JP4175053B2 - 切断刃の構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、切断刃の構造に関し、詳しくは例えば、電気カミソリ刃やバリカン刃等の外刃と内刃、さらに産毛剃り器や電動庭木バリカン等の櫛刃状の固定刃と可動刃とを備えた切断刃の構造において、刃の焼き付けを防止する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電気カミソリの内刃と外刃は、ステンレス製の刃が樹脂にて保持されたものが一般的であるが、仮りに注油することなく長時間を連続駆動させた場合、外刃と内刃の摺動・干渉により摩擦熱が発生し、外刃と内刃が焼き付き、使用中に火傷の危険があるばかりか、その後の使用に当たっても、焼付きによる摺動摩擦の増加による摺動負荷増大のため、内刃振幅の低下による切れ味劣化、負荷増大による電池寿命悪化を招くという問題があった。
【0003】
同様に、電動バリカンや産毛剃り器や電動庭木バリカン等のように、櫛刃状の可動刃と固定刃とを有する電動刃物類についても同様の問題があった。特に電気カミソリや産毛剃り器や電動バリカンについては刃が発熱していると使用時に刃が肌に直接あたることがあるために、不快なだけでなく火傷の危険がある。
【0004】
そこで、従来では、(1)注油をこまめに行なう、(2)一定時間駆動後に自動的に停止するようにした長時間連続運転防止機構の付加、(3)摩擦低減薬剤の塗布、(4)摩擦低減材の被覆、等の技術的対策が一般的にとられてきた。
【0005】
その一例として特開平3−57477号公報には、回転刃自体を形状記憶合金で形成した回転式電気カミソリの刃が開示されている。回転刃の外刃は落下等の衝撃により刃が変形しやすく、少しでも変形すると外刃(網刃)と内刃(回転刃)との間に発生した隙間の影響で切れ味が極端に悪くなる。そこで、この従来例では形状記憶合金にて正常時の外刃形状を記憶しておき、外刃と内刃の摺接による摩擦熱或いは外部からの加熱によって変形後の外刃を正常時の形状に復帰させることにより切れ味の劣化を防止することを目的としている。
【0006】
また他の従来例として、特開平4−253889号公報には、キワゾリ刃ユニットの出退回動機構の駆動源として形状記憶合金を使用した例が開示されている。この他の従来例では、電気カミソリ本体ケースから突出する姿勢と本体ケース側に倒す収納姿勢とにわたって回動自在に備えられたキワゾリ刃ユニットの出退回動機構の駆動源として形状記憶合金を使用することにより、その回動操作の簡便化を図るものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来には、形状記憶合金を利用して、外刃と内刃或いは可動刃と固定刃の摩擦を緩和し、焼付きを未然に防止する技術、さらには焼付き発生時に使用者にそのことを知らせて火傷の危険を低減或いは回避するための技術等は存在しなかった。
【0008】
本発明は、上記の従来例の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、形状記憶合金を利用して外刃と内刃或いは可動刃と固定刃の摩擦を緩和し、焼付きを未然に防止できる切断刃の構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明にあっては、固定刃1と可動刃2とが互いに密着するように押し付けバネにてバネ付勢されている切断刃の構造であって、刃の発熱時に押し付けバネのバネ力に抗して固定刃1と可動刃2とを互いに離す方向に付勢するための形状記憶合金3を備えていることを特徴としており、このように構成することで、固定刃1又は可動刃2の一方或いは両方の異常発熱時には、形状記憶合金3が働いて固定刃1と可動刃2の摺接圧を下げるか、又は完全に摺接しなくすることができる。従って、油をささずに長時間、空運転したり、通常運転時でも長時間連続して剃り続けることで、外刃1Aと内刃2Aの摺動で熱が発生したときでも、形状記憶合金3によって外刃1Aと内刃2Aとが離れることで可動刃2と固定刃1の摩擦を緩和し、焼付きを未然に防止できるようになる。
【0010】
また、上記固定刃1と可動刃2が、電気カミソリの外刃1Aと内刃2Aであり、内刃押し上げバネ6によって内刃2Aが外刃1Aに摺接している場合において、刃の発熱時に内刃2Aを外刃1Aから離す方向に収縮する形状記憶合金板3Aを内刃2Aの底面に配設するのが好ましく、この場合、刃の発熱時に形状記憶合金板3Aが収縮して内刃2Aを外刃1Aから離すことで、焼き付けを未然に防止できるようになる。
【0011】
また、上記固定刃1と可動刃2が、電気カミソリの外刃1Aと内刃2Aであり、内刃押し上げバネ6によって内刃2Aが外刃1Aに摺接している場合において、刃の発熱時に内刃2Aを外刃1Aに向けて押圧する方向に伸張するアーチ状形状記憶合金板3Bを内刃2Aを保持する樹脂成型部4の端部に立設するのが好ましく、この場合、アーチ状形状記憶合金板3Bを内刃2Aを保持する樹脂成型部4の端部に立設したので、従来の内刃2Aの構造を変えることなく、アーチ状形状記憶合金板3Bによる焼き付け防止効果が得られる。
【0012】
また、上記固定刃1と可動刃2が、電気カミソリの外刃1Aと内刃2Aであり、内刃押し上げバネ6によって内刃2Aが外刃1Aに摺接している場合において、内刃押し上げバネ6が形状記憶合金製のバネ3Cで構成されると共に、内刃2Aの樹脂成型部4に熱伝達部5が埋設され、刃の発熱時に熱伝達部5からの熱によって形状記憶合金製のバネ3Cが内刃2Aを外刃1Aから離す方向に収縮するように構成されているのが好ましく、この場合、内刃押し上げバネ6を構成する形状記憶合金製のバネ3Cは、発熱時に熱伝導金属部品5aからの熱によって、形状記憶合金の温度が変態温度を超えて収縮し、結果として内刃2Aを外刃1Aへ押し上げる力が低減される。
【0013】
また、上記固定刃1と可動刃2が、電気カミソリの外刃1Aと内刃2Aであり、内刃押し上げバネ6によって内刃2Aが外刃1Aに摺接している場合において、内刃2Aと内刃押し上げバネ6との間、或いは内刃押し上げバネ6の底面と本体7との間に、刃の発熱時に内刃2Aを外刃1Aから離す方向に変形する形状記憶合金製の板3D或いはバネを備えているのが好ましく、この場合、発熱時には形状記憶合金製の板3D或いはバネの温度が変態温度を超えて内刃2Aを外刃1Aから離す方向に収縮し、結果として内刃2Aを外刃1Aへ押し上げる力が低減される。
【0014】
また、上記固定刃1と可動刃2が、電気カミソリの外刃1Aと内刃であり、内刃押し上げバネ6によって内刃が外刃1Aに摺接している場合において、内刃がアーチ状内刃2cで構成され、このアーチ状内刃2c自体が刃の発熱時に外刃1Aから離れる方向に収縮する形状記憶合金で構成されているのが好ましく、この場合、刃の発熱時には、形状記憶合金製のアーチ状内刃2c自体の温度が変態温度以上に上昇して、アーチ径を減少する方向へ収縮変形するようになり、結果としてアーチ状内刃2cと外刃1Aの摺接圧を低減することができる。
【0015】
また、上記固定刃1と可動刃2が、電気カミソリの外刃1Aと内刃であり、内刃押し上げバネ6によって内刃が外刃1Aに摺接している場合において、内刃がアーチ状内刃2cで構成され、このアーチ状内刃2cとこれを保持する樹脂成型部との間に、刃の発熱時にアーチ状内刃2cを外刃1Aから離す方向に変形する形状記憶合金製の板3E或いは板バネを配置するのが好ましく、この場合、刃の発熱時に形状記憶合金製の板3E或いは或いは板バネの温度が変態温度以上に上昇してアーチ状内刃2cを外刃1Aから離す方向に収縮変形するようになり、結果としてアーチ状内刃2cと外刃1Aの摺接圧が低減する。
【0016】
また、上記固定刃1と可動刃2が、電気カミソリの外刃と内刃2Aであり、内刃押し上げバネ6によって内刃2Aが外刃に摺接している場合において、外刃がアーチ状外刃1bで構成され、内刃2Aとアーチ状外刃1bを保持する外刃枠8との間に、刃の発熱時に内刃2Aをアーチ状外刃1bから離す方向に変形する形状記憶合金製のバネ、板、板バネ3Fのいずれかを配置するのが好ましく、この場合、発熱時に形状記憶合金製の板バネ3F等が変形して、内刃2Aがアーチ状外刃1bから離れる方向に移動することで、内刃2Aとアーチ状外刃1bの摺接圧が低減され、摩擦熱が減少する。また外刃枠8を利用して形状記憶合金製の板バネ3F等を支持できるので、該板バネ3F等を支持するための専用の部材を別に設ける必要がない。
【0017】
また、上記固定刃1と可動刃2が、電気カミソリの外刃1Aと内刃であり、内刃押し上げバネ6によって内刃が外刃1Aに摺接している場合において、内刃がアーチ状内刃2cで構成され、このアーチ状内刃2cの内面に沿ってアーチ状の棒3Gが取り付けられると共に、該アーチ状の棒3Gの少なくとも端部が、刃の発熱時にアーチ状内刃2cを外刃1Aから離す方向に変形する形状記憶合金で構成されているのが好ましく、この場合、刃の発熱時には、アーチ状の棒3Gの温度が変態温度以上に上昇して、該棒3Gの少なくとも端部を構成する形状記憶合金が変形してアーチ状内刃2cと外刃1Aの摺接圧が低減されることで、摩擦熱が減少する。また、アーチ状内刃2cに形状記憶合金製のアーチ状の棒3Gを内接して溶接等で固定することで、アーチ状内刃2cと棒3Gとが一体化されて部品数が減り、電気カミソリの構造を簡略化できる。
【0018】
また、上記固定刃1と可動刃2が、電気カミソリの外刃と内刃2Aであり、内刃押し上げバネ6によって内刃2Aが外刃に摺接している場合において、外刃がアーチ状外刃1bで構成され、このアーチ状外刃1bの内面に沿ってアーチ状の棒3Hが溶接、接着等により取り付けられると共に、該アーチ状の棒3Hの少なくとも端部が刃の発熱時にアーチ状外刃1bを内刃2Aから離す方向に変形する形状記憶合金で構成されているのが好ましく、この場合、刃の発熱時には、形状記憶合金製のアーチ状の棒3Hの温度が変態温度以上に上昇して、該棒3Hがアーチ状外刃1bを内刃2Aから離す方向に変形することによって、内刃2Aとアーチ状外刃1bの摺接圧が低減され、摩擦熱が減少する。また、アーチ状外刃1bと形状記憶合金製のアーチ状の棒3Hとを一体化することで電気カミソリの部品数を減少できる。
【0019】
また、上記固定刃1と可動刃2が、電気カミソリの外刃と内刃2Aであり、内刃押し上げバネ6によって内刃2Aが外刃に摺接している場合において、外刃がアーチ状外刃1bで構成され、このアーチ状外刃1bとこれを保持する外刃枠8との間に、刃の発熱時にアーチ状外刃1bを内刃2Aから離す方向に変形する形状記憶合金製の板バネ3I或いは板或いはコイルバネを配置するのが好ましく、この場合、刃の発熱時にアーチ状外刃1bからの熱によって形状記憶合金製の板バネ3I等が変形してアーチ状外刃1bを内刃2Aから離すことによって内刃2Aをアーチ状外刃1bへ押し付ける力が減少し、摩擦熱が減少すると共に、外刃枠8を利用して形状記憶合金製の板バネ3I等を支持できるので、該板バネ3I等を支持するための専用の部材を別に設ける必要がない。
【0020】
また、上記固定刃1と可動刃2が一対の櫛刃からなり、該櫛刃からなる該櫛刃からなる固定刃1と可動刃2の側面同士が互いに密着するようにバネ付勢されている場合において、モータ15の偏心軸9を受ける可動刃2の軸受け部10Aが形状記憶合金で構成され、刃の発熱時に、偏心軸9の外径寸法よりも形状記憶合金製の軸受け部10Aの開口幅Lが大きくなるように構成されているのが好ましく、この場合、刃の発熱が起こったときは、可動刃2から形状記憶合金製の軸受け部10Aに熱が伝導されることによって、軸受け部10Aの開口幅Lが大きくなる方向に形状記憶合金製の軸受け部10Aが変態変形する。これによって、モータ15から可動刃2への駆動伝達をにぶらせることができ、結果として、固定刃1と可動刃2との摩擦熱が減少して、焼付きを未然に防止できる。
【0021】
また、上記固定刃1と可動刃2が一対の櫛刃からなり、該櫛刃からなる固定刃1と可動刃2の側面同士が互いに密着するようにバネ付勢されている場合において、固定刃1と可動刃2の間に、刃の発熱時に伸張して固定刃1と可動刃2とを離す方向に付勢するための形状記憶合金板3Jを備えているのが好ましく、この場合、刃の発熱時に、形状記憶合金板3Jが伸張することにより固定刃1と可動刃2とが離れて、可動刃2と固定刃1の摺接圧が下がり、両刃1,2の摩擦熱が減少して、焼付きを未然に防止できる。
【0022】
また、上記固定刃1と可動刃2が一対の櫛刃からなり、該櫛刃からなる固定刃1と可動刃2の側面同士が互いに密着するようにバネ付勢されている場合において、固定刃1と可動刃2の間に、刃の発熱時に変形して固定刃1と可動刃2とを離す方向に付勢するための形状記憶合金板3Kを備えているのが好ましく、この場合、発熱時に形状記憶合金板3Kが変形することによって可動刃2を固定刃1から大きい幅で押し上げることが可能となる。
【0023】
また、上記固定刃1と可動刃2が一対の櫛刃からなり、該櫛刃からなる固定刃1と可動刃2の側面同士が互いに密着するようにバネ付勢されている場合において、モータ15により駆動する駆動伝達リブ11と嵌合する可動刃2の嵌合孔12の内部に、刃の発熱時に収縮して嵌合孔12内での駆動伝達リブ11の駆動距離を長くするための形状記憶合金製のバネ3Lを配置するのが好ましく、この場合、刃の発熱時に、熱が形状記憶合金製のバネ3Lに伝達されて該バネが収縮することで、嵌合孔12内での駆動伝達リブ11の駆動距離が長くなり、駆動伝達リブ11から可動刃2への駆動伝達が減じるようになる。つまり、可動刃2の嵌合孔12内に形状記憶合金製のバネ3Lを収納するだけの簡単な構造でありながら、発熱時には駆動伝達リブ11から可動刃2への駆動伝達をにぶらせることができ、結果として、固定刃1と可動刃2との摩擦熱が減少する。
【0024】
また、上記固定刃1と可動刃2が一対の櫛刃からなり、該櫛刃からなる固定刃1と可動刃2の側面同士が互いに密着するようにバネ付勢されている場合において、モータ15により駆動する駆動伝達リブ11を可動刃2に設けた嵌合孔12に嵌合させると共に、該駆動伝達リブ11に、刃の発熱時に収縮して嵌合孔12内での駆動伝達リブ11の往復運動方向の長さを長くするための形状記憶合金製のバネ3Mを配置するのが好ましく、この場合、刃の発熱時に、熱が形状記憶合金製のバネ3Mに伝達されて該バネ3Mが収縮するのに伴い、嵌合孔12内での駆動伝達リブ11の往復運動方向の距離が長くなり、モータ15から駆動伝達リブ11を介して可動刃2への駆動伝達が減じるようになり、結果として、固定刃1と可動刃2との摩擦熱が減少する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0026】
本発明は、固定刃1と可動刃2とが互いに密着するように押し付けバネにてバネ付勢されている切断刃の構造において、刃の発熱時に可動刃2と固定刃1の摩擦を緩和し、焼付きを未然に防止すると共に、焼付き発生時に火傷の危険を低減或いは回避することを目的として、刃の発熱時に押し付けバネのバネ力に抗して固定刃1と可動刃2とを互いに離す方向に変形する形状記憶合金3を備えていることに特徴を有している。
【0027】
以下、固定刃1と可動刃2が、電気カミソリの外刃1Aと内刃2Aであり、内刃押し上げバネ6によって内刃2Aが外刃1Aに摺接している場合の実施形態を説明する。本実施形態では、形状記憶合金3は内刃ブレード2bの底面を支持する形状記憶合金板3Aで構成されている。即ち、内刃2Aは、図1に示すように、複数の金属製の内刃ブレード2bと形状記憶合金板3Aと樹脂成型部4とで一体に構成されている。ここでは金属製の内刃ブレード2bの底面に形状記憶合金板3Aを溶接し、さらに樹脂成型により形状記憶合金板3Aを樹脂成型部4に対して固定してある。樹脂成型部4の下面中央には、図3に示すように、駆動子13と嵌合する軸受け部10が突設されている。図3中の6は内刃押し上げバネ、19はバネ接触片、44はバネ抜け防止金属部品である。図2(a)(b)は、内刃ブレード2bが摺接するフォイル状の外刃1Aが外刃枠8に保持された状態で、フロート支持枠14に下側から装着されて内刃2Aと外刃1Aが一体型となった刃ユニット17の一例を示している。
【0028】
上記内刃ブレード2bの底面に固定される形状記憶合金板3Aは、固定刃1と可動刃2との摺動摩擦によって発熱したときに、適当な自己変形を起こすように記憶処理が施されている。ここでは、形状記憶合金板3Aは刃の発熱時に、図4(b)に示す高さ方向A(外刃1Aから離れる方向)に縮むように形状記憶処理が施されている。そして、室温で内刃ブレード2bと外刃1Aが内刃押し上げバネ6(図3)によって適度な圧力で摺接する状態(図4(a)の状態)において、形状記憶合金板3Aを内刃ブレード2bと外刃1Aに対して力を及ぼさないよう適当な形状に変形させた上、適当な位置に配置しておく。そして、刃が発熱した時には、形状記憶合金板3Aがあらかじめ形状記憶していた形状に自己変形することで、内刃押し上げバネ6のバネ力に抗して内刃ブレード2bが外刃1Aから離れる方向に付勢されるようになっている。なお、形状記憶合金板3Aとしては、例えばNi−Ti合金のように形状回復温度より高温側でオーステナイト相という結晶構造をとり、これを冷却するとマルテンサイト相に変態するものが一例として挙げられる。
【0029】
しかして、外刃1A又は内刃2Aの一方或いは両方が異常発熱した時には、形状記憶合金板3Aが高さ方向Aに収縮することにより(図4(b)の状態)、内刃ブレード2bが外刃1Aから離れて内刃ブレード2bと外刃1Aの摺接圧が低減する。これにより、外刃1Aと内刃ブレード2bの摩擦を緩和し、焼付きを未然に防止することができる。ちなみに現行は図5に示す複数の金属製の内刃ブレード2bを樹脂成型により樹脂成型部4に保持したものであるため、油をささずに長時間、空運転したり、また通常運転時でも長時間連続して剃り続けていると、刃の摩擦熱が発生して焼き付きが生じるおそれがある。これに対して本発明では複数の金属製の内刃ブレード2bと樹脂成型部4との間に形状記憶合金板3Aを配置したので、内刃ブレード2bと形状記憶合金板3Aとが熱的に結合され、刃の発熱時には熱によって形状記憶合金板3Aが縮むことによって自動的に内刃ブレード2bと外刃1Aの摺接圧を下げるか、又は完全に摺接しなくする。従って、油をささずに長時間、空運転したり、通常運転時でも長時間連続して剃り続けているときに、外刃1Aと内刃ブレード2bの摺動で熱が発生したときでも、外刃1Aと内刃ブレード2bとの摺接圧が低減することで刃が冷やされ、結果として焼付きを未然に防いで火傷の危険を低減或いは回避することができ、使用者に熱による不快を与えることがないものであり、使用の安全性を確保できるものである。
【0030】
また本例では、複数の金属製の内刃ブレード2bの底面を形状記憶合金板3Aにて保持しているため、内刃ブレード2bの発熱時にその熱が効率良く形状記憶合金板3Aに伝達され、形状記憶合金板3Aによる変態作用が確実に行なわれることとなる。
【0031】
図6は本発明の他の実施形態であり、アーチ状形状記憶合金板3Bを内刃2Aの樹脂成型部4の長手方向の両側に立設する場合の一例を示している。他の構成は図1の実施形態と同様である。本例の内刃2Aは、複数の金属製の内刃ブレード2bと、各内刃ブレード2bを支持する樹脂成型部4と、樹脂成型部4の両端部から立設された左右一対のアーチ状形状記憶合金板3Bとで構成されている。ここではアーチ状形状記憶合金板3Bは、内刃ブレード2bの曲げアールと同じ曲げアールで屈曲しており、その下端部は樹脂成型部4に対して固定されている。アーチ状形状記憶合金板3Bは、刃が異常発熱したときに、適当な自己変形を起こすように記憶処理が施されている。ここでは、アーチ状形状記憶合金板3Bは刃の発熱時に、高さ方向B(外刃に向かって突出する方向)に縮むように形状記憶処理が施されている。しかして、刃の異常発熱時には、アーチ状形状記憶合金板3Bが高さ方向Bに突出してあらかじめ形状記憶していた形状に変形することで、外刃1A(図2)を押し上げることによって、内刃ブレード2bと外刃1Aの摺接圧が低減し、摩擦熱が減少する。ここで、アーチ状形状記憶合金板3Bを樹脂成型部4の長手方向の両端部に立設したので、内刃2Aの構造を現行のものと変えることなく、アーチ状形状記憶合金板3Bを付加するだけで焼き付け防止効果が得られる。しかも、樹脂成型部4の両端部に一対のアーチ状形状記憶合金板3Bを立設することで、発熱時には外刃1Aの押し上げ作用が左右バランスよく行なわれるものである。
【0032】
図7は本発明の更に他の実施形態であり、内刃押し上げバネ6が形状記憶合金製のバネ3Cで構成されると共に、内刃2Aの樹脂成型部4に熱伝達部5が埋設され、刃の発熱時に熱伝達部5からの熱によって形状記憶合金製のバネ3Cが高さ方向Aに収縮するように構成されている場合の一例を示している。図中の44はバネ抜け防止金属部品である。他の構成は図1〜図3の実施形態と同様である。本例では、熱伝達部5は、複数の内刃ブレード2bの底面に接触する内刃接触板18と、内刃接触板18から突出して内刃押し上げバネ6に接触する一対のバネ接触片19とからなる櫛刃形の熱伝導金属部品5aで構成されている。この熱伝導金属部品5aは、内刃ブレード2bを樹脂成型するときに同時に成型される。一方、内刃押し上げバネ6は、形状記憶合金製のコイルバネで構成されており、本体7の上端から突出する駆動子13の上端に保持されている。この形状記憶合金製のバネ3Cによって内刃2Aは上方ヘバネ付勢されて内刃ブレード2bが外刃1Aの内面に摺接するようになっている。ここでは、形状記憶合金製のバネ3Cは、発熱時に熱伝導金属部品5aからの熱によって、形状記憶合金の温度が変態温度を超えて高さ方向Aに収縮し、結果としてバネ3Cによる押し上げ力が低減される。これにより、発熱時には内刃ブレード2bと外刃1Aの摺接圧が低減し、摩擦熱を減少させることができる。
【0033】
図8は図7の変形例であり、内刃ブレード2bと内刃押し上げバネ6との間に形状記憶合金製の板3Dを配置した場合の一例を示している。図中の44aはバネ抜け防止樹脂部品である。ここでは、形状記憶合金製の板3Dは、複数の内刃ブレード2bの底面に接触する内刃接触板18と、内刃接触板18から突出して内刃押し上げバネ6に接触する一対のバネ接触片19とで櫛刃形に一体形成されている。この形状記憶合金製の板3Dは、内刃ブレード2bを樹脂成型するときに同時に成型される。なお内刃押し上げバネ6は通常の金属バネである。しかして、刃の発熱時には形状記憶合金製の板3Dの温度が変態温度を超えて、板3D全体が高さ方向Aに収縮し、結果として内刃ブレード2bを外刃1Aへ押し上げる力が低減される。これにより、発熱時に内刃ブレード2bと外刃1Aの摺接圧が低減し、摩擦熱が減少する。なお、図8の例では、形状記憶合金製の板3Dを内刃ブレード2bと内刃押し上げバネ6との間に配置した場合を例示しているが、これに代えて、内刃押し上げバネ6の底面と本体7との間に配置してもよい。また形状記憶合金製の板3Dに代えて、形状記憶合金製のバネを樹脂成型部4に埋設しても同様な作用効果が得られる。
【0034】
図9は本発明の更に他の実施形態であり、内刃がアーチ状内刃2cで形成されており、このアーチ状内刃2c自体を刃の発熱時に外刃1Aから離れる方向Aに向かって収縮する形状記憶合金で構成した場合の一例を示している。他の構成は図1の実施形態と同様である。ここでは、アーチ状内刃2cの母材に形状記憶合金が用いられ、刃の発熱時には、形状記憶合金製のアーチ状内刃2cの温度が変態温度以上に上昇して、アーチ径を減少する方向へ向かって収縮変形するようになり、結果としてアーチ状内刃2cと外刃1Aの摺接圧を低減して、摩擦熱が減少する。また、アーチ状内刃2c自体を形状記憶合金製とすることで、外刃1Aとアーチ状内刃2cを互いに離す方向に付勢するための機構を別に設ける必要がなく、電気カミソリの構造を簡略化できるものである。
【0035】
図10は本発明の更に他の実施形態であり、内刃がアーチ状内刃2cで構成され、このアーチ状内刃2cとこれを保持する樹脂成型部4(図1)との間に、刃の発熱時にアーチ状内刃2cを外刃1Aから離す方向に変形する形状記憶合金製の板3E或いは板バネを配置した場合の一例を示している。他の構成は図1の実施形態と同様である。ここでは、アーチ状内刃2cの両下端部に沿って細長い形状記憶合金製の板3Eをそれぞれ取り付け、刃の発熱時に形状記憶合金製の板3Eの温度が変態温度以上に上昇して高さ方向Aに収縮変形するように形状記憶処理が施されている。これにより、異常発熱時にアーチ状内刃2cと外刃との摺接圧を低減して、摩擦熱を減少させることができる。また、アーチ状内刃2cの両下端部に沿って細長い形状の形状記憶合金製の板3Eを一体に設けたことで部品数が減り、電気カミソリの構造を簡略化できるものである。なお、形状記憶合金製の板3Eに代えて、形状記憶合金製の板バネをアーチ状内刃2cの両下端部に取り付けるようにしてもよい。
【0036】
本発明の更に他の実施形態として、外刃と内刃2Aとが一体型の刃ユニットにおいて、内刃2Aと外刃1Aを保持する外刃枠8との間に、刃の発熱時に内刃2Aを外刃1Aから離す方向に変形する形状記憶合金製のバネ、板、板バネ3Fのいずれかを配置するようにしてもよい。図11はその一例を示している。図11(a)は、内刃2Aの樹脂成型部4の内部に熱伝導金属部品5aを埋設し、形状記憶合金製のバネ3Fの一端を熱伝導金属部品5aに接触させ、該形状記憶合金製のバネ3Fの他端を外刃枠8(図2)に設けたバネ受け部23にて支持している状態を示している。なお内刃2bはブレード、或いは図11(b)に示すアーチ状のいずれであってもよい。他の構成は図1の実施形態と同様である。本例の形状記憶合金製のバネ3Fは、刃の発熱時に熱伝導金属部品5aからの熱によって収縮するように形状記憶処理を施してある。これにより、発熱時に熱伝導金属部品5aからの熱によって形状記憶合金製のバネ3Fが縮む。このとき、外刃1Aから外刃枠8のバネ受け部23までの高さは変わらないが、バネ受け部23で支持されている形状記憶合金製のバネ3Fが高さ方向Aに縮むことによって、内刃2A全体の高さが低くなり、結果として発熱時に内刃ブレード2bと外刃1Aの摺接圧が低減され、摩擦熱が減少する。また形状記憶合金製のバネ3Fを外刃枠8で支持しているため、バネ3Fを支持するための専用の部材を別に設ける必要がなく、電気カミソリの構造を簡略化できるものである。なお形状記憶合金製のバネ3Fを用いたが、これに代えて、形状記憶合金製の板或いは板バネを用いてもよい。さらに上記バネ3Fを形状記憶合金とした構成に加えて、内刃押し上げバネ6を形状記憶合金製のバネで構成してもよく、この場合、上記作用効果に加えて、図7の実施形態と同様な作用効果が得られる。
【0037】
図12は本発明の更に他の実施形態であり、アーチ状内刃2cの内面に沿ってアーチ状の棒3Gが取り付けられると共に、該アーチ状の棒3Gの少なくとも端部が、刃の発熱時にアーチ状内刃2cを外刃1Aから離す方向Aに変形する形状記憶合金で構成されている場合の一例を示している。他の構成は図9の実施形態と同様である。本例の形状記憶合金製のアーチ状の棒3Gは、アーチ状内刃2cの曲げアールと同じ曲げアールに形成され、アーチ状内刃2cの長手方向に間隔をあけて複数本並べて溶接等で固定されている。各アーチ状の棒3Gの両端部は、アーチ状内刃2cの下端部よりも更に下方に突出しており、樹脂成型部4(図2)に成型支持される。ここで、少なくともアーチ状の棒3Gの端部が形状記憶合金で構成されているので、刃の発熱時にアーチ状内刃2cからの熱によって図12の矢印方向Aに収縮する。これにより、アーチ状内刃2cを外刃1Aから離す方向Aに形状記憶合金製の棒3Gが縮むことにより、アーチ状内刃2cを外刃1A(図2)へ押し付ける力が減少し、摩擦熱が減少する。また、アーチ状内刃2cに形状記憶合金製のアーチ状の棒3Gを内接して溶接等で固定することで、アーチ状内刃2cとアーチ状の棒3Gとが一体化されてアーチ状内刃2cを内側から補強できると共に、部品数が減ることで構造を簡略化できるものである。また、アーチ状の棒3G全体を形状記憶合金とする必要がなく、少なくともアーチ状内刃2cの下方に突出する棒3Gの端部のみを形状記憶合金としても、同様な作用効果が得られるので、低コスト化を図ることができる。
【0038】
図13は本発明の更に他の実施形態であり、外刃1Aがアーチ状外刃1bからなり、このアーチ状外刃1bの両端部の内面に沿って一対のアーチ状の棒3Hが取り付けられている。このアーチ状の棒3Hはその少なくとも端部が刃の発熱時にアーチ状外刃1bを内刃2A(図2)から離す方向Bに変形する形状記憶合金で構成されている。図中の80は樹脂成型部である。本例では、アーチ状外刃1bの長手方向の両端部に、一対の形状記憶合金製のアーチ状の棒3Hをアーチ状外刃1bの曲げアールと同じ曲げアールに形成し、アーチ状外刃1bの内面に沿わせて溶接、接着等により固定してある。これにより、アーチ状外刃1bは外刃枠8(図2)に対して高さ方向に若干の自由度をもつように拘束されながら、形状記憶合金製のアーチ状の棒3Hにて内側から支持されている。ここでは、形状記憶合金製の棒3Hはアーチ状外刃1bと一体に樹脂成型されている。この形状記憶合金製の棒3Hは、刃の発熱時にアーチ状外刃1bからの熱によって矢印方向Bに向かって伸張するように形状記憶処理を施してある。従って、刃の発熱時には、形状記憶合金製のアーチ状の棒3Hの温度が変態温度以上に上昇して、アーチ状外刃1bを内刃2Aから離す方向Bに伸張することによって、内刃2Aをアーチ状外刃1bへ押し付ける力が減少し、摩擦熱が減少する。また、アーチ状外刃1bに形状記憶合金製のアーチ状の棒3Hを内接して溶接等で固定することで、アーチ状外刃1bを内側から補強できると共に、アーチ状外刃1bと棒3Hとが一体化されることで部品数が減り、電気カミソリの構造を簡略化できると共に、アーチ状外刃1bの長手方向の両端部に一対のアーチ状の棒3Hを内接したので、発熱時にはアーチ状外刃1bの押し上げ作用が左右バランスよく行なわれるものとなる。
【0039】
本発明の更に他の実施形態として、アーチ状外刃1bと外刃枠8との間に、刃の発熱時にアーチ状外刃1bを内刃2Aから離す方向Aに変形する形状記憶合金製の板バネ3I或いは板或いはコイルバネを配置してもよい。図14はその一例を示している。図14では、アーチ状外刃1bの両下端部の外刃保持部80に、形状記憶合金製の板バネ3Iの一端を連結し、板バネ3Iの他端を外刃枠8(図2)に成型支持している。本例の形状記憶合金製の板バネ3Iは、刃の発熱時に外刃保持部80からの熱によって矢印方向Bに伸張するように形状記憶処理を施してある。従って、刃の発熱時には、形状記憶合金製の板バネ3Iの温度が変態温度以上に上昇して、アーチ状外刃1bを内刃2A(図2)から離す方向Bに伸張することによって、内刃2Aをアーチ状外刃1bへ押し付ける力が減少し、摩擦熱が減少する。また、アーチ状外刃1bと形状記憶合金製の板バネ3Iとを一体化することで部品数が減り、電気カミソリの構造を簡略化できると共に、アーチ状外刃1bの長手方向に間隔をあけて複数の板バネ3Iを配置したので、発熱時にはアーチ状外刃1bの押し上げ作用がバランスよく行なわれるものである。なお形状記憶合金製の板バネ3Iに代えて、形状記憶合金製の板或いはコイルバネ等を用いてもよい。
【0040】
前記各実施形態では固定刃1、可動刃2として、電気カミソリの外刃1Aと内刃2Aを例に挙げて説明したが、以下の実施形態では、電動バリカン、産毛剃り器、電動庭木バリカン等に用いられる櫛刃状の可動刃2と固定刃1とを有する電動刃物類について説明する。櫛刃からなる固定刃1と可動刃2の側面同士が互いに密着するようにバネ付勢されている電動刃物類においても、前記電気カミソリの場合と同様、刃の異常発熱時に、可動刃2と固定刃1を離す機構を有するように形状記憶合金を備えている。以下の実施形態では電気バリカン、産毛剃り器を例示しているが、産毛剃り器や同様の刃可動機構を有する庭木バリカン、芝刈り器等にも広く適用されるものである。
【0041】
図15、図16は、モータ15の偏心軸9を受ける可動刃2の軸受け部10Aが形状記憶合金で構成され、刃の発熱時に、偏心軸9の外径寸法よりも形状記憶合金製の軸受け部10Aの開口幅Lが大きくなるように構成されている場合の一例を示している。ちなみに現行の電動バリカン刃は、図17(a)(b)に示すように、金属製の櫛刃状の可動刃2の下端部に樹脂製の軸受け部10がはめ込まれ、モータ15の駆動力を偏心軸9を介して可動刃2に伝達することで可動刃2を駆動している。また、固定刃1は図18のような形状をしており、固定刃1の側面を可動刃2の側面に密着させた状態で可動刃2が摺動するものであるが、現行のものでは油をささずに長時間、空運転したり、通常運転時でも長時間連続して剃り続けていると、固定刃1と可動刃2の摺動で熱が発生したときには焼き付きを防止できないという問題がある。これに対して図15の実施形態では、可動刃2の軸受け部10Aを形状記憶合金にて構成し、この形状記憶合金製の軸受け部10Aに偏心軸9を嵌合せしめている。なお固定刃1は図18の例と同じ形状をしている。
【0042】
しかして、刃の発熱が起こったとき、可動刃2から形状記憶合金製の軸受け部10Aに熱が伝導されることによって軸受け部10Aが図16の矢印方向Mに示す開口幅Lが大きくなる方向Mに向かって変態変形する。これによって、図16のように偏心軸9は樹脂製凹所10の開口幅内で所定の遊びを持って保持される形となり、結果として駆動子13から可動刃2への駆動伝達をにぶらせることができるので、発熱時に固定刃1と可動刃2との摩擦熱が減少して、焼付きを未然に防いで火傷の危険を低減或いは回避することができると共に、使用者に熱による不快を与えることがないものであり、使用の安全性を確保できるものである。また本例では、可動刃2の軸受け部10Aを形状記憶合金製とすることで、可動刃2の熱が効率良く形状記憶合金板3Aに伝達され、形状記憶合金板3Aによる変態作用が確実に行なわれることとなる。
【0043】
上記図15、図16の変形例として、図19、図20は、刃の発熱時に、固定刃1と可動刃2とを互いに離れる方向に変形する形状記憶合金板3J或いは3Kを固定刃1に設けた電気バリカンの例を示している。図19では、固定刃1の可動刃2側の側面に沿って横方向に長い形状記憶合金板3Jが取り付けられ、その表面にテフロン(R)或いはDLC膜90を被覆している。ここでは形状記憶合金板3Jは刃の発熱時に、高さ方向Aに伸張するように形状記憶処理が施されている。そして、室温で可動刃2(図17)と固定刃1とが適度な圧力で摺接する状態にて適当な形状に変形させておく。そして、刃が発熱した時には、形状記憶合金板3Jがあらかじめ形状記憶していた形状に伸張して可動刃2を矢印方向Aに押し上げることで、可動刃2と固定刃1の摺接圧が下がり、両刃1,2の摩擦熱が低減する。なお、図19の例では形状記憶合金板3Jを伸張させたが、図20(c)に示すように、発熱時に形状記憶合金板3Kを平板状態から略V字状に屈曲した状態に変形させるようにしてもよい。他の構成は図19と同様である。図20の例では、形状記憶合金板3Kによる起伏幅が図19の場合よりも大きくなり、可動刃2を固定刃1から離す方向により大きい幅で押し上げることができるので、可動刃2と固定刃1とが完全に摺接しないように離すことができ、焼き付け防止に一層効果的となる。
【0044】
図23は、固定刃1と可動刃2が一対の櫛刃からなり、該櫛刃からなる固定刃1と可動刃2の側面同士が互いに密着するようにバネ付勢されている現行の産毛剃り器を示している。なお図23中の20はハウジング、21は固定刃1の留め金具、22は留め金具21が通過する通過孔である。ところで、現行のものでは、仮りに油をささずに長時間、空運転したり、通常運転時でも長時間連続して剃り続けていると、固定刃1と可動刃2の摺動で熱が発生したときには焼き付きが発生するという問題がある。
【0045】
これに対して本実施形態では、図21(a)に示すように、モータ15の偏心軸9に設けた駆動伝達リブ11を可動刃2に設けた嵌合孔12に嵌合させると共に、該嵌合孔12の内部に、両端にバネ保持板16を取り付けた形状記憶合金製のバネ3Lを配置している。ここで駆動伝達リブ11とは、モータ15の回転を歯車や偏心軸9で往復運動に変換するための柄を指す。しかして、刃の発熱時に熱が形状記憶合金製のバネ3Lに伝達されて該バネ3Lが収縮し、これに伴い嵌合孔12内での駆動伝達リブ11の駆動距離E(図21(c))が収縮前の駆動距離E(図21(b))よりも長くなり、これに伴い駆動伝達リブ11から可動刃2への駆動伝達が減じるようになっている。つまり、駆動伝達リブ11から可動刃2への駆動伝達をにぶらせることによって、結果として、嵌合孔12内に形状記憶合金製のバネ3Lを収納するだけで、発熱時には固定刃1と可動刃2との摩擦熱が減少して、焼付きを未然に防止できるものである。
【0046】
更に他例として図22(a)は、モータ15の偏心軸9に設けた駆動伝達リブ11を可動刃2に設けた嵌合孔12に嵌合させると共に、該駆動伝達リブ11に、刃の発熱時に収縮して嵌合孔12内での駆動伝達リブ11の往復運動方向の長さを長くするための形状記憶合金製のバネ3Mを配置した場合の例を示している。通常、駆動伝達リブ11は、可動刃2の嵌合孔12内に挿入されて、モータ15の駆動を可動刃2の往復運動して伝えるものであるが、本例では駆動伝達リブ11の往復運動方向の距離を可変自在とすると共に、駆動伝達リブ11内に発熱時には駆動伝達リブ11の往復運動方向の長さが縮小されるように、形状記憶合金製のバネ3Mを介在させている。しかして、刃の発熱時に、熱が形状記憶合金製のバネ3Mに伝達されて該バネ3Mが図22(b)の長さDから図22(c)の長さD2(<D)に縮む。これにより嵌合孔12内での駆動伝達リブ11の往復運動方向の駆動距離が長くなり、駆動伝達リブ11から可動刃2への駆動伝達が減じるようになっている。つまり、駆動伝達リブ11から可動刃2への駆動伝達をにぶらせることによって、結果として、駆動伝達リブ11に形状記憶合金製のバネ3Mを設けるだけで、発熱時には固定刃1と可動刃2との摩擦熱が減少して、焼付きを未然に防止できるものである。
【0047】
【発明の効果】
上述のように請求項1記載の発明にあっては、固定刃と可動刃とが互いに密着するように押し付けバネにてバネ付勢されている切断刃の構造であって、刃の発熱時に押し付けバネのバネ力に抗して固定刃と可動刃とを互いに離す方向に付勢するための形状記憶合金を備えているので、刃の異常発熱時には形状記憶合金によって外刃と内刃とが離れることで固定刃と可動刃の摺接圧を下げるか、又は完全に摺接しなくすることができる。従って、油をささずに長時間、空運転したり、通常運転時でも長時間連続して剃り続けているときに、外刃と内刃の摺動で熱が発生したときでも、形状記憶合金を利用して可動刃と固定刃の摩擦を緩和し、焼付きを未然に防止することができ、火傷の危険を低減或いは回避することができる結果、使用者に熱による不快を与えることがないものである。
【0048】
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、固定刃と可動刃が、電気カミソリの外刃と内刃であり、内刃押し上げバネによって内刃が外刃に摺接している場合において、刃の発熱時に内刃を外刃から離す方向に収縮する形状記憶合金板を内刃の底面に配設したので、刃の発熱時に形状記憶合金板が内刃を外刃から離す方向に収縮することで、焼き付けを未然に防止でき、電気カミソリの使用の安全性を確保することができる。しかも、内刃の底面に形状記憶合金板を配設することで刃の発熱時には熱が効率良く形状記憶合金板に伝達されることとなり、形状記憶合金板の自己変態作用が確実に行なわれるものである。
【0049】
また請求項3記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、固定刃と可動刃が、電気カミソリの外刃と内刃であり、内刃押し上げバネによって内刃が外刃に摺接している場合において、刃の発熱時に内刃を外刃に向けて押圧する方向に伸張するアーチ状形状記憶合金板を内刃を保持する樹脂成型部の端部に立設したので、アーチ状形状記憶合金板を内刃を保持する樹脂成型部の端部に立設したので、現行の内刃の構造を変えることなく、アーチ状形状記憶合金板による焼き付け防止効果が得られる。
【0050】
また請求項4記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、固定刃と可動刃が、電気カミソリの外刃と内刃であり、内刃押し上げバネによって内刃が外刃に摺接している場合において、内刃押し上げバネが形状記憶合金製のバネで構成されると共に、内刃の樹脂成型部に熱伝達部が埋設され、刃の発熱時に熱伝達部からの熱によって形状記憶合金製のバネが内刃を外刃から離す方向に収縮するように構成されているので、内刃押し上げバネを構成する形状記憶合金製のバネは、発熱時に熱伝導金属部品からの熱によって、形状記憶合金の温度が変態温度を超えて内刃を外刃から離す方向に収縮し、結果として内刃を外刃へ押し上げる力が低減される。これにより、発熱時には内刃を外刃へ押し付ける力が減少し、摩擦熱を減少させることができる。
【0051】
また請求項5記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、固定刃と可動刃が、電気カミソリの外刃と内刃であり、内刃押し上げバネによって内刃が外刃に摺接している場合において、内刃と内刃押し上げバネとの間、或いは内刃押し上げバネの底面と本体との間に、刃の発熱時に内刃を外刃から離す方向に変形する形状記憶合金製の板或いはバネを備えているので、発熱時には形状記憶合金製の板(或いはバネ)の温度が変態温度を超えて内刃を外刃から離す方向に収縮し、結果として内刃を外刃へ押し上げる力が低減されるので、摩擦熱が減少して焼付きを未然に防止することができる。
【0052】
また請求項6記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、固定刃と可動刃が、電気カミソリの外刃と内刃であり、内刃押し上げバネによって内刃が外刃に摺接している場合において、アーチ状内刃自体が刃の発熱時に外刃から離れる方向に収縮する形状記憶合金で構成されているので、刃の発熱時には、形状記憶合金製のアーチ状内刃自体の温度が変態温度以上に上昇して、アーチ径を減少する方向へ収縮変形するようになり、結果として発熱時にアーチ状内刃と外刃の摺接圧を低減して、摩擦熱が減少することで焼付きを未然に防止することができる。また、アーチ状内刃自体を形状記憶合金製とすることで、外刃とアーチ状内刃を互いに離す方向に付勢するための機構を別に設ける必要がなく、電気カミソリの構造を簡略化できるものである。
【0053】
また請求項7記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、固定刃と可動刃が、電気カミソリの外刃と内刃であり、内刃押し上げバネによって内刃が外刃に摺接している場合において、内刃がアーチ状内刃で構成され、このアーチ状内刃とこれを保持する樹脂成型部との間に、刃の発熱時にアーチ状内刃を外刃から離す方向に付勢するための形状記憶合金製の板或いは板バネを配置したので、刃の発熱時に形状記憶合金製の板(或いは板バネ)の温度が変態温度以上に上昇して、アーチ状内刃を外刃から離す方向に収縮変形するようになり、結果として発熱時にアーチ状内刃と外刃の摺接圧を低減して、摩擦熱が減少する結果、焼付きを未然に防止することができる。また、アーチ状内刃に形状記憶合金の板(或いは板バネ)を一体化することで、部品数が減り、電気カミソリの構造を簡略化できるものである。
【0054】
また請求項8記載の発明は、請求項1又は請求項5記載の効果に加えて、固定刃と可動刃が、電気カミソリの外刃と内刃であり、内刃押し上げバネによって内刃が外刃に摺接している場合において、外刃がアーチ状外刃で構成され、内刃とアーチ状外刃を保持する外刃枠との間に、刃の発熱時に内刃をアーチ状外刃から離す方向に付勢するための形状記憶合金製のバネ、板、板バネのいずれかを配置したので、発熱時に形状記憶合金製の板バネ等が変形して、内刃がアーチ状外刃から離れる方向に移動することで、内刃とアーチ状外刃の摺接圧が低減され、摩擦熱が減少する。また外刃枠を利用して形状記憶合金製の板バネ等を支持できるので、該板バネ等を支持するための専用の部材を別に設ける必要がなく、電気カミソリの構造を簡略化できるものである。
【0055】
また請求項9記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、固定刃と可動刃が、電気カミソリの外刃と内刃であり、内刃押し上げバネによって内刃が外刃に摺接している場合において、内刃がアーチ状内刃で構成され、このアーチ状内刃の内面に沿ってアーチ状の棒が取り付けられると共に、該アーチ状の棒の少なくとも端部が、刃の発熱時にアーチ状内刃を外刃から離す方向に付勢するための形状記憶合金で構成されているので、刃の発熱時には、アーチ状の棒の温度が変態温度以上に上昇して、該棒の少なくとも端部を構成する形状記憶合金が変形してアーチ状内刃と外刃の摺接圧が低減されることで、摩擦熱が減少する。また、アーチ状内刃に形状記憶合金製のアーチ状の棒を内接して溶接等で固定することで、アーチ状内刃と棒とが一体化されて部品数が減り、電気カミソリの構造を簡略化でき、さらにアーチ状の棒全体を形状記憶合金とする必要がなく、少なくともアーチ状内刃の下方に突出する棒の端部のみを形状記憶合金としてもよいので低コスト化を図ることができる。
【0056】
また請求項10記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、固定刃と可動刃が、電気カミソリの外刃と内刃であり、内刃押し上げバネによって内刃が外刃に摺接している場合において、外刃がアーチ状外刃で構成され、このアーチ状外刃の内面に沿って、刃の発熱時にアーチ状外刃を内刃から離す方向に変形する形状記憶合金製のアーチ状の棒が取り付けられているので、刃の発熱時には、形状記憶合金製のアーチ状の棒の温度が変態温度以上に上昇して、該棒がアーチ状外刃を内刃から離す方向に変形することで内刃とアーチ状外刃の摺接圧が低減され、摩擦熱が減少する。また、アーチ状外刃の内面に形状記憶合金製のアーチ状の棒を固定することで、アーチ状外刃と棒とが一体化されて部品数が減り、電気カミソリの構造を簡略化できるものである。
【0057】
また請求項11記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、固定刃と可動刃が、電気カミソリの外刃と内刃であり、内刃押し上げバネによって内刃が外刃に摺接している場合において、外刃がアーチ状外刃で構成され、このアーチ状外刃とこれを保持する外刃枠との間に、刃の発熱時にアーチ状外刃を内刃から離す方向に変形する形状記憶合金製の板バネ或いは板或いはコイルバネを配置したので、刃の発熱時にアーチ状外刃からの熱によって形状記憶合金製の板バネ等が変形してアーチ状外刃を内刃から離すことによって内刃をアーチ状外刃へ押し付ける力が減少し、摩擦熱が減少する。また外刃枠を利用して形状記憶合金製の板バネ等を支持できるので、該板バネ等を支持するための専用の部材を別に設ける必要がなく、電気カミソリの構造を簡素化できる。
【0058】
また請求項12記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、固定刃と可動刃が一対の櫛刃からなり、該櫛刃からなる固定刃と可動刃の側面同士が互いに密着するようにバネ付勢されている場合において、モータの偏心軸を受ける可動刃の軸受け部が形状記憶合金で構成され、刃の発熱時に、偏心軸の外径寸法よりも形状記憶合金製の軸受け部の開口幅が大きくなるように構成されているので、刃の発熱が起こったときは、可動刃から形状記憶合金製の軸受け部に熱が伝導されることによって、軸受け部の開口幅が大きくなる方向に形状記憶合金製の軸受け部が変態変形する。これによって、モータから可動刃への駆動伝達をにぶらせることができ、結果として、発熱時に固定刃と可動刃との摩擦熱が減少して、焼付きを未然に防止できるものである。しかも、可動刃の軸受け部を形状記憶合金製とすることで、可動刃の熱が効率良く形状記憶合金板に伝達され、形状記憶合金板による変態作用が確実に行なわれることとなる。
【0059】
また請求項13記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、固定刃と可動刃が一対の櫛刃からなり、該櫛刃からなる固定刃と可動刃の側面同士が互いに密着するようにバネ付勢されている場合において、固定刃と可動刃の間に、刃の発熱時に伸張して固定刃と可動刃とを離す方向に付勢するための形状記憶合金板を備えているので、刃の発熱時に、形状記憶合金板が伸張することにより固定刃と可動刃とが離れて可動刃と固定刃の摺接圧が下がり、両刃の摩擦熱が減少して、焼付きを未然に防止できるものである。
【0060】
また請求項14記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、固定刃と可動刃が一対の櫛刃からなり、該櫛刃からなる固定刃と可動刃の側面同士が互いに密着するようにバネ付勢されている場合において、固定刃と可動刃の間に、刃の発熱時に変形して固定刃と可動刃とを離す方向に付勢するための形状記憶合金板を備えているので、発熱時に形状記憶合金板が変形することによって可動刃を固定刃から大きい幅で押し上げることが可能となり、この場合、可動刃と固定刃とが完全に摺接しないように離すことができ、焼き付け防止に一層効果的となる。
動刃と固定刃の摺接圧が下がり、両刃の摩擦熱が減少して、焼付きを未然に防止できるものである。
【0061】
また請求項15記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、固定刃と可動刃が一対の櫛刃からなり、該櫛刃からなる固定刃と可動刃の側面同士が互いに密着するようにバネ付勢されている場合において、モータにより駆動する駆動伝達リブと嵌合する可動刃の嵌合孔の内部に、刃の発熱時に収縮して嵌合孔内での駆動伝達リブの駆動距離を長くするための形状記憶合金製のバネを配置したので、刃の発熱時に、熱が形状記憶合金製のバネに伝達されて該バネが収縮することで、嵌合孔内での駆動伝達リブの駆動距離が長くなり、駆動伝達リブから可動刃への駆動伝達が減じるようになる。つまり、可動刃の嵌合孔内に形状記憶合金製のバネを収納するだけの簡単な構造でありながら、発熱時には駆動伝達リブから可動刃への駆動伝達をにぶらせることができ、結果として、固定刃と可動刃との摩擦熱が減少して、焼付きを未然に防止できるものである。
【0062】
また請求項16記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、固定刃と可動刃が一対の櫛刃からなり、該櫛刃からなる固定刃と可動刃の側面同士が互いに密着するようにバネ付勢されている場合において、モータにより駆動する駆動伝達リブを可動刃に設けた嵌合孔に嵌合させると共に、該駆動伝達リブに、刃の発熱時に収縮して嵌合孔内での駆動伝達リブの往復運動方向の長さを長くするための形状記憶合金製のバネを配置したので、刃の発熱時に、熱が形状記憶合金製のバネに伝達されて該バネが収縮するのに伴い、嵌合孔内での駆動伝達リブの往復運動方向の距離が長くなり、モータから駆動伝達リブを介して可動刃への駆動伝達が減じるようになる。つまり、駆動伝達リブに形状記憶合金製のバネを設けることで発熱時に駆動伝達リブから可動刃への駆動伝達をにぶらせることができ、結果として、発熱時に固定刃と可動刃との摩擦熱が減少して、焼付きを未然に防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の形状記憶合金板付き内刃の斜視図である。
【図2】(a)は同上の刃ヘッドの斜視図、(b)は分解斜視図である。
【図3】同上の内刃とモータの駆動子の分解側面図である。
【図4】(a)(b)は同上の形状記憶合金板の動作説明図である。
【図5】現行の内刃の参考図である。
【図6】本発明の他の実施形態の内刃の説明図である。
【図7】本発明の更に他の実施形態の説明図である。
【図8】本発明の更に他の実施形態の説明図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態の内刃の説明図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態の内刃の説明図である。
【図11】(a)は本発明の更に他の実施形態の説明図、(b)はアーチ状内刃の斜視図である。
【図12】本発明の更に他の実施形態の内刃の説明図である。
【図13】本発明の更に他の実施形態の外刃の説明図である。
【図14】本発明の更に他の実施形態の外刃の説明図である。
【図15】(a)(b)は本発明の更に他の実施形態の可動刃の正面図、側面図である。
【図16】同上の形状記憶合金製の軸受け部が大きくなった状態の説明図である。
【図17】(a)(b)は現行の可動刃の正面図、側面図である。
【図18】(a)(b)は固定刃の正面図、側面図である。
【図19】(a)(b)は本発明の更に他の実施形態の固定刃の正面図、側面図である。
【図20】(a)(b)は本発明の更に他の実施形態の固定刃の正面図、側面図であり、(c)は形状記憶合金板が伸張した状態の説明図である。
【図21】(a)は本発明の更に他の実施形態の形状記憶合金製のバネを備えた可動刃の説明図、(b)は通常温度下の状態の説明図、(c)は異常発熱時のバネの収縮状態の説明図である。
【図22】(a)は本発明の更に他の実施形態の形状記憶合金製のバネを備えた駆動伝達リブの説明図、(b)は通常温度下の状態の説明図、(c)は異常発熱時のバネの収縮状態の説明図である。
【図23】(a)は現行の可動刃の説明図、(b)は固定刃の説明図、(c)はモータの駆動伝達リブの説明図である。
【符号の説明】
1 固定刃
1A 外刃
2 可動刃
2A 内刃
3 形状記憶合金
3A,3J,3K 形状記憶合金板
3B アーチ状形状記憶合金板
3C,3J,3K,3L,3M 形状記憶合金製のバネ
3D,3E 形状記憶合金製の板
3F,3I 形状記憶合金製の板バネ
3G,3H 形状記憶合金製のアーチ状の棒
4 樹脂成型部
5 熱伝達部
6 内刃押し上げバネ
7 本体
8 外刃枠
9 偏心軸
10 軸受け部
11 駆動伝達リブ
12 嵌合孔
20 モータ

Claims (16)

  1. 固定刃と可動刃とが互いに密着するように押し付けバネにてバネ付勢されている切断刃の構造であって、刃の発熱時に押し付けバネのバネ力に抗して固定刃と可動刃とを互いに離す方向に付勢するための形状記憶合金を備えていることを特徴とする切断刃の構造。
  2. 固定刃と可動刃が、電気カミソリの外刃と内刃であり、内刃押し上げバネによって内刃が外刃に摺接している場合において、刃の発熱時に内刃を外刃から離す方向に収縮する形状記憶合金板を内刃の底面に配設したことを特徴とする請求項1記載の切断刃の構造。
  3. 固定刃と可動刃が、電気カミソリの外刃と内刃であり、内刃押し上げバネによって内刃が外刃に摺接している場合において、刃の発熱時に内刃を外刃に向けて押圧する方向に伸張するアーチ状形状記憶合金板を内刃を保持する樹脂成型部の端部に立設したことを特徴とする請求項1記載の切断刃の構造。
  4. 固定刃と可動刃が、電気カミソリの外刃と内刃であり、内刃押し上げバネによって内刃が外刃に摺接している場合において、内刃押し上げバネが形状記憶合金製のバネで構成されると共に、内刃の樹脂成型部に熱伝達部が埋設され、刃の発熱時に熱伝達部からの熱によって形状記憶合金製のバネが内刃を外刃から離す方向に収縮するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の切断刃の構造。
  5. 固定刃と可動刃が、電気カミソリの外刃と内刃であり、内刃押し上げバネによって内刃が外刃に摺接している場合において、内刃と内刃押し上げバネとの間、或いは内刃押し上げバネの底面と本体との間に、刃の発熱時に内刃を外刃から離す方向に変形する形状記憶合金製の板或いはバネを備えていることを特徴とする請求項1記載の切断刃の構造。
  6. 固定刃と可動刃が、電気カミソリの外刃と内刃であり、内刃押し上げバネによって内刃が外刃に摺接している場合において、内刃がアーチ状内刃で構成され、このアーチ状内刃自体が刃の発熱時に外刃から離れる方向に収縮する形状記憶合金で構成されていることを特徴とする請求項1記載の切断刃の構造。
  7. 固定刃と可動刃が、電気カミソリの外刃と内刃であり、内刃押し上げバネによって内刃が外刃に摺接している場合において、内刃がアーチ状内刃で構成され、このアーチ状内刃とこれを保持する樹脂成型部との間に、刃の発熱時にアーチ状内刃を外刃から離す方向に付勢するための形状記憶合金製の板或いは板バネを配置したことを特徴とする請求項1記載の切断刃の構造。
  8. 固定刃と可動刃が、電気カミソリの外刃と内刃であり、内刃押し上げバネによって内刃が外刃に摺接している場合において、外刃がアーチ状外刃で構成され、内刃とアーチ状外刃を保持する外刃枠との間に、刃の発熱時に内刃をアーチ状外刃から離す方向に付勢するための形状記憶合金製のバネ、板、板バネのいずれかを配置したことを特徴とする請求項1又は請求項5記載の切断刃の構造。
  9. 固定刃と可動刃が、電気カミソリの外刃と内刃であり、内刃押し上げバネによって内刃が外刃に摺接している場合において、内刃がアーチ状内刃で構成され、このアーチ状内刃の内面に沿ってアーチ状の棒が取り付けられると共に、該アーチ状の棒の少なくとも端部が、刃の発熱時にアーチ状内刃を外刃から離す方向に付勢するための形状記憶合金で構成されていることを特徴とする請求項1記載の切断刃の構造。
  10. 固定刃と可動刃が、電気カミソリの外刃と内刃であり、内刃押し上げバネによって内刃が外刃に摺接している場合において、外刃がアーチ状外刃で構成され、このアーチ状外刃の内面に沿って、刃の発熱時にアーチ状外刃を内刃から離す方向に変形する形状記憶合金製のアーチ状の棒が取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の切断刃の構造。
  11. 固定刃と可動刃が、電気カミソリの外刃と内刃であり、内刃押し上げバネによって内刃が外刃に摺接している場合において、外刃がアーチ状外刃で構成され、このアーチ状外刃とこれを保持する外刃枠との間に、刃の発熱時にアーチ状外刃を内刃から離す方向に付勢するための形状記憶合金製の板バネ或いは板或いはコイルバネを配置したことを特徴とする請求項1記載の切断刃の構造。
  12. 固定刃と可動刃が一対の櫛刃からなり、該櫛刃からなる固定刃と可動刃の側面同士が互いに密着するようにバネ付勢されている場合において、モータの偏心軸を受ける可動刃の軸受け部が形状記憶合金で構成され、刃の発熱時に、偏心軸の外径寸法よりも形状記憶合金製の軸受け部の開口幅が大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の切断刃の構造。
  13. 固定刃と可動刃が一対の櫛刃からなり、該櫛刃からなる固定刃と可動刃の側面同士が互いに密着するようにバネ付勢されている場合において、固定刃と可動刃の間に、刃の発熱時に伸張して固定刃と可動刃とを離す方向に付勢するための形状記憶合金板を備えていることを特徴とする請求項1記載の切断刃の構造。
  14. 固定刃と可動刃が一対の櫛刃からなり、該櫛刃からなる固定刃と可動刃の側面同士が互いに密着するようにバネ付勢されている場合において、固定刃と可動刃の間に、刃の発熱時に変形して固定刃と可動刃とを離す方向に付勢するための形状記憶合金板を備えていることを特徴とする請求項1記載の切断刃の構造。
  15. 固定刃と可動刃が一対の櫛刃からなり、該櫛刃からなる固定刃と可動刃の側面同士が互いに密着するようにバネ付勢されている場合において、モータにより駆動する駆動伝達リブと嵌合する可動刃の嵌合孔の内部に、刃の発熱時に収縮して嵌合孔内での駆動伝達リブの駆動距離を長くするための形状記憶合金製のバネを配置したことを特徴とする請求項1記載の切断刃の構造。
  16. 固定刃と可動刃が一対の櫛刃からなり、該櫛刃からなる固定刃と可動刃の側面同士が互いに密着するようにバネ付勢されている場合において、モータにより駆動する駆動伝達リブを可動刃に設けた嵌合孔に嵌合させると共に、該駆動伝達リブに、刃の発熱時に収縮して嵌合孔内での駆動伝達リブの往復運動方向の長さを長くするための形状記憶合金製のバネを配置したことを特徴とする請求項1記載の切断刃の構造。
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