JP4179887B2 - バーコード読み取り装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、媒体に印刷されたバーコードを読み取るバーコード読み取り装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のバーコード読み取り装置として、例えば図8および図9に斜視図および平面図で示すようなものが知られている。このバーコード読み取り装置では、半導体レーザ51から出射されたレーザ光を、集光レンズ52で収束して、開口絞り53およびコレクターミラー54の中央に形成した開口を経て回動ミラー55で偏向し、これによりバーコード面56に照射して印刷されているバーコード57を走査するようにしている。
【0003】
また、バーコード面56からの反射光は、回動ミラー55およびコレクターミラー54で順次反射した後、バンドパスフィルタ58を経てホトディテクタ59で受光し、その出力に基づいてバーコード57を読み取るようにしている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
回動ミラー55は、往復回動するようになっているが、ここでは回動ミラー55の中央部を板バネ61を介してブラケット62に往復回動可能に支持すると共に、回動ミラー55の一端部にはミラーアーム63を介して棒状の磁石64を連結し、この磁石64を駆動コイル65を巻装したボビン66に挿脱可能として、駆動コイル65に所要の交番電流を供給して磁石64をボビン66に対して挿脱方向に移動させることにより、回動ミラー55をミラーアーム63を介して板バネ61の固有振動数とほぼ等しい周波数で往復回動させるようにしている。
【0005】
また、従来の他のバーコード読み取り装置として、バーコードを撮像素子で撮像して読み取るようにした撮像式のものにおいて、バーコード面に撮像素子の撮像可能範囲を示す投影パターンを照射するようにしたものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【非特許文献1】
浅野恭右・深田陸雄 編著「これからのバーコードシステム」工業調査会、1992年7月1日、p.186−187
【特許文献1】
特開平9−218915号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図8に示したような走査光学式のバーコード読み取り装置では、図10に示すように、バーコード読み取り装置本体71から出射される読み取り用のレーザ光による走査ライン72中にバーコード57が入るように、装置本体71とバーコード57との相対的位置を調整してバーコード57を読み取るが、その際、走査ライン72の長さ(走査幅)とバーコード57の全長とがほぼ等しくなることはまれであり、一般には走査幅をバーコード57の全長よりも十分長くした状態でバーコード57を読み取るようにしている。
【0008】
このため、装置本体71を暗い環境下で使用する場合、例えば病室において消灯後に点滴ボトルのラベルに印字されているバーコードを読み取る場合には、読み取り用のレーザ光がバーコードおよびラベルをはみ出して点滴ボトルに照射され、その照射光の点滴ボトルでの拡散光や散乱光が部屋の壁や天井等に照射されることになる。
【0009】
ここで、装置本体71から出射される読み取り用のレーザ光の強度は、読み取り性能および明るい雰囲気での視認性を確保するため、通常、1mW程度に設定されている。このため、上述した使用態様においては、点滴ボトルでの拡散光や散乱光によって暗い部屋の壁や天井が明るく照明されてしまい、就寝中の患者に不快感を与えることが懸念される。
【0010】
このような現象は、点滴ボトルに限らず、読み取るバーコードの近傍に、散乱や反射する物体がある場合にも同様に生じるものであり、使用場所も病室に限らず、暗い倉庫等でも同様の問題が生じるものである。
【0012】
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、明環境下では読み取り位置を適切に視認でき、暗環境下では有害光を有効に抑制できるようにしたバーコード読み取り装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する請求項1に係る発明は、光源から出射される読み取り光によりバーコードを走査して読み取るようにしたバーコード読み取り装置において、
上記光源を、上記読み取り光として比視感度の高い波長の光と、比視感度の低い波長の光とを選択的に出射し得るように構成するとともに、
周囲の明るさを検出する光検出器を有し、該光検出器の出力に基づいて上記光源から出射する読み取り光の波長を切り替えるよう構成したことを特徴とするものである。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のバーコード読み取り装置において、前記比視感度の高い波長の光による読み取り光と、前記比視感度の低い波長の光による読み取り光とは、それぞれの発光強度が同じであることを特徴とするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるバーコード読み取り装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
図1および図2は、本発明とともに開発した第1参考例によるバーコード読み取り装置の概略構成を示す斜視図および平面図である。このバーコード読み取り装置は、走査光学式のもので、読み取り光を出射する光源として、比視感度が非常に低く、殆ど視認できない波長のレーザ光(読み取り光)を出射する半導体レーザ1を用い、この半導体レーザ1から出射される読み取り光を、集光レンズ2で収束して開口絞り3およびコレクターミラー4の中央に形成した開口を経て走査手段5で偏向し、これによりバーコード面6に照射して印刷されているバーコード7を走査するようにしたものである。
【0025】
また、バーコード面6からの反射光は、走査手段5およびコレクターミラー4で順次反射させた後、バンドパスフィルタ8で不要光を除去して受光手段であるホトディテクタ9で受光し、その出力に基づいてバーコード7を読み取るようにする。
【0026】
走査手段5には、半導体レーザ1からの読み取り光を反射させて偏向すると共に、バーコード面6からの反射光をコレクターミラー4に導く回動ミラー11を設ける。この回動ミラー11は、その中央部において板バネ12を介してブラケット13に往復回動可能に支持すると共に、一端部にはミラーアーム14を介して棒状の磁石15を連結し、この磁石15を駆動コイル16を巻装したボビン17に対して挿脱可能として、駆動コイル16に所要の交番電流を供給して磁石15をボビン17に対して挿脱方向に移動させることにより、回動ミラー11をミラーアーム14を介して板バネ12の固有振動数とほぼ等しい周波数で往復回動させるようにする。
【0027】
さらに、本参考例では、半導体レーザ1からの読み取り光の照射位置をオペレータに視認させるための可視波長のエイミング光を出射するエイミング光生成手段21を設ける。エイミング光生成手段21は、ここではエイミング光を発生するレンズ付きの発光ダイオード(LED)22を有して構成し、このLED22から出射するエイミング光の強度をオペレータによるスイッチ23の操作により切り替えられるようにする。
【0028】
なお、LED22は、その設置位置が回動ミラー11から離れていたり、出射されるエイミング光の光路がバーコード7を走査する読み取り光の光路を含む平面に対して傾斜していたりすると、読み取り光とエイミング光との間にパララックスが生じて、読み取り光の照射位置を視認させるという目的を果たさなくなるため、回動ミラー11の近傍で、出射されるエイミング光の光路が、バーコード7を走査する読み取り光の光路を含む平面とほぼ平行となるように配置する。また、バーコード面6で反射されて、ホトディテクタ9側に戻るエイミング光は、バンドパスフィルタ8で除去してホトディテクタ9に入射しないようにする。
【0029】
このように、本参考例では、走査光学式のバーコード読み取り装置において、バーコード7の読み取り光を出射する光源として、比視感度が非常に低く、殆ど視認できない波長のレーザ光を出射する半導体レーザ1を用いるようにしたので、読み取り光がバーコード面6等で散乱あるいは拡散しても、有害光となることはない。また、読み取り光の照射位置を視認させるエイミング光は、その出射強度をスイッチ23の操作により切り替えられるようにしたので、暗環境下では強度を低くすることで有害光を有効に抑えることができる。
【0030】
図3は、本発明とともに開発した第2参考例によるバーコード読み取り装置の概略構成を示す平面図である。本参考例は、第1参考例のバーコード読み取り装置に、周囲の明るさを検出する光検出器25と、その出力に基づいてLED22から出射するエイミング光の強度を制御する強度制御回路26とを付加して、エイミング光の出射強度を、周囲が明るいときには高く、暗いときには低くなるように自動的に制御するようにしたものである。
【0031】
本参考例によれば、オペレータによるエイミング光の強度切り替え操作が不要となり、オペレータは周囲の明るさを考慮することなく装置を使用できるので、使い勝手を向上することができる。
【0032】
なお、第1参考例および第2参考例では、エイミング光生成手段21を、レンズ付きLED22を有して構成したが、レンズとLEDとを別体にして構成することもできる。
【0033】
また、エイミング光生成手段21は、図4に示すように半導体レーザ31と、コリメータレンズ32と、回折光学素子33とを有し、半導体レーザ31からの光をコリメータレンズ32で平行光にして回折光学素子33で回折させることにより、例えば図5(a)に示すような読み取り光による走査ラインの位置を示す長方形のエイミング光照射パターン35や、図5(b)に示すような走査ラインの中心を示す×印のエイミング光照射パターン36等の所定のエイミング光照射パターンをバーコード面に投影することができる。このようにすれば、走査ライン位置の視認性をより向上することができる。
【0034】
上述した第1参考例および第2参考例においては、半導体レーザ1から比視感度が非常に低く、殆ど視認できない波長の読み取り光を出射させるが、その読み取り光の波長は、国際照明委員会(CIE)で定められている標準比視感度を参考に決定することができる。
【0035】
具体的には、比視感度には個人差があること、比視感度の低い領域では波長変化に対する比視感度の変化が大きいこと、半導体レーザには製造バラツキがあること、等を考慮して、長波長側では比視感度が0.001程度となる波長720nm以上のレーザ光を出射する半導体レーザを用いるのが好ましく、また短波長側では波長410nm以下のレーザ光を出射する半導体レーザを用いるのが好ましい。
【0036】
また、エイミング光は、比較的安価な誘電体多層膜からなるバンドパスフィルタ8で確実に除去できるように、エイミング光および読み取り光の波長のバラツキを考慮して、読み取り光の波長に対して70nm程度離れた波長とするのが好ましい。
【0037】
図6は、本発明の一実施の形態によるバーコード読み取り装置の概略構成を示す平面図である。本実施の形態は、第1参考例において、エイミング光生成手段21を省略すると共に、読み取り光を出射する光源として、比視感度の高い波長の読み取り光を出射する半導体レーザチップと、比視感度の低い波長の読み取り光を出射する半導体レーザチップとを搭載した2波長半導体レーザ41を用い、この2波長半導体レーザ41のいずれか一方の半導体レーザチップを、オペレータにより操作されるスイッチ42で選択して駆動回路43により駆動するようにしたものである。なお、読み取り光の発光強度は、双方の波長でほぼ同じに設定する。その他の構成は、第1参考例と同様であるので、第1参考例と同一構成要素には同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0038】
このように構成すれば、オペレータによるスイッチ42の操作により、明るい場所では比視感度の高い波長の読み取り光を出射する半導体レーザチップを駆動することができ、これにより読み取り光を適切に視認してバーコードを読み取ることができる。また、暗い場所では、比視感度の低い波長の読み取り光を出射する半導体レーザチップを駆動することができ、これにより拡散光や散乱光等の有害光を有効に抑えながらバーコードを読み取ることができる。なお、暗環境下においては、周囲が暗いので、読み取り光の比視感度が低くても、その照射位置をうっすらと視認することができる。また、読み取り光の発光強度が、双方の波長でほぼ同じに設定されているので、周囲の明るさに影響されることなく、所望の読み取り性能を確保することができる。
【0039】
ここで、比視感度の高い読み取り光の波長については、一般に、バーコード読み取り装置では、1mW程度の読み取り光を小さなスポットとして照射するので、比視感度が0.017の波長680nmにおいてもスポット直径を2mmと考えると、照度は約3600lxとなり、通常の室内で十分視認可能となる。したがって、本実施の形態においては、比視感度の高い読み取り光を、比視感度が0.017程度の波長とする。
【0040】
なお、本実施の形態では、スイッチ42により読み取り光の波長を切り替えるようにしたが、例えば第2参考例で示したように、周囲の明るさを検出する光検出器25を設け、その出力に基づいて暗環境下では比視感度の低い波長の読み取り光を出射する半導体レーザチップを駆動し、明環境下では比視感度の高い波長の読み取り光を出射する半導体レーザチップを駆動するように駆動回路43を介して半導体レーザ41の駆動を自動的に制御することもできる。
【0041】
このようにすれば、オペレータによる読み取り光の波長の切り替え操作が不要となるので、オペレータは周囲の明るさを考慮することなく装置を使用でき、使い勝手を向上することができる。
【0042】
図7は、本発明とともに開発した第3参考例によるバーコード読み取り装置の概略構成を示す図である。このバーコード読み取り装置は、撮像式のもので、バーコード面6上のバーコードの像を撮像光学系45により撮像素子46に結像させ、そのバーコード像の画像信号を処理してバーコードを読み取るようにしたものである。
【0043】
かかるバーコード読み取り装置において、本参考例では、例えば暗環境下での読み取り時等にバーコードを選択的に照明する照明光学系47を設けると共に、撮像素子による撮像位置を視認させるためのエイミング光を出射するエイミング光生成手段48を設ける。
【0044】
照明光学系47は、出射する照明光がオペレータに視認される必要はないので、照明光として撮像素子46には感度はあるが、比視感度は低い波長の光を出射するように構成する。
【0045】
エイミング光生成手段48は、第1,第2参考例で説明したように、レンズおよびLEDを有して構成するか、あるいは図4に示したように、半導体レーザ、コリメータレンズおよび回折光学素子を有し、撮像位置に所定のエイミング光照射パターンを投影するように構成する。
【0046】
また、エイミング光生成手段48は、例えば第1参考例におけると同様に、オペレータによるスイッチ操作によってエイミング光の出射強度を手動で切り替えたり、あるいは第2参考例におけると同様に、周囲の明るさを光検出器で検出し、その出力に基づいてエイミング光の出射強度を暗環境下では低く、明環境下では高くなるように自動的に制御したりするように構成する。
【0047】
本参考例によれば、上述した参考例および実施の形態と同様に、暗環境下でのバーコード読み取りにおいて、有害光を有効に抑制することができる。また、回動ミラー等の可動部を有しないので、信頼性の高いバーコード読み取り装置を実現することができる。
【0048】
なお、第3参考例においては、出射するエイミング光の強度に応じて、低強度のエイミング光を出射するときは、バーコード撮影時に照明光学系47を駆動し、高強度のエイミング光を出射するときは、バーコード撮影時に照明光学系47を不作動とするように、照明光学系47の駆動を自動的に制御するように構成することもできる。
【0049】
また、逆に、バーコード撮影時に照明光学系47を駆動するように選択したときは、エイミング光を低強度とし、バーコード撮影時に照明光学系47を駆動しないように選択したときは、エイミング光を高強度とするように、エイミング光生成手段48の駆動を自動的に制御するように構成することもできる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、明環境下では読み取り位置を適切に視認でき、暗環境下では有害光を有効に抑制でき、しかも周囲の明るさに影響されることなく十分な読み取り性能が得られるバーコード読み取り装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明とともに開発したバーコード読み取り装置の第1参考例の概略構成を示す斜視図である。
【図2】 同じく、平面図である。
【図3】 本発明とともに開発した第2参考例におけるバーコード読み取り装置の概略構成を示す平面図である。
【図4】 エイミング光生成手段の変形例を示す図である。
【図5】 図4に示すエイミング光生成手段によるエイミング光照射パターンの二つの例を示す図である。
【図6】 本発明の一実施の形態におけるバーコード読み取り装置の概略構成を示す平面図である。
【図7】 本発明とともに開発した第3参考例におけるバーコード読み取り装置の概略構成を示す図である。
【図8】 従来のバーコード読み取り装置を示す斜視図である。
【図9】 同じく、平面図である。
【図10】 走査光学式のバーコード読み取り装置によるバーコードと走査ラインとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 半導体レーザ
2 集光レンズ
3 開口絞り
4 コレクターミラー
5 走査手段
6 バーコード面
7 バーコード
8 バンドパスフィルタ
9 ホトディテクタ
21 エイミング光生成手段
22 レンズ付き発光ダイオード(LED)
23 スイッチ
25 光検出器
26 強度制御回路
31 半導体レーザ
32 コリメータレンズ
33 回折光学素子
35,36 エイミング光照射パターン
41 2波長半導体レーザ
42 スイッチ
43 駆動回路
45 撮像光学系
46 撮像素子
47 照明光学系
48 エイミング光生成手段
Claims (2)
- 光源から出射される読み取り光によりバーコードを走査して読み取るようにしたバーコード読み取り装置において、
上記光源を、上記読み取り光として比視感度の高い波長の光と、比視感度の低い波長の光とを選択的に出射し得るように構成するとともに、
周囲の明るさを検出する光検出器を有し、該光検出器の出力に基づいて上記光源から出射する読み取り光の波長を切り替えるよう構成したことを特徴とするバーコード読み取り装置。 - 前記比視感度の高い波長の光による読み取り光と、前記比視感度の低い波長の光による読み取り光とは、それぞれの発光強度が同じであることを特徴とする請求項1に記載のバーコード読み取り装置。
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