JP4175447B2 - キャスク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃料を終えた使用済み核燃料集合体を収容するキャスクに関するものであって、特に、蓋部等に設けた二重シール内に入り込んだ水等を排水するキャスクに関する。
【0002】
【従来の技術】
核燃料サイクルの終期にあって燃焼を終え使用できなくなった核燃料集合体を、使用済み核燃料という。この使用済み核燃料は、核分裂性物質および核分裂生成物などを含んで放射能および崩壊熱を発生することから熱的に冷却する必要があり、原子力発電所の冷却ピット内で所定期間(たとえば、3〜6ヶ月間)冷却される。その後、使用済み核燃料は、放射能の遮蔽容器であるキャスクに収容され、トラック等で再処理施設等に搬送されて、所定の貯蔵室内において長期に渡って貯蔵される。
【0003】
このようなキャスクの従来例としては、「原子力eye」(平成10年4月1日発行:日刊工業出版プロダクション)や特開昭62−242725号公報などにて様々な種類のものが開示されている。以下に本発明の開発にあたり、その前提となったキャスクについて説明する。なお、当該キャスクは、説明の便宜のために示すものであり、いわゆる公知、公用に該当するものではない。
【0004】
図12は従来のキャスクの分解斜視図、図13は一次蓋または二次蓋の平面図、図14は蓋部のボルト部分での縦断面図、図15は蓋部の二重Oリング部分での縦断面図、図16は二重Oリングの排水状態を示す概念図である。図12に示すように、キャスク100は、筒形状のキャスク本体2と、その一端の蓋部3、および他端の底部4とを備えて構成されている。図12の破断部分に示すように、キャスク本体2の外周部分は中性子遮蔽体であるレジン5にて覆われており、その内部には、使用済み核燃料を収容する複数の角パイプ6を束状に集合して構成されたバスケット7が設けられている。
【0005】
キャスク本体2および底部4はγ線遮蔽体である炭素鋼製の鍛造品である。また、蓋部3は、ステンレス鋼製等の円盤形状の一次蓋31および二次蓋32から構成されている。図14に示すように、これら一次蓋31および二次蓋32はその周縁のフランジ31a、32aを貫通するボルト33によってそれぞれキャスク本体2の上部に固定される。この一次蓋31および二次蓋32と、キャスク本体2との相互間には、これらの間の密閉性を維持するシール材として、金属製の二重Oリング10が挟持されている。
【0006】
図13〜15に示すように、一次蓋31および二次蓋32のフランジ31a、32aの底部には、当該フランジ31a、32aの全周に沿って凹部31b、32bが形成されており、この凹部31b、32b内に二重Oリング10が収められている。この二重Oリング10は、図15に示すように、一対のOリング11を連結片12を介して相互に連結した一体型の二重Oリングである。一対のOリング11の相互間には内部空間13が形成されており、この内部空間13を通って連結片12を貫通する固定ビス14によって、二重Oリング10が一次蓋31または二次蓋32に固定されている。
【0007】
この二重Oリング10としては、2本のOリング11を非連結状として個別の凹部に配置する独立型のものも提案されている。しかしながら、一体型の二重Oリング10は、2本のOリング11を一体に固定等できるため独立型の二重Oリング10に比べて取り扱いが容易である。また、連結片12を一次蓋31または二次蓋32に対してネジ止めすることによって確実に固定を行うことができ、キャスク100に近づくことなく遠隔操作にて蓋部3の取り付け等を行う必要がある状況下に適することから、この一体型の二重Oリング10がキャスク100に対して主に採用されている。
【0008】
ここで、キャスク本体2に対する使用済み核燃料の収容は、当該使用済み核燃料の反応を抑制するために純水中で行われる。概略的には、まず、純水を満たした貯蔵プール内に、蓋部3を取付ける前のキャスク本体2が配置され、使用済み核燃料がキャスク本体2に挿入される。その後、二重Oリング10を取り付けた状態の一次蓋31が、クレーンにて吊り上げられ、キャスク本体2の上部に被せられてボルト33で固定される。
【0009】
そして、キャスク本体2の密閉性が確認された後、貯蔵プールからキャスク本体2が引き上げられる。さらに、二重Oリング10を取り付けた状態の二次蓋32が、クレーンにて吊り上げられ、キャスク本体2の上部に被せられてボルト33にて固定される。そして再び、キャスク本体2の密閉性が確認される。密閉性の確認は、一次蓋31および二次蓋32に設けた図示しないセンサにて二重Oリング10の周辺圧力を検出し、検出された圧力の変動値が所定値以下であるか否かを基準として行われる。
【0010】
このように一次蓋31の取り付けは純水中で行われ、また、二次蓋32についても貯蔵プールからの引き上げ後に間もなく行われることから、二重Oリング10の内部空間13には水が溜まることになる。このように二重Oリング10に水が溜まっている場合、この水の体積変動によって二重Oリング10内の圧力が大きく変動してしまうため、各蓋の取り付け後における密閉性の確認時に圧力変動値が所定値以上であると検出され、密閉基準がクリアできないという問題があった。
【0011】
このような問題を解決するため、キャスク100には、二重Oリング10内に入り込んだ水を排水するための機構が設けられている。具体的には、図13に示すように、一次蓋31および二次蓋32それぞれのフランジ31a、32aには、内部空間13に至る一対の圧空ポート101および排水ポート102が設けられていた。これら圧空ポート101および排水ポート102は、相互に対向する位置に形成されており、圧空ポート101から圧力空気を注入し、この圧力によって、二重Oリング10に入り込んだ水を押し出して、排水ポート102から排水可能としていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来のキャスクにおいては、上述のように圧空ポート101および排水ポート102を単に対向位置に設けていたので、図16に示すように、圧空ポート101から排水ポート102に至る経路として、二つの経路R100、R101が形成されていた。したがって、たとえば、圧空ポート101から注入された圧力空気が経路R100のみに流入し、経路R101内の水が排水されない等、二重Oリング10内に入り込んだ水の排水を充分に行うことができないというおそれがあった。
【0013】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、キャスク本体と遮蔽体との間に配置された二重シール内に入り込んだ水等の排水性の向上等を図ることのできるキャスクを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1にかかるキャスクは、使用済み核燃料集合体を収容するキャスク本体と、前記キャスク本体の開口部を遮蔽する遮蔽体と、前記キャスク本体と前記遮蔽体の間に配置された円環状の二重シールと、前記遮蔽体から前記二重シールに至るもので、前記二重シールの内部空間に加圧気体を注入する圧空ポート、および、前記加圧気体にて押し出された液体を排水する排水ポートと、前記二重シールの内部空間における密閉壁を形成するもので、前記圧空ポートから前記排水ポートに至る前記加圧気体の経路を所定の1の経路に規制する密閉部材と、を備えるものである。
【0015】
二重シールは内部空間を有するため、この内部空間に水等の液体が入り込むことがある。この水等を排水するために圧空ポートから注入された加圧空気等の加圧気体は、圧空ポートを介して二重シールの内部空間に流入する。ここで、内部空間内における加圧気体の流動は、この内部空間に設けられた密閉壁によって規制されるため、加圧気体の流入経路が所定の1の経路に限定される。したがって、加圧気体は、この所定の1の経路にのみ流入し、内部空間に溜まっている液体が同経路に沿って押し出されて、排水ポートから排水される。このように、加圧気体が複数経路に流入することがないので、内部空間に溜まっている液体を確実に排水でき、排水性を向上させることができる。
【0016】
また、請求項2にかかるキャスクは、前記遮蔽体を、前記使用済み核燃料集合体を収容するために前記キャスク本体に設けた開口部を、遮蔽するための蓋部とすることができる。
【0017】
本発明は、キャスク本体に設けた任意の開口部と、この開口部を遮蔽するための蓋部等の任意の遮蔽体との間の密閉構造について適用することができる。特に、キャスク本体への使用済み核燃料集合体の収容は純粋中で行われるため、この収容のための開口部と、この開口部を遮蔽する蓋部との間には水が溜り易い。また、この蓋部の密閉性は、使用済み核燃料集合体から放射される中性子等の拡散を防止するために極めて重要であるため、水を排水して密閉性を高めることが必要である。このような部位において確実な排水を行うことにより、キャスク全体の信頼性を向上させることができる。
【0018】
また、請求項3にかかるキャスクは、前記密閉部材を、前記二重シールの全周のうちの1ヶ所に設け、前記密閉部材に対する二つの隣接位置の一方に前記圧空ポートを形成し、前記密閉部材に対する二つの隣接位置の他方に前記排水ポートを形成したものである。
【0019】
圧空ポートから注入された加圧気体は、密閉部材と反対方向にのみ流入可能である。この方向に流入した加圧気体は、内部空間に溜まった液体を押し出しつつ、再び密閉部材の近傍に至る。押し出された液体は、密閉部材によって圧空ポート側への流入を阻まれ、その手前に位置する排水ポートから排水される。このように、密閉部材、圧空ポートおよび排水ポートをそれぞれ一つ設けるだけで排水を行うことができるので、蓋部および二重シールの製造や、加圧空気の注入作業等が容易である。
【0020】
また、請求項4にかかるキャスクは、前記密閉部材を、前記二重シールの全周のうちのほぼ対向する2ヶ所に設け、一方の前記密閉部材に対する二つの隣接位置の両方に前記圧空ポートを形成し、他方の前記密閉部材に対する二つの隣接位置の両方に前記排水ポートを形成したものである。
【0021】
二つの圧空ポートから注入された加圧気体は、それぞれ密閉部材と反対方向にのみ流入可能である。この方向に流入した加圧気体は、内部空間に溜まった液体を押し出しつつ、対向側の密閉部材の近傍に至る。押し出された液体は、密閉部材によってそれ以上の進行を阻まれ、その手前に位置する排水ポートから排水される。ここで形成される二つの排水経路は、蓋部のほぼ半周分と短いため、全周分の経路を介して排水を行う場合に比べて、一層迅速な排水を行うことができる。また、経路長が短い分、水の押し出しに要する圧力が少なくなるので、加圧空気の圧力を低圧化することができる。更に、二つの排水経路が二つの密閉部材によって相互独立に形成されており、一方の経路の気体や液体が他方の経路に流入することがないので、二つの経路へ注入する気体の加圧圧力が不均衡であっても、排水性を低下させることがない。
【0022】
また、請求項5にかかるキャスクは、前記密閉部材を、軟質金属にて形成したものである。
【0023】
キャスク本体と遮蔽体との間に挟持された密閉部材は、これらキャスク本体等から押圧される。ここで、密閉部材は軟質金属にて形成されているために弾性力を有し、押圧された際には自己の有する弾性力にて弾性変形し、キャスク本体等の間の隙間を塞いで密閉性を向上させる。特に、金等の耐腐食性を有する金属を用いた場合には、長期の貯蔵期間中における密閉性を一層確実に維持することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかるキャスクの実施の形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
図1はこの発明の実施の形態1にかかるキャスクの斜視図、図2は図1のキャスクの縦断面図、図3は図1のキャスクの分解斜視図である。なお、特に説明なき構成は上述した従来技術と同じであり、同じ構成を同符号にて示す。
【0026】
図1〜3に示すように、キャスク1は、筒形状のキャスク本体2と、その一端の蓋部3、および他端の底部4とを備えて構成されている。キャスク本体2の外周部分は中性子遮蔽体であるレジン5にて覆われており、その内部には、使用済み核燃料を収容する複数の角パイプ6を束状に集合して構成されたバスケット7が設けられている。
【0027】
キャスク本体2および底部4はγ線遮蔽体である炭素鋼製の鍛造品であり、突き合わせ溶接にて接合されている。蓋部3は、ステンレス鋼製等の円盤形状の一次蓋31および二次蓋32から構成されており、これら一次蓋31および二次蓋32はその周縁のフランジ31a、32aを貫通する複数のステンレス製等のボルト33によってそれぞれキャスク本体2の上部に固定される(なお、図1、2においてフランジ31a、32aは補助遮蔽体8にて覆われている)。
【0028】
図4は一次蓋または二次蓋等を下方から示す分解斜視図、図5は一次蓋または二次蓋の平面図、図6は蓋部のボルト部分での縦断面図、図7は蓋部の圧空ポート部分での縦断面図、図8は蓋部の二重Oリング部分での縦断面図である。これら図4〜8に示すように、一次蓋31および二次蓋32と、キャスク本体2との相互間には、これらの間の密閉性を維持するシール材として、金属製の二重Oリング10が挟持されている。図4、8に示すように、一次蓋31および二次蓋32のフランジ31a、32aの底部には、当該フランジ31a、32aの全周に沿って凹部31b、32bが形成されており、この凹部31b、32b内に、当該凹部31b、32bに略対応した円環状の二重Oリング10が収められている。
【0029】
この二重Oリング10は、図8に示すように、ステンレス等の金属からなる一対のOリング11を連結片12を介して相互に連結した一体型の二重Oリングである。これら一対のOリング11の相互間には内部空間13が形成されており、この内部空間13を通って連結片12を貫通する固定ビスによって、二重Oリング10が一次蓋31または二次蓋32に固定されている。この状態において、各Oリング11の上端は凹部31b、32bの底面に当接し、また、各Oリング11の下端はキャスク本体2の上面に当接して、一次蓋31または二次蓋32とキャスク本体2との間の密閉性を維持する。
【0030】
各Oリング11の内部には、当該Oリング11の弾性を維持するための金属等が収められている。この他、金属等の内部にさらにバネ等の弾性体を収めた二重Oリング等、各種の二重Oリングを採用することができる。また、各Oリング11の断面形状は円形に限られず、楕円形の如き任意の形状とすることができる。すなわち、一対のOリング11を連結片12を介して相互に連結したものであって、各Oリング11の相互間に内部空間13を有する全ての二重Oリングが使用されてよい。
【0031】
なお、二重Oリング10は、上述のように一次蓋31または二次蓋32に固定することが当該二重Oリング10の保護のために好ましいが、この固定構造は適宜変更可能であり、たとえばキャスク本体2の上面に取り付けることも可能である。
【0032】
ここで、図5、8に示すように、二重Oリング10の全周のうちの1ヶ所には、密閉部材としての軟質金属20が設けられている。この軟質金属20は、図8に示すように、内部空間13にほぼ適応する縦断面形状を有する方形のブロック体で、その上面を連結片12の下面に当接させ、その側面を各Oリング11の側面に当接させ、かつ、その下面をキャスク本体2の上面に当接させることによって、内部空間13における気体および液体の流動を規制する密閉壁として機能する。ただし、この軟質金属20による密閉性は完全なものでなくともよく、二重Oリング10の内部に入り込んだ水等の液体を所望の程度に排水可能なように、内部空間13の内部における加圧空気等の気体および水等の液体の流動をある程度規制し得るものであればよい。
【0033】
このような水密性を得るため、軟質金属20としては、具体的には金や銀等のように弾性力を有する金属を用いることが好ましい。また当然のことながら、軟質金属20としては、耐腐食性を有する金属を用いることが好ましく、この点においても金等は好適である。ただし、軟質金属20に代えて、合成樹脂等の任意の密閉部材を用いることもできる。軟質金属20の形状としては、上述の方形ブロック体に限らず、内部空間13の縦断面形状に一層適合した変形状として形成してもよい。また、軟質金属20の内部には、バネ等の弾性体を設けることによって、水密性を向上させてもよい。
【0034】
この軟質金属20は、二重Oリング10、一次蓋31、または二次蓋32に固定されており、少なくとも、後述する圧空ポート40および排水ポート50に対する相対的な位置関係が維持されている。この固定構造は種々のものが採用されてよいが、たとえば、下方から軟質金属20を貫通する固定ネジを、連結片12、一次蓋31、または二次蓋32にネジ込むことによって固定を行うことができる。あるいは、軟質金属20の側方にリブ片を設け、このリブ片を貫通する固定ネジを、連結片12、一次蓋31、または二次蓋32にネジ込むことによって固定を行うことができる。また、二重Oリング10をキャスク本体2に固定した場合には、軟質金属20についても、キャスク本体2に固定することができる。
【0035】
ここで、図5に示すように、この軟質金属20に対する二つの隣接位置のうち、一方の隣接位置には、圧空ポート40が形成されている。圧空ポート40は、図7に示すように、一次蓋31または二次蓋32を貫通して二重Oリング10の内部空間13に至る通孔であり、その上端に接続した図示しない加圧空気注入装置から供給された加圧空気を、二重Oリング10の内部空間13に流入させる。この圧空ポート40は、加圧空気を内部空間13に注入する経路として機能するものであればよく、その形状や空気の注入位置等は適宜変更することができる。たとえば、一次蓋31や二次蓋32の上方でなく側方から加圧空気を流入させるものでもよい。
【0036】
また、図5に示すように、軟質金属20に対する二つの隣接位置のうち、他方の隣接位置には、排水ポート50が形成されている。この排水ポート50は、圧空ポート40と同様に、一次蓋31または二次蓋32を貫通して二重Oリング10の内部空間13に至る通孔である。この排水ポート50は、圧空ポート40を介して注入された加圧空気が二重Oリング10の内部空間13に流入し、この加圧空気によって内部空間13に溜まっている水が押し出された際、この水を一次蓋31または二次蓋32の外部に排水する排水経路として機能する。
【0037】
この排水ポート50は、内部空間13の水を一次蓋31または二次蓋32の外部に排水する経路として機能するものであればよく、その形状や空気の注入位置等は適宜変更することができる。これら圧空ポート40および排水ポート50は、軟質金属20に対して極力近接した位置に配置されることにより、軟質金属20との間に水を溜めることがないように形成されることが望ましい。
【0038】
このような圧空ポート40および排水ポート50を介して、二重Oリング10の内部空間13に浸入した水を排水する手順等について説明する。図9は二重Oリングの排水状態を示す概念図である。まず、圧空ポート40から加圧空気を注入し、この加圧空気を内部空間13に流入させる。ここで、図9に示すように、圧空ポート40は軟質金属20に隣接しているため、排水ポート50側への加圧空気の流入は軟質金属20にて規制され、加圧空気は軟質金属20と反対方向(図9の矢視方向)にのみ流入可能である。
【0039】
したがって、加圧空気は、水を押し出しつつ、図9の矢印方向にのみ流動し、押し出された水は軟質金属20の近傍に至る。このように押し出された水の圧空ポート40側への流入は軟質金属20にて規制されるため、この水は、その軟質金属20の手前に位置する排水ポート50から排水される。すなわち、軟質金属20を設けたことによって、加圧空気の流動経路が唯一の経路R1に限定されるので、この経路R1を介して水が確実に排水される。特に、本実施形態によれば、軟質金属20、圧空ポート40および排水ポート50をそれぞれ一つ設けるだけで確実な排水を行うことができるので、蓋部3および二重Oリング10の製造や、加圧空気の注入作業等が容易である。
【0040】
(実施の形態2)
図10は一次蓋または二次蓋の平面図、図11は二重Oリングの排水状態を示す概念図である。なお、特に説明なき構成は上述した実施の形態1と同じであり、同じ構成を同符号にて示す。図10に示すように、本実施形態においては、一次蓋31および二次蓋32の周縁に二つの圧空ポート41、42、および二つの排水ポート51、52が形成されており、また、二重Oリング10には二つの軟質金属21、22が設けられている。
【0041】
二つの軟質金属21、22は、二重Oリング10の全周のうちの相互にほぼ対向する箇所に設けられており、実施の形態1と同様に、二重Oリング10の内部空間13に配置されて、当該内部空間13おける気体および液体の流動を規制する密閉壁として機能する。また、圧空ポート41、42は、一方の軟質金属21に対する二つの隣接位置の両方に設けられており、排水ポート51、52は、他方の軟質金属22に対する二つの隣接位置の両方に設けられている。換言すれば、二つの圧空ポート41、42が若干間隔を空けて並設されており、その間に軟質金属21が配置され、また、二つの排水ポート51、52が若干間隔を空けて並設されており、その間に軟質金属22が配置されている。
【0042】
したがって、図11に示すように、両方の圧空ポート41、42から加圧空気が注入された場合、圧空ポート41からの加圧空気は軟質金属21と反対方向に至る経路R2のみに流入可能であり、また同時に、圧空ポート42からの加圧空気は経路R3のみに流入可能である。したがって、加圧空気はそれぞれ経路R2、R3に流入し、各経路R2、R3の内部に溜まっていた水が押し出され、経路R2の水は排水ポート51から排水され、経路R3の水は排水ポート52から排水される。この場合においても、圧空ポート41からの加圧空気の流動経路と、圧空ポート42からの加圧空気の流動経路とは、それぞれ異なる唯一の経路R2、R3に限定されるので、これら経路R2、R3を介して水が確実に排水される。
【0043】
特に、各経路R2、R3の長さが一次蓋31または二次蓋32のほぼ半周分と短いため、迅速な排水を行うことができ、また、経路長が短い分だけ加圧空気の圧力を低圧化することができる。なお、排水ポート51、52側の軟質金属22を省略すると共に、排水ポート51、52のいずれか一方を省略しても、ほぼ同様の効果を得ることができる。ただし、この場合には、経路R2、R3の圧力が相互に不均衡であると、経路R2、R3の一方の水が排水ポートを通り越して他の経路R2、R3に流入する可能性があるため、図10に示す構成がより好ましい。
【0044】
これまで説明した他、本発明は、種々の異なる形態にて実施可能である。たとえば、上記説明においては、一次蓋31および二次蓋32とキャスク本体2との間の密閉構造について例示したが、キャスク本体2に設けた任意の開口部と、この開口部を遮蔽する任意の遮蔽体との間の密閉構造について、上述の構造を同様に適用することができる。また、二重Oリング10に注入する気体を空気、二重Oリング10から排水される液体を水として説明したが、任意の気体で任意の液体を排水させる全ての排水構造に適用することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明にかかるキャスク(請求項1)によれば、二重シールの内部空間に加圧気体を注入する圧空ポート、および、加圧気体にて押し出された液体を排水する排水ポートと、二重シールの内部空間における密閉壁を形成するもので、圧空ポートから排水ポートに至る加圧気体の経路を所定の1の経路に規制する密閉部材等を備えるので、加圧気体が複数経路に流入することがないので、内部空間に溜まっている液体を確実に排水でき、排水性を向上させることができる。
【0046】
また、この発明にかかるキャスク(請求項2)によれば、遮蔽体を、使用済み核燃料集合体を収容するためにキャスク本体に設けた開口部を、遮蔽するための蓋部としているので、使用済み核燃料集合体の収容の際に水が溜り易く、また、中性子等の拡散防止に重要な部位において確実な排水を行うので、キャスク全体の信頼性を向上させることができる。
【0047】
また、この発明にかかるキャスク(請求項3)によれば、密閉部材を、二重シールの全周のうちの1ヶ所に設け、密閉部材に対する二つの隣接位置の一方に圧空ポートを形成し、密閉部材に対する二つの隣接位置の他方に排水ポートを形成したので、密閉部材、圧空ポートおよび排水ポートをそれぞれ一つ設けるだけで排水を行うことができるので、蓋部および二重シールの製造や、加圧空気の注入作業等が容易である。
【0048】
また、この発明にかかるキャスク(請求項4)によれば密閉部材を、二重シールの全周のうちのほぼ対向する2ヶ所に設け、一方の密閉部材に対する二つの隣接位置の両方に圧空ポートを形成し、他方の密閉部材に対する二つの隣接位置の両方に排水ポートを形成したので、一層迅速な排水を行うことができる。また、加圧空気の圧力を低圧化することができる。更に、二つの経路へ注入する気体の加圧圧力が不均衡であっても、排水性を低下させることがない。
【0049】
また、この発明にかかるキャスク(請求項5)密閉部材を、軟質金属にて形成したので、この軟質金属が自己の有する弾性力にて弾性変形し、キャスク本体等の間の隙間を塞いで密閉性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1にかかるキャスクの構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示したキャスクの構成を示す縦断面図である。
【図3】図1に示したキャスクの構成を示す分解斜視図である。
【図4】一次蓋または二次蓋等を下方から示す分解斜視図である。
【図5】一次蓋または二次蓋を示す平面図である。
【図6】蓋部のボルト部分での縦断面図である。
【図7】蓋部の圧空ポート部分での縦断面図である。
【図8】蓋部の二重Oリング部分での縦断面図である。
【図9】二重Oリングの排水状態を示す概念図である。
【図10】この発明の実施の形態2にかかるキャスクの一次蓋または二次蓋の構成を示す平面図である。
【図11】二重Oリングの排水状態を示す概念図である。
【図12】従来におけるキャスクの構成を示す分解斜視図である。
【図13】一次蓋または二次蓋の構成を示す平面図である。
【図14】蓋部のボルト部分での縦断面図である。
【図15】蓋部の二重Oリング部分での縦断面図である。
【図16】二重Oリングの排水状態を示す概念図である。
【符号の説明】
1、100 キャスク
2 キャスク本体
3 蓋部
4 底部
10 二重Oリング
11 Oリング
12 連結片
13 内部空間
20、21、22 軟質金属
31 一次蓋
32 二次蓋
33 ボルト
40、41、42、101 圧空ポート
50、51、52、102 排水ポート
Claims (5)
- 使用済み核燃料集合体を収容するキャスク本体と、
前記キャスク本体の開口部を遮蔽する遮蔽体と、
前記キャスク本体と前記遮蔽体の間に配置された円環状の二重シールと、
前記遮蔽体から前記二重シールに至るもので、前記二重シールの内部空間に加圧気体を注入する圧空ポート、および、前記加圧気体にて押し出された液体を排水する排水ポートと、
前記二重シールの内部空間における密閉壁を形成するもので、前記圧空ポートから前記排水ポートに至る前記加圧気体の経路を所定の1の経路に規制する密閉部材と、
を備えることを特徴とするキャスク。 - 前記遮蔽体は、前記使用済み核燃料集合体を収容するため前記キャスク本体に設けた開口部を、遮蔽する蓋部であることを特徴とする請求項1に記載のキャスク。
- 前記密閉部材を、前記二重シールの全周のうちの1ヶ所に設け、前記密閉部材に対する二つの隣接位置の一方に前記圧空ポートを形成し、前記密閉部材に対する二つの隣接位置の他方に前記排水ポートを形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のキャスク。
- 前記密閉部材を、前記二重シールの全周のうちのほぼ対向する2ヶ所に設け、一方の前記密閉部材に対する二つの隣接位置の両方に前記圧空ポートを形成し、他方の前記密閉部材に対する二つの隣接位置の両方に前記排水ポートを形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のキャスク。
- 前記密閉部材は、軟質金属にて形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のキャスク。
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