JP4177005B2 - 固定具および充填材料の供給方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸流回転機械用のエアフォイルの上またはその内部に材料を配置するための固定具に関する。この材料は、加熱されて液化するとともに、エアフォイル内の流路に注入されて流路内で硬化し、例えば、コーティングが流路に流入したり、流路まで貫通する冷却空気孔を掘削するときにレーザビームが流路の内部に衝突したりすることを防止する。この材料は、一般に“充填材料”または“遮断材料”と呼ばれ、エアフォイルの内部または外部に配置される。本発明は、特に、エアフォイル内の流路に充填材料を配置するための固定具に関し、このようなエアフォイル内の流路には、供給流路からエアフォイルの内部および外部への管路を提供する比較的大きい供給流路または比較的小さい流路であるロータブレードやステータベーン内の流路などが含まれる。本発明は、軸流回転機械の分野で開発されたが、材料が加熱されて液化するとともに、続いて、この材料を部材内に注入して部材の上またはその内部に配置するために他の分野でも適用可能である。
【0002】
本発明は、共に1998年12月17日に出願され、かつ1998年11月20日に出願された米国仮特許出願第60/109,176号の出願日の遡及を主張する米国特許出願第09/213,592号、および米国特許出願第09/213,690号の一部継続出願である。
【0003】
また、本発明は、フォスタ フィリップ ラム等による米国特許出願第09/213,591号、名称「レーザ加工用に部材を処理する方法及び材料」、ゴードン エム.リード等に付与された米国特許第6,177,038 B1号(米国特許出願第09/213,580号)、名称「処理及びエアフォイル用のマスクを形成するためのエアフォイルの配置方法」、およびゴードン エム.リード等に付与された米国特許第6,139,303号(米国特許出願第09/213,593号)、名称「エアフォイル内にレーザ遮断材料を配置するための固定具」に関連する。
【0004】
【従来の技術】
ガスタービンエンジン用のエアフォイルは、作動媒体ガス用の流路に配置されている。このようなエアフォイルの例としては、タービンブレードやタービンベーンが挙げられる。これらのエアフォイルは、ガスがエンジンを通って流れるのに従って熱ガスを浴びる。運転状態では、冷却空気がエアフォイル内部の主要供給流路を通って流れる。ステータベーンは、一般にロータブレードよりも大きく、タービンベーンの冷却空気用の主要供給流路は、ロータブレードの供給流路よりも容積が大きい。
【0005】
続いて、冷却空気は、エアフォイルの温度を許容限度内に保つように、これらの流路からエアフォイルを通って流れる。冷却空気孔は、エアフォイルの内部から外部へも伸びている。このような冷却空気孔は、一般に“フィルム冷却孔”と呼ばれる。これらの冷却空気孔は、小さく、11〜17ミル(0.011〜0.017インチ)の範囲内の直径を有し得る。冷却空気は、エアフォイル内部の流路から冷却空気孔すなわち高温の壁を通ってエアフォイルの外部面へと流れる。冷却空気は、壁を通過するときに吹出し冷却を提供し、エアフォイルから排出された後は、冷却空気のフィルムによりエアフォイルの外側面にフィルム冷却を提供する。この冷却空気のフィルムは、エアフォイルと熱い作動媒体ガスとの間のバリアとなる。
【0006】
冷却空気孔は、所定のパターンで掘削されるとともに、エアフォイルの十分な冷却が確実に得られる形状を有する。これらの孔を掘削する1つの方法には、レーザを用いてエアフォイルの外側面にコヒーレントエネルギを有するビームを放射するものがある。レーザビームによる強い放射は、エアフォイルの壁を焼き抜き、冷却空気用の十分な管路を提供する孔を形成する。レーザビームは、エアフォイルの壁を貫通してキャビティ内に到達する時にキャビティの他方側の隣接構造体に衝突して許容できない程度の損傷をエアフォイルに与えるおそれがある。従って、レーザビームが、エアフォイル壁を貫通した後にキャビティを囲む壁に衝突しないように、キャビティ内に遮断材料を配置することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
1つの方法は、製造工程におけるブレードの鋳込みコアであるセラミック製鋳造コアを、エアフォイル内に配置したままとすることである。このセラミック製コアが、適切な遮断材料となる。このセラミックコアは、続いて周知の浸出技術を用いて取り除かれる。この方法は、グレゴア、グリフィス、及びストラウドに付与された米国特許第5,222,617号、名称「タービンブレードの掘削」に説明されている。
【0008】
遮断材料として使用される充填材料の他の例としては、ワックスもしくはワックス様の材料が挙げられる。この材料は、エアフォイルの前縁流路などの流路の内部へ容易に流れるように溶融される。融点以上に加熱された溶融材料の温度は、250°Fを超え得る。この溶融材料は、キャビティ内に手作業で流し入れるかもしくは注入することができ、または、保護する面に噴霧もしくは塗装することもできる。しかし、この溶融材料によって、作業員がひどいやけどを負うおそれがある。また、このような材料を手作業でエアフォイルに流し入れた場合には、作業に時間がかかってしまう。
【0009】
ボイドの形成を防止するために添加剤を用いるワックス様材料の1つの例が、コルフェ及びストラウドに付与された米国特許第5,049,722号、名称「レーザバリア材料及びレーザ掘削方法」に開示されている。この特許では、ワックス基剤にワックス様材料であるPTFE(ポリ四フッ化エチレン)が添加されている。PTFEは、ボイドの形成を防止する。
【0010】
また他の方法には、流体状態でエアフォイル内に配置されるエポキシ樹脂のようなマスキング剤を用いるものがある。エポキシ樹脂は、エアフォイル内に樹脂を単に流し入れることによって配置される。また、エポキシ樹脂は、室温であり、作業員がやけどを負う危険性を伴わない。エポキシ樹脂は、流体を硬化させて米国特許第5,049、722号に開示されたPTFEワックスと同様のより固形の材料とするために更に処理される。しかし、この樹脂は、溶融ワックスに比べて比較的粘度が高く、エアフォイル内部の細い接続流路を通って流れることが困難である。
【0011】
他の方法には、レーザ光を分散させる材料を含むチキソトロピー媒体を使用するものがある。この方法は、マァ及びピンダに付与された米国特許第4,873,414号、名称「部材のレーザ掘削」で説明されている。この媒体の利点は、特に、レーザ光と接触したときに分散性材料が光を放つことである。光を監視することで、部材面を貫通するレーザビームを検出し、フィードバック制御を用いてレーザビームによって貫通孔が掘削されたか否かを判断するビームの制御方法が提供される。加えて、部材の内部面にわたって媒体が容易に流れるように、媒体をノズルに通過させることによって媒体の粘度を低下させる。
【0012】
更に他の方法は、ストラウド及びコースに付与された米国特許出願第5,140,127号、名称「レーザ遮断材料」に開示されている。この方法は、注入可能な遮断材料を使用し、この遮断材料は、四フッ化エチレンと六フッ化プロピレンからなる第1のコポリマと、ポリ四フッ化エチレンを基礎とするとともに少なくとも1つのフッ化アルコキシ群(fluorinated alkoxy side group)を含む第2のコポリマと、からなる群から選択した組成を有する。この材料は、部材の内部に流し入れられるかもしくは注入される。
【0013】
また更に他の方法は、ターナに付与された米国特許出願第5,767,482号、名称「レーザバリア材料及び方法」に開示されている。この特許では、熱的に安定しているとともに高い融点を有する塩化ナトリウム(塩)や他の金属塩などの微細な結晶材料を使用している。塩は、流し入れるかもしくは水とともにペースト状にして注入することによって部材の内部に導入することができる。この塩は、部材を水で洗うことによって取り除かれる。
【0014】
上記技術よりも更に、大量生産で使用可能であるとともに、時間のかかる作業を繰り返すことなく比較的容易に取り除くことができる充填材料を、部材の内部またはその上に配置するための材料、方法、及び装置、例えば、レーザビームを遮断する充填材料をエアフォイルの内部に配置するための材料、方法、及び装置の開発が求められている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、大量生産の工程において加熱して液化されるポリマ充填材料とともに使用される固定具は、部材を充填するのに必要な時間を減少させることで生産時に大きな利点を提供するという認識に一部基づいている。“加熱”という用語は、熱伝達または材料をノズルに押し通すなどの仕事を材料に対して行うことによって材料の温度を上昇させることを指す。このような固定具は、例えばガスタービンエンジン用のエアフォイルの内部をレーザビーム遮断材料で充填するために使用可能である。本発明は、また、このような充填材料を外部面または比較的大きい部材の内部容積に配置するためにこの材料を加熱することによって、この充填材料が冷却して収縮する際に部材から許容されない程度に剥がれるおそれが生じるという認識に一部基づいている。また、このような部材に充填材料を付着させることによって、この材料が剥がれることを減少させるかまたは防止することができ、エアフォイルなどの部材にレーザ掘削処理を行う際に有利な効果を有し得るという認識に一部基づいている。本発明は、更に、ステータベーンなどのエアフォイルは、比較的軟らかい材料を介してステータベーンと係合する固定具を必要とする場合があり、このような比較的軟らかい材料は、固定具と係合する密着位置において許容差に応じて弾性的に変形するという認識に一部基づいている。これは、この位置が冷却孔の掘削が終わるまで仕上げ加工されないために起こり得る。また、本発明は、充填材料が軟らかい材料によく付着し、エアフォイルから固定具を分離するときにエアフォイルから充填材料が許容できないほど取り除かれるおそれがあるという認識に基づいている。本発明は、また、エアフォイルに付着する加熱された充填材料を収容して供給する加熱されていない供給流路を固定具内に含むことによって、エアフォイルを連続して充填する際などのように充填材料の流れが短期間でも中断した場合に、供給流路が詰まるおそれがあるという認識に一部基づいている。更に、機械の構成によって課される吐出圧力の制限やエアフォイル壁が耐え得るエアフォイルの内部と外部との間の圧力差によって生じる吐出圧力の制限によって、射出手段から充填材料に加わる圧力は、詰まりを解消するのに必要なレベルを超えないおそれがあるという認識に一部基づいている。また、詰まった充填材料の翼幅方向の付着長さを減少することによって、この詰まりを除去するために必要な圧力が減少するという認識に一部基づいている。最後に、流路の壁に付着するおそれがある硬化したまたは部分的に凝固した充填材料を流入させた場合に、充填材料の小さい詰まりの上流の流路に位置する充填材料の量が充填材料を再度溶融するかまたは軟化させるのに充分な熱を供給し、充填材料が充分な量でかつプラグを再度溶融するために充分な熱容量を有する新たに加熱された充填材料を含むエアフォイル内またはエアフォイルに隣接する領域へと流れれば、充填されたエアフォイルにおいて許容できる結果が得られることに一部基づいている。
【0016】
本発明によると、加熱された充填材料の流れを部材に注入する固定具は、部材と弾性的に係合して充填材料のための収容領域を部材において形成する工具部材を含み、また、工具部材内に延在してノズル用のシール面とシール面の下流における充填材料用の流路とを提供するノズルアダプタを含み、このシール面は、工具部材の上流に位置するどの点よりも収容領域に近い位置に設けられている。
【0017】
本発明の1つの実施例では、この部材は、ステータベーンまたはロータブレードなどのエアフォイルである。
【0018】
本発明の1つの実施例では、固定具は、工具部材と接触するように横方向に延在するスプループレートを含んでおり、ノズルアダプタは、スプループレートの一部を構成する。
【0019】
1つの詳細な実施例では、充填材料が工具部材と接触するのを防止するために、マスキング部材が収容領域に配置されている。
【0020】
1つの詳細な実施例では、マスキング材料は、収容領域からノズルアダプタの周りに周方向で、かつノズルアダプタと工具部材との間に延在する。
【0021】
本発明の主な特徴は、加圧された充填材料の流れをノズルから部材に注入するための固定具であり、この固定具は、部材と弾性的に係合するようにこの部材よりも軟らかい材料によって形成された工具部材を有している。他の特徴は、充填材料を収容するための収容領域であり、この収容領域は、工具部材と部材とによって境界づけられている。更に他の特徴は、充填材料を収容領域に注入するために工具部材を通って延びる流路である。また他の特徴は、流路の一部を含む第2の部材である。第2の部材は、ノズルと接触し、かつ工具部材よりも硬い材料で形成されたシール面を有する。このシール面は、工具部材の上流のどの点よりも収容領域に近い。1つの実施例は、工具部材がノズルを受け入れ可能となるように工具部材に設けられた開口部を特徴とする。1つの実施例では、第2の部材は、スプループレートである。スプループレートは、工具部材内に延在するとともにノズルを受け入れるように設けられたシール面を有するノズルアダプタを含む。1つの実施例は、スプループレートの一部に設けられた開口部を特徴とし、ノズルがこの開口部を通って延在してノズルアダプタと接触する。
【0022】
本発明の主な利点は、1つの材料によって部材の許容差に弾性的に対応し、かつ部材に近接して比較的硬いシール面を有する固定具を使用して、ノズルからの充填材料によって部材を反復して充填することによって得られるコストの減少および効率である。他の利点は、作業員によって手動で除去する必要がある固定具の流路における閉塞を防止することによって得られる、付着性の充填材料によって固定具を通してエアフォイルを連続して充填する速度とコストである。1つの実施例では、レーザ遮断材料として加熱された付着性の充填材料を使用し、かつこの付着性の充填材料を多量に反復してエアフォイルに供給する能力を有することによって得られるエアフォイルのレーザ掘削孔のコストと品質である。
【0023】
本発明の上述の特徴および利点は、以下の実施形態および添付図面によってより明らかとなる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は、ガスタービンエンジン用のエアフォイル10として示した部材の部分説明図である。また、図1は、部材の上または内部に充填材料を配置する、例えば、部材の内部にレーザ遮断材料などを配置するための工具12を示している。この工具12は、エアフォイル10が充填される時にこれらのエアフォイル10が1つずつ連続的に配置されるキャビティ13を有している。“エアフォイル”には、タービンブレード、ステータベーン、および流れを案内する面を有する他の部材が含まれる。
【0025】
図2Aは、製造時におけるロータブレード10の側面の断面図である。図9は、ステータベーン10vの斜視図を含んでいる。ロータブレード10およびステータベーン10vは、類似する構造的な特徴を有する。このような類似する特徴は、それぞれのエアフォイルに関して同一の符号を使用して説明しており、ステータベーンの特徴には参照記号“v”を追加している。ロータブレードは、翼幅方向に面する面15を有する根部として示した第1の端部14と、翼幅方向に面する面17を有するプラットフォーム16と、翼幅方向に面する面19を有する先端部として示した第2の端部18と、を有する。ロータブレード10は、翼幅方向に延びる空気力学的形状の前縁22を備えており、空気力学的形状の後縁24が空気力学的形状の前縁22から翼弦方向で離間されている。エアフォイル10は、複数のキャビティ即ち冷却空気用の流路を含み、これらの流路は、前縁流路26及びロータブレード10の根部14を通って延びる流路28,30,32,34として示されている。流路28,30,32,34は、ロータブレード10の内部へと延びるとともに、流路32のように蛇行していることも多い。
【0026】
図2Bは、図2AのB−B線に沿った翼弦方向の断面図である。エアフォイル10は、負圧面即ち側壁42及び正圧面即ち側壁44として示した流れを案内する面を備えている。これらの各面は、前縁22から後縁24まで後方に延在し、かつプラットフォーム16から先端部18まで翼幅方向に延在する。
【0027】
孔48として示した複数の内部インピンジメント孔によって、前縁領域における前縁流路26と冷却空気の供給流路28とが接続されている。これらのインピンジメント孔48は、小さく、一般に40ミルよりも小さい水力直径Dhを有する(即ち、Dh=4Ai/P=0.040インチ、Aは、孔の面積、Pは、孔の全周)。いくつかの用途では、これらの孔48は、30ミルよりも小さい水力直径を有することもできる。孔46として示した前縁22に隣接する複数のフィルム冷却孔が、前縁領域におけるインピンジメント流路26からロータブレード10の外側まで延びている。
【0028】
図2Aで示したように、フィルム冷却孔46を形成する1つの方法には、レーザビームLbとして示したレーザビームによって、孔を掘削する方法がある。この孔は、エアフォイル(ロータブレード)の外側から前縁流路26まで掘削される。図2Aおよび図2Bは、エアフォイル内に配置された充填材料を概略的に示している。レーザ遮断材料52として示された充填材料は、レーザビームを弱めるために部材の一部にわたって前縁流路内に配置されている。レーザ遮断材料52は、レーザビームが掘削工程においてロータブレードの壁を貫通するときに、このレーザビームによって冷却空気孔に面する構造体が損傷されることを確実に防ぐ。この充填材料は、他の目的で追加することもでき、このような目的には、コーティングの付着の防止が含まれ得る。
【0029】
図1では、射出成形機54の一部として示されている圧力下で遮断材料52を供給する手段が、工具12と流体的に連通している。成形機は、充填材料を加熱する手段(図示省略)を含む。他の同様の機械には、エアフォイル10に加圧したレーザ遮断材料52を供給する供給源となり得るトランスファ成型器やプラスチック押し出し機などが含まれる。
【0030】
工具12には、ロータブレード10にレーザ遮断材料52を充填するためにロータブレード10と係合する固定具56が含まれる。“充填”とは、エアフォイルの上またはその内部に材料を配置つまり供給するという意味であり、ロータブレードやステータブレードなどのエアフォイルを部分的にまたは完全に充填することが含まれる。固定具56は、基部58、スプループレート62、及びスプループレート保持具64を含む。レーザ遮断材料52を供給する流路65が、スプループレート62及びスプループレート保持具64を通って延びている。
【0031】
射出成形機54は、工具12が設置されるテーブル66と、図4及び図5で示したノズル70を備えたハウジング68と、を有する。ハウジング68は、工具12に対して方向Mで移動可能となっており、所定の力を工具12とロータブレード10とに加えることができる。図1に示すように、ハウジング68は、(概略的に示した)レーザ遮断材料52の供給74を受けるチャンバ72を有する。供給74の量は、レーザ遮断材料を受け入れるエアフォイル10の内部容積よりも僅かに大きい。
【0032】
チャンバ72は、流路(図示省略)からレーザ遮断材料52を受け入れ、この流路には、レーザ遮断材料52をチャンバ内72内に押し入れるためのスクリュ手段(図示省略)が設けられている。チャンバ72内には、ラムすなわちピストン75が配置されている。作動時には、ピストン75によって、流路65の収容部分内の遮断材料52がハウジングを通ってスプループレート62へと送られる。この目的のために使用できる機械の1つには、オハイオ州,ニューベリー(Newbury,Ohio)所在のミニ−ジェクタマシーナリ社(Mini−Jector Machinery Corp.)のモデル70射出成形機が挙げられる。他に使用できる機械としては、ニュージャージー州,パインブルック,シャピン 16(16 Chapin,Pinebrook NJ 07053)所在のトウヨウ オブ アメリカ社(Toyo of America)を通して、日立グループから供給されているトウヨウプラスタTI−90G2射出成型機がある。
【0033】
図1で示しているように、工具12のスプリュープレート保持具64は、ボルト(図示省略)などによって射出成形機54のハウジング68に一体に接続されている。スプループレート保持具64は、ダブテール形のスロット部76を備えている。スプループレート62は、ダブテール形スロット部76を介してスライドしてスプループレート保持具64と係合するとともに、ダブテール形スロット部76と共同してスプループレート62を保持するテーパ状の端部77を備えている。スプループレート62は、レーザ遮断材料52を受け入れる流路65の一部を含む。この流路65によって、射出成形機54のチャンバ72がタービンブレード10の根部14を通って延びる流路28,30,32,34と流体的に連通する。
【0034】
テーブル66は、射出成形機54のハウジング68に対して調整可能となっている。工具12の基部58は、テーブル66に対して所定の方法で配置されている。工具12をテーブル66に設置する度に、基部が同じ位置で正確にテーブル66と接触するように、基部58には、位置決めドエル即ち位置決めピン(図示省略)が設けられている。よって、工具12の基部58は、テーブル66によってハウジングに対して調整可能となっている。
【0035】
工具12には、マスク78が含まれる。このマスク78は、第1のマスク部材82と第2のマスク部材84として示した一対のマスク部材を有する。これらのマスク部材は、それぞれ第1のマスク部材82の第1の面86と第2のマスク部材84の第2の面88として示した面を備える。これらの各面は、それぞれエアフォイル10の外側面に一致する。これらのマスク部材82,84は、室温加硫(RTV)ゴムなどのエラストマ材料で形成されている。使用可能なエラストマ材料の1つとしては、ニューヨーク、ウォーターフォード(NY,Waterford)所在のジェネラル エレクトリック カンパニー(General Electric Company)が供給するRTV668エラストマ材料が挙げられる。
【0036】
工具12は、更に、第1のジョー92と第2のジョー94として示した一対の対向するジョーを含む。各ジョー92,94は、対応するマスク部材82,84と係合して、これらのマスク部材をエアフォイル10に密着させる。例えば、第2のジョー94は、第2のマスク部材84と係合する。第2のジョー94が工具12の基部58に固定されているので、この第2のジョー94によってハウジング68と第2のマスク部材84との両方に対して基準面96が提供される。ハウジング68によって、スプループレート62が位置決めされる。よって、翼弦方向に面した基準面96を備えた第2のジョー94は、スプループレート62とスプループレート保持具64と組み合わさって、充填作業においてロータブレード10を射出成形機54に対して正確に整列させる。
【0037】
ジョー92,94は、互いに対して相対的に移動可能となっている。図1で点線によって示されているように、第1のジョー92は、第2のジョー94に対して、実線で示した閉位置から点線で示した開位置へと移動可能である。第2のジョー94は、このような移動のために各側にそれぞれ配置された対となったガイド部材を有し、これらのガイド部材は、ガイド部材98及びガイド部材102として示されている。第1のジョー92は、対となった第1のガイド部材98とスライドして係合する第1のガイドレール104を備えるとともに、対となった第2のガイド部材102とスライドして係合する第2のガイドレール106を備える。また、このような相対的な移動は、両方のジョー92,94を移動することによって達成することもできる。上述したように、第2のジョー94は、射出成形機54のハウジング68に対してマスク78を位置決めするための基準面96を提供する。この機能は、第2のジョー94が正確にその閉位置へと戻ることによって反復可能となっている。
【0038】
工具12は、開位置から閉位置へとジョー92,94を移動する手段を含み、この手段は、図1に示したアーム部108とレバー112の機構として示されている。アーム部108は、支点113を中心として回転する。アーム部108が開いた移動位置へと回転すると、レバー112が第1のジョー92及び第1のマスク部材82をロータブレード10から離れるように引っ張り、オペレータが素早く第2のマスキング部材84からロータブレード10を除去もしくはマスキング部材84にロータブレード10を挿入することが可能となる。ジョー92を移動する手段となり得る他の装置には、電気的、空気式、油圧式の装置やチェーン、プーリ、バネなどの機械的な作動装置によって作動されるものが含まれる。
【0039】
図3は、工具12及び射出成形機54の一部を切り欠いた図1の上面図である。図3では、スプループレート62及びスプループレート62を通って翼幅方向に延びる流路65に対するロータブレード10の関係が示されている。この流路65によって、スプループレート62が射出成形機54のノズル70から加圧された遮断材料52を受け入れ可能となっている。スプループレート62は、第1の翼幅方向に面した面116を備えた第1の側面114を有する。面116は、作動可能な状態において、ロータブレード10に対して翼幅方向外側へと、翼幅方向の軸Sに沿って第1の方向に面している。図3で示しているように、翼幅方向軸Sは、ロータブレード10の翼弦方向断面のスタッキングラインである。第1の面116によって、スプループレート62が、ノズル70(図4参照)と係合可能となっているとともに、加圧した遮断材料52を受け入れるための流路65の周りにシールを形成するようになっている。
【0040】
流路65は、ロータブレード10に加圧された遮断材料52を放出するために細くなった部分118を含んでいる。流路65の細くなった部分118は、ロータブレード10の根部14の流路28,30,32,34によって形成された開口部と流体的に連通している。根部14は、これらの流路28,30,32,34によって、射出成形機54よりレーザ遮断材料52を受け入れ可能となっている。
【0041】
工具12の第1のジョー92を点線で示している。レバー112は、第1のジョー92と係合する(点線で示した)端部112aを備える。更に、このレバー112は、レバー112の長さを調整可能とする調整可能なリンク112bを備える。(点線で示した)第2のジョー94は、作動時の閉じた状態において、第1のジョー92から小さな間隙Gによって離間されている。この間隙は、通常小さく、1つの実施例では、25〜30ミル(0.025〜0.030インチ)よりも小さい。
【0042】
図4は、一部切り欠いた分解図であり、工具12及び射出成形機54のノズル70の一部を示している。図1,図4で示しているように、この工具12は、固定具56を含んでいる。固定具56は、工具12の基部58、スプループレート62、及びスプループレート保持具64を含む。スプループレート保持具64は、開口部119を備える。ノズル70は、開口部119を通って延びてスプループレート62と接触する。このノズル70は、ボルト(図示省略)によって第1の側面114の第1の面116に対して押しつけられ、これにより、ノズル70とスプループレート62とが接合される。スプループレート62は、第2の翼幅方向に面した面122を備えた第2の側面120を有する。
【0043】
固定具56は、更に、ブロック124(位置決めブロック)として示した部材を含み、このブロック124は、スプループレート62から翼幅方向に離間されている。位置決めブロック124は、翼幅方向に面しており、かつ作動状態においてエアフォイル10の第2の端部すなわち先端部18と係合する第1の基準面126を備える。位置決めブロック124は、エアフォイル10の先端部18が損傷されるのを防ぐように、エアフォイル10の先端部18の材料よりも軟らかい材料で形成されている。第2のマスク部材84には、材料のブロック124を収容するために第1の開口部128が設けられている。図示のように、位置決めブロック124は、第2のマスク部材84内におさまっており(即ちその内部にぴったりと収容されており)、第2のジョー94が第2のマスク部材84を位置決めするのを補助している。
【0044】
工具12の基部58は、面132を備える。第1のマスク部材82と第2のマスク部材84とは、この面132上に載っている。工具12の基部58は、位置決めブロック124を位置決めするために、位置決め孔134と、この孔134の底部を境界づける基部基準面136と、を備える。位置決めブロック124は、材料のブロック124を工具12の基部58に対して正確に配置するために、工具12の基部58の円状の孔内に設けられている。他の実施例では、工具12の基部58は、エアフォイル10の先端部18と係合する第1の基準面126を含む部材とすることができ、基部58の基準面136をこの目的で使用することもできる。
【0045】
第2のマスク部材84は、第2の開口部138を備えており、この開口部138は、エアフォイル10の前縁22などの空気力学的な端部と一致する。第2のマスク部材84は、エアフォイル10の負圧側42及び正圧側44の両方でエアフォイル10の前縁を覆っている。このような接触は、マスク部材82,84が、互いに対して相対的に、かつエアフォイル10と係合するように移動するのに伴って、マスク78がエアフォイル10を支持及び位置決めするのを助ける。他の実施例では、このマスク78は、エアフォイル10の両端部もしくは後縁24のみを覆うこともあり得る。
【0046】
図5は、マスク78aを有する図4で示した工具12の他の実施例である。マスク78aは、第1のマスク部材82aと第2のマスク部材84aを含む。マスク78aの接合面にライナ78bのような柔軟性のある材料を設けることができ、このライナ78bは、位置決めブロック124で使用されるタイプの材料で形成された適度な硬さの支持部78cと組み合わせて設けることができる。各マスク部材82a,84aは、エアフォイル10の翼幅方向に面する面17と接触する第1の基準面126aの一部を含む。図示のように、翼幅方向に面する面17は、エアフォイル10のプラットフォーム16a上にある。この面17は、エアフォイル10の第2の端部即ち先端部18の翼幅方向に面する面と同様に、位置決めブロック124の第1の基準面126aと接触して、エアフォイル10を翼幅方向に位置決めするように設けられている。
【0047】
図6は、スプループレート62の下側からの説明図である。第2の翼幅方向に面する面122は、領域A1を有する。第2の面122は、作動状態でロータブレードに向かって翼幅方向に面する。第2の側面120は、約60ミルの距離Dだけ翼幅方向に延在する突出部142を有する。この突出部142は、流路65の周囲に延在し、この流路65を境界づける周辺部となっている。この突出部142は、更に、第3の面144を有し、この面は、エアフォイル10と接触するように翼幅方向に面するもう一つの(第2の)基準面となっている。第3の面144(第2の翼幅方向に面する基準面)は、領域A1より小さい翼幅方向に面する領域A2を含んでいる(A2<A1)。
【0048】
領域A2は、スプループレート62のシール領域即ちシール面となる。領域A2(第2の翼幅方向に面する基準面)を有する第3の面144は、表面粗さRaの測定値が約63ミクロインチである滑らかな機械仕上げに対応する表面仕上げを有している。上記測定値は、測定値を平均値からの平均として示した米国規格協会発行の仕様書“ANSI B46.1−1985 表面組織”に記載の手順に基づいて測定したものである。ロータブレード10は、表面粗さ仕上げRaが約125ミクロインチである微細な機械仕上げに対応する表面を有している。
【0049】
スプループレート保持具64は、固定手段や接着などによって射出成形機54と一体となるように取り付けられている。スプループレート62は、止めねじもしくはプレート62を保持具64に固定する他の装置によってスプループレート保持具64に固定されている。開示した実施例では、固定手段(図示省略)によって、スプループレート保持具64が射出成形機54のハウジング68に押しつけられ、スプループレート保持具64によって、スプループレート62がノズル70に対して上向きに押しつけられる。作動状態では、スプループレート62と射出成形機54のノズル70とは、流路65からレーザ遮断材料52が漏れることを防ぐシールを形成するように互いに対して充分にきつく押しつけられる。射出成形機54のハウジング68は、スプループレート保持具64に対して下向きに約100ポンドの力Fを加える。これにより、スプループレート62の他方側がエアフォイル10に対して押しつけられ、(面積が減少された領域A1とエアフォイル10の根部との間の境界面に)シールが形成される。力Fは、エアフォイル10を通して伝達され、これにより、エアフォイル10の先端部18(第2の端部)がブロック124に対して押しつけられ、ブロック124とスプループレート62との間にエアフォイル10が翼幅方向に捕捉される。
【0050】
他の実施例では、スプループレート62に対してノズル70を押しつけることもでき、この場合には、この力によってスプループレート62がエアフォイル10の根部14(第1の端部)に対して押しつけられる。同様に、これにより、スプループレート62と根部14との間の第2の翼幅方向に面する基準面144においてスプループレート62とエアフォイル10との間にシールが形成される。
【0051】
上述のように、射出成形機54によってエアフォイル10がブロック124に対して押しつけられるときにロータブレード10の先端部18が損傷されることのないように、位置決めブロックの面126(第1基準面)は、ロータブレード10の先端部18よりも軟らかくなっている。作動状態では、加圧された材料が、約1600psiの圧力及び約300°Fの温度でノズルから放出される。
【0052】
図7は、図6に示したスプループレート62の他の実施例62bである。このスプループレート62bは、ミシガン州,イースト ランシング,ドーン アベニュー(4917 Dawn Avenue,East Lansing,Michigan 48823−5691)所在のシバ−ゲイジ コーポレイション(Ciba−Geigy Corporation)から供給されている硬化された二液型エポキシ(two−part epoxy)から形成される。この材料は、R1500硬化剤とともにR4036樹脂として供給されている。これは、位置決めブロック124に適する材料の一例である。
【0053】
図7に示したスプループレート62bは、ロータブレード10の根部14を受け入れるリセス146を有する。このリセス146は、シール面147を有し、このシール面147によって、スプループレート62bがポリ四フッ化エチレン製のシールを受け入れることができるようになっている。ポリ四フッ化エチレン製のシールは、射出成形機54によってスプループレート62b及びロータブレード10に対してきつく押しつけられる。ポリ四フッ化エチレン製のシールは、スプループレート62bからロータブレード10への流路65に沿って遮断材料52を通す開口部152を有する。1つの実施例では、このシールは、長さが4分の3インチで、かつ幅が2分の1インチであり、エアフォイル10の根部14に遮断材料52を流し入れるための適切な開口部を有している。シール用の好適な材料の1つには、コールドフローのおそれが非常に小さいメカニカルグレードのテフロン(登録商標)材料がある。この材料は、ニュージャージー州,バーリントン,コネチカット ドライブ1(One Connecticut Drive,Burlington,New Jersey 08016−4101)所在のインタープラスト インコーポレイテッド(Interplast,Inc.)よりシート形状で供給されている。インタプラストは、デゥポン テフロン(登録商標)材料の加工業者である。
【0054】
固定具56は、射出成形機54などのレーザ遮断材料52を注入するどのような機械に対してもエアフォイル10を配置する工程で使用することができる。工具12を用いて同様のエアフォイル10を連続的に充填することができるように、新しいエアフォイル10を射出成形機54に対して配置する1つの方法を以下に説明する。第1のステップは、工具12を機械から取り除くとともに、図8で示した装置154に工具12を設置することである。この装置154は、射出成形機54用に開示したテーブル66と同様のテーブル156を有する。このテーブルは、工具12をテーブル156に対して所定の関係で位置決めする位置決めピン(図示省略)を有する。工具12の基部58は、位置決めブロック124を位置決めするための位置決め孔134を有している。位置決めブロック124は、第1の基準面126を介してエアフォイル10の先端部18と接触する。工具12とテーブル156との組み合わせによって、エアフォイル10の先端部18(第2の端部)が装置に対して位置決めされるように、位置決めブロック124が装置に対する既知の位置に配置される。ブロック124を適切な高さのブロックに変更することで、異なる長さのエアフォイル10を容易に固定具156に配置することができる。
【0055】
この装置は、溝158を備えた垂直部材154を有する。また、装置は、側方に延びるプレート164を含んでいる。このプレート164は、溝158とスライド可能に係合する垂直な支持部166を有する。プレート164は、垂直な支持部166に一体に取り付けられているとともに、止めクランプ168によって垂直部材154に対して調整可能となっている。開示した実施例では、装置のプレート164は、スプループレート保持具64とスプループレート62を、位置決めブロック124の第1の基準面126に対して翼幅方向で正確に配置するようにスプループレート保持具64と係合するように設けられており、作動状態においても第1の基準面126に対して翼幅方向で同様な関係となるように配置される。
【0056】
第1の基準面126に対してエアフォイル10の根部(第1の端部)14が正確に配置される限り、スプループレート62と類似するスプループレート要素などの装置を、スプループレート62の代わりに使用することもできる。スプループレート要素及びスプループレートは、共に図8のスプループレート62として示されている。スプループレート62及びスプループレート保持具64もしくはスプループレート保持具に類似する装置を用いる利点は、作動状態において、エアフォイル10や工具12の他の部分に対して、スプループレート62の接触状態を再現することができる点である。
【0057】
射出成形機54に対してエアフォイル10を配置する方法には、キャビティ13を有するように工具12を形成することが含まれる。このキャビティ13によって、固定具12は、作動状態においてエアフォイル10と接触するマスク78の弾性マスク部材82,84を受け入れ可能となっている。
【0058】
この方法には、エアフォイル10と接触するマスク78を形成することも含まれる。これは、少なくともマスク78と接触する領域にわたって、充填するエアフォイル10と寸法的に等しいエアフォイル部を有するコアを形成するステップを含む。また、実際のエアフォイル10をコアとして用いることもできる。コアをキャビティ13に配置した後に、エアフォイル10、固定された第2のジョー94、及び位置決めブロック124の第1の基準面126に対してスプループレート62を配置するように、装置のプレート164とスプループレート114を調整する。この方法は、スプループレート62に対するコアの配置及び第1の基準面126に対するコアの配置が作動状態と同様となるように、コアをスプループレート62と第1の基準面126との間に捕捉することを含む。
【0059】
また、この方法は、流体状のマスキング材料をキャビティ13内に配置するとともに、この材料を硬化させることを含む。好適な材料には、ジェネラル エレクトリック カンパニー(General Electric Company)からR668として供給されている室温硫化材料などの弾性材料がある。
【0060】
図3に示しているように、第1のジョー92と第2のジョー94とは、溝174a,174b及び溝176a,176bとして示した翼幅方向に延びる一対の溝をそれぞれ備えている。マスキング材料は、これらの溝の内部へと流れる。この材料は、マスク78にストリップを形成するように硬化する。これらのストリップは、第1のジョーの溝174a,174bと係合するストリップ178a,178bと、第2のジョーの溝176a,176bと係合するストリップ182a,182bとして示される。これらのストリップは、溝の内部で延在してジョー92,94の面に対して実質的に垂直に翼弦方向でジョーと係合する。
【0061】
材料が硬化した後で、マスク78を形成するステップは、単一部材のマスクが望ましい場合には単一のパーティングラインを形成するように、2つの部材を含むマスクが望ましい場合には、2つのパーティングラインを形成するように、マスキング材料を実質的に翼幅方向で切断することを含む。これらのパーティングラインによってコアの除去と作動状態におけるエアフォイル10の挿入が可能となる。
【0062】
図8で示した実施例では、マスク部材を一対のマスク部材82,84に分割するように、2つのパーティングラインがエアフォイル10の両側に形成されている。他の実施例では、2つ以上のマスク部材が含まれることが望ましいこともあり得る。これらのマスク部材は、各パーティングラインが、最終的に製造されるエアフォイル10の各冷却孔の間で延びるように切断される。これにより、遮断材料がエアフォイル10の孔46から流出するのをマスク78によって塞いで、この材料がエアフォイル10上のレーザ掘削工程用の位置決め面へと流れるのを防止することができる。これは、修繕したエアフォイル10を再度掘削する場合や新しく製造したエアフォイル10を再加工する場合に、エアフォイル10の表面に既にいくつかの冷却孔46が形成されているときに重要である。
【0063】
工具12のジョー92,94は、互いに対して移動可能となっている。マスク78を形成することによってエアフォイル10を配置する方法には、閉位置においてジョー92,94を間隙Gで互いから離間させることが含まれる(間隙Gは、ジョーが作動状態で離間される距離である)。間隙Gを埋めるように、成形材料の層がジョー92,94の間に配置される。この成形材料は、型から流体状のマスキング材料が流出することを防ぐ。このための好適な材料の1つには、みつろうが挙げられる。また、ジョー92,94を、間隙Gよりも大きい間隙G1で離間させることもできる。これは、マスク78を形成するステップにおいて、ジョー92,94を完全に閉じないことによって達成することができる。これにより、作動状態において、マスクの側方の長さがキャビティの側方の幅よりも僅かに大きくなる。このような構成では、作動状態においてジョー92,94からマスキング部材に所定の力が加わる。同様の効果は、ジョー92,94を移動させるレバー112の長さを調整することによっても得られる。これは、ジョー92,94が、作動状態において間隙Gを有するように完全に閉じた位置まで移動可能となっている一方で、調整可能なリンク112bを使用してジョー92,94が間隙G1によって離間されるように調整することによって可能となる。好適な間隙G1の一例は、約8分の1インチ(125ミル)である。1つの実施例では、閉位置の工具12の間隙G1は、作動状態における工具12の間隙Gの約4倍である。
【0064】
工具12の利点は、特に、第2のジョー94が移動しないことである。このジョー94と第2の翼弦方向に面する基準面96とは、共に固定されているので、位置決め孔134に対して所定の関係を有している。また、位置決め孔の位置は、第1の基準面126を備える位置決めブロック124の位置を定める。これらの既知の関係によって、ジョー92,94と係合するマスク78及びそのマスク部材82,84と(第1の基準面と係合する)エアフォイル10との関係が既知のものとなるとともに、第2のジョー94の基準面96に対するエアフォイル10の関係も既知のものとなる。また、第2のジョー94に対する固定具12の基部58の関係、そして装置のテーブル66に対するハウジング62の関係を通してスプループレート62に対するエアフォイル10及びマスク78との関係も既知のものとなる。例えば、作動状態において、間隙Gと比較した間隙G1の寸法に応じて側方に多少調整することも必要となり得る。これは、これらの部材が作動状態で正しい関係となるようにするためである。従って、マスク78を形成する装置における上記の関係は、作動状態での関係と同様であるかあるいは作動状態での関係へと容易に調整することができる。
【0065】
図9は、図1に示した固定具54の別の実施例の部分的な斜視図である。この固定具は、第1の部品148vと第2の部品124vを含む工具部材184によって示されている。この固定具は、ステータベーン10vとして示されているエアフォイルと係合するように設けられている。
【0066】
ステータベーン10vは、外側プラットフォームとして示される第1の端部14vを備えており、この第1の端部14vは、翼幅方向外側に面する第1の面15vと翼幅方向内側に面する第2の面17vを有する。このステータベーン10vは、更に、内側プラットフォームとして示される第2の端部18vを備えており、この第2の端部18vは、翼幅方向外側に面する面19vを有する。このエアフォイル10vは、これらのプラットフォームの間で翼幅方向に延在する空気力学的な前縁22vを備える。空気力学的な後縁24vが、空気力学的な前縁22vから翼弦方向に離間されている。
【0067】
エアフォイル10vは、前縁流路26v及び後縁流路28vとして示されている複数の冷却空気用のキャビティ即ち開口部を有する。これらの流路は、第1の端部14v(外側プラットフォーム)を通ってステータベーンの内部へと延びるとともに、ステータベーンの第2の端部18v(内側プラットフォーム)を通って延びる。これらの流路は、第1の端部と第2の端部を流体的に連通させるとともに、充填材料用の流路65vの一部である。これらの翼幅方向のベーン流路は、ロータブレードで示した翼幅方向流路よりも一般にかなり大きい。ベーン流路を境界づけるステータベーンの壁は、より厚く、かつ製造時にステータベーンの内側と外側のより大きい圧力差に耐えられるようにすることができる。
【0068】
エアフォイルは、負圧面即ち側壁42v及び正圧面即ち側壁44vとして示した流れを案内する面を備えている。これらの各面は、前縁22vから後縁24vまで後方に延在し、かつ外側プラットフォーム14vから内側プラットフォーム18vまで翼幅方向に延在する。
【0069】
ステータベーンは、外側および内側のプラットフォーム14v,18vの仕上げ機械加工および冷却孔の掘削を行っていない仕上げ前の状態で示されている。ロータブレードと同様に、ステータベーンも、前縁に隣接してロータブレードの冷却孔48と同様の複数の内部インピンジメント冷却孔を有する。ステータベーンは、また、ロータブレードのフィルム冷却孔46と同様に、エアフォイルの内部面から外部面に延びる複数のフィルム冷却孔を有する。これらの冷却孔は、一般に負圧面、正圧面、およびプラットフォームまで延びる。冷却孔は、大きさが小さく、ロータブレードと同程度の水力直径を有する。
【0070】
工具部材184の第1の部品148vは、ステータベーンの第1の端部14vのシール部材として機能し、図7のガスケット148と類似している。第1の部品148vは、開口部158に設けられた締結具(図示省略)によって図10Aに示すスプループレート62vなどの第2の部材に取り付けることができる。第1の部品148vは、平均翼幅方向長さLaを有する。この長さLaは、第1の部品148vをステータベーンの第1の端部14vに押し付けるために、繰り返し加えられる力に耐え得る耐久性のある構造体を提供するように選択される。長さLaは、ステータベーンの翼幅方向に延在するフランジの長さよりも長く、第1の部品148vがステータベーンより上の翼弦方向位置まで延在するように設けられている。第1の部品148vは、スプループレート62vによってステータベーンに対して押し付けられ、このスプループレート62vは、第1の部品148vを超えて翼弦方向に延在する。
【0071】
第1の部品148vは、ステータベーンの材料よりも軟らかい材料で形成されている。材料の弾力性によって、作動状態において固定具がステータベーンの第1の端部14vと弾性的に係合することが可能となっている。良好な材料には、ポリウレタンエラストマが含まれ、この材料は、特に耐摩耗性に適しており、英国、ケンブリッジシア、ケンブリッジ、デュックスフォード(Duxford,Cambridge,Cambridgeshire,U.K.)所在のバンティコ リミテッド(Vantico Ltd.)からRP6444REN:C:O−THANE(登録商標)ポリウレタンエラストマとして供給されている。このエラストマは、樹脂と硬化剤を混合して、樹脂と硬化剤を適切な型内で硬化させることによって形成される。材料の硬さは、60(ASTM試験法D−2240による60±5ショアD)であり、引張強度は、3400psiであり、伸びは、325%(1分あたり20インチにおけるASTM試験法D−638)である。工具部材184の第1の部品148vの開口部186によって、第1の部品148vが充填材料(レーザ遮断材料)の流路即ち流れSを受け入れるようになっており、この流れSは、第1の部品148vを通って延びている。この流路即ち流れSは、図10Aに示されている。第1の部品148vは、ステータベーンの第1の端部14vから離間されており、間に充填材料52を受け入れる第1の収容領域188が残される。この収容領域188は、ステータベーンの端部14v,18vおよび流路26v,28vを含むステータベーンの必要な領域に充填(レーザ遮断)材料を分配するためのプレナムとして機能する。分解図は、収容領域が、壁190,192として示されている少なくとも1つの翼幅方向に面する壁と、壁194によって示される少なくとも1つの翼幅方向に延在する壁と、によって境界づけられていることを示す。
【0072】
充填材料52が翼幅方向に面する壁192に接触して付着するのを防ぐために、マスキング材料の層196を第1の収容領域188内に配置することができる。図示の実施例では、マスキング材料は、表面積が比較的小さい翼幅方向に延在する面194の全体ではなく一部のみにわたって、充填材料との接触を防止するように延在している。好適なマスキング材料の1つは、ジェネラル エレクトリック カンパニーがR668材料として供給している室温加硫ゴムなどのエラストマ材料である。
【0073】
工具部材184の第2の部品124vは、ステータベーンの第2の端部18vのためのシール部材として機能し、図3に示す位置決めブロック124と類似する。第2の部品124vは、第1の部品148vと同じ材料で形成されている。第2の部品124vは、開口部198に配置される締結具(図示省略)によって図1に示すテーブル66などの第2の部材に取り付けることができる。第2の部品124vは、平均翼幅方向長さLbを有する。この長さLbは、第2の部品124vをステータベーンの第2の端部18vに押し付けるために、繰り返し加えられる力に耐え得る耐久性のある構造体を提供するように選択される。また、長さLbは、ステータベーンの翼幅方向に延在するフランジの長さよりも長く、第2の部品124vを超えて翼弦方向に延在する射出成形機のテーブル66に対して第2の部品124vを押し付けることができるようになっている。最後に、長さLa,Lbは、第1の部品148vと第2の部品124vの部分が全体的に十分な弾力性を有し、幾らか圧縮されて長さが減少してもいいように選択されている。長さの減少によって、部品の他の部分と、未完成の部材の許容差によって翼幅方向位置が変化するおそれのある端部の面と、の接触が可能となる。
【0074】
第2の部品124vは、ステータベーンの第2の端部18vから離間されており、間に充填材料52を受け入れる第2の収容領域202と第3の収容領域204が残される。第3の収容領域204は、ステータベーンの内部を通して第2の収容領域188と流体的に連通している。これらの収容領域は、流路26v,28vからの充填材料(レーザ遮断材料)の流れを、ステータベーンの端部などの必要な位置に分配するプレナムとして機能する。
【0075】
分解図は、収容領域202,204が、壁206,208として示されている少なくとも1つの翼幅方向に面する壁と、壁212によって示される少なくとも1つの翼幅方向に延在する壁と、によって境界づけられていることを示す。第1の部品148vにおけるマスキング材料の配置と同様に、マスキング材料214の層が収容領域202,204内に配置されている。
【0076】
図10Aは、図9に示す固定具54vの他の実施例54vaの線A−Aに沿った断面図である。この実施例では、マスキング材料が、充填材料と翼幅方向に延在する壁194,212との接触を防止するように延在している。これらの壁は、工具部材184の第1の部品148vと第2の部品124vの収容領域188,202,204を境界づけている。図10Aは、また、固定具54vaに対するノズル70の関係、そして特にスプループレート62vおよび工具部材184に対するノズル70の関係を示している。図1に示すように、スプループレート保持具64は、スプループレートを受け入れ可能とするスロットと、スプループレートとスプループレート保持具との間の相対的な移動を防止する手段と、を有する。
【0077】
ノズル70は、スプループレート保持具に対して、即ちスプループレート62vに対して移動可能となっている。ノズル70は、ノズルプラグ218とノズルプラグキャリア222を有する。充填材料の流れDは、ノズルププラグ218と固定具を通ってステータベーン10vまで延びるとともに、ステータベーンを通ってステータベーンの端部14v,18vまで延びる。ノズルプラグは、その長さにわたる熱伝導によって、また充填材料の供給物による熱対流によって、充填材料に熱を供給する熱源(図示省略)と熱伝達を行っている。ノズルプラグキャリア222は、開口部224によってスライドしてノズルプラグ218と係合するように設けられている。ノズルプラグ218は、ステータベーンに充填材料を注入するための複数の入口開口部226を含む充填材料用の流路65の一部を含む。充填材料によって、ノズルプラグ218に圧力Fが加わる。図10Aに示す接触位置では、ノズルプラグキャリア222がノズルプラグ218に対して下向きに移動して、充填材料がノズルプラグ218を通って流れることを可能とする。図11に示す非接触位置では、ノズルプラグキャリア222が上向きに移動しており、ノズルプラグ218が、力Fに応じて開口部224内により深く移動している。これにより、チャンバからノズルプラグ218の入口開口部226への通路が閉じられる。
【0078】
図10Aに示すように、スプループレート62vは、工具部材184の第1の部品148vの開口部186内に翼幅方向に延びるノズルアダプタ228を有する。ノズルアダプタ228を含むスプループレートは、射出成形機によって加熱されず、ステータベーンの充填時において、ノズルプラグ218とスプループレート62vとの短い接触によって熱がスプループレート62vとノズルアダプタ228に伝達されるだけである。
【0079】
図10Bは、図10Aの部分拡大図である。図10A,図10Bに示すように、ノズルアダプタ228は、シール面232を有する。このシール面232は、作動状態でステータベーンとは反対向きで翼幅方向に面する第1の翼幅方向に面する面である。ノズルアダプタ228のシール面によって、固定具54vaの作動状態においてスプループレート62vがノズル70のノズルプラグ218と接触可能に設けられている。ノズルアダプタ228は、鋼などの比較的硬くて耐久性のある材料で形成される。この材料は、工具部材184の第1の部品148vのステータベーンに接触する部分よりも硬い。シール面の比較的硬い材料は、高圧に対するシールの提供やノズルプラグ218との反復接触に対する耐性のためにシール用の比較的軟らかい材料よりも適している。
【0080】
ノズルアダプタ228は、ノズルプラグ218の少なくとも一部を収容するダクト232を含む。ノズルアダプタ228は、第1の側面236と第2の側面238を有する。ノズルアダプタ228は、これらの側面236,238の間に延びる充填材料用の流路65の一部を境界づける。第1の側面236は、シール面232を含む。また、第1の側面236は、固定具を通って延びる流路65用の開口部を有する。ノズルアダプタ228の第2の側面238は、第2の翼幅方向に面する面244を有する。第2の面244は、作動状態においてステータベーンに向かって翼幅方向に面しており、第1の収容領域188の一部を境界づける。
【0081】
ノズルアダプタ228内に位置する充填材料用の流路65の一部は、直径Dと、流路の直径Dの5倍以下である長さLを有する。従って、シール面232は、直径Dの5倍以下の長さによって収容領域と近接してこの収容領域から離間されている。図示の特定の実施例では、ノズルプラグ218内の充填材料の流れは、直径Dとおおよそ等しい直径を有し、第2の部材内の流路の長さLは、直径Dの約1倍よりも短い。
【0082】
上述のように、ノズルアダプタ流路内の充填材料の流れSは、ノズルプラグ内の充填材料の流れに比べて受ける熱が非常に小さい。ノズルアダプタ228のシール面232は、工具部材184の第1の部品148vにおいて、充填材料の流れS内で所定の翼幅方向位置を有する。このシール面232の所定位置は、工具部材の上流のどの点よりも、即ち図示の実施例ではスプループレート62vの残りの部分よりも第1の収容領域188に近い。これにより、ノズルアダプタ228内の比較的加熱されていない材料の長さLfuが、ノズル70内の加熱された充填材料の長さLfhよりも短くなる。従って、充填材料の流路がスプループレートと工具部材の全体の翼幅方向長さによって境界づけられた構成に比べて、比較的加熱されていない充填材料の翼幅方向長さLfuが減少する。
【0083】
図示のように、ノズルアダプタ228は、工具部材184内に延在する。工具部材54vaは、ノズルアダプタ228の周囲に延び、かつこのノズルアダプタ228と密着している。これにより、ノズルアダプタ228の周囲に良好なメカニカルシールが提供される。他の実施例では、ノズルアダプタは、固定具の第1の部品148vを通って延在してノズルアダプタと係合する支持部を有する外部構造体によって支持されていてもよい。この支持部は、シール面を備えるノズルアダプタの一部のみと係合することができる。他の実施例では、ノズルアダプタは、第1の側面、第2の側面、流路65vの一部、およびシール面232を有する支持部のみを含み得る。
【0084】
図11は、図10Aの固定具54vaの別の実施例54vbである。ノズルアダプタ228は、図10Aの構成と同様に工具部材184内に延在する。工具部材184の第1の部品148vは、ノズルアダプタ228の周囲に延在し、かつ間に間隙Gtが残るようにノズルアダプタ228から離間されている。この実施例では、マスキング材料の環状のスリーブ248が第1の収容領域188のマスキング材料の層196から外側に延在する。充填材料が間隙Gt内に侵入した場合には、第1の部品148vの開口部186(内側面)とノズルアダプタ228の外側面230とが、それぞれマスキング材料と密着する。作動状態において、ノズルアダプタと固定具の第1の部品との間に押し込まれた充填材料は、充填材料の翼幅方向長さの一方側にわたって必然的にマスキング材料と接触する。よって、充填材料の単一の層が、ノズルアダプタ228または第1の部品148vのいずれかと接触する可能性があるが、これらの両方と接触することがない。
【0085】
熱可塑性ポリマの中には、ロータブレード10またはステータベーン10vの内部にレーザ遮断材料52を配置してレーザビームを弱めることを促進する特性を有するものがある。このような特性は、エアフォイルを充填してレーザで掘削する際に有利であり、またエアフォイルから遮断材料を除去した後にも有利である。ホットメルト接着剤の形成などに使用されるポリアミドは、ステータベーンの大きいキャビティおよび平らな端部面で使用すると特に有用であることが分かった。このような接着剤は、電子部品のポッティングおよびカプセル封じのために電子工業で一般的に使用されている。ポリアミド材料は、アミド基(−CONH−)を含むが、この材料は、特別なアフタバーナ処理を行わずに通常の炉の排気口から排出できる燃焼生成物を発生する。この材料は、かなり完全に燃焼し、許容できる程度に内部がきれいになる。材料の許容される粘性は、400°F(204℃)で約750センチポアズよりも低く、かつ軟化点が330°F(165℃)以下である。従って、材料は、100°Fよりも小さい温度上昇で素早く液化し、以下で説明するずり減粘と同様の特性を示す。
【0086】
ポリアミド材料を使用して実験を行った。この材料は、約275〜300°Fの温度範囲において、比較的小型の射出成形機の範囲内である800〜1200ポンド毎平方インチの圧力で注入可能である。この材料の利点は、特に、ステータベーンの材料などの金属と強固な付着結合部を形成することである。これにより、孔の掘削位置に隣接する流路が比較的大きい容積を有する場合に、冷却時に材料の収縮の影響が拡大するにもかかわらず、孔の掘削位置に隣接する位置に付着性の材料が保持される。そうでなければ、材料は、硬化するに従って収縮の影響によって孔の位置から剥がれるおそれがある。良好な材料の1つは、ニューハンプシャー州、シーブルック、デクスタードライブ1(One Dexter Drive,Seabrook,New Hampshire)所在のデクスター コーポレイション(Dexter Corporation)のハイソル部門(Hysol Engineering Adhesives)から供給されているポリアミドホットメルト接着材料のハイソル7901(Hysol 7901)材料である。
【0087】
他の例は、炭素及び水素のみで形成された熱可塑性ポリマを含むレーザ遮断材料52である。この熱可塑性ポリマは、材料がバーンアウト時に完全燃焼した場合には、無害の生成物を形成する。また、このポリマは、約50よりも大きいメルトフローインデックスを有し、これにより、流れが促進される。この熱可塑性ポリマは、一部非結晶質でかつ一部結晶質であり、レーザの放射ビームを拡散するために結晶化度が40%よりも大きくなっている。
【0088】
ポリオレフィン族の物質を使用して実験を行った。“ポリオレフィン”という用語及び“ポリプロピレン”、“ポリエチレン”などのポリオレフィンの特定の形態には、そのコポリマやホモポリマも含まれる。例えば、このような物質には、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及びポリプロピレン(PP)が含まれる。
【0089】
好適な材料の1つには、ミシガン州,ミッドランド(Midland,Michigan 48674)所在のダウ ケミカル カンパニー(Dow Chemical Company)によって製造され、アシュランド ケミカル カンパニー(Ashland Chemical Company)のジェネラルポリマ デヴィジョンからダウレックス2503(Dowlex 2503)として供給されている直鎖状低密度ポリエチレンがある。このポリエチレンは、23℃で0.9370の比重を有し、ASTM D−1238−82の“押出しプラストメータによる熱可塑性樹脂の流動度”に記載された測定基準を用いて測定したメルトフローインデックスが105であった。このポリエチレンのメルトフローインデックスは、既知のオリフィスを通してASTM基準の状態Eに相当する約190℃の温度及び約2.16kgの負荷で、10分間数グラムのポリマを流すことによって測定される。このポリエチレンは、破断時の伸びが75.2%であり、曲げ係数が75500psiであり、破断時の引張強さが1100psiであり、降伏時の引張強さが2010psiである。測定したアイゾッド衝撃強さは、68.2°F及び0.1250インチで0.45(ft−lbs./in)であった。引張衝撃強さは、72.2°Fで1平方インチ当たり62.40ft−lbs.であった。また、ぜい化温度は、36°Fであり、ビカー軟化温度(Vicat Softening temperature)が212°Fである。この物質は、エチレンとオクテン−1(Octene−1)のコポリマである。
【0090】
この材料は、572°F即ち300℃よりも高い温度では、非常に燃焼しやすいガスを放出する。比重は1よりも小さく、約0.84〜0.97の範囲にあるために、0.95よりも小さいこともあり得る。この値は、充填剤が含まれていないことを示す。この材料は、1000より大きい比較的高い分子量を有するとともに、炭素と水素のみから形成される。
【0091】
ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソプレン、などのポリオレフィンは、その比較的良好なメルトフローインデックスと組み合わさったずり減粘(shear thinning)という利点を有する。メルトフローインデックスは、低いずり応力条件の下で測定される。ポリエチレンのずり応力が増加すると、材料の粘度が急激に低下し、この低下は50%もしくはこれより大きいこともあり得る。これらのポリオレフィンは、ロータブレード内部ではポリアミドよりも粘度が低い。また、これらのポリオレフィンは、ポリアミドよりも収縮が大きい場合がある。それにもかかわらず、ポリオレフィンは、ロータブレードの比較的小さい流路において、非常に良好であることが実証されている。
【0092】
射出成形機54を使用してポリオレフィンを含むレーザ遮断材料52を注入する利点、およびこれよりも程度が小さいがポリアミドを含むレーザ遮断材料52を注入する利点は、この機械自体及びこの機械によって加わる圧力によって、材料がチャンバ12または収容領域188に到達する前に材料にずり減粘が生じ、材料がノズル70を通過する時にずり減粘が生じ、またポリエチレンに関しては確実に、必要であればエアフォイル10の内部流路内でずり減粘を生じさせることができる点である。
【0093】
メルトフローインデックスと同様に、ずり減粘特性は、経験的に定まるパラメータであり、ポリマの物理的特性や分子構造及び測定条件によって大きく影響される。このパラメータは、毛細管レオメーターによって測定されるが、科学者やエンジニアが、例えば、非常に狭い流路を有する部材を充填するといった目的に関するこのパラメータの重要性にまだ焦点を当てていないので、このパラメータに関して、このような材料の全ての温度及び圧力における一般的な測定値は提供されていない。
【0094】
材料がエアフォイル内の狭い流路からエアフォイル内の広い流路へと流れると、ポリマ鎖に加わるずり速度が比較的小さくなるために粘度が増加する。しかし、ポリマが次の後縁などの比較的小さい断面領域を通って流れると、ずり速度が増加するために再び粘度が低下する。材料は、この粘度の低下により、比較的狭い領域を通って容易に流れる。材料がエアフォイル10から流出するときには、材料に加わる圧力及び温度が急に低下するために材料の粘度が急激に増加し、エアフォイル10の位置決め面へと材料が流れることが防がれる。ポリアミドでは、温度が急激に減少すると、粘度が急激に増加してポリアミドを凝固させ、材料が望ましくない位置へと流れることが防がれる。
【0095】
従って、ずり減粘は、最新式のエアフォイル10をレーザ遮断材料52で充填するのに非常に有用である。一般に、エアフォイル10に注入される充填材料74の量は、充填するエアフォイル10の内部容積が完全に充填されるように、この容積よりも約5〜10%ほど多い。この材料は、エアフォイル10内へ及びエアフォイル10を通るように押し込む必要があり、エアフォイル10が完全に充填されるようにある程度エアフォイル10から押し出す必要がある。また、材料がエアフォイル10を通ってエアフォイル10表面の望ましくない位置へと流れないように、充分な粘度を有する必要がある。上述のように、この材料は、エアフォイル10内へ及びエアフォイル10を通って、またエアフォイル10から出るように注入した後に、定位置に素早く凝固する必要がある。
【0096】
エアフォイル10の充填作業中に、例えば、約1500psiよりも大きい押出し圧力及び300°F以上の温度で熱可塑性ポリエチレンポリマがエアフォイル10に押し込まれる。温度によっても粘度の低下が起こる。ポリオレフィン族のほとんどの材料の温度は、約250°F〜540°Fの範囲となると予測される。これにより、材料は、温度によって粘度が低下し、ずり減粘によって更に粘度が低下した低粘度状態でエアフォイル10を通って流れる。
【0097】
ダウレックス2503材料を使用する1つの応用例では、40ミルよりも小さい水力直径を有する流路及び孔を含むエアフォイル10に1600psiの圧力でポリエチレンが押し込まれた。用途によっては、流路の水力直径は、30ミルよりも小さく、また25ミルよりも小さい場合もある。エアフォイル10の流路を通ってポリエチレンが流れるに従って、エアフォイル10の前縁や後縁領域などの特に制限された領域において、更にずり減粘が起こる。これらの領域では、台座や直径が小さい孔によって、表面に向かって延びる孔46が掘削されるキャビティに材料が流入することが阻止される。それでも、これらのエアフォイル10を好適に充填することができるのは、一部分、エアフォイル10内のレーザ遮断材料のずり減粘特性のためである。他の試験では、材料を約2000psiの圧力及び540°Fより低く、約400°F〜500°Fの範囲である材料温度で注入した。ポリプロピレンも同様の圧力及びその融点より高い温度で、好適に使用することができた。
【0098】
図2Aに示したエアフォイル10の充填時には、エアフォイル10は、マスク部材82,84が第1及び第2のジョー92,94によってエアフォイル10に対して押しつけられた状態でマスク78内に配置される。上述のように、間隙Gと間隙G1との差を調整するために、テーブルもしくはレバー112を僅かに調整することもできる。マスク部材82,84によってエアフォイル10に外圧が加わり、この外圧によって、エアフォイル10の流れを導く面を通ってエアフォイル10の望ましくない位置へとレーザ遮断材料52が漏れることが防がれる。マスク部材82,84は、また、エアフォイル10を通じて高圧のポリエチレン材料が流れるに従って、(場合により20ミル程度まで薄いこともある)エアフォイル10の薄壁を変形に対して補強する。
【0099】
レーザ遮断材料52は、エアフォイル10の内部へと素早く流れ、複雑な形状を含めて1分もかからずに、場合によっては約30秒で充填される。この材料の利点は、特に、比較的低い溶融温度である。これにより、エアフォイル10の熱容量特性は、取扱いが難しくなる程度まで温度が上昇することなく、材料から熱を吸収するようになっている。いくつかの試験では、作業者は、充填したエアフォイル10を素手でもしくは薄い手袋で扱うことができた。
【0100】
材料の熱は、エアフォイル10内の隣接する金属によって奪われるが、材料は、レーザ遮断材料52を配置する必要がある領域を満たすまで流れ続ける。材料の凝固は、エアフォイル10によって材料の熱が奪われるに従って急速に起こる。材料が凝固すると、エアフォイル10を新たな位置まで移動することが可能となり、このときエアフォイル10を振り動かしても良く、材料の液化を心配することもない。
【0101】
この遮断材料の他の利点は、固形状態において弾力性を有することである。これにより、レーザが遮断材料52を貫通したことを確認するために、レーザで掘削した孔46を点検することが容易となる。孔46がエアフォイル10の壁を貫通して掘削されたことを確認するために孔46を点検するための1つの方法には、細いワイヤで孔46をプローブする方法がある。このワイヤは、弾性的なポリエチレン材料と接触した場合に、エアフォイル材料のような硬質の部材と接触した場合とは異なる反応を示す。多くの場合には、レーザ遮断材料が孔46に流入しており、目視検査によってポリエチレンを確認することで孔46が貫通していることを確認することができる。
【0102】
ポリアミド材料は、ポリエチレン材料の有利な特性の多くを示す。例えば、ポリアミド材料は、加熱されると容易に流れるとともに、エアフォイル内で硬化した後に弾力性を有し、かつ適度な温度及び圧力で作業可能である。
【0103】
エアフォイル(ステータベーン)をポリアミド材料などの充填材料で充填するときには、エアフォイルを固定具54vまたは固定具54vaに配置する。ステータベーンの第1の端部14vは、工具部材184の第1の部品148vと係合し、第2の端部18vは、第2の部品124vと係合する。ステータベーンと工具部材184との間で充填材料が漏れるのを防止するために、工具部材184の第1の部品148vは、ステータベーンの第1の部品148vに対して押し付けられるとともに、工具部材184の第2の部品124vは、ステータベーンの第2の端部18vに押し付けられる。ノズルプラグ218は、材料の流れSが流路65を通って流れるときに充填(レーザ遮断)材料の漏れが防止される圧力でノズルアダプタ228のシール面232と接触する。この材料は、続いて収容領域188,202,204へと流れる。それぞれの壁が、各収容領域を境界づけてこれらの収容領域と共にプレナムを形成し、このプレナムによってステータベーンの関連する端部及び開口部26v,28vに充填材料が分配される。
【0104】
上述したように、付着結合部は、ポリアミド充填材料が冷却されるに従って収縮するのにもかかわらず、ステータベーンの表面から剥がれないほど十分に強く付着する。ポリエチレンは、このような場合には剥がれるおそれがある。ポリアミド充填材料は、内部に流れるとともに望ましくない外部位置に流れないように十分な粘性を有し、これは、一部分小さい温度減少で粘度が増加するためである。従って、ポリエチレンで充填されるロータブレードで要求される外部マスクが不要となる場合もある。
【0105】
層196,214などのマスキング材料の層によって、工具部材184の特定面に充填材料52と工具部材との間の強い付着結合部が形成されることが防止される。このように防止しなかった場合には、幾つかの実験において、ステータベーンと固定具を分離したときにレーザ遮断材料がステータベーンからとれるほど付着結合部が強かった。それにもかかわらず、この材料は、固定具54vの面194などの翼幅方向の長さが制限された特定の翼幅方向に延在する面やノズルアダプタの第2の側面238の第2の翼弦方向に面する面244からは良好に分離した。
【0106】
この強い付着結合部は、マスキング材料のスリーブ248があるために固定具54vbの間隙Gtにおいても問題を生じさせない。マスキング材料のスリーブ248によって、充填材料の翼幅方向面の一方だけにしか強い結合部が確実に形成されない。これにより、ステータベーンの充填材料を許容できないほど分断せずに、この位置で充填材料を分離させることが可能となる。充填材料が間隙Gt内で翼幅方向に延びる面の両方と強く付着結合する構成では、分離が良好に起こらないおそれがある。これは、充填材料の要素がノズルアダプタの面230に接触し、かつ充填材料の同じ要素が工具部材の開口部186とも接触する場合に起こるおそれがある。工具部材184(第1の部品148v)のポリウレタン材料との間に結合部が生じ、この結合部は、いくつかの構成では充填材料とノズルアダプタとの結合部よりも強く、また、この充填材料とノズルアダプタとの結合部とともに、ステータベーンとの間に形成された結合部から充填材料が外れることを妨害してしまう。
【0107】
充填材料の流れがノズルアダプタ228を通って延在する流路65の部分では、結合部は問題とならない。第一に、加熱されない充填材料の長さLfuは、スプループレート62vの主要部分を通って、そして図示の実施例では工具部材の第一の部品の全体を通って、シール面までノズルプラグ218を延在させたことによって減少している。これにより、エアフォイルの反復される充填作業の合間に、加熱されて溶融状態に保たれる充填材料Lfhの流れの長さが延長される。第二に、ノズルアダプタ228を使用するこの構成により、工具部材の上流のポリアミド充填材料の流れの位置よりも第1の収容領域188の近くにシール面が配置される。この結果、工具部材がステータベーン内の許容差に対応する弾性材料で形成されているにもかかわらず、シール面を収容領域に近接して配置することができる。
【0108】
ステータベーンに関する実施例では、加熱されていない充填材料の翼幅方向長さは充分に小さく、加圧および加熱された充填材料が流路のこの部分から硬化した充填材料を押し出すことができる。実験的な試験では、加熱されていない充填材料の長さLfuが直径Dの10〜12倍よりも長い場合に、流路のこの部分を通って加熱された充填材料が流れるのを妨害するおそれがあることが示された。長さLfuは、直径Dの5倍よりも小さければ良好であると考えられている。実験的な試験では、長さLfuは、直径Dよりも短くても良好であることが示された。最後に、この材料の容積とともに充填材料の温度をその軟化点まで上昇させるために必要な圧力及び熱量が小さいことによって、材料の小さな栓は、ステータベーンの比較的大きいキャビティを充填することを妨げない。
【0109】
レーザビームLによる孔46の掘削時には、レーザビームの干渉性放射によって負圧壁42や正圧壁44などのエアフォイル10の壁が蒸発して、冷却孔46が形成される。レーザビームがエアフォイル10内部の壁を貫通すると、このレーザビームは、エアフォイル10の内部に配置されたポリオレフィン(ポリエチレン)またはポリアミド材料に衝突する。
【0110】
ポリオレフィン遮断材料は、レーザビームによってエアフォイル10内部の壁が許容できないほど損傷されてしまうのを防止するのに特に有効である。現象としては解明されていないが、ポリオレフィンの結晶化度がこの処理に役立っていると考えられている。また、レーザビームが衝突すると、ポリエチレンの比熱及び融点のためにポリエチレンの小さな部分が即座にガス状もしくは液体状の流体となるからとも考えられている。ガス状となる場合には、このポリエチレンガスは、可燃性混合物である炭素及び水素で形成されるが、(材料自体が炭素及び水素のみで形成されているために)材料によって酸素は供給されない。このため、すすを出す粒子の形成が防止される。
【0111】
蒸発したポリエチレンのプラズマは、孔46を最後まで掘削するレーザビームの能力を実質的に損なわない程度に、レーザビームに対して透過性を有する。更に、この流体は、孔46の形成を阻害することなく、実際には、孔46の内部に移動してレーザがきれいな孔46を掘削することができるようにその能力を向上させ、溶融したエアフォイル10の壁材料がはねて孔46に吸い込まれることによって孔46が塞がれることを防止する。
【0112】
実験的な掘削作業では、掘削作業の終了時における壁の閉塞が著しく低下した。1回の運転における閉塞孔の割合が、約50%〜60%から10%より少ない値へと減少した。これにより、エアフォイル10の再加工の必要性が減少するとともに、製造部材における冷却空気の均等な配分が促進される。
【0113】
ポリアミド材料も、有効な結晶構造を有していないようであるが、上述の点で良好であった。ポリアミド材料は、壁の閉塞を防止する点に関しては、少なくともポリエチレン材料と同程度に良好であると思われる。この現象はまだよく解明されていないが、ポリアミド材料とステータベーンとの間の強い付着結合部によって、充填材料とベーンとの間に間隙が形成されることが防止され、これにより、充填材料が壁の閉塞を減少させることが可能になると思われる。
【0114】
ポリエチレンを使用するいくつかの構成では、このような間隙は、掘削作業によって生じる少量のデブリが孔に隣接する位置で壁に融合するおそれがある。しかし、これにかかわらず、ポリエチレンを使用してロータブレードに良好な孔を形成することができた。良好な孔が形成されない場合には、ポリアミド材料をロータブレードに使用することによって、ポリオレフィンの粘性および費用便益がポリアミド材料を使用する利点よりまさっていない限りは、上述の利点を有すると考えられる。レーザ掘削におけるポリエチレン充填材料の他の利点は、ポリエチレン材料の厚さの増加に対して起こるレーザ放射の拡散の量である。この量は、レーザ放射を遮断するために使用される他の材料よりも大きいと考えられている。これは、ポリオレフィンの比較的高い結晶化度に関連づけることができ、この結晶化度は、ポリオレフィンの場合には、40%よりも高く、ダウレックスポリエチレン材料の場合には、60%よりも高い。ポリオレフィンは、メルトフローインデックスの値が50よりも大きく、かつ大量のレーザ遮断材料がレーザビームによって完全に溶融することがない程度に融点が充分に高いために他のポリマよりも好適である。このため、いくつかの掘削作業では、従来のワックス充填物で使用されたレーザエネルギを超えるパルスを用いることができ、このことによっても、エアフォイル10材料の後方への散乱によって孔が閉塞されることが最小となり、きれいな排出孔の形成が促進される。
【0115】
ポリオレフィンに小量の他のポリマを混合することもできる。他のポリマによってポリオレフィンの特性が損なわれず、かつ材料の燃焼時に環境的な危険性が生じない限り、例えば、約5重量%よりも少ない量の他のポリマを加えることができる。
【0116】
炭素と水素のみによって形成される熱可塑性ポリマは、エアフォイル10に孔46を掘削した後にレーザ遮断材料52を取り除くときに大きな利点を提供するので、ポリオレフィンに上述のように他のポリマを加えた場合、または他の材料を熱可塑性のポリマに加えた場合には注意を要する。レーザ遮断材料52を取り除く方法の1つは、燃焼するまでレーザ遮断材料を加熱する方法である。好適な温度の一例は、約1300°Fである。ポリオレフィン族、特にポリエチレンの利点は、これらのポリマが不純物を生じることなく燃焼する可燃性の高いガスを形成する点である。ポリエチレンに含まれる炭素と水素は、燃焼環境の酸素と結合して二酸化炭素と水蒸気となる。これにより、エアフォイル10が非常にきれいな状態となり、エアフォイル10の内部から不純物を取り除くために更に処理を行う必要性が生じない。レーザ遮断材料が完全に燃焼するように充分な酸素があれば、バーンアウト処理で生じる有害ガスを取り除くスクラバを設ける必要がない。最後に、バーンアウトを行うと、ブレードに更に溶剤を流し入れる必要やブレードを操作する必要がないという利点を有する。
【0117】
更に、ポリオレフィン、特にポリエチレンは、比較的低い溶融温度を有する。これにより、燃焼によりポリエチレンを取り除くためにエアフォイル10を高温まで熱したときに、ポリエチレンは、膨張し続けてエアフォイル10に望ましくない内圧を加えることなく、溶融してブレードの孔46から流れ出る。
【0118】
また、ポリエチレンは、溶融の前に弾性特性を有し、この特性によって、材料が負荷により偏向した場合に、材料の変形が可能となる。ポリエチレン材料をバーンアウト処理時に加熱すると、溶融する前に膨張する。材料の熱膨張によって生じる力が全てエアフォイル10の壁に伝達されないように、固形のポリエチレン材料の膨張によってこの材料が変形し、エアフォイル10の開口部から材料が押し出されることもあり得る。エアフォイル10の比較的薄い壁は、バーンアウト処理時にエアフォイル10に悪影響のある残留応力が生じたり、エアフォイル10が損傷される程度まで変形することはない。また、バーンアウトは、作業の迅速化のために比較的低い温度で行うこともでき、もしくは、エアフォイル10を形成する合金の特性が損なわれない限り、処理時間を短縮するために比較的高い温度で行うこともできる。
【0119】
本発明をその実施例に関して開示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくその形態及び詳細に関して種々の変更を加えることができることは、当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】エアフォイルなどの部材、この部材にレーザ遮断材料を配置するための工具、及び仮想線で射出成形機などのレーザ遮断材料の供給源の一部を示した説明図である。
【図2】図2Aは、図1のエアフォイルの側面の断面図であり、図2Bは、図2AのエアフォイルのB−B線に沿った断面図である。
【図3】工具及び射出成形機の一部を切り欠いたかもしくは仮想線で示した図1の上面図である。
【図4】射出成形機のノズルの一部と一対のマスク部材を含む図1の工具の一部の分解説明図である。
【図5】図4のエアフォイルのプラットフォームと係合するかなり硬質の材料の一部として形成されたマスク部材を示す、図4の工具の一部の他の実施例の説明図である。
【図6】図1及び図4に示したスプループレートの下方からの説明図である。
【図7】シール用のリセスとこのリセスにはまるシール部材とを示した図6のスプループレートの他の実施例の下方からの分解説明図である。
【図8】装置と係合するように僅かに改良されたスプループレート及びスプループレート保持具とを示した、レーザ遮断材料の供給源に対してエアフォイルを配置する装置に図1の工具を設置した説明図である。
【図9】図1の工具の他の実施例の一部とエアフォイルの他の実施例を示す分解説明図である。
【図10】図10Aは、図9のA−A線に沿った固定具の他の実施例の断面図であり、図10Bは、図10Aの拡大図である。
【図11】図10Aに示す固定具の他の実施例の断面図である。
【符号の説明】
10v…ステータベーン
54v…固定具
62v…スプループレート
65…供給流路
70…ノズル
184…工具部材
188,202,204…収容領域
228…ノズルアダプタ
232…シール面
Claims (21)
- 端部とこの端部から内向きに延びる開口部を有する部材と、液化するために加熱されるとともに加圧下でノズルを通して供給される充填材料の供給手段と、のための固定具であって、この固定具は、作動状態において加熱された充填材料の流れを前記手段から前記部材へ注入することを可能とするとともに、非作動状態において充填材料の流れを前記手段から前記部材へ注入することを不能にする流路を有し、前記固定具は、
前記部材の材料よりも軟らかい材料で形成されるとともに該部材と係合する工具部材を含み、この工具部材は、前記端部から離間されているとともに該端部との間に収容領域が残り、この収容領域を通って充填材料を注入する流路が延びており、前記工具部材は、この工具部材の周囲に延びる少なくとも1つの面を有し、この面は、作動状態において、前記工具部材と前記部材との間の位置で充填材料が前記収容領域から流出するのを防ぐように、前記固定具が前記部材の端部と弾性的に係合するように設けられ、前記工具部材は、前記ノズルを受け入れる開口部をさらに有しており、
前記部材と係合する前記工具部材の部分よりも硬い材料で形成された第2の部材を含み、この第2の部材は、前記工具部材の前記開口部内に翼幅方向に延びる中空の部材であり、この中空の第2の部材は、前記ノズルを収容する翼幅方向長さを有するダクトと、該ダクトを境界づけるシール面と、を有し、このシール面によって、作動状態において前記第2の部材が前記ノズルと接触するように設けられ、前記第2の部材は、前記ノズルから前記充填材料の流れを受け入れるように前記シール面から延びる前記流路の一部を含み、この第2の部材に設けられた流路部分の長さは、ノズルを収容するダクトの翼幅方向長さよりも短くなっており、
前記手段の前記ノズルは、作動状態において、加圧された充填材料の流れが流路内に注入されるときにこの加圧された充填材料の漏れを防止するように、前記第2の部材のシール面に対して密着して押し付けられるように設けられ、前記工具部材は、前記部材と前記工具部材との間の充填材料の漏れを防止するとともに、前記収容領域を境界づけてこの収容領域とともに充填材料を前記部材の端部および前記開口部に分配するプレナムを形成するように、前記部材に押し付けられるように設けられ、
前記第2の部材のシール面は、前記工具部材内の充填材料の流れの中で、前記工具部材の上流のどの点よりも前記収容領域に近い位置を有することで、作動状態において、前記第2の部材を通る流路内の充填材料の翼幅方向長さLfuが、前記工具部材を通って延びる前記ノズルの部分の充填材料の翼幅方向長さLfhよりも短くなり、これにより、前記工具部材を通って延びる前記ノズルの部分の充填材料の翼幅方向長さLfhに対して、非作動状態における第2の部材を通る流路内の充填材料の翼幅方向長さLfuが減少することを特徴とする固定具。 - 前記工具部材内に延在する前記ノズルの部分は、ノズルプラグの一部であり、前記第2の部材内の充填材料用の流路は、直径Dと流路の直径Dの5倍以下の長さLとを有し、これにより、前記シール面は、直径Dの5倍以下の距離で前記収容領域と近接して離間されていることを特徴とする請求項1記載の固定具。
- 前記ノズルプラグ内の充填材料の流れは、直径Dとほぼ等しい直径を有し、前記第2の部材内の流路の長さLは、直径Dの約1倍よりも短いことを特徴とする請求項2記載の固定具。
- 作動状態において充填材料の供給手段からエアフォイルに充填材料の流れを注入する流路を有する固定具を使用して、第1のエアフォイルと第2のエアフォイルとを含む少なくとも2つのエアフォイルにノズルを通して加圧下で加熱された充填材料を連続して供給する充填材料の供給方法であって、これらの各エアフォイルは、端部とこの端部から内向きに延びる開口部とを含み、前記方法は、
前記エアフォイルよりも軟らかい材料で形成された工具部材を第1のエアフォイルの端部に隣接して配置し、かつ前記エアフォイルの端部と前記工具部材の一部とを係合させるとともに前記工具部材と前記エアフォイルの端部とを離間させることによって収容領域を形成することを含み、
シール面を有するノズルアダプタを前記工具部材内に配置することによって、前記工具部材よりも硬い材料で前記ノズル用のシール面を形成することを含み、このシール面の形成は、前記ノズルアダプタ内に前記シール面から下流に延びる充填材料用の流路を形成するとともに、この流路を前記工具部材内で該工具部材のどの上流位置よりも前記収容領域に近い翼幅方向位置に配置することを含み、さらに、前記工具部材内に翼幅方向で延在するように前記ノズルを前記工具部材内に配置し、
前記ノズルアダプタと前記工具部材内の前記ノズルとを接触させ、
充填材料の流れを前記ノズル部材を通して、続いて前記ノズルアダプタの流路を通して前記収容領域へと注入し、
第1のエアフォイルを充填後に取り除き、これにより、前記ノズルアダプタの流路に翼幅方向長さの充填材料が残され、
第2のエアフォイルと前記工具部材とを係合させ、
第1のエアフォイルを取り除いてから第2のエアフォイルを係合させるまでの時間間隔の後で溶融状態の充填材料を供給するために、第2のエアフォイルの充填中および充填前に前記工具部材内に配置される前記ノズルの部分に熱を供給し、
前記ノズルからの溶融充填材料によって前記ノズルアダプタから該ノズルアダプタの流路内の翼幅方向長さの充填材料を押し出すことを含み、前記工具部材内に前記ノズルを配置するとともに前記シール面を前記収容領域の上流の点よりも該収容領域の近くに設けることによって、前記工具部材の翼幅方向長さにおける加熱されていない充填材料の翼幅方向長さが、前記工具部材の翼幅方向長さ全体から、前記ノズルアダプタの流路の翼幅方向長さへと減少していることを特徴とする充填材料の供給方法。 - 前記充填材料の供給手段は、前記ノズルを含み、前記ノズルアダプタを前記工具部材内に配置することは、前記工具部材と前記充填材料の供給手段との間にスプループレートを配置するとともに、前記ノズルアダプタを前記スプループレートで支持するようにこのスプループレートに対して配置し、かつ前記ノズルアダプタを前記工具部材内に延在させることを含み、前記方法は、さらに前記工具部材を前記エアフォイルに対して押し付けるために前記スプループレートを前記工具部材に対して押し付けることを含むことを特徴とする請求項4記載の充填材料の供給方法。
- 前記ノズルを前記工具部材内に配置することは、前記ノズルを前記ノズルアダプタ内に配置するとともに、前記ノズルの少なくとも翼幅方向長さ部分にわたって該ノズルを前記ノズルアダプタから離間して配置することを特徴とする請求項5記載の充填材料の供給方法。
- 端部とこの端部から内向きに延びる開口部を有するエアフォイルと、加圧下でノズルを通して供給される充填材料の供給手段と、のための固定具であって、この固定具は、作動状態において加熱された充填材料の流れを前記手段から前記エアフォイルへ注入することを可能とするとともに、非作動状態において充填材料の流れを前記手段から前記エアフォイルへ注入することを不能にする流路を有し、前記固定具は、
前記エアフォイルの材料よりも軟らかい材料で形成されるとともに該エアフォイルと係合する工具部材を含み、この工具部材は、前記端部から離間されているとともに該端部との間に収容領域が残り、この収容領域を通って充填材料を注入する流路が延びており、前記工具部材は、この工具部材の周囲に延びる少なくとも1つの面を有し、この面は、作動状態において、前記工具部材と前記エアフォイルとの間の位置で充填材料が前記収容領域から流出するのを防ぐように、前記固定具が前記エアフォイルの端部と弾性的に係合するように設けられ、前記工具部材は、前記ノズルを受け入れる開口部をさらに有しており、
前記エアフォイルと係合する前記工具部材の部分よりも硬い材料で形成された第2の部材を含み、この第2の部材は、前記工具部材の前記開口部内に翼幅方向に延びる中空の部材であり、この中空の第2の部材は、前記ノズルを収容する翼幅方向長さを有するダクトと、該ダクトを境界づけるシール面と、を有し、このシール面によって、作動状態において前記第2の部材が前記ノズルと接触するように設けられ、前記第2の部材は、前記ノズルから前記充填材料の流れを受け入れるように前記シール面から延びる前記流路の一部を含み、この第2の部材に設けられた流路部分の長さは、ノズルを収容するダクトの翼幅方向長さよりも短くなっており、
前記手段の前記ノズルは、作動状態において、加圧された充填材料の流れが流路内に注入されるときにこの加圧された充填材料の漏れを防止するように、前記第2の部材のシール面に対して密着して押し付けられるように設けられ、前記工具部材は、前記エアフォイルと前記工具部材との間の充填材料の漏れを防止するとともに、前記収容領域を境界づけてこの収容領域とともに充填材料を前記エアフォイルの端部および前記開口部に分配するプレナムを形成するように、前記エアフォイルに押し付けられるように設けられ、
前記第2の部材のシール面は、前記工具部材内の充填材料の流れの中で、前記工具部材の上流のどの点よりも前記収容領域に近い位置を有することで、作動状態において、前記第2の部材を通る流路内の充填材料の翼幅方向長さLfuが、前記工具部材を通って延びる前記ノズルの部分の充填材料の翼幅方向長さLfhよりも短くなり、これにより、前記工具部材を通って延びる前記ノズルの部分の充填材料の翼幅方向長さLfhに対して、非作動状態における第2の部材を通る流路内の充填材料の翼幅方向長さLfuが減少することを特徴とする固定具。 - 前記工具部材内に延在する前記ノズルの部分は、ノズルプラグの一部であり、前記第2の部材内の充填材料用の流路は、直径Dと流路の直径Dの5倍以下の長さLとを有し、これにより、前記シール面は、直径Dの5倍以下の距離で前記収容領域と近接して離間されていることを特徴とする請求項7記載の固定具。
- 前記ノズルプラグ内の充填材料の流れは、直径Dとほぼ等しい直径を有し、前記第2の部材内の流路の長さLは、直径Dの約1倍よりも短いことを特徴とする請求項8記載の固定具。
- 前記エアフォイルは、前記開口部によって接続された第1の端部と第2の端部とを有し、前記第2の部材は、ノズルアダプタであり、前記工具部材は、前記ノズルアダプタを受け入れるとともに、前記エアフォイルの第1の端部と係合する第1の部品を有し、前記工具部材は、前記エアフォイルの第2の端部と係合するとともに、作動状態において前記開口部を通して前記第1の収容領域と流体的に連通する第2の収容領域を有する第2の部品を有することを特徴とする請求項7記載の固定具。
- 前記エアフォイルは、ステータベーンであることを特徴とする請求項10記載の固定具。
- 前記第2の部材は、スプループレートであり、このスプループレートは、前記収容領域と近接する前記シール面を形成するように前記工具部材内に延在するノズルアダプタを有することを特徴とする請求項7記載の固定具。
- 前記工具部材は、前記収容領域を境界づける少なくとも1つの翼幅方向に面する壁と少なくとも1つの翼幅方向に延在する壁とを有し、充填材料が前記工具部材の翼幅方向に面する壁と接触するのを防止するために、前記収容領域の一部にマスキング材料が配置されていることを特徴とする請求項8記載の固定具。
- 前記マスキング材料は、充填材料が前記翼幅方向に延びる壁と接触するのを防止していることを特徴とする請求項13記載の固定具。
- 前記マスキング材料は、充填材料が前記翼幅方向に延びる壁と接触するのを防止していないことを特徴とする請求項13記載の固定具。
- 前記第2の部材は、ノズルアダプタであり、このノズルアダプタは、前記工具部材内に延在し、前記工具部材は、前記ノズルアダプタの周囲に延在するとともに該ノズルアダプタと密着していることを特徴とする請求項7記載の固定具。
- 前記第2の部材は、ノズルアダプタであり、このノズルアダプタは、前記工具部材内に延在し、前記工具部材は、前記ノズルアダプタの周囲に延在するとともに該ノズルアダプタから離間されており、これらの間に間隙Gtが残されることを特徴とする請求項7記載の固定具。
- 前記収容領域内に配置されるマスキング材料は、間隙Gt内に延在しており、この間隙Gtは、マスキング材料で満たされることを特徴とする請求項17記載の固定具。
- 第1の端部とこの第1の端部から翼幅方向に離間された第2の端部とこれらの端部の間で延びる開口部とを有するステータベーンと、液化するために加熱されるとともに、前記ステータベーンに通じるノズルプラグを有するノズルを通して加圧下で供給される充填材料の供給手段と、のための固定具であって、この固定具は、作動状態において前記手段から前記ステータベーンへと加熱された充填材料の流れを注入する流路を有し、前記固定具は、
A.工具部材を含み、この工具部材は、
前記ステータベーンの材料よりも軟らかい材料で形成されるとともに前記第1の端部から離間された第1の部品を有し、前記第1の端部と前記第1の部品との間には、充填材料を注入する流路が延びる収容領域が残り、前記工具部材は、該工具部材の周囲に延びるとともに翼幅方向に面する少なくとも1つの第1の面を備え、この第1の面は、作動状態において、前記工具部材と前記ステータベーンとの間の位置で収容領域から充填材料が流出するのを防ぐために、前記固定具が前記ステータベーンの第1の端部と弾性的に係合するように設けられており、前記ステータベーンの材料よりも軟らかい材料で形成されるとともに前記第2の端部から離間された第2の部品を有し、前記第2の端部と前記第2の部品との間には、充填材料を注入する流路が延びる収容領域が残り、前記工具部材は、該工具部材の周囲に延びるとともに翼幅方向に面する少なくとも1つの第2の面を備え、この第2の面は、作動状態において、前記工具部材と前記ステータベーンとの間の位置で収容領域から充填材料が流出するのを防ぐために、前記固定具が前記ステータベーンの第2の端部と弾性的に係合するように設けられており、B.スプループレートを含み、このスプループレートは、前記工具部材の第1の部品内に翼幅方向に延在するとともに、前記ステータベーンと係合する前記工具部材の部分よりも硬い材料で形成されたノズルアダプタを有し、このノズルアダプタは、作動状態において、前記スプループレートが前記ノズルと接触するように設けられており、前記ノズルアダプタは、
前記ノズルプラグの少なくとも一部を受け入れるダクトと、
作動状態において翼幅方向で前記ステータベーンの反対側に面し、かつ加圧された充填材料を受け入れる流路用の開口部を有するとともに、前記ノズルプラグと接触するシール面を有する第1の翼幅方向に面する面を含む第1の側面と、作動状態において翼幅方向で前記ステータベーンに面し、かつ前記収容領域の一部を境界づける第2の翼幅方向に面した面を有する第2の側面と、を備えており、
スプループレートホルダが、前記スプループレートを収容することができるように設けられたスロットと、前記スプループレートと前記スプループレートホルダとの間の相対的な動作を防止する手段を有しており、
前記スプループレートホルダは、設置状態において、充填材料を供給する前記手段と一体に取り付けられており、前記ノズルは、前記流路に加圧された遮断材料の流れを供給するために、前記スプループレートのノズルアダプタのシール面に対して押し付けられており、
作動状態における前記ノズルアダプタ流路内の充填材料の翼幅方向長さは、Lfuであり、前記工具部材を通って延びる前記ノズルの部分内の充填材料の翼幅方向長さは、Lfhであり、
作動状態において、前記各収容領域を境界づけるとともにこれらの収容領域と共にステータベーンの関連する端部と前記開口部とに充填材料を分配するプレナムを形成することによって、前記ステータベーンと前記工具部材との間で充填材料が漏れるのを防止するために、前記工具部材の第1の部品は、前記ステータベーンの第1の端部に対して押し付けられており、かつ前記工具部材の第2の部品は、前記ステータベーンの第2の端部に対して押し付けられており、
前記ノズルアダプタのシール面は、前記工具部材内の充填材料の流れにおいて、前記工具部材の上流のどの点よりも前記収容領域に近い位置を有し、このため、前記ノズルアダプタの流路における充填材料の長さLfuは、前記ノズル内の充填材料の長さLfhよりも短くなっており、これにより、前記スプループレートと前記工具部材の翼幅方向長さ全体を通って延びる充填材料の流路を有する構成に比べて、加熱されていない充填材料の翼幅方向長さLfuが減少していることを特徴とする固定具。 - 前記工具部材内に延在する前記ノズルの部分は、前記ノズルプラグの一部であり、前記第2の部材内の充填材料用の流路は、直径Dと流路の直径Dの5倍以下の長さLとを有し、これにより、前記シール面は、直径Dの5倍以下の距離で前記収容領域と近接して離間されていることを特徴とする請求項19記載の固定具。
- 前記ノズルプラグ内の充填材料の流れは、直径Dとほぼ等しい直径を有し、前記第2の部材内の流路の長さLは、直径Dの約1倍よりも短いことを特徴とする請求項20記載の固定具。
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