JP4176967B2 - 液圧駆動システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道水等の水を作動流体とする液圧駆動システムに関し、特に水圧駆動形の加工装置と該加工装置を駆動するための駆動用システムに作動流体である水を供給するのに好適な液圧駆動システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図1は、従来の液圧駆動システムの構成例を示す図で、特に食品加工装置に液圧駆動システムを適用した例を示す図である。水圧駆動形の食品加工装置は、食品を実際に加工する複数台(図では3台)の加工装置10、20、30と、該加工装置10、20、30を駆動するための高圧水を供給するための液圧発生装置40とからなる。
【0003】
加工装置10は水圧モータ11、11、2方向切換弁12、12及び流量調整弁13、13等を具備し、加工装置20は水圧シリンダ21、21、方向切換弁22及びチェック弁付き流量調整弁23、23、23、23等を具備し、加工装置30は水圧シリンダ31、水圧モータ32、水圧サーボ弁33、2方向切換弁34及び流量調整弁35等を具備する。液圧発生装置40で発生した高圧水は供給流路51を通って、各加工装置10、20、30に供給され、該加工装置10、20、30からの戻水は戻り流路52を通って、液圧発生装置40の主タンク41内に収容される。加工装置10、20、30の戻り水の水圧(背圧)は圧力計Pt1、Pt2、Pt3で測定できるようになっている。
【0004】
従来、この種の液圧駆動システムの多くは図示するように、1台の液圧発生装置40で複数台の加工装置10、20、30を駆動するのが一般的であった。この場合、加工装置10、20、30のそれぞれと液圧発生装置40の設置位置が遠距離になることがしばしばあり、長いホース配管からなる供給流路51及び戻り流路52を通って、加工装置10、20、30と液圧発生装置40間の水の循環を行っているのが現状である。
【0005】
加工装置10、20、30と液圧発生装置40との間の距離Lが長くなると、各加工装置10、20、30から液圧発生装置40に水を戻す戻り流路52内の抵抗(背圧)が大きくなり、加工装置10、20、30を構成する水圧シリンダ21、31や水圧モータ11、32等のアクチュエータの効率が低下したり、その他の流量調整弁13、35、チェック弁付き流量調整弁23等の機器の最適な動作が阻害されるという問題がある。機器の動作に悪影響を与える例としては、水圧サーボ弁33においては、戻り流路52が長くなることで戻りポートの圧力が高くなり、水圧サーボ弁33の応答性が低下することや、静圧軸受効果が低下し水圧サーボ弁33の挙動及び性能に支障をきたすことがある。
【0006】
また、水圧モータ11、32においては、戻りポートの圧力が高くなると、軸シールのシール内圧の上昇をまねき、軸シールの低寿命化につながる。また、実システムにおいては液圧発生装置40と複数の各加工装置10、20、30との距離が必ずしも同じではないために複数の加工装置10、20、30を駆動する場合に各装置ごとにその性能に違いを発生することもある。
【0007】
加えて、上記問題点とは別に、作動流体として水を使用すると、液圧発生装置40の主タンク41内の水が腐食するという問題がある。これは、液圧発生装置40と加工装置10、20、30の間の供給流路51及び戻り流路52の配管内でも長期間水の循環がなければ発生し、特に安全衛生性が最も重要視される食品加工機械においては、作動流体である腐食した水が外部へ漏洩して、加工中の食品に付着すると加工品を廃棄しなければならないという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述に鑑みてなされたもので、加工装置と液圧発生装置との間の距離が長くなり、戻り流路内の抵抗(背圧)の増大により、加工装置を構成する水圧シリンダや水圧モータなどのアクチュエータの効率の低下、流量調整弁等の機器の最適な動作を阻害することのない液圧駆動システムを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は作動流体として水を使用しても該水が腐食することなく、特に安全衛生性が最も重要視される食品加工装置に駆動システムとして好適な液圧駆動システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、少なくとも作動流体を駆動するアクチュエータを有する対象物を加工する加工装置と、該加工装置と距離Lを離して設置される高圧水を発生する液圧発生装置を具備し、該液圧発生装置で発生した高圧水を加工装置を駆動する作動流体として供給流路を通して加工装置に供給し、該加工装置の構成機器からの水を戻り流路を通して液圧発生装置に戻す液圧駆動システムにおいて、液圧発生装置主タンクを備え、該主タンク内の水を加圧して高圧水を発生するようになっており、戻り流路の加工装置側近くに該戻り流路を流れる水を収容する大気開放の補助タンクを設け、該補助タンク内の水を液圧発生装置の主タンクに戻す流路に水処理装置を設けたことを特徴とする。
【0011】
上記のように加工装置の構成機器からの作動流体が流れる戻り流路に補助タンクを設けることにより、加工装置と液圧発生装置との間の距離が長くなっても該構成機器の戻り流路の圧力を低圧に保つことができ、加工装置の構成機器である水圧シリンダや水圧モータなどのアクチュエータの効率の低下、流量調整弁等の機器の最適な動作の阻害、例えば水圧サーボ弁の応答性の低下や静圧軸受効果の低下、水圧サーボ弁の挙動及び性能の低下、水圧モータの軸シールの低寿命、複数の加工装置の性能の違いを発生することはない。
【0012】
また、補助タンクから主タンクへ流れる作動流体の流路に水処理装置を設けたので、加工装置からの作動流体である水がこの水処理装置で処理されるから、作動流体である水を駆動システムに好適な状態に維持できる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液圧駆動システムにおいて、水処理装置は作動流体を清浄にする清浄処理機能及び作動流体の微生物を死滅させる殺菌処理機能のいずれか一方又は両方を具備することを特徴とする。
【0014】
上記のように水処理装置は、作動流体を清浄にする清浄処理機能及び作動流体の微生物を死滅させる殺菌処理機能のいずれか一方又は両方を具備するので、加工装置からの作動流体である水を清浄又は微生物の無い状態又は清浄且つ微生物の無い状態に維持することができ、上記のように安全衛生性が最も重要視される食品加工装置に駆動システムとして好適な液圧駆動システムとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。図2は本発明に係る液圧駆動システムの構成例を示す図である。液圧駆動システムは図示するように、液圧発生装置40に主タンク41を設け、加工装置10、20、30が配置されている側の戻り流路52に補助タンク54を設け、該補助タンク54から主タンク41へ作動流体である水が流れる流路57に水処理装置56を設けている。
【0016】
加工装置10、20、30の構成例は、図1に示す加工装置10、20、30の構成と同じであっても異なる構成であってもよい。また、図2では加工装置は3台であるが、これに限定されるものでないことは当然であり、3台以上或いは3台以下であってもよい。
【0017】
上記のように加工装置10、20、30が配置されている側の戻り流路52に補助タンク54を設けることにより、補助タンク54は大気に解放されているから、加工装置10、20、30のアクチュエータ、流量調整弁等の水圧機器の戻り流路52の圧力を低く保つことができる。このためシリンダや水圧モータ等のアクチュエータをその耐久性を低下させない条件で駆動することができ、また、水圧サーボ弁などの各種機器を最適な状態で動作させることができる。
【0018】
また、上記のように補助タンク54内の水を液圧発生装置40の主タンク41に圧送する圧送ポンプ55を備え、補助タンク54から主タンク41への流路57に水処理装置56を設けたので、作動流体である水の清浄度を維持することができる。また、この水処理装置56を殺菌装置とすることにより、作動流体中の微生物を殺菌することができ、水を作動流体とする衛生的な液圧駆動システムを提供できる。ここで、殺菌装置としては、例えば紫外線殺菌装置を用いることができる。
【0019】
また、一般的に殺菌装置はそこを通過する被処理水の流量や処理時間によって殺菌効果が変化するが、上記のように補助タンク54と主タンク41の間の流路57に殺菌装置を設けることにより、流量や処理時間の設定の組合せを多くすることができ、殺菌装置の選定が容易になる。具体的には、各々の加工装置10、20、30から液圧発生装置40への戻り流路52に殺菌装置を設けることが可能であるし、例えば2台の加工装置に対して1台の殺菌処理装置を設けることも可能である。この組合せを変更することで、殺菌装置の最適な殺菌効果を得るため通過水の流量、処理時間に対応しやすくなる。
【0020】
更に、補助タンク54から主タンク41への圧力は液圧駆動システムの性能には何等影響を与えないため、水処理装置として比較的抵抗の大きな種類のものを設けることができる。例えば、中空糸フィルタ、活性炭フィルタなども使用することができ、これらを流路57上に直列に接続して使用することもできる。
【0021】
また、上記例では作動流体である水を清浄する清浄処理機能を有する水処理装置と水中の微生物を死滅させる殺菌処理機能を有する殺菌装置を別々に説明しているが、一つの装置でこの清浄処理機能と殺菌処理機能を備えたものでもよく、また、水処理装置と殺菌装置を組合せて全体として清浄処理機能と殺菌処理機能を有する水処理装置としてもよいことは当然である。
【0022】
以上、上記実施形態例により、水道水等の水を作動流体とする液圧駆動システムにおいて、システム構成機器の性能低下を防止すると共に、安全衛生性の優れたシステムの構成が可能となる。
【0023】
【発明の効果】
以上、説明したように各請求項に記載の発明によれば下記のような優れた効果が期待できる。
【0024】
請求項1に記載の発明によれば、加工装置の構成機器からの作動流体が流れる戻り流路に補助タンクを設けることにより、加工装置と液圧発生装置との間の距離が長くなっても該構成機器の戻り流路の圧力を低圧に保つことができ、加工装置を構成する水圧シリンダや水圧モータなどのアクチュエータの効率の低下、流量調整弁等の機器の最適な動作の阻害、例えば水圧サーボ弁の応答性の低下や静圧軸受効果の低下、水圧サーボ弁の挙動及び性能の低下、水圧モータの軸シールの低寿命、複数の加工装置の性能の違いを発生することはない。
【0025】
また、補助タンクから主タンクへ流れる作動流体の流路に水処理装置を設けたので、加工装置からの作動流体である水がこの水処理装置で処理されるから、作動流体である水を駆動システムに好適な状態に維持できる。
【0026】
また、請求項2に記載の発明によれば、水処理装置は作動流体を清浄にする清浄処理機能及び作動流体の微生物を死滅させる殺菌処理機能のいずれか一方又は両方を具備するので、加工装置からの作動流体である水を清浄又は微生物の無い状態又は清浄且つ微生物の無い状態に維持することができ、安全衛生性が最も重要視される食品加工装置に駆動システムとして好適な液圧駆動システムとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の液圧駆動システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明に係る液圧駆動システムの構成例を示す図である。
【符号の説明】
10 加工装置
20 加工装置
30 加工装置
40 液圧発生装置
41 主タンク
51 供給流路
52 戻り流路
54 補助タンク
55 圧送ポンプ
56 水処理装置
57 流路

Claims (2)

  1. 少なくとも作動流体を駆動するアクチュエータを有する対象物を加工する加工装置と、該加工装置と距離Lを離して設置される高圧水を発生する液圧発生装置を具備し、該液圧発生装置で発生した高圧水を前記加工装置を駆動する作動流体として供給流路を通して前記加工装置に供給し、該加工装置の構成機器からの水を戻り流路を通して前記液圧発生装置に戻す液圧駆動システムにおいて、
    前記液圧発生装置主タンクを備え、該主タンク内の水を加圧して高圧水を発生するようになっており、
    前記戻り流路の前記加工装置側近くに該戻り流路を流れる水を収容する大気開放の補助タンクを設け、該補助タンク内の水を前記液圧発生装置の主タンクに戻す流路に水処理装置を設けたことを特徴とする液圧駆動システム。
  2. 請求項1に記載の液圧駆動システムにおいて、
    前記水処理装置は作動流体を清浄にする清浄処理機能及び作動流体の微生物を死滅させる殺菌処理機能のいずれか一方又は両方を具備することを特徴とする液圧駆動システム。
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