JP4176319B2 - 太陽光発電システム、太陽光発電システムの出力制御方法、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

太陽光発電システム、太陽光発電システムの出力制御方法、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽光発電システム、太陽光発電システムの出力制御方法、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関し、特に、太陽電池の直流電力をパワーコンディショナにより交流電力に変換して負荷を有する電力系統に供給する太陽光発電システム、太陽光発電システムの出力制御方法、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、太陽光発電システムでは、太陽電池の直流電力を交流電力に変換して負荷の電力系統に供給するためにパワーコンディショナが使用されている。
【0003】
この従来の太陽光発電システムは、一般に、太陽電池電圧が最大電力電圧よりも高い範囲においてパワーコンディショナの出力(電力)を増加させた場合、当然ながら、この時点において太陽電池の出力(電力)も増加するので、同時に、太陽電池の出力電圧が下降することとなり、また、これとは逆に、パワーコンディショナの出力を減少させた場合には、上記とは逆のメカニズムにより、太陽電池の出力電圧が上昇することになるといった特性を有していた。
【0004】
そこで、従来の太陽光発電システムの出力制御方法では、予め適当な太陽電池の目標電圧を定めておき、この目標電圧を一定に保つために、太陽電池電圧が該目標電圧よりも高い時にはパワーコンディショナの出力を増加させ、これとは逆に、太陽電池電圧が該目標電圧よりも低い時にはパワーコンディショナの出力を減少させるような出力制御方法を実施していた。
【0005】
この従来の太陽光発電システムの出力制御方法を具体的にインプリメントする手段として、入力側電圧の電圧値に応じて出力側電圧の電圧値を増減する自動電圧調節器を備え、該自動電圧調節器の入力側に太陽電池の出力電圧(動作電圧)と上記目標電圧との偏差を入力し、これに対応する該自動電圧調節器の出力でもって上記パワーコンディショナの出力を制御するシステムが構成されている。
【0006】
なお、太陽電池の上記目標電圧を、太陽電池の最大電力点電圧値に設定しておけば、パワーコンディショナは太陽電池の最大電力を出力することができる。
図2は、従来の太陽光発電システムの構成を示すブロック図である。
【0007】
目標電圧として設定されている太陽電池最大電力点電圧値Vpv*と、太陽電池91が発電した電力の電圧値Vpvとの偏差ΔVpvは、自動電圧調節器94の入力となり、自動電圧調節器94は、この入力に対応した値として、パワーコンディショナ92に対する出力指令P*を出力する。
【0008】
パワーコンディショナ92は、この出力指令Pに基づいた出力(電力)を、負荷系統93に供給する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般に、太陽電池は、日射量が少ない時に、太陽電池出力(電力)の変化に対応する出力電圧の変化量が大きくなり、日射量が多い時には、太陽電池出力(電力)の変化に対応する出力電圧の変化量が小さくなるといった特性を有している。
【0010】
一方、図2に示す従来の太陽光発電システムの場合、太陽電池最大電力点電圧値Vpv*と、太陽電池91が発電した電力の電圧値Vpvとの偏差ΔVpvに対応した自動電圧調節器94の出力変化量は、自動電圧調節器94のゲインだけで決まるので、該ゲインが一定であれば、該出力変化量も一定となる。即ち、この出力変化量は、太陽光の日射量の多少とは関係しない。
【0011】
そこで、日射量が少ない時には、太陽電池出力の変化に対応する出力電圧の変化量が前述のとおり大きくなるので、この現象が自動電圧調節器94の出力電圧値にまで影響しないようにするために、上記のゲインを小さ目に設定することで調整するようにしておくと、今度は、日射量が多くなった時に、太陽電池出力の変化に対応する出力電圧の変化量が、前述のとおり小さくなるので、上記の小さ目に設定されたゲインでは、自動電圧調節器94の出力電圧の変化量が小さくなり、従って、パワーコンディショナ92の出力増大が遅れることとなる。
【0012】
これとは逆に、日射量が多い時には、太陽電池出力の変化に対応する出力電圧の変化量が前述のとおり小さくなるので、この現象が自動電圧調節器94の出力電圧値にまで影響しないようにするために、上記のゲインを大き目に設定することで調整するようにしておくと、今度は、日射量が少なくなった時に、太陽電池出力の変化に対応する出力電圧の変化量が、前述のとおり大きくなるので、上記の大きく設定されたゲインでは自動電圧調節器94の出力電圧の変化量が大きくなり過ぎ、従って、パワーコンディショナ92の出力が不安定になってしまう。
【0013】
本発明は、以上のような従来の太陽光発電システムに鑑みてなされたものであり、日射量の多少に関わらずパワーコンディショナの出力を安定制御することができる太陽光発電システムを提供することを目的とする。
【0014】
本発明の他の目的は、日射量の多少に関わらずパワーコンディショナの出力を安定制御することができる太陽光発電システムの出力制御方法を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、日射量の多少に関わらずパワーコンディショナの出力を安定制御することができる太陽光発電システムのコンピュータ制御を実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記の課題を解決するために、太陽電池が発電した電力を負荷に供給する太陽光発電システムにおいて、太陽電池から出力される直流電力を交流電力に変換すると共に、所与の制御指令信号に応じた電力量を負荷系統に供給する電力変換手段と、入力された制御用電圧を基にして前記制御指令信号を形成すると共に、該形成された制御指令信号を前記電力変換手段へ送出する自動電圧調節手段と、前記自動電圧調節手段から前記電力変換手段へ送出される前記制御指令信号を基にして前記自動電圧調節手段のゲインを算出するゲイン演算手段と、所定の目標電圧と前記太陽電池の出力電圧との偏差に前記ゲインを乗じた積を算出すると共に、該積を前記自動電圧調節手段の前記制御用電圧として出力する制御電圧演算手段と、を有することを特徴とする太陽光発電システムが提供される。
【0017】
また、太陽電池が発電した電力を負荷に供給する太陽光発電システムの出力制御方法において、太陽電池から出力される直流電力を交流電力に変換せしめると共に、所与の制御指令信号に応じた電力量を負荷系統に供給せしめる電力変換制御ステップと、入力された制御用電圧を基にして前記制御指令信号を形成すると共に、該形成された制御指令信号を前記電力変換ステップへ送出する自動電圧調節ステップと、前記自動電圧調節ステップから前記電力変換ステップへ送出される前記制御指令信号を基にして前記自動電圧調節ステップのゲインを算出するゲイン演算ステップと、所定の目標電圧と前記太陽電池の出力電圧との偏差に前記ゲインを乗じた積を算出すると共に、該積を前記自動電圧調節ステップの前記制御用電圧として出力せしめる制御電圧演算ステップと、を有することを特徴とする太陽光発電システムの出力制御方法が提供される。
【0018】
即ち、本発明では、自動電圧調節器からパワーコンディショナへ送出される現在の出力指令に基づいて該自動電圧調節器の現在のゲインを計算すると共に、予め設計された目標電圧と太陽電池の出力電圧との偏差に、上記のゲインを乗じた積に相当する電圧を上記自動電圧調節器の入力とすることにより、日射量の変化による太陽電池の電圧特性の変化に起因するパワーコンディショナの出力応答性の低下や、出力不安定といった現象の発生を抑制している。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る太陽光発電システムの全体構成を示すブロック図である。
【0020】
本実施の形態に係る太陽光発電システムは、太陽光により発電する太陽電池1と、太陽電池1から出力される直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナ2と、パワーコンディショナ2から出力された交流電力を取り入れる負荷系統3と、入力電圧(制御用電圧)に応じた出力電圧をパワーコンディショナ2に印加する自動電圧調節器4と、自動電圧調節器4の出力電圧を入力して自動電圧調節器4のゲインを計算するゲイン演算機5と、予め設定された目標電圧と太陽電池1の出力電圧及びゲイン演算器5を入力して制御用電圧の電圧値を計算する制御電圧演算器6を備える。
【0021】
なお、太陽電池1は、多数のセルを縦横方向整列状態でパネル上に並置し、かつ該セルの各々を互いに電気的に接続したものであり、この太陽電池1を積載したパネルは、架台などに載置されて所定の設置場所に設置されるものである。
【0022】
また、パワーコンディショナ2は、インバータを備え、太陽光による日射でもって太陽電池1が発電した直流電力を、該インバータによるスイッチング動作によって交流電力に変換するものである。
【0023】
さらに、この自動電圧調節器4は、パワーコンディショナ2の定格出力に対して最適制御が行えるように設定されているものとする。
以下、図1を参照して、本実施の形態に係る太陽光発電システムの機能を説明する。
【0024】
太陽電池1は、太陽の日射から直流電力を発電し、この直流電力をパワーコンディショナ2に送出する。
パワーコンディショナ2は、太陽電池1から出力される直流電力を交流電力に変換し、この交流電力を負荷系統3に供給する。
【0025】
負荷系統3は、負荷に電力を供給するための電源系統であり、太陽電池1で発電された電力をパワーコンディショナ2を介して受け取る。
自動電圧調節器4は、入力された制御用電圧を基にしてパワーコンディショナ2への出力指令P*を形成し、該出力指令P*をパワーコンディショナ2へ送出する。
【0026】
ゲイン演算器5は、自動電圧調節器4から送出される上記パワーコンディショナ2への出力指令P*を基にしてゲイン演算器5の現在のゲインを調整ゲインgとして計算する。
【0027】
ここで、このゲイン演算器5の現在の調整ゲインgとは、パワーコンディショナ2への現在の出力指令P*をパワーコンディショナ2の定格出力値で割った値(但し、最小リミッタ値を設定する)であるものとする。従って、ゲインgの値は、最小リミッタ値〜1.0までの範囲となる。
【0028】
なお、調整ゲインgに最小リミッタ値を設定した理由は、パワーコンディショナ2への出力指令P*が0の時にも、調整ゲインgが0にならないようにするためである。
【0029】
制御電圧演算器6は、まず、予め設定された目標電圧Vpv*と、太陽電池1からの出力電圧Vpvから、その偏差ΔVpvを計算し、さらに、この偏差ΔVpvに上記調整ゲインgを乗じた積(g・ΔVpv)を算出し、この積(g・ΔVpv)に等しい電圧値を有する電圧を、上記制御用電圧として出力する。
【0030】
なお、上記制御用電圧の電圧値として、上記の偏差ΔVpvを採用せずに、上記の積(g・ΔVpv)を採用することにより、従来の太陽光発電システムの欠点であった日射量の多少によるパワーコンディショナ2の応答性の低下や出力不安定といった従来の問題点を解消している。
【0031】
即ち、日射量が少ない時には、太陽電池1からの出力電力の変化に対応する出力電圧Vpvの変化量が大きくなってしまい、これとは逆に、日射量が多い時には、太陽電池1からの出力電力の変化に対応する出力電圧Vpvの変化量が小さくなってしまうといった、パワーコンディショナ2の出力制御に悪影響を与える太陽電池1の電圧特性は、実際のパワーコンディショナ2への出力指令(現在の出力指令)に基づいて計算した調整ゲインgを制御用電圧を計算する制御電圧演算器6にフィードバックすることにより、自動的に調整することが可能となり、即ち、これにより、従来の太陽光発電システムに生じていた(上記太陽電池1の電圧特性に起因する)パワーコンディショナ2の出力制御上の問題点は解消されることになるので、日射量の多少に関わらずパワーコンディショナ2の出力を安定制御することができる。
【0032】
なお、上記実施の形態では、パワーコンディショナ2への出力指令P*に基づいて自動電圧調節器4の入力電圧を変化させているが、自動電圧調節器4の入力電圧ではなく、自動電圧調節器4のゲインを変化させることや、出力量(出力指令P*)を直接的に変化させることでも、同等の効果を得ることができる。
【0033】
また、自動電圧調節器4、ゲイン演算器5、制御電圧演算器6は、既成のソフトウェアによる演算システムを使用して構成することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上に説明したとおり、本発明では、自動電圧調節器からパワーコンディショナへ送出される現在の出力指令に基づいて該自動電圧調節器の現在のゲインを計算すると共に、予め設計された目標電圧と太陽電池の出力電圧との偏差に上記のゲインを乗じた積に相当する電圧を上記自動電圧調節器の入力とするので、日射量の変化による太陽電池の電圧特性の変化に起因するパワーコンディショナの出力応答性の低下や、出力不安定といった現象の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る太陽光発電システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】従来の太陽光発電システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 太陽電池
2 パワーコンディショナ
3 負荷系統
4 自動電圧調節器
5 ゲイン演算器
6 制御電圧演算器
g 調整ゲイン
* 出力指令
Vpv 太陽電池の出力電圧
Vpv* 目標電圧
ΔVpv 偏差(電圧)

Claims (7)

  1. 太陽電池が発電した電力を負荷に供給する太陽光発電システムにおいて、
    太陽電池から出力される直流電力を交流電力に変換すると共に、所与の制御指令信号に応じた電力量を負荷系統に供給する電力変換手段と、
    入力された制御用電圧を基にして前記制御指令信号を形成すると共に、該形成された制御指令信号を前記電力変換手段へ送出する自動電圧調節手段と、
    前記自動電圧調節手段から前記電力変換手段へ送出される前記制御指令信号を基にして前記自動電圧調節手段のゲインを算出するゲイン演算手段と、
    所定の目標電圧と前記太陽電池の出力電圧との偏差に前記ゲインを乗じた積を算出すると共に、該積を前記自動電圧調節手段の前記制御用電圧として出力する制御電圧演算手段と、
    を有することを特徴とする太陽光発電システム。
  2. 前記自動電圧調節手段は、前記電力変換手段の定格出力に対して最適制御がなされるように設定されたものであることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電システム。
  3. 前記ゲイン演算手段は、前記制御指令信号によって指示される出力電力量を前記電力変換手段の定格出力値で除した商を算出すると共に、該商を前記ゲインとして出力することを特徴とする請求項1記載の太陽光発電システム。
  4. 太陽電池が発電した電力を負荷に供給する太陽光発電システムの出力制御方法において、
    太陽電池から出力される直流電力を交流電力に変換せしめると共に、所与の制御指令信号に応じた電力量を負荷系統に供給せしめる電力変換制御ステップと、
    入力された制御用電圧を基にして前記制御指令信号を形成すると共に、該形成された制御指令信号を前記電力変換ステップへ送出する自動電圧調節ステップと、
    前記自動電圧調節ステップから前記電力変換ステップへ送出される前記制御指令信号を基にして前記自動電圧調節ステップのゲインを算出するゲイン演算ステップと、
    所定の目標電圧と前記太陽電池の出力電圧との偏差に前記ゲインを乗じた積を算出すると共に、該積を前記自動電圧調節ステップの前記制御用電圧として出力せしめる制御電圧演算ステップと、
    を有することを特徴とする太陽光発電システムの出力制御方法。
  5. 前記自動電圧調節ステップは、前記電力変換手段の定格出力に対して最適制御がなされるように設定されたものであることを特徴とする請求項4記載の太陽光発電システムの出力制御方法。
  6. 前記ゲイン演算ステップは、前記制御指令信号によって指示される出力電力量を前記電力変換ステップの定格出力値で除した商を算出すると共に、該商を前記ゲインとして出力することを特徴とする請求項4記載の太陽光発電システムの出力制御方法。
  7. 太陽電池が発電した電力を負荷に供給する太陽光発電システムを制御するコンピュータ読み取り可能なプログラムを記録した記録媒体において、コンピュータを、
    太陽電池から出力される直流電力を交流電力に変換すると共に、所与の制御指令信号に応じた電力量を負荷系統に供給する電力変換手段、
    入力された制御用電圧を基にして前記制御指令信号を形成すると共に、該形成された制御指令信号を前記電力変換手段へ送出する自動電圧調節手段、
    前記自動電圧調節手段から前記電力変換手段へ送出される前記制御指令信号を基にして前記自動電圧調節手段のゲインを算出するゲイン演算手段、
    所定の目標電圧と前記太陽電池の出力電圧との偏差に前記ゲインを乗じた積を算出すると共に、該積を前記自動電圧調節手段の前記制御用電圧として出力する制御電圧演算手段、
    として機能させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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