JP4176522B2 - 干渉低減装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、干渉低減装置に係わり、特に、マルチパスのうち所定のパスを介して到来するスペクトル拡散信号を逆拡散して得られる逆拡散信号に含まれる干渉成分を低減する干渉低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
スペクトラム拡散、またはスペクトル拡散通信方式は移動体通信の最も基本的な技術として広範囲に利用されている。スペクトラム拡散通信の最も単純なモデルとしての直接拡散(DS)方式では、送るべき情報信号の周期Tに対してチップ周期Tc(T/Tc=拡散比)の拡散コードを該情報信号に乗算して拡散変調し、これによりスペクトルを広げて受信側に送信する。受信側では広帯域に拡散された信号から、逆拡散によって信号成分を検出する。逆拡散は受信信号に拡散コードと同じコードを乗算して復調することにより行われる。
【0003】
受信側で受信する信号には直接波の他に多くの反射波が存在する。このようなマルチパス環境においては、様々な遅延時間差を持って受信される信号を合成することにより正しい信号成分を検出する技術がレイク受信機として確立されている。すなわち、レイク受信機は、直接波だけでなく、遅延波にも情報成分が含まれていることに着目して、各パスの遅延波に存在する情報成分を該パスの遅延タイミングに基づいて逆拡散し、各パスの逆拡散信号をタイミングを合わせて最大比合成して出力する方式である。
従来のレイク受信機では、マルチパスを介して到来するそれぞれのタイミングをサーチャで検出し、各タイミングをパスに応じたフィンガー部に入力し、各フィンガーでは入力されたタイミングで逆拡散を行い、レイク合成器で各フィンガー部で得られた逆拡散信号を合成することにより希望信号を復調する。
【0004】
図16はレイク受信機の従来の構成図であり、無線受信部2はアンテナ1で受信した高周波信号をべースバンド信号に周波数変換すると共に直交復調し、AGCアンプ3を介してAD変換器4に入力する。AD変換器4は直交復調信号をデジタルに変換し、パスサーチャ5はADサンプリング信号に送信側の拡散コード(チャネルに応じた拡散コードで既知)を乗算してマルチパスを構成する各パスの遅延タイミングをサーチする。フィンガー6a〜6nはマルチパスの各パスに対応して設けられ、図示しないがそれぞれ逆拡散部や遅延回路を備えている。タイミング発生部7は、各パスの遅延タイミングを逆拡散タイミングとして各フィンガー部6a〜6nの逆拡散部に入力すると共に、各逆拡散部から出力される逆拡散信号の合成タイミングを一致させるための遅延時間を各フィンガー部6a〜6nの遅延回路に入力する。レイク合成部8は、各フィンガー部6a〜6nから出力する逆拡散信号を最大比合成して次段の図示しない誤り検出復号部に出力する。
【0005】
かかるレイク受信機において、各フィンガー部は対応するパスの遅延タイミングで逆拡散するが、そのタイミングにおける他パスの信号が干渉として逆拡散信号に含まれてしまう。この他パスの信号成分、すなわち干渉成分を低減できればBER(Bit Error Rate)を改善でき品質良好な受信が可能になる。
このため、本願出願人はMIXR (Multipath Interference eXchange Reduction method) と呼ぶ干渉低減方法を特願2001-332510号で提案している。この干渉低減方法はMICT (Multipath InterferenceCorrelative Timing: マルチパス干渉相関タイミング)と呼ぶ特別なタイミングで逆拡散した信号(MICT信号)を使うことにより、干渉を低減する方法である。
【0006】
図17 、図18はMIXRの説明図であり、CDMA 移動端末で受信される2 パスの信号のタイミングを示す。図中、A,B,C,Y,Z は各パスの各タイミングにおける信号を表すラベルで、A が正しい逆拡散タイミングにおける信号である。パス1 とパス2 のチャネル特性値をそれぞれα1 とα2、逆拡散タイミングをt1,t2、そのタイミングで逆拡散した信号をx1,x2 と表記する。ここで、特別なタイミングt0 = t1−(t2−t1) を決め、すなわち、時刻t1より(t2−t1)前の時刻t0を定め、そのタイミングt0 で逆拡散した信号をx0 と表記すると、x1,x0 はそれぞれ次のように表記できる。
x1 = α1 S + α2IZ + n1 (1)
x0 = α1IZ +α2IY + n0 (2)
【0007】
ここで、α1 S はパス1 の受信信号をタイミングt1から逆各拡散した希望信号、α2IZ はパス2 の受信信号をタイミングt1から逆各拡散した干渉、α1IZ はパス1 の受信信号をタイミングt0から逆各拡散した信号、α2IY はパス2 の受信信号をタイミングt0から逆各拡散した信号、n1, n0 はそれぞれの雑音である。このx0は、希望信号S を得られないタイミングで逆拡散したものであるが、その中にα1IZ が含まれている。つまりx1 の干渉成分α2IZ と相関を持つ信号がx0の中に含まれていることが分かる。この意味で、x0 のような信号のことをパス1のパス2 に対するマルチパス干渉相関信号(MICS:Multipath Interference Correlative Signal) と呼び、t0のようなタイミングのことをパス1 のパス2 に対するマルチパス干渉相関タイミング(MICT:Multipath Interference Correlative Timing) と呼ぶ。
【0008】
x0 がx1 の干渉成分と相関を持つため、x1からx0 に適切な係数rをかけて減ずることにより、x1 の干渉成分を減らすことができる。ここで注意することは、x1 に含まれる干渉成分IZ を全て消すように係数r を決めるとx0 に含まれる別の干渉成分IY が増大するためにかえって干渉全体の大きさがが増えてしまうことがある点である。最適な係数r は、もとの干渉IZ も残しつつ干渉全体の電力が最少になるように決めた係数である。
【0009】
以下、係数をr として干渉成分を最少にするr を求める。
【数2】
ただし、<>は時間平均、 <|IZ|2> =<|IY|2> = I2, <|n0|2> = n0 2,<|n1|2>= n1 2とした。この式(6)と式(7)式より
【数3】
のとき、干渉と雑音の和が最小になることが判る。式(1)の低減前の干渉と雑音の平均値
【数4】
が、式(7) の低減後は次のようになり、干渉と雑音の平均値が減少しているのが分かる。
【0010】
【数5】
このように、MIXR は逆拡散信号に含まれる干渉信号の一部を別の干渉信号と交換することにより全干渉電力を低減する方法である。
以上は2パスの場合であるが、次に一般的なN パス信号の場合を考える。図19はNパスの遅延プロファイルである。各パスi のチャネルの値をαi、タイミングをti とし、簡単のため、拡散後の信号を正しいタイミングからΔt だけずれたタイミングで逆拡散した信号をI(Δt) とする。特にΔt = 0 の時はI(0) = S である。このI(Δt) を使うと、Nパスの場合逆拡散後の信号xi は次のように書ける。
【0011】
【数6】
ここで、簡単のためIi,j, i=I(ti−tj)とした。次にパスiのパスjに対するMICTtijで拡散した信号mi 、jは次のように書ける。
【数7】
ここで簡単のためI i,j,k=I(2ti−tj−tk)とした。また、Ii,j, i=I(2ti−tj−ti)=Ii,j,であることに注意するとmi 、jは次のようになる。
【数8】
このとき、2パスのときと同様に係数rを求めることができ、次のようになる。
【0012】
【数9】
ここで、na 2は希望信号Sの得られないタイミングで逆拡散したときの全干渉と雑音の平均値に相当する値であり、次式
【数10】
で表わされる。このna 2を使うと、MIXR前のパスiでの全干渉と雑音電力の平均値nb iは次のようになる(b,iは添え字)。
【数11】
【特許文献1】
特願2001-332510号
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、提案されているMIXR方式では、マルチパス干渉相関タイミング(MICT) と呼ばれるタイミング、すなわち、マルチパス干渉信号と相関のある信号が得られる特別なタイミングを使うことでマルチパス干渉を低減する。この時、マルチパス干渉を効果的に低減するためには、MICT で逆拡散した信号に適切な係数rijをかけて振幅を調整する必要がある。この適切な係数rijはMIXR 係数と呼ばれるもので、(14)式を参照すると、各パスのフェージングチャネル値αi,αj、全干渉の平均電力I2、雑音の平均電力na 2から求められる。
【0014】
しかし、MIXR 係数を求めるための各パスのフェージングチャネル値、全干渉の平均電力、雑音の平均電力に関する情報は、受信される信号成分に混在する形で含まれており、その分離が難しく、(14)式を適用することが難しい問題があった。
以上から本発明の目的は、MIXR 係数を求めるための各要素係数(各パスのフェージングチャネル値αi,αj、全干渉の平均電力I2、雑音の平均電力na 2)を分離算出できるようにし、これによりMIXR 係数を演算でき、逆拡散信号に含まれる干渉成分を除去できるようにすることである。
本発明の別の目的は、簡単な構成で干渉相関係数cijを算出し、この干渉相関係数を用いてMIXR 係数を演算して逆拡散信号に含まれる干渉成分を除去できるようにすることである。
本発明の別の目的は、簡単な構成で、しかも短時間で干渉相関係数cijを算出し、この干渉相関係数を用いてMIXR 係数を演算して逆拡散信号に含まれる干渉成分を除去できるようにすることである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、マルチパスのうち所定のパスを介して到来するスペクトル拡散信号を逆拡散して得られる逆拡散信号に含まれる干渉成分を低減する干渉低減装置であり、マルチパス干渉相関信号を発生し、該マルチパス干渉相関信号に所定の係数を乗算して干渉抑圧信号を発生する抑圧信号発生部、前記逆拡散信号から該干渉抑圧信号を減算する手段を備え、前記抑圧信号発生部は、フェージングチャネル推定値αiを、受信信号に含まれるパイロットを平均することにより算出し、雑音の平均電力n2をパイロットシンボルの分散から算出し、全干渉の平均電力I2を全受信電力と雑音の平均電力とから算出し、これらの値から前記係数を算出する。
【0016】
より具体的には、前記係数算出手段は、前記チャネル推定値αi,αj、雑音の平均電力n2、全干渉の平均電力I2を用いて次式
【数12】
により前記係数rij を算出し、この係数rij をマルチパス干渉相関信号に乗算して干渉抑圧信号を発生し、逆拡散信号から該干渉抑圧信号を減算する。
以上のようにすれば、MIXR 係数を求めるための各要素係数(各パスのフェージングチャネル値αi,αj、全干渉の平均電力I2、雑音の平均電力na 2)を分離算出でき、これによりMIXR 係数を演算でき、逆拡散信号に含まれる干渉成分を除去できるようになる。
【0017】
なお、上記の方法によらず、干渉相関値ci jは、着目しているパスの遅延タイミングにおける逆拡散値とマルチパス干渉相関タイミングti jでの逆拡散値との相関を算出することにより簡単に求めることができる。この場合、着目しているパスの任意のタイミングtaにおける逆拡散値と、タイミングta +ti jの逆拡散値との相関を算出するようにすれば、短時間で干渉相関値cijを、求めることができる。また、干渉相関値cij は、逆拡散前信号の自己相関値から簡単に算出することもできる。
【0018】
【発明の実施の形態】
(A)第1実施例
(a)全体の構成
図1はマルチパス干渉低減法MIXRに基づいた干渉低減機能を備えた本発明のレイク受信機の構成図である。図16に示す従来の構成に加えて、フィンガー部6a〜6nとレイク合成部8の間に干渉を低減する干渉低減装置10が設けられている構成になっている。この干渉低減装置10は、フィンガー部6a〜6nに対応して設けられたMIXR回路11a~11nと、(14)式の係数を演算するための係数演算部12を備えている。各MIXR回路11a~11nは、(13)式のマルチパス干渉相関信号m i,j を発生し、このマルチパス干渉相関信号に所定の係数r i,jを乗算して干渉抑圧信号を発生し、対応するフィンガー部から出力する逆拡散信号から該干渉抑圧信号を減算する。なお、9は各パスのチャネル特性値(チャネル値)を推定するチャネル推定部であり、レイク合成部8は各パスに応じた各MIXR回路11a~11nから出力する信号にチャネル推定値を乗算して合成する。
【0019】
(b)干渉低減装置の構成
図2は干渉低減装置10の詳細な構成図であり、パスiに応じた1つのMIXR回路11iと、係数計算部12と、MICTタイミングt i,j(j=1〜N)を発生するMICT発生部13、パスiのフィンガー部6iが示されている。
MIXR回路11iにおいて、第1〜第N逆拡散部211〜21NはMICTタイミングt i,j(j=1〜N)を逆拡散タイミングとして既知の拡散コードをAD変換器4から出力するA/Dサンプル値に乗算し、(13)式で示すマルチパス干渉相関信号m i,j (j=1〜N)を発生する。乗算部221〜22Nは、このマルチパス干渉相関信号m i,j (j=1〜N)に係数計算部12から出力する所定のMIXR係数r i,j(j=1〜N)を乗算して干渉抑圧信号を発生し、演算部23対応するフィンガー部6iから各干渉抑圧信号を減算してレイク合成部8に入力する。
【0020】
係数計算部12は、第1係数算出部24と第2係数算出部25を備えている。第1係数算出部24は(14)式で示す要素係数
【数13】
を演算し、第2係数算出部25は次式
【数14】
によりMIXR係数r i,j(j=1〜N)を計算してMIXR回路11iに入力する。
【0021】
(c)第1係数算出部
図3は第1係数算出部24の構成図である。なお、図ではna 2を(18)式によらずに算出している。すなわち、逆拡散部30はどのパスタイミングとも一致しない任意のタイミングta でA/D サンプル値を拡散コードで逆拡散してnaを求め、二乗回路31で二乗した後に平均部32で平均化することでna 2(全干渉と雑音の和の平均電力)を計算する。パイロット逆拡散部33は、A/D サンプル値に含まれるパイロット信号を拡散コードで逆拡散し、平均部34で平均することでパスiのチャネル推定値αiを算出する。長期平均部35は二乗回路31の出力信号をフェージング周期に比べて十分に長く平均する。分散部36はパイロット逆拡散部33から出力する信号の分散σi 2の二乗を演算し、第1演算部37は、na 2とσi 2とを用いて雑音の平均電力n2を計算し、加算部38は長期平均部35の出力からn2を減算して全干渉電力I2を計算し、第2演算部39は、チャネル推定値αi,αj及びI2を用いて(17)式より干渉相関値cijを計算して出力する。
【0022】
(d)平均電力n2と全干渉電力I2の算出原理
第1演算部37における平均電力n2の算出式及び全干渉電力I2の算出式は以下のようにして得られる。
パスi の逆拡散値をxi とすると、
【数15】
となる。xi の分散σi 2を求めると、
【数16】
となる。どのパスタイミングとも違うタイミングで逆拡散して平均することで、全干渉と雑音の和の平均電力na 2
【数17】
が得られる。各パスの分散の総和を取ると(23)式が得られ、(24)式より雑音の平均電力n2が求まる。
【0023】
【数18】
図3の第1演算部37は(24)式に基づいて雑音の平均電力n2を演算する。
ところで、フェージングの周期よりも十分に長い期間で、信号の無いタイミングでの電力平均を求めると次式が成立する。
【0024】
【数19】
加算器38は上記の(26)式に基づいて干渉電力I2を計算する。なお、(25)式におけるチャネル推定値は全電力の平均値が1になるように正規化された値である。すなわち、
【数20】
【0025】
(B)第2実施例
(a)更に進んだMIXR
以上は、着目するパスiにパスjから干渉があるとしたときの2パスの干渉低減を、Nパスに拡張した場合のマルチパス干渉低減法MIXRに基づいた実施例である。すなわち、着目するパスiに他の(N-1)本(j=1〜N,ただしj≠i)からのパスから干渉があるとしたときのNパスに適用した場合のマルチパス干渉低減法MIXRに基づいた実施例である。しかし、この方法に基づくマルチパス干渉低減法MIXR は原理的にパス数N の増加に従って効果が少なくなって行く。その原因は、所定の2パスに着目すると、干渉成分を再生する際、該着目した2 パスのみの情報しか利用していないからである。すなわち着目した2 パス以外のパスに含まれているはずの情報を有効に利用できなかったために、効果が小さくなってしまうのである。
そこで、干渉成分を再生するために、全てのパスを使うことで干渉再生精度を向上させる方法について説明する。以下、今までのMIXR と区別するため、ここで説明するMIXR をA-MIXR (Advanced− MIXR)と表記する。
【0026】
(b)A-MIXR のMICT とMICS
図4はA-MIXRにおけるNパス信号と、パスi に含まれるパスj の干渉の低減に利用できるMICTs を示す。パスiのタイミングで逆拡散した信号は次のように書ける。
【数21】
ここで、sは希望信号、I i,jはxiに含まれるパスjによる干渉成分である。図中のt i,j, iは従来使用していたMICTでパスiとパスjの時間差分Δtだけtiからシフトしたタイミングである。このt i,j, iで逆拡散することにより、I i,jと相関のある信号を得ることができる。
【0027】
ここで、iとj以外のパスについても着目すると、それぞれのパスからΔtシフトさせたタイミングt i,j, k(kはjを除く1〜N)で逆拡散することにより、t i,j, iと同じ原理でI i,jと相関のある信号が得られることが判る。t i,j, kと、t i,j, kで逆拡散した信号mi , j,kは次のように書くことができる。
【数22】
【0028】
すなわち、パスjのパスiに対する干渉成分は図4のMICTタイミングt i,j, i(=ti−Δt)おけるパスiの逆拡散信号に含まれており、この干渉成分はmi , j ,iとして表現する。パスjのパスiに対する干渉成分はこのmi , j ,iだけでなく、パス1のタイミングt1よりΔt前の時刻t i,j,1(=t1−Δt)のパスiの逆拡散信号にも含まれており、この干渉成分をmi , j , 1と表現する。同様に、パスjのパスiに対する干渉成分は、パスk(k=1〜N)のタイミングtkよりΔt前の時刻t i,j, k(=tk−Δt)のパスiの逆拡散信号に含まれており、この干渉成分をmi , j,kと表現すれば、(30)式より求めることができる。
【0029】
(c)A-MIXRにおける干渉抑圧信号
(30)式において、所望の干渉αkIi,j 以外の信号電力は雑音とみなせるので、合成後のMICS をMi,j とすると、mi,j,k のk についての最大比合成は次式で表現できる。
【数23】
ここでnb kは式(16) より得られる。次に、Mi,j で干渉低減するための係数rj を求める。まず、(I/N) を、MICS 内の着目している干渉信号電力Iと、それ以外の干渉信号電力と雑音電力の和N、との比と定義すると、MICT係数rは、
【数24】
となる(a,bは係数)。すなわち、rjはMICS の(I/N)、MICS に含まれる低減したい干渉成分の係数a、希望信号に含まれる低減したい干渉成分の係数b により求まる。
ついで、Mi,jの(I/N)を求める。これを(I/N)jと表記すると、(I/N)jは最大比合成前のmi,j,k の(I/N) の和であるので、次のようになる。
【0030】
【数25】
また、Mi,j のIi,j の係数a は次のように(I/N)j/I2 になる。
【数26】
また、xi に含まれるIi,j の係数は式(28) よりb = αj となるので、rj は次のように求まる。すなわち
【数27】
このとき、(3)式のrx0 に相当する干渉レプリカは次のようになる。
【数28】
【0031】
(d)A-MIXRにおける干渉抑圧装置の構成
図5はA-MIXRにおけるパスiの干渉低減装置50の構成図である。各第j干渉成分演算部51jは干渉成分mi , j,k(k=1〜N)を演算し、順次mi , j, 1,mi , j, 2,…mi , j, Nを出力し、各第j干渉抑圧信号演算部52jは干渉成分mi , j,k、干渉相関値ckj、雑音電力na 2を用いて(36)式より干渉抑圧信号rjM i,jを算出する。なお、干渉相関値ckj、雑音電力na 2は、第1実施例で説明した図3に示す第1係数算出部により演算することができる。
演算部53は第iパスのフィンガー部6iから出力するパスiの逆拡散信号より、第j干渉抑圧信号演算部52j(j=1〜N)から出力する干渉抑圧信号rjM i,j(j=1〜N)をそれぞれ減算して干渉を低減したパスiの逆拡散信号をレイク合成部8に入力する。
【0032】
図6は第j干渉成分演算部51jの構成図であり、MICT発生部51aは、MICTタイミングt i,j,k(k=1〜N)を発生する。第1〜第N逆拡散部51b1〜51bNはそれぞれMICTタイミングt i,j,k(k=1〜N)で拡散コードを用いて逆拡散を行って干渉成分mi , j,kを発生し(k=1〜N)、セレクタ51cは順次干渉成分mi , j,kを次段の第j干渉抑圧信号演算部52jに入力する。
【0033】
図7は第j干渉抑圧信号演算部52jの構成図であり、第1演算部52aは(16)式に従って全干渉と雑音電力の平均値nb kを演算し、第2演算部52bは(33)式に従って(I/N)jを演算し、第3演算部52cは(36)式に従って干渉抑圧信号rjM i,jを算出する。
【0034】
(C)干渉相関値算出法
第1、第2実施例で使用する干渉相関値cijは図3に示す構成により演算することができるが、構成が複雑である。図8は干渉相関値の別の演算方法の実施例である。(14)式に示すように干渉相関値cij =αI *αjI2はパスi の逆拡散値xi とMICTタイミングt i,jでの逆拡散値mi,jとの相関値を直接計算することで求めることができる。すなわち、2パスの場合を例に説明する。この場合、xi とmi,jが、それぞれ式(1) 式(2) のx1 とx0 に相当する。この時、相関値<m* i,jxi>
は次のようになる。ただし、<・>は平均値を表わす。
【数29】
ここで、S,IZ,IY ,n0,n1 はお互いに相関の無いランダムな系列であるので、(37)式の右辺2 項目と3 項目は平均すると0 に収束し、第1項目から所望の相関値αi *αjI2を得ることができる。
【0035】
図8の実施例において、第1,第2逆拡散部61、62は、それぞれA/D サンプル値をタイミングtiとMICT ti ,jとで逆拡散することでxi とmi ,jを求め、相関演算部63はxi とmi ,j *の相関値を演算し、平均部64は演算結果を平均して干渉相関値cijを出力する。これにより図3に比べて簡単な構成により干渉相関値を求めることができる。
【0036】
(D)干渉相関値算出の別の方法
図8において、理想的には平均操作を無限のシンボルについて行うべきものであるが、この方式を実装する場合はαi *αjI2に比べて十分小さくなるような大きさにすればよい。ここで、(37)式の第2項目に含まれるS は、正しいタイミングで逆拡散した信号であるため、干渉信号IZ に比べて拡散比の分だけ大きな信号になっているはずである。そのため、図8の方法では第2項目を十分小さく収束させるには平均部64において比較的長いシンボルに渡って平均操作をしなければならない。
【0037】
そこで、このS にあたる値をあらかじめ小さくすることができれば、平均シンボル数を減らせ、処理量を削減できる。このため、図9では上記x1,x0 の逆拡散タイミングを正しい逆拡散タイミングからずらして逆拡散することで第2項を小さくして平均時間を短縮する。すなわち、正しい逆拡散タイミングではないタイミングta での逆拡散値をx1′,x0′とすると、それぞれ次式のようになる。
x1′=α1I′+α2IZ′+n1′ (38)
x0′=α1IZ′+α2IY′+n0′ (39)
さらにこの時の相関値は次式のようになる。
【数30】
ここで(37)式との違いは、(40)式では右辺第2 項目のSがI′なっていることである。ここで、I′は正しくないタイミングで逆拡散された値であるため、S に比べて拡散比の分だけ小さな値となる。例えば拡散比が256 であるなら、1/256 になる。そのため、第2項目を十分小さくするための平均シンボル数を減らすことができ、処理量を削減できる。
【0038】
図9の実施例において、第1,第2逆拡散部61′、62′は、それぞれA/D サンプル値をタイミングtaとta−MICT ti ,jとで逆拡散することでxi とmi ,j′を求め、相関演算部63はxi′ とmi ,j′*の相関値を演算し、平均部64は演算結果を平均して干渉相関値cij を出力する。これにより図3に比べて簡単な構成により、しかも、短時間で干渉相関値cij を得ることができる。
【0039】
(E)干渉相関値算出の更に別の方法
逆拡散前の受信信号の自己相関を求めることでMIXR 係数rijが得られる。このことを示すために、I2,n2,n2 a に対応する逆拡散前の値として、次のようにIor, Ioc, 全受信電力RSSI を定義する。
【数31】
ここでNSF は拡散符号長を示す。各パスの受信フィルタ通過後の信号をαiv(t)と表記すると、逆拡散前の受信信号vR(t)は次のように書ける。
【数32】
ここで、vR(t)について自己相関vR*(t)vR(t−Δt)を求める。(Δt = ti − tj)。
【0040】
【数33】
ここで、k=iかつI=jのときのみ(−tk=−Δt−tl)が成り立つとし、Δ≠0で<v*(t)v(t−Δt)>=0とすると、(46)式の時間平均は第1項のみが残る。
【数34】
また、vR(t)の電力平均は次のようになるので、
【数35】
以上より、MIXR係数rI,jは次式
【数36】
より求まる。
【0041】
以上より、(41)式と(47)式を用いれば干渉相関値cijは図10に示す構成により算出することができる。すなわち、遅延回路71は受信信号vR(t)をΔt=(ti−tj)遅延し、相関乗算器72は自己相関vR*(t)vR(t−Δt)を演算し、平均部73は自己相関を所定時間平均し、乗算部74は平均値にNSF乗算して干渉相関値cijを算出して出力する。
【0042】
(F) 干渉相関値の連鎖計算
算出した既知の干渉相関値cij(=αi *αj)とチャネル推定値とを用いて未知の干渉相関値cklを算出することができる。図11は未知の干渉相関値cklの算出法説明図であり、既知の干渉相関値cij(=αi *αj)とチャネル推定値αi,αj,αk,αlとら乗算部81において、次式の右辺
【数37】
の演算を行うことにより未知の干渉相関値cklを算出できる。同様に、他のチャネル推定値も演算することができる。
【0043】
(G) 干渉相関値の別の連鎖計算
3 種類の既知の干渉相関値から未知の干渉相関値を算出することができる。図12は3つの既知の干渉相関値cij , ckl , cil から未知の干渉相関値ckj を算出する算出法の説明図であり、乗算部82において、次式の右辺
【数38】
の演算を行うことにより干渉相関値ckj を算出することができる。同様に、他のチャネル推定値も演算することができる。
【0044】
(H)連鎖計算される干渉相関値の精度
(50)式あるいは(51)式により、連鎖計算される未知のMIXR 係数の精度は、既知の干渉相関値の精度に依存する。そこで上記の既知の干渉相関値cij 求める時にその精度をできる限り高いものとする。このために、できる限り大きなエネルギー(電力)の2 パスi,jを選んで干渉相関値cij を求め、それに対して(50)式あるいは(51)式を適用して未知の干渉相関値を算出する。
【0045】
図13は連鎖計算される干渉相関値の精度を向上するための実施例であり、チャネル推定値91は各マルチパスのチャネル推定値αi(i=1〜N)を推定し、パス選択部92はエネルギーの大きな2つのパスi,jを選択し、干渉相関値算出部93は図3および図8〜図10で説明した方法により干渉相関値cij を求め、連鎖計算部94は既知の干渉相関値cijとチャネル推定値を用いて(50)式により、あるいは(51)式に従って未知のチャネル推定値を算出する。
【0046】
(I)パス選択
図13の実施例において、エネルギーの大きな2つのパスi,jを選択し、干渉相関値cijを算出するが、図14に示すようにパスi,jの遅延タイミングti,tjの差が別のパスのペアk,lのタイミング差と等しいと正確な干渉相関値cijを算出できなくなる。すなわち、パスi,jの遅延タイミングti,tjのタイミング差ti−tjと別のパスのペアk,lのタイミング差tk−tlが等しいと(47)式が次式
【数39】
となり、正確な干渉相関値cijを算出できなくなる。そこで、遅延タイミング差が等しくなるペアが他に存在しないペアであってエネルギーの大きなペアを選択して既知の干渉相関値を算出する。
【0047】
図15は図13の構成にパスサーチ部95を付加した例である。パスサーチ部95はマルチパスの各パスの遅延タイミングを測定してパス選択部92に通知し、パス選択部92は遅延タイミング差が等しくなるペアが他に存在しないペアであってエネルギーの大きなペアを選択して次段の干渉相関値算出部93に通知する。干渉相関値算出部93は図3および図8〜図10で説明した方法により通知された2パスの干渉相関値cij を求め、連鎖計算部94はこの計算された既知の干渉相関値cijとチャネル推定値を用いて(50)式により、あるいは(51)式に従って未知のチャネル推定値を算出する。
【0048】
・付記
(付記1) マルチパスのうち所定のパスを介して到来するスペクトル拡散信号を逆拡散して得られる逆拡散信号に含まれる干渉成分を低減する干渉低減装置おいて、
マルチパス干渉相関信号を発生し、該マルチパス干渉相関信号に所定の係数を乗算して干渉抑圧信号を発生する抑圧信号発生部、
前記逆拡散信号から該干渉抑圧信号を減算する手段、
を備え、前記抑圧信号発生部は
フェージングチャネル推定値αiを、受信信号に含まれるパイロットを平均することにより算出する手段、
雑音の平均電力n2をパイロットシンボルの分散から算出する手段、
全干渉の平均電力I2を全受信電力と雑音の平均電力とから算出する手段、
これらの値から前記係数を算出する手段、
を備えることを特徴とする干渉低減装置。
(付記2) 前記係数算出手段は、
前記チャネル推定値αi,αj、雑音の平均電力n2、全干渉の平均電力I2を用いて次式
【数40】
により前記係数rij を算出する、
ことを特徴とする付記1記載の干渉低減装置。
(付記3) マルチパスのうち所定のパスを介して到来するスペクトル拡散信号を逆拡散して得られる前記逆拡散信号に含まれる干渉成分を低減する干渉低減装置おいて、
マルチパス干渉相関信号を発生し、該マルチパス干渉相関信号に所定の係数を乗算して抑圧信号を発生する抑圧信号発生部、
前記逆拡散信号から該抑圧信号を減算する手段、
を備え、前記抑圧信号発生部は
着目しているパスの遅延タイミングにおける逆拡散値とマルチパス干渉相関タイミングでの逆拡散値との相関を算出することにより干渉相関値を算出する手段、
該干渉相関値を用いて、前記係数を算出する手段、
を備えることを特徴とする干渉低減装置。
(付記4) 前記干渉相関値を算出する手段は、
どのパスタイミングとも一致しない任意のタイミングtaにおける逆拡散値と、マルチパス干渉相関タイミングからta だけずれたタイミングの逆拡散値との相関を算出することにより前記干渉相関値を算出する、
ことを特徴とする付記3記載の干渉低減装置。
(付記5) マルチパスのうち所定のパスを介して到来するスペクトル拡散信号を逆拡散して得られる前記逆拡散信号に含まれる干渉成分を低減する干渉低減装置おいて、
マルチパス干渉相関信号を発生し、該マルチパス干渉相関信号に所定の係数を乗算して抑圧信号を発生する抑圧信号発生部、
前記逆拡散信号から該抑圧信号を減算する手段、
を備え、前記抑圧信号発生部は
干渉相関値を逆拡散前信号の自己相関値から算出する手段、
該干渉相関値を用いて前記係数を算出する手段、
を備えることを特徴とする干渉低減装置。
(付記6) 前記算出した既知の干渉相関値cijとチャネル推定値とを用いて未知の干渉相関値cklを算出する手段、
を備えたことを特徴とする付記1乃至5記載の干渉低減装置。
(付記7) 3種類の既知の干渉相関値cij , ckj , ckl から未知の干渉相関値cil を算出する手段、
を備えたことを特徴とする付記1乃至5記載の干渉低減装置。
(付記8) 前記未知の干渉相関値算出手段は、
既知の干渉相関値としてなるべく電力の大きなパスi,jのチャネル推定値を用いて求めた干渉相関値cijを用いて未知の干渉相関値を算出する、
ことを特徴とする付記6又は7記載の干渉低減装置。
(付記9) 前記未知の干渉相関値算出手段は、
選んだパスi,j のタイミング差ti−tj と同じタイミング差を持つパスj,kがある場合、そのようなパスの組み合わせを避ける、
ことを特徴とする付記8記載の干渉低減装置。
【0049】
【発明の効果】
以上の本発明によれば、MIXR 係数を求めるための各要素係数(各パスのフェージングチャネル値αi,αj、全干渉の平均電力I2、雑音の平均電力na 2を分離算出できるようになり、これによりMIXR 係数を演算でき、逆拡散信号に含まれる干渉成分を除去することができる。
また、本発明によれば、着目しているパスの遅延タイミングにおける逆拡散値とマルチパス干渉相関タイミングでの逆拡散値との相関を算出して干渉相関値を算出するようにしたから、簡単な構成で干渉相関値を算出でき、この干渉相関値を用いてMIXR 係数を演算して逆拡散信号に含まれる干渉成分を除去することができる。
【0050】
また、本発明によれば、どのパスタイミングとも一致しない任意のタイミングtaにおける逆拡散値と、マルチパス干渉相関タイミングからta だけずれたタイミングの逆拡散値との相関を算出することにより干渉相関値を算出するようにしたから、簡単な構成で、しかも短時間で干渉相関値を算出でき、この干渉相関値を用いてMIXR 係数を演算して逆拡散信号に含まれる干渉成分を除去することができる。
また、本発明によれば、干渉相関値を逆拡散前の信号の自己相関値から算出するようにしたから、簡単な構成で干渉相関値を算出でき、この干渉相関値を用いてMIXR 係数を演算して逆拡散信号に含まれる干渉成分を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マルチパス干渉低減法MIXRに基づいた干渉低減機能を備えた本発明のレイク受信機の構成図である。
【図2】干渉低減装置の詳細な構成図である。
【図3】干渉低減装置における第1係数算出部の構成図である。
【図4】 A-MIXRにおけるNパス信号と、パスi に含まれるパスj の干渉の低減に利用できるMICTsの説明図である。
【図5】 A-MIXRにおけるパスiの干渉低減装置の構成図である。
【図6】第j干渉成分演算部の構成図である。
【図7】第j干渉抑圧信号演算部の構成図である。
【図8】干渉相関値の演算方法の実施例である。
【図9】干渉相関値算出の別の方法である。
【図10】逆拡散前の受信信号の自己相関を用いて干渉相関値を算出する実施例の説明図ある。
【図11】未知の干渉相関値cklの算出法説明図である。
【図12】 3つの既知の干渉相関値から未知の干渉相関値を算出する算出法の説明図である。
【図13】連鎖計算される干渉相関値の精度を向上するための実施例である。
【図14】干渉相関値の算出に使用する2パスの選択方法の説明図である。
【図15】パス選択機能を備えた干渉相関値算出方法の実施例ある。
【図16】レイク受信機の従来の構成図である。
【図17】 CDMA 移動端末で受信される2 パスの信号のタイミング説明図である。
【図18】 CDMA 移動端末で受信される2 パスの遅延プロファイルである。
【図19】 Nパスの遅延プロファイルである。
【符号の説明】
5 パスサーチ
6a〜6n フィンガー部
9 チャネル推定部
10 干渉低減装置
11a~11n MIXR回路
12 係数演算部
Claims (4)
- マルチパスのうち所定のパスを介して到来するスペクトル拡散信号を逆拡散して得られる逆拡散信号に含まれる干渉成分を低減する干渉低減装置おいて、
マルチパス干渉相関信号を発生し、該マルチパス干渉相関信号に所定の係数を乗算して干渉抑圧信号を発生する抑圧信号発生部、
前記逆拡散信号から該干渉抑圧信号を減算する手段、
を備え、前記抑圧信号発生部は、
受信信号に含まれるパイロット信号を逆拡散し、該逆拡散したパイロット信号を平均することにより、パスiのフェージングチャネル推定値αiを算出する手段、
雑音を含む全干渉の平均電力と、前記逆拡散したパイロット信号の分散とを用いて、雑音の平均電力n2を算出する手段、
雑音を含む全干渉信号の平均電力から前記雑音の平均電力n2を減算することにより、全干渉の平均電力I2を算出する手段、
前記フェージングチャネル推定値αi、前記雑音の平均電力n2、及び、全干渉の平均電力I2を用いて前記係数を算出する手段、
を備え、前記係数算出手段は、前記チャネル推定値αi,αj、雑音の平均電力n2、全干渉の平均電力I2を用いて次式
ことを特徴とする干渉低減装置。 - マルチパスのうち所定のパスを介して到来するスペクトル拡散信号を逆拡散して得られる逆拡散信号に含まれる干渉成分を低減する干渉低減装置おいて、
マルチパス干渉相関信号を発生し、該マルチパス干渉相関信号に所定の係数rijを乗算して抑圧信号を発生する抑圧信号発生部、
前記逆拡散信号から該抑圧信号を減算する手段、
を備え、前記抑圧信号発生部は、
パスiの遅延タイミングtiにおける受信信号の逆拡散値とマルチパス干渉相関タイミングでの受信信号の逆拡散値との相関値を算出し、該相関値を平均することにより干渉相関値cijを算出する手段、
受信信号に含まれるパイロット信号を逆拡散し、該逆拡散したパイロット信号を平均することにより、パスiのフェージングチャネル推定値αiを算出する手段、
雑音を含む全干渉の平均電力と、受信信号を逆拡散して得られるパイロット信号の分散とを用いて、雑音の平均電力n2を算出する手段、
該雑音を含む全干渉信号の平均電力から前記雑音の平均電力n2を減算することにより、全干渉の平均電力I2を算出する手段、
前記干渉相関値cij、チャネル推定値αi、前記雑音の平均電力n2、及び、全干渉の平均電力I2を用いて前記係数を算出する手段、
を備え、該係数算出手段は、次式
ことを特徴とする干渉低減装置。 - マルチパスのうち所定のパスを介して到来するスペクトル拡散信号を逆拡散して得られる逆拡散信号に含まれる干渉成分を低減する干渉低減装置おいて、
マルチパス干渉相関信号を発生し、該マルチパス干渉相関信号に所定の係数rijを乗算して抑圧信号を発生する抑圧信号発生部、
前記逆拡散信号から該抑圧信号を減算する手段、
を備え、前記抑圧信号発生部は、
パスiのタイミングと一致しない任意のタイミングtaにおける受信信号の逆拡散値と、マルチパス干渉相関タイミングからtaだけずれたタイミングの受信信号の逆拡散値との相関値を算出し、該相関値を平均することにより干渉相関値cijを算出する手段
受信信号に含まれるパイロット信号を逆拡散し、該逆拡散したパイロット信号を平均することにより、パスiのフェージングチャネル推定値αiを算出する手段、
雑音を含む全干渉の平均電力と、受信信号を逆拡散して得られるパイロット信号の分散とを用いて、雑音の平均電力n2を算出する手段、
該雑音を含む全干渉信号の平均電力から前記雑音の平均電力n2を減算することにより、全干渉の平均電力I2を算出する手段、
前記干渉相関値cij、チャネル推定値αi、前記雑音の平均電力n2、及び、全干渉の平均電力I2を用いて前記係数を算出する手段、
を備え、該係数算出手段は、次式
ことを特徴とする干渉低減装置。 - マルチパスのうち所定のパスを介して到来するスペクトル拡散信号を逆拡散して得られる逆拡散信号に含まれる干渉成分を低減する干渉低減装置おいて、
マルチパス干渉相関信号を発生し、該マルチパス干渉相関信号に所定の係数rijを乗算して抑圧信号を発生する抑圧信号発生部、
前記逆拡散信号から該抑圧信号を減算する手段、
を備え、前記抑圧信号発生部は、
逆拡散前の受信信号vR(t)と所定時間Δt後の逆拡散前の受信信号vR(t-Δt)との自己相関値を算出し(ただしΔtはパスiとパスjの遅延タイミングの差である)、該自己相関値を平均し、平均値に拡散符号長NSFを乗算することにより干渉相関値cijを算出する手段、
逆拡散前の受信信号の平均電力〈|vR(t)|2〉を算出する手段、
前記干渉相関値cijと受信信号の平均電力〈|vR(t)|2〉を用いて次式
を備えることを特徴とする干渉低減装置。
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