、前記被印刷物に対する前記第1のスキージの加圧力を調整する加圧力調整機構をさらに具備することを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
- 前記第1のスキージに接続して設けられ、前記第1のスキージの印刷時の進行速度を調整する速度調整機構をさらに具備することを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
- スクリーンマスクが被印刷物に接するように前記スクリーンマスクに第1のスキージを当接して前記スクリーンマスクに穿設された吐出孔に第1のペーストを充填するステップと、
前記第1のペーストの一端が前記被印刷物に粘着し引っ張られるように、前記第1のペーストを有する前記スクリーンマスクを前記被印刷物から隔離し、前記吐出孔に余地空間を作るステップと、
前記隔離されたスクリーンマスクに第2のスキージを当接して前記吐出孔の前記余地空間に第2のペーストを供給するステップと、
前記第1、第2のペーストを有する前記スクリーンマスクを前記被印刷物からさらに隔離するステップと
を具備することを特徴とするスクリーン印刷方法。
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