JP4179458B2 - 吸水マット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、肉や魚などの切り身を樹脂製の皿(トレイ)に入れてポリマーフィルムなどで包装する場合に、敷物として用いる吸水マットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、親水処理された合成繊維および/または親水性繊維で形成された液吸収層と、この液吸収層の表面に接合された多数の貫通部を有する合成樹脂フィルムとを有する液吸収体において、上記合成樹脂フィルムは、上記液吸収層の表面にポリエチレン溶融押出ラミネートされたものであり、上記液吸収層と上記合成樹脂フィルムとが密着している液吸収シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、表面に熱可塑性樹脂の不透明なフィルムを被覆した吸水マットであって、表面フィルムの裏面に和紙を貼着して親水性を向上させ、エンボス加工により上記表面フィルムに多数の小さな凹部を、一部の側壁と底面との境界に切れ目を発生させて形成するとともに、エンボス加工した和紙の裏面に不織布を貼着したことを特徴とする吸水マットが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、薄い吸水性を有さない不透明シートと、吸水性を有する吸収シートとを接合した2層構造シートに、多数のドリップ吸収用切れ目を穿設したドリップ吸収シートが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−300848号公報(特許請求の範囲、図4)
【特許文献2】
特開平10−166485号公報(特許請求の範囲、図1)
【特許文献3】
特開平9−40026号公報(特許請求の範囲、図3)
【0006】
しかし、特許文献1に記載された発明は、ポリエチレンフィルムが柔軟であるため、製品の腰の強さに寄与しないこと、また、溶融押出ラミネートによる嵩減少の問題点を有している。
【0007】
一方、特許文献2に記載された発明は、3層構造とすることによる生産工程の煩雑化、コスト面で不利となるなどの問題点を有している。
【0008】
また、特許文献3に記載された発明は、吸収層の吸収能力が必ずしも充分とは言えない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の問題点を克服するためになされたものであり、その目的とするところは、製品の腰の強さの向上、溶融ラミネートフィルムを用いた場合の嵩減少問題の防止、生産工程の煩雑さの解消、吸収層の吸収能力アップを計ることができる吸水マットを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の食品包装用吸水マットは、表面の不透明なポリプロピレンフィルムと、食品対応の親水処理剤を0.05重量%〜0.4重量%含有し、レーヨン繊維とポリエステル繊維を重量比で30/70〜90/10の割合で含むケミカルボンド不織布とを、ホットメルト法によりラミネートした2層構造の積層体からなり、かつ該ポリプロピレンフィルムはエンボス加工により多数の裂け目が形成されていることを特徴とするとするものである。
そして、上記食品対応の親水処理剤は、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。なお、この実施の形態では、表面のポリプロピレンフィルムに菱形の凹部を設けた場合を例に取る。
【0012】
図1は本発明に係る吸水マットの平面図、図2は本発明に係る吸水マットの要部拡大断面図である。
【0013】
図2に示すように、この吸水マット10は、不透明なポリプロピレンフィルム11を表面とし、その裏面(背面)にケミカルボンド不織布12をホットメルト法によりラミネートさせた2層構造の積層体となっている。
【0014】
この吸水マット10は、吸水層となるケミカルボンド不織布12に食品対応の親水処理剤を付与して親水性を調整し、これにポリプロピレンフィルム11をホットメルト法によりラミネートする。フィルム11はあらかじめエンボス加工することにより、多数の裂け目13を設けている。
【0015】
不織布の親水性は、FDAにおいて、食品に接触するシートに対して使用することが登録されている親水処理剤や、食品添加物として認められている材料を、不織布製造工程において添加したり、あるいは別工程で単独に付与したりすることで調整することができる。
【0016】
食品対応の親水処理剤としては、カルボキシメチルセルロース、加工澱粉などが挙げられるが、特に、吸収性能が高い点や、吸収時の粘着性の問題、取り扱い性などの観点からジオクチルスルホコハク酸ナトリウムが好ましい。これは、三井サイテック株式会社の「エアロゾルOT−75E」として知られている。
【0017】
不織布に含有される親水処理剤の量は、0.05重量%〜0.4重量%である。0.05重量%未満では、親水性が不十分であり、0.4重量%を超えると、親水処理剤付与工程における発泡トラブルなどの工程性悪化原因となるし、また、必要量以上の過剰な添加となり無駄である。さらに、好ましくは0.1重量%〜0.3重量%である。
【0018】
また、不織布の目付としては、25〜90g/m2、さらには、35〜70g/m2が好ましい。
【0019】
不織布としては、上記のようなケミカルボンド法による不織布(ケミカルボンド不織布)のほか、ウォータージェット不織布、エアレイド不織布があるが、本発明ではケミカルボンド不織布が用いられる。
【0020】
このうち、ケミカルボンド法による不織布は、解繊・混綿装置によって異種の原料繊維を均一に混合したものをカードによってシート化してウェブにし、このウェブをアクリル系エマルジョンのようなケミカルバインダー液にディッピングして所定量の樹脂をウェブに付着させ、さらに乾燥、熱処理することにより、製造することができる。
ここで、原料繊維としては、親水性であるレーヨン繊維と、嵩高性であるポリエステル繊維との混合品が好ましい。レーヨン繊維とポリエステル繊維との混合比率は、重量比で好ましくは30/70〜90/10、さらに好ましくは40/60〜70/30である。
なお、レーヨン繊維の繊度は1.7〜5.5dt、さらには、2.2〜4.4dtが好ましい。また、ポリエステル繊維の繊度は、1.7〜10dt、さらには2.2〜6.6dtが好ましい。繊維長は、共に38〜76mm程度のものが使用される。
【0022】
一方、ポリプロピレンフィルム11には、該フィルムと不織布とをホットメルト法によりラミネートする前に、あらかじめ図1に示すように、エンボス加工により多数の凹部14が形成されている。この凹部14の谷底には、エンボス加工の際の展張に追随できずに切れた裂け目13が生じている。
【0023】
図1に示すように、凹部14は、菱形状を呈し、その長手方向の長さL1、およびその横手方向の長さL2は、共に0.2〜1.0mmとなっている。また、凹部14は、図1に示すように、碁盤の目のように配設され、その長手方向のピッチP1、および横手方向のピッチP2は共に0.5〜3mmとなっている。
【0024】
ポリプロピレンフィルムの厚さは、15〜50μm、さらには、20〜40μmが好ましい。15μm未満では腰が弱く、取扱い姓に問題を生じ、使用に供し得ない。一方、50μmを超えると、腰が強過ぎて、エンボス加工に支障がでるばかりか、コストアップにもなる。他のフィルム、例えばポリエチレンフィルムなどでは腰が弱いうえに、エンボス加工で裂け目が生じにくい。
ポリプロピレンフィルムの不透明化は、例えば、ポリプロピレンフィルム内に二酸化チタンなどの無機系フィラーを0.2〜5重量%混入させることにより解決することができる。
【0025】
以上の説明では、表面のポリプロピレンフィルムに菱形の凹部を設けた場合について説明したが、矩形、長円形、楕円形などでも差し支えがない。要は、エンボス加工により表面のポリプロピレンフィルムに裂け目が生ずればよいのである。
【0026】
本発明の吸水マットは、例えば、フィルムロール体から不透明化されているポリプロピレンフィルムを引き出して、全周面に多数個の突起が突出したエンボスローラと弾性ローラとの間にプレス線圧50〜300kg/cmで送入してフィルムに裂け目を施し、次いで、このフィルムをコンベア上に載置しながら移動しつつ、コンベアの上方に配したホットメルト塗布機から溶融状態のオレフィン系接着剤をカーテンスプレー方式で吹き出して、この接着剤をポリプロピレンフィルムに塗布し、一対の重ね合わせローラを用いてケミカルボンド不織布などの不織布とポリプロピレンフィルムの接着剤面とを重ね合わせて密着させることにより、製造することができる。
ホットメルト法の場合、接着剤は微細な繊維状となっているので、フィルム裂け目から不織布層への吸液の阻害要因とならないうえ、不織布の嵩減少も生じにくく、好適である。
なお、ホットメルト接着剤としては、上記オレフィン系接着剤のほか、EVA系樹脂、ゴム系樹脂などが用いられる。
また、ホットメルト接着剤の使用は、通常、1.0〜10.0g/m2、好ましくは1.5〜4.0g/m2程度である。
【0027】
また、このようにして得られる本発明の吸水マットの全体の目付は、通常、60〜100g/m2、好ましくは70〜80g/m2である。
【0028】
【実施例】
本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜2および比較例1〜3
厚み30μmの不透明なポリプロピレンフィルムまたはポリエチレンフィルムにまずエンボス加工を施した。次に、このエンボスフィルムと、食品対応の親水処理剤を表1に示す所定量含有する目付50g/m2の不織布とを、ホットメルト系接着剤としてオレフィン系接着剤2g/m2を用い、ホットメルト法によりラミネートして積層体としたのち、性能の評価を行った。結果を表1に示す。
エンボス加工は、表面は図1、断面は図2のように行った。L1は、0.3mm、L2は0.4mm、P1は1.0mm、ピッチP2は1.1mmとなっている。
なお、吸水層不織布としては、2.2dtのレーヨン繊維(R)と、3.3dtのポリエチレンテレフタレート繊維とからなる、アクリル系ケミカルボンド不織布を用いた。
【0029】
【表1】
Figure 0004179458
【0030】
評価は以下の方法による。
(1)吸水性は、吸水マット上に0.9重量%の食塩水3mlを垂らしたとき、
○:10分以内に吸水不織布層内に吸収される。
△:吸収するのに10分〜50分かかる。
×:50分超の時間がかかる。
(2)取扱性は、シートの一端を水平に持った時に、もう一方が
○:ほぼ水平の状態で、あまり垂れ下がらない。
△:45度以上の傾きで垂れ下がる。
×:60度以上の傾きで垂れ下がる。
で評価した。
なお、親水処理剤として、三井サイテック株式会社の「エアロゾルOT−75E」を使用した。
【0031】
【発明の効果】
上記のように、本発明は、表面に不透明な熱可塑性合成樹脂製の膜を被覆した2層構造の吸水マットであって、エンボス加工により多数の裂け目を形成させた不透明ポリプロピレンフィルムと、食品対応の親水処理剤を0.05重量%〜0.4重量%含有する不織布とをホットメルト法によりラミネートした積層体である。
従って、吸水層であるケミカルボンド不織布を親水処理することで親水性を最適なものに調整することができるのみならず、表面にポリプロピレンフィルムを使用することで製品の腰の強さを確保し取扱い性を向上させることができ、その上、吸水層とポリプロピレンフィルムとをホットメルト法でラミネートすることで製造工程における嵩低下を防止しつつ、吸水性能を発揮させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る吸水マットの平面図である。
【図2】本発明に係る吸水マットの要部断面拡大図である。
【符号の説明】
10 吸水マット
11 ポリプロピレンフィルム
12 不織布
13 裂け目
14 凹部

Claims (2)

  1. 表面の不透明なポリプロピレンフィルムと、食品対応の親水処理剤を0.05重量%〜0.4重量%含有し、レーヨン繊維とポリエステル繊維を重量比で30/70〜90/10の割合で含むケミカルボンド不織布とを、ホットメルト法によりラミネートした2層構造の積層体からなり、かつ該ポリプロピレンフィルムはエンボス加工により多数の裂け目が形成されていることを特徴とする食品包装用吸水マット。
  2. 食品対応の親水処理剤がジオクチルスルホコハク酸ナトリウムである請求項1記載の食品包装用吸水マット。
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