JP4179438B2 - 画像id生成方法および装置並びに記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像データから画像データのID情報を生成する画像ID生成方法および装置、ID情報を生成した画像データを保管する画像データ保管方法および装置、画像データからプリント画像を得る画像出力方法および装置並びに画像ID生成方法、画像データ保管方法および画像出力方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
写真プリントの焼き増しは、例えば特開平2−214836号公報に記載されたようにネガフイルムから行われるのが一般的であったが、近年フイルムを光電的に読取って得た画像データや、デジタルカメラにより取得された画像データを用いて写真プリントの焼き増しが行われるようになってきている。しかしながら、画像データは管理が困難であるため、一般家庭において保存されるのは画像データではなくプリントのみであることがほとんどである。また、仮に画像データが保管されていたとしても、アルバム等に貼付されたプリントには画像データのファイル名が付与されていることはないため、プリントとパソコンのハードディスク等に保管された画像データとを対応付けることは困難である。
【0003】
このように、プリントと画像データとは対応付かない状態で保存されていることが多いため、プリントの焼き増しを行う際には、例えば特開平7−254988号公報に記載されたように、プリントをスキャナにより光電的に読取って画像データを得、この読取った画像データを用いてデジタルプリンタ等を用いて複製プリントを作成するようにしている。また、プリントに文字等を書き込んだものを複製する、プリントを貼り付けた文書やアルバムをそのまま複製するという要求もあり、このような場合においても原稿を読取ることにより得た画像データを用いての複製プリントの作成が行われている。
【0004】
しかしながら、上記特開平7−254988号公報に記載された複製プリントの作成方法においては、スキャナの光学系のボケ、フレア、撮像素子のサンプリング時の劣化やノイズ等、画像を劣化させる多くの要因を含んでいる。また、原稿には傷や指紋等の汚れが付与しやすく、また経時による退色や変色により色が劣化してしまう。さらに、デジタルプリントや印刷物を原稿とした場合、画像を形成する走査線や網点とスキャナの走査線とにより複製プリントにモアレが生じてしまう。したがって、原稿を読取ることによる複製プリントの作成は画質の劣化を避けることができず、とくに、複製プリントからさらに複製プリントを作成する場合には、画質の劣化が倍増してしまう。この場合、光学特性の良好なスキャナを使用すれば、ある程度は画質の劣化を抑えることができるが、このようなスキャナは高価であり、さらに画質の劣化を完全に抑制することはできない。
【0005】
このため、人間の目に識別し難い状態で画像のID番号を原稿に付与し、この原稿をスキャナで読取った際にID番号を抽出し、予めID番号と画像データとを対応付けて記憶した記憶手段から、読取ったID番号に対応する画像データを読出し、この読出した画像データを用いて複製プリントを作成するようにした画像形成方法が提案されている(特開平8−331362号公報)。この方法を複製プリントに適用すれば、原稿を読取ってはいるものの、読取りによって得たものではないオリジナルの画像データが複製プリントの作成に使用されるため、画質の劣化のない複製プリントを作成することができる。なお、人間の目に識別しにくい状態で画像のID番号を原稿に付与する方法としては、ID情報を原稿中に秘匿的に埋め込む方法が用いられる。この画像中に情報を秘匿的に埋め込む方法については種々の文献にその詳細が記載されている(例えば、「電子透かし、松井甲子雄、O plus E No.213,1997年8月)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように画像中に情報を埋め込むことにより、人間の目には識別しにくいように画像にID情報を付与することができる。しかしながら、画像中に情報を秘匿的に埋め込む方法によっては、画像の画素値が変更されて情報が付与されるため、この情報が画像中にノイズとして現れてしまう。このため、ID情報を埋め込んだ画像はオリジナルの画像からの画質の劣化を避けることができないものとなる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、画像データを劣化させることなく、画像のID情報を得ることができる画像ID生成方法および装置を提供することを第1の目的とするものである。
【0008】
また、画像データを劣化させることなく画像データを保管できる画像データ保管方法および装置を提供することを第2の目的とするものである。
【0009】
さらに、高画質の複製プリントを得ることができる画像出力方法および装置を提供することを第3の目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による画像ID生成方法は、画像データにより表される画像の画素値に基づいて、該画像データのID情報を生成することを特徴とするものである。
【0011】
ここで、「画像の画素値に基づいて」とは、画像データがモノクロである場合にはモノクロの画素値に基づいての意であり、画像データがRGBの3色からなるカラー画像を表すものである場合には、R,G,Bの各データにより得られる画像の画素値に基づいての意である。
【0012】
なお、具体的には、前記画像データを階層化して互いに異なる解像度を有する複数の解像度画像データを生成し、
前記複数の解像度画像データのうち、最低解像度から所定の解像度までの前記解像度画像データにより表される解像度画像の画素値を所定の順序により配列した数値情報を前記ID情報として生成することが好ましい。
【0013】
ここで、「解像度画像データ」により表される解像度画像は、画像データにより表される画像を縮小した画像を表すものとなる。なお、画像データを複数の解像度毎に階層的に分解し、各階層毎のデータ(階層データ)を符号化して圧縮保管する形式が提案されている。この保存形式は、具体的には画像データをウェーブレット変換等により複数の解像度毎の階層データに分解し、この分解された各解像度毎の階層データを階層順に符号化して1つのファイルとして圧縮して保管するものである。一方、イーストマンコダック社が提案するFlashPixファイルのように、1つのファイル内に複数の性質の異なるデータを記憶することができるファイル形式が提案されているが、このようなFlashPix規格のファイルには、解像度毎に分解された画像データを保管することが可能である。したがって、画像データが元々これらのファイル形式で作成されている場合には、「画像データを階層化して複数の解像度画像データを生成する」ステップは、画像データを各解像度画像データに展開するステップとなる。
【0014】
また、「解像度画像の画素値を所定の順序により配列する」とは、解像度画像を構成する各画素の画素値を、予め定められた順序となるように並べることをいう。例えば、モノクロの8ビットの2×2画素の解像度画像について、座標値として(1,1)、(1,2)、(2,1)、(2,2)の位置にある各画素の画素値が、10,20,30,40であるような場合において、各画素を(1,1)、(1,2)、(2,1)、(2,2)の順序で並べるとすると、その配列は、10,20,30,40となる。また、RGBの各データからなる2×2画素の解像度画像については、RGB各色について例えばR,G,Bの順序で並べることにより4×3=12個の数値が配列される。
【0015】
一方、複数の画像データについて、最低解像度から所定解像度までの解像度画像データにより数値情報を生成した場合、画像データにより表される画像が似ていると、数値情報が同一となってしまう場合がある。したがって、複数の画像データについてのID情報を生成する場合には、前記各画像データの前記数値情報を比較して、前記各画像データにおいて同一の数値情報が存在しなくなるまで前記所定の解像度を高くすることにより、前記解像度画像データにより表される解像度画像の画素値を前記所定の順序により配列して前記数値情報を生成することが好ましい。
【0016】
本発明による画像データ保管方法は、本発明による画像ID生成方法により、画像データのID情報を生成し、
該ID情報と前記画像データとを対応付けて記憶手段に記憶することを特徴とするものである。
【0017】
本発明による画像出力方法は、原画像が付与された原稿を読取って、該原稿に記録された原稿画像を表す原稿画像データを得、
前記原稿画像データに含まれる前記原画像を表す原画像データから、請求項1から3のいずれか1項記載の画像ID生成方法によりID情報を生成し、
請求項4記載の画像データ保管方法により前記原画像データが記憶された記憶手段から、前記生成されたID情報に対応する対応原画像を表す対応原画像データを読出し、
前記原稿画像データにおける前記原画像データに対応する領域を前記対応原画像データと入れ替える処理を施して処理済み画像データを得、
前記処理済み画像データをプリント出力してプリント画像を得ることを特徴とするものである。
【0018】
ここで、「原画像が付与された原稿」としては、原画像が他の画像や文字と組み合わされたもののみならず、原稿全体が原画像であるものをも含む。したがって、「原稿画像データに含まれる原画像を表す原画像データ」とは、原稿画像データそのものが原画像データとなる場合があるものとする。
【0019】
「原画像データに対応する領域を対応原画像データと入れ替える」とは、原画像が原稿の一部をなす場合には、例えば、原画像を拡大縮小、平行移動、回転、トリミング等して原画像を原稿画像と幾何学的に一致させて入れ替えることをいう。なお、原稿全体が原画像である場合には、原稿画像データの全体が原画像データと入れ替えられることとなる。
【0020】
なお、本発明による画像出力方法においては、前記プリント画像にコピー防止処理を施すことが好ましい。
【0021】
「プリント画像にコピー防止処理を施す」とは、プリントの支持体にマイクロラインによるコピーガードを施すことや、感光材料の表面上にマイクロライン状のパターンを形成すること等により行うことができる。
【0022】
また、本発明による画像出力方法においては、前記ID情報に基づいて、前記原画像の著作権を管理するが好ましい。
【0023】
「著作権を管理する」とは、原画像が著作権を有するものである場合に、原画像の複製を禁止したり、著作権使用料の徴収を管理することをいう。
【0024】
本発明による画像ID生成装置は、画像データにより表される画像の画素値に基づいて、該画像データのID情報を生成するID生成手段を備えたことを特徴とするものである。
【0025】
なお、本発明による画像ID生成装置においては、前記ID生成手段が、前記画像データを階層化して互いに異なる解像度を有する複数の解像度画像データを生成する解像度画像生成手段と、
前記複数の解像度画像データのうち、最低解像度から所定の解像度までの前記解像度画像データにより表される解像度画像の画素値を所定の順序により配列した数値情報を前記ID情報として生成する数値情報生成手段とを備えることが好ましい。
【0026】
また、本発明による画像ID生成装置においては、前記数値情報生成手段は、複数の画像データについてのID情報を生成する場合、前記各画像データの前記数値情報を比較して、前記各画像データにおいて同一の数値情報が存在しなくなるまで前記所定の解像度を高くすることにより、前記解像度画像データにより表される解像度画像の画素値を前記所定の順序により配列して前記数値情報を生成する手段であることが好ましい。
【0027】
本発明による画像データ保管装置は、本発明による画像ID生成装置により生成された前記画像データのID情報と前記画像データとを対応付けて記憶する記憶手段を備えたことを特徴とするものである。
【0028】
本発明による画像出力装置は、原画像が付与された原稿を読取って、該原稿に記録された原稿画像を表す原稿画像データを得る読取手段と、
前記原稿画像データに含まれる前記原画像を表す原画像データから、本発明による画像ID生成方法によりID情報を生成するID情報生成手段と、
本発明による画像データ保管方法により前記原画像データが記憶された記憶手段から、前記生成されたID情報に対応する対応原画像を表す対応原画像データを読出す読出手段と、
前記原稿画像データにおける前記原画像データに対応する領域を前記対応原画像データと入れ替える処理を施して処理済み画像データを得る処理手段と、
前記処理済み画像データをプリント出力してプリント画像を得る出力手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0029】
なお、本発明による画像出力装置においては、前記プリント画像にコピー防止処理を施すコピー防止処理手段をさらに備えることが好ましい。
【0030】
また、本発明による画像出力装置においては、前記ID情報に基づいて、前記原画像の著作権を管理する情報管理手段をさらに備えることが好ましい。
【0031】
なお、本発明による画像ID生成方法、画像データ保管方法および画像出力方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。
【0032】
【発明の効果】
本発明による画像ID生成方法および装置によれば、画像データにより表される画像の画素値に基づいて画像データのID情報を生成するようにしたため、得られたID情報はその画像に固有のものとなる。したがって、画像データにID情報を埋め込まなくても、その画像に固有のID情報を画像データから得ることができ、これにより画像データによって表される画像の画質を損なうことなく、画像データからID情報を得ることができる。
【0033】
また、本発明による画像データ保管方法および装置によれば、本発明による画像ID生成方法および装置により生成された画像データのID情報と、画像データとを対応付けて記憶手段に記憶するようにしたものである。ここで、画像データにはID情報は埋め込まれていないため、画質の劣化のない画像データを記憶手段に保管しておくことができる。
【0034】
さらに、本発明による画像出力方法および装置によれば、原稿を読取ることにより原稿画像を表す原稿画像データが得られ、この原稿画像データに含まれる原画像データから、本発明による画像ID生成方法および装置により、原稿に付与された原画像のID情報が生成され、この生成されたID情報に対応する対応原画像データが記憶手段から読出される。そして、原稿画像データにおける原画像データに対応する領域を対応原画像データと入れ替える処理が行われて処理済み画像データが得られ、これがプリント出力されてプリント画像が得られる。ここで、記憶手段に記憶された画像データにはID情報は埋め込まれていないため、対応原画像データを用いることにより、高画質のプリント画像を得ることができる。
【0035】
また、プリント画像にコピー防止処理を施せば、本発明により得られたプリント画像を用いた複製を防止することができる。
【0036】
さらに、原画像の著作権を管理することにより、原画像が著作権を有する場合に、原画像の不正な複製を防止することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0038】
図1は本発明の実施形態による画像出力装置を適用した画像出力システムの構成を示す概略ブロック図である。図1に示すように、本実施形態による画像出力システムは、ユーザ1とラボ2との間においてデータおよびプリントのやりとりを行うものであり、ユーザ1のデジタルカメラ11により取得された原画像データS0により表される原画像(以下原画像についてもS0とする)の画素値に基づいて、原画像データS0のID情報Hを生成するID生成手段4と、原画像データS0およびID情報Hを管理する画像管理手段5と、原画像データS0とID情報Hとを対応付けて記憶する記憶手段6と、原画像データS0により表される原画像S0および後述する合成画像データG0により表される合成画像(以下合成画像についてもG0とする)をプリント出力するプリンタ7と、後述するように原画像S0を用いてユーザ1により作成された原稿Mを読取って原稿画像を表す原稿画像データM0を得るスキャナ等の読取手段8と、原稿画像データM0からID情報Hを抽出する抽出手段9と、原稿画像データM0から抽出されたID情報Hに基づいて画像管理手段5から読出された原画像データS0と原稿画像データM0とに基づいて、原稿Mに対応する合成画像を表す合成画像データG0を生成する合成手段10とを備える。
【0039】
ユーザ1はデジタルカメラ11により撮像された原画像データS0をFD等の記録媒体に記録してラボ2に提供してもよく、ネットワークを介してラボ2に提供してもよい。
【0040】
ID生成手段4は、原画像S0の画素値に基づいて、原画像データS0に固有のID情報Hを生成するものである。以下ID情報生成の詳細について説明する。まず、原画像データS0を階層化して互いに異なる解像度を有する複数の解像度画像データKl(l:階層数)を得る。ここで、原画像データS0がm×n画素を有する場合、m/2p×n/2p(p=0〜l)のl+1個の解像度画像データKlを得る。本実施形態においては、原画像データS0は1024×1024画素を有するものとし、階層化により1024×1024,512×512,…4×4,2×2の10階層の解像度画像データKl(l=1〜10)を得るものとする。また、原画像データS0はRGB各色8ビットのカラー画像を表すものであり、RGBの各色について解像度画像データKlが存在するものとする。
【0041】
まずRについての数値情報の生成について説明する。図2は最低解像度の解像度画像データK10により表される画像を示す図である。図2に示すように、最低解像度画像K10は2×2画素の4画素からなるものであり、左下隅を基準として各画素に1,2の番号を付与し、この番号を座標値として用いる。ここで、原画像データS0は各色8ビットのデータであるため、図2に示す4つの画素のそれぞれが8ビットの情報を有するものとなっている。なお、8ビット全ての情報を利用すると情報量が多くなりすぎるため、ここでは下位4ビットを切り捨てて上位4ビットの情報を使用する。また、各画素の情報を数値化するために、4画素を(1,1)、(1,2)、(2,1)、(2,2)の順序で配置するものとする。そして、4ビットの情報を有する画素をこの順序で4つ並べることにより、4×4=16ビットの情報が数値情報として得られる。
【0042】
一方、B,GについてもRと同様に16ビットの情報が数値情報として得られるため、最低解像度の解像度画像データK0により16×3=48ビットの数値情報を得ることができる。したがって、このようにして得られた数値情報をID情報Hとして生成する。
【0043】
なお、似たシーンを撮影したような場合には、ID情報Hが同一となる場合もある。したがって、各原画像データS0同士でID情報を比較し、最低解像度のみではID情報Hが同一となる場合には、1段階高解像度の解像度画像データK9を用いて上記と同様に数値情報を生成する。ここで、解像度画像データK10の1段階高解像度の解像度画像データK9は4×4画素を有し、上記と同様に各色の各画素について4ビットの情報を有するものとすると、解像度画像データK9により16×4×3=192ビットの数値情報を得ることができる。しかしながら、この情報を全て使用すると情報量が多くなるため、図3に示すように解像度画像データK9により表される解像度画像の各画素において得られる情報を、(1,1)の画素から順に解像度画像データK10において得られた48ビットの情報に付加し、各原画像データS0において配列される数値が異なるものとなった時点における数値情報をID情報Hとすることが好ましい。
【0044】
すなわち、2つの原画像データS0,S0′について、図4に示すように解像度画像データK10のみでは数値情報は同一であり、解像度画像データK9の(1,1)および(1,2)の画素まで数値情報が同一であるが、(1,3)の画素において異なるものとなった場合は、1つの色についてこれら3画素分の情報が最低解像度の解像度画像データK0において得られる数値情報に付与される。したがってこの場合は1つの色について16+4×3=28ビットの数値情報が得られることとなる。なお、解像度画像データK9を用いてもID情報Hが同一となる場合は、さらに高解像度の解像度画像データを用いる。
【0045】
画像管理手段5は、原画像データS0およびID情報Hを互いに対応付けて記憶手段6に記憶するとともに、記憶手段6に記憶された原画像データS0をID情報Hに基づいて検索する機能を有する。そして、後述するように抽出手段9において抽出されたID情報Hに対応する原画像データS0を検索し、記憶手段6から読出すものである。
【0046】
ユーザ1はプリンタ7によりプリントされた原画像S0を用いて合成画像Mを作成するが、ユーザ1は原画像S0および他の画像や文字画像等を用いて切り貼り加工を行って原稿Mを作成してもよく、ユーザ1が有するスキャナを用いて原画像S0を読取って画像データを得、パソコンを用いて加工を行った後これをプリントアウトして原稿Mを作成してもよい。なお、本実施形態においては、原画像S0が図5に示すものであり、原稿Mは図6に示すように原画像S0に対応する画像A1、他の画像A2および文字画像A3とを組み合わせたものとする。
【0047】
抽出手段9は読取手段8において原稿Mを読取ることにより得られた原稿画像データM0から画像A1〜A3を認識し、各画像A1〜A3からID生成手段4と同様にID情報Hを抽出する。なお、ここでは画像A3は文字画像であるため、画像A1,A2についてのみID情報Hの抽出が行われる。
【0048】
なお、画像管理手段5においては、ID情報Hに基づいて記憶手段6から原画像データS0を読出すが、本実施形態においては、画像A2から抽出されたID情報Hに対応する原画像データS0は記憶手段6には記憶されていない。この場合、画像管理手段5は画像A2に対応する原画像データS0は存在しない旨の情報を合成手段10に入力する。
【0049】
合成手段10は、画像管理手段5から入力された原画像データS0に対応する画像についてのみ、原画像データS0と入れ替える合成処理を行う。この合成処理は以下のようにして行う。まず、原稿画像データM0における画像A1に対応する領域を位置合わせ対象領域として設定し、この位置合わせ対象領域について原画像データS0とのパターンマッチングを行う。このパターンマッチングは、原画像データS0に対して拡大縮小、回転、トリミング、平行移動という幾何学的処理を施しつつ、位置合わせ対象領域のデータと原画像データS0との差分を求めることにより行う。そして原稿画像データM0について差分が最も小さい領域を原稿画像データS0と入れ替えて、合成画像データG0を生成する。
【0050】
ここで、原稿Mにおいては、画像A1に画像A2が重なっており、かつその境界部分に「賀正」の文字画像A3が重なっている。ここで、上記パターンマッチングにおいては、画像A1における画像A2および文字画像A3が重なった領域については、それ以外の領域と比較して差分値が大きくなる。したがって、差分値が最も小さい領域のみについて幾何学処理が施された原画像データS0と入れ替えることにより、画像A1および文字画像A3との重なり部分を損なうことなく合成画像データG0を得ることができる。
【0051】
なお、本実施形態においては画像A1に対応する原画像データS0のみが合成手段10に入力されるため、画像A2および文字画像A3については原稿画像データM0の対応する部分が合成画像データG0の生成に用いられる。
【0052】
次いで、本実施形態の動作について説明する。図7は原画像S0がプリントアウトされるまでの本実施形態の動作を示すフローチャートである。まず、ユーザ1がデジタルカメラ11により取得した原画像データS0がID生成手段4に入力され(ステップS1)、ここで上述したように原画像データS0の画素値に基づいてID情報Hが生成される(ステップS2)。そして、原画像データS0およびID情報Hは画像管理手段5に入力され、ID情報Hと原画像データS0とが互いに対応付けられて記憶手段6に記憶される(ステップS3)。一方、原画像データS0はプリンタ7に入力され、図5に示す原画像S0がプリントされる(ステップS4)。以上が原画像S0をプリントするまでの処理である。
【0053】
プリントされた原画像S0はユーザ1に提供される。ユーザ1は提供された原画像S0を加工して図6に示す原稿Mを作成する。作成した原稿Mはラボ2に提供される。図8は原稿Mを用いて行われる処理を示すフローチャートである。ラボ2においては、読取手段8において原稿Mが読取られ、原稿Mに記録された原稿画像を表す原稿画像データM0が得られる(ステップS11)。原稿画像データM0は抽出手段9に入力され、上述したようにID情報Hが抽出される(ステップS12)。抽出されたID情報Hは画像管理手段5に入力され、ID情報Hに対応する原画像データS0が記憶手段6から読出される(ステップS13)。原画像データS0は合成手段10に入力され、ここで原稿画像データM0とともに上述したようにパターンマッチングが行われて、原画像データS0と原稿画像データM0との合成画像データG0が生成される(ステップS14)。合成画像データG0はプリンタ7においてプリントされ(ステップS15)、処理を終了する。
【0054】
このように、本実施形態においては、原画像S0の画素値に基づいて原画像データS0のID情報Hを生成し、原稿画像M0に含まれる原画像S0からID情報Hを抽出して、このID情報Hに対応する原画像データS0を記憶手段6から読出し、この原画像データS0を用いて合成画像データG0を生成するようにしたものである。ここで、原画像データS0には上記従来技術のようにID情報Hは埋め込まれていないため、この原画像データS0を用いて合成画像データG0を生成することにより、高画質の合成画像G0を得ることができる。
【0055】
なお、上記実施形態においては、合成画像G0をプリントする際に、合成画像G0が複製であることを示す情報として、コピーガードを施したプリント用紙を用いてもよい。このコピーガードとしてはマイクロラインであることが好ましい。図9はこのマイクロラインがプリントされたプリント用紙の部分拡大図である。このマイクロラインは、50〜300ミクロンピッチの細線が、黄色または水色等の比較的薄い色により支持体に印刷されているものである。このようなマイクロラインのパターンは平均的には反射率が一定であり、濃淡コントラストも小さいため、均一に薄く着色されたプリント用紙にしか見えない。しかしながら、このプリント用紙をスキャナにより読取ると、主走査方向と副走査方向とにおいて解像度が完全には一致しないため、斜め線の方向が異なるとその部分が他の部分と異なる濃度となるように読取られてしまう。このため、このプリント用紙に記録された合成画像G0をスキャナにより読取ることにより、マイクロラインのパターンが現れることとなる。したがって、合成画像G0を読取った際にマイクロラインのパターンが現れれば、その合成画像G0が複製であることが分かるため、不正なコピーの作成を防止することができる。
【0056】
なお、写真プリントの場合には感光材料が光沢を有するため、マイクロラインを感光材料にプリントしても、スキャナにより読取ることが困難である。このため、感光材料のゼラチン層の表面にポリエチレンのカバー層を設け、ここにマイクロラインと同様のパターンを有する凹凸を形成することにより、プリント用紙の場合と同様に複製であることを示す情報を感光材料に付与することができる。この場合、マイクロラインのパターンは着色されていないが、感光材料を読取る際に、反射光の散乱パターンに異方性が生じるため、ラインの向きの相違が読取った画像中にマイクロラインと同様のパターンとして出現することとなる。
【0057】
さらに、上記実施形態において、原画像S0が著作権を有する画像である場合、画像管理手段5に著作権管理手段を設け、原画像S0のID情報Hに基づいて、原画像S0の著作権情報を管理してもよい。例えば、ユーザ1のパソコンとラボ2とがネットワークを介して接続されているとし、著作権を有する原画像S0のプリント依頼があった場合には、ユーザ1に対して、この画像は著作権を有するものであるから課金される旨の情報を転送し、ユーザ1から課金に同意する旨の情報の転送を受けた後にプリントを行うようにすることができる。一方、著作権情報に基づいて複製不可という情報をユーザ1に転送することもできる。これにより、著作権を有する画像の不正な複製を防止することができる。
【0058】
また、画像A1の部分について依頼のあった原画像S0とは異なる原画像に入れ替えることもできる。これは、例えばユーザ1が依頼した原稿Mに著作権を有する原画像S0が含まれているような場合において、複製不可という情報の転送を受け、ユーザ1が著作権を有さない画像に入れ替えたい旨をラボ2に指示したような場合に適用することができる。この入れ替えは、合成手段10において原稿画像データM0と原画像データS0とのマッチングを行って、原画像S0を挿入する領域をマスク領域として生成し、このマスク領域に著作権情報を有さない画像データを貼り付けることにより行うことができる。これにより、画像の貼り付け位置を誤ることなく、正確に画像を入れ替えることができる。
【0059】
さらに、上記実施形態において、原稿Mの画像A1と画像A2との重ね合わせ部分は画像A2の方が上側にあるため、合成画像G0においても画像A2が上側となるようにプリントされる。しかしながら、ユーザ1の要望に応じて、画像A1すなわち原画像S0の方が上側となるように合成画像G0を生成することも可能である。この場合は、合成手段10におけるパターンマッチングの後、原画像データS0を原稿画像データM0にそのまま貼り付ければ原画像S0の方が上側となる合成画像G0を得ることができる。
【0060】
また、上記実施形態においては、ラボ2がプリンタ7を有する場合について説明したが、ラボ2以外にプリンタが存在する場合には、合成画像データG0の複製を防止するために、合成画像データG0を暗号化してプリンタに転送することが好ましい。ここで、プリントを行う正当な権利を有するプリンタにのみ暗号を解読する機能を設けることにより、正当なプリンタのみにおいてしか合成画像データG0をプリントすることができなくなる。したがって、合成画像データG0の不正なコピーを防止することができる。
【0061】
また、上記実施形態においては、ユーザ1は原画像S0を用いて原稿Mを作成し、この原稿Mの複製をラボ2に依頼しているが、原画像S0の複製をラボ2に依頼するようにしてもよい。この場合、原画像S0そのものが原稿M0となる。したがって、ラボ2においては読取手段8において、原稿M0すなわち原画像S0を読取って、原稿画像データM0(原画像データS0)を得、抽出手段9において原稿画像データM0からID情報Hを抽出して、合成手段10にID情報Hに対応する原画像データS0を入力する。そして、合成手段10においては、何ら処理を行うことなくプリンタ7において原画像データS0のプリントを行うことにより、原画像S0の複製プリントを得ることができる。
【0062】
さらに、上記実施形態においては、ID生成手段4において原画像データS0を階層化して解像度画像データKlを得ているが、原画像データS0が、原画像データS0を複数の解像度毎に階層的に分解し、各階層毎のデータを符号化して圧縮保管する形式のものである場合がある。また、イーストマンコダック社が提案するFlashPixファイルのように、1つのファイル内に複数の性質の異なるデータを記憶することができるファイル形式が提案されているが、このようなFlashPix規格のファイルには、解像度毎に分解された画像データを保管することも可能である。したがって、原画像データS0が元々これらのファイル形式で作成されている場合には、原画像データS0を階層化することなく、単に原画像データS0を読出すのみで解像度画像データKlを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による画像出力システムの構成を示す概略ブロック図
【図2】最低解像度画像を示す図
【図3】最低解像度の次の解像度の画像を示す図
【図4】ID情報の生成を説明するための図
【図5】原画像の例を示す図
【図6】原稿の例を示す図
【図7】本実施形態の動作を示すフローチャート(その1)
【図8】本実施形態の動作を示すフローチャート(その2)
【図9】マイクロラインがプリントされたプリント用紙の部分拡大図
【符号の説明】
1 ユーザ
2 ラボ
4 ID生成手段
5 画像管理手段
6 記憶手段
7 プリンタ
8 読取手段
9 抽出手段
10 合成手段
11 デジタルカメラ
Claims (6)
- 解像度画像生成手段が、画像データを階層化して互いに異なる解像度を有する複数の解像度画像データを生成し、
数値情報生成手段が、前記複数の解像度画像データのうち、最低解像度から所定の解像度までの前記解像度画像データにより表される解像度画像の画素値を所定の順序により配列した数値情報を、前記画像データのID情報として生成することを特徴とする画像ID生成方法。 - 複数の画像データについてのID情報を生成する場合、前記数値情報生成手段が、前記各画像データの前記数値情報を比較して、前記各画像データにおいて同一の数値情報が存在しなくなるまで前記所定の解像度を高くすることにより、前記解像度画像データにより表される解像度画像の画素値を前記所定の順序により配列して前記数値情報を生成することを特徴とする請求項1記載の画像ID生成方法。
- 画像データを階層化して互いに異なる解像度を有する複数の解像度画像データを生成する解像度画像生成手段と、
前記複数の解像度画像データのうち、最低解像度から所定の解像度までの前記解像度画像データにより表される解像度画像の画素値を所定の順序により配列した数値情報を、前記画像データのID情報として生成する数値情報生成手段とを備えたことを特徴とする画像ID生成装置。 - 前記数値情報生成手段は、複数の画像データについてのID情報を生成する場合、前記各画像データの前記数値情報を比較して、前記各画像データにおいて同一の数値情報が存在しなくなるまで前記所定の解像度を高くすることにより、前記解像度画像データにより表される解像度画像の画素値を前記所定の順序により配列して前記数値情報を生成する手段であることを特徴とする請求項3記載の画像ID生成装置。
- 画像データを階層化して互いに異なる解像度を有する複数の解像度画像データを生成する手順と、
前記複数の解像度画像データのうち、最低解像度から所定の解像度までの前記解像度画像データにより表される解像度画像の画素値を所定の順序により配列した数値情報を、前記画像データのID情報として生成する手順とを有することを特徴とする画像ID生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。 - 前記ID情報を生成する手順は、複数の画像データについてのID情報を生成する場合、前記各画像データの前記数値情報を比較して、前記各画像データにおいて同一の数値情報が存在しなくなるまで前記所定の解像度を高くすることにより、前記解像度画像データにより表される解像度画像の画素値を前記所定の順序により配列して前記数値情報を生成する手順を有することを特徴とする請求項5記載のコンピュータ読取り可能な記録媒体。
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