JP4178376B2 - 3−メルカプトプロピルアルコキシシランの製造方法 - Google Patents

3−メルカプトプロピルアルコキシシランの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シランカップリング剤、変性シリコーンの原料及びプラスチックの改質剤等として有用な3−メルカプトプロピル基を含有する3−メルカプトプロピルアルコキシシランの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
3−メルカプトプロピル基を含有する3−メルカプトプロピルアルコキシシラン、特に3−メルカプトプロピルトリアルコキシシランもしくは3−メルカプトプロピルモノアルキルジアルコキシシランは、一般にシランカップリング剤として知られており、ガラス・金属・珪石といった無機質材料と汎用の各種合成樹脂等の有機質材料とを化学的に強固に結合できる接着剤として様々な分野で使用されている。適用できる汎用合成樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルといった熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂といった熱硬化性樹脂及びウレタンラバー、ポリサルファイド、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ニトリルラバー、S架橋のエチレンプロピレンモノマー(EPM)等といったエラストマーやゴム等非常に広範囲にわたる。特に上記アルコキシシランで処理されたシリカ、クレー又はタルク等を硫黄加硫系のエラストマー(S架橋のEPM等)に添加した場合には、エラストマーの諸物性を大きく改良することが知られている。またタイヤ等への応用ではシリカの分散性、強度向上に有用である。
【0003】
3−メルカプトプロピル基を含有する3−メルカプトプロピルアルコキシシランの製造方法は、従来から以下のような方法が知られているが、それぞれに固有の問題点があり、早急な対策が望まれていた。
【0004】
1)3−メルカプトプロピルアルコキシシランを含むメルカプトアルキルアルコキシシランの製法として、ハロアルキルアルコキシシランとチオ尿素とのアンモニア存在条件における反応による方法が知られている(特公昭50−7587号公報、独国特許発明第3346910号明細書、特公平4−16476号公報)。しかし、これらの方法においては、副生物として非常に嵩張る性質のグアニジン塩酸塩が生成するという問題があり、廃棄処理も困難である。
濾過性については、種々の溶剤を使用することにより、改良もされているが、DMFといった極性溶剤は高価なだけでなく、高沸点のため目的物との分離も容易でなく、分離に要するエネルギーは製造コストの高騰につながる。
また、トリクロロエチレンといった溶媒は近年環境に対する問題や人体に対する毒性の問題が非常に大きい。
【0005】
2)アミン類の存在において、ハロアルキルアルコキシシランと硫化水素ガスを反応させる方法(特公昭60−2312号公報)も知られている。しかし、1MPa以上の高圧条件が必要であり、取扱上の問題、設備対応の問題及び安全性の問題があった。
【0006】
3)ナトリウムメトキシド(市販品もしくは金属ナトリウムとメタノールを反応させて調製したもの)と硫化水素ガスを反応させた後、3−ハロプロピルアルコキシシランを反応させる方法も知られている(英国特許第1102251号明細書、特開平4−261188号公報、特開平8−291184号公報、特開平8−291185号公報)。なお、特開平8−291185号公報では、その他にも無水Na2Sと硫化水素ガスを反応させて系内で無水NaSHを調製後に、3−ハロプロピルアルコキシシランを反応させる方法も合わせて記載されている。
【0007】
結局、上記方法を本質的にとらえれば、いくつかの方法で調製された無水NaSHと3−ハロプロピルアルコキシシランとを反応させるということに帰結するものであるが、上記方法においては、種々の問題があった。
【0008】
例えば、無水Na2Sは市販されておらず、それを工業的に安価に入手するためには困難を有するし、また仮に入手できたとしても、無水Na2Sは空気中の酸素・炭酸ガス等によっても劣化を受ける性質があるため、反応器内に仕込む際の実質的に回避できない空気との接触によって、劣化して収率が低下してしまうおそれもある。更に、市販の含水Na2Sを何らかの方法によって脱水するにしても、その手間が掛かるだけでなく、更に硫化水素ガスとの反応がもう一工程必要であるため、結局無水NaSHを得るための簡便な方法とは決して言えない。
【0009】
なお、無水NaSHを反応器内で、例えばナトリウムメトキシドから調製するにしても、金属ナトリウムと硫化水素ガスから調製する場合は金属ナトリウムは取り扱いがかなり難しく、またナトリウムメトキシドそのものにおいても長期の貯蔵安定性が低いという不安がある。また、上記方法のいずれにしても、安全技術面、毒物学的な面、臭気の面及びその腐食性においても、非常に問題の大きな硫化水素ガスを大量に使用せざるを得ず、取り扱いの困難さや設備面での安全対策に大きな負担を強いられることになるため問題であった。更に、一般の企業にとっては、発生源のない硫化水素ガスは比較的高額の購入原料であり、大量に使用することは製造コストの高騰につながるといった問題やボンベの搬出入の手間暇に時間が掛かる等の問題もあった。
【0010】
含水NaSHそのものの脱水方法については、含水NaSHを一般的に減圧条件で加熱したり、不活性ガス流通条件で加熱したりして、無水NaSHを得る方法が知られていた(特開平6−258503号公報、特開平6−258502号公報、特開平6−256005号公報、特開平6−256003号公報)。
【0011】
しかし、いずれも脱水時の加熱により溶融して壁に付着する無水NaSHを壁に付着しないようにするための手段(反応器から取り出し易い形態を得るための手段)を主として提供する特殊なものであったことから、温度管理や圧力管理に厳密な操作が必要だったり、無水物の粉末を後から系に投入する等の現実的には操作困難な工程が必要だったりと、問題があった。また、いずれも無溶媒系であるため、内部の固形物の撹拌には、無水NaSHの最終的な用途である3−メルカプトプロピルアルコキシシランを製造するためのその後の反応工程には全く不適なエバポレーターを使用せねばならないことも問題であった。
【0012】
ここで、3−メルカプトプロピルアルコキシシランを得るための原料として、3−ハロプロピルアルコキシシランに対して使用するNaSHに水分が含まれていると問題である理由は、原料もしくは目的物のアルコキシシランは本質的に水と加水分解して、高沸点のシロキサンオリゴマー・ポリマー(もしくはゲル)になる性質があるため、系内に水分が含まれている場合、原料もしくは目的物がこうした高沸点物に転化し、合成収率が著しく低下してしまうことである。
【0013】
従って、上記より、1)及び2)の方法はもとより、1)及び2)の方法よりいくつかの点で改良されている3)の方法にしても、3−ハロプロピルアルコキシシランと反応させて、3−メルカプトプロピルアルコキシシランを合成するために必要十分な形態の無水NaSHを、工業的規模で容易に入手可能かつ安価な原料を用いて、一般的な合成設備において、簡便な操作により得る方法については未だよい方法が知られておらず、早急な解決策の確立が望まれていた。
【0014】
加えて、有毒性の硫化水素ガスを極力使用しない3−メルカプトプロピルアルコキシシランの製造方法の確立が望まれていた。
【0015】
【特許文献1】
特公昭50−7587号公報
【特許文献2】
独国特許発明第3346910号明細書
【特許文献3】
特公平4−16476号公報
【特許文献4】
特公昭60−2312号公報
【特許文献5】
英国特許第1102251号明細書
【特許文献6】
特開平4−261188号公報
【特許文献7】
特開平8−291184号公報
【特許文献8】
特開平8−291185号公報
【特許文献9】
特開平6−258503号公報
【特許文献10】
特開平6−258502号公報
【特許文献11】
特開平6−256005号公報
【特許文献12】
特開平6−256003号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、工業的規模で容易に入手可能かつ安価な原料を用いて、一般的な合成設備において、簡便な操作により目的とする反応に必要十分な形態の無水NaSHを調製し、3−ハロプロピルアルコキシシランと反応させることができ、加えて、安全技術面、毒物学的な面、臭気の面及びその腐食性においても、非常に問題の大きな硫化水素ガスを全く使用しないか、もしくは必要最小限の使用のみで製造が可能な3−メルカプトプロピルアルコキシシランの製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、含水NaSHよりトルエン又はキシレンを使用した共沸脱水工程を経て得られる無水NaSHと、3−ハロプロピルアルコキシシランとを反応させることにより、3−メルカプトプロピルアルコキシシランを合成することが有効であることを知見した。即ち、無水NaSHと3−ハロプロピルアルコキシシランとの反応で合成する方法において、工業的規模で容易に入手可能かつ安価な原料を用いて、一般的な合成設備で簡便な操作により反応に供する形態の無水NaSHを調製する方法について鋭意検討した結果、これには工業的に安価に入手できる含水NaSHをトルエン又はキシレンを使用した共沸脱水工程を経ることにより得られる無水NaSHを3−ハロプロピルアルコキシシランと反応させれば、3−メルカプトプロピルアルコキシシランが高収率に得られることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0018】
従って、本発明は以下の3−メルカプトプロピルアルコキシシランの製造方法を提供する。
請求項1:
含水NaSHより、トルエン又はキシレンを使用した共沸脱水工程を経て得られるNaSHと、下記一般式(1)で示される3−ハロプロピルアルコキシシランとを反応させることを特徴とする下記一般式(2)で示される3−メルカプトプロピルアルコキシシランの製造方法。
X(CH23SiRn(OR’)3-n (1)
(式中、XはCl,Br又はIを表し、R,R’はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基であり、nは0〜2の整数を表す。)
HS(CH23SiRn(OR’)3-n (2)
(式中、R,R’はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基であり、nは0〜2の整数を表す。)
請求項2:
含水NaSHの共沸脱水工程終了後に、トルエン又はキシレンを系外に留去し、R’OH(R’は上述と同じ)で表されるアルコール類を系内に導入してNaSHとの混合物を作り、次いでこのNaSHを含有する混合物と3−ハロプロピルアルコキシシランとを反応させることを特徴とする請求項1記載の3−メルカプトプロピルアルコキシシランの製造方法
【0019】
以下、本発明につき更に詳しく説明すると、本発明における無水NaSHの調製方法は、含水NaSHの共沸脱水により実施される。
【0020】
上記した方法に適する有機溶媒としては、水と分離する性質があり、かつ水と共沸組成のあるものを用いることが望ましい。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、テトラリン、ジフェニル等の芳香族炭化水素、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、デカリン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素等が挙げられる。この中で、沸点・水との共沸組成・共沸点・無水NaSHや目的物からの分離のし易さ・コストの点から考慮すると、芳香族炭化水素、特にトルエン、キシレンが好ましい。
【0021】
含水NaSHは通常フレーク状固形物で市販されており、含水量は20〜40重量%(通常市販品は25重量%程度)である。
【0022】
次に、共沸脱水の工程を更に詳しく説明する。
まず反応容器に、フレーク状の含水NaSHを仕込み、次いで上記有機溶媒を仕込むが、有機溶媒の量は任意であり、限定されず、使用する反応容器の規模やその装置の撹拌性を考慮して、適正な量を選ぶことができる。この際、必ずしもフレーク状の含水NaSHが共沸脱水工程の間に反応器内で撹拌状態になっている必要はなく(含水状態で加熱によって溶融するため)、このため有機溶媒の量は、その後の共沸脱水が効果的に実施可能な量であれば特に制限はない。一般的には、含水NaSHの100重量部に対して、10〜300重量部、特に30〜150重量部が好ましい。
【0023】
なお、反応容器には、撹拌装置、温度計、還流冷却器、水・有機溶媒の分離装置等の装置を具備していることが好ましく、加熱して反応系が還流状態となり、共沸組成で系外へ流出してくる水分を有機溶媒と分離し(分液状の両者を分別し)、系内へ戻さないような(水分のみを捕集できるような)装置が望ましい。
【0024】
また、水分と分離された有機溶媒は、連続的に系内に戻せるような装置が望ましい。これは、一般的に、デカンターと呼ばれる装置にて実施できる。
【0025】
脱水工程の温度条件は、使用した有機溶媒と水の共沸点条件ないしは使用した有機溶媒の沸点条件で実施され、いずれにしても共沸脱水時には還流条件で実施される。一般的には、大気圧条件にて30〜200℃の条件で加熱される。30℃未満では脱水効率が低下する場合があり、200℃を超えるとNaSHの変質のおそれがあるばかりか、無用なエネルギー損失につながる場合がある。
【0026】
圧力条件は、大気圧下条件が一般的には選ばれるが、共沸脱水が効果的に実施可能であれば、任意に加圧もしくは減圧条件で実施しても差し支えない。
【0027】
共沸脱水に要する時間については、有機溶媒の種類、温度条件、圧力条件もしくは水分の抜き出し量にもよるが、一般的には上記した還流条件において3〜10時間程度でほぼ完了できる。
【0028】
含水NaSHは加熱と共に融解し、脱水が進むと共に釜底に凝固するようになり、一部が釜壁に付着するが、本発明においては、特にその状態については差し支えがない。
【0029】
共沸脱水の終了は、水分の流出が止まった時点で判断できるが、更に使用した有機溶媒を系外に留去することにより、脱水はより完全なものになる。一般的には、水分の流出がほぼ止まった時点より、還流する有機溶媒も引き続き系外に抜き出すことで実施され、最終的に使用した有機溶媒の半量〜ほぼ全量を系外へ留去することにより完了する。この操作により、微量の管内付着水や有機溶媒に溶け込んだ水分をも系外に追い出せる。好ましくは、反応系の温度を有機溶媒の沸点以上、即ち30℃以上、特に130〜200℃の範囲になるまで加熱することが好ましい。なお、NaSHが実質的に無水化していれば、使用した有機溶媒が引き続く3−ハロプロピルアルコキシシランとの反応段階において、多少残存していても特に問題はない。また、留去された有機溶媒には若干の水分を含む場合が多い(水滴状又は溶解状)が、この有機溶媒は次回の共沸脱水時に再利用することも可能である。
【0030】
上記の共沸脱水工程によって得られた無水NaSHは、反応器内で塊状ないしは粉末状に凝固し、内壁に一部付着状態になっている。なお、この状態において、共沸脱水に使用した有機溶媒中でそのまま3−ハロプロピルアルコキシシランと反応させることも可能ではあるが、その場合は反応が非常に遅いため、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の触媒の使用が必要であり、経済的に不利となるばかりか、実際にはそれほど効果的でない場合が多い。また、DMF等の非プロトン性の極性溶媒を使用することもできるが、これら溶媒には前記した問題点があるため、好ましくない。このため、3−ハロプロピルアルコキシシランと反応させる際には、反応溶媒として目的とする3−メルカプトプロピルアルコキシシランのアルコキシ基に対応したアルコールを存在させることが、無水NaSHの溶解性の高さ・コスト・入手のし易さ・反応系からの除去のし易さ・再利用可能性等のメリットが多いことから好ましい。これらアルコール類は、R’OH(R’は前述の通り)により表されるが、より具体的には、使用する3−ハロプロピルアルコキシシランのアルコキシ基、即ちメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−プロポキシ基に対応したアルコールは、それぞれメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールである。なお、対応するアルコールを間違えると、反応中にそのアルコールと目的物のアルコキシ基がエステル交換し、純度が低下してしまうおそれがある。なお、THFやエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒やアセトニトリル等のニトリル系溶媒も用いることは差し支えない。
【0031】
なお、アルコールの系内への導入は、上記した共沸脱水工程終了後に使用した有機溶媒を系外に抜き出した後に行われる。アルコールの量は、引き続く無水NaSHと3−ハロプロピルアルコキシシランの反応が定量的に実施される条件が得られる範囲で任意に選ぶことができる。但し、共沸脱水を行った反応器でそのまま引き続き無水NaSHと3−ハロプロピルアルコキシシランの反応を実施する場合には、違う反応器で実施する場合よりもアルコール量は少なくてすむ。反応を違う反応器で実施する場合、無水NaSHがアルコールにほとんど完全に溶解していることが必要であるが、その場合はそのアルコール溶液中の無水NaSHの濃度が1〜30重量%、特に10〜30重量%となる程度のアルコール量が好ましい。なお、アルコール溶液になってしまえば、違う反応器に移送できるだけでなく、3−ハロプロピルアルコキシシランへの滴下も可能となる。また、共沸脱水を行った反応器で引き続き反応を実施する場合には、無水NaSH100重量部に対して、10〜250重量部、特に50〜150重量部になるようなアルコール量が望ましい。この場合、無水NaSHはアルコールには完全には溶けないが、3−ハロプロピルアルコキシシランの滴下と共に反応が進行するにつれ、次第に全量がアルコールに溶け、結果的にはその全量が反応に供されることになる。こうした無水NaSHのアルコールへの溶解性のため、共沸脱水後に無水NaSHが反応器内に凝固して、その一部が壁に付着していても問題ないことが分かる。なお、使用するアルコール類はできるだけ無水状態に近いものであることが、本質的に望まれる。
【0032】
本発明においては、無水NaSHと3−ハロプロピルアルコキシシランとを混合することにより実施されるが、3−ハロプロピルアルコキシシランとしては、下記一般式(1)で示されるものを使用する。
X(CH23SiRn(OR’)3-n (1)
(式中、XはCl,Br又はIを表し、R及びR’は互いに同一又は異種の炭素数1〜3のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基である。nは0,1又は2である。)
【0033】
具体的には、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリn−プロポキシシラン、3−クロロプロピルトリイソプロポキシシラン、3−クロロプロピルジメトキシエトキシシラン、3−クロロプロピルメトキシジエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルメトキシエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジn−プロポキシシラン、3−クロロプロピルメチルジイソプロポキシシラン、3−クロロプロピルエチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルエチルジエトキシシラン、3−クロロプロピルエチルジn−プロポキシシラン、3−クロロプロピルエチルジイソプロポキシシラン、3−クロロプロピルジメチルメトキシシラン、3−クロロプロピルジメチルエトキシシラン、3−クロロプロピルジメチルn−プロポキシシラン、3−クロロプロピルジメチルイソプロポキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリエトキシシラン、3−ブロモプロピルトリn−プロポキシシラン、3−ブロモプロピルメチルジメトキシシラン、3−ブロモプロピルメチルジエトキシシラン、3−ブロモプロピルメチルジn−プロポキシシラン、3−ブロモプロピルエチルジメトキシシラン、3−ブロモプロピルエチルジエトキシシラン、3−ブロモプロピルエチルジn−プロポキシシラン、3−ヨードプロピルトリメトキシシラン、3−ヨードプロピルトリエトキシシラン、3−ヨードプロピルトリn−プロポキシシラン、3−ヨードプロピルメチルジメトキシシラン、3−ヨードプロピルメチルジエトキシシラン、3−ヨードプロピルメチルジn−プロポキシシラン等が例示される。原料入手のし易さ等から、特に3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルジメトキシエトキシシラン、3−クロロプロピルメトキシジエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシランが好ましい。また、シランカップリング剤としては、トリアルコキシシランタイプ、もしくはジアルコキシシランタイプが好ましい。
【0034】
無水NaSHと上記3−ハロプロピルアルコキシシランの使用量は、特に限定するものではないが、一般的には、NaSHの無水物1モルに対して、3−ハロプロピルアルコキシシランが0.8〜1.2モル、特に0.9〜1.0モルになるような量が好ましい。上記量より少ないと3−ハロプロピルアルコキシシランはほぼ全量3−メルカプトプロピルアルコキシシランに転化するため、蒸留時に未反応の3−ハロプロピルアルコキシシランを分離するための手間や留分のロスが減るが、一方でNaSHが未反応で残ることになり、その影響により、蒸留時に3−メルカプトプロピルアルコキシシランが脱メタノールして環状体化する現象が過度に生じてしまうおそれがあり、副生するハロゲン化ナトリウムの濾別時の濾過性不良が生じる場合がある。また、上記量より3−ハロプロピルアルコキシシランが多いと、未反応の3−ハロプロピルアルコキシシランが残ることになり、目的物と沸点が近いため、蒸留時に分離するには多大な手間や留分のロスを要するおそれがある。
【0035】
無水NaSHと3−ハロプロピルアルコキシシランの反応においては、前記したアルコール溶媒中での反応が特に好ましいが、反応温度・圧力・時間・滴下方法については、従来公知の条件を任意に選ぶことができる。また、本発明における無水NaSHは、従来知られている方法に対して、全く硫化水素ガスを使わずに調製されたものであり、その後の反応においても全く硫化水素ガスを使わずに、3−ハロプロピルアルコキシシランとの反応を行うことができる。
【0036】
反応温度(滴下時・熟成時)は50〜150℃、圧力は大気圧〜1.0MPa、反応時間は1〜100時間の範囲で任意に選択することができる。また、密閉・加圧条件でも大気圧下開放条件でも構わない。但し、反応収率の点からは、密閉・加圧条件がより好ましい。なお、適用する圧力条件により、使用する反応器の型式を選定する必要があり、密閉・加圧状態では相応の耐圧容器(オートクレーブ)を必要とする。滴下方法は、無水NaSHのアルコール溶液に3−ハロプロピルアルコキシシランを滴下することも可能だし、3−ハロプロピルアルコキシシランに無水NaSHのアルコール溶液を滴下することも可能である。圧力容器中で反応を行う場合には、フィードする液を圧入する必要がある。
【0037】
また、硫化水素ガスについては、上記のように全く使用せずにすますことができる。但し、副生物を減らして収率を若干上げるためには、従来公知の方法のように、密閉・加圧条件で、無水NaSHのアルコール溶液に任意の圧力になるまで硫化水素ガスを吹き込んだ後に、3−ハロプロピルアルコキシシランを滴下する方法をとることもできるが、この場合でも硫化水素ガスの使用量は従来公知の方法に比べて非常に少ない、必要最小限ですむというメリットもある。
【0038】
本発明の製造方法における目的物質である3−メルカプトプロピルアルコキシシランは、下記一般式(2)
HS(CH23SiRn(OR’)3-n (2)
(式中、R,R’,nは前記の通りである。)
で示されるものである。
【0039】
本発明により得られる3−メルカプトプロピルアルコキシシランとしては、例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリn−プロポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメトキシジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルメトキシエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジn−プロポキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジイソプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルエチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルエチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルエチルジn−プロポキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルエトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルn−プロポキシシラン等が挙げられる。これらの中でも3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランもしくは3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランが、シランカップリング剤として有用である。
【0040】
無水NaSHと3−ハロプロピルアルコキシシランとの反応終了後は、副生するハロゲン化ナトリウムが微粒子形状の塩として反応液中に大量に混在しているために、一般的には濾過操作によって塩を排除することが好ましい。また、濾別後に使用したアルコールもしくはトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、n−ヘキサン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素等から選ばれる任意の溶媒で塩を洗うことにより、目的物の回収率を上げることができる。
【0041】
次いで、濾液から溶媒を留去して濃縮し、引き続き一般的な蒸留方法により、3−メルカプトプロピルアルコキシシランを高純度に精製・回収することができる。好ましくは、減圧条件における蒸留操作が望ましい。なお、蒸留操作時に、脱アルコール反応により、目的物が環状体化する可能性があるため、公知技術である塩化水素、酢酸又はギ酸等の酸類を添加して反応液を中性にする等の措置を取ることもできる。また、環状体副生によって、目的物の純度が低くなった場合においても、目的物のアルコキシ基に対応するアルコール(R’OH)の適量を目的物に後添加すれば、環状体が目的物に転化するため、高純度化も可能である。
【0042】
本発明の方法を実施する雰囲気は、共沸脱水工程はもとより、その後の反応工程、濾過工程、蒸留工程及び製品充填に至るまで一貫して、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気が好ましい。空気中の酸素や炭酸ガスによって、NaSHは変質する性質があり、更にNaSHそのものが潮解性を有する等吸湿し易いため、空気中の水分を取り込み易く、水分が取り込まれれば、脱水した甲斐無く目的物の収率低下につながってしまう。また、本質的に原料及び目的物のアルコキシシランは水分と反応して加水分解する性質を有するため、水分の混入は好ましくない。
【0043】
【実施例】
以下、実施例に従って、本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0044】
[実施例1]
ステンレス製で、撹拌機、温度計、安全弁、圧力計、注入ノズルを装備した500mLオートクレーブを準備した。このオートクレーブに対して、系内から留去する共沸組成物中の水分を分離・捕集するためのディーン・スターク・トラップ(Dean Stark trap)を取り付け、更にこのトラップに接続する形でジムロート冷却器を装備し、その後装置内全体を十分窒素置換した。また、ジムロート冷却器のヘッド部分に窒素を流したT字管を取り付け、常時の窒素シールを行った。
【0045】
このオートクレーブ中に、フレーク状の含水NaSH 100g(含水量約26重量%、NaSH 1.290モル)及びトルエン60gを仕込んだ。次いで、常圧条件で、撹拌しつつ、マントルヒーターで昇温した。系内の温度が105℃に至ると、トルエンと水の共沸組成物が留去してきた。その内、水分はトルエンから分離して徐々にディーン・スターク・トラップ中に捕集されていった。なお、共沸組成物中のトルエンは水分が分離した後、デカント式に連続的に系内に戻された。この状態で、約4時間後、24gの水分が捕集された。次いで、この水分をディーン・スターク・トラップから系外に抜き出し、更にトルエン還流状態のまま、次いで徐々にトルエンをディーン・スターク・トラップから系外に抜き出していった。その結果、30分以内に釜温が150℃に到達した時点で、約50gのトルエンが抜き出された(その中には、水滴もいくらか含まれていた)。その後、反応器を冷却し、約50℃になった時点で、メタノール90gを系内に導入した。
【0046】
次いで、オートクレーブからディーン・スターク・トラップ及びジムロート冷却器を取り外して、密閉した後、70℃に昇温した(圧力は0.06MPaになった)。その後、70℃の条件で、3−クロロプロピルトリメトキシシラン246.1g(1.238モル)をダイヤフラム式の定量ポンプにて、オートクレーブ内に約1.6時間掛けて圧入したところ、圧入量と共に次第に圧力は0.13MPaにまで上昇した。次いで、70℃のままで、15.5時間熟成し、反応を完結させた(3−クロロプロピルトリメトキシシランの消失を確認)。圧力は、ゆっくりと0.18MPaまで上昇した。なお、この際反応液の組成を調べると目的物の3−メルカプトプロピルトリメトキシシランに対して、系内に水分が存在すれば副生するはずの3−メルカプトプロピルトリメトキシシランのダイマー(ビス(3−メルカプトプロピル)テトラメトキシジシロキサン)の量は痕跡量であった。従って、本発明の方法により、含水NaSHより共沸脱水工程を経て得られたNaSHがほぼ無水状態であり、同工程による脱水が十分効果的に実施し得たことを確認することができた。その後、30℃付近まで冷却後、圧力をパージした。
【0047】
次いで、酢酸4.5gを添加して、反応液を中和後、副生した塩化ナトリウムを加圧濾過にて除去した。また、濾別した塩化ナトリウムは110gのメタノールで洗い、洗液も濾液に加えた。次いで、蒸留操作を行った結果、200g(収率82%)の3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが得られた。
【0048】
本発明の方法により、工業的に安価に入手できる含水NaSHから簡便な方法にて無水NaSHが得られ、まったく硫化水素ガスを使用せずに、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを製造することができた。
【0049】
[実施例2]
ガラス製で、撹拌機、温度計を装備した300mL丸底四つ口フラスコを準備した。このフラスコに対して、系内から留去する共沸組成物中の水分を分離・捕集するためのディーン・スターク・トラップ(Dean Stark trap)を取り付け、更にこのトラップに接続する形でジムロート冷却器を装備し、その後装置内全体を十分窒素置換した。また、ジムロート冷却器のヘッド部分に窒素を流したT字管を取り付け、常時の窒素シールを行った。
【0050】
このフラスコ中に、フレーク状の含水NaSH 100g(含水量約26重量%、NaSH 1.290モル)及びトルエン60gを仕込み、撹拌しつつ、150℃のオイルバスで昇温した。系内温度が上がるにつれ、フレーク状の含水NaSHは溶融していった。系内の温度が105℃に至ると、トルエンと水の共沸組成物が留去してきた。その内、水分はトルエンから分離して徐々にディーン・スターク・トラップ中に捕集されていった。なお、共沸組成物中のトルエンは水分が分離した後、デカント式に連続的に系内に戻された。この状態で、約5時間後、24gの水分が捕集された。溶融したNaSHは水分の流出が進むにつれて、反応器内で凝固していった。次いで、この水分をディーン・スターク・トラップから系外に抜き出し、更にトルエン還流状態のまま、次いで徐々にトルエンをディーン・スターク・トラップから系外に抜き出していった。その結果、30分以内に釜温が150℃に到達した時点で、59gのトルエンが抜き出された(その中には、水滴もいくらか含まれていた)。この時、無水NaSHは反応器内で、周辺部分がドーナツ状に凝固し、一部が壁に付着していた。また、撹拌部分が当たる中央部分は粉末状になっていた。その後、反応器を冷却し、約50℃になった時点で、メタノール180gを系内に導入し、メタノールの還流状態になるまで、昇温した。約70℃で還流し、数時間すると、反応器内で凝固状態になっていた無水NaSHは完全に溶解し、壁に付着しているものも全く無くなっていた。
【0051】
30〜40℃まで冷却後、この無水NaSHのメタノール溶液257.2gを、500mLのオートクレーブに移送した。なお、10gのメタノールで上記反応器を洗った液も共にオートクレーブに仕込んだ。オートクレーブはステンレス製で、撹拌機、温度計、安全弁、圧力計、注入ノズルを装備したものを使用した。次いで、オートクレーブを密閉した後、撹拌しながら、硫化水素ガスをボンベから系内に、27℃で圧力が0.05MPaの状態になるまで微量圧入した(30kgボンベからの微量抜き出しのため重量は量れなかった)。次いで、マントルヒーターにより70℃に昇温した(圧力は0.13MPaになった)。その後、3−クロロプロピルトリメトキシシラン243.6g(1.226モル)をダイヤフラム式の定量ポンプにて、オートクレーブ内に約1.6時間掛けて圧入したところ、圧入量と共に次第に圧力は0.20MPaにまで上昇した。次いで、100℃に昇温した後(圧力は0.37MPaになった)、3.4時間熟成し、反応を完結させた(3−クロロプロピルトリメトキシシランの消失を確認)。圧力は、ゆっくりと0.40MPaまで上昇した。なお、この際反応液の組成を調べると目的物の3−メルカプトプロピルトリメトキシシランに対して、系内に水分が存在すれば副生するはずの3−メルカプトプロピルトリメトキシシランのダイマー(ビス(3−メルカプトプロピル)テトラメトキシジシロキサン)の量は痕跡量であった。従って、本発明の方法により、含水NaSHより共沸脱水工程を経て得られたNaSHがほぼ無水状態であり、同工程による脱水が十分効果的に実施し得たことを確認することができた。その後、30℃付近まで冷却後、圧力をパージした。
【0052】
次いで、酢酸6.8gを添加して、反応液を中和後、副生した塩化ナトリウムを加圧濾過にて除去した。また、濾別した塩化ナトリウムは110gのメタノールで洗い、洗液も濾液に加えた。次いで、蒸留操作を行った結果、214g(収率89%)の3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが得られた。
【0053】
[実施例3]
実施例2と同様の操作で調製した無水NaSHのメタノール溶液を、滴下漏斗を使用して、ガラス製で、撹拌機、温度計、窒素を流したT字管をヘッドに装備して常時の窒素シールができるジムロート冷却器を装備した300mL丸底四つ口フラスコに仕込んだ3−クロロプロピルトリメトキシシラン243.6g(1.226モル)に、70℃の条件でゆっくり滴下した。約22時間掛けてフィードした後、2時間熟成し、反応を完結させた(3−クロロプロピルトリメトキシシランの消失を確認)。GC測定により、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが約70%の収率で得られていることがわかった。なお、目的物の3−メルカプトプロピルトリメトキシシランに対して、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランのダイマーの量は痕跡量であった。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、工業的に安価に入手できる含水NaSHを水と共沸する有機溶媒を使用した共沸脱水工程を経ることにより得られる無水NaSHと、3−ハロプロピルアルコキシシランとを反応させることにより、3−メルカプトプロピルアルコキシシランを高収率で得ることができる。

Claims (2)

  1. 含水NaSHより、トルエン又はキシレンを使用した共沸脱水工程を経て得られるNaSHと、下記一般式(1)で示される3−ハロプロピルアルコキシシランとを反応させることを特徴とする下記一般式(2)で示される3−メルカプトプロピルアルコキシシランの製造方法。
    X(CH23SiRn(OR’)3-n (1)
    (式中、XはCl,Br又はIを表し、R,R’はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基であり、nは0〜2の整数を表す。)
    HS(CH23SiRn(OR’)3-n (2)
    (式中、R,R’はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基であり、nは0〜2の整数を表す。)
  2. 含水NaSHの共沸脱水工程終了後に、トルエン又はキシレンを系外に留去し、R’OH(R’は上述と同じ)で表されるアルコール類を系内に導入してNaSHとの混合物を作り、次いでこのNaSHを含有する混合物と3−ハロプロピルアルコキシシランとを反応させることを特徴とする請求項1記載の3−メルカプトプロピルアルコキシシランの製造方法
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