JP4179077B2 - シリンダヘッドの排気マニホールド取付部構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの排気ポートの出口が開口するシリンダヘッドの排気マニホールド取付部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリンダヘッドの側面に、複数の排気ポートの出口が開口しており、この出口の個々に対応したフランジを有したエキゾーストマニホールドがボルトで固定されているエンジンがある。このエキゾーストマニホールドは、フランジ部にボルト孔が形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
エキゾーストマニホールドは、排気ガスの温度で膨張するが、形状や材質、或いは冷却及び放熱の状態が異なるので、シリンダヘッドの膨張量との間に差が生じる。そこで、ボルト孔は、エキゾーストマニホールドの膨張中心とこのボルト孔が設けられるボルトボス部の中心とを通る線分に沿って長径が配置された長孔に形成されるか、温度変化によってエキゾーストマニホールドが変形することによって各ボルトボス部が変位する方向に沿って長径が配置された長孔に形成されている。エキゾーストマニホールドのフランジ部がシリンダヘッドに対して膨張或いは収縮した場合、ボルトボス部は、ボルトに対してボルト孔の長径に沿う方向に偏倚するように熱変形する。その結果、各ボルトにかかる応力は、緩和される。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−195031号公報(段落0009、0030、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述ように熱変形する場合、長孔の分だけ排気ポートの出口とエキゾーストマニホールドのフランジ部とが互いにずれることを前提としている。すなわち、エキゾーストマニホールドは、排気ポートの出口が設けられた取付部とエキゾーストマニホールドのフランジ部とがずれることのできる程度の拘束力で、シリンダヘッドにボルトで締付けられていることになる。
【0006】
エキゾーストマニホールドは、フランジ部の合せ面に沿ってのみ熱変形するわけではなく、フランジ部が反る方向に熱変形することもある。このような場合、取付部に対してフランジ部がずれる程度の拘束力では、互いの合せ面の間に隙間ができない程度に十分に押さえ込むことができない。
【0007】
また、加工工数を減らして製造コストを少なく抑えるために、加工箇所及び加工工程の少ない製品が求められている。隣り合う吸気及び排気ポート同士でボルト孔を共有し、吸気及び排気マニホールドを取付けるために要するボルト孔の数を減らすことで、加工箇所を減らす場合がある。この方法は、排ガス温度が比較的低い温度に設定されたエンジンに対しては有効であった。しかし、燃費及び排ガス浄化性能を高めるために比較的高い温度に排ガス温度が設定されたエンジンの場合、排気ポートの出口が設けられるシリンダヘッドとエキゾーストマニホールド(排気マニホールド)のフランジ部との熱変形量が当然大きくなるので、ただ単にボルト孔の数を減らすと排気マニホールドのフランジ部を拘束する力が不足し、フランジ部の合せ面に隙間が生じることになる。
【0008】
そこで、本発明は、排気マニホールドの熱変形による影響の少ないシリンダヘッドの排気マニホールド取付部構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数のシリンダが並ぶ方向に配置される側面にシリンダと個々に連通する複数の排気ポートの出口が開口してこの排気ポートと連通する排気マニホールドが取付けられるシリンダヘッドの排気マニホールド取付部構造を前提とする。出口の周囲に配置されて排気マニホールドを側面に固定するボルトが螺合されるねじ穴は、隣り合う排気ポートの出口間部毎に、隣り合う排気ポートの出口の中心を側面に沿って結ぶ線分を境とする両側に交互に配置する。シリンダの中心線に沿う方向にシリンダヘッドを貫通するオイル落し孔が設けられている出口間部に配置されるねじ穴は、隣り合う排気ポートの出口の中心を側面に沿って結ぶ線分に対してシリンダが設けられたシリンダブロックから遠い側に配置する。
【0010】
また、シリンダヘッドに排気マニホールドを固定するねじ穴のピッチを狭めるために、排気ポートの出口の中心間距離は、シリンダの中心間距離よりも狭くする。オイル落し孔と、排気マニホールドを固定するためのねじ穴とが互いに干渉して連通することを防止するために、オイル落し孔は、シリンダの中心線に対して傾斜させて設けるか、或いは、シリンダの中心線に沿う方向に2つの孔をシリンダヘッドの側面に沿って互いにオフセットさせた状態で連通させて形成する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係る一実施形態のシリンダヘッドの排気マニホールド取付部構造について、図1から図3を参照して説明する。図1に示すエンジン1は、シリンダブロック2とシリンダヘッド3とを備える。シリンダブロック2には、複数のシリンダ4、本実施形態では、3つのシリンダ4が並んで形成されている。シリンダヘッド3は、シリンダブロック2に重ねて取付けられている。
【0012】
シリンダ4が並ぶ方向に配置されるシリンダヘッド3の側面3aには、各シリンダ4と個々に連通する排気ポート5の出口6が開口している。図2に示すように、排気ポート5の出口6の中心間距離Dは、シリンダ4の中心間距離Sよりも狭くなっている。本実施形態では、シリンダ4の数が3つであるので、中央の排気ポート5の出口6に対して両側の排気ポート5の出口6の中心が、図3に示すように、両側のシリンダ4の中心よりもそれぞれ近寄った状態になっている。
【0013】
図2に示すように、出口6の周囲には、シート面7が形成され、このシート面7より外側の位置にねじ穴8が設けられている。各出口6の周りにそれぞれ設けられたシート面7は、互いに面一に揃っている。ねじ穴8は、隣り合う排気ポート5の出口間部9ごとに設けられている。これらのねじ穴8は、隣り合う排気ポート5の出口6の中心をシリンダヘッド3の側面3aに沿って結ぶ線分Bを境とする両側に交互に配置される。ねじ穴8には、排気マニホールド10を固定するためのボルト、例えば図1に示すようにスタッドボルト11がねじ込まれる。
【0014】
排気マニホールド10は、個々の排気ポート5に連通する枝配管12を供えている。各枝配管12の端部12aは、面一に揃っており、一続きのフランジ部13が形成されている。フランジ部13は、ねじ穴8に取付けられたスタッドボルト11に対応する位置にボルト孔14が形成されている。排気マニホールド10は、ガスケットなどのシール部材を挟んで、フランジ部13がシート面7に合わされる。フランジ部13から突出するスタッドボルト11にナット15を取付けて締め上げることで、シリンダヘッド3の側面3aに排気マニホールド10がしっかりと固定される。
【0015】
また、シリンダヘッド3には、図2に示すように、シリンダ4の中心線に沿う方向に貫通するオイル落し孔16が設けられている。オイル落し孔16は、出口間部9に一つ置で設けられている。オイル落し孔16が設けられた出口間部9に配置されるねじ穴8は、隣り合う排気ポート5の出口6の中心を側面3aに沿って結ぶ線分Bに対してシリンダブロック2から遠い側に配置される。オイル落し孔16とねじ穴8とが互いに干渉して連通することを防止するために、オイル落し孔16は、シリンダ4の中心線の方向に対してシリンダヘッド3の側面3aに沿って傾斜させて設けるか、或いは、シリンダ4の中心線に沿う方向に2つの孔16a,16bをシリンダヘッド3の側面3aに沿って互いにオフセットさせた状態で連通させて設ける。また、オイル落し孔16に連通するように、シリンダブロック2にもオイルパン17まで貫通するオイル落し孔が設けられている。
【0016】
以上のように構成されたシリンダヘッド3の排気マニホールド取付部18の構造は、排気ポート5の出口6の中心間距離Dがシリンダ4の中心間距離Sよりも狭く設けられているので、シリンダヘッド3に排気マニホールド10を固定するねじ穴8のピッチが狭められる。排気ポート5の出口6が互いに近づくので、出口間部9に設けられるねじ穴8を隣り合う出口6同士で共有することで、排気マニホールド10を取付けるために必要となるねじ穴8の数を減らすことができる。
【0017】
また、排気マニホールド10のフランジ部13の大きさが、排気ポート5の出口6が並ぶ方向に沿って短くなる。つまり、フランジ部13の外形が小さくなる。したがって、排気ポート5の出口6の中心間距離Dがシリンダ4の中心間距離Sと同じに設けられたシリンダヘッドに取付けられる排気マニホールドに比べて、熱に対するフランジ部13全体の変形量が小さくなる。言い換えると、シリンダヘッド3の排気マニホールド取付部18と排気マニホールド10のフランジ部13との熱変形量の差が小さくなる。
【0018】
その結果、隣り合う出口6同士でねじ穴8を共有することで、ねじ穴8の数を減らしたシリンダヘッド3の排気マニホールド取付部18であっても、フランジ部13とシート面7との間に隙間を生じさせることなく、排気マニホールド10をシリンダヘッド3に拘束することができる。
【0019】
オイル落し孔16は、シリンダ4の中心線の方向に対してシリンダヘッド3の側面3aに沿って傾斜させて設けるか、或いは、シリンダ4の中心線に沿う方向に2つの孔16a,16bをシリンダヘッド3の側面3aに沿って互いにオフセットさせた状態で連通させて設けられている。したがって、隣り合う排気ポート5の出口6に対してほぼ同じ距離にねじ穴8を配置することができるとともに、オイル落し孔16とねじ穴8とが互いに干渉して連通することを防止することができる。
【0020】
オイル落し孔16が設けられている出口間部9に設けられるねじ穴8は、シリンダブロック2から遠い位置に配置されているので、排気マニホールド10が熱変形することによってシリンダブロック2の排気マニホールド取付部18が歪んでも、シリンダヘッド3とシリンダブロック2との合せ面で、シリンダヘッド3側のオイル落し孔16がシリンダブロック2側のオイル落し孔に対してずれることがない。
【0021】
なお、本実施形態では、3気筒のエンジン1を一例に説明したが、4気筒以上シリンダが直列するエンジンに適用することも可能である。この場合は、各排気ポートの出口は、シリンダが並ぶ方向に沿って全体的に中央に寄せて配置する。または、両端の排気ポートの出口を中央に寄せて配置するのみであっても本願発明と同様の効果を奏する。
【0022】
【発明の効果】
本発明に係るシリンダヘッドの排気マニホールド取付部構造によれば、排気ポートの出口の周囲に配置されて排気マニホールドを固定するボルト用のねじ穴は、出口間部毎に、隣り合う排気ポートの出淵の中心をシリンダヘッドの側面に沿って結ぶ線分を境とする両側へ交互に配置される。この場合、オイル落し孔が設けられる出口間部に配置されるねじ穴は、シリンダブロックよりも遠い側に配置される。したがって、排気マニホールドの熱変形によってねじ穴近傍に歪が生じても、シリンダヘッド側のオイル落し孔がシリンダブロック側のオイル落し孔に対してずれる心配がない。つまり、シリンダヘッドの排気マニホールド取付部は、排気マニホールドが熱変形してもその影響を受けることが少ない。
【0023】
また、排気ポートの出口の中心間距離をシリンダの中心間距離よりも狭くする発明によれば、ねじ穴の位置が互いに近づくので、ねじ穴を隣り合う排気ポートの出口同士で共有し、ねじ穴の数を減らしても、排気マニホールドの取り付け強度を十分に確保することができる。
【0024】
さらに、オイル落し孔が、シリンダヘッドの側面に沿ってシリンダの中心線に対して斜めに、或いは、シリンダの中心線に沿う方向に2つの孔をシリンダヘッドの側面に沿って互いにオフセットさせた状態で連通させて形成される発明によれば、ねじ穴とオイル落し孔とが干渉することを防止し、各排気ポートの出口の中心部から等しい位置になるようにそれぞれのねじ穴を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るシリンダヘッドの排気マニホールド取付部構造を示す分解斜視図。
【図2】 図1のシリンダヘッドを排気マニホールド取付部側から見た平面図。
【図3】 図2中のF3−F3に沿って示すシリンダヘッドの断面図。
【符号の説明】
1…エンジン、2…シリンダブロック、3…シリンダヘッド、4…シリンダ、…排気ポート、6…出口、8…ねじ穴、9…出口間部、10…排気マニホールド、11…スタッドボルト(ボルト)、16…オイル落し孔、16a,16b…孔、18…排気マニホールド取付部、D…排気ポートの出口の中心間距離、S…シリンダの中心間距離。
Claims (4)
- 複数のシリンダが並ぶ方向に配置される側面に前記シリンダと個々に連通する複数の排気ポートの出口が開口して前記排気ポートと連通する排気マニホールドが取付けられるシリンダヘッドの排気マニホールド取付部構造において、
前記出口の周囲に配置されて前記排気マニホールドを前記側面に固定するボルトが螺合されるねじ穴は、
隣り合う前記排気ポートの出口間部毎に、隣り合う前記排気ポートの出口の中心を前記側面に沿って結ぶ線分を境とする両側に交互に配置され、
前記シリンダの中心線に沿う方向に前記シリンダヘッドを貫通するオイル落し孔が設けられている前記出口間部に配置される前記ねじ穴は、前記線分に対して前記シリンダが設けられたシリンダブロックから遠い側に配置されることを特徴とするシリンダヘッドの排気マニホールド取付部構造。 - 前記排気ポートの出口の中心間距離は、前記シリンダの中心間距離よりも狭いことを特徴とする請求項1に記載の排気マニホールド取付部構造。
- 前記オイル落し孔は、前記シリンダの中心線に対して傾斜させて設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシリンダヘッドの排気マニホールド取付部構造。
- 前記オイル落し孔は、前記シリンダの中心線に沿う方向に2つの孔を前記シリンダヘッドの側面に沿って互いにオフセットさせた状態で連通させて形成することを特徴とする請求項1に記載のシリンダヘッドの排気マニホールド取付部構造。
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