JP4176208B2 - 生コンクリート廃水のシックナー工法と装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
生コンクリート工場並びにコンクリート二次製品工場におけるセメント混合濁水を沈降作用により上澄水を分離するシックナー槽に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の生コン工場における、シックナーは古くから広く使用されているが、そのすべては只単に自然沈降させるもので、形状として上部は大口径の円筒で下部は円錐状で先端に直結して排出弁を付設した構造である。この構造のものは閉栓事故が頻発している。生コン中に混入されている混和剤が沈降に及ぼす影響ならびにセメントの水和時間が、スラッジ水の沈降に及ぼす影響を無視した工法であるので含水率も高く、乾燥後の強度も厚生省で定めている1軸圧縮強度が80kg/cm2以下であるので管理型産業廃棄物として処理を義務づけられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
生コンクリートに配合されている混和剤がセメント粒子を微細化しているので沈降分離に時間が掛かることと、処理するまでの時間が長くなるほどセメントの水和反応が進行するため益々沈降分離が困難となるため、上澄水をより多く除去する方法と沈降効率の良いシックナーの形状を開発したものである。
本発明は、これらの問題点を解決するため、混和剤の作用を排除する手段と、さらに粒子の沈降を促進するための手段を講じるとともに、排出弁の詰まりを起こさない手段を付加して従来の方法より低い含水率の活性スラッジを得ることを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上段シックナー槽3と、下段シックナー槽18の連携により含水率の低い固形物を分離回収するものであって、上段のシックナー槽では、先ず生コンクリートの製造時刻から起算して5時間以内成るべく早い時間に、骨材の分離を終えたスラッジをシックナー槽に受入れることが最終的に得られるスラッジの圧縮強度の向上の基本となるもので、これが第一手段である。次に上段シックナー槽においては、内設した散気管よりエアーを噴出して曝気し、スラッジ内の混和剤被膜を破壊してセメント粒子を肥大化して沈降促進を促す手段を講じる。これが第二手段である。次に前記散気管のエアーの噴出を停止し、シックナーの機能であるスラッジ水の沈降を行わせる一次沈降工程に入る。これが第三手段である。一次沈降後、上澄水を排除する第四手段を行う。上段シックナー槽は、上部は大口径円筒状で次に円錐台を固着し、円錐台の下部には該円錐台下部と同径の円筒部10を設けている。前記円筒部10のスラッジを排出弁12を開き、下段シックナー槽へ重力落下させる、これが第五手段である。下段シックナー槽において二次沈降を行う第六手段をなす。二次沈降後、上澄水は1バッチ毎に浮子付軟性管20にて自然流出するようになす第七手段後、濃縮スラッジを二次製品等補足モルタルとして活用することと残余のものはその儘放置しておき、固形化したものをリサイクル並びに一般廃棄物として処理するものである。
【0005】
次に本発明の装置について述べる。上段シックナー槽3の構成は、中心部に、上下に作動する中空縦軸6を設け、下端に多数のノーズル15を有する散気管5を設置し、エアー源は、外部より中空縦軸を経て散気管5へ連通するもので、上段シックナー槽3の内部を満遍なく曝気する曝気時間と、曝気を停止する静止時間を自動作動するように設定し、前記散気管は、エアーと、水とを切り替え自在とする散水機能を具備している。下段シックナー槽18は、振動機架台21上に分離自在に載置しており、上段シックナー槽3より落下する沈降スラッジを1バッチ毎に受入れ、その都度振動機架台が所定タイム振動することにより沈降分離を促進させ、上澄水はその都度排出除去し、濃縮スラッジのみ一日分を収納する。又、上述したシックナー工法は、工場の規模によって、スラッジの発生量が、1セットの処理能力を上回る場合は2セット以上を並設して時間差を設けて交互に行うこともできる。
【0006】
【作用及び実施例】
本発明の作動要領を、実施例をもとに説明する。図1は上下段シックナー槽の正面構造図、図2は散気管平面図である。
発生したスラッジ水より骨材を取り除き貯溜槽1に流入する。戻りコンの殆ど出ない小型工場では、骨材を分離機で分離することなく、貯溜槽1へ投入することもできる。貯溜槽に入れたスラッジ水は、サンドポンプ2によって、上段シックナー槽3へ流入する。流入後所定時間経過するか又は所定水位に達すると検知し、ポンプは停止する。
サンドポンプ2の停止後エアー弁16が開となり中空縦軸6を経て散気管5の噴気ノーズル15から曝気が始まると同時にシリンダーロット14に連結している中空縦軸6が伸張して下降を始め、散気管は下限に達する。この段階からゆっくりと上昇工程に入り、各層にエアーの曝気がなされる。この工程で混和剤被膜の破壊がなされてセメント粒子は肥大化するので沈降が促進される。散気管が上限水面上に至ると、エアーの曝気も中止する散気管の休止時の定位置は上限とする。
曝気が中止すると所定の沈降タイムを経過して上段排水弁7が開となり上澄水の放出が始まる。
【0007】
下段排水弁8は上段排水弁7の開から所定のタイムを経て自動的に開となる。弁7及び弁8には夫々浮子付軟性管11が付設しており、浮子は濃縮スラッジと上澄水の境界線に位置するように設定しているので水位低下と共に軟性管の取入れ口も低下する。上澄水は弁8により可能の範囲放出する。次にピンチバルブ弁12が解放する。濃縮スラッジは下段シックナー槽18に落下する。放出が終るとピンチ弁12は閉となる。これで1バッチ工程が終了する。再びサンドポンプ2が始動して2バッチ目の工程が始まる。下段シックナー槽18は2バッチ目の落下開始までの時間を沈降時間としており1バッチ毎に上澄水は浮子付き軟性管20により排出される。下段シックナー槽は可搬式で振動機架台21上に載置されておりスラッジ落下が始まると所定タイム振動する。搬出時はフォークリフト等にて搬出する。
【0008】
【発明の効果】
以上詳述したことで明らかなように▲1▼未水和分の多い発生直後のスラッジを沈降分離すること。▲2▼エアーブローにより混和剤被膜を破壊することによりセメント粒子が肥大化するので沈降が促進される。▲3▼上段シックナー槽の下部に円筒部10を設けたことによる詰まりを予防する。▲4▼上下2段式シックナー方式としたため下段シックナー槽を広い沈降面とすることが可能となり沈降効率が向上する。▲5▼下段シックナー槽に初期振動を付設することにより沈降が促進されそのままケーキ貯槽となる。
経済面では、従来の生コン廃水処理方法の主流であるフィルタープレス脱水機に比し(イ)価額が各段に安価である。(ロ)維持費がほとんどかからない。(ハ)ケーキの強度は一軸圧縮強度80kg/cm2以上となるので管理型廃棄物から脱出することとリサイクルが可能となり公害防止機器として貢献できる。(ニ)本開発は即時に全量シックナー処理するものであるので従来必要としていた貯溜槽並に撹拌装置及び上屋等関連設備が大幅に削減されるので総合経済効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明シックナー槽正面構造図である。
【図2】散気管平面図である。
【符号の説明】
1 貯溜槽
2 サンドポンプ
3 上段シックナー槽
4 エアーシリンダー
5 散気管
6 中空縦軸
7 上段排水弁
8 下段排水弁
10 円筒部
11 浮子付軟性管
12 ピンチバルブ
13 軟性偏平弁
14 シリンダーロット
15 噴気ノーズル
16 エアー弁
17 給水弁
18 下段シックナー槽
19 オーバーフロー口
20 浮子付軟性管
21 振動機架台
Claims (3)
- 鋼板製シックナー2台を上下に配置し、生コンクリート廃水を1バッチ毎に処理する工法であって、生コンクリートの製造時刻から起算して5時間以内に、骨材の分離を終えたスラッジを上段シックナー槽に受入れる第一手段と、該シックナー槽に内設した散気管より時間設定をしてエアーを噴出し曝気する第二手段と、該エアーを停止しスラッジ水の一次沈降を行わせる第三手段と、一次沈降後の上澄水を排除する第四手段と、上段シックナー槽の排出弁を開閉することによって、スラッジを下段シックナー槽へ重力落下させる第五手段と、下段シックナー槽で波状振動を付加し二次沈降を行わせる第六手段と、二次沈降後の上澄水を除去する第七手段とを実行し、第七手段を経て得られる濃縮スラッジを再生モルタルとして活用すること、又はその儘放置しておき、固形化したものをリサイクル並びに産業廃棄物として処理することを特徴とする生コンクリート廃水のシックナー工法。
- 上段シックナー槽3の構成は、上部は大口径円筒で、次に円錐台を設け、下部は円筒部よりなり、中心部に上下に作動する中空縦軸6を設け、縦軸の下端に多数の噴気ノーズル15を有する散気管5を設置し、エアー源は、外部より中空縦軸を経て散気管5へ連通するもので、上段シックナー槽3の内部を満遍なく曝気する曝気時間と、曝気を停止する静止時間を自動作動するように設定し、前記散気管は、エアーと、水とを切り替え自在とする水洗機能を具備し、下段シックナー槽18の構成は、可搬式とし、面積において上段シックナー槽3の下部円筒部10より数倍の槽となし、振動機架台21上に載置したもので、落下する沈降スラッジを1バッチ毎に受入れ、上澄水はその都度自然流出させて除去し、濃縮スラッジのみを収納するもので二次製品等のモルタルの補足材とするものは即時に使用し、残余は固結後処理することを特徴とする生コンクリート廃水のシックナー装置。
- 前記上下に設置したシックナー装置を複数セット並設して、満水、曝気、沈降排出作用を時間差を設けて交互に行うように構成したことを特徴とする請求項2記載の生コンクリート廃水のシックナー装置。
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